JPH0619108B2 - 鋼片の表面割れを防止した熱間圧延法 - Google Patents

鋼片の表面割れを防止した熱間圧延法

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JPH0619108B2
JPH0619108B2 JP61042873A JP4287386A JPH0619108B2 JP H0619108 B2 JPH0619108 B2 JP H0619108B2 JP 61042873 A JP61042873 A JP 61042873A JP 4287386 A JP4287386 A JP 4287386A JP H0619108 B2 JPH0619108 B2 JP H0619108B2
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cracking
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B1/00Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations
    • B21B1/02Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations for rolling heavy work, e.g. ingots, slabs, blooms, or billets, in which the cross-sectional form is unimportant ; Rolling combined with forging or pressing
    • B21B1/026Rolling
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B1/00Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations
    • B21B1/46Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations for rolling metal immediately subsequent to continuous casting

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、アルミキルド鋼、アルミセミキルド鋼または
アルミシリコンミルド鋼等自動車用鋼板、一般建築用鋼
板、造船用鋼板、機械構造用鋼板等に供される炭素鋼な
らびにNb、V等を含有する低合金鋼の熱間圧延時の表面
割れを防止した熱間圧延法に関するものであり、特にそ
れらの鋼の連続鋳造直後の鋳片をただちに熱間圧延する
か、また連続鋳造後そのまま鋳片を保温炉あるいは加熱
炉等に装入してから熱間圧延を行うプロセスにおいて、
熱間圧延時に鋼片の表面に割れの発生するのを防止する
方法に関する。
(従来の技術) すでに当業界において良く知られているように、凝固の
ままの鋳片を途中加熱することなく、その保有熱を利用
してそのまま直接熱間圧延すること(以下、単に“直接
圧延”という)あるいは未だ Ar1変態点以上の表面温度
を有する鋳片を一旦加熱炉、保温炉等に装入してから熱
間圧延すること(以下、単に“直送圧延”という)は省
エネルギーの観点から最も望ましい操業形態であるが、
その実現に当っては鋳片表面性状あるいは設備レイアウ
トなどに関する問題が種々存在していた。しかし近年に
至り、それらに対する技術改善が進むにつれ、直接圧延
あるいは直送圧延に関する検討が活発となってきた。
その結果、直接圧延あるいは直送圧延においては、従来
法、すなわち連続鋳造後、一旦 Ar1変態点以下、室温近
くまで冷却後再加熱して圧延する方法にみられる治金学
的現象とは異った現象が多く見出された。特に、直接熱
間圧延する際には材料の熱間加工性が著しく低下するこ
と、つまり従来法においては何ら問題とならなかったよ
うな鋼種においても直接圧延あるいは直送圧延において
は熱間圧延時に鋼片表面に割れの発生することが判明し
た。
一般に、鋼の熱間加工性は、オーステナイト粒径(以
下、“γ粒径”という)と硫化物、炭窒化物などの析出
状態とから影響を強く受け、γ粒径が微細なほど、また
γ粒界への硫化物、炭窒化物などの析出が少ないほど、
熱間加工性は向上する。
そして従来法においては、材料に冷却再加熱を繰り返す
ことでγ(オーステナイト)α(フェライト)変態を
経験させて、γ粒を微細化し、かつ析出物の多くを粒内
に固定してγ粒界への析出量を少なくすることにより熱
間加工性を向上させていた。
これに対し、直接圧延法あるいは直送圧延法の場合に
は、鋳片のもつ保有熱を最大限に利用することからγ→
α変態を経ずに圧延するのでγ粒径は非常に大きく、か
つγ粒界への析出も多く、したがって、熱間加工性は低
下することとなる。このような熱履歴が熱間圧延時の割
れの原因とされるのである。
このような直接圧延あるいは直送圧延にみられる熱間圧
延時の割れの発生防止に関しては、既にいくつかの提案
がなされているが、これらに共通する考え方は特開昭55
−84201 号あるいは特開昭55−84203 号に代表されるよ
うに、凝固後の鋳片の冷却速度を遅くするか、冷却途中
で所定温度に一定時間以上、例えば10分間超保定してし
て、析出物の形態変化ないし粗大化を図り、γ粒界にお
ける析出物の析出間距離を大きくすることにより割れを
防止しようとするものである。
なお、「Metallurgical Transactions A」Vol.6A、Sep.
(1975)pp.1727 〜1735においては「低炭素鋼の熱間圧
延におよぼす熱履歴および組成の影響」に関し、溶融・
凝固に引き続く冷却過程で、自然放冷される場合、1200
〜800 ℃の温度域で熱間延性が低下すること、そしてこ
の対策として等温保持が有効であることを述べている。
以上のことは上記文献にかぎらず前述の特開昭55−8420
1 号にも述べられている事実であり、両者とも割れ防止
に必要な保定(等温保持)時間は10分間超としている。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明が解決せんとする問題点は、従来技術である保定
あるいは徐冷に要する時間、すなわち例えば特開昭55−
84201 号に開示されれ保持に必要な10分超という時間を
さらに短縮せんとするものである。確かに前記従来技術
以前に行われていた数時間という加熱時間に比べれば10
分間を越える程度という時間は画期的であり、これによ
る省エネルギー効果は非常に大きい。にもかかわらず本
発明は、この時間をさらに短縮せんとするのは次のよう
な理由による。
すなわち、増塊−分塊法にかわる方法として登場した連
続鋳造も最近では円熟期に入り、次の開発テーマとして
薄鋳片の連続鋳造法の開発が業界の重要課題となってお
り、近い将来に実現の見透しが得られる段階となってい
る。そしてこの開発課題の中には単に薄い鋳片を鋳造す
るだけでなく、該鋳片を極力高温のまま、直ちに圧延機
に結び付けようとの思想も含まれている。この場合鋳造
機と圧延機の接続方法として、両者を同一ラインで、す
なわち鋳片を圧延機手前で切断することなく圧延機に送
り込む方法(直結型)および一旦鋳片を切断して、たと
えばコイル状にした後に圧延機に送り込む方法(非直結
型)の2通りが考えられている。まず、直結型の場合、
圧延時の割れを防止するため、鋳造機から出た鋳片を10
分間を超えた時間保定しようとすると、一般に薄鋳片の
鋳造速度は10m/min を越える高速となるため、鋳造機と
圧延機の間で100mを超す、保定のための設備が必要とな
る。このことは建屋を含めた設備全体の長大化を意味
し、設備投資費用の面だけでなく、薄鋳片製造目的の一
つである設備簡素化の点からも、その実現を危うくする
ものである。このことは非直結型の場合でも同様であ
る。また、非直結型の考え方は、このように圧延機の能
力に比べ鋳造機の能力が小さいため、一台の圧延機で数
台の鋳造機から出てくる鋳片をまかなうというものであ
る。この場合にあっても、数台の鋳造聞から次々と送り
出されてくる鋳片を保定するための必要な保定炉等の設
備は保持時間の短縮により著しく簡素化できることは明
白である。
さらに以上のことは単に薄鋳片製造用を対象としたもの
だけでなく、現状の連続鋳造機を、直送圧延あるいは直
接圧延を目的として改造あるいは新設する場合において
も同様である。
以上のように、本発明は省エネルギーはもちろんのこ
と、今後ますます拡大が予想される直送圧延もしくは直
接圧延における鋼片表面割れ対策に必要な設備投資の簡
素化を目的としたものである。
(問題点を解決するための手段) ところで、本発明者は同様に直送圧延あるいは直接圧延
時の割れを防止するため、各種基礎検討を行ってきた
が、その結果、このような熱間加工性の評価においては
圧延条件の考慮が非常に重要なこと、すなわち従来のよ
うなねじり試験あるいは引張試験法では、定量的な評価
が困難なばかりではなく、このような評価法にたよるか
ぎり、十分な割れ対策を確立することは難しいことを知
った。そこで先の従来技術、すなわち割れ対策とし保定
あるいは徐冷法についても実験室的な直圧実験による基
礎検討を行なった結果、目的である保定時間の短縮に必
要な技術課題に関し重要な知見が得られ本発明を成すに
至ったものである。
その検討の第一はいかなる形で保持を行うかである。当
然のことながら鋳片は鋳造機から出た時点では非常に高
温である。そして、圧延が開始されるまでには、その用
途、目的等により異なるが、数100 ℃冷却される。した
がって、この間のどの温度域で、どのような熱履歴で保
持を行うことがよる有利であるかが重要な検討課題であ
る。
以上の項目について調査すべく、実験室的な直圧実験に
よる基礎検討を行なった。主な実験条件としては、 JIS
・SPHC相当の厚さ40mm×幅200mm ×長さ300mm の鋳片を
用い、850 mmφ・2Hi ミルにより40→20→10→5mm のパ
ス・スケジュールのもとで検討を行なった。
第1図は保持後直ちに圧延を開始した時の保持条件と割
れ発生有無の関係を示したものであるが、この場合950
℃以上の温度範囲で、2分以上の保持を行うことにより
割れは防止できることが判明した。一方、実操業におい
ては製品々品質等の観点から圧延開始温度は自ずと決定
されると、さらに保持から圧延間での鋳片搬送にはしる
べき時間が必要であり、その間での鋳片の冷却を考える
と、第1図の如き条件を実操業において満たすことが困
難である。
そこで、次に、圧延開始温度を1000℃一定(但し1000℃
以下の保持では、保持後直ちに圧延開始)とした場合に
ついて検討を行なった。第2図のように、圧延開始温度
より高い温度で保持する場合、保持後空冷し、所定の圧
延開始温度まで冷却するわけであるが、このような熱履
歴の場合、保持温度が高い程、割れ防止に必要な保持時
間は長くなることが明らかとなった。
以上の結果は、保持後鋳片が空冷されるような場合、そ
の冷却過程で再び熱間加工性を低下させるような現象が
生じていることを推定させる。
そこで、この点を解明すべく、次のような検討を行なっ
た。
すなわち、1200〜950 ℃の任意の温度で2分間の保持を
行い、その後一旦鋳片を空冷してから圧延を行うに際
し、保持から圧延開始までの空冷時間を種々変化させ、
割れとの関係を調査した。その結果、第3図に示すよう
に保持温度により2つのタイプに分かれることが判明し
た。
タイプIは保持後短時間の空冷で熱間加工性が低下する
ものであり、タイプIIはこれに対し保持後しばらく空冷
しても熱間加工性が低下しないものである。本調査の結
果、保持温度が1050〜950 ℃の範囲ではタイプIIの傾向
を示し、より高い温度で保持を行うとタイプIの傾向と
なることが判明した。
このことは保持による硫化物の形態変化ないし粗大化は
すみやかに進行するため、その状態で圧延すれば割れは
発生しないが保持後空冷されるような場合、保持開始ま
で、および保持中に析出しきらない硫化物が、冷却過程
で再び熱加工性を低下させるような形態でγ粒界に析出
するため割れが発生しやすいことを示している。しかも
保持温度が高いほど、保持開始までに析出する硫化物は
少ないため、その後の冷却に伴う熱間加工性の低下を防
止するためには、保持時間をより長くする必要がある。
これに対し、1050℃以下まで冷却して保持を行う場合、
硫化物の析出は保持の時点でほぼ完了しているため、こ
の段階で保持を行うことにより、前述の如く硫化物の形
態変化ないし粗大化により熱間加工性は向上し、しかも
その後空冷しても、もはや新たな硫化物の析出は生じな
いため熱間加工性が再び低下することはない。
したがって、タイプIIの傾向を示す条件すなわち一旦10
50℃以下に冷却後保持を行うことにより、保持後鋳片が
冷却過程を経る場合でも、従来法に比べ著しく短時間の
保持で割れが防止できる。
なお、第1図の条件では1200℃以上の温度で保持を行っ
ても割れは発生しないのに対し、第2図の条件では保持
温度が1200℃より高い場合、割れが発生している。これ
は割れの原因となる硫化物の析出開始温度が1200℃であ
り、第2図の条件の場合、1200℃より高い温度域でいく
ら保持を行ってみても、いまだ硫化物が析出していない
ため、その意味がなく、その後の冷却過程で硫化物の析
出が生じるためである。これに対し第1図のように保持
後直ちに圧延する場合、1200℃以上では、保持としての
意味はないものの、割れの原因となる硫化物も析出して
いないため、割れは発生しない。そこで第3図のタイプ
IIのように、一旦1050℃以下に冷却した後保持を行う場
合について、同様に保持温度の有効範囲について調査を
行った。第4図は一旦鋳片を1050℃以下に冷却後、最高
1300℃までの各温度で、各々10分および30分の保持を行
った後、1100℃まで空冷して圧延を行った時の割れ発生
条項を示したものである。本調査結果より、1300℃で10
分までの保持では割れは発生しないが、1300℃で30分間
保持を行った場合割れが発生することが判明した。これ
は1300℃で30分間保持した場合、一旦析出した硫化物
が、保持中に再固溶し、その後の冷却過程でγ粒界に再
析出するためである。以上のことから一旦硫化物の析出
をほぼ完了させた後、保持を行うことにより、従来法に
比べ短時間の保持で割れは防止できるものの、保持温度
の選定に際しては、硫化物を際固溶させないような配慮
が必要である。すなわち、一旦鋳片を1050℃以下に冷却
し、さらに保持時間を10分以内とすることにより、従来
法に比べ保持温度の有効範囲、とくに上限を1300℃まで
拡大することができる。そしてこのことは保持から圧延
間での搬送に伴う鋳片の冷却を考えた場合、その搬送時
間、いいかえれば搬送方法に融通性を与えるという点
で、実操業面での意義が大である。なお、このような場
合でも、保持の下限温度については、第1図および第2
図の結果と同様950 ℃である。
さらに、第3図においてタイプIIで保持から圧延開始ま
での時間がある値以上になると急激に熱間加工性が低下
しているが、これはこの時点で割れ発生位置となる鋳片
表面温度が Ar3点未満となっており、旧γ粒界に初析フ
ェライトがバンド状に析出し、その結果圧延に伴い発生
する引張応力がこの部分に集中し、割れが発生しやすく
なるためである。
したがって、保持による割れ防止対策を有効に活用する
ためには、圧延開始温度を Ar3点以上とすることが必要
である。
以上のことから明らかなように、従来技術においては保
持の特性の一部の確認したにすぎないものものであり、
実操業において保持により割れを確実に防止するために
は、さらに解明すべき保持処理の本質は多く残されてい
たわけである。
本発明者は以上の基礎検討により保持のなんたるかを明
らかにしたものであり、その結果本発明の目的である保
持時間短縮に必要な技術項目を解明し、本発明を完成す
るに至ったものである。
このように、本発明は従来技術が抱える問題点を補い、
改良するためになされたものであり、その要件を明らか
にするために、先に検討から得られた知見を改めて以下
に整理する。
(1) 保持後直ちに圧延する場合、割れ防止に必要な保持
時間は非常に短いが、実操業においては通常保持から圧
延開始までには鋳片は一旦冷却過程を経るため、この場
合保持時間はより長くする必要がある。
(2) これは保持後、鋳片が空冷されるような場合、保持
開始まで、および保持中に析出しきらない硫化物が、そ
の冷却過程で再び熱加工性を低下させるような形態でγ
粒界に析出するためであり、したがって鋳片が短時間の
保持で、しかもその後冷却過程を経る場合でも割れ発生
を防止するためには、保持後の冷却過程で新たに硫化物
の析出が生じないよう、言い換えれば保持開始までに硫
化物の析出をほぼ完了させ、しかも再固溶しないような
状態で保持を行うことにより、その効果は十分活かされ
ることになる。このように保持後鋳片が冷却過程を経る
場合でも、短時間の保持で割れを防止するためには、10
50〜950 ℃で保持することが有効であるが、製品々質等
の要求から圧延開始温度を前記保持温度以上にしなけれ
ばならない場合もある。その場合、1050〜950 ℃の範囲
で2分間以上保持後、再度所要の温度まで昇温してもよ
いが、この場合保持中に鋳片は均熱化され、再び所要温
度まで鋳片全体を昇温するためには多くのエネルギーを
必要とする。一般に鋳造後の鋳片は表面よりも内部の方
が、また表面でも幅方向端部よりも中央部の方が温度が
高い。したがって、割れ発生位置を幅方向端面にかぎる
ことができれば本来最も低い温度となる端面のみを一旦
1050℃以下とすることにより硫化物の析出をほぼ完了さ
せることができ、その後所要の保持温度への昇温に際し
ても、他の部位の温度はいまだ高温なため、その保有熱
を利用することにより、外部からの加熱なしあるいはわ
ずかな加熱により昇温可能である。
本発明者は例えば特開昭62−16801 号において、直送圧
延もしくは直接圧延において発生する表面割れはその発
生形態から、鋳片長辺め(ロールと接する面)に発生す
る割れ(面割れ)と板幅方向端面に発生する割れ(耳割
れ)とに分けられ、いずれの発生形態となるかはロール
径、板厚、圧下量から(1)式によって示される形状比(m)
により決定されることを述べた。なお、形状比とはロ
ールと材料の接触弧長と平均板厚の比であり、その意味
するところは圧下の浸透度、すなわち変形の均一度を示
すものである。
R :圧延ロール半径 h1:ロール入側の材料厚さ h2:ロール出側の材料厚さ すなわち、第5図に示すようにm が1以上では耳割れ傾
向、m が1未満では面割れ傾向なること、したがってm
を1以上とすることにより割れは端面においてのみ発生
することを知見した。
したがって、mを1以上とすることにより、鋳片端面の
みを一旦1050℃以下まで冷却した後、1300〜950 ℃の温
度で2〜10分間保持することにより割れは防止できる。
好ましくは、m は1.2 以上である。
(3) 全パスがm≧1の圧延でなくともよく、m<1の圧
延パスが混在してもよいが、その場合、m<1の累計圧
下率が20%未満とする必要がある。
(4) 保持により硫化物は形態変化ないし粗大化するた
め、熱任加工性は向上するが、保持後割れ発生位置とな
る鋳片表面が Ar3点未満になると、硫化物以外の原因、
即ち旧γ粒界に沿ったαバンドへの応力集中により折角
の保持処理が無意味になる。したがって、保持時間を2
〜10分だけ確保することにより、その後の冷却過程での
熱間加工性の低下は防止できるが、さらに Ar3点以上で
圧延開始することが必要である。
本発明は、以上の知見にもとづくものであり、その要旨
とするところは、連続鋳造した鋳片を直送圧延もしくは
直接圧延する方法において、溶融体から凝固に引き続く
冷却過程で、該鋳片の板幅端部のみを一旦1050℃以下に
冷却後、1300〜950 ℃の温度域で2〜10分未間保持を行
い、全圧延パスが下記式で示される形状比(m) が1以上
となるような圧延条件で、または形状比(m) が1以上と
1未満の圧延パスが混在する圧延では形状比(m) が1未
満の圧延パスの累計圧下率を20%未満とする圧延条件
で、かつ Ar3点以上で圧延を開始することを特徴とす
る、鋼片の表面割れを防止した熱間圧延法である。
R :圧延ロール半径 h1:ロール入側の材料厚さ h2:ロール出側の材料厚さ ここに、「保持」は、一定温度に保つ保持ばかりでな
く、昇温を行う場合も包含する。
このように、本発明は実操業において、保持後鋳片が冷
却過程を経る場合でも短時間の保持で割れが発生するこ
となく、圧延開始温度を Ar3点以上とすることにより、
保持の効果を有効に活用して割れを防止せんとするもの
である。
本発明において鋳片の板幅端部のみを1050℃以下に冷却
するのは、前記したように鋳片を1050℃以下に一旦冷却
すると硫化物の析出が総て完了してしまい、保持後の冷
却時に硫化物が新たに析出することがないからである。
1050℃を超えた温度で保持するとその保持温度から1050
℃間の冷却過程で微細な硫化物が析出し、割れ発生の原
因となる。しかも、板中心の割れは形状比の制御でさけ
られるが、端部ではそれが防止できないからである。
また、m<1のパスが混在(20%以下)しても、割れな
い理由について以下に説明する。
圧延時に圧政する割れが、鋼片の長辺面で発生するか
(面割れ)、端面で発生するか(耳割れ)は、形状比
(m)で決まる。
本発明の基本的な考え方は、形状比(m)を基本的に1
以上とすることにより、面割れの発生を防止し、かつそ
の結果懸念される耳割れについては、鋳片端部の熱履歴
をコントロール(保持処理)することにより対処せんと
するものである。
ここで、形状比(m)のもつ意味は、その値の大小によ
り、圧延中の鋼片内部に発生する応力の分布が異なるこ
とにある。具体的には、mの値が大きい場合、鋼片長辺
めでは、圧延方法に圧縮力が、一方端部に圧延方向に大
きな引張力が発生する。その結果、長辺面では面割れの
発生はないが、端部で耳割れが発生することとなる。m
値が小さくなるのに伴い、端部に発生する引張力は小さ
くなり、耳割れは低減する。一方長辺面に発生する圧縮
力も小さくなり、m<1になると、長辺面にも引張力が
発生することになる。
しかしmが1未満となり、長辺面に引張力が発生したか
らといって、直ちに面割れするわけではない。鋼材が割
れるためには、ある程度の引張力が必要であり、本発明
者らの調査結果により、m<1となる圧延の累計圧下率
が20%未満では、面割れの発生には至らないことが確認
できた。
また、本発明においては直送圧延もしくは直接圧延時の
表面割れの原因の本質は硫化物の析出状態にあることか
ら、その対策として保持を行うものであり、しかも、2
〜10分未満という短時間の保持で割れを防止するため、
鋳片の温度履歴を前述の如く規定したものである。これ
に対し従来法(例えば、特開昭60−115305号)は、エッ
ジクラックあるいは板幅方向での品質の不均一は板幅方
向での温度不均一に起因することから板幅端部加熱を単
に温度の均一手段として用いるものであり、本発明の構
成要件の一つである鋳片の温度履歴については何ら言及
されない。
なお、ここにおいて述べる温度は割れ発生位置となる鋳
片の表面温度を示すものである。これは一般に鋳片温度
は厚み方向、幅方向とも均一でなく、割れ発生位置も圧
延条件により異なるため、上記の如く定義するものであ
る。
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する
が、それらは単に本発明の例示として示すものであっ
て、何ら本発明を制限するものではない。
実施例1 C:≦0.06%、Si:≦0.04%、Mn:0.15〜0.30%、P:
≦0.030 %、S:≦0.030 %、sol.Al:0.020〜0.050 %
の組成(Ar3点=850 ℃)を有する、厚さ40mm×幅600mm
の形状からなる鋳片端面、つまり板幅端部を一旦T1℃ま
で空冷により冷却後、T2℃でt分間保持後、直径800mm
のロール径を有する圧延機により、各パス50%の圧下率
で連続3パスの直送圧延もしくは直接圧延に供した。
結果を各圧延条件とともに第1表にまとめて示す。形状
比(m) は2.98〜5.96であった。第1表に示すように本発
明の構成要件を満たすことにより割れは防止される。
実施例2 C:0.13 〜0.17%、Si:0.25 〜0.45%、Mn:1.25 〜1.50
%、P:≦0.030 %、S:≦0.030 %、Nb:0.020〜0.04
0 %、V:0.030〜0.050 %、sol.Al:0.020〜0.050 %の
組成(Ar3点=750 ℃)を有する厚さ40mm×幅600mm の鋳
片の端面を一旦1000℃まで冷却してから、1150℃で3分
間保持した後1050℃から第2表に示す条件で直送圧延も
しくは直接圧延に供した。
なお、ここに表面割れが有とは、勿論保持により耳割れ
は発生しないものの、面割れは発生したものである。
上記実施例に示す圧延条件において全パスがm<1とな
るものはNo.1のみ、そして全パスがm ≧となるものはN
o5、6であり、ほかの例はパス・スケジュールの中に
m<1のものとm ≧1のものが混在している。そして、
これら混在した例のもので面割れが発生するものとしな
いものがある。このように本発明の構成要件の一つであ
るm ≧1なる要件は全パスがこの要件を満たすことは必
ずしも必要でない。これは面割れが発生するのは累計圧
下率がある値以上においてであり、上記実施例および基
礎検討の結果m<1となるパスの累計圧下率が20%未満
では面割れ問題はないことが判明した。したがって、パ
ス・スケジュールの中にm<1となるパスを組み入れる
場合、その累計圧下率を20%未満とする。
実施例1および実施例2に示す例においては保持の方法
として、例えば保持炉の如く,一定温度に保温した炉中
に鋳片を装入した場合であり、したがって、例えば実施
例1のNo.7に示す例の場合、鋳片端面を1000℃まで冷
却後、1300℃に保温された炉中に装入したものである。
そしてこの時の保持時間3分なるものは炉中に装入した
時点から抽出するまでの時間であり、抽出時の鋳片端面
の温度は1300℃まで昇温されていないが、本発明の構成
要件である1300〜950 ℃の温度域で3分間保持される結
果、割れが防止されるものである。
実施例3 実施例1と同じ組成、鋳片形状およびロール径、パス・
スケジュールの条件により直送圧延もしくは直接圧延を
行った。この時溶融体からの凝固に引き続く冷却過程
で、何ら保持を行うことなく、1100℃から圧延した場
合、鋳片端面に割れが発生した。そこで鋳片端面、つま
り板幅端部を1000℃まで冷却後、該鋳片端面を、ガスバ
ーナー方式、誘導加熱方式などのエッジヒーターにより
1150℃まて加熱後、1100℃から圧延を開始した。この時
エッジヒーターによる加熱開始から終了までの時間は5
分間であり、割れは発生しなかった。このようにエッジ
ヒーターによる保持は、保持を局部的かつ効率的に行え
るという点で有効である。
さらには外部からとくに加熱することなく、鋳片保有熱
の放散を抑制するための、断熱カバーなどを設置し、そ
の保有熱による復熱を利用することはより有効である。
なお、以上のように本発明における「保持」とは単に恒
温保持だけでなく、前述のような昇温過程をも含めたも
のであり、従来法における「保定」すなわち恒温保持だ
けの場合と区別する意味で用いたものである。
(発明の効果) 本発明は直送圧延あるいは直接圧延時の表面割れ対策と
しての保持に関し、従来十分な解明がなされていなかっ
た保持の本質を明らかとすることにより、本発明の目的
である保持時間の短縮に必要な技術項目を解明、その結
果一層の省エネルギーが図れるだけでなく、著しい設備
の簡素化が可能となり、直送圧延もしくは直接圧延の実
操業化にとって多大の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は、本発明における予備試験の結果
を保持条件によって整理したグラフ;および 第5図は、形状比と面割れおよび耳割れ指数との関係を
示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続鋳造した鋳片を直送圧延もしくは直接
    圧延する方法において、溶融体から凝固に引き続く冷却
    過程で、該鋳片の板幅端部のみを一旦1050℃以下に冷却
    後、1300〜950 ℃の温度域で2分以上10分未満保持を行
    い、全圧延パスが下記式で示される形状比(m) が1以上
    となるような圧延条件で、または形状比(m) が1以上と
    1未満の圧延パスが混在する圧延では形状比(m) が1未
    満の圧延パスの累計圧下率を20%未満とする圧延条件
    で、かつ Ar3点以上で圧延を開始することを特徴とす
    る、鋼片の表面割れを防止した熱間圧延法。 R :圧延ロール半径 h1:ロール入側の材料厚さ h2:ロール出側の材料厚さ
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