JPH06195774A - 情報処理装置および走査型プローブ顕微鏡と複数プローブ制御方法 - Google Patents

情報処理装置および走査型プローブ顕微鏡と複数プローブ制御方法

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JPH06195774A
JPH06195774A JP34197792A JP34197792A JPH06195774A JP H06195774 A JPH06195774 A JP H06195774A JP 34197792 A JP34197792 A JP 34197792A JP 34197792 A JP34197792 A JP 34197792A JP H06195774 A JPH06195774 A JP H06195774A
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probe
circuit
probes
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JP34197792A
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English (en)
Inventor
Isaaki Kawade
一佐哲 河出
Takahiro Oguchi
高弘 小口
Kunihiro Sakai
邦裕 酒井
Akihiko Yamano
明彦 山野
Shunichi Shito
俊一 紫藤
Katsunori Hatanaka
勝則 畑中
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Original Assignee
Canon Inc
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型で高精度のマルチプローブの制御回路を
提案し、これを具備する各種情報処理装置を実現するこ
と。 【構成】 複数のプローブを順次選択する選択回路と、
選択された所定のプローブと媒体との間に生じる信号を
検出する信号検出回路と、選択されたプローブに対応し
て信号検出回路の出力を調整する調整回路と、調整回路
信号出力に基づいて選択されたプローブと媒体間の位置
を制御する信号を発生する制御回路と、複数のプローブ
についてそれぞれ設けられ、各プローブを移動させて媒
体との距離を変える複数のアクチュエータと、制御回路
の出力信号を選択されたプローブに対応して設けられた
アクチュエータに印加する切り替え回路と、各プローブ
毎の調整量を測定する調整量測定回路と、上記各回路に
おける選択動作、調整動作、切り替え動作および調整量
測定動作を制御する制御装置とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複数のプローブと記録媒
体との物理的相互作用により情報の書き込みまたは読み
出しを行なう記録再生装置、あるいは走査型トンネル顕
微鏡(STM)あるいはSTMを応用した情報処理装置
に関し、より詳しくは、記録再生に用いられる複数のプ
ローブの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、導体の表面原子の電子構造を直接
観察できる走査型トンネル顕微鏡(以後、STMと略
す)が開発され[G.Bining et al.Ph
ys.Rev.Lett,49,57(1982)]、
単結晶、非晶質を問わず実空間像の高い分解能の測定が
できるようになった。
【0003】STMは金属の探針(プローブ電極)と導
電性物質間に電圧を加えて1nm程度の距離まで近づけ
るとトンネル電流が流れることを利用している。この電
流は両者の距離変化に非常に敏感である。トンネル電流
を一定に保つように探針を走査することにより実空間の
全電子雲に関する種々の情報をも読み取ることができ
る。このとき面内方向の分解能は0.1nm程度であ
る。
【0004】したがって、STMの原理を応用すれば十
分に原子オーダー(サブ・ナノメートル)での高密度記
録再生を行うことが可能である。例えば、特開昭61−
80536号に開示されている記録再生装置では、電子
ビーム等によって媒体表面に吸着した原子粒子を取り除
く書き込み動作を行ない、STMによりこのデータを再
生している。
【0005】また記録層として電圧電流のスイッチング
特性に対してメモリ効果を持つ材料、例えばπ電子系有
機化合物やカルコゲン化合物類の薄膜層を用いて、記録
・再生をSTMで行なう方法が以下に提案されている
[特開昭63−161552号公報、特開昭63−16
1553号公報]。
【0006】上記の方法によれば、記録のビットサイズ
を10nmとして、1012bit/cm2もの大容量記
録再生が可能である。さらに、小型化を目的として複数
のプローブを半導体基板上に形成し、これと対向する記
録媒体を変位させて記録を行う装置が以下に提案されて
いる(特開平1−196751号公報)。
【0007】複数のプローブによって、記録、再生を行
う装置においては、例えば、1cm 2角のシリコンチッ
プ上に、1プローブ当たり400Mbitの記録再生能
力を有する2500本のプローブを50×50のマトリ
ックス配置したマルチプローブヘッドと上述したメモリ
効果を持つ材料を組み合わせることにより、総記録容量
1Tbitのディジタルデータの記録再生が行える。
【0008】上記の記録再生を行うプローブを駆動する
方法としては、圧電体で構成された長さ数100μm程
度のカンチレバー(片持ちばり)上に取り付け、このカ
ンチレバーを駆動する方法が考えられている。従来この
ようなカンチレバーの作製法としては、半導体プロセス
を応用し、一つの基板上に微細加工を施す加工技術を用
いて圧電体薄膜、金属膜等の多層構造を有するカンチレ
バーを作成する方法があった(T.R.Albrecht et al. "Mi
crofabrication of integrated scanning tunnering mi
croscope" ; Proceedings of 4th International Confe
rence on scanning tunneling microscope/spectroscop
y 1990)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
複数のプローブを有するマルチプローブヘッドとこれに
対向する媒体を組み合わせて記録再生等の情報処理を行
うためには以下の問題点があった。
【0010】(1)記録再生等の情報処理時には、マル
チプローブヘッドの各プローブと対向する媒体間の距離
(Z方向)を精度よく制御する必要がある。このため
に、例えばプローブ毎にプローブと媒体間のZ方向制御
を行う制御系をそれぞれ設け、各制御系からなる制御部
をプローブヘッドの外に設けることが考えられる。この
場合には、マルチプローブヘッドを小さく構成すること
ができても装置外部に置かれる制御部がプローブの本数
分だけ大型となり、STMの特徴を生かした小型の情報
処理装置の実現が困難になるという問題点がある。
【0011】(2)また複数本のプローブをICプロセ
ス等の微細加工で作成する場合、加工プロセスにバラつ
きが発生することを避けることはできない。このプロセ
スでのバラつきは、例えば圧電体カンチレバー等のアク
チュエータの変位感度のバラつきやプローブ先端のティ
ップの感度すなわち、仕事関数値のバラつきを招き、複
数本のプローブの性能が異なってしまい、これらのプロ
ーブを最適な状態で制御することが難しくなるという問
題点がある。
【0012】本発明は上述したような従来の技術が有す
る問題点に鑑みてなされたものであって、小型で高精度
のマルチプローブの制御回路を提案し、これを具備する
各種情報処理装置を実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の情報処理装置
は、対向配置された複数本のプローブと媒体との間に物
理現象により生じる信号を用いて記録情報の再生を行う
情報処理装置において、複数のプローブのうちの所定の
プローブを順次選択する選択回路と、選択回路により選
択された所定のプローブと前記媒体との間に生じる信号
を検出する信号検出回路と、選択回路により選択された
プローブに対応して前記信号検出回路の出力を調整する
調整回路と、調整回路信号出力に基づいて前記選択回路
により選択されたプローブと媒体間の位置を制御する信
号を発生する制御回路と、複数のプローブについてそれ
ぞれ設けられ、各プローブを移動させて前記媒体との距
離を変える複数のアクチュエータと、制御回路の出力信
号を前記選択回路により選択されたプローブに対応して
設けられたアクチュエータに印加する切り替え回路と、
選択回路、制御回路および切り替え回路の一連の動作が
実行されている間に各プローブ毎の調整量を測定する調
整量測定回路と、選択回路、調整回路、切り替え回路お
よび調整量測定回路における選択動作、調整動作、切り
替え動作および調整量測定動作を制御する制御装置とを
有する。この場合、調整回路が各プローブに対応したゲ
イン調整を行うこととしてもよい。
【0014】さらに、調整回路が各プローブに対応した
調整を行うための各プローブに対応した調整量をストア
するメモリを設けてもよい。
【0015】さらに、各プローブを対向する媒体との距
離を変化させ、この時プローブより検出される信号に基
づいて各プローブ毎の調整量を測定する手段を調整量測
定回路が具備するものとしてもよい。この場合、前記電
圧の変化に対する前記制御信号の変化の周波数応答性が
最大となるように調整量を測定することとしてもよい。
【0016】本発明の走査型プローブ顕微鏡は、上記の
ように構成された情報処理装置を有する。
【0017】この場合、複数プローブから得られる画像
を、各プローブ毎に得られる補正量に基づいて補正を行
う画像補正回路を有してもよい。
【0018】また本発明は、対向配置された複数本のプ
ローブと媒体との間に物理現象により生じる信号を用い
て記録情報の再生を行う時、複数のプローブと媒体との
間に生じる信号を、選択されたプローブと媒体間の位置
を制御するという複数プローブ制御方法も特徴としてい
る。
【0019】
【作用】媒体と各プローブとの間の距離制御について、
調整量測定回路によって各プローブの性能に応じた最適
な調整量を測定し、その調整量に基づいて各プローブ毎
に異なる調整がなされるので、各プローブの制御性能を
最大限に引き出した状態で実行可能となる。また、調整
量測定回路が情報処理装置内に具備されているため、複
数プローブからなるヘッド全体を交換したりあるいは装
置使用による各プローブ性能の変化等があっても、その
都度調整量を測定し再調整することにより常に最適な状
態で前記距離制御が行える。このような調整を行うため
にプローブを選択することは、各プローブのそれぞれに
制御系を設けることなく、選択回路および切り替え回路
によって順次切り替えられて行われるので、装置が大型
化することはない。
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0021】[実施例1]図1は、本発明の第1の実施
例におけるマルチプローブの制御回路の構成例を示す図
である。
【0022】本実施例に示す制御回路は、トンネル電流
を検出する複数本のプローブを対向する媒体間距離制御
回路および調整量測定回路に関するものである。
【0023】本実施例では制御CPU114を用いて、
各プローブからのトンネル電流信号をデジタル信号に変
換し、この信号から制御CPU114からのタイミング
により各プローブを順次Z方向制御する制御信号を発生
するデジタルサーボ系を構成した。
【0024】図1を用いてマルチプローブのZ方向制御
について詳細に説明する。
【0025】マルチプローブ101を構成する複数のプ
ローブ1011,1012,・・・101nのそれぞれ
は、選択回路102と接続され、各々媒体100に対向
配置されており、両者間にはバイアス電圧が印加されて
いる。選択回路102は制御CPU114からのタイミ
ングにしたがい各マルチプローブ1011〜101nのう
ちのいずれか一本、例えばn番目のプローブを選択す
る。選択されたn番目のプローブにて検出されたトンネ
ル電流信号Inは電圧値変換された後に、A/D変換器
103にてデジタル値In(t)に変換される(tは、
所定のサンプリング時刻)。
【0026】デジタル化されたトンネル電流信号は、対
数変換回路104により、プローブ−媒体間の距離に対
する線形化信号に変換される[図中:logIn
(t)]。対数変換回路104の出力は、サーボ回路の
設定値との比較器105に入力され、誤差信号[図中:
errn(t)]となる。このとき、制御CPU114
は選択しているプローブの番号メモリ111をアドレッ
シングし、メモリ111はプローブ番号に応じた調整量
(g1〜gn)を調整回路106に出力する。
【0027】調整回路106は、比較器105出力er
rn(t)にメモリ111からの調整係数gnを乗じ、
調整誤差信号[:en(t)]とする。107はこの調
整誤差信号をゼロとする距離制御信号[図中:Un
(t)]を生成する制御回路で、具体的にはPI(Pr
oporttional+Integral)制御回路
である。このPI制御回路107はメモリ112,11
3にストアされたサンプリング時刻(t−1)における
距離制御信号及び調整誤差信号データと、サンプリング
時刻(t)における調整誤差信号en(t)から時刻
(t)における新たな距離制御信号Un(t)を生成す
る。同時にメモリ112,113の値を更新する。
【0028】距離制御信号Un(t)は、D/A変換器
108で再びアナログ信号に変換された後、切り替え回
路109により対応する番号のプローブをZ方向に駆動
するアクチュエータ(不図示)に印加される。制御CP
U114は順次選択するプローブを切り替え、全てのプ
ローブのZ方向制御をする。なお、一度アクチュエータ
に信号が印加された後、再び同じアクチュエータに信号
が印加されるまでの間、アクチュエータはフローティン
グ状態になる。この間はアクチュエータの電極間の容量
により制御電圧が保持されており、アクチュエータの変
位は保たれる。上記の103〜108までのディジタル
演算/変換回路は、サンプリング周期に対し、それぞれ
十分に速い速度で動作させてもよいが、それぞれの各演
算毎にデータ保持メモリを設ける、いわゆるパイプライ
ン処理を行ってもよい。パイプライン処理を用いること
によって103〜108の各演算/変換回路は動作周波
数をサンプリング周波数まで低速化できるため、回路の
小型化、低コスト化がはかられる。
【0029】以上のようにして、複数プローブのうち所
定のプローブが選択され、媒体と選択されたプローブ間
に流れるトンネル電流をもとに、選択されたプローブに
応じた調整量により調整された値にしたがって最終的に
選択されたプローブのアクチュエータが駆動されること
によって、媒体とプローブの間の距離が制御される。た
だし、各プローブに応じた調整量は、制御CPU114
に接続された調整量測定回路110により決定される。
【0030】調整量の測定は、測定するプローブを選択
し、制御CPU114の指令に従って上述したように媒
体と選択されたプローブ間の距離制御を実行しながら、
D/A変換器108から出力される距離制御信号Unに
調整量測定回路からZ方向変調信号(△Un)を加算し
たときに同期して得られるトンネル電流の変調成分を調
べることにより行われる。
【0031】図2は、図1に示した制御回路構成図の制
御系をブロック線図表示したものである。
【0032】ここで図1のサーボ制御系はディジタルサ
ーボ系であるものの、通常サンプリング間隔が数μse
cと制御信号帯域に比べ十分低いためアナログサーボ系
と近似して考えてもよい。図2により図1の調整回路の
動作を詳細に説明する。
【0033】Ga(s):200は、マルチプローブの
変位→トンネル電流変換特性を示すブロック、Gb
(s):201は対数変換回路特性を示すブロック、G
c(s):202は調整回路を示すブロック、Gd
(s):203はPI制御回路を示すブロック、Ge
(s):204はマルチプローブのZ駆動素子の電圧→
変位変換特性を示すブロックである。ただしVbはプロ
ーブ媒体間のバイアス電圧、φ1〜φnは各プローブの
仕事関数値、G1(s)〜Gn(s)は各マルチプロー
ブのZ駆動素子の電圧→変位変換特性を示すブロック、
a,Kp,Kiは定数である。
【0034】前述した通り、プローブが複数本ある場
合、Z駆動素子の変位感度やプローブ先端のティップの
感度すなわち仕事関数値はバラつき、仕事関数値φ1〜
φn及びZ駆動素子の電圧→変位変換特性G1(s)〜
Gn(s)は各プローブ毎に異なる。
【0035】このとき図2の閉ループにおいてPI制御
回路203出力Unから対数変換回路201出力のVn
への伝達特性を考えると、 Vn=Gb(s)×Ga(s)×Ge(s)×Un =log10{VB・exp(−a・φn1/2・Gn・Un)} =A・φn1/2・Gn・Un+B (A,Bは定数) と表される。
【0036】すなわち、プローブ毎のφ及びGのバラつ
きは、閉ループ伝達特性のゲインバラつきになり、この
ままPI制御回路203でサーボをかけられると個々の
プローブによってサーボの応答周波数が異なってしま
う。ここで記した応答周波数とは、急激なトンネル電流
変化に対してプローブがどの程度まで追従可能であるか
を示す周波数であり、要するに媒体の凹凸に対するプロ
ーブの追従性を示したものである。ゆえに、その周波数
が高いほど、媒体の急激な凹凸に追従できることを示し
ているため、高い応答周波数が望まれる。しかし、各プ
ローブの性能に対し、適正なゲインを選べば応答周波数
が最大となるが、ゲインが適正値よりも低ければ応答周
波数は低下してしまうし、ゲインが適正値よりも大きけ
れば発振してしまう。このため全てのプローブに対し同
等のサーボをかけた場合、あるプローブではゲイン不足
によって周波数応答性が低下してしまい媒体の凹凸に十
分に追従できなくなってしまったり、あるプローブでは
ゲイン過多により媒体の凹凸部で発振してしまう。これ
により、STM等の表面観察装置などでは真の媒体表面
を観察できなくなったり、記録再生装置においては十分
なJ記録再生が出来なくなってしまう。つまり、個々の
プローブが持つ性能によって最適なゲインを選んでやる
必要が生じてくるわけである。
【0037】そこで、本実施例では調整回路202によ
り各プローブの性能に応じた最適な調整を行い、調整後
の誤差信号をPI制御回路203に入れることで全ての
プローブの制御性能を最大限に引き出した最適な状態で
サーボ制御を行った。
【0038】前述のように調整回路202では、比較器
出力にプローブ毎異なる調整量(:gn)を乗じてい
る。この調整量の測定方法について詳しく説明する。
【0039】まず、全てのプローブからトンネル電流を
検出しトンネル電流が一定になるように媒体と各プロー
ブの距離制御を行うよう閉ループでサーボをかける。た
だし、このとき調整回路は動作することなく全てのプロ
ーブに対し同一のゲインが乗じられるよう設定されてい
る。距離制御を実行している状態で制御CPU114か
ら調整量測定回路110を通じて、Z方向変調信号(△
Un)をD/A変換器108から出力される距離制御信
号Unに加算してプローブのZ方向を変調する。このと
き各プローブからの対数変換回路出力(ΔVn)をモニ
タし、各プローブについてPI制御出力Unから対数変
換回路出力の伝達特性Gmulti=ΔVn/ΔUnを求め
る。次に、Z方向変調信号(△Un)の周波数を変化さ
せることにより、伝達特性Gmultiの周波数応答性を調
べる。さらに、前述のゲインを変化させて、各ゲインに
対する伝達特性Gmultiの周波数応答性を調べ、応答周
波数が最大となりなおかつ発振しないようなゲインを測
定し各プローブの調整量(:gn)を決定している。
【0040】図3は本発明による情報処理装置であり、
上記のような制御回路およびマルチプローブを備えた記
録再生装置の構成を示す図である。
【0041】301はマルチプローブヘッドであり、マ
ルチプローブヘッド301の作成について図4を用いて
説明する。
【0042】図4(a)は、マルチプローブヘッドの一
本のプローブ構造を示す図であり、図4(b)は、図4
(a)中A−Bの断面図である。
【0043】図中、401はSi基板、402,408
はSiNx層、403,405,407は駆動用電極、
404,406は圧電体薄膜、409はプローブ先端の
ティップ、410はティップ用電極である。
【0044】このカンチレバーは、バイモルフ構造を有
し逆圧電効果により電圧印加で変位する。以下にその作
製行程を記す。
【0045】まず、Si(100)基板(厚さ0.5μ
m)上に、CVD法によりSi34膜を0.15μmの
厚さに成膜した。使用した原料ガスはSiH212:N
3(1:9)であり、基板温度800℃であった。次
に、フォトリソグラフィー及びCF4ドライエッチング
により、Si34を所望の形状にパターニングした。続
いてCr0.0lμm,Au0.09μmを成膜し、フ
ォトリソグラフィー及びウェットエッチングによりパタ
ーニングした。
【0046】次に、スパッタ法で圧電体薄膜AlNを
0.3μm成膜した。ターゲットはAlを用い、Ar+
2雰囲気でスパッタした。さらにフォトリソグラフィ
ーとAl用エッチング液によるウェットエッチングでパ
ターニングした。その後、上記工程を繰り返し、結局S
i基板−Au/Cr−AlN−Au/Cr−AlN−A
u/Crのバイモルフ構造を形成した。さらに保護層と
してアモルファスSiNを0.15μmCVD法により
成膜した。その後、タングステン(W)ティップを蒸着
法で作製した後、KOHによるSiの異方性エッチング
を用いて、Si34がついていない部分を除去し、カン
チレバーを作製した。最後にWティップをPtコーティ
ングした。一本のカンチレバーの寸法は、長さ700×
幅230μmでZ方向の共振周波数3.3kHz,1V
印加時のバイモルフの平均変位量は1.75μmであっ
た。このカンチレバー型プローブを5×5ケ、計25個
マトリックス状に作製し、さらにSiウェハ上のカンチ
レバー型プローブ近傍にICプロセスを用いてトンネル
電流検出アンプを構成しマルチプローブヘッド301
(図3参照)とした。このとき光学的手法で25本のプ
ローブの変位感度を測定したところ約20%のバラつき
が存在し、やはり各プローブの性能が異なってしまって
いることがわかった。
【0047】再び図3にもどり本実施例の記録再生装置
について説明する。302は記録媒体であり、これに接
近してマルチプローブヘッド301が対向している。マ
ルチプローブヘッド301はZ方向の微動機構であるZ
方向アクチュエータ303に取り付けられている。30
4は各プローブ毎のデータ入出力とZ方向制御を行う制
御回路であり、Z方向アクチュエータ303は制御回路
304が発生するアクチュエータ制御信号S31によっ
て制御される。
【0048】記録再生時、マルチプローブヘッド301
と記録媒体302の間にバイアス電圧を印加した状態で
Z方向アクチュエータ303を傾きを調整しながら動か
し、全てのプローブからトンネル電流が流れる程度まで
マルチプローブヘッド301を記録媒体302に近づけ
る。さらに、図1で詳細を説明した制御回路304に具
備されたZ方向制御回路により全てのプローブと対向す
る記録媒体302間の距離を一定とするようにサーボを
かける。この状態でXY走査回路305はXY走査信号
S32を発生する。XY走査信号S32は、記録媒体3
02の載ったステージ308をそれぞれX方向、Y方向
に駆動するX方向アクチュエータ306およびY方向ア
クチュエータ307に印加され、記録媒体302を2次
元に走査する。このとき、記録媒体302の表面の微小
な凹凸により変化するトンネル電流が検出される。検出
されたトンネル電流を制御回路305に取り込み、XY
走査信号S32に同期させて処理することで25本のプ
ローブからの各種データ情報が得られる。
【0049】記録媒体302として、電圧電流のスイッ
チング特性に対し、メモリ効果をもつ材料を基板上に形
成したものを用いた。本実施例では、ガラスや雲母等の
平坦な基板上に金をエピタキシャル成長させた基板を用
意し、この基板上に電圧電流のスイッチング特性に対し
メモリ効果をもつ材料としてスクアリウム−ビス−6−
オクチルアズレンを用い、ラングミュア・ブロジェット
法(LB法)により、単分子膜2層の累積膜を基板電極
上に形成した。また記録媒体302上には凹状の溝もし
くは表面電子状態の異なるトラッキングパターン312
が刻まれている。そしてプローブのトンネル電流変化か
らトラッキングパターンエッジ位置をトラッキング制御
回路309で検出し、トラッキングずれをトラッキング
アクチュエータ310で調整する。
【0050】この記録再生装置を用い、以下のように記
録再生の実験を行った。
【0051】マルチプローブヘッド301と記録媒体3
02の間にバイアス電圧を100mV印加し、この状態
でZ方向アクチュエータ303により全てのプローブか
らトンネル電流が流れる程度までマルチプローブヘッド
301を記録媒体302に近づける。さらに制御回路3
04中にあり図1で詳細を説明したZ方向制御回路によ
り全てのプローブと対向する記録媒体間の距離を一定と
するようにサーボをかけておく。この状態でXY走査回
路305はXY走査信号S32を発生する。XY走査信
号S32はX方向アクチュエータ306およびY方向ア
クチュエータ307に印加され、記録媒体302が載置
されたステージ308を2次元に走査する。
【0052】記録は以下のように行った。全てのプロー
ブから1nAのトンネル電流が流れる程度までサーボを
かけ、近づけておく。この状態で記録媒体302の所望
の位置までプローブを移動後、バイアス電圧を変調し、
6Vのパルス電圧をプローブと記録媒体302の間に印
加すると、瞬間的に約0.1μAの電流が流れる大きさ
10nmφのビットが形成(記録)され、パルス電圧の
印加後、走査を行ったところ、その状態を保持した(再
生)。そこでこの低抵抗状態にあるビットを”1”に対
応づけ、高抵抗状態の”0”と区別する。そして記録デ
ータに符号器で”0””1”のデータへのコード化を行
い2値化記録再生を行った。
【0053】本実施例においてZ方向制御回路でマルチ
プローブヘッド301からのトンネル電流信号を調整し
てZ方向制御を行った。Z方向制御を行うたM調整デー
タはメモリ311に格納し、図1でい説明したようなZ
方向制御を行った。本実施例においては調整データを得
るために、記録再生に先立って記録媒体に流れるトンネ
ル電流によりサーボをかけ、プローブをZ方向に変調し
た(△Un)時の各プローブからの対数変換回路出力
(△Vn)をモニタし伝達特性Gmulti=ΔVn/ΔU
nの周波数応答性を調べた。さらに、各プローブのゲイ
ンを変化させてGmultiの応答周波数が最大となりなお
かつ発振しないようなゲインを測定し各プローブの調整
量(:gn)を求めた。
【0054】以上のような方法により、記録媒体のトラ
ッキングパターン312にあわせて各プローブをトラッ
キングしながら記録媒体にビット形成を行って連続記録
し、その後記録部の再生を行った。その結果、記録媒体
に初期から存在するステップ等の凹凸付近でも記録再生
が可能であり、記録媒体の凹凸に各プローブが十分に追
従できるように各プローブが最適な状態で制御されてい
ることがわかった。
【0055】なお、本発明のような調整を行わず全ての
プローブで同一のゲインによりZ方向の距離制御を行い
ながら上記方法で記録再生を実行した結果、ある一部の
プローブでは記録媒体に存在するステップ等の凹凸付近
においてうまく記録再生が行われなかった。すなわち、
本発明の調整回路を用いない場合、あるプローブでは記
録媒体の凹凸に追従できておらず、一部のプローブにお
ける制御が十分ではないことが示された。
【0056】本発明の記録再生装置を用いることによ
り、復数本のプローブを有するマルチプローブヘッドを
小型制御回路で制御し、全てのプローブの制御性能を最
大限に引き出した良好な記録再生が可能となった。
【0057】また、本実施例で示した方法により長時間
連続して記録再生を実行していたところ、プローブ自身
の性能が変化してしまうことにより、ある一部のプロー
ブで記録媒体に存在するステップにより凹凸にうまく追
従できなくなり、部分的に記録データの再生が不可能と
なってしまうという事態が発生した。しかし、本実施例
の調整量測定回路を再度動作させ、各プローブの最適な
調整量を再測定し、その調整量に基づいて調整しながら
上記記録再生を行ったところ、初期と同じ程度の記録再
生性能が得られた。
【0058】すなわち、本発明の記録再生装置は調整量
測定回路を装置内に具備しているため、各プローブ性能
の変化にも即座に対応することができ、常に全てのプロ
ーブの制御性能を最大限に引き出した良好な記録再生が
可能となる。また、このことはマルチプローブヘッドを
交換したときも同様の測定を行うことにより簡単に全プ
ローブ性能を最大限に引き出して使用することが可能で
ある。
【0059】[実施例2]図5は、本発明の第2の実施
例における情報処理装置である記録再生装置のマルチプ
ローブ制御回路の構成例を示す図である。本実施例で
は、図3に示した記録再生装置の制御回路中のZ方向制
御系のみ図5に示した制御回路に置き換えて記録再生を
行った。また、記録媒体及びマルチプローブヘッド等も
実施例1と同じものを用いた。
【0060】図5に示した制御回路は、バイアス電圧変
調により調整量を測定する手段を具備した調整量測定回
路510以外は図1で示した実施例1の調整回路と全く
同じものであり、選択回路、調整回路、PI制御回路お
よび切り替え回路等は実施例1と同様に動作する。
【0061】以下に、本実施例の特徴である調整量測定
回路510について説明する。
【0062】本実施例においては調整量を得るために、
記録再生に先立って記録媒体に流れるトンネル電流によ
りサーボをかけ、バイアス電圧を変調したときに流れる
トンネル電流に基づいて出力されるZ方向変調信号の周
波数応答性を調べている。
【0063】具体的には、まず制御CPU114によっ
て全てのプローブからトンネル電流を検出しトンネル電
流が一定になるように媒体と各プローブの距離制御を行
うよう閉ループでサーボをかける。ただし、この時調整
回路は動差することなく全てのプローブに対し同一のゲ
インが乗じられるよう設定されている。距離制御を実行
している状態で制御CPU114から調整量測定回路5
10を通じて、バイアス電圧を変調する(△Vb)。こ
のとき各プローブからのトンネル電流信号、対数変換回
路出力、さらにPI制御出力(△Un)をモニタし、各
プローブについてバイアス電圧VbからPI制御出力U
nの伝達特性Gmulti2=ΔUn/ΔVbを求めた。次
に、バイアス電圧変調信号(△Vb)の周波数を変化さ
せることにより、伝達特性Gmulti2の周波数応答性を調
べた。さらに、前述のゲインを変化させて、各ゲインに
対する伝達特性Gmulti2の周波数応答性を調べ、応答周
波数が最大となりなおかつ発振しないようなゲインを測
定し各プローブの調整量(:gn)を決定した。
【0064】以上のような方法により最適な調整量で各
プローブを調整しながら実施例1と同様に記録再生実験
を行った結果、記録媒体に初期から存在するステップ等
の凹凸付近でも記録再生が可能であり、記録媒体の凹凸
に各プローブが十分に追従できるように各プローブがい
最適な状態で制御されていることがわかった。
【0065】すなわち、本実施例の記録再生装置を用い
ることにより、復数本のプローブを有するマルチプロー
ブヘッドを小型制御回路で制御し、全てのプローブの制
御性能を最大限に引き出した良好な記録再生が可能とな
った。
【0066】[実施例3]図6は、図1で示した制御回
路およびマルチプローブを備えた走査型トンネル顕微鏡
(STM)の一つの実施形態の構成図である。
【0067】601はマルチプローブヘッドであり、実
施例1で説明したマルチプローブヘッドと同様の構成か
らなる。602は観察する試料であり、これに接近して
マルチプローブヘッド601が対向している。マルチプ
ローブヘッド601は微動機構であるアクチュエータ6
03、さらに構造体609に取り付けられている。アク
チュエータ603は制御回路605が発生するアクチュ
エータ制御信号S61によって制御される。
【0068】表面観察時、マルチプローブヘッド601
と試料602の間にバイアス電圧を印加した状態でアク
チュエータ603を傾きを調整しながら動かし、全ての
プローブからトンネル電流が流れる程度までマルチプロ
ーブヘッド602を試料602に近づける。さらに、図
1で示したZ方向制御回路604により全てのプローブ
と対向する試料602間の距離を一定とするようにサー
ボをかける。この状態で制御回路605はXY走査信号
A62を発生する。XY走査信号A62は、構造体60
9に取り付けられたXY走査機構610に印加され、試
料602の載った基台607を2次元に走査する。この
とき、試料602の表面の微妙な凹凸により変化するト
ンネル電流が検出される。検出されたトンネル電流を制
御回路605に取り込み、XY走査信号S62に同期さ
せて処理することで25本のプローブからのSTM像が
得られた。
【0069】さらに、STM像は二次元FFT等の画像
処理を行い、25全画面分を合成してディスプレイ60
8に表示した。また観察場所を変えるときには、図示せ
ぬXY粗動機構により試料をXY方向に移動させ、所望
の領域にマルチプローブヘッド601を移動して観察を
行った。
【0070】本実施例においてもZ方向制御回路604
でマルチプローブヘッド601からのトンネル電流信号
を調整してZ方向制御を行っている。Z方向制御を行う
ための調整データはメモリ611に格納し、図1で説明
したようなZ方向制御を行った。本実施例においては調
整データを得るために、試料の表面観察に先立って、広
い面積にわたって平坦なHOPG,Si等の標準試料に
マルチプローブを対向させ、全てのプローブから検出さ
れるトンネル電流に基づき各プローブと試料の距離が一
定となるように制御回路605でサーボをかけた。ここ
で、プローブをZ方向に変調した(△Un)時の各プロ
ーブからの対数変換回路出力(△Vn)をモニタし伝達
特性Gmulti=ΔVn/ΔUnの周波数応答性を調べ
た。さらに、各プローブのゲインを変化させてGmulti
の応答周波数が最大となりなおかつ発振しないようなゲ
インを各プローブについて測定した。その後、各プロー
ブから得られるSTM像の高さを補正するために、各プ
ローブの伝達特性Gmultiと調整量(:gn)を乗じた
値TGn=Gmulti×gnが最小となるプローブを探
し、その最小値と他のプローブのTGnが合致するよう
に各プローブの調整量(:gn’)を補正し、この
値(:gn’)を調整回路での調整量とした。
【0071】以上のようなSTMを用いて像観察を行っ
た結果、各プローブの変位感度バラつきを補正する状況
下で最適のZ方向制御を行いながら、全てのプローブか
ら同じようにSTM像が得られた。
【0072】本発明の走査型トンネル顕微鏡を用いるこ
とにより、復数本のプローブを有するマルチプローブヘ
ッドを小型制御回路で制御し、広い面積の試料を短時間
で表面観察を行うことが可能となった。
【0073】[実施例4]図7は、図1で示した制御回
路およびマルチプローブを備えた走査型トンネル顕微鏡
(STM)の一つの実施形態例の構成図であり、実施例
3で使用したSTMに画像補正回路701を付加したも
のである。
【0074】本実施例におけるSTMは、基本的に実施
例3のSTMと同様の動作をするが、制御回路605中
の調整量測定回路において調整量を決定する部分と各プ
ローブから得られる画像を画像補正回路701により補
正を行う点に特徴がある。
【0075】実施例においても、実施例3と全く同様の
方法で調整量の測定を行った。すなわち、プローブをZ
方向に変調した(△Un)時の各プローブからの対数変
換回路出力(△Vn)をモニタし伝達特性Gmulti=Δ
Vn/ΔUnの周波数応答性を調べ、さらに、各プロー
ブのゲインを変化させてGmultiの応答周波数が最大と
なりなおかつ発振しないようなゲインを各プローブにつ
いて測定した。ただしここでは、このようにして得られ
たゲインを各プローブの調整量(:gn)として決め、
この調整量に基づいて各プローブのZえ方向制御時の調
整を行いながら各プローブから試料表面の観察像を得て
いる。ただし、このままの状態で観察像を合成した場
合、各プローブの変位感度バラつきに起因する高さバラ
つきを含んだ広域観察像となってしまうため、本実施例
では画像補正回路を用いて画像データの補正を行ってい
る。各プローブの変位感度バラつきを補正するために
は、最終的に各プローブの伝達特性Gmultiが全てのプ
ローブで等しくなっているように画像データを補正して
おけばよいわけである。すなわち本画像補正回路では、
表面観察実行中における各プローブでの調整量gnを乗
じたあとの伝達特性の値を基に、全てのプローブでの伝
達特性を等しくするための補正量hnを算出しておき、
各プローブから得られた画像データに前述の補正量hn
を乗じることで補正を行っている。
【0076】以上のようなSTMを用いて像観察を行っ
た結果、各プローブで最適なZ方向制御を行いながら、
なおかつ各プローブの変位感度バラつきを補正して、全
てのプローブから同じ用にSTM像が得られた。
【0077】すなわち、本発明の走査型トンネル顕微鏡
を用いることにより、複数本のプローブを有するマルチ
プローブヘッドを小型制御回路で制御し、広い面積の試
料を短時間で表面観察を行うことが可能となった。
【0078】[実施例5]実施例2で用いたバイアス電
圧変調により調整量測定回路を用いた以外はまったく実
施例4と同じSTMを使用して試料の表面観察を行っ
た。
【0079】その結果、実施例4と同様に、各プローブ
で最適なZ方向制御を行いながら、なおかつ各プローブ
の変位感度バラつきを補正して、全てのプローブから同
じようにSTM像が得られ、本実施例の方法でも、複数
本のプローブを有するマルチヘッドを小型制御回路で制
御し、広い面積の試料を短時間で表面観察を行うことが
可能となった。
【0080】本発明で用いたカンチレバーは、AlN,
ZnO等の圧電体薄膜、金属膜の薄膜を積層しているた
め、数Vの電圧印加により電圧破壊を起こしやすく、容
易に静電気や帯電等で圧電体薄膜の破壊を招いていた。
本実施例のようにサーボ系の入力部でゲイン調整を行う
場合、アクチュエータを絶縁破壊させることなく複数の
プローブを制御できるという実施例特有の効果がある。
【0081】なお本発明では、Z方向アクチュエータと
して圧電体の逆圧電効果を利用したカンチレバー型アク
チュエータを用いたが、アクチュエータは、これに限定
されることなく、例えば静電力を用いたものでも良い。
またSTMに代わり、マルチプローブを有する電子間力
顕微鏡(AFM)を用いて、プローブの弾性定数バラつ
きを調整する回路を有するプローブ−試料間の距離制御
回路に応用しても良い。
【0082】さらに本発明では、調整回路としてZサー
ボ回路の閉ループゲインを調整する回路を構成したが、
単なるゲイン調整だけでなく、制御対象であるアクチュ
エータの機械的Q値のバラつきによる変位の過渡特性を
調整するフィルタ回路、位相補償等の調整回路を構成し
ても良い。また、カンチレバーの反りのバラつきを調整
するため108のD/A変換器の入力に各カンチレバー
の反り量に対応するオフセット値を重畳し調整する回路
を設けてもよい。
【0083】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、請求項10に記載の方法で制御することによ
り以下に示すような効果を奏する。
【0084】請求項1乃至請求項7のそれぞれに記載の
ものにおいては、異なる性能を有する複数のプローブの
性能およびその性能変化に対応しながら常に各プローブ
の最大限の性能を発揮させ、複数のプローブを用いて安
定な位置制御を行うことができる小型の情報処理装置を
実現出来る。
【0085】請求項8および請求項9に記載のものにお
いては、上記効果を奏する走査型プローブ顕微鏡を実現
することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるマルチプローブ
の制御回路の構成例を示す図である。
【図2】図1に示した制御回路構成図の制御系をブロッ
ク線図表示したものである。
【図3】図1および図2に示した制御回路およびマルチ
プローブを備えた情報処理装置である記録再生装置の一
つの実施形態の構成を示す図である。
【図4】(a)は、マルチプローブヘッドの一本のプロ
ーブ構造であり、(b)は、(a)中A−Bの断面図で
ある。
【図5】本発明の第2の実施例におけるマルチプローブ
の制御回路の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施例におけるSTMの構成図
である。
【図7】本発明の第4の実施例におけるSTMの構成図
である。
【符号の説明】
100 媒体 101 マルチプローブ 102 選択回路 103 A/D変換器 104 対数変換回路 105 比較器 106 補正回路 107 PI制御回路 108 D/A変換器 109 切り替え回路 110,510 調整量測定回路 111〜113 メモリ 114 制御CPU 301 マルチプローブヘッド 302 記録媒体 303 Z方向アクチュエータ 304 制御回路 305 XY走査回路 306 X方向アクチュエータ 307 Y方向アクチュエータ 308 ステージ 309 トラッキング制御回路 310 トラッキングアクチュエータ 311 メモリ 312 トラッキングパターン 601 マルチブローブヘッド 602 試料 603 アクチュエータ 604 Z方向制御回路 605 制御回路 607 基台 608 ディスプレイ 609 構造体 610 XY走査機構 611 メモリ 701 画像補正装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山野 明彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 紫藤 俊一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 畑中 勝則 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向配置された複数本のプローブと媒体
    との間に物理現象により生じる信号を用いて記録情報の
    再生を行う情報処理装置において、 前記複数のプローブのうちの所定のプローブを順次選択
    する選択回路と、 前記選択回路により選択された所定のプローブと前記媒
    体との間に生じる信号を検出する信号検出回路と、 前記選択回路により選択されたプローブに対応して前記
    信号検出回路の出力を調整する調整回路と、 前記調整回路信号出力に基づいて前記選択回路により選
    択されたプローブと媒体間の位置を制御する信号を発生
    する制御回路と、 前記複数のプローブについてそれぞれ設けられ、各プロ
    ーブを移動させて前記媒体との距離を変える複数のアク
    チュエータと、 前記制御回路の出力信号を前記選択回路により選択され
    たプローブに対応して設けられたアクチュエータに印加
    する切り替え回路と、 前記選択回路、制御回路および切り替え回路の一連の動
    作が実行されている間に各プローブ毎の調整量を測定す
    る調整量測定回路と、 前記選択回路、制御回路、切り替え回路および調整量測
    定回路における選択動作、調整動作、切り替え動作およ
    び調整量測定動作を制御する制御装置とを有することを
    特徴とする情報処理装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の情報処理装置において、 調整回路が各プローブに対応したゲイン調整を行うこと
    を特徴とする情報処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の情報処
    理装置において、 調整回路が各プローブに対応した調整を行うための各プ
    ローブに対応した調整量をストアするメモリを有するこ
    とを特徴とする情報処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の情報処理装置において、 各プローブを対向する媒体との距離を変化させ、この時
    プローブより検出される信号に基づいて各プローブ毎の
    調整量を測る手段を調整量測定回路が具備することを特
    徴とする情報処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の情報処理装置におい
    て、 前記調整量測定手段が、前記距離の変化に対する前記検
    出信号の変化の周波数応答性が最大となるように各プロ
    ーブ毎の調整量を測定する手段であることを特徴とする
    情報処理回路。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の情報処理装置において、 各プローブと対向する媒体との間に印加する電圧を変化
    させ、この時制御回路から出力される制御信号に基づい
    て各プローブ毎の調整量を測定する手段を調整量測定回
    路が具備することを特徴とする情報処理回路。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の情報処理装置におい
    て、 前記調整量測定手段が、前記電圧の変化に対する前記制
    御信号の変化の周波数応答性が最大となるように各プロ
    ーブ毎の調整量を測定する手段であることを特徴とする
    情報処理回路。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載
    の情報処理装置を有することを特徴とする走査型プロー
    ブ顕微鏡。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の走査型プローブ顕微鏡
    において、 前記複数プローブから得られる画像を、各プローブ毎に
    得られる補正量に基づいて補正を行う画像補正回路を有
    することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  10. 【請求項10】 対向配置された複数本のプローブと媒
    体との間に物理現象により生じる信号を用いて記録情報
    の再生を行う時の複数プローブ制御方法において、 前記複数のプローブのうちの所定のプローブを順次選択
    し、前記選択された所定のプローブと前記媒体との間に
    生じる信号を、前記選択されたプローブの周波数応答性
    能が最大になるよう調整し、前記調整信号に基づいて前
    記選択されたプローブと媒体間の位置を制御することを
    特徴とする複数プローブ制御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006085382A (ja) * 2004-09-15 2006-03-30 Mitsutoyo Corp 測定制御系における制御回路の制御パラメータ補正方法および測定装置
CN107907712A (zh) * 2017-11-08 2018-04-13 中国科学院物理研究所 用于多探针stm的分时复用控制装置及包括其的多探针stm

Cited By (3)

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CN107907712B (zh) * 2017-11-08 2019-10-25 中国科学院物理研究所 用于多探针stm的分时复用控制装置及多探针stm

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