JPH06195743A - 光学ヘッド装置 - Google Patents

光学ヘッド装置

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JPH06195743A
JPH06195743A JP5224367A JP22436793A JPH06195743A JP H06195743 A JPH06195743 A JP H06195743A JP 5224367 A JP5224367 A JP 5224367A JP 22436793 A JP22436793 A JP 22436793A JP H06195743 A JPH06195743 A JP H06195743A
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light beam
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功 星野
Akiko Wachi
晶子 和智
Yoshinori Motomiya
佳典 本宮
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Abstract

(57)【要約】 【目的】光ビームの照射により少なくとも情報の記録を
行う光学ヘッドで、光学系の簡略化を図ると共に信頼性
の高い小形な光学ヘッド装置を提供する。 【構成】非等方性のビーム形状を有する光ビームを出射
する光源1と、光源1からの光ビームを光ディスク13
の記録面に集束照射し、かつ該記録面からの反射光を往
路と逆方向に通過させる対物レンズ5と、光源1から対
物レンズ5に至る光路中に配置されたコリメーティング
レンズ2と、コリメーティングレンズ2から対物レンズ
5に至る光路中に配置され、光源1からの光ビームを等
方性のビーム形状に整形し、かつ対物レンズ5を通過し
た後の反射光を往路と逆方向に通過させるビーム整形プ
リズム3と、反射光を検出するための光検出器7,8
と、ビーム整形機能プリズム3を通過した反射光を往路
の光ビームと異なる方向に偏向して光検出器7,8へ導
くためのホログラフィック素子6を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば光ディスクや
光カードなどの光記録媒体に光ビームを照射して情報の
記録または再生あるいはその両方を行うための光学ヘッ
ド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光学ヘッド、例えばオーディオ信号など
をディジタル化して記録した、複製技術によって大量に
作られるコンパクトディスク(CD)などの再生専用の
光ディスクに使用される光学ヘッドは、小型オーディオ
機器などへの適用から、光学素子の数が少なく小形であ
ることが要求されている。このような再生専用の光学ヘ
ッドは、光学素子の数を少なくするために、素子の省略
や送光・受光光学系の光学素子を兼用することに主眼を
おいて作られている。そのため、光ディスク上の情報の
読取りには、光源からの出射光のうちほんの僅かしか使
われていない。
【0003】特開平2−185722には、このような
再生専用の光学ヘッドの例が示されている。この光学ヘ
ッドでは、対物レンズで光源から記録媒体上に結像する
光スポットが小さくなるように結像倍率を4〜5倍に設
定するので、光源の光利用率が小さい。従って、この再
生専用の光学ヘッドを光ビームの照射により情報の記録
を行う光学ヘッドとして使用するには、非常に大きな光
出力の光源が必要となる。このため、光源の入手が困難
になると共に、光源の大出力化に伴って光学ヘッドの大
形化・高価格化を招くことになる。
【0004】光学系の簡略化と光利用率がこのようにト
レードオフの関係にあることを、もう少し詳しく説明す
る。光学ヘッドにおける焦点誤差検出系の検出特性は、
対物レンズと検出系レンズの焦点距離の2乗比で表され
る縦倍率で、ほぼ決まってしまう。再生専用の光学ヘッ
ドでは、光の利用率を犠牲にしてコリメーティングレン
ズに焦点距離が長いものを使い、コリメーティングレン
ズを検出系レンズと兼用している。
【0005】一方、記録・再生用の光学ヘッドでは、光
の利用率が高くないと光源の光出力に一層大きなものが
要求されるので、比較的大きい開口数のコリメーティン
グレンズとビーム整形プリズムを組合わせて光の利用率
を高くし、ディスク面で円形の微小スポットを達成して
いる。そのため、コリメーティングレンズと検出系レン
ズを兼用することができない。検出系は焦点距離の長い
検出系レンズと光検出器で構成され、送光系(光源、コ
リメーティングレンズ、ビーム整形プリズムなどで構成
される)とは分離して設置される。これが再生専用の光
学ヘッドは簡素な構成で軽薄短小であるの対して、記録
・再生用の光学ヘッドは複雑な構成で重厚長大になって
いる所以である。特開平2−276046には、このよ
うな記録・再生用の光学ヘッドの例が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、再生
専用の光ディスクに使われる光学ヘッドは、光学系の簡
略化が図られて小形化を実現しているが、情報の記録を
するには光利用率が低いために光源の大出力化が必要に
なる。そのため、光学ヘッドの大形化・高価格化を招
き、小形であると言う効果から逸脱してしまう。
【0007】一方、情報の記録を行う光メモリに使われ
ている従来の光学ヘッドは、送光系と検出系がそれぞれ
独立に構成されるために、光学素子の数が多く複雑な構
成になっており、重厚長大であるという問題があった。
【0008】本発明は、光ビームの照射により少なくと
も情報の記録を行うための光学ヘッドであって、送光系
と検出系とで光学素子を共用して光学系の簡略化を図る
と共に信頼性の高い小形な光学ヘッド装置を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の光学ヘッド装置
では、光源から対物レンズに至る光路中にコリメーティ
ングレンズとビーム整形素子を配し、光記録媒体の記録
面で反射した光は、往路とは逆に対物レンズとビーム整
形素子を通過した後、往路と異なる方向に光路が分離さ
れて光検出器で検出される。この光検出器の出力に基づ
いて、記録面上の光スポットの位置を制御(フォーカス
制御、トラッキング制御)する制御信号の生成や記録さ
れた情報信号を検出する構成とする。
【0010】すなわち、本発明に係る光学ヘッド装置
は、非等方性のビーム形状を有する光ビームを出射する
光源と、前記光源から出射される光ビームを光記録媒体
の記録面に集束照射し、かつ該記録面からの反射光を前
記光ビームの進行方向と逆方向に通過させる対物レンズ
と、前記光源から前記対物レンズに至る光路中に配置さ
れ、前記光ビームをほぼ平行光束にするためのコリメー
ティングレンズと、前記コリメーティングレンズから前
記対物レンズに至る光路中に配置され、前記光ビームを
等方性のビーム形状に整形し、かつ前記対物レンズを通
過した後の前記反射光を前記光ビームの進行方向と逆方
向に通過させるビーム整形機能素子と、前記反射光を検
出するための少なくとも一つの光検出器と、前記ビーム
整形機能素子を通過した前記反射光を前記光ビームの進
行方向と異なる方向に偏向して前記光検出器へ導く偏向
素子とを備えることを特徴とする。
【0011】より具体的には、ビーム整形機能素子は光
源からの光ビームを拡がり角の小さい方向に拡大するこ
とによって等方性のビーム形状に整形し、光検出器はフ
ォーカス誤差検出等のために、光記録媒体からの反射光
の該方向におけるビーム径の変化を検出し得るように構
成される。
【0012】また、ビーム整形機能素子は内部に反射面
を有するものでもよく、例えば光ビームが入射される第
1の面と、この第1の面から入射した光ビームを反射さ
せる第2の面と、この第2の面で反射した光ビームを該
ビーム整形機能素子の外部へ出射する第3の面とを有
し、前記第1および第3の面の少なくとも一方が前記光
ビームを等方性のビーム形状に整形する機能を有するも
のとする。
【0013】
【作用】記録機能を有する光ヘッド装置では、光源から
の出射光を効率良く記録面に集光して、小さな出力の光
源で記録面の温度上昇がより大きくなる構成であること
が要求される。この要求に対して、本発明では従来と同
様にコリメーティングレンズとビーム整形素子を配して
高効率な送光光学系を構成する。
【0014】この送光光学系に対して、光記録媒体の記
録面からの反射光を送光時とは逆方向に光源へと導くよ
うにすると、ビーム整形素子による光ビーム形状の整形
(整形は、往路で拡大を行うときは復路では縮小を行
う)方向に対しては、見掛上コリメーティングレンズの
焦点距離がビーム整形倍率(拡大/縮小率)に相当する
倍率で長くなる。
【0015】ここで、ビーム整形作用を受ける方向は、
光源の出射光の拡がり角の小さい方向に対応しており、
これと同方向の反射光のビーム径変化を光検出器で検出
して焦点誤差を得るようにすると、コリメーティングレ
ンズの焦点距離よりも長い焦点距離のレンズで検出をし
ていることと同じになる。従って、検出系の集光レンズ
として、焦点距離が短いコリメーティングレンズを兼用
しても高い検出倍率(検出系の集光レンズと対物レンズ
の焦点距離の比の2乗)が得られ、安定な検出ができる
ことになる。
【0016】また、本発明ではヘッドのほとんどの部分
が送受共通の光路であり、送光時と受光時とで光学素子
を兼用しているので、光学素子の数が低減される。これ
により、総じて、信頼性が高く小形で低コストの光学ヘ
ッド装置が得られる。
【0017】さらに、本発明の好ましい態様によれば、
光路変換用の反射鏡とビーム整形用のプリズムの機能が
内部に反射面を持つ複合化された一つのビーム整形機能
素子で実現される。この構成によると、ビーム整形機能
素子を2つの個別な光学素子で構成する場合に比べる
と、光学ヘッド装置の小形化にさらに有利となる。
【0018】以下、図面を参照して本発明の実施例を説
明する。 (第1の実施例)図1は、本発明の第1の実施例に係る
光学ヘッド装置の構成を示したものであり、光源1、コ
リメーティングレンズ2、ピーム整形プリズム3、ミラ
ー4、対物レンズ5、ホログラフィック素子6、光検出
器7,8、増幅器9、演算回路10、レンズアクチュエ
ータ駆動回路11およびフォーカス駆動コイル12を備
えている。この光学ヘッド装置に対向して、光記録媒体
である光ディスク13が配置されている。
【0019】光源1は、例えば半導体レーザのようなレ
ーザ光源であり、非等方性のビーム形状の光ビームを出
射する。この光ビームは、まずコリメーティングレンズ
2で平行光束とされ、さらにビーム整形プリズム3で非
等方なビーム形状が等方形状に整形された後、ミラー4
で立ち上げられて対物レンズ5に導かれ、ここで集光さ
れて光ディスク13の記録面上に集束照射されることに
より、微小ビームスポットを形成する。
【0020】光ディスク13の記録面で反射した光は、
対物レンズ5、ミラー4、ビーム整形プリズム3および
コリメーティングレンズ2を往路、すなわち光ディスク
13への入射光ビームの経路とは逆方向に通った後、偏
向素子であるホログラフィック素子6によって回折され
ることにより、入射光ビームと異なる方向に偏向され
る。このホログラフィック素子6で回折した光の(+)
と(−)の回折光は、光源1を挾んで光源1とほぼ同じ
面(光軸に垂直な面)上に設置された二つの光検出器
7,8で受光される。
【0021】光検出器7,8の出力信号は、それぞれ増
幅器9で適当なレベルまで増幅された後、演算回路10
に入力される。この演算回路10で光検出器7,8の出
力信号に演算が施されることにより、焦点誤差信号(S
f)、トラッキング誤差信号(St)および再生情報信
号(Si)が生成される。
【0022】焦点誤差信号は、レンズアクチュエータ駆
動回路11を介してフォーカス駆動コイル12に供給さ
れ、コイル12の電流を制御する。これにより対物レン
ズ5がフォーカス方向(対物レンズ5の光軸方向)に制
御され、光ディスク13に対する光ビームスポットの焦
点位置を制御する。
【0023】この光学ヘッド装置の特徴は、光ディスク
13の記録面で反射した光が、ビーム整形プリズム3を
往路とは逆向きに通って、再びコリメーティングレンズ
2に戻っていることにある。ビーム整形プリズム3は、
送光時は入射光ビームの一軸方向のみを拡大する機能を
持っている。図2に、ビーム整形プリズム3のコリメー
ティングレンズ2と併せた光学特性を示す。
【0024】図2(a)は、光源1の半導体レーザの活
性層1aと平行な面の光学系(コリメーティングレンズ
2およびビーム整形プリズム3)の断面を示す。半導体
レーザの出射光は非等方的であり、拡がり角が小さい活
性層1aと平行な方向がビーム整形プリズム3で拡大さ
れる。図2(b)は、図2(a)に示す光学系と等価的
な光学系を示したものである。
【0025】コリメーティングレンズ2の焦点距離をf
CL、ビーム拡大率をMとすると、図2(a)の光学系は
(fCL*M)の焦点距離のレンズがあるのと等価にな
る。一方、光源1の半導体レーザの活性層1aに垂直な
面の光学系の断面は図2(c)に示すようになり、この
方向ではビーム整形プリズム3の作用を受けないので、
コリメーティングレンズ2があるだけである。
【0026】ここで、焦点誤差検出を半導体レーザの活
性層と平行な方向(Y軸方向)の光ビームのサイズを検
出すると、検出系レンズとして焦点距離(fCL*M)の
レンズを使っているのと等価になる。
【0027】図3(a)(b)は、光源1と光検出器
7,8の関係を示した図である。光源1である半導体レ
ーザの両側に、3分割の受光面を持つ光検出器7,8が
配置される。図3(b)に示すように、光源1と光検出
器7,8は同一の支持基板20上に配設される。半導体
レーザの活性層1aがY軸と平行な時、2組の光検出器
7,8の配置をX軸方向とする。また、3分割の受光面
はX軸と平行な分割線で分割されている。このように構
成すると、焦点距離が(fCL*M)の検出レンズによっ
て、焦点ずれで生じる光ビームのサイズ変化を検出でき
る。ここで、光検出器7の受光面7a,7b,7cに対
応する出力信号を7A,7B,7Cとし、光検出器8の
受光面8a,8b,8cに対応する出力信号を8A,8
B,8Cとしたとき、 Sf={7B−(7A+7C)}−{8B−(8A+8
C)} St=(7A−7C)−(8A−8C) Si=(7A+7b+7c)+(8A+8B+8C) を演算回路10で演算することにより、焦点誤差信号S
fと光ディスク13上の案内溝14によって生じるトラ
ッキング誤差信号Stおよび再生情報信号Siを生成す
ることができる。
【0028】ホログラフィック素子6は、光源1の半導
体レーザの接合面に垂直な方向に回折するように、ホロ
グラフィック素子6の面上に形成する回折格子の方位を
設定する。また、ホログラフィック素子6は、焦点誤差
検出のために回折光に対して僅かな集光機能を持ってい
る。この集光機能によって、(+)の回折光を検出する
光検出器7には検出面のわずか手前で集束した光ビーム
が入射し、(−)の回折光を検出する光検出器8には検
出面のわずか後方で集束する光ビームが入射することに
なる。
【0029】図4に、焦点ずれに対する光検出器7,8
上の光ビームの形状変化の様子を示す。光検出器7上の
光ビームの形状変化を説明する。図4の(b)は合焦状
態を示し、3分割された受光面7a,7b,7cのそれ
ぞれに光ビームが入射している。図4(a)は、光ディ
スク13に対して対物レンズ5が近いときの状態を示し
ている。光ビームは合焦状態よりも大きくなり、受光面
7a,7cに入射する光量が多くなる。図4(c)は、
図4(a)とは逆に、光ディスク13に対して対物レン
ズ5が遠いときの状態を示している。この場合、光ビー
ムの形状は小さくなっていき、受光面7bだけに入射す
るようになる。さらに焦点ずれが大きくなると、光ビー
ムの形状は再び大きくなり、受光面7a,7cに入射す
る光量が増えてくる。
【0030】これに対して、光検出器8の受光面上の光
ビームの形状変化は、光検出器7とは焦点ずれに対して
逆の形状変化を示す。すなわち、光ディスク13に対し
て対物レンズ5が近いときは、光ビームは小さくなり、
遠いときは、光ビームは大きくなる。また、3分割受光
面に対するビーム形状の変化の度合いは、受光面が並ん
でいる方向とそれに直交する方向とで異なっている。こ
れは、図2を使って説明したように、等価的に焦点距離
が違うレンズで検出していることに由来している。
【0031】このように、本実施例では光ディスク13
からの反射光をビーム整形プリズム3を通して検出する
ことによって、検出レンズの焦点距離をビーム整形プリ
ズム3の整形倍率分短くしても、従来の長焦点の検出レ
ンズと同じ検出倍率で焦点誤差を検出することができ、
それだけ光学系を小型化できる。
【0032】光学ヘッド装置の構成は図1に示すものに
限定されること無く、半導体レーザの拡がり角が小さい
活性層と平行な方向のコリメート光が対物レンズの開口
に対してマッチングがとれるように比較的長い焦点距離
のコリメーティングレンズで平行光とした後、ビーム整
形プリズムで半導体レーザの活性層に垂直な方向の光ビ
ームを縮小するように構成した光ヘッドでも同様の効果
がある。このときも、半導体レーザの活性層に平行な方
向の光ビームの径変化を検出して焦点誤差を検出する。 (第2の実施例)図5は、第2の実施例の要部を示す図
であり、ビーム整形プリズム3とコリメーティングレン
ズ2との間にビームスプリッタ15を配置して、このビ
ームスプリッタ15により光ディスクからの反射光を検
出系へ分離し、コリメーティングレンズ2と同等の検出
レンズ16で集光した光をもう一つのビームスプリッタ
17で2つのビームに分割した後、光検出器7,8に導
くようにしている。この実施例によっても、先の実施例
と同様の効果が得られる。 (第3の実施例)図6は、第3の実施例に係る光学ヘッ
ド装置の構成を示す図であり、ビーム整形プリズム3を
複数個組み合わせて構成している。この実施例によって
も、先の実施例と同様の効果が得られる。 (第4の実施例)図7は、本発明の第4の実施例に係る
光学ヘッド装置の構成を示したものである。図1に示し
た光学ヘッドと多くの部分で類似しているので、説明の
重複を避けるため相違している部分についてのみ説明す
る。
【0033】光源1から出射した光ビームは、ビームス
プリッタ21で二つの光ビームに分割される。ビームス
プリッタ21を反射した光は、対物レンズ5を経て光デ
ィスク13に集光する。一方、ビームスプリッタ21を
透過した光は、光検出器22で検出する。光検出器22
の出力は、増幅器23を介して光出力制御回路24に入
力される。
【0034】光出力制御回路24は光学ヘッド装置の動
作状態、つまり光ディスク13に情報を記録するモード
か再生するモードであるかに応じて、半導体レーザなど
の光源1の光出力を適正に制御する。すなわち、再生時
には光検出器22の検出出力が一定値になるように、光
源1の光出力を制御する。また、記録時は光検出器22
の検出出力が記録情報信号に従った変化をするように、
光源1の光出力を制御する。
【0035】このように、光ディスク13に向かう光ビ
ームを分割して検出し、その検出出力に基づいて光源1
の光出力を制御すると、光ディスク13で反射した光ビ
ームが光源1に戻り、光源1の光出力が乱されるような
状況になっても、これらの影響を受けること無く光源1
の光出力を正確に制御することができる。 (第5の実施例)図8は本発明の第5の実施例に係る光
学ヘッド装置の構成を示したものであり、反射機能を合
せ持ったビーム整形プリズム30を用いている点がこれ
までの実施例と異なっている。図9に、このビーム整形
プリズムの形状例を示す。
【0036】すなわち、ビーム整形プリズム30は三つ
の面31,32,33を有し、第1の面31はビーム整
形の機能を持ち、入射角はブリュースター角に設定され
ている。このときのビーム整形倍率は、硝材の屈折率と
同じ倍率が得られる。入射面と対向する第2の面32は
反射面で、第1面31とは平行になっている。第3の面
33は出射面で、この面33に対して垂直に出射する。
【0037】この様に構成すると、平行平板に対して角
度割り出しをして、第3の面33を加工するだけで容易
に図示したビーム整形プリズム30が得られる。また、
ビーム整形機能と反射機能が複合化されたことによっ
て、更なる光学素子の数の低減と光学ヘッドの小形化が
達成できる。 (第6の実施例)図10は、ビーム整形プリズム30の
断面形状の他の例である。このようにビーム整形機能と
反射機能が複合化されたビーム整形機能素子は、種々の
変形が可能である。さらには、ビーム整形プリズム30
は、所望のビーム整形倍率が得られるように入射角を設
定したものや、出射面の角度を設定したものでも良い。 (第7の実施例)図11は、本発明の第7の実施例に係
る光学ヘッドの構成を示したものである。図8に示した
光学ヘッドと多くの部分で類似しているので、説明の重
複を避けるため相違している部分についてのみ説明す
る。
【0038】ビーム整形プリズム30の第2の面32を
入射した光ビームの一部を透過するようなビーム分割面
として、第2の面32からビーム整形プリズム30の外
部へ光ビームの一部を取り出し、光検出器22で検出す
る。光検出器22の出力は、増幅器23を介して光出力
制御回路24に入力される。
【0039】光出力制御回路24は図7に示した実施例
と同様に、光学ヘッドの動作状態、つまり記録/再生モ
ードに応じて半導体レーザなどの光源1の光出力を適正
に制御する。すなわち、再生モードでは、光検出器22
の検出出力が一定値になるように光源1の光出力を制御
する。記録モードでは、光検出器22の検出出力が記録
情報信号に従った変化をするように光源1の光出力を制
御する。このように、光ディスク13に向かう光ビーム
を分割して検出し、その検出出力に基づいて光源1の光
出力を制御すると、光ディスク13で反射した光ビーム
が光源1に戻り、光源1の光出力が乱されるような状況
になっても、これらの影響を受けること無く光源1の光
出力を正確に制御することができる。
【0040】以上の実施例では、トラッキング制御系の
構成については、本発明の主旨と関連が薄いので詳細な
説明を省略したが、例えば対物レンズ5を径方向に移動
自在に構成したレンズアクチュエータで支持し、トラッ
キング誤差信号に基づいて対物レンズを径方向に移動制
御してトラッキング制御する構成とするか、または光学
ヘッド装置全体をキャリッジ上に搭載して光ディスクの
径方向に移動制御してトラッキング制御するように構成
すればよい。 (第8の実施例)次に、本発明を再生専用の光学ヘッド
装置に適した一実施例を説明する。
【0041】一般に、音声情報や静止画情報をディジタ
ル化して記録した、複製技術によって多量に作られるコ
ンパクトディスク(CD)などの再生専用光ディスクに
適用される再生用の光学ヘッドでは、開口数(NA)が
0.45程度と小さく、コリメータを省略できる有限系
対物レンズを用いることにより、光学素子の数を少なく
して小型化が図られている。有限系対物レンズとは、光
源と対象物面とが結像関係にあるような対物レンズ、す
なわち光源の発光点の像を対象物面(記録媒体の記録
面)上に縮小して結像するような対物レンズをいう。
【0042】一方、より高密度の再生専用光ディスク、
例えば動画情報(ビデオ信号)を記録したビデオディス
クに適用される光学ヘッドでは、ピットの情報を精度よ
く読み取る必要から、開口数が0.55程度とより大き
な対物レンズが用いられる。このように開口数が大きい
対物レンズは、一般に半導体レーザの出射光が一旦コリ
メートされた後に入射されることにより、光ディスク上
に微小スポットを形成するように使用される。このよう
な使用形態での対物レンズは、物点位置が無限遠である
ことから、無限系対物レンズと呼ばれ、上述した有限系
対物レンズとは区別される。開口数が大きい無限系対物
レンズを用いる光学ヘッドは、コリメータなどを必要と
することから、光学系の構成素子数が多くなり、大型化
する傾向がある。
【0043】そこで、本実施例は光ビームの照射により
少なくとも情報の再生を行うための光学ヘッド装置にお
いて、開口数が大きな対物レンズを有限系対物レンズと
して実現することを可能にして、高密度に情報が記録さ
れた光記録媒体からの情報再生を良好に行うことがで
き、しかも小型化が容易な光学ヘッド装置を提供するも
のであり、光ビームを出射する光源と、前記光源から出
射される光ビームを光記録媒体の記録面に集束照射し、
かつ該記録面からの反射光を前記光ビームの進行方向と
逆方向に通過させる対物レンズと、前記反射光を検出す
るための少なくとも一つの光検出器と、前記対物レンズ
を通過した後の前記反射光を前記光ビームの進行方向と
異なる方向に偏向して前記光検出器へ導く偏向素子とを
備え、前記対物レンズは、1/6以下の結像倍率を有す
ることを特徴とする。
【0044】本実施例の光学ヘッド装置による利点は、
次の通りである。一般に、開口数が大きい対物レンズは
レンズ開口も大きく、焦点距離に比例してレンズ開口が
大きくなる。また、有限系レンズでは結像倍率が大きく
(1に近づく)なるに従って、焦点距離と開口数が一定
であってもレンズ開口が大きくなるため、対物レンズの
作製が困難なものとなる。反面、有限系対物レンズは無
限系対物レンズに比べ、同じ焦点距離で作動距離(レン
ズから対象物までの距離)をより長くできることが知ら
れている。光学ヘッドの使用上、作動距離が一定量確保
できれば良いとすれば、それだけ焦点距離を短くできる
ことになる。
【0045】ここで、有限系対物レンズが使われる従来
のCD用光学ヘッドでは、対物レンズの結像倍率が1/
4〜1/5程度であり、レンズ開口は無限系対物レンズ
のそれの1.25〜1.2倍になる。そのため、レンズ
の作製の難易度を表す見掛けの開口数(レンズ開口/焦
点距離)が大きくなり、開口数が大きい対物レンズの使
用は困難であった。
【0046】本実施例では、有限系対物レンズにおいて
結像倍率を1/6以下、好ましくは1/6〜1/7と小
さくして、レンズ開口を小さく抑えつつ、有限系対物レ
ンズとしたことによる作動距離の増加分を短焦点化に振
り分けることによって、開口数が0.55以上の対物レ
ンズに対しても有限系化を実現している。
【0047】また、有限系対物レンズは設定された物点
位置からのずれで生じる波面収差が大きいが、光源の設
置位置を対物レンズの最良物点位置に対して僅かに後方
に設定することで、光軸が垂直に交わる面内の光源の位
置ずれに対する許容値が大きくなり、光学ヘッドの組み
立て性が向上する。
【0048】さらに、従来の光ディスクの基板の厚さは
1.2mmであり、この基板の厚さが対物レンズの焦点
距離の短焦点化を制限していたが、本実施例によると光
記録媒体の基板厚を薄くして対物レンズの焦点距離を短
くすると、光学ヘッドの一層の小型化が図られる。
【0049】図12は、本実施例に係る光学ヘッド装置
の構成を示したものであり、光学ユニット41、アクチ
ュエータ42、増幅器43、演算回路44およびアクチ
ュエータ駆動回路45を備えている。光学ユニット41
は、光源46、ホログラフィック素子47、対物レンズ
48、光検出器49、フォーカス駆動コイル50および
トラッキング駆動コイル51により構成される。この光
学ユニット41に対向して、光学的に情報が記録されて
いる記録媒体、例えばビデオディスクのような光ディス
ク52が配置される。
【0050】光源46は例えば半導体レーザであり、こ
の光源46から出射した光ビームはホログラフィック素
子47を透過して対物レンズ48に導かれ、光ディスク
52上、すなわち記録面に微小スポットを形成する。光
ディスク52の記録面で反射した光は、対物レンズ48
を経て偏向素子であるホログラフィック素子47に入射
し、回折を受けて入射光ビームと異なる方向に偏向され
る。ホログラフィック素子47で回折した光ビームは、
光検出器49で検出される。
【0051】光検出器49の出力信号は、増幅器43で
適当なレベルまで増幅された後、演算回路44に入力さ
れる。この演算回路44で光検出器43の出力信号に演
算が施されることにより、フォーカス誤差信号(S
f)、トラッキング誤差信号(St)および再生情報信
号(Si)が生成される。
【0052】ここで、ホログラフィック素子47と光検
出器49の構成は、特願平3−244413「光学ヘッ
ド装置」に詳細に述べられているものと同様な原理に基
づくものである。全体の動作を分かり易くするために、
この部分について説明を加える。
【0053】図13に、ホログラフィック素子47と光
検出器49の関係を示す。ホログラフィック素子47
は、トラックと同一方向の領域分割線47Cによって2
つの領域47A,47Bに分割されている。これらの領
域47A,47Bにおいては、焦点誤差検出に必要な光
ビームの形状変化を生じさせるために、一方は糸巻き状
に、他方は樽形状にそれぞれ等間隔な格子を変形させた
格子形状のホログラムが形成されている。また、領域4
7A,47Bのそれぞれの回折光が光検出器49の受光
面上で分離されるように、領域47Aと領域47Bとで
平均的な格子間隔を異ならせている。これにより、領域
47Aからの回折光53Aは光検出器49の受光面49
aと49bにまたがった領域に集光し、領域47Bから
の回折光53Bは光検出器49の受光面49cと49d
にまたがった領域に集光する。
【0054】ここで、光検出器49の受光面49a,4
9b,49c,49dにそれぞれ対応する増幅器43の
出力信号を49A,49B,49C,49としたとき、
フォーカス誤差信号Sf、トラッキング誤差信号Stお
よび再生情報信号Siは、演算回路10において次式の
演算により得られる。
【0055】 Sf=(49A−49B)+(49C−49D) St=(49A+49B)−(49C+49D) Si=(49A+49B+49C+49D) フォーカス誤差信号Sfとトラッキング誤差信号St
は、アクチュエータ駆動回路45を介してフォーカス駆
動コイル50およびトラッキング駆動コイル51に加え
られて光学ユニット41を動かし、光ディスク52上の
光スポットの位置を光軸方向とトラッキング方向に制御
する。
【0056】図14(a)(b)に、本実施例における
対物レンズ48と従来の再生専用光学ヘッド装置におけ
る対物レンズの光学特性をそれぞれ示す。これらは、い
ずれも有限系対物レンズである。従来の光ディスク装置
における有限系対物レンズは結像倍率が1/4程度であ
るため、レンズ開口が無限系対物レンズのそれの1.2
5倍となる。例えば、CD用光学ヘッド装置における有
限系対物レンズは開口数が0.45なので、結像倍率を
考慮した見掛けの開口数は0.56となる。
【0057】一方、情報記録密度が高い光ディスク、例
えばNTSCなどの標準TV方式対応のビデオディス
ク、あるいは最近実用化されているMUSEなどの高精
細TV方式対応のビデオディスクから情報を正しく再生
するには、光ディスク上の光スポットを一層微小に集光
しなくてはならない。このため、光源の波長を短くした
り、対物レンズの開口数を高くしたりすることが要求さ
れる。無限系対物レンズでは、開口数が0.55程度の
ものが十分実用レベルにあり、ビデオディスク用光学ヘ
ッド装置では、このような開口数の無限系対物レンズが
使用されていることは前述の通りである。しかし、開口
数0.55の対物レンズを有限系で実現しようとする
と、通常の結像倍率(1/4〜1/5程度)では、見掛
けの開口数が0.69程度と非常に大きくなってしま
い、実現は甚だ困難となる。
【0058】これに対し、本実施例では対物レンズ48
の結像倍率を小さくすることで見掛けの開口数の増大を
防ぎ、レンズの作製可能なレベルに抑えて高い開口数の
対物レンズを有限系で実現している。例えば、対物レン
ズ48の結像倍率を1/7とすると、開口数が0.55
のレンズであっても見掛けの開口数は0.63と、一割
程度の増大に止めることができ、現在の技術で比較的容
易に実現できるレベルとなる。
【0059】さらに、対物レンズ48の焦点距離を小さ
くすると、同じ開口数であってもレンズ開口が小さくな
り、その作製が容易になる。しかし、光ディスク52の
面振れに対して対物レンズ48の光軸方向の位置制御に
異常があっても、対物レンズ48と光ディスク52が接
触しないように、対物レンズ48の作動距離(この場合
は、対物レンズ48の光ディスク52側端面と光ディス
ク52の表面との間の距離)を一定値以上確保する必要
があるため、対物レンズ48の焦点距離を無制限に短く
することはできない。他方、光ディスク52の表面に対
するごみの付着や傷の発生に対して情報が破壊されるこ
とを防ぐために、光ディスク52では透明基板の裏面側
(光ビーム入射側と反対側の面)に記録面が設定され、
ここにビデオ信号などの情報が記録されている。従っ
て、機械強度の確保や、反りの対策として光ディスク5
2の基板を厚くすると、対物レンズ48から光ディスク
52の表面までの距離が長くなるので、一定値以上の作
動距離を確保するには、対物レンズ48として長い焦点
距離のものが必要となる。
【0060】このような点を考慮して、本実施例では主
たる目的である光学ヘッド装置のさらなる小型化のため
に、光ディスク52の基板の厚さを従来よりも薄くす
る。すなわち、従来の光ディスクの基板の厚さは通常、
1.2mmであり、例えば作動距離を1mm確保するに
は対物レンズの焦点距離は3mm程度であった。基板の
厚さを0.6mmとすると、同じ作動距離を確保しても
対物レンズの焦点距離は2.3mm程度まで短くするこ
とができる。また、有限系対物レンズは焦点距離が同じ
であれば、無限系対物レンズより作動距離が長くなるの
で、作動距離を一定値確保すれば良いものとすると、焦
点距離をさらに短くすることができる。
【0061】また、対物レンズ48の結像倍率を先に例
示した1/7とすると、焦点距離は2mm程度まで短焦
点にすることができる。従って、図14(b)に示した
従来例と比較すると焦点距離を2/3にできるので、光
学ユニット41の長さも2/3とすることができ、光学
ヘッド装置の一層の小型化を実現できる。
【0062】一般的に、高い開口数の有限系対物レンズ
は、物点(すなわち光源)の設置位置のずれに対して、
波面収差の発生量が大きい。しかし、本実施例では対物
レンズ48の結像倍率を小さくしたことにより、光軸方
向の位置ずれ許容量は大きくなっている。一方、有限系
対物レンズの最良物点位置に対して光軸方向に物点位置
を僅かずらせると、光軸に垂直な平面内の物点の位置ず
れ許容値を大きくすることができる。図15(a)
(b)に、その様子を示す。光軸をZ軸とすると、図の
横軸はX(Y)軸方向の移動量で、縦軸は波面収差量λ
RMS である。
【0063】図15から理解されるように、物点位置が
最良物点位置であるときは、X軸およびY軸方向のずれ
による波面収差の発生は大きい。これに対し、物点位置
が最良物点位置からZ軸方向に、対物レンズ48から遠
ざかる方向に多少シフトすると、X軸およびY軸方向の
いずれの方向においても、波面収差はZ=0の時の値よ
り小さくなる。
【0064】上述したように、本実施例によれば対物レ
ンズ48の結像倍率を小さくすると共に、最低限の作動
距離を確保するに必要な焦点距離の有限系対物レンズに
より高開口数化を実現して、光学ヘッド装置の光学系の
簡素化・小型化を実現することができる。
【0065】また、光ディスク基板を薄板化すれば、有
限系対物レンズの一層の短焦点化が可能となり、光学ヘ
ッド装置のさらなる小型化を実現できる。さらに、本実
施例では単なる小型化のみでなく、信頼性の向上を図る
こともできる。すなわち、有限系対物レンズにおける最
良物点位置に対して物点位置を僅かに後方にずらせるこ
とで、光軸に対して垂直な平面上の物点、つまり光源点
の設置精度許容値を大きくでき、これにより光学ヘッド
装置の組み立てをより容易にすることが可能となる。 (第9の実施例)次に、本発明を再生専用の光学ヘッド
装置に適用した他の実施例について説明する。従来の光
学ヘッド装置として、複数の機能を集積化した回折型光
学素子を用いたものは、例えば特開平1−53359
「光学式ピックアップ装置」に開示されている。光分岐
と誤差信号生成の機能を複合化した回折型光学素子を使
った光学ヘッドでは、光源の出射光を光ディスクに導く
ときは回折型光学素子をそのまま透過した光ビームを用
い、光ディスクの反射光を検出系へ導くときは回折型光
学素子で回折した光ビームを用いている。すなわち、光
ビームは光源から光検出器へ至るまでの光路中で二度回
折型光学素子を通過することになる。そのため、S/N
が高い信号検出をするには、光検出器に到達する光量が
最も大きくなるように回折型光学素子の回折効率を設定
している。また、回折型光学素子の挿入位置は、光源と
一体に構成するために比較的光源近くに設置されてい
る。
【0066】このように、従来の回折型光学素子を用い
た光学ヘッドでは、光源から出射した光ビームが光検出
器に到達する光量が最も大きくなるように回折型光学素
子の透過光と回折光の比率を定めており、光ディスクか
らの反射光が再び光源に戻る光、いわゆる戻り光に対し
ては何ら配慮されていない。しかし、一般に光源には半
導体レーザが使われており、戻り光の光量が多いほど戻
り光の影響を受けてレーザ出射光量の変化を来たし、光
ディスクからの再生情報信号のS/Nが低下する要因と
なる。
【0067】回折型光学素子を使った光学ヘッドは、従
来では再生信号周波数が比較的低いCDプレーヤに使わ
れていたので、戻り光の影響の問題が顕在化することは
無かったが、ビデオ信号を記録したビデオディスクに適
用される光学ヘッドでは、再生信号周波数がCDの10
倍以上にも及ぶため、戻り光の影響によるレーザ出射光
量の変化ができるだけ小さいことが要求され、十分な配
慮が必要である。また、回折型光学素子の設置位置が光
源に近いため、回折型光学素子の格子間隔が非常に狭く
なり、素子の作製精度を十分に取ることも難しかった。
【0068】そこで、本実施例は光ビームの照射により
少なくとも情報の再生を行うための光学ヘッド装置にお
いて、戻り光の影響で生じる光源からの出射光量の変化
を低減し、また回折型光学素子の設置位置を最適化する
ことによって、素子の作製精度を上げると共に、素子で
生じる迷光の影響を低減して再生情報信号のS/Nを高
くできる光学ヘッド装置を提供するものであり、光ビー
ムを出射する光源と、前記光源から出射される光ビーム
を光記録媒体の記録面に集束照射し、かつ該記録面から
の反射光を前記光ビームの進行方向と逆方向に通過させ
る対物レンズと、前記反射光を検出するための少なくと
も一つの光検出器と、前記光源から出射される光ビーム
を透過させて前記対物レンズへ導くと共に、前記対物レ
ンズを通過した後の前記反射光の一部を前記光ビームの
進行方向と異なる方向に回折させて前記光検出器へ導く
回折型光学素子とを備え、前記回折型光学素子は、前記
光源に戻る前記反射光の光量が前記光検出器に入射する
前記反射光の光量以下となるように、前記反射光に対す
る回折効率および透過率が設定されていることを特徴と
する。
【0069】従来の回折型光学素子を光分岐と誤差信号
生成に使う光学ヘッド装置では、光源から出射した光ビ
ームを最も効率良く光検出器に導くために、入射光が回
折型光学素子で回折されずに透過する光量を入射光量の
1/2に設定している。このように設定すると、回折型
光学素子が2値位相型かブレーズ型かのいずれに因ら
ず、光の利用率が最も高くなる。
【0070】しかし、この場合は光ディスクの反射光の
うち回折型光学素子を透過して光源に戻る戻り光の光量
は、光検出器に到達する光量よりも大きくなっている。
例えば、回折型光学素子が2値位相型の回折格子の場
合、透過率が50%になる時の回折効率は約20%とな
り、回折型光学素子で決まる光量配分は光源への戻り光
の光量は25%、光検出器に到達する光量は10%とな
る。
【0071】一方、本実施例では偏向素子として、例え
ば透過率28%、回折効率を約30%とした回折型光学
素子を用いる。このような回折型光学素子の下では、光
源への戻り光の光量は7.8%で、光検出器に到達する
光量は9%となる。上述した従来例と光量配分を比較す
ると、戻り光の光量は約1/3に低減され、光検出器に
到達する光量は2割程低減するに止まる。このように回
折型光学素子の回折効率を高めて透過率を低くすると、
戻り光の光量を著しく低減できるので、戻り光に起因す
る光源の光出力の変化を低減することが可能となり、再
生情報信号のS/Nが高くなる。
【0072】また、回折型光学素子の挿入位置が光源か
ら遠ざかるに従って、回折型光学素子で生じる迷光が光
検出器で受光される割合が増加してくる。特に、往路で
回折を受けた光ビームが光記録媒体で反射して回折型光
学素子をそのまま透過して光検出器に到達するビームの
影響が大きい。これに対しては、対物レンズの開口に入
射するに必要な口径の光ビームが透過する開口を回折型
光学素子に設け、迷光成分が光記録媒体で反射して回折
型光学素子の中心からずれた位置を通過する際にこれを
遮光することで、光検出器に到達しないようにすること
ができる。
【0073】より具体的には、偏向素子として回折型光
学素子を用いた場合、光記録媒体で反射して回折型光学
素子に入射した光ビームのより多くの光量が再生情報信
号検出のための光検出器に振り分けられるように、回折
型光学素子の回折効率を高くする。
【0074】この場合、回折型光学素子の挿入位置を光
源から離して設置して、光源と略同一平面に設置された
光検出器に向かう回折光の回折角が小さくなるようにし
て格子間隔を広くすることが素子の作製精度を向上させ
る上で好ましい。
【0075】さらに、対物レンズの開口に入射するに必
要な口径の光ビームが透過する開口を回折型光学素子に
設けることが望ましい。図16は、本実施例に係る光学
ヘッド装置の光学ユニット61の構成を示したものであ
る。光学ユニット61は、光源66、偏向素子としての
ホログラフィック素子67、対物レンズ68および光検
出器69により構成される。ホログラフィック素子67
は、光分岐や光分割などの他に特殊なレンズ機能などを
持ったより高度な複合機能の回折型光学素子であり、単
なる等間隔の回折格子で構成される回折型光学素子と区
別する意味で、この名称を用いている。
【0076】光学ユニット61に対向して、光学的に情
報が記録されている光ディスク72が配置される。光源
66は例えば半導体レーザであり、出射した光ビームは
ホログラフィック素子67を透過して対物レンズ8に導
かれ、光ディスク72の記録面に微小スポットを形成す
る。光ディスク72の記録面で反射した光ビームは、対
物レンズ68を経てホログラフィック素子67に入射す
る。ホログラフィック素子67で回折した光ビームは光
検出器69で検出される。
【0077】図17に、同実施例における光ビームの伝
送経路を示す。光源66から出射した光ビームPI は、
ホログラフィック素子67を透過し、この透過光P0
光ディスク72に入射する。光ディスク72で反射した
光ビームは、ホログラフィック素子67で回折し、再生
情報信号検出のための光ビーム(以下、再生情報信号検
出ビームという)PD として光検出器69に到達する。
ホログラフィック素子67では、光源66からの出射光
が回折される成分P+1,P-1も生じる。これら往路で回
折された光ビームは再生情報信号検出にとって不要な迷
光であり、これらの迷光が光検出器69に到達すると、
再生情報信号のS/Nを著しく低下させる。この迷光の
影響についての対策は後述する。
【0078】一方、復路においてホログラフィック素子
67で回折した光ビームは上述した再生情報信号検出ビ
ームPD となるが、復路においてはホログラフィック素
子67をそのまま透過して光源66に戻っていく光ビー
ム(以下、これを戻り光という)PL もある。
【0079】図18を参照して、再生情報信号検出ビー
ムPD と戻り光PL との関係を説明する。同図は、2値
位相格子で作られたホログラフィック素子の光学的位相
差に対する0次、1次および3次の各回折次数への光量
配分を回折効率分布として示している。光学的位相差が
πのとき透過光量はほとんど零となり、1次回折光は最
大で+,−にそれぞれ40%回折する。また、透過率
(0次光)が50%のとき1次回折光の割合は20%、
透過率が28%のとき1次回折光の割合は30%であ
る。
【0080】図19は、ホログラフィック素子67の光
学的位相差に対する再生情報信号検出ビームPD と、戻
り光PL のそれぞれの光量変化を回折効率の変化として
示したもので、(a)は図18に示した特性のホログラ
フィック素子67を用いた場合、(b)はホログラフィ
ック素子67の断面形状を鋸歯状にして回折光が+の次
数に集中するように構成した素子を用いた場合をそれぞ
れ示す。ここでは、ホログラフィック素子67の回折効
率の影響を比較するので、ホログラフィック素子67以
外の光学素子では光学的な損失がないものとしている。
【0081】図18に示す特性のホログラフィック素子
67を用いた場合、図19(a)に示すように再生情報
信号検出ビームPD の光量は、光学的位相差がπ/2の
とき最大となり、透過率がこれより増えても減っても光
量は減少する。光源66への戻り光PL の光量は、光学
的位相差がπに近づくほど小さくなる。先に述べた従来
例では、再生情報信号検出ビームの光量が最大になる条
件の下では、光検出器に到達する光量は10%であり、
戻り光PL の光量は25%である。
【0082】これに対して、本実施例におけるホログラ
フィック素子67は、PL ≦PD の条件を満たすように
設定され、具体的には例えば透過率が28%、回折効率
が約30%に設定される。このようなホログラフィック
素子67を用いた場合、光源66への戻り光PL の光量
は7.8%であり、光検出器69に到達する再生情報検
出ビームPD の光量は8.4%となる。これらの光量配
分を比較すると、戻り光PL の光量は約1/3に低減さ
れ、再生情報検出ビームPD の光量は2割程低減するに
止まることになる。
【0083】このようにホログラフィック素子67の回
折効率を高めて透過率を低くすると、戻り光PL の光量
を著しく低減することができる。これにより、戻り光P
L に起因する光源66の光出力の変化を小さくすること
が可能となり、再生情報信号のS/Nを高くすることが
できる。
【0084】一方、ホログラフィック素子67の断面形
状を鋸歯状にして、回折光が+の次数に集中するように
構成した場合には、図19(b)に示すように例えば透
過率を42%に設定して、回折効率を約46%にすれば
よい。ホログラフィック素子67をこのような特性とし
た場合、戻り光PL の光量は18%、再生情報信号検出
ビームPD の光量は20%となる。
【0085】また、ホログラフィック素子67の挿入位
置が光源66から遠ざかるに従い、ホログラフィック素
子67で生じる迷光が光検出器69で受光される割合が
増加してくる。特に、先に述べた往路で回折を受けた光
ビームP+1,P-1が光ディスク72で反射し、ホログラ
フィック素子67をそのまま透過して、光検出器69に
迷光として到達する光ビームの影響が大きい。当然のこ
とながら、これらの迷光成分は再生情報信号のS/Nを
低下させる要因となる。本実施例によれば、この迷光成
分の影響を以下のようにして軽減している。
【0086】図20は、光ディスク72からの反射光の
ホログラフィック素子67の面上でのビーム形状(スポ
ットダイヤグラムという)をホログラフィック素子67
の挿入位置をZhoe=6.5 ,7.5 ,8.5 と種々変えて
観測した結果を示したものである。迷光成分P-1に注目
すると、図20(a)に示されるようにホログラフィッ
ク素子67の挿入位置が光源66に近い時は、ホログラ
フィック素子67の回折角が大きくなるので、対物レン
ズ68の開口に入る光量は少なく、従って光ディスク7
2で反射してホログラフィック素子67に到達する迷光
となる光ビームの光量も少ない。但し、このような状況
の下では、ホログラフィック素子67の格子ピッチが狭
くなるため、高精度にホログラフィック素子67を作る
ことが困難になる。
【0087】一方、ホログラフィック素子67の挿入位
置が光源66から遠い時は、ホログラフィック素子67
の回折角が小さくなるので、図20(b)(c)に示さ
れるように、迷光成分P-1のホログラフィックパターン
の広りが増えてくる。図20(c)では迷光成分P-1
透過光P0 とが重なり合っており、ホログラフィック素
子67の挿入位置が光源66から遠ざかる程、この重な
り合う領域が増し、両者を分離することが不可能にな
る。
【0088】そこで、本実施例では対物レンズ68の開
口に入射するに必要な口径の光ビームを透過させるよう
な開口をホログラフィック素子67に設ける。そして、
ホログラフィック素子67がその中心からずれた位置を
通過する迷光成分P+1,P-1を遮光して、迷光成分が光
検出器69に到達しない条件を満たす範囲で最も光源6
6から遠い位置にホログラフィック素子67を挿入す
る。このような位置にホログラフィック素子67を挿入
すると、ホログラフィック素子67の格子ピッチを広く
することができるので、高精度に素子の作製ができる
上、迷光成分をホログラフィック素子67の開口で遮光
するため、再生情報信号のS/Nを高くすることができ
る。
【0089】なお、本実施例に係る光学ヘッド装置の全
体構成は、第6の実施例と同様に図12に示した通りで
あり、ここで使用するホログラフィック素子の詳細な構
成も図13に示した通りである。
【0090】上述したように、本実施例によれば再生情
報信号検出ビームの光量が最大になるように回折型光学
素子の透過率を例えば50%に定めていた従来例に対し
て、回折効率を30%と高め、透過率を28%とするこ
とにより、各素子への光量配分で比較すると、光源への
戻り光の光量は約1/3に低減され、光検出器への再来
情報信号検出ビームの光量は2割程低減するに止まる。
【0091】このように回折型光学素子の回折効率を高
めて透過率を低くすると、戻り光の光量を著しく低減で
きるので、戻り光に起因する光源の光出力の変化を低減
することが可能となり、再生情報信号のS/Nを高くで
きる。
【0092】また、本実施例では対物レンズの開口に入
射するに必要な口径の光ビームが透過するような開口を
回折型光学素子に設け、迷光成分が光ディスクで反射し
て回折型光学素子の中心からずれた位置を通過する際に
遮光して光検出器に到達しないようにするができるた
め、迷光成分による再生情報信号のS/N低下を防止す
ることが可能となる。 (第10の実施例)次に、本発明を再生専用の光学ヘッ
ド装置に適したもう一つの実施例を説明する。
【0093】一般に、光ディスクの面記録密度を高める
には、記録情報の単位ビット当りのピットの大きさを小
さくすることが効果的である。より小さなピットで記録
した情報を読み出すには、光ディスク上の光スポットサ
イズを微小化することが必要となる。そのためには、光
源の波長を短くすると共に対物レンズの開口数を高くす
ることが望まれる。
【0094】しかしながら、対物レンズの開口数が大き
くなるに従って、光ディスクの反りなどによる面傾きで
生じるコマ収差の発生量が大きくなる。そこで、光ディ
スクの基板厚を従来(1.2mm)より薄くすることで
(例えば0.8〜0.6mm)、コマ収差の発生量を小
さくし、光ディスクの機械特性が厳しくなるのを防いで
記録密度を高める方法が考えられている。このような薄
基板を持つ光ディスクに記録された情報を再生するに
は、レンズ負荷として薄基板を想定して設計した対物レ
ンズを持つ光ヘッドが必要になる。しかし、このように
基板の厚さを薄くした光ディスク用の光ヘッドでは、基
板の厚さの違いで生じる球面収差の影響により、従来の
光ディスクを再生できなくなるという問題が生じる。
【0095】そこで、本実施例は光ビームの照射により
少なくとも情報の再生を行うための光学ヘッド装置にお
いて、特に有限系対物レンズを用いた場合において基板
の厚さが異なる複数種の光ディスクにそれぞれ記録され
た情報を再生可能とした光ディスク装置を提供するもの
であり、薄基板で設計した有限系対物レンズの結像倍率
で光源と検出系を構成した本来の系に対して、結像倍率
が大きくなる条件で他の光源と検出系を構成した系を併
せ持たせることを骨子とする。
【0096】すなわち、本実施例の光ディスク装置は、
第1および第2の光ビームをそれぞれ出射する第1およ
び第2の光源と、前記第1および第2の光源からそれぞ
れ出射される第1および第2の光ビームを光記録媒体の
記録面に集束照射し、かつ該記録面からの第1および第
2の反射光を前記第1および第2の光ビームの進行方向
と逆方向に通過させる対物レンズと、前記第1および第
2の反射光をそれぞれ検出するための少なくとも一つの
第1および第2の光検出器と、前記対物レンズを通過し
た後の前記第1および第2の反射光を前記第1および第
2の光ビームの進行方向と異なる方向に偏向して前記光
検出器へ導く偏向素子とを備え、前記第1および第2の
光源は、前記対物レンズに対して互いに異なる距離の位
置に配置されていることを特徴とする。
【0097】対物レンズの設計時のレンズ負荷に対し
て、レンズ負荷に変化が生じると球面収差が発生する。
一方、有限系の対物レンズは設計時の結像倍率に対し
て、異なる結像条件に光源位置が設定されると、やはり
球面収差が生じる。この二つの球面収差の発生要因を組
み合わせるとレンズ負荷が異なっても、すなわち基板の
厚さが異なる光ディスクに対しても光源位置を適正化す
ることで、波面収差を小さくできるので、唯一の光学ヘ
ッドで再生することができる。
【0098】図21は、本実施例に係る光学ヘッド装置
の構成を示したものであり、第1の光源81、第1のホ
ログラフィック素子82、ビームスプリッタ83、対物
レンズ84および第1の光検出器86と、第2の光源8
7、第2のホログラフィック素子88および第2の光検
出器89が配置される。光源81、ホログラフィック素
子82、光検出器86は第1の光学系201を構成し、
光源88、ホログラフィック素子88、光検出器89は
第2の光学系202を構成する。そして、対物レンズ8
4に対向して厚さの異なる光ディスク85a,85bが
選択的に配置される。
【0099】第1の光学系201において、光源81は
例えば半導体レーザであり、出射した光ビームはホログ
ラフィック素子82を透過して対物レンズ84に導か
れ、光ディスク85aの情報記録面上に微小スポットを
形成する。光ディスク85aで反射した光は、対物レン
ズ84を経てホログラフィック素子82に入射する。ホ
ログラフィック素子82で回折した光ビームは、光検出
器86で検出される。また、光ディスク85aと厚さの
異なるもう一つの光ディスク85bに対しては、光源8
7、ホログラフィック素子88および光検出器89から
なる第2の光学系202が用いられる。但し、対物レン
ズ84は薄基板の光ディスク85bに対して、所望する
結像倍率で最適設計されている。
【0100】ここで、光検出器86,89の出力には図
示しない増幅器を介して図示しない演算回路が接続さ
れ、この演算回路により第6の実施例で説明したと同様
にしてフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号およ
び再生情報信号が生成される。また、ホログラフィック
素子と光検出器の構成も、特願平3−244413「光
学ヘッド装置」に詳細に述べられているものと同様な原
理に基づくものであり、第6の実施例で説明したと同様
に構成される。
【0101】本実施例によると、同じ対物レンズ84を
用いながら、厚さの異なる二種の光ディスク85a,8
5bについて記録された情報を再生することができる。
この理由は、レンズなどの光学素子の性能を表す波面収
差特性を使って次のように説明される。
【0102】図22は、光ディスク85a,85bのそ
れぞれについて、光源81,87と対物レンズ84間の
距離を基準値として、光源81,87の光軸方向の移動
量に対する波面収差の変化を示したものである。この例
では、対物レンズ84は焦点距離が2mmであり、次の
条件の下で光ディスク85aに対して最適設計されてい
るものとする。
【0103】光源の波長 :680nm 開
口数 :0.6 光ディスク基板の厚さ:0.6mm 結像倍率:0.
14 このとき光源81の位置が1mm程度ずれると、対物レ
ンズ84に0.05λ(rms) の波面収差が発生して、光
ディスク上の集光スポットの中心強度は、最適位置の9
0%に低下する。このときの波面収差の発生要因は、球
面収差である。設計条件と異なる厚さの光ディスク85
bに対する対物レンズ84の波面収差発生要因も、同様
に球面収差である。このため、設計条件と異なる厚さの
光ディスク85bに対して生じる波面収差を、光源位置
を変えることによって生じる球面収差で相殺できれば、
同じ対物レンズ84で異なる光ディスク85a,85b
上の情報を再生できることになる。
【0104】一例として、設計条件と異なる厚さの光デ
ィスク85bの光ディスク基板の厚さが1.2mmの場
合の特性を図22の左側に示す。光源87を対物レンズ
84側に約5mm近付けて設定すると、十分実用できる
波面収差に抑えることができることが分かる。
【0105】図21に戻って説明すると、光源81から
光ビームに対応する開口数に対して光源87からの光ビ
ームに対応する開口数が小さいときは、対物レンズ84
に入射する光ビームの径を制限するために開口制限板9
0がビームスプリッタ3の前に配置される。この例で
は、基板の厚さが1.2mmの光ディスク85bとして
CD−ROMを想定しているので、開口制限板90は開
口数を0.45に制限するように設計される。 (第11の実施例)図23に、図21の実施例に電気回
路系を付加した光学ヘッド装置全体の構成を示す。光検
出器86,89の出力は増幅器97,99を通して演算
回路98,100に入力され、フォーカス誤差信号、ト
ラッキング誤差信号および再生情報信号がそれぞれ生成
される。2系統の再生情報信号は、図示しない復調系へ
と導かれる。
【0106】一方、二組のフォーカス誤差信号とトラッ
キング誤差信号は切換器101に入力され、レーザ駆動
回路103,104が動作状態になっている方の光検出
器からのフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号が
選択される。選択されたフォーカス誤差信号とトラッキ
ング誤差信号は、アクチュエータ駆動回路102を介し
てフォーカス駆動コイル94、トラッキング駆動コイル
95に加えられ、これにより光学ヘッド全体が対物レン
ズ84の光軸方向と光ディスク85a,85bの半径方
向に移動制御され、光ディスク上のピット列に対して集
光スポットの位置が制御されることになる。 (第12の実施例)図24は、図21に示した第10の
実施例を変形した実施例に係る光学ヘッド装置の構成図
であり、図21のビームスプリッタ83を二段構成のビ
ームスプリッタ91に代えることにより、二つの光学系
201,202を並列的に配置したものである。
【0107】本実施例によると、二つの光学系201,
202が互いに直交関係に配置されている第10の実施
例に比較して、光学ヘッド装置の光ディスク85a,8
5bに垂直な方向の寸法を小さくできる、つまり薄型化
を図ることができる。 (第13の実施例)図25は、第13の実施例に係る光
学ヘッド装置の構成図であり、二つの光源81,87の
波長を異ならせると共に、この波長の違いを利用して二
つの光学系201,202からの光ビームの合成と光学
系201,202への光ディスクからの反射光の分岐を
二つの反射面92A,92Bを持つビームスプリッタ9
2によって行うようにしたものである。すなわち、反射
面92Aは光源81からの光ビームに対して反射率が高
く、光源87からの光ビームに対して透過率が高い反射
膜により形成され、反射面92Bは反射面92Aとは逆
特性、つまり光源87からの光ビームに対して反射率が
高く、光源81からの光ビームに対して透過率が高い反
射膜により形成される。
【0108】本実施例によると、二段構成のビームスプ
リッタ91を用いた第10の実施例に比較して、ビーム
スプリッタ92の厚さを薄くすることができるので、光
ディスク装置をさらに薄型化することが可能となる。
【0109】なお、第10〜第13の実施例における光
ディスク85a,85bの基板の厚さの組み合わせは
0.6mmと1.2mmに限られるものではなく、任意
の組み合わせで構わない。例えば、0.8mmの光ディ
スク基板厚に最適設計された対物レンズを1.2mmの
基板厚を持つ光ディスク上の情報を読み取るように構成
することもできる。さらには、光源、光検出器およびホ
ログラフィック素子を一体的に光軸方向に移動すること
で、光ディスクの種々の厚さに対して波面収差がいずれ
も小さい条件の下で、光ディスク上の情報を再生するよ
うにすることも可能である。勿論、光ディスクとしては
二種類の基板厚のみでなく、三種類以上の基板厚の光デ
ィスクに対しても、第10〜第13の実施例の構成を適
用することが可能である。
【0110】このように第10〜第13の実施例によれ
ば、対物レンズの設計条件に最適な基板厚の光ディスク
上の情報は勿論、これと異なる基板厚を持った光ディス
ク上の情報をも同一の光学ヘッドで正しく読み出すこと
が可能である。また、二つの光学系が必要であるが、い
ずれの系も構成が単純であることから、光学ヘッド装置
の小型化・薄型化を図ることができる。
【0111】
【発明の効果】本発明によれば、光源から対物レンズに
至る光路中にコリメーティングレンズとビーム整形機能
素子を配し、光メモリの記録面で反射した光は往路とは
逆に対物レンズとビーム整形機能素子を通過した後、往
路と異なる方向に光路を分離して光検出器に入射して、
記録面上の光スポットの位置を制御(フォーカス制御、
トラッキング制御)する制御信号の生成や記録された情
報信号を検出する構成としたことにより、再生専用の光
学ヘッドに匹敵する簡素な光学系で、光利用率が高い記
録・再生用の光学ヘッド装置を実現することができる。
【0112】この小形・軽量の光学ヘッド装置によれ
ば、アクセス時に移動するキャリッジ上に光学ヘッド装
置全体を搭載しても高速なアクセスが可能である。ま
た、光学系が一体的に構成されているので、温度による
形状変化の影響を受けにくく信頼性が向上するという利
点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る光学ヘッド装置の要部構成
を示す図
【図2】図1の光学系のビーム整形プリズムの作用を説
明する図
【図3】図1における光検出器の配置を示す図
【図4】同実施例における焦点誤差に対する光検出器の
検出面上の入射光のスポット形状の変化を示す図
【図5】第2の実施例に係る光学ヘッド装置の要部構成
を示す図
【図6】第3の実施例に係る光学ヘッド装置の要部構成
を示す図
【図7】第4の実施例に係る光学ヘッド装置の要部構成
を示す図
【図8】第5の実施例に係る光学ヘッド装置の要部構成
を示す図
【図9】図8におけるビーム整形プリズムの形状を示す
断面図
【図10】第6の実施例に係るビーム整形プリズムの形
状を示す断面図
【図11】第7の実施例に係る光学ヘッド装置の要部構
成を示す図
【図12】第8の実施例に係る光学ヘッド装置の要部構
成を示す図
【図13】図12におけるホログラフィック素子と光検
出器の関係を示す図
【図14】同実施例および従来系における対物レンズの
光学特性を説明するための図
【図15】同実施例における対物レンズの物点位置に対
する光学特性を示す図
【図16】第9の実施例に係る光学ヘッド装置における
光学ユニットの構成を示す図
【図17】図16における光ビームの伝送経路を模式的
に示す図
【図18】同実施例における2値位相格子で作られたホ
ログラフィック素子の光学的位相差に対する各回折次数
への光量配分を示す図
【図19】同実施例におけるホログラフィック光学素子
の回折効率に対する再生情報信号検出光ビームおよび光
源への戻り光の光量変化を2値位相格子とブレーズ位相
格子の場合についてそれぞれ示す図
【図20】同実施例における光ディスクからの反射光の
ホログラフィック素子上の形状をホログラフィック素子
の挿入位置を種々変えて示す図
【図21】第10の実施例に係る光学ヘッド装置の要部
構成を示す図
【図22】同実施例における対物レンズの光学特性を示
す図
【図23】第11の実施例に係る光学ヘッド装置の全体
構成を示す図
【図24】第12の実施例に係る光学ヘッド装置の要部
構成を示す図
【図25】第13の実施例に係る光学ヘッド装置の構成
を示す図
【符号の説明】
1…光源 2…コリメーテ
ィングレンズ 3…ビーム整形プリズム 4…ミラー 5…対物レンズ 6…ホログラフ
ィック素子 7…光検出器 8…光検出器 9…増幅器 10…演算回路 11…レンズアクチュエータ駆動回路 12…フォーカ
ス駆動コイル 13…光ディスク 14…案内溝 15…ビームスプリッタ 16…検出レン
ズ 17…ビームスプリッタ 21…ビームス
プリッタ 22…光検出器 23…増幅器 24…光出力制御回路 30…ビーム整
形プリズム 41…光学ユニット 42…アクチュ
エータ 43…増幅器 44…演算回路 45…アクチュエータ駆動回路 46…光源 47…ホログラフィック素子 47A…ホログ
ラム領域 47B…ホログラム領域 47C…領域分
割線 48…対物レンズ 49…光検出器 49a〜49d…検出領域 50…フォーカ
ス駆動コイル 51…トラッキング駆動コイル 52…光ディス
ク 53A,53B…回折光 PI …光源から
出射される光ビーム PD …再生情報信号検出ビーム PL …戻り光ビ
ーム 61…光学ユニット 66…光源 67…ホログラフィック素子 68…対物レン
ズ 69…光検出器 72…光ディス
ク 81…光源 82…ホログラ
フィック素子 83…ビームスプリッタ 84…対物レン
ズ 85a,85b…光ディスク 86…検出器 87…光源 88…ホログラ
フィック素子 89…光検出器 90…開口制限
板 91…ビームスプリッタ 92…ビームス
プリッタ 94…フォーカスコイル 95…トラッキ
ングコイル 97,99…増幅器 98,100…
演算回路 101…切換器 102…アクチ
ュエータ駆動回路 201…第1の光学系 202…第2の
光学系

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非等方性のビーム形状を有する光ビームを
    出射する光源と、 前記光源から出射される光ビームを光記録媒体の記録面
    に集束照射し、かつ該記録面からの反射光を前記光ビー
    ムの進行方向と逆方向に通過させる対物レンズと、 前記光源から前記対物レンズに至る光路中に配置され、
    前記光ビームをほぼ平行光束にするためのコリメーティ
    ングレンズと、 前記コリメーティングレンズから前記対物レンズに至る
    光路中に配置され、前記光ビームを等方性のビーム形状
    に整形し、かつ前記対物レンズを通過した後の前記反射
    光を前記光ビームの進行方向と逆方向に通過させるビー
    ム整形機能素子と、 前記反射光を検出するための少なくとも一つの光検出器
    と、 前記ビーム整形機能素子を通過した前記反射光を前記光
    ビームの進行方向と異なる方向に偏向して前記光検出器
    へ導く偏向素子とを備えることを特徴とする光学ヘッド
    装置。
  2. 【請求項2】前記ビーム整形機能素子は前記光ビームを
    拡がり角の小さい方向に拡大することにより等方性のビ
    ーム形状に整形し、前記光検出器は前記反射光の該方向
    におけるビーム径の変化を検出し得るように構成されて
    いることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド装置。
  3. 【請求項3】前記ビーム整形機能素子は前記光ビームが
    入射される第1の面と、この第1の面から入射した光ビ
    ームを反射させる第2の面と、この第2の面で反射した
    光ビームを該ビーム整形機能素子の外部へ出射する第3
    の面とを有し、前記第1および第3の面の少なくとも一
    方が前記光ビームを等方性のビーム形状に整形する機能
    を有することを特徴とする請求項1または2記載の光学
    ヘッド装置。
  4. 【請求項4】光ビームを出射する光源と、 前記光源から出射される光ビームを光記録媒体の記録面
    に集束照射し、かつ該記録面からの反射光を前記光ビー
    ムの進行方向と逆方向に通過させる対物レンズと、 前記反射光を検出するための少なくとも一つの光検出器
    と、 前記対物レンズを通過した後の前記反射光を前記光ビー
    ムの進行方向と異なる方向に偏向して前記光検出器へ導
    く偏向素子とを備え、 前記対物レンズは、1/6以下の結像倍率を有すること
    を特徴とする光学ヘッド装置。
  5. 【請求項5】光ビームを出射する光源と、 前記光源から出射される光ビームを光記録媒体の記録面
    に集束照射し、かつ該記録面からの反射光を前記光ビー
    ムの進行方向と逆方向に通過させる対物レンズと、 前記反射光を検出するための少なくとも一つの光検出器
    と、 前記光源から出射される光ビームを透過させて前記対物
    レンズへ導くと共に、前記対物レンズを通過した後の前
    記反射光の一部を前記光ビームの進行方向と異なる方向
    に回折させて前記光検出器へ導く回折型光学素子とを備
    え、 前記回折型光学素子は、前記光源に戻る前記反射光の光
    量が前記光検出器に入射する前記反射光の光量以下とな
    るように、前記反射光に対する回折効率および透過率が
    設定されていることを特徴とする光学ヘッド装置。
  6. 【請求項6】第1および第2の光ビームをそれぞれ出射
    する第1および第2の光源と、 前記第1および第2の光源からそれぞれ出射される第1
    および第2の光ビームを光記録媒体の記録面に集束照射
    し、かつ該記録面からの第1および第2の反射光を前記
    第1および第2の光ビームの進行方向と逆方向に通過さ
    せる対物レンズと、 前記第1および第2の反射光をそれぞれ検出するための
    少なくとも一つの第1および第2の光検出器と、 前記対物レンズを通過した後の前記第1および第2の反
    射光を前記第1および第2の光ビームの進行方向と異な
    る方向に偏向して前記光検出器へ導く偏向素子とを備
    え、 前記第1および第2の光源は、前記対物レンズに対して
    互いに異なる距離の位置に配置されていることを特徴と
    する光学ヘッド装置。
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