JPH06192739A - 厚肉鋳鋼管の熱処理方法 - Google Patents
厚肉鋳鋼管の熱処理方法Info
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- JPH06192739A JPH06192739A JP34659492A JP34659492A JPH06192739A JP H06192739 A JPH06192739 A JP H06192739A JP 34659492 A JP34659492 A JP 34659492A JP 34659492 A JP34659492 A JP 34659492A JP H06192739 A JPH06192739 A JP H06192739A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 組織がオーステナイト単相となるように加熱
された厚肉鋳鋼管を、組織がオーステナイト及びフェラ
イトの二相となる二相域焼入れ温度を目標とする温度領
域まで空冷した後、その温度領域からの焼入れを行う直
接二相域焼入れ法が開発されているが、その直接二相域
焼入れ法においては、前記温度領域まで空冷された厚肉
鋳鋼管には肉厚方向・管軸方向に温度ムラが生じ、その
温度ムラに起因して厚肉鋳鋼管の熱処理品質にムラが発
生する。その熱処理品質のムラを解消し得る方法を提供
する。 【構成】 直接二相域焼入れ法において、二相域焼入れ
温度を目標とする温度領域まで空冷される厚肉鋳鋼管A
の内部へミスト状の冷却流体を供給して、厚肉鋳鋼管A
の内側を強制冷却することにより、厚肉鋳鋼管Aの各部
温度の均一化を図った後、焼入れする。
された厚肉鋳鋼管を、組織がオーステナイト及びフェラ
イトの二相となる二相域焼入れ温度を目標とする温度領
域まで空冷した後、その温度領域からの焼入れを行う直
接二相域焼入れ法が開発されているが、その直接二相域
焼入れ法においては、前記温度領域まで空冷された厚肉
鋳鋼管には肉厚方向・管軸方向に温度ムラが生じ、その
温度ムラに起因して厚肉鋳鋼管の熱処理品質にムラが発
生する。その熱処理品質のムラを解消し得る方法を提供
する。 【構成】 直接二相域焼入れ法において、二相域焼入れ
温度を目標とする温度領域まで空冷される厚肉鋳鋼管A
の内部へミスト状の冷却流体を供給して、厚肉鋳鋼管A
の内側を強制冷却することにより、厚肉鋳鋼管Aの各部
温度の均一化を図った後、焼入れする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厚肉鋳鋼管の熱処理方
法に関し、更に詳しくは、組織がオーステナイト単相と
なるように加熱された厚肉鋳鋼管を、組織がオーステナ
イト及びフェライトの二相となる二相域焼入れ温度を目
標とする温度領域まで空冷した後、その温度領域からの
焼入れを行う厚肉鋳鋼管の熱処理方法に関する。
法に関し、更に詳しくは、組織がオーステナイト単相と
なるように加熱された厚肉鋳鋼管を、組織がオーステナ
イト及びフェライトの二相となる二相域焼入れ温度を目
標とする温度領域まで空冷した後、その温度領域からの
焼入れを行う厚肉鋳鋼管の熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建築構造材やパイプライン等の素材とし
て用いられる厚肉鋳鋼管においては、近年、その性能を
向上させる一手段として、降伏比を低くすることが行わ
れている。厚肉鋳鋼管の降伏比を低くすれば、その変形
能等が向上し、建築構造材やパイプライン等の耐震性や
安全性等が向上するからである。厚肉鋳鋼管の降伏比を
低くする(例えば、0.8以下にする)には、図5(横
軸に時間を、縦軸に温度をとって図示した熱処理条件)
に示すように、厚肉鋳鋼管に対して通常の焼入れ(即
ち、オーステナイト単相域からの焼入れ)を一旦施した
後、低温となった厚肉鋳鋼管を、組織がオーステナイト
及びフェライトの二相となる二相域焼入れ温度まで加熱
しその温度で適宜時間保持した上で、その温度からの焼
入れ(以下、二相域焼入れという)を行う。尚、その二
相域焼入れを行った後は、通常の焼入れ後と同様、焼戻
しを行って調質する。このような二相域焼入れを含む一
連の熱処理を行った場合、通常の焼入れ・焼戻しを行う
だけでは得られない低降伏比が得られる。ところで、上
述したような一連の熱処理を行う場合、組織がオーステ
ナイト単相となるように厚肉鋳鋼管を加熱する工程と、
組織がオーステナイト及びフェライトの二相となるよう
に厚肉鋳鋼管を加熱する工程との二つの加熱工程が必要
となり、加熱に大きなエネルギーが消費されることにな
る。更に、二つの加熱工程に加えて二つの焼入れ工程も
必要となるので、全処理を完了させるまでに長時間を要
することになる。そこで、上述の加熱時のエネルギーの
削減及び上述の処理時間の短縮を図るべく、図4(熱処
理方法を模式的に図示した説明図)及び図6(横軸に時
間を、縦軸に温度をとって図示した熱処理条件)に示す
ような熱処理方法が考えられている。即ち、組織がオー
ステナイト単相となるように加熱炉1で加熱された厚肉
鋳鋼管Aを、組織がオーステナイト及びフェライトの二
相となる二相域焼入れ温度を目標とする温度領域まで空
冷した後、その厚肉鋳鋼管Aを水槽2へ投入して前記温
度領域からの焼入れを行う熱処理方法(以下、直接二相
域焼入れという)が開発されている。尚、前記直接二相
域焼入れを行った後も、通常の焼入れ後や上述の二相域
焼入れ後と同様、焼戻しを行って調質する。
て用いられる厚肉鋳鋼管においては、近年、その性能を
向上させる一手段として、降伏比を低くすることが行わ
れている。厚肉鋳鋼管の降伏比を低くすれば、その変形
能等が向上し、建築構造材やパイプライン等の耐震性や
安全性等が向上するからである。厚肉鋳鋼管の降伏比を
低くする(例えば、0.8以下にする)には、図5(横
軸に時間を、縦軸に温度をとって図示した熱処理条件)
に示すように、厚肉鋳鋼管に対して通常の焼入れ(即
ち、オーステナイト単相域からの焼入れ)を一旦施した
後、低温となった厚肉鋳鋼管を、組織がオーステナイト
及びフェライトの二相となる二相域焼入れ温度まで加熱
しその温度で適宜時間保持した上で、その温度からの焼
入れ(以下、二相域焼入れという)を行う。尚、その二
相域焼入れを行った後は、通常の焼入れ後と同様、焼戻
しを行って調質する。このような二相域焼入れを含む一
連の熱処理を行った場合、通常の焼入れ・焼戻しを行う
だけでは得られない低降伏比が得られる。ところで、上
述したような一連の熱処理を行う場合、組織がオーステ
ナイト単相となるように厚肉鋳鋼管を加熱する工程と、
組織がオーステナイト及びフェライトの二相となるよう
に厚肉鋳鋼管を加熱する工程との二つの加熱工程が必要
となり、加熱に大きなエネルギーが消費されることにな
る。更に、二つの加熱工程に加えて二つの焼入れ工程も
必要となるので、全処理を完了させるまでに長時間を要
することになる。そこで、上述の加熱時のエネルギーの
削減及び上述の処理時間の短縮を図るべく、図4(熱処
理方法を模式的に図示した説明図)及び図6(横軸に時
間を、縦軸に温度をとって図示した熱処理条件)に示す
ような熱処理方法が考えられている。即ち、組織がオー
ステナイト単相となるように加熱炉1で加熱された厚肉
鋳鋼管Aを、組織がオーステナイト及びフェライトの二
相となる二相域焼入れ温度を目標とする温度領域まで空
冷した後、その厚肉鋳鋼管Aを水槽2へ投入して前記温
度領域からの焼入れを行う熱処理方法(以下、直接二相
域焼入れという)が開発されている。尚、前記直接二相
域焼入れを行った後も、通常の焼入れ後や上述の二相域
焼入れ後と同様、焼戻しを行って調質する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の直接二相域焼入
れを含む熱処理を行う場合、二相域焼入れ温度を目標と
する温度領域まで空冷された厚肉鋳鋼管は、全体が均一
的に目標温度(即ち、二相域焼入れ温度)に至っている
とはいえず、空冷後の温度領域はかなり大きく、肉厚方
向・管軸方向において温度ムラが生じている。例えば、
外径:800mm、内径:620mm、長さ:4mの厚
肉鋳鋼管に対して、管中央部の肉厚中央での目標温度
(空冷後の目標温度)を780℃に設定して上述の加熱
・空冷を行った状態においては、管端部の表面温度が7
30℃となり、管中央部の表面温度が745℃となり、
管中央部の内部温度が850℃となる。従って、このよ
うな温度ムラが存在する温度領域からの焼入れを行った
厚肉鋳鋼管の熱処理品質にもムラが生じる、という問題
があった。本発明は、このような実情に着目してなされ
たものであり、上述の直接二相域焼入れを含む一連の熱
処理を行った場合に発生する厚肉鋳鋼管の熱処理品質の
ムラを解消し得る方法を提供することを目的としてい
る。
れを含む熱処理を行う場合、二相域焼入れ温度を目標と
する温度領域まで空冷された厚肉鋳鋼管は、全体が均一
的に目標温度(即ち、二相域焼入れ温度)に至っている
とはいえず、空冷後の温度領域はかなり大きく、肉厚方
向・管軸方向において温度ムラが生じている。例えば、
外径:800mm、内径:620mm、長さ:4mの厚
肉鋳鋼管に対して、管中央部の肉厚中央での目標温度
(空冷後の目標温度)を780℃に設定して上述の加熱
・空冷を行った状態においては、管端部の表面温度が7
30℃となり、管中央部の表面温度が745℃となり、
管中央部の内部温度が850℃となる。従って、このよ
うな温度ムラが存在する温度領域からの焼入れを行った
厚肉鋳鋼管の熱処理品質にもムラが生じる、という問題
があった。本発明は、このような実情に着目してなされ
たものであり、上述の直接二相域焼入れを含む一連の熱
処理を行った場合に発生する厚肉鋳鋼管の熱処理品質の
ムラを解消し得る方法を提供することを目的としてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る厚肉鋳鋼管
の熱処理方法の特徴構成は、組織がオーステナイト単相
となるように加熱された厚肉鋳鋼管を、組織がオーステ
ナイト及びフェライトの二相となる二相域焼入れ温度を
目標とする温度領域まで空冷した後、その温度領域から
の焼入れを行う厚肉鋳鋼管の熱処理方法であって、前記
温度領域まで空冷される厚肉鋳鋼管の内部へミスト状の
冷却流体を供給して、前記厚肉鋳鋼管の内側を強制冷却
することにより、前記厚肉鋳鋼管の各部温度の均一化を
図った後、前記焼入れを行う点にある。
の熱処理方法の特徴構成は、組織がオーステナイト単相
となるように加熱された厚肉鋳鋼管を、組織がオーステ
ナイト及びフェライトの二相となる二相域焼入れ温度を
目標とする温度領域まで空冷した後、その温度領域から
の焼入れを行う厚肉鋳鋼管の熱処理方法であって、前記
温度領域まで空冷される厚肉鋳鋼管の内部へミスト状の
冷却流体を供給して、前記厚肉鋳鋼管の内側を強制冷却
することにより、前記厚肉鋳鋼管の各部温度の均一化を
図った後、前記焼入れを行う点にある。
【0005】尚、前記厚肉鋳鋼管の内部へ前記冷却流体
を供給するに際し、その供給を、前記厚肉鋳鋼管の両端
から交互に行うことが好ましい。
を供給するに際し、その供給を、前記厚肉鋳鋼管の両端
から交互に行うことが好ましい。
【0006】
【作用】二相域焼入れ温度を目標とする温度領域まで空
冷される厚肉鋳鋼管には、肉厚方向・管軸方向において
温度ムラが不可避的に生じるが、本発明方法によれば、
前記温度領域まで空冷される厚肉鋳鋼管の内部へミスト
状の冷却流体が供給されて、厚肉鋳鋼管の内側が強制冷
却されるので、その強制冷却後においては、厚肉鋳鋼管
の温度ムラが解消されて、厚肉鋳鋼管の各部温度が目標
の二相域焼入れ温度(又は、その温度に極めて近い温
度)に均一化されるようになる。しかも、厚肉鋳鋼管の
内部へミスト状の冷却流体を供給するに際し、その供給
量を容易に変更することができるので、その供給量の変
更に基づいて、厚肉鋳鋼管の強制冷却速度を容易に変化
させることができる。
冷される厚肉鋳鋼管には、肉厚方向・管軸方向において
温度ムラが不可避的に生じるが、本発明方法によれば、
前記温度領域まで空冷される厚肉鋳鋼管の内部へミスト
状の冷却流体が供給されて、厚肉鋳鋼管の内側が強制冷
却されるので、その強制冷却後においては、厚肉鋳鋼管
の温度ムラが解消されて、厚肉鋳鋼管の各部温度が目標
の二相域焼入れ温度(又は、その温度に極めて近い温
度)に均一化されるようになる。しかも、厚肉鋳鋼管の
内部へミスト状の冷却流体を供給するに際し、その供給
量を容易に変更することができるので、その供給量の変
更に基づいて、厚肉鋳鋼管の強制冷却速度を容易に変化
させることができる。
【0007】
【発明の効果】従って、本発明方法によれば、空冷後の
厚肉鋳鋼管の各部温度が目標の二相域焼入れ温度(又
は、その温度に極めて近い温度)に均一化されて、前記
温度ムラが解消されるようになるので、直接二相域焼入
れが行われた厚肉鋳鋼管の熱処理品質のムラが、前記温
度ムラに起因して従来のように生じるのが回避されるよ
うになり、もって、本発明の目的が達成されるようにな
る。しかも、上述したように、厚肉鋳鋼管の強制冷却速
度を容易に変化させることができるので、熱処理条件の
細やかな調整が可能となる。
厚肉鋳鋼管の各部温度が目標の二相域焼入れ温度(又
は、その温度に極めて近い温度)に均一化されて、前記
温度ムラが解消されるようになるので、直接二相域焼入
れが行われた厚肉鋳鋼管の熱処理品質のムラが、前記温
度ムラに起因して従来のように生じるのが回避されるよ
うになり、もって、本発明の目的が達成されるようにな
る。しかも、上述したように、厚肉鋳鋼管の強制冷却速
度を容易に変化させることができるので、熱処理条件の
細やかな調整が可能となる。
【0008】尚、厚肉鋳鋼管の内部へ前記冷却流体を供
給するに際し、その供給を、厚肉鋳鋼管の一端からのみ
行うこととすれば、厚肉鋳鋼管の一端側部分が他端側部
分より強制冷却され易く、管軸方向にわたって温度ムラ
が発生し易い傾向にあるが、前記冷却流体の供給を、厚
肉鋳鋼管の両端から交互に行うこととすれば、上述した
ように管軸方向にわたって温度ムラが発生する傾向が抑
えられて、一層均一な熱処理が行えるようになる。
給するに際し、その供給を、厚肉鋳鋼管の一端からのみ
行うこととすれば、厚肉鋳鋼管の一端側部分が他端側部
分より強制冷却され易く、管軸方向にわたって温度ムラ
が発生し易い傾向にあるが、前記冷却流体の供給を、厚
肉鋳鋼管の両端から交互に行うこととすれば、上述した
ように管軸方向にわたって温度ムラが発生する傾向が抑
えられて、一層均一な熱処理が行えるようになる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した
部分は同一又は相当の部分を示している。
する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した
部分は同一又は相当の部分を示している。
【0010】図1には、遠心力鋳造法によって鋳造され
た建築構造用厚肉鋳鋼管A(即ち、外径:800mm、
内径:620mm、長さ:4mの厚肉鋳鋼管、以下、単
に厚肉鋳鋼管Aという)の低降伏比化を図るべく行われ
る熱処理方法が、本発明方法の一実施例として模式的に
示されている。
た建築構造用厚肉鋳鋼管A(即ち、外径:800mm、
内径:620mm、長さ:4mの厚肉鋳鋼管、以下、単
に厚肉鋳鋼管Aという)の低降伏比化を図るべく行われ
る熱処理方法が、本発明方法の一実施例として模式的に
示されている。
【0011】図1を参照しながら、本発明方法の手順に
ついて具体的に説明する。先ず、厚肉鋳鋼管Aをその組
織がオーステナイト単相となるように加熱すべく適宜温
度(本実施例では、930℃)に設定された加熱炉1内
に装入して適宜時間保持し、厚肉鋳鋼管Aの組織をオー
ステナイト化させた後、その厚肉鋳鋼管Aを加熱炉1内
から取り出した上で、組織がオーステナイト及びフェラ
イトの二相となる二相域焼入れ温度(本実施例では、7
80℃)を目標とする温度領域まで適宜時間(例えば、
15〜20分)をかけて空冷する。その空冷のままで
は、前記温度領域はかなり大きく、厚肉鋳鋼管Aの各部
分でかなりの温度ムラが存在する。そこで、前記空冷が
行われて温度ムラの存在する状態(又は、前記空冷が行
われつつあって温度ムラの存在する状態)の厚肉鋳鋼管
Aを回転させつつ、その厚肉鋳鋼管Aの内部へ、ミスト
状の冷却流体(具体的には、水のミスト)を供給して、
厚肉鋳鋼管Aの内側を強制冷却することにより、厚肉鋳
鋼管Aの各部温度の均一化を図ることとする。尚、厚肉
鋳鋼管Aの内部へミスト状の冷却流体を供給して厚肉鋳
鋼管Aの内側を強制冷却するに際し、厚肉鋳鋼管Aを回
転させることは必ずしも必須要件ではないが、厚肉鋳鋼
管Aを回転させた方が温度均一化のためにより有効であ
る。そして、前記温度の均一化を図った後、厚肉鋳鋼管
Aを水槽2へ投入して焼入れを行う。尚、厚肉鋳鋼管A
の内部へミスト状の冷却流体を供給する供給手段として
は、例えば、厚肉鋳鋼管Aの管軸方向へ延在する状態に
厚肉鋳鋼管Aの外側近傍に配置され且つ噴出口3aが厚
肉鋳鋼管Aの内部へ向けられたノズル3を使用する。そ
のノズル3の背後には、送風機(図外)を配置してお
き、その送風機による送風に、ノズル3の噴出口3aか
らミスト状に噴出される前記冷却流体を乗せて、そのミ
スト状の冷却流体を厚肉鋳鋼管Aの内部へ供給する。
ついて具体的に説明する。先ず、厚肉鋳鋼管Aをその組
織がオーステナイト単相となるように加熱すべく適宜温
度(本実施例では、930℃)に設定された加熱炉1内
に装入して適宜時間保持し、厚肉鋳鋼管Aの組織をオー
ステナイト化させた後、その厚肉鋳鋼管Aを加熱炉1内
から取り出した上で、組織がオーステナイト及びフェラ
イトの二相となる二相域焼入れ温度(本実施例では、7
80℃)を目標とする温度領域まで適宜時間(例えば、
15〜20分)をかけて空冷する。その空冷のままで
は、前記温度領域はかなり大きく、厚肉鋳鋼管Aの各部
分でかなりの温度ムラが存在する。そこで、前記空冷が
行われて温度ムラの存在する状態(又は、前記空冷が行
われつつあって温度ムラの存在する状態)の厚肉鋳鋼管
Aを回転させつつ、その厚肉鋳鋼管Aの内部へ、ミスト
状の冷却流体(具体的には、水のミスト)を供給して、
厚肉鋳鋼管Aの内側を強制冷却することにより、厚肉鋳
鋼管Aの各部温度の均一化を図ることとする。尚、厚肉
鋳鋼管Aの内部へミスト状の冷却流体を供給して厚肉鋳
鋼管Aの内側を強制冷却するに際し、厚肉鋳鋼管Aを回
転させることは必ずしも必須要件ではないが、厚肉鋳鋼
管Aを回転させた方が温度均一化のためにより有効であ
る。そして、前記温度の均一化を図った後、厚肉鋳鋼管
Aを水槽2へ投入して焼入れを行う。尚、厚肉鋳鋼管A
の内部へミスト状の冷却流体を供給する供給手段として
は、例えば、厚肉鋳鋼管Aの管軸方向へ延在する状態に
厚肉鋳鋼管Aの外側近傍に配置され且つ噴出口3aが厚
肉鋳鋼管Aの内部へ向けられたノズル3を使用する。そ
のノズル3の背後には、送風機(図外)を配置してお
き、その送風機による送風に、ノズル3の噴出口3aか
らミスト状に噴出される前記冷却流体を乗せて、そのミ
スト状の冷却流体を厚肉鋳鋼管Aの内部へ供給する。
【0012】このような手順の熱処理を行う場合、二相
域焼入れ温度を目標とする温度領域まで空冷される厚肉
鋳鋼管Aには、空冷のままでは肉厚方向・管軸方向に温
度ムラが生じるが、本発明方法によれば、前記温度領域
まで空冷される厚肉鋳鋼管Aの内部へミスト状の冷却流
体がノズル3から供給され、厚肉鋳鋼管Aの内側が強制
冷却されるので、その強制冷却後においては、厚肉鋳鋼
管Aの温度ムラが解消されて、厚肉鋳鋼管Aの各部温度
が目標の二相域焼入れ温度(又は、その温度に極めて近
い温度)に均一化されるようになる。しかも、厚肉鋳鋼
管Aの内部へミスト状の冷却流体を供給するに際し、そ
の供給量を容易に変更することができるので、その供給
量の変更に基づいて、厚肉鋳鋼管Aの強制冷却速度を容
易に変化させることができる。
域焼入れ温度を目標とする温度領域まで空冷される厚肉
鋳鋼管Aには、空冷のままでは肉厚方向・管軸方向に温
度ムラが生じるが、本発明方法によれば、前記温度領域
まで空冷される厚肉鋳鋼管Aの内部へミスト状の冷却流
体がノズル3から供給され、厚肉鋳鋼管Aの内側が強制
冷却されるので、その強制冷却後においては、厚肉鋳鋼
管Aの温度ムラが解消されて、厚肉鋳鋼管Aの各部温度
が目標の二相域焼入れ温度(又は、その温度に極めて近
い温度)に均一化されるようになる。しかも、厚肉鋳鋼
管Aの内部へミスト状の冷却流体を供給するに際し、そ
の供給量を容易に変更することができるので、その供給
量の変更に基づいて、厚肉鋳鋼管Aの強制冷却速度を容
易に変化させることができる。
【0013】次に、別実施例について説明する。厚肉鋳
鋼管Aの内部へ前記冷却流体を供給するに際し、その供
給を、厚肉鋳鋼管Aの一端からのみ行う(上述の実施例
は、一端からのみ行う例である)こととすれば、厚肉鋳
鋼管Aの一端側部分が他端側部分より強制冷却され易
く、管軸方向にわたって温度ムラが発生し易い傾向にあ
るが、上述したノズル3と同様構成のノズル(図外)を
厚肉鋳鋼管Aの両側に配置しておき、それら両ノズルを
用いて、前記ミスト状の冷却流体の供給を厚肉鋳鋼管A
の両端から交互に行うこととすれば、上述したように管
軸方向にわたって温度ムラが発生する傾向が抑えられる
ようになる。
鋼管Aの内部へ前記冷却流体を供給するに際し、その供
給を、厚肉鋳鋼管Aの一端からのみ行う(上述の実施例
は、一端からのみ行う例である)こととすれば、厚肉鋳
鋼管Aの一端側部分が他端側部分より強制冷却され易
く、管軸方向にわたって温度ムラが発生し易い傾向にあ
るが、上述したノズル3と同様構成のノズル(図外)を
厚肉鋳鋼管Aの両側に配置しておき、それら両ノズルを
用いて、前記ミスト状の冷却流体の供給を厚肉鋳鋼管A
の両端から交互に行うこととすれば、上述したように管
軸方向にわたって温度ムラが発生する傾向が抑えられる
ようになる。
【0014】上述の各実施例においてはいずれも、前記
厚肉鋳鋼管Aの内部へ、前記ノズル3からミスト状の冷
却流体を供給するものであった(水を選択したのは、後
処理が容易であること等による)が、事情によっては、
水以外のミスト状の冷却流体を供給してもよい。また、
厚肉鋳鋼管Aの形状やその熱処理条件等によっては、ミ
ストとはいえない状態の冷却流体を供給してもよい場合
がある。特に、比較的薄肉の鋳鋼管の熱処理を行うとき
には、単なる空気を前記ノズル3から冷却流体として供
給しても十分な効果がある場合がある。
厚肉鋳鋼管Aの内部へ、前記ノズル3からミスト状の冷
却流体を供給するものであった(水を選択したのは、後
処理が容易であること等による)が、事情によっては、
水以外のミスト状の冷却流体を供給してもよい。また、
厚肉鋳鋼管Aの形状やその熱処理条件等によっては、ミ
ストとはいえない状態の冷却流体を供給してもよい場合
がある。特に、比較的薄肉の鋳鋼管の熱処理を行うとき
には、単なる空気を前記ノズル3から冷却流体として供
給しても十分な効果がある場合がある。
【0015】また、厚肉鋳鋼管Aの内部へミスト状の冷
却流体を供給するノズル3として、図2に示すように、
その噴出口3bを厚肉鋳鋼管Aの内部中央に位置させた
実施例も考えられる。この場合、厚肉鋳鋼管Aの両端部
外側に、前記ノズル3の噴出口3bから噴出供給される
ミスト状の冷却流体を吸引する吸引装置(図外)を夫々
設ける。この方法は、厚肉鋳鋼管Aの長さが長い場合に
おける管軸方向の温度ムラの解消に有効である。
却流体を供給するノズル3として、図2に示すように、
その噴出口3bを厚肉鋳鋼管Aの内部中央に位置させた
実施例も考えられる。この場合、厚肉鋳鋼管Aの両端部
外側に、前記ノズル3の噴出口3bから噴出供給される
ミスト状の冷却流体を吸引する吸引装置(図外)を夫々
設ける。この方法は、厚肉鋳鋼管Aの長さが長い場合に
おける管軸方向の温度ムラの解消に有効である。
【0016】また、厚肉鋳鋼管Aの内部へミスト状の冷
却流体を供給する装置として、図3に示すように、二重
供給径路を有するノズル3を使用し、そのノズル3の二
重供給径路の各噴出口3d,3eのうちの一方の噴出口
3dを厚肉鋳鋼管Aの一端部に位置させ、且つ、前記各
噴出口のうちの他方の噴出口3eのを厚肉鋳鋼管Aの内
部中央に位置させた実施例も考えられる。このようなノ
ズル3によれば、前記冷却流体の供給方向下流側の冷却
能が相対的に低下し易い傾向を、厚肉鋳鋼管Aの内部中
央に位置させた噴出口3eからの冷却流体による冷却に
よって解消することができる。
却流体を供給する装置として、図3に示すように、二重
供給径路を有するノズル3を使用し、そのノズル3の二
重供給径路の各噴出口3d,3eのうちの一方の噴出口
3dを厚肉鋳鋼管Aの一端部に位置させ、且つ、前記各
噴出口のうちの他方の噴出口3eのを厚肉鋳鋼管Aの内
部中央に位置させた実施例も考えられる。このようなノ
ズル3によれば、前記冷却流体の供給方向下流側の冷却
能が相対的に低下し易い傾向を、厚肉鋳鋼管Aの内部中
央に位置させた噴出口3eからの冷却流体による冷却に
よって解消することができる。
【0017】また、上述の実施例は、建築構造用の厚肉
鋳鋼管の低降伏比化を図る場合に本発明方法を実施する
ものであったが、他の厚肉鋳鋼管、例えば、パイプライ
ン用の厚肉鋳鋼管の低降伏比化を図る場合においても本
発明方法を実施することができる。
鋳鋼管の低降伏比化を図る場合に本発明方法を実施する
ものであったが、他の厚肉鋳鋼管、例えば、パイプライ
ン用の厚肉鋳鋼管の低降伏比化を図る場合においても本
発明方法を実施することができる。
【0018】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図1】本発明に係る熱処理方法を模式的に示す説明図
【図2】本発明方法の別実施例を示す説明図
【図3】本発明方法の別実施例を示す説明図
【図4】従来の熱処理方法を模式的に示す説明図
【図5】二相域焼入れ条件を示すグラフ
【図6】直接二相域焼入れ条件を示すグラフ
A 厚肉鋳鋼管
Claims (2)
- 【請求項1】 組織がオーステナイト単相となるように
加熱された厚肉鋳鋼管(A)を、組織がオーステナイト
及びフェライトの二相となる二相域焼入れ温度を目標と
する温度領域まで空冷した後、その温度領域からの焼入
れを行う厚肉鋳鋼管の熱処理方法であって、 前記温度領域まで空冷される厚肉鋳鋼管(A)の内部へ
ミスト状の冷却流体を供給して、前記厚肉鋳鋼管(A)
の内側を強制冷却することにより、前記厚肉鋳鋼管
(A)の各部温度の均一化を図った後、前記焼入れを行
う厚肉鋳鋼管の熱処理方法。 - 【請求項2】 前記厚肉鋳鋼管(A)の内部への前記冷
却流体の供給を、前記厚肉鋳鋼管(A)の両端から交互
に行う請求項1記載の厚肉鋳鋼管の熱処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34659492A JPH06192739A (ja) | 1992-12-25 | 1992-12-25 | 厚肉鋳鋼管の熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34659492A JPH06192739A (ja) | 1992-12-25 | 1992-12-25 | 厚肉鋳鋼管の熱処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06192739A true JPH06192739A (ja) | 1994-07-12 |
Family
ID=18384489
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34659492A Pending JPH06192739A (ja) | 1992-12-25 | 1992-12-25 | 厚肉鋳鋼管の熱処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06192739A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS52140407A (en) * | 1976-05-20 | 1977-11-24 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | Induction heating of steel pipe of large |
JPS59116323A (ja) * | 1982-12-24 | 1984-07-05 | Nippon Steel Corp | 鋼管の焼入方法 |
JPS63186831A (ja) * | 1987-01-28 | 1988-08-02 | Nippon Steel Corp | 鋼管の内面焼入方法 |
JPH0387317A (ja) * | 1989-06-13 | 1991-04-12 | Nippon Steel Corp | 降伏比の低い鋼管または角管の製造方法 |
JPH04202714A (ja) * | 1990-11-30 | 1992-07-23 | Aisin Seiki Co Ltd | パイプの精密挿入方法 |
-
1992
- 1992-12-25 JP JP34659492A patent/JPH06192739A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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