JPH06192710A - 圧縮機用摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

圧縮機用摺動部材およびその製造方法

Info

Publication number
JPH06192710A
JPH06192710A JP34697492A JP34697492A JPH06192710A JP H06192710 A JPH06192710 A JP H06192710A JP 34697492 A JP34697492 A JP 34697492A JP 34697492 A JP34697492 A JP 34697492A JP H06192710 A JPH06192710 A JP H06192710A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compressor
powder
carbon
sliding member
sintered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34697492A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Morioka
勉 森岡
Kunpei Kobayashi
薫平 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP34697492A priority Critical patent/JPH06192710A/ja
Publication of JPH06192710A publication Critical patent/JPH06192710A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】油潤滑が困難な使用環境下で使用した場合にお
いても優れた耐摩耗性および摺動性を発揮するととも
に、構造部材としても充分な強度を有する圧縮機用摺動
部材およびその製造方法を提供する。 【構成】圧縮機用摺動部材は、フェライトおよびパーラ
イト基地に炭素を分散させた組織を有する焼結合金から
成り、上記炭素がニッケルにより被覆されていることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧縮機用摺動部材および
その製造方法に係り、特に油潤滑が困難であり、また高
負荷条件下で使用される圧縮機の摺動部材として優れた
耐摩耗性、摺動性および構造強度を有し、圧縮機の耐久
性を高めることが可能な圧縮機用摺動部材およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍機、冷蔵庫、空調機やショーケース
においては冷媒を圧縮する圧縮機が主要機器として装備
されている。上記用途例において一般的に使用されてい
る圧縮機として、図1および図2に示すような密閉型の
ロータリ圧縮機がある。
【0003】この圧縮機1は、ケ―シング2の内部にモ
ータ3aと圧縮要素3bとを内装し、圧縮要素3bはモ
ータ3から延びる回転軸4を主軸受5と副軸受6に挿通
させ、この主軸受5と副軸受6との間に、仕切板7を介
して2基のシリンダ8a,8bを配設し、各シリンダ8
a,8b内において、前記回転軸4に形成された偏心部
9a,9bにそれぞれ円筒状のローラ10a,10bを
嵌合させる一方、第2図に示すように偏心回転するロー
ラ10a,10bに対して常時押し付けて接触するよう
に、ベーン11a,11bが配設されて構成される。ベ
ーン11a,11bは偏心部9a,9bおよびローラ1
0a,10bの回転に応じて往復動し、各シリンダ8
a,8b内部を圧力的に仕切る役割を果している。こう
して圧縮機1は、モータ3の駆動によって前記ローラ1
0a,10bをシリンダ8a,8b内において偏心回転
させることにより、シリンダ8a,8b内に吸入したガ
スを圧縮して吐出するものである。
【0004】上記のような圧縮機1においては、主副軸
受5,6と回転軸4、シリンダ8とベーン11、仕切板
7とローラ10など相互に摺接する摺動部における摩耗
が特に顕著になるため、高い耐摩耗性を有する摺動材で
形成する必要がある。
【0005】従来、この種の摺動材としては、高速度鋼
や共晶黒鉛鋳鉄の溶解材、さらにより具体的には、FC
鋳物材、SMF4030などのSMF−4種材(鉄−炭
素−銅系合金)など耐摩耗性を高めた材料が一般に使用
されている。
【0006】しかしながら、近年、圧縮機は冷凍機用、
冷蔵庫用、空調機用などの用途を問わず、高性能化や使
用条件の拡大が求められている。特に空調機において
は、使用者の住空間の変化や快適性の要求水準の高まり
が著しく、インバータを装備したものが標準品になりつ
つある。このような空調機に使用される圧縮機では従来
以上に苛酷な運転条件、すなわち高負荷条件下での高速
運転や変速運転が要求されている。
【0007】特にエネルギ効率を高めるために圧縮機の
ON−OFF動作の回数を低減して、より低速域での運
転を行なうと、回転軸と主副軸受との間の摺動部への給
油量が減少して焼付きが生じ易くなるとともに、ジャー
ナル軸受としての軸受負荷が低下して、回転軸と主副軸
受とが金属接触する機会が増大して摩耗が急速に進行し
てしまう問題点がある。
【0008】特に副軸受は、長さが小さく回転軸との接
触面積も小さくなるため、副軸受のPV値は主軸受より
も高くなり過酷な条件で運転されるため、副軸受の耐久
性が圧縮機全体の耐久性を支配することになる。
【0009】一方、ロータリ式コンプレッサの軸受、シ
リンダ、ローラ、ベーン板等の摺動部品を多孔質の焼結
合金で形成することは、複雑形状の部品を容易に形成す
ることができることから、従来から広く採用されてい
る。例えば、焼結合金に潤滑油を含浸せしめた焼結含油
軸受にあっては、空孔内部に含浸されている潤滑油が軸
受面に滲出して潤滑作用を発揮するものであるが、高温
で油潤滑が困難な使用環境に配置した場合には、潤滑油
の蒸発が大となり油膜切れによる回転軸の焼付が起き易
くなる。
【0010】その焼付事故を防止するため、黒鉛の固体
潤滑作用を利用し、合金基地中に黒鉛を分散させた焼結
合金が広く使用されるに至っている。この種の焼結合金
製摺動部材は、一般に鉄粉末に所定量の黒鉛粉末を添加
混合して成形し、得られた成形体を所定の温度で焼結し
て製造されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記焼
結操作において焼結温度が高い場合には、黒鉛成分が鉄
成分中に拡散移動し、固溶するとともに鉄と黒鉛とが反
応して極めて高硬度のセメンタイトを生成する欠点があ
る。このセメンタイトを生成した焼結体で圧縮機の軸受
材を形成した場合には、相手部材(回転軸)をかじり攻
撃する性質(スカッフィング性)が極めて高くなる。そ
こで従来は上記セメンタイトを生成しないように920
〜1000℃の比較的低温度の焼結条件で焼結操作を実
施していた。
【0012】しかしながら、低温度で焼結した場合は、
焼結性が低下し、焼結合金の密度が低い上に機械的強度
が低くなり、軸受材の破損や摩耗が顕著になり圧縮機用
摺動部材としての実用に供することが困難となる問題点
があった。
【0013】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、圧縮機の摺動部のように油潤滑が困難
な使用環境下で使用した場合においても優れた耐摩耗性
および摺動性を発揮するとともに、構造部材としても充
分な強度を有する圧縮機用摺動部材およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る圧縮機用摺動部材は、フェライトおよ
びパーライト基地に炭素を分散させた組織を有する焼結
合金から成り、上記炭素がニッケルにより被覆されてい
ることを特徴とする。
【0015】また焼結合金は、重量%でCuを0.5〜
20%とSnを0.3〜5%と炭素を1〜4%とNiを
0.5〜5%と残部実質的に鉄とから成る鉄系焼結合金
で形成される。
【0016】さらに炭素を被覆するニッケル量は炭素重
量に対して10〜80重量%以上に設定するとよい。
【0017】また本発明に係る圧縮機用摺動部材の製造
方法は、鉄粉末に対して重量比で、Niを被覆した黒鉛
を含む炭素粉末を1〜4%、銅粉を0.5〜20%、錫
粉を0.3〜5%、Ni粉末を0.5〜5%添加混合し
て所定形状の成形体を形成し、得られた成形体を温度1
050〜1140℃で焼結することにより、フェライト
およびパーライト基地に黒鉛が分散した組織を形成する
ことを特徴とする。
【0018】以下本発明に係る摺動部材の組成等につい
て以下に順次説明する。
【0019】Niは摺動材の焼付を防止する等、それ自
体で摺動部材の摺動特性を改善する効果があり、一方炭
素表面に被覆することにより、加熱焼結時における炭素
成分の鉄中への拡散が防止でき、炭素成分を遊離黒鉛と
して焼結合金基地中に残すことができる。特に相互に固
溶しにくいニッケルにより炭素を被覆することによって
炭素成分のFeへの拡散が防止できるため、従来より高
い焼結温度で焼結操作を実施することが可能であり、そ
の結果、密度が高く構造強度にも優れた焼結摺動部材を
製造することができる。
【0020】上記炭素を被覆するためのNiを含めて焼
結合金全体に占めるNiの含有量は0.5〜5wt%に
設定される。Ni含有量が0.5wt%未満の場合に
は、耐焼付性を付与する効果および炭素の拡散防止効果
が少なく、セメンタイトが生成し易くなる。一方含有量
が5wt%を超える場合には、焼結合金中に残留するオ
ーステナイト組織の割合が高まり、摺動部材の対温度安
定性や硬度が低下してしまう。
【0021】また炭素表面にNiを被覆する方法として
は、例えばNi蒸気を含有したガス中に原料カーボン粉
末を浮遊させてカーボン表面にNiのコーティング層を
形成するカーボニル法などが採用される。このNiコー
ティングに際して、炭素を被覆するニッケル量は炭素重
量に対して10重量%以上80%以下に設定するとよ
い。ニッケル量が10wt%未満の場合には炭素粒子全
表面にNiコーティング層が形成されにくく、焼結時に
被覆されない部分から炭素成分が拡散してしまう。また
ニッケル量が80wt%を超える場合には、前記の通り
焼結合金にオーステナイト組織が形成され易くなり基地
の硬度が低下し耐摩耗性が低下してしまう。好ましくは
30〜70wt%程度が好適である。
【0022】Cは、焼結合金基地を構成するFeと反応
して耐摩耗性を有するパーライトを生成する元素であ
り、かつ基地中に遊離黒鉛として分散し、摺動面の潤滑
性を高めて摺動部材のかじりを防止し、初期摺動特性を
改善するために1〜4wt%添加される。Cの添加量が
1wt%未満の場合には、遊離黒鉛の生成量が少なく摺
動特性の改善効果が少ない。一方、添加量が4wt%を
超える場合には、焼結合金が脆化するとともに成形性が
低下し、高密度かつ高強度の焼結体が得られにくい。
【0023】また焼結合金基地中に分散させる遊離黒鉛
量は、Cの総添加量の30%以上が望ましく、0.7〜
3.3wt%の範囲に設定するとよい。遊離黒鉛量が
0.7wt%未満の場合には、黒鉛の固体潤滑作用が充
分ではなく、一方、3.3wt%を超える場合には、焼
結合金の構造強度が低下してしまうため、遊離黒鉛量は
上記範囲に設定される。
【0024】またCuはSnと合金化されて焼結合金組
織に分散する青銅となり、摺動部材の初期摺動特性を改
善するために0.5〜20wt%添加される。Cuの添
加量が0.5wt%未満の場合には、初期摺動特性の改
善効果が少ない一方、添加量が20wt%を超えると、
硬度が低下し、摺動部材としての耐久性が低下してしま
う。Snは、青銅合金を形成するためCuの添加量の1
/3〜1/5程度、すなわち0.3〜5%添加される。
但し、添加する場合は青銅粉末として添加することも可
能である。
【0025】さらに摺動部材の耐摩耗性および摺動特性
を改善するために上記Cu,Sn,C,Niの他にM
o,Siから選択される少なくとも1種の元素を所定量
添加するとよい。例えばMo場合は、その添加量を0.
5〜10%、Siの場合は0.3〜4%の範囲に設定す
るとよい。すなわちMoは摺動部材の耐摩耗性および摺
動特性を改善するために有効であり、過量の添加は、成
形性を阻害するため添加量は上記範囲内に設定される。
またSiは焼結合金基地中に生成する固体潤滑剤として
の遊離黒鉛量を高め、摺動部の潤滑性を向上させる作用
があるが、過量の添加はMoと同様に成形性を悪化させ
る一方、基地の強度低下を招くため、添加量は上記範囲
内に設定される。
【0026】本発明に係るFe系圧縮機用摺動部材は、
鉄原料粉末に対して、Niを被覆した黒鉛を含む炭素粉
末、銅粉、錫粉、および必要に応じてNi粉末を添加し
て、さらに原料混合体に対して0.5〜2重量%の潤滑
剤を添加して均一な混合粉末を調製し、得られた混合粉
末を400〜600MPaの成形圧で加圧成形して所定
形状の成形体とした後に、この成形体をN2 ガスなどの
非酸化性雰囲気中で温度1050〜1140℃で0.5
〜1時間焼結して製造される。
【0027】本発明では炭素粉末に予めNiを被覆して
いるため、高い焼結温度を採用した場合においても炭素
成分がFe成分方向に拡散移動することがNi被膜によ
って効果的に防止することができる。すなわち従来の製
法と比較して焼結温度を1050〜1140℃と高く設
定することが可能となり、焼結性が改善され、構造強度
が高い焼結合金を形成することができる。
【0028】焼結温度が1050℃未満の場合には、焼
結性が不充分であり、焼結体の充分な構造強度が得られ
ない。一方焼結温度が1140℃を超える場合には、焼
結時に液相が発生し組成が不均一な焼結体となるととも
にセメンタイトが生成して摺動部材の相手攻撃性が増加
してしまう。
【0029】
【作用】上記構成に係る圧縮機用摺動部材およびその製
造方法によれば、合金基地中に分散される炭素がニッケ
ルによって被覆されているため、加熱焼結時において、
炭素成分が鉄中に拡散することが防止でき、固体潤滑剤
としての遊離黒鉛を多く基地中に残すことができる。ま
た炭素成分が鉄と反応して高硬度のセメンタイトを生成
することが効果的に防止されスカッフィング性が少ない
摺動部材を提供することができる。
【0030】特にニッケル被覆によって炭素成分の拡散
が防止できるため、従来より高い焼結温度で焼結操作を
実施することが可能であり、密度が高く構造強度にも優
れた焼結摺動部材を提供できる。またニッケル自体が摺
動特性を大きく改善する作用を有しているため、摺動性
および構造強度が共に優れた焼結摺動部材が得られる。
したがってこの摺動部材により主軸受および副軸受等を
形成した圧縮機は耐久性が極めて優れる。
【0031】
【実施例】次に本発明に係る圧縮機用摺動部材の一実施
例について従来の摺動部材と比較してより具体的に説明
する。
【0032】実施例1〜5 実施例1〜5に係る圧縮機用摺動部材としての副軸受を
下記手順でそれぞれ調製した。すなわち、粒径145μ
m以下のFe粉末に、Snを9〜11重量%含有する粒
径145μm以下の青銅粉と、粒径20μm以下の黒鉛
粉を0.8重量%と、黒鉛重量に対して60重量%のN
iを被覆した粒径100μm以下のNi被覆黒鉛粉末と
を所定ずつ秤量し、添加した混合体に対し潤滑剤として
のステアリン酸亜鉛を1.0重量%添加して均一に混合
して、最終的に表1の左欄に示す組成となるように各粉
末を添加混合して5種類の粉末混合体を調製した。
【0033】次に得られた各粉末混合体を成形圧500
MPaで加圧して成形密度が6.5g/cm3 の成形体を
得た。
【0034】次に各成形体をN2 ガスの非酸化性雰囲気
下で1120℃の温度条件下で30分間焼結して、5種
類の焼結摺動部材を製造した。さらに得られた焼結摺動
部材を0.1MPaの過熱水蒸気中で温度600℃で3
時間加熱することにより封孔処理を実施した。そして、
各焼結摺動部材を機械研削加工して、外径65mm、内径
16mm、高さ15mmの外形寸法を有するロータリコンプ
レッサ用のリング状の副軸受試料を製造した。
【0035】ここで上記封孔処理により焼結体の基地組
織の空孔に鉄酸化物が分散生成される。この鉄酸化物量
は焼結体の全容積に対して5〜20 vol%に設定すると
よい。この鉄酸化物は焼結体の耐摩耗性を向上させると
ともに、焼結体の基地組織の空孔を封じる役割(封孔作
用)を果して気密性を与える。この封孔処理を行なうこ
とにより、圧縮機内の冷媒ガスが焼結体中を通り抜ける
ことが防止できるため、圧縮機の体積効率を大幅に改善
することができる。鉄酸化物はまた潤滑油の保油性に優
れている。鉄酸化物の生成量が5 vol%未満であると上
記効果が少なく、一方生成量が20 vol%を超えると、
焼結体の強度が低下してしまう。さらに、水蒸気処理に
より焼結体の基地組織に存在している窒素分が拡散し
て、基地組織の粒子中に固溶するために、窒素分の存在
による焼結体の脆化を大幅に改善できる。
【0036】比較例1〜2 一方、比較例1〜2として、Niで被覆した黒鉛粉末を
使用せずに通常の黒鉛粉末を使用した点および焼結温度
をセメンタイトが発生しない温度1000℃に設定した
点以外は、実施例1〜5と同一処理条件にて原料混合、
加圧成形、焼結して、最終的に表1左欄に示す組成およ
び実施例1〜5と同一寸法を有する副軸受試料を製造し
た。
【0037】こうして得られた実施例1〜5および比較
例1〜2の焼結摺動部材としての副軸受の構造強度を比
較評価するために各軸受の密度を測定して表1に示す結
果を得た。
【0038】また各副軸受の耐摩耗特性、摺動特性およ
びロータリ圧縮機全体としての耐久性を評価するため
に、実施例1〜5および比較例1〜2の各副軸受を図
1,2に示すロータリ式圧縮機に実装し、インバータ制
御により所定間隔で高速運転および低速運転を繰り返す
という最も潤滑条件が悪化する条件を設定し、連続的に
2000時間運転する耐久試験を実施した。そして運転
時間が2000時間に達した時点における各回転軸(F
CD製)および副軸受の摩耗量をそれぞれ測定し、下記
表1に示す結果を得た。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示す結果から明らかなように、Ni
によって被覆された黒鉛粉末を炭素源として使用した実
施例1〜5の副軸受においては、高温度条件で焼結が可
能であるため、密度がいずれも高く優れた構造強度を有
している。また高温度で焼結して製造されているにも拘
らず、セメンタイトの形成が抑制されており、回転軸お
よび副軸受の摩耗量も少なく、良好な摺動特性および耐
久性を発揮する圧縮機が得られることが確認された。特
に相手材(回転軸)に対するかじり攻撃も少なく、耐ス
カッフィング特性も大幅に改善され、圧縮機の寿命が大
幅に延押された。
【0041】一方、比較例1〜2の副軸受においては焼
結温度が低く抑えられているため、密度が低く構造強度
が相対的に低くなり、耐摩耗性も低下することが確認さ
れた。
【0042】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る圧縮機用摺
動部材およびその製造方法によれば、合金基地中に分散
される炭素がニッケルによって被覆されているため、加
熱焼結時において、炭素成分が鉄中に拡散することが防
止でき、固体潤滑剤としての遊離黒鉛を多量に基地中に
残すことができる。また炭素成分が鉄と反応して高硬度
のセメンタイトを生成することが効果的に防止されスカ
ッフィング性が少ない摺動部材を提供することができ
る。
【0043】特にニッケル被覆によって炭素成分の拡散
が防止できるため、従来より高い焼結温度で焼結操作を
実施することが可能であり、密度が高く構造強度にも優
れた焼結摺動部材を提供できる。またニッケル自体が摺
動特性を大きく改善する作用を有しているため、摺動性
および構造強度が共に優れた焼結摺動部材が得られる。
したがって上記摺動部材を圧縮機の副軸受等の材料とし
て使用することにより、耐久性に優れた圧縮機を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】密閉型ロータリ圧縮機の構造を示す縦断面図。
【図2】図1に示す圧縮機のロータ部を示す平断面図。
【符号の説明】
1 圧縮機 2 ケ―シング 3a モータ 3b 圧縮要素 4 回転軸 5 主軸受 6 副軸受 7 仕切板 8,8a,8b シリンダ 9,9a,9b 偏心部 10,10a,10b ローラ 11,11a,11b ベーン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライトおよびパーライト基地に炭素
    を分散させた組織を有する焼結合金から成り、上記炭素
    がニッケルにより被覆されていることを特徴とする圧縮
    機用摺動部材。
  2. 【請求項2】 焼結合金は、重量%でCuを0.5〜2
    0%とSnを0.3〜5%と炭素を1〜4%とNiを
    0.5〜5%と残部実質的に鉄とから成る鉄系焼結合金
    である請求項1記載の圧縮機用摺動部材。
  3. 【請求項3】 炭素を被覆するニッケル量が炭素重量に
    対して10〜80重量%であることを特徴とする請求項
    1記載の圧縮機用摺動部材。
  4. 【請求項4】 鉄粉末に対して重量比で、Niを被覆し
    た黒鉛を含む炭素粉末を1〜4%、銅粉を0.5〜20
    %、錫粉を0.3〜5%、Ni粉末を0.5〜5%添加
    混合して所定形状の成形体を形成し、得られた成形体を
    温度1050〜1140℃で焼結することにより、フェ
    ライトおよびパーライト基地に黒鉛が分散した組織を形
    成することを特徴とする圧縮機用摺動部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 回転軸を摺動自在に保持する主軸受や副
    軸受等の軸受を配設した圧縮機において、上記軸受のう
    ち少なくとも副軸受を、フェライトおよびパーライト基
    地に炭素を分散させた組織を有し、上記炭素がニッケル
    により被覆された焼結合金で形成したことを特徴とする
    圧縮機。
JP34697492A 1992-12-25 1992-12-25 圧縮機用摺動部材およびその製造方法 Pending JPH06192710A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34697492A JPH06192710A (ja) 1992-12-25 1992-12-25 圧縮機用摺動部材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34697492A JPH06192710A (ja) 1992-12-25 1992-12-25 圧縮機用摺動部材およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06192710A true JPH06192710A (ja) 1994-07-12

Family

ID=18387075

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34697492A Pending JPH06192710A (ja) 1992-12-25 1992-12-25 圧縮機用摺動部材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06192710A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015528850A (ja) * 2012-02-15 2015-10-01 ジーケーエヌ シンター メタルズ、エル・エル・シー 固体潤滑剤を含む粉末金属及びそれで作られた粉末金属スクロール圧縮機

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015528850A (ja) * 2012-02-15 2015-10-01 ジーケーエヌ シンター メタルズ、エル・エル・シー 固体潤滑剤を含む粉末金属及びそれで作られた粉末金属スクロール圧縮機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4944663A (en) Rotary compressor having oxidizing and nitriding surface treatment
JP3876756B2 (ja) Co2冷媒圧縮機用軸受とこれを用いた圧縮機及びその用途
KR100398563B1 (ko) 회전압축기 및 그 제조 방법
JPH05271928A (ja) 摺動部材とその製法並びにその用途
JP3613569B2 (ja) 焼結軸受用複合金属粉末および焼結含油軸受
US4904302A (en) Roller in rotary compressor and method for producing the same
JP2825334B2 (ja) 圧縮機
US4861372A (en) Roller in rotary compressor and method for producing the same
JP3878835B2 (ja) 冷媒圧縮機とこれを用いた空調機及び冷凍機並びにその軸受
JPH06192710A (ja) 圧縮機用摺動部材およびその製造方法
JPH0551708A (ja) 圧縮機用耐摩耗材料およびその材料を使用した圧縮機
JP7024291B2 (ja) 鉄系焼結軸受及び鉄系焼結含油軸受
JPH0551707A (ja) 圧縮機用耐摩耗材料
JP5640885B2 (ja) スクロール型圧縮機
JPH06207253A (ja) 鉄基摺動部品材料
JPH0551709A (ja) 圧縮機用摺動部品材料
JPH07173509A (ja) 耐摩耗性材料,その製造方法およびその材料を使用した圧縮機
JPH06207252A (ja) 鉄基摺動部品材料
JPH03162559A (ja) 摺動部材およびそれを用いた圧縮機
JPH1088203A (ja) 圧縮機用摺動部品材料およびその製造方法
JPH066943B2 (ja) ヒ−トポンプ式ル−ムエアコン
JPH02133549A (ja) 耐摩耗性複合焼結材料及びその製造方法
JPH06192784A (ja) 耐摩耗性焼結摺動部材
JPH0544674A (ja) 圧縮機
KR100202963B1 (ko) 로타리식 압축기 베인용 내마모성 철계소결합금 및 그 제조방법