JPH06190605A - 表面被覆切削工具 - Google Patents
表面被覆切削工具Info
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- JPH06190605A JPH06190605A JP4356715A JP35671592A JPH06190605A JP H06190605 A JPH06190605 A JP H06190605A JP 4356715 A JP4356715 A JP 4356715A JP 35671592 A JP35671592 A JP 35671592A JP H06190605 A JPH06190605 A JP H06190605A
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Abstract
ニウム層を含む化学蒸着複合硬質層被覆切削工具に関す
るものである。 【構成】 基体表面に、チタンの炭化物、窒化物、炭窒
化物、炭酸化物および炭窒酸化物のうち1種の単層また
は2種以上の複層からなる内層と、少なくとも1層の酸
化アルミニウム層を含む外層とで構成された複合硬質層
を被覆してなる切削工具において、前記酸化アルミニウ
ム層は、ASTMにおけるκ−Al2 O3 の面間隔2.
79オングストロームの面をA面、同じく面間隔2.5
7オングストロームの面をB面としたとき、X線回折に
よるB面のピーク強度:IB に対するA面のピーク強
度:IA の比が、IA /IB >2であるようなκ型結晶
を主体とする酸化アルミニウムで構成されていることを
特徴とする。
Description
サーメット基体の表面に化学蒸着法により形成された、
チタンの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物および炭
窒酸化物のうち1種の単層または2種以上の複層(以
下、チタン化合物層と総称する)からなる内層と、少な
くとも1層の酸化アルミニウム層を含む外層とで構成さ
れた複合硬質層を形成してなる耐摩耗性および耐欠損性
に優れた表面被覆切削工具に関するものである。
体の表面に、化学蒸着法によりチタン化合物層からなる
内層と、少なくとも1層の酸化アルミニウム層を含む外
層とで構成された複合硬質層を被覆してなる表面被覆切
削工具は、鋼などの連続切削や断続切削に用いられてい
ることは良く知られている。
で、耐すくい面摩耗性に優れているが、基体に対する密
着性および靭性に劣るために、超硬合金基体またはサー
メット基体の表面に化学蒸着法により先ずチタン化合物
層を被覆し、このチタン化合物層の上に化学蒸着法によ
り酸化アルミニウム層を被覆し、形成された複合硬質層
の耐摩耗性および靭性を付与して耐欠損性を向上させて
いる。
層を化学蒸着法により形成する方法として、通常の反応
ガスに0.01〜1.0Vol%の硫化水素ガスを含む
反応ガスを用いることにより酸化アルミニウム層の成長
速度を向上させる方法が知られている。この方法による
と、酸化アルミニウム層の成長速度が向上するところか
らその他の被覆層および基体を高温に長時間さらすこと
なく組織変化を防止することができ、したがって、従来
の被覆切削工具よりも優れた性能を有する表面被覆切削
工具が得られると言われている(例えば、特公昭62−
3234号公報参照)。
ガスを含む反応ガスを用いることにより得られる酸化ア
ルミニウム層は、主としてα型酸化アルミニウム層であ
るが、反応ガス中の炭酸ガス量を変化させることにより
κ型結晶を有する酸化アルミニウム層が得られることも
知られている。
程の省力化および短縮化に対する要求は強く、これに伴
ない、より一段と苛酷な条件下での高送りおよび高切込
みなどの高速連続切削や断続切削が強いられる傾向にあ
り、かかる高速切削では切削中に刃先温度が1000℃
を越え、非常に高温の切り屑が工具のすくい面を通過
し、急速にすくい面摩耗が進行し、比較的早期に欠損に
至る。これに対して、従来の酸化アルミニウム層を含む
複合硬質層を被覆した切削工具は、これら苛酷な条件下
では、被覆層の耐摩耗性および耐欠損性が不十分であ
り、比較的短時間の使用寿命しか示さないのが現状であ
った。
かる観点から、従来よりもさらに一層耐摩耗性および耐
欠損性に優れた酸化アルミニウム層を含む複合硬質層表
面被覆切削工具を開発すべく研究を行っていたところ、
基体表面に、チタン化合物層のうち1種の単層または2
種以上の複層からなる内層と、少なくとも1層の酸化ア
ルミニウム層を含む外層とで構成された複合硬質層を被
覆してなる切削工具において、前記酸化アルミニウム層
が、ASTMにおけるκ−Al2 O3 の面間隔2.79
オングストロームの面をA面、同じく面間隔2.57オ
ングストロームの面をB面としたとき、X線回折による
B面のピーク強度:IB に対するA面のピーク強度:I
A の比:IA /IB が耐摩耗性および耐欠損性に大きく
影響し、IA /IB >2であるような特殊なκ型結晶を
有する酸化アルミニウムで構成されている表面被覆切削
工具は、従来の酸化アルミニウム層を含む複合硬質層で
被覆された表面被覆切削工具に比べて優れた耐摩耗性お
よび耐欠損性を示すという研究結果が得られたのであ
る。
なされたものであって、基体表面に、チタン化合物層の
うち1種の単層または2種以上の複層からなる内層と、
少なくとも1層の酸化アルミニウム層を含む外層とで構
成された複合硬質層を被覆してなる切削工具において、
前記酸化アルミニウム層は、ASTMにおけるκ−Al
2 O3 の面間隔2.79オングストロームの面をA面、
同じく面間隔2.57オングストロームの面をB面とし
たとき、X線回折によるB面のピーク強度:IB に対す
るA面のピーク強度:IA の比が、IA /IB >2であ
るようなκ型結晶を主体とする酸化アルミニウムで構成
されている表面被覆切削工具に特徴を有するものであ
る。
型結晶を有する酸化アルミニウム層で構成されている複
合硬質層表面被覆切削工具が従来よりも一層耐摩耗性お
よび耐欠損性に優れている理由として、A面に配向性を
示すκ型結晶酸化アルミニウムは結晶面が酸化アルミニ
ウム膜の成長方向に対して水平で、切削工具表面と結晶
面の方向が一致しているためにすくい面を滑る切り屑の
抵抗になりにくく、摩耗する場合もA面と平行に摩耗す
ることになり、常にA面が表面に向かっているので異常
損傷の起こりにくく安定した耐摩耗性を示す。一方、B
面に配向性を示すκ型結晶酸化アルミニウム膜は、結晶
面が酸化アルミニウム膜の成長方向と一致していないた
め、酸化アルミニウム膜の表面は平滑でなくなり、切削
中にすくい面を滑る切り屑の抵抗が大きくなり、安定し
た耐摩耗性が得られなくなるので十分な耐摩耗性および
耐欠損性を示さないものと考えられる。
X線回折におけるA面のピーク強度IA をX線回折にお
けるB面のピーク強度IB よりも大である、すなわち、
IA/IB >2であるような特殊なκ型結晶の酸化アル
ミニウムで構成すると、耐摩耗性および耐欠損性が一層
向上し、この酸化アルミニウム層を含む複合硬質層を被
覆した表面被覆切削工具は、高速切削などの過酷な使用
条件下においても寿命が一層向上するものと考えられ
る。
は、通常の表面を研削処理したサーメット製切削工具
(WC基超硬合金製切削工具なども含む)を基体とし、
この基体表面に、通常の化学蒸着法により少なくとも1
層のチタン化合物層を形成し、そのチタン化合物層の上
に、さらに少なくとも1層のこの発明のIA /IB >2
である特殊なκ型結晶を主体とする酸化アルミニウム層
を形成することにより作製される。前記酸化アルミニウ
ム層は、必ずしも最外層である必要はなく、酸化アルミ
ニウム層の上にさらに少なくとも1層のチタン化合物層
を被覆しても良い。なお、この発明のIA /IB >2で
ある特殊なκ型結晶を主体とする酸化アルミニウム層と
は、IA /IB >2である特殊なκ型結晶が全体の50
%以上、好ましくは全体の85%以上を占める酸化アル
ミニウム層をいう。
を主体とする酸化アルミニウム層は、化学蒸着装置内の
温度を比較的低温の900〜950℃に保持し、化学蒸
着反応開始時はAlCl3 ガス:1.0〜20.0Vo
l%、H2 Sガス:0.01〜2.0Vol%およびS
O2 :0.01〜1.0Vol%を含み、残りがH2か
らなる混合ガスを流しながら、反応開始時はCO2 ガス
を流さず、所定時間かけてCO2 ガス:10〜40Vo
l%の範囲内の所定のCO2 ガス流量になるようにCO
2 ガス流量を増加ししながら供給し、その後はCO2 ガ
ス:10〜40Vol%の範囲内の所定のCO2 ガス流
量を定常的に流すことにより形成される。
るκ型結晶を主体とする酸化アルミニウム層を形成する
には、反応温度を比較的低温の900〜1000℃に保
持すること、H2 Sガス:0.01〜2.0Vol%お
よびSO2 :0.01〜1.0Vol%を含む反応ガス
を流しながら反応開始時はCO2 ガスを流さず、所定時
間かけてCO2 ガス:10〜40Vol%の範囲内の所
定のCO2 ガス流量になるようにCO2 ガス流量を増加
せしめることが必要であり、このCO2 ガス:10〜4
0Vol%は従来のCO2 ガス流量(3〜7Vol%)
よりも多量であることが必要である。
た反応ガスは蒸着に際し、 2H2 S+SO2 =3S+2H2 O となるように反応してSと水を生成し、さらに、生成し
た水は塩化アルミニウムと反応し、 H2 O+2AlCl=Al2 O3 +6HCl となり、Al2 O3 が生成するものと考えられる。
例により具体的に説明する。通常の粉末冶金法により製
造した82%WC−5%TiC−5%TaC−8%Co
からなる成分組成(ISO規格P30相当)を有しかつ
ISO規格のSNMG432に定めた形状の切削工具を
用意した。
−92%H2 、 の条件で厚さ:5μmのTiCN層を形成し、続いて、 温度:930℃、圧力:100torrの条件下で化学蒸着
開始時にCO2 ガスを含まない5%AlCl3 −2%H
2 S−1%SO2 −92%H2 からなる組成の反応ガス
を流し、CO2 ガス流量を増加しながら1時間後に5%
AlCl3−20%CO2 −2%H2 S−1%SO2 −
72%H2 からなる組成の反応ガスとなるように調整
し、この組成の反応ガスを5時間流しながら厚さ:7μ
mのAl2 O3 層を形成し、本発明被覆切削工具1を作
製した。
1000℃、圧力:50torrの条件下で、ガス組成:5
%AlCl3 −5%CO2 −0.5%H2 S−89.5
%H2 の反応ガスを6時間流し、厚さ:7μmのAl2
O3 層を形成し、従来被覆切削工具1を作製した。
2 、 の条件で厚さ:3μmのTiC層を形成し、その上に、 温度:1000℃、圧力:100torr、 反応ガス組成:4%TiCl4 −2%CH4 −2%N2
−92%H2 、 の条件で厚さ:3μmのTiCN層を形成し、続いて、 温度:950℃、圧力:100torrの条件下で化学蒸着
開始時にCO2 ガスを含まない5%AlCl3 −1%H
2 S−0.5%SO2 −93.5%H2 からなる組成の
反応ガスを流し、CO2 ガス流量を増加しながら0.5
時間後に5%AlCl3 −20%CO2 −1%H2 S−
0.5%SO2 −73.5%H2 からなる組成の反応ガ
スとなるように調整し、この組成の反応ガスを5時間流
しながら厚さ:7μmのAl2 O3 層を形成し、本発明
被覆切削工具2を作製した。
した後、 温度:1000℃、圧力:50torr、 反応ガス組成:5%AlCl3 −5%CO2 −0.5%
H2 S−89.5%H2 の反応ガスを6時間流し、厚
さ:7μmのAl2 O3 層を形成し、従来被覆切削工具
2を作製した。
%CH4 −83%H2 、 の条件で厚さ:5μmのTiCN層を形成し、続いて、 温度:900℃、圧力:100torrの条件下で化学蒸着
開始時にCO2 ガスを含まない5%AlCl3 −1%H
2 S−0.5%SO2 −93.5%H2 からなる組成の
反応ガスを流し、CO2 ガス流量を増加しながら1.5
時間後に5%AlCl3 −20%CO2 −1%H2 S−
0.5%SO2 −73.5%H2 からなる組成の反応ガ
スとなるように調整し、この組成の反応ガスを5時間流
しながら厚さ:7μmのAl2 O3 層を形成し、本発明
被覆切削工具3を作製した。
た後、 温度:1000℃、圧力:100torr、 反応ガス組成:5%AlCl3 −5%CO2 −0.5%
H2 S−77.5%H2 の反応ガスを6時間流し、厚
さ:7μmのAl2 O3 層を形成し、従来被覆切削工具
3を作製した。
l2 O3 層の表面に、さらに 温度:1000℃、圧力:100torr、 反応ガス組成:2%TiCl4 −28%N2 −70%H
2 、 の条件で厚さ:1μmのTiN層を形成し、本発明被覆
切削工具4〜6を作製した。
2 O3 層の表面に、さらに 温度:1000℃、圧力:100torr、 反応ガス組成:2%TiCl4 −28%N2 −70%H
2 、 の条件で厚さ:1μmのTiN層を形成し、従来被覆切
削工具4〜6を作製した。
来被覆切削工具1〜6について、X線回折を行ない、A
STMにおけるκ−Al2 O3 の面間隔2.79オング
ストロームの面をA面、同じく面間隔2.57オングス
トロームの面をB面としたとき、X線回折によるB面の
ピーク強度:IB に対するA面のピーク強度:IA の比
=IA /IB を求め、それらの値を表1に示した。
従来被覆切削工具1〜6について、 被削材 :SCM440(硬さ:HB 230) 切削速度:300m/min 送 り:0.3mm/rev 切込み :1.5mm 切削時間:20min 冷却油 :なし の条件で鋼の連続切削試験を行ない、切刃の逃げ面摩耗
幅を測定し、これらの結果も表1に示し、
従来被覆切削工具1〜6について、 被削材 :SNCM439(硬さ:HB 230)角材 切削速度:100m/min 送 り:0.236mm/rev 切込み :3.0mm 切削時間:30min 冷却油 :なし の条件で鋼の断続切削試験を行ない、工具刃先が欠損に
至までの時間を測定し、これらの結果も表1に示した。
に、本発明被覆切削工具1〜6のκ型結晶Al2 O3 層
のIA /IB の値はいずれも2より大であるが、従来被
覆切削工具1〜6のAl2 O3 層のIA /IB の値はい
ずれも2以下であり、基体に被覆されるAl2 O3 層の
IA /IB の値が2より大の本発明被覆切削工具1〜6
はIA /IB の値が2以下の従来被覆切削工具1〜6に
比べていずれも連続切削試験を行なった際の逃げ面摩耗
幅が小さくかつ断続切削試験による欠損に至までの時間
が長いことがわかる。
は、従来の表面被覆切削工具よりも一層優れた切削性能
を有しており、この発明の表面被覆切削工具を用いるこ
とにより切削工具交換回数などを減らすことができ、産
業の発展に大いに貢献しうるものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 基体表面に、チタンの炭化物、窒化物、
炭窒化物、炭酸化物および炭窒酸化物のうち1種の単層
または2種以上の複層からなる内層と、少なくとも1層
の酸化アルミニウム層を含む外層とで構成された複合硬
質層を被覆してなる切削工具において、 前記酸化アルミニウム層は、ASTMにおけるκ−Al
2 O3 の面間隔2.79オングストロームの面をA面、
同じく面間隔2.57オングストロームの面をB面とし
たとき、X線回折によるB面のピーク強度:IB に対す
るA面のピーク強度:IA の比が、IA /IB >2であ
るようなκ型結晶を主体とする酸化アルミニウムで構成
されていることを特徴とする表面被覆切削工具。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP4356715A JP2746036B2 (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | 表面被覆切削工具 |
EP94108885A EP0686707A1 (en) | 1992-12-22 | 1994-06-09 | Surface coated cutting tool |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4356715A JP2746036B2 (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | 表面被覆切削工具 |
EP94108885A EP0686707A1 (en) | 1992-12-22 | 1994-06-09 | Surface coated cutting tool |
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JPH06190605A true JPH06190605A (ja) | 1994-07-12 |
JP2746036B2 JP2746036B2 (ja) | 1998-04-28 |
Family
ID=26135667
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4356715A Expired - Lifetime JP2746036B2 (ja) | 1992-12-22 | 1992-12-22 | 表面被覆切削工具 |
Country Status (2)
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EP (1) | EP0686707A1 (ja) |
JP (1) | JP2746036B2 (ja) |
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JP2746036B2 (ja) | 1998-04-28 |
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