JPH06191036A - 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び同ヘッドを備えた記録装置 - Google Patents

液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び同ヘッドを備えた記録装置

Info

Publication number
JPH06191036A
JPH06191036A JP34773792A JP34773792A JPH06191036A JP H06191036 A JPH06191036 A JP H06191036A JP 34773792 A JP34773792 A JP 34773792A JP 34773792 A JP34773792 A JP 34773792A JP H06191036 A JPH06191036 A JP H06191036A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
layer
jet recording
recording head
active energy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34773792A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideaki Mashio
英明 真塩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP34773792A priority Critical patent/JPH06191036A/ja
Publication of JPH06191036A publication Critical patent/JPH06191036A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク吐出方向の安定化を図ると共に、耐久
性を高める。 【構成】 基板1に流路端部形成溝3を設け、ここに撥
水性硬化樹脂層5を形成する。その上に可溶性樹脂より
なる帯状の固体層を重ね、更にその上に撥水性樹脂から
なる硬化材料層13を被覆した後、前記固体層を溶出し
て流路15を形成する。次いで、硬化樹脂層5で切断す
る。そして更に、流路、液室を親水化処理する。これに
より吐出口端面19を均一材質の撥水性樹脂で形成でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録方
式に用いる記録液(インク)を吐出するための液体噴射
記録ヘッド、その製造方法、及び同ヘッドを備えた記録
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式(液体噴射記録
方式)に適用される液体噴射記録ヘッドは、一般に微細
なインクを吐出する吐出口(オリフィス)、インク路、
及び該インク路の一部に設けられた液体吐出エネルギー
発生素子とを備えている。従来、このような液体噴射記
録ヘッドを作成する方法として、我々はすでに特開昭6
1−154947号、特開昭62−253457号、特
開平2−3318号等の各公報において、活性エネルギ
ー線硬化性材料を液路構成部材として用いる液体噴射記
録ヘッドの製造方法を提案している。
【0003】また、液体噴射記録ヘッドにおいては吐出
口の周縁部(吐出口端面)に記録液の液溜りが生じ、安
定な吐出が行えなくなることもしばしばある。しかも、
この傾向は高精細な記録を行う場合や、高速記録を狙う
場合に非常に顕著に表われる。そこで、我々はすでに特
開平1−290438号、特開平2−48953号にお
いて、少なくとも吐出口周縁部にいわゆる撥水処理を施
すことにより、インクを弾く撥水層を形成することを提
案した。また、我々は特願平1−327291号におい
て、吐出口端面を撥水性を有する吐出口形成部材で形成
し、吐出口を打ち抜き法により開口することを提案し
た。
【0004】しかしながらこれらの方法においても、製
造の歩留り、耐久性の点で必ずしも充分ではなかった。
以下に具体的解決すべき課題を示す。 (1)吐出口を形成する際に、液路形成部材と基板とが
同時に加工されるため、特に基板側に傷が入りやすく、
製造の歩留りを低下させる場合があった。 (2)撥水処理面、すなわち吐出口端面が無機材料と有
機材料の異種材料で形成されているため、撥水剤の密着
が悪い場合が多く、製造の歩留りを低下させ、また耐久
性も充分ではないことがあった。 (3)撥水層が薄膜であるため、耐久性が必ずしも充分
でなかった。 (4)吐出口を打ち抜き法により開口するため、吐出口
に傷が入りやすく、製造上の分留りを低下させる虞があ
った。
【0005】以上の問題点が解決されることが望まれて
いた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の解決されるべき課題に着目し、その解決を図
るべく、廉価、精密であり、また信頼性の高い新規な液
体噴射記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0007】また、本発明の他の目的は精度良く正確に
且つ歩留り良く微細加工された構成の液路を有する液体
噴射記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0008】更にまた、本発明の他の目的は記録液との
相互影響が少なく、機械的強度や耐薬品性に優れた液体
噴射記録ヘッドが得られる新規な液体噴射記録ヘッドの
製造方法を提供することにある。
【0009】また、印字品位にも優れた液体噴射記録ヘ
ッドの製造方法を提供することも目的とする。
【0010】本発明の別の目的は、上記方法で製造され
た液体噴射記録ヘッド及び同ヘッドを備えた記録装置を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、(A)液体を吐出するのに利用されるエ
ネルギーを発生する液体吐出エネルギー発生素子を備え
た基板面に前記素子と所定間隔離間して流路端部形成溝
を形成する第1工程、(B)流路端部形成溝に撥水性付
与活性エネルギー線硬化性材料を硬化させた撥水性硬化
樹脂層を形成する第2工程、(C)少なくとも前記撥水
性硬化樹脂層上の少なくとも一部から前記素子上面にか
けて除却可能な固体層を形成する第3工程、(D)固体
層を形成した基板面に撥水性付与活性エネルギー線硬化
性材料よりなる材料層を積層する第4工程、(E)前記
材料層の液室形成予定部以外の部分に活性エネルギー線
を照射することにより前記形成した材料層を硬化させる
第5工程、(F)前記材料層未硬化部分を溶解除去する
工程、前記材料層を硬化させた積層体を撥水性樹脂層が
配された位置において切断する工程、固体層を溶解除去
する工程、及び液路内面と液室内面とを親水化処理をす
る工程とを有する第6工程、上記(A)、(B)、
(C)、(D)、(E)、(F)の各工程を有するもの
である。
【0012】また、本発明は前記固体層が有機高分子材
料で形成してなること、及び前記有機高分子材料がポジ
型感光性樹脂であることを含む。
【0013】更に、本発明は上記製造方法で製造した吐
出口端面が撥水性かつ同一材料で構成した液体噴射記録
ヘッドであること、吐出エネルギー発生素子がエネルギ
ーとして熱エネルギーを発生する電気熱変換体であるこ
と、記録媒体の記録領域の全幅にわたってインク吐出口
が複数設けられているフルラインタイプのものであるこ
とを含む。
【0014】また更に、本発明の液体噴射記録装置は記
録媒体の被記録面に対向してインク吐出口が設けられて
いる液体噴射記録ヘッドと、該ヘッドを載置するための
部材とを少なくとも具備するものであることを含む。
【0015】以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本
発明を詳細に説明する。
【0016】図1乃至図12は、本発明の基本的な態様
を説明するための模式図であり、図1乃至図12のそれ
ぞれには、本発明の方法に係る液体噴射記録ヘッドの構
成とその製作手順の一例が示されている。尚、本例で
は、2つの吐出口を有する液体噴射記録ヘッドが示され
るが、もちろんこれ以上の吐出口を有する高密度マルチ
アレイ液体噴射記録ヘッドの場合、あるいは1つの吐出
口を有する液体噴射記録ヘッドの場合でも同様であるこ
とは言うまでもない。
【0017】本発明においては、図1に示すように、例
えばガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属
等から成る基板1を用いてこの上に記録ヘッドが組立て
られる。なお、ここでの基板1は後述する吐出口形成溝
を形成する前の状態が示されている。
【0018】このような基板1は、液路形成部材の一部
として機能し、また後述の固体層および液路形成部材積
層時に支持体として機能し得るものであれば、その形
状,材質等は特に限定されるものではない。なお、本実
施例ではシリコン基板を用いた。そして、かかる基板1
上にまず、液体を吐出するのに利用されるエネルギーを
発生する吐出エネルギー発生素子としての電気熱変換体
あるいは圧電素子等の液体吐出エネルギー発生素子が所
望の個数配設される。図1の実施例では吐出口を互いに
対向させた形態で、2ヘッド分を形成するもので1ヘッ
ド当り2個、計4個の吐出エネルギー発生素子2(発熱
素子)が配設してある。
【0019】しかしてこれらの吐出エネルギー発生素子
2によって記録液小滴を吐出させるために熱エネルギー
がインク液に与えられ、記録が行われる。
【0020】すなわち、これらの吐出エネルギー発生素
子2は、近傍の記録液を加熱することにより、吐出エネ
ルギーを発生させることができるもので、例えば、圧電
素子が用いられるときは、圧電素子の機械的振動によっ
て、吐出エネルギーが発生される。
【0021】また、吐出エネルギー発生素子2には、こ
れらの素子を動作させるための制御信号入力用電極(不
図示)が接続されるが、一般にはこれらのような吐出エ
ネルギー発生素子の耐用性の向上等をはかるために、保
護層等の各種の機能層が設けられる。そこで、本例にお
いてもこのような機能層を設けることは一向に差しつか
えない。また、本例においては、吐出エネルギー発生素
子2として発熱素子を液路形成前に基板1上に配設した
が、その配設時期は所望とし得る。
【0022】まず第1の工程として、図1に示したよう
に発熱素子2が形成された基板1に対して図2(A)お
よび図2(B)に示すように流路端部形成溝3が形成さ
れる。ここでA−A線およびB−B線は吐出口を形成す
る位置であり、本例では2つのヘッドを対向させた形態
で作製し、作製後箇々のヘッドに切断するもので、その
ための基板1の中央部に図示するような溝3が形成され
るものである。図2(B)は図2(A)のC−C線断面
図である。なお、溝3を形成する方法としては半導体製
造のシリコンウエハー分離に通常使用されるダイシング
法やレーザ光による加工法、超音波加工法等を用いるこ
とができる。
【0023】次に第2の工程として、上記溝3が形成さ
れた基板1に、例えば図3(A)および図3(B)に示
されるように、撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料
層4が被覆される。
【0024】撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料と
しては、液路および液室を形成して液体噴射記録ヘッド
としての構造材料と成るもので、基板との接着性、機械
的強度、寸法安定性、耐薬品性の優れたものが選択され
用いられることが好ましい。
【0025】そのような材料としては、液状で紫外線お
よび電子ビームなどの活性エネルギー線硬化性材料が適
しており、例えば下記に列挙するようなものが具体的な
ものとして挙げられる。
【0026】活性エネルギー線硬化性材料それ自体が
撥水性を有する材料を用いる。例えば、「DEFENS
A 7700シリーズ」(大日本インキ化学工業(株)
製)、「パーフルオロアルキルメタアクリレート」(大
阪有機化学工業(株)製)、「ビスフェノールAF型エ
ポキシ樹脂」(セントラルガラス(株)製)、「反応性
有機フッ素化合物MF−120」(三菱金属(株)製)
等が用いられる。
【0027】活性エネルギー線硬化性材料に撥水性の
物質を適当量添加した材料を用いる。活性エネルギー線
硬化性材料としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹
脂、ジグリコールジアルキルカーボネート樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等が用い
られる。特に、光によってカチオン重合を開始すること
のできるエポキシ樹脂、光によってラジカル重合できる
アクリルエステル基を持ったアクリルオリゴマー類、ポ
リチオールとポリエンを用いた光付加重合型樹脂、不飽
和シクロアセタール樹脂等は、重合速度が大きく、重合
体の物性も優れており、構造材料として適している。添
加物としては、フッ素化合物、例えばシリコーン化合物
等が挙げられ、具体的には、に示した材料および「反
応性有機フッ素化合物MF−150」(三菱金属(株)
製)、「KP−801、KP−8FT」(信越化学工業
(株)製)、「FS−116」(ダイキン工業(株)
製)、「LF−40」(綜研化学(株)製)、「ルミフ
ロン」(旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0028】活性エネルギー線硬化性材料の被覆方法と
しては、例えば基板形状に即したノズルを用いた吐出器
具、アプリケータ、カーテンコータ、ロールコータ、ス
プレコータ、スクリーン印刷等の手段で被覆する方法が
具体的なものとして挙げられる。尚、液状の硬化性材料
を積層する場合には、該材料の脱気を行った後、気泡の
混入を避けながら行うことが好ましい。
【0029】次に、以上のようにして被覆した撥水性付
与活性エネルギー線硬化性材料層4に対して、溝3以外
の部位を活性エネルギー線から遮蔽するようにマスク
(不図示)し、該マスクの上方から活性エネルギー線が
照射される。該活性エネルギー線が照射されることによ
り、該照射部位の撥水性付与活性エネルギー線硬化性材
料層4が硬化して溝3の部位に撥水性硬化樹脂層5が形
成される。
【0030】尚、以上の各工程を終了した後、基板1お
よび撥水性硬化樹脂層4のぬれ性を調整するために、紫
外線照射法、プラズマ処理法などにより表面処理が行わ
れてもよい。
【0031】活性エネルギー線としては、紫外線、電子
線、可視光線等が利用できるが、基板を透過させての露
光であるので紫外線、可視光線が好ましく、また重合速
度の面から紫外線が最も適している。紫外線の線源とし
ては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、キ
セノンランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク
等のエネルギー密度の高い光源が好ましく用いられる。
光源からの光線は、平行性が高く、熱の発生が少ないも
の程精度の良い加工が行えるが、印刷製版ないしプリン
ト配線板加工あるいは光硬化型塗料の硬化に一般に用い
られている紫外線光源であれば概ね利用可能である。
【0032】活性エネルギー線に対するマスクとして
は、特に紫外線もしくは可視光線を用いる場合は、メタ
ルマスク、銀塩のエマルジョンマスク、ジアゾマスク等
が挙げられる。
【0033】また、撥水性付与活性エネルギー線硬化性
材料層4の被覆膜厚を制御するために、およびその硬化
性材料層4の硬化によってマスクが接着され、あるいは
損傷が与えられることのないように、例えば以下のよう
な方法が用いられる。
【0034】マスクに離型処理を施し、撥水性付与活
性エネルギー線硬化材料層4に直接マスクを接触させて
活性エネルギー線を照射し、硬化樹脂層5を形成する方
法。
【0035】離型性を有する透明フィルムを撥水性付
与活性エネルギー線硬化材料層4上に被覆し、マスクを
その透明フィルム上に密着させて活性エネルギー線を照
射し、硬化樹脂層5を形成する方法。
【0036】その次に、以上のように活性エネルギー線
を照射して硬化させた部分以外の未硬化の撥水性付与活
性エネルギー線硬化性材料層の部分を溶解除去して、溝
3の部位のみに撥水性硬化樹脂層5を形成する。未硬化
の撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料の除去手段と
しては特に限定されるものではないが、具体的には、例
えば未硬化の撥水性付与活性エネルギー線硬化材料を溶
解する液体に浸漬して溶解除去する方法が好ましい。こ
の際、必要に応じて超音波、スプレー、加熱、攪拌、振
とう、その他の除去促進手段を用いることも可能であ
る。
【0037】上記手段に対して用いられる液体として
は、例えば、含ハロゲン炭化水素、ケトン、エステル、
芳香族炭化水素、エーテル、アルコール、N−メチルピ
ロリドン、ジメチルホルムアミド、フェノール等が挙げ
られる。
【0038】第3の工程として、液体吐出エネルギー発
生素子2および前記撥水性硬化樹脂層5を含む基板1上
の液路形成部位およびそれと連通する液室形成部位上
に、例えば図4(A)に示されるような固体層6が積層
される。
【0039】尚、本発明においては液路および液室形成
部位の双方に固体層を設けることは必ずしも必要ではな
く、固体層は少なくとも液路形成部位に設ければよい。
【0040】図4(B)に天板の一例を示す。本例で
は、天板7は、液室形成予定部位に凹部8及び2箇の液
供給口9を有したものとして構成されている。以後、図
5乃至図11は図4のD−D線で切断した基板および天
板の模式的断面図を示す。
【0041】上記固体層6は、後述する各工程を経た後
に除去され、該除去部分に液路および液室が構成され
る。もちろん、液路および液室の形状は所望のものとす
ることが可能であり、固体層6も該液路および液室の形
状に応じたものとすることができる。因に、本例では、
2つの吐出エネルギー発生素子2に対応して設けられる
2つの吐出口のそれぞれから記録液小滴を吐出させるこ
とが可能なように、液路は2つに分散され、液室は該液
路の各々に記録液を供給し得るようにこれらと連通した
ものとされている。
【0042】このような固体層6を構成するに際して用
いられる材料および手段としては、例えば下記に列挙す
るようなものが具体的なものとして挙げられる。
【0043】感光性ドライフィルムを用い、所謂ドラ
イフィルムの画像形成プロセスに従って固体層6を形成
する。
【0044】基板1上に所望の厚さの溶剤可溶性ポリ
マー層およびフォトレジスト層を順に積層し、該フォト
レジスト層のパターン形成後、溶剤可溶性ポリマー層を
選択的に除去する。
【0045】樹脂を印刷する。
【0046】に挙げた感光性ドライフィルムとして
は、ポジ型のものもネガ型のものも用いることができる
が、例えばポジ型ドライフィルムであれば、活性エネル
ギー線照射によって、現像液に可溶化するポジ型ドライ
フィルム、またネガ型ドライフィルムであれば、光重合
型であるが塩化メチレンあるいは強アルカリで溶解ある
いは剥離除去し得るネガ型ドライフィルムが適してい
る。
【0047】ポジ型ドライフィルムとしては、具体的に
は、例えば「OZATEC R225」[商品名、ヘキ
ストジャパン(株)]等、またネガ型ドライフィルムと
しては、「OZATEC Tシリーズ」[商品名、ヘキ
ストジャパン(株)]、「PHOTEC PHTシリー
ズ」[商品名、日立化成工業(株)]、「RISTO
N」[商品名、デュ・ポン・ド・ネモアース・Co]等
が用いられる。
【0048】もちろん、これらの市販材料のみならず、
ポジティブに作用する樹脂組成物、例えばナフトキノン
ジアジド誘導体とノボラック型フェノール樹脂を主体と
する樹脂組成物、及びネガティブに作用する樹脂組成
物、例えばアクリルエステルを反応基とするアクリルオ
リゴマーと熱可塑性高分子化合物および増感剤を主体と
する組成物、あるいはポリチオールとポリエン化合物お
よび増感剤とから成る組成物等が同様に用いられる。
【0049】に挙げた溶剤可溶性ポリマーとしては、
それを溶解する溶剤が存在し、コーティングによって被
膜形成し得る高分子化合物であればいずれでも用い得
る。ここで用い得るフォトレジスト層としては、典型的
にはノボラック型フェノール樹脂とナフトキノンジアジ
ドから成るポジ型液状フォトレジスト、ポリビニルシン
ナメートから成るネガ型液状フォトレジスト、環化ゴム
とビスアジドから成るネガ型液状フォトレジスト、ネガ
型感光性ドライフィルム、熱硬化型および紫外線硬化型
のインキ等が挙げられる。
【0050】に挙げた印刷法によって固体層を形成す
る材料としては、例えば蒸発乾燥型、熱硬化型あるいは
紫外線硬化型等のそれぞれの乾燥方式で用いられている
平板インキ、スクリーンインキならびに転写型の樹脂等
が用いられる。
【0051】以上に挙げた材料群の中で、加工精度や除
去の容易性あるいは作業性等の面から見て、の感光性
ドライフィルムを用いる手段が好ましく、その中でもポ
ジ型ドライフィルムを用いるのが特に好ましい。すなわ
ち、ポジ型感光性材料は、例えば解像度がネガ型の感光
性材料よりも優れている、レリーフパターンが垂直かつ
平滑な側壁面を持つ、あるいはテーパ型ないし逆テーパ
型の断面形状が容易につくれるという特長を持ち、液路
を形づくる上で最適である。また、レリーフパターンを
現像液や有機溶剤で溶解除去できる等の特長も有してお
り、本発明における固体層形成材料として好ましいもの
である。特に、例えば先に挙げたナフトキノンジアジド
とノボラック型フェノール樹脂を用いたポジ型感光性材
料では、弱アルカリ水溶液あるいはアルコールで完全溶
解できるので、吐出エネルギー発生素子に損傷を何ら与
えることがなく、かつ後工程での除去もきわめて速やか
である。このようなポジ型感光性材料の中でも、ドライ
フィルム状のものは、10〜100μmの厚膜のものが
得られる点で、最も好ましい材料である。
【0052】第4の工程として、上記固体層6が形成さ
れた基板1には、例えば図5に示されるように、該固体
層6を覆うように撥水性付与活性エネルギー線硬化性材
料よりなる材料層10が積層される。
【0053】撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料と
しては、上記固体層を覆設し得るものであればいずれの
ものでも好適に使用することができるが、該材料は、液
路および液室を形成して液体噴射記録ヘッドとしての構
造材料と成るものであるので、基板との接着性、機械的
強度、寸法安定性、耐薬品性の優れた物質が選ばれるこ
とが望ましい。また、この撥水性付与活性エネルギー線
硬化性材料は、固体層6上に積層されたときに固体層6
を容易に溶解するものであってはならない。以上の点を
考慮しつつ、活性エネルギー線に対する反応基および骨
格構造を選択し、撥水性付与活性エネルギー線硬化材料
として用いる材料を選定すればよい。そのような材料と
しては前記第2の工程で用いられた撥水性付与活性エネ
ルギー線硬化性材料が好適に使用される。また、この材
料が前記第2の工程で使用した撥水性付与活性エネルギ
ー線硬化性材料と同一でも異なっていてもよい。
【0054】活性エネルギー線硬化性材料の積層方法も
前記と同様である。
【0055】次に、図6に示すように、基板1上の撥水
性付与活性エネルギー線硬化性材料層10上に天板7を
積層して積層体20を形成する。この際、該天板7に
は、前記のように所望の液室容積を得るための凹部を必
要に応じて液室形成部位に設けてもよい。もちろん天板
7も基板1と同様に、ガラス、プラスチック、感光性樹
脂、金属、セラミックス等の所望の材質のものを用いる
ことができるが、活性エネルギー線照射の工程を該天板
7側から行う場合は、活性エネルギー線透過性であるこ
とが必要である。また、天板7には、記録液供給用の液
供給口9が予め設けられていてもよい。
【0056】尚、上記においては特に示さなかったが、
撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料層10の積層
は、天板7を固体層6に積層した後に行ってもよい。こ
の場合の積層方法としては、天板7を固体層6と圧着し
た後、内部を減圧にし、その後、該硬化性材料を注入す
る等の方法が好ましく用いられる。また、天板7を積層
するに際しては、撥水性付与活性エネルギー線硬化性材
料層を所要の厚さにするべく、例えば基板1及び天板7
間にスペーサーを設けたり、天板7の端部に凸部を設け
る等の工夫をしてもよい。
【0057】第5の工程として、こうして基板1、固体
層6、撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料層10お
よび天板7が順次積層された積層体20を得た後、図7
に示すように、液室形成予定部位に対して、それを活性
エネルギー線12から遮蔽するように、活性エネルギー
線透過性の天板7にマスク11を積層し、該マスク11
の上方から活性エネルギー線12を照射する(図中に示
したマスク11の黒塗りの部分が活性エネルギー線を透
過しない部分であり、黒塗り部以外が活性エネルギー線
を透過する部分である)。この活性エネルギー線12の
照射により、該照射部分の撥水性付与活性エネルギー線
硬化性材料層10の照射部分が硬化して硬化材料層13
が形成されるとともに、該硬化によって基板1と天板7
との接合も行われる。
【0058】活性エネルギー線としては、紫外線、電子
線、可視光線等が利用できるが、基板を透過させての露
光であるので紫外線、可視光線が好ましく、また重合速
度の面から紫外線が最も適している。紫外線の線源とし
ては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、キ
セノンランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク
等のエネルギー密度の高い光源が好ましく用いられる。
光源からの光線は、平行性が高く、熱の発生が少ないも
の程精度の良い加工が行えるが、印刷製版ないしプリン
ト配線板加工あるいは光硬化型塗料の硬化に一般に用い
られている紫外線光源であれば概ね利用可能である。
【0059】活性エネルギー線に対するマスクとして
は、特に紫外線もしくは可視光線を用いる場合、メタル
マスク、銀塩のエマルジョンマスク、ジアゾマスク等が
挙げられ、その他、単に液室形成部位に黒色のインクの
印刷もしくはシールを貼りつける等の方法でもかまわな
い。
【0060】第6の工程としては、まず活性エネルギー
線照射を終了した上記積層体20から、撥水性付与活性
エネルギー線硬化性材料層10の未硬化部分(活性エネ
ルギー線の非照射部分)を図8に示すように除去して、
液室14の一部を形成する。本発明では液室形成部位の
撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料層10には前記
のように活性エネルギー線照射が行われず、未硬化のま
ま除去されるので、固体層6上に積層する撥水性付与活
性エネルギー線硬化性材料層10の層厚を任意に制御す
ることにより、液路と無関係に液室を自在に形成するこ
とが可能である。
【0061】未硬化の撥水性付与活性エネルギー線硬化
性材料の除去手段としては特に限定されるものではない
が、具体的には例えば未硬化の撥水性付与活性エネルギ
ー線硬化性材料層10を溶解または膨潤あるいは剥離す
る液体に浸漬して除去する等の方法が好ましいものとし
て挙げられる。この際、必要に応じて超音波処理、スプ
レー、加熱、攪拌、振とう、加圧循環、その他の除去促
進手段を用いることも可能である。
【0062】上記除去手段に対して用いられる液体とし
ては、第2の工程と同様に、例えば含ハロゲン炭化水
素、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、エーテル、ア
ルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミ
ド、フェノール等が挙げられる。しかし、本発明者の知
見によれば、上記の除去手段により固体層6も同時に溶
解除去可能であるが、上記除去手段に対して用いられる
液体としては、固体層6を溶解不可能な液体あるいは溶
解しにくい液体、例えば固体層としてポジ型ドライフィ
ルムを用いる場合には含ハロゲン炭化水素、あるいは芳
香族炭化水素等がより好ましい。後述するように、この
ことは後工程で切断、研削、研磨、その他の処理を行う
際に、流路の内壁に、切断片その他のゴミの付着、その
他の影響を防止する上で有利に作用する。
【0063】図8には、上記のような未硬化の撥水性付
与活性エネルギー線硬化性材料の除去を行った後の状態
が示されているが、本例の場合、未硬化の撥水性付与活
性エネルギー線硬化性材料は、これを溶解する液体中に
浸漬されることにより、ヘッドの液供給口9を通して溶
解除去される。
【0064】次に、未硬化の撥水性付与活性エネルギー
線硬化性材料を除去した上記積層体に吐出口端面を形成
するために、ダイヤモンドブレードを用いたダイシング
法等によって吐出口端面に対応する線A−AおよびB−
B(図2、図3、図8に図示)で切断する。また、より
平滑な吐出口表面に仕上げるために、必要に応じて研
削、研磨の工程を切断後に行ってもよい。
【0065】その次に、図9に示すように切断を終了し
た上記積層体から固体層6を除去して、図10に示すよ
うに液室14および液路15を形成する。
【0066】固体層6の除去手段としては特に限定され
るものではないが、具体的には例えば固体層6を溶解ま
たは膨潤あるいは剥離する液体に浸漬して除去する等の
方法が好ましいものとして挙げられる。この際、必要に
応じて超音波処理、スプレー、加熱、攪拌、振とう、加
圧循環、その他の除去促進手段を用いることも可能であ
る。
【0067】上記除去手段に対して用いられる液体とし
ては、例えば含ハロゲン炭化水素、ケトン、エステル、
芳香族炭化水素、エーテル、アルコール、N−メチルピ
ロリドン、ジメチルホルムアミド、フェノール、水、酸
あるいはアルカリを含む水、等が挙げられる。これら液
体には、必要に応じて界面活性剤を加えても良い。ま
た、固体層としてポジ型ドライフィルムを用いる場合に
は、除去を容易にするために固体層に改めて紫外線照射
を施すのが好ましく、その他の材料を用いた場合は、4
0〜60℃に液体を加温するのが好ましい。
【0068】図10には、上記のような固体層6の除去
を行った後の状態が示されているが、本例の場合、固体
層6は、これを溶解する液体中に浸漬され、ヘッドの吐
出口16と液供給口9とを通して溶解除去される。
【0069】次に、吐出口端面19にマスクをし、該面
に撥水性を残したまま液路15および液室14の内部表
面を親水化処理し、インクに対するぬれを良くする。こ
れにより、吐出口端面19に撥水部18を形成するもの
である。
【0070】図11は、親水化処理後の親水層17の状
態を示す。このように、吐出口端面19は撥水性を有
し、液路15および液室14内部は親水性を有する。マ
スクとしては、例えば、金属、セラミック、プラスチッ
ク、ゴム等によるメカマスク、テープによる保護、有機
高分子材料による被覆等が挙げられる。親水化処理とし
ては、強酸又は強アルカリ処理などの薬品処理法、紫外
線照射法、グラフト重合法、コロナ放電処理、グロー放
電処理などのプラズマ処理法等が挙げられる。その他、
撥水性付与活性エネルギー線硬化樹脂層の表面もぬれ性
を向上させる方法を用いることが可能である。
【0071】尚、本発明者の知見によれば、前記積層体
20から未硬化の活性エネルギー線硬化性材料層10と
固体層6とを別々に、あるいは同時に除去後、液路15
および液室内部14の表面を親水化処理し、その後、前
記積層体の吐出口端面を露出するために切断を行うこと
も可能である。このことは液路15および液室内部14
の表面の親水化処理を行う際に、吐出口端面19にマス
クをする操作を除き、親水化処理を行う点で有利であ
る。
【0072】図12には以上の各工程を経て得られた液
体噴射記録ヘッドの模式的斜視図が示されている。ここ
で、オリフィス面のみ撥水性を有する。
【0073】尚、上述の説明においては、2つの記録ヘ
ッドを同時に形成する場合を示したが、これに限らず、
多くの記録ヘッドが対向する様に形成し、同時にさらに
多くのヘッドを形成してもよい。この場合には、流路端
部形成溝や撥水性硬化樹脂層の形成を複数の記録ヘッド
で同時に行えるため、製法の簡略化、低コスト化をさら
に図ることができる。
【0074】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0075】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれに
も適用可能である。
【0076】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じる様
な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆動
信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せし
め、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。この
様に液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆動信
号に一対一対応した気泡を形成出来るため、特にオンデ
マンド型の記録法には有効である。この気泡の成長,収
縮により吐出孔を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるの
で、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成で
き、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第4463359号明細書、同第4345
262号明細書に記載されているようなものが適してい
る。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国
特許第4313124号明細書に記載されている条件を
採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
【0077】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)の
他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許第
4459600号明細書に開示されている様に、熱作用
部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発明
に含まれる。
【0078】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0079】更に、本発明が有効に利用される記録ヘッ
ドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に
対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがある。
このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示されて
いるような記録ヘッドを複数組み合わせることによって
フルライン構成にしたものや、一体的に形成された一個
のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0080】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0081】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャピング手段、クリーニング手
段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の
加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行う手段
を付加することも安定した記録を行うために有効であ
る。
【0082】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0083】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0084】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにし
ても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイン
クが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体
に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーによって初めて液化する性質を持つイ
ンクの使用も本発明には適用可能である。
【0085】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部又は貫通孔に液状
又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としても良い。
【0086】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0087】図13はインクジェット記録装置の外部構
成の概略を示した斜視図である。図11において、51
は記録装置側の記録信号付与手段から与えられる所定の
記録信号に基づいてインクを吐出し、所望の画像記録す
るインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと称
す。)、52は前記記録ヘッド51を乗せて記録行方向
(主走査方向)に走査移動するキャリッジである。前記
キャリッジ52は、ガイド軸53,54によって摺動可
能に支持されており、タイミングベルト58に連動して
主走査方向に往復運動する。プーリ56,57に係合し
ている前記タイミングベルト58は、プーリ57を介し
てキャリッジモータ55によって駆動される。
【0088】記録紙59は、ペーパーパン60によって
ガイドされ、ピンチローラで圧接させられている図示し
ない紙送りローラによって搬送される。この搬送は、紙
送りモータ66を駆動源として行われる。搬送された記
録紙59は、排紙ローラ63と拍車64とによりテンシ
ョンを加えられていて、弾性部材で形成される紙押え板
62によってヒータ61に圧接させられているため、ヒ
ータ61に密着させられながら搬送される。ヘッド51
により噴射されたインクが付着した記録紙59は、ヒー
タ61によって温められ、付着したインクはその水分が
蒸発して記録紙59に定着する。
【0089】65は回復系と呼ばれるユニットで、記録
ヘッド51の吐出口(図示せず)に付着した異物や粘度
の高くなったインクを除去することにより、吐出特性を
正規の状態に維持するためのものである。
【0090】68aは回復系ユニット65の一部を構成
するキャップであり、インクジェット記録ヘッド51の
吐出口をキャッピングして、目詰りの発生を防止するた
めのものである。キャップ68aの内部には、インク吸
収体68が配されている。
【0091】また、回復系ユニット15の記録領域側に
は記録ヘッド61の吐出口が形成された面と当接し吐出
口面に付着した異物がインク滴をクリーニングするため
のクリーニングブレード67が設けられている。
【0092】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説
明する。
【0093】図1乃至図11に示した製作手順に準じ
て、図12の構成の液体噴射記録ヘッドを作製した。 (1)シリコンより成る基板上面に、吐出エネルギー発
生素子2としてHfB2薄膜ヒータを成膜、パターニン
グし、Alを配線材料として用いた発熱素子基板を作製
した。(図1) (2)基板1にダイシング法により、深さ50μm、幅
100μmの溝3を形成した。(図2) (3)ディスペンサーを用いて、表1に示す撥水性付与
活性エネルギー線硬化性材料層4を被覆し、前記硬化性
材料層4上に離型性を有する「テドラーフィルム25μ
m」(デュポン(株)製)を被覆し、そのフィルムの上
にフィルムマスクを密着させ、溝3以外の部分を遮蔽し
て、上方から平行度の高い紫外線照射装置「NEP−3
60」(ウシオ・ユーテック(株)製)によって紫外線
を6J/cm2 照射した。次に、1,1,1−トリクロ
ルエタンを用いてスプレー(2kg/cm2 、60秒)
により、未硬化の撥水性付与活性エネルギー線硬化性材
料を溶解除去し、撥水性硬化樹脂層5を形成した。(図
4) (4)この基板上面にポジ型ドライフィルム「OZAT
EC R225」(ヘキスト社製)から成る厚さ25μ
mの感光層をラミネーションによって形成した。この感
光層に図4(A)に示す固体層に相当するパターンのマ
スクを重ね、液路および液室形成予定部位を除く部分に
平行度の高い紫外線照射装置「MPA−600」(キヤ
ノン(株)製)によって紫外線を300mJ/cm2
射した。次に、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、
スプレー(1kg/cm2 、60秒)にて、液路および
液室形成予定部分に厚さ25μmのレリーフの固体層6
を形成した。(図4) (5)上記同様の操作手順で、固体層を積層した基板を
更に各2個合計ヘッド数として6個作製した後、該固体
層が形成されている基板のそれぞれに、表1に示す液状
の撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料を積層した。
操作手順は以下のように行った。
【0094】表1のイ〜ハの撥水性付与活性エネルギー
線硬化性材料のそれぞれを、触媒と混合し、真空ポンプ
を用いて脱泡した。その後、上記脱泡した3種の撥水性
付与活性エネルギー線硬化性材料のそれぞれを前記固体
層6が積層されている基板1のそれぞれにアプリケータ
を用いて、該基板の上面から70ミクロンの厚さに塗布
した。(図5) (6)これら3種の撥水性付与活性エネルギー線硬化性
材料層10を積層した基板1のそれぞれに、その厚さが
3.0mmで、液室形成予定部位に深さ2.0mmの凹
部と、該凹部の中央に記録液供給のための液供給口9を
持つ天板7を、液室形成予定部位の位置を合わせて積層
した。(図6) (7)この積層体20の上面にフィルムマスクを密着さ
せ、液室形成予定部位に対して活性エネルギー線を遮蔽
して、上方から平行度の高い紫外線照射装置「NEP−
360」(ウシオ・ユーテック(株)製)によって紫外
線(6J/cm2)を照射し、硬化材料層13を形成し
た。(図7) (8)フィルムマスクを取りはずし、6個の積層体をそ
れぞれ1,1,1−トリクロルエタン中に浸漬し、液供
給口9から1,1,1−トリクロルエタンを充填し、超
音波洗浄槽中にて3分間未硬化の撥水性付与活性エネル
ギー線硬化性材料の溶解除去操作を行った。(図8) (9)上記積層体をダイシング法により吐出エネルギー
発生素子2先端から吐出口方向に100μmの位置(A
−A、B−B線の位置)を切断した。(図9) (10)吐出口端面を露出させた6個の積層体をそれぞ
れエタノール中に浸漬し、液供給口からエタノールを充
填し、かつ吐出口端面をエタノールに接触した状態で、
超音波洗浄槽中にて固体層6の溶解除去操作を3分間行
った。(図10) (11)吐出口端面にテフロンテープを被覆し、プラズ
マアッシャー装置(ヤマト科学(株)製)により、酸素
量100SCCM、1Torr、600秒の条件下で、
液路および液室内の親水化処理を行い、その後テフロン
テープを取りはずした。(図11) このようにして作製された6個の液体噴射記録ヘッド
は、吐出口端面に傷がなく、平滑な面を有していた。更
に、これら液体噴射記録ヘッドに純水/グリセリン/ダ
イレクトブラック154(水溶性黒色染料)=65/3
0/5(重量部)から成るインクジェットインクを注入
したところ、液路および液室内面のインクに対するぬれ
は良好であり、一方、吐出面はこのインクに対し撥水性
を有していた。また、シリコンゴムによる吐出口端面の
こすり試験に対しても、初期状態の撥水性を有してい
た。
【0095】更に、上記記録ヘッドを記録装置に装着
し、上記インクジェットインクを用いて記録を行ったと
ころ、安定な印字が可能であった。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】以上に説明した本発明によってもたらさ
れる効果としては下記に列挙するようなものが挙げられ
る。 (1)吐出口が同質の材料で囲まれているため、インク
の吐出方向が一定、一様に安定しており、高品位の印字
が得られる。 (2)吐出口の周囲が同質の材料であることに加え、そ
の材料自体が撥水性を有するため、インク滴の切れがよ
く、高品位の印字が得られる。 (3)吐出口の周囲を形成する構造材料自体が撥水性を
有するため、耐久性が高 く、常に初期の撥水性を保持できる。(4)吐出口形成
時の加工対象が同質な材料なので、歩留りよく加工がで
き、廉価に液体噴射記録ヘッドを提供することができ
る。 (5)ヘッド製作のための主要工程が、いわゆる印刷技
術、すなわちフォトレジストや感光性ドライフィルム等
を用いた微細加工技術に因るため、ヘッドの細密部を、
所望のパターンで、しかも極めて容易に形成することが
できるばかりか、同構成の多数のヘッドを同時に加工す
ることが可能である。 (6)主要構成部位の位置合わせを容易、かつ確実に為
すことができ、寸法精度の高いヘッドが歩留り良く得ら
れる。 (7)高密度マルチアレイ液体噴射記録ヘッドが簡易な
方法で得られる。 (8)液路を構成する溝壁の厚さの調整が極めて容易で
あり、固体層の厚さに応じて所望の寸法(例えば、溝深
さ)の液路を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を説明するための基板を示
す斜視図である。
【図2】(A)は本発明の一実施態様を説明するための
もので、基板に液路端部形成溝を形成した状態を示す平
面図である。(B)は(A)のC−C線に沿った断面正
面図である。
【図3】(A)は本発明の一実施態様を説明するための
もので、基板に硬化性材料層を積層した状態を示す平面
図である。(B)は(A)のC−C線に沿った断面正面
図である。
【図4】(A)は本発明の一実施態様を説明するための
もので、基板に固体層を形成した状態を示す平面図であ
る。(B)は天板の構造を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施態様を説明するためのもので、
基板に固体層及び材料層を積層した状態を示す側面断面
図である。
【図6】本発明の一実施態様を説明するためのもので、
材料層の上に天板を積層した状態を示す側面断面図であ
る。
【図7】本発明の一実施態様を説明するためのもので、
形成した積層体に活性エネルギー線を照射している状態
を示す側面断面図である。
【図8】本発明の一実施態様を説明するためのもので、
活性エネルギー線を照射後の積層体を示す側面断面図で
ある。
【図9】本発明の一実施態様を説明するためのもので、
切断して箇々に分割した積層体の状態を示す側面断面図
である。
【図10】本発明の一実施態様を説明するためのもの
で、分割した積層体の固体層を除去した状態を示す側面
断面図である。
【図11】本発明の一実施態様を説明するためのもの
で、内面を親水化処理した状態を示すヘッドの断面側面
図である。
【図12】本発明の一実施態様を説明するためのもの
で、完成した液体噴射記録ヘッドを示す斜視図である。
【図13】本発明に係るヘッドを備えた記録装置を説明
する概略斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 液体吐出エネルギー発生素子 3 液路端部形成溝 4 撥水性付与活性エネルギー線硬化性材料層 5 撥水性硬化樹脂層 6 固体層 7 天板 8 凹部 9 液供給口 10 材料層 11 マスク 12 活性エネルギー線 13 硬化材料層 14 液室 15 液路 16 吐出口 17 親水層 18 撥水部 19 端面 20 積層体 51 記録ヘッド 59 記録紙

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)液体を吐出するのに利用されるエ
    ネルギーを発生する液体吐出エネルギー発生素子を備え
    た基板面に前記素子と所定間隔離間して流路端部形成溝
    を形成する第1工程、(B)流路端部形成溝に撥水性付
    与活性エネルギー線硬化性材料を硬化させた撥水性硬化
    樹脂層を形成する第2工程、(C)少なくとも前記撥水
    性硬化樹脂層上の少なくとも一部から前記素子上面にか
    けて除却可能な固体層を形成する第3工程、(D)固体
    層を形成した基板面に撥水性付与活性エネルギー線硬化
    性材料よりなる材料層を積層する第4工程、(E)前記
    材料層の液室形成予定部以外の部分に活性エネルギー線
    を照射することにより前記形成した材料層を硬化させる
    第5工程、(F)前記材料層未硬化部分を溶解除去する
    工程、前記材料層を硬化させた積層体を撥水性樹脂層が
    配された位置において切断する工程、固体層を溶解除去
    する工程、及び液路内面と液室内面とを親水化処理をす
    る工程とを有する第6工程、上記(A)、(B)、
    (C)、(D)、(E)、(F)の各工程を有すること
    を特徴とする液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 固体層が有機高分子材料で形成してなる
    ことを特徴とする請求項1記載の液体噴射記録ヘッドの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 有機高分子材料がポジ型感光性樹脂であ
    ることを特徴とする請求項2記載の液体噴射記録ヘッド
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3記載の製造方法で
    製造したことを特徴とする吐出口端面が撥水性かつ同一
    材料で構成した液体噴射記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 吐出エネルギー発生素子が前記エネルギ
    ーとして熱エネルギーを発生する電気熱変換体であるこ
    とを特徴とする請求項4記載の液体噴射記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 記録媒体の記録領域の全幅にわたってイ
    ンク吐出口が複数設けられているフルラインタイプのも
    のであることを特徴とする請求項4記載の液体噴射記録
    ヘッド。
  7. 【請求項7】 記録媒体の被記録面に対向してインク吐
    出口が設けられている請求項4記載の液体噴射記録ヘッ
    ドと、該ヘッドを載置するための部材とを少なくとも具
    備することを特徴とする液体噴射記録装置。
JP34773792A 1992-12-28 1992-12-28 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び同ヘッドを備えた記録装置 Pending JPH06191036A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34773792A JPH06191036A (ja) 1992-12-28 1992-12-28 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び同ヘッドを備えた記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34773792A JPH06191036A (ja) 1992-12-28 1992-12-28 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び同ヘッドを備えた記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06191036A true JPH06191036A (ja) 1994-07-12

Family

ID=18392247

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34773792A Pending JPH06191036A (ja) 1992-12-28 1992-12-28 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び同ヘッドを備えた記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06191036A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6811715B2 (en) 2001-02-22 2004-11-02 Canon Kabushiki Kaisha Method for producing ink jet recording head, and ink jet recording head produced by such method

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6811715B2 (en) 2001-02-22 2004-11-02 Canon Kabushiki Kaisha Method for producing ink jet recording head, and ink jet recording head produced by such method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0698755B2 (ja) 液体噴射記録ヘツドの製造方法
EP0500068B1 (en) Ink jet recording head, recording apparatus using same and method for manufacturing same
JPH0645242B2 (ja) 液体噴射記録ヘツドの製造方法
JP3305041B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法および前記インクジェットヘッドを備えたインクジェット装置
JPH054348A (ja) インクジエツト記録ヘツドおよびその製造方法
JPH06191036A (ja) 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び同ヘッドを備えた記録装置
JP3122195B2 (ja) インクジェット記録ヘッド、その製造方法および前記インクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置
JPH05124206A (ja) インクジエツト記録ヘツド、その製造方法および前記インクジエツト記録ヘツドを備えたインクジエツト記録装置
JPH05330046A (ja) 液体記録ヘッド及び液体記録ヘッドの製造方法
JPH06191037A (ja) 液体噴射記録ヘッド、それを用いた液体噴射記録装置および該ヘッドの製造方法
JPH06191034A (ja) インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JPH06191035A (ja) インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JP2710983B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JPH06312509A (ja) インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録ヘッドの製造方法および前記インクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置
JPH03207659A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JPH06312507A (ja) 液体噴射記録ヘッド、液体噴射記録ヘッドの製造方法並びにこの液体噴射記録ヘッドを備えた記録装置
JPH04201351A (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JPH09131871A (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法ならびにインクジェット装置
JPH06344558A (ja) インクジェットヘッド、該ヘッドの製造方法およびインクジェットヘッドを用いたインクジェット装置
JP2711016B2 (ja) インクジェット記録ヘッド、該インクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置および前記インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP3592014B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法、該方法によって製造される液体噴射記録ヘッド及び該記録ヘッドを具備する記録装置
JPH05147214A (ja) 液体噴射記録ヘツド
JPH03218844A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JPH03183559A (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JPH0584917A (ja) 液体噴射記録ヘツドの製造方法