JPH06190274A - 酸性成分吸着剤 - Google Patents

酸性成分吸着剤

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JPH06190274A
JPH06190274A JP4346022A JP34602292A JPH06190274A JP H06190274 A JPH06190274 A JP H06190274A JP 4346022 A JP4346022 A JP 4346022A JP 34602292 A JP34602292 A JP 34602292A JP H06190274 A JPH06190274 A JP H06190274A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】再水和性アルミナ粉末を成形し、次いで室温〜
120℃の水蒸気雰囲気下に保持した後焼成して得たア
ルミナ担体に酸化物換算で2〜15重量%のアルカリ金
属塩を存在せしめてなることを特徴とする酸性成分吸着
剤。 【効果】粉化等によるダストの発生が実質的にない強度
と吸着性能に優れたHCl等の酸性成分含有流体からの
酸性成分の除去用吸着剤として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸性成分吸着剤に関す
る。更に詳細には酸性成分含有流体からの酸性成分の除
去に用いる酸性成分吸着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸性成分を含有する液体或いは気体中よ
り酸性成分を除去する操作は多くの産業分野で実施され
ている。たとえば、接触改質によるガソリン留分よりの
高オクタン価プロセスにおいては、通常塩化白金触媒を
用いており、該触媒より離脱した塩素がプロセス内を循
環する水素中に混入する場合には微量のHClとなり反
応に悪影響を与えるため該水素中より微量HClを除去
することが求められる。また、AlCl3 等の金属塩化
物を触媒として使用する化学反応操作に於いてはHCl
不純物が生成し、これが反応に悪影響を与えたり、装置
を腐食したり、或いはHClガスとなって大気を汚染す
るためその除去を要求される。また、自動車等より発生
する微量NOx も環境を汚染するため除去することが要
求される。
【0003】これらの除去方法としてはアルカリ液での
吸収法、活性アルミナ等の吸着剤による吸着法等が知ら
れている。また、活性アルミナに各種添加物を組み合わ
せた物が、吸着剤としてさらに有効であることも知られ
ている。たとえば、(1)特開昭62ー87244号で
はアルミナ含有物質にアルカリ土類金属を担持しガス中
のHClを吸着除去する方法、(2)ヨーロッパ特許第
234433号ではアルミナ含有物質にアルカリ金属を
担持しガス中のHClを固定床で吸着除去する方法、
(3)米国特許第3808774号ではNaOHあるい
はNa2 CO3 溶液で処理された活性アルミナ粉末をH
Cl含有排ガス中に吹き込み吸湿させた後HClを吸着
除去する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら(1)の
添加剤としてアルミナ含有物質にアルカリ土類金属を担
持させる方法は、原料であるアルカリ土類塩の多くが水
に対する溶解度が小さく、工業レベルで使用可能な塩と
して硝酸塩が挙げられるが、該硝酸塩は焼成工程におい
てNO2 が放出されるため処理設備が必要となり経済的
ではない。(2)の方法に於いては触媒担体としてベー
マイト或いはα−アルミナが例示されているが、これら
触媒担体は強度が低く、使用時に粉化し、圧力損失を招
くとか、ガス中にダストが同伴されるのを防ぐためダス
ト除去工程の設置を必要とする。また(3)のガス中に
活性アルミナ粉末をを吹き込む方法は該ガス中よりの活
性アルミナ粉末の除去装置が必須であり経済的ではな
い。
【0005】かかる事情に鑑み,本発明者らは,酸性成
分除去性能に優れることは勿論、強度に優れ使用に於い
てダスト処理工程等の特別な付帯設備の必要がない酸性
成分吸着剤を見いだすべく鋭意研究を重ねた結果,本発
明を完成するに到った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、再水
和性アルミナ粉末を成形し、次いで室温〜120℃の水
蒸気雰囲気下に保持した後焼成して得たアルミナ担体に
酸化物換算で2〜15重量%のアルカリ金属塩を存在せ
しめてなることを特徴とする酸性成分吸着剤を提供する
にある。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
使用する主要原料は再水和性アルミナ粉末とアルカリ金
属塩である。本発明はアルミナ原料として再水和性アル
ミナ粉末を用い、これを成形した後特定条件で再水和処
理したアルミナ成形体及びこれにアルカリ金属塩を用い
ることを特徴とする。再水和性アルミナは再水和性を有
しないアルミナに較べ著しく大きなBET表面積を持
ち、再水和時に強固な結合を作ることが特徴であり、こ
れを原料として吸着剤を製造する場合には気体のみなら
ず液体中の酸性成分の処理に於いても粉化の実質的にな
い吸着剤の供給が可能である。
【0008】本発明でいう再水和性アルミナ粉末とは、
アルミナ水和物を熱分解した遷移アルミナ中、例えば
χ、ρ−アルミナ及び無定形アルミナ等、通常常温〜1
20℃で再水和可能なアルミナである。工業的には例え
ばバイヤー工程から得られるアルミナ三水和物等のアル
ミナ水和物を約400−1200℃で熱ガス気流中に通
常、数分の1〜10秒接触させるにことより得られ、約
0.5〜15重量%の灼熱減量を有する再水和性アルミ
ナに、酸性ガス(例えば、塩酸、フッ酸、NOx、SO
x等)の吸着性能を著しく低減しない範囲で他の無機粉
末を添加することができる。そのような無機粉末の例と
しては、再水和性のないアルミナ例えばαアルミナ、ア
ルミナ水和物、シリカ、粘土、タルク、ベントナイト、
ゼオライト、コーディエライト、チタニア、マグネシ
ア、ジルコニア、ムライト、シリカアルミナ等がある。
【0009】再水和性アルミナ粉末および他の無機粉末
の粒径は約1μ〜約35μが適当である。これ以上では
とくに耐摩耗性が低下するので好ましくない。再水和性
アルミナ粉末の成形法は特に限定されず、公知の方法、
例えば、転動造粒機に再水和性アルミナ粉末を投入し水
をバインダーとして供給しつつ造粒する方法、再水和性
アルミナ粉末を金型で圧縮成形する方法、再水和性アル
ミナ粉末の表面をステアリン酸等で被覆した後水と混合
し押出成形する方法等が可能である。形状としては球
状、円柱状、リング状、板状、ハニカム状、塊状等に成
形される。これらの成形方法のうち、生産性が高くまた
固定床吸着剤に適した約0.5mm〜約10mmの球状
物が得られる転動造粒成形法が推奨される。
【0010】かくして得られた成形体はついで成形体自
体の機械的強度を高めるために再水和に足る時間,通常
室温〜約120℃、好ましくは約50〜約90℃の水蒸
気中または水蒸気含有ガス中で保持され再水和される。
再水和処理は上記条件で一般に1分間〜1週間行われ
る。再水和時間が長いほど、また温度が高いほど機械的
強度が大きくなるが、再水和処理時にアルカリ金属塩が
共存する場合はそのアルカリ性のため温度が高すぎる
と、成形アルミナの細孔組織が一部破壊され吸着性能が
低下するので、この点から再水和処理温度は約90℃以
下が望ましい。
【0011】上記の温度は水蒸気処理中の成形体の温度
であり、再水和性アルミナは再水和時に発熱するため、
放熱を防ぐことにより室温で密閉容器中ですることによ
っても再水和は可能である。
【0012】再水和された成形体は、成形体中の付着水
分及び結晶水を除くと伴に触媒として高比表面積を付与
するため焼成する。焼成温度は通常約300℃〜約90
0℃であるが、焼成品のBET表面積が最大になる約3
00℃〜約500℃が特に推奨される。焼成は燃焼ガ
ス、電気ヒーターによる間接加熱、赤外線加熱等で実施
される。焼成に先だって自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥
等の方法で付着水分を除去して置くことも可能である。
【0013】再水和性アルミナ粉末を成形して得るアル
ミナ担体の細孔容積を調整するために再水和性アルミナ
粉末に公知の燃焼性粉末、例えばナフタレン、木炭、結
晶性セルロース、メチルセルロース、活性炭、ポリエチ
レンオキサイド等を添加することも可能である。この場
合は成形後のアルミナ成形体を焼成する温度で燃焼、消
失する添加物を選択することが重要である。
【0014】アルミナ担体に存在せしめるアルカリ金属
塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジ
ウム、セシウムが挙げられるが、コスト、取扱い性、入
手の容易性等から、ナトリウム、カリウムが好ましい金
属である。原料としては、再水和性アルミナ水和物の結
晶水を加熱除去する温度、すなわち約300〜500℃
で熱分解しアルカリ金属酸化物以外は実質的に残存しな
いような塩が使用可能である。たとえば、水酸化物、酸
化物、炭酸塩、アルミン酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、硝酸塩
がある。熱分解したときに有害なガスが発生しない点で
水酸化物、酸化物、炭酸塩、アルミン酸塩、酢酸塩およ
び蓚酸塩等が好ましい。
【0015】アルカリ金属塩をアルミナ担体へ存在せし
める方法は特に限定されるものではないが(1)再水和
性アルミナ粉末とアルカリ金属塩を所定の割合で混合
後、該混合粉を成形し、次いで再水和処理し,その後乾
燥、焼成する。(2)再水和性アルミナを湿式成形する
ときに、バインダーとしての液体中にアルカリ金属塩を
溶解または懸濁しておき、これを用い成形し、次いで再
水和処理後、乾燥、焼成する。(3)再水和性アルミナ
粉末を成形後、アルカリ金属塩またはその溶液あるいは
懸濁物を付着せしめ、再水和処理後,乾燥もしくは焼成
する。(4)再水和性アルミナ粉末を成形、再水和処理
後,アルカリ金属塩またはその溶液あるいは懸濁物を付
着せしめ、乾燥もしくは焼成する。さらには(5)再水
和性アルミナ粉末を成形、焼成後のアルミナ担体にアル
カリ金属を含浸等の方法で被着せしめ、その後乾燥もし
くは焼成する方法等も使用可能である。このうち(1)
及び(2)の方法は吸着性能の高いものが得られ、かつ
余分な付着乾燥工程が不要でありとくに好ましい製法で
ある。
【0016】このようにして得られた本発明の酸性成分
吸着剤は通常約2kg以上の耐圧強度と酸性成分吸着量
の指標として125ppmHClガスの平衡吸着量が通
常約5%以上であり、使用に当たっては、固定床、移動
床、バッチ式等の形で気体または液体中の酸性成分の吸
着等による除去処理を行うことができ、特にHCl含有
流体からのHClの吸着、除去処理に最適である。
【0017】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は再水和性
アルミナ粉末を用い成形した後、特定条件で再水和せし
め、次いで焼成することにより得た特定のアルミナ担
体、ならびに該アルミナ担体に特定量のアルカリ金属酸
化物を存在せしめることにより、固定床等に充填し酸性
成分含有流体を接触せしめ、該流体より酸性成分の除去
を目的とする処理に於いて、粉化等によるダストの発生
が実質的にない強度と吸着性能に優れた酸性成分吸着剤
を提供するものでその産業的価値は頗る大である。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に
説明するが、本発明はかかる実施例によりその範囲を制
限されるものではない。尚、実施例、比較例に於いて
部、%は特に断わりのない限り重量部、重量%である。
また、本発明に於いてHCl平衡吸着量は下記の方法に
より測定した。 HCl平衡吸着量;ガラス製吸着管に14〜32メッシ
に破砕した試料(酸性成分除去用触媒)を8ml充填
し、これに温度38℃、HCl濃度125ppm、H2
O濃度190ppmのガスを400Nl/hで流通し、
継続してガラス製吸着管出口のHCl濃度を分析した。
出口ガスのHCl濃度が入口に等しくなった時点で流通
を止め、取り出した試料中のCl濃度を分析しこれをH
Cl平衡吸着量(重量%)として示した。
【0019】実施例1 バイヤー工程から得られたギブサイト(アルミナ三水和
物)を約700℃の熱ガス中に投入し瞬間仮焼した。得
られた再水和性アルミナの灼熱減量は5%、平均粒径は
7μ、結晶形はχ、ρアルミナ等が混合した回折ピーク
を示した。炭酸ナトリウム10水塩32部を水34部で
溶解した液を用意し、先の再水和性アルミナ粉末1kg
に対し該溶液0.6kgを加え、皿型造粒機で直径2〜
4mmの球状に成形した後、該成形体を蓋付容器に入れ
密閉して80℃の温度で16時間保持して再水和せしめ
た。ついで再水和後の成形体を電気炉に入れ1時間で3
80℃まで昇温し3時間保持した。得られた成形体のN
2 O濃度は6.8%、充填密度は0.87kg/l、
耐圧強度は6kg、BET表面積は248m2 /g、半
径32オングストローム以上の細孔容積は0.22cm
3 /gであった。また、HCl平衡吸着量は8.0%で
あった。
【0020】実施例2 バイヤー工程から得られたギブサイトを約700℃の熱
ガス中で瞬間仮焼し,ついで粉砕した。得られた再水和
性アルミナの灼熱原料は5%、平均粒径は15μであっ
た。 この再水和性アルミナ1kgに対し水0.5kg
を加え、皿型造粒機で直径2〜4mmの球状に成形した
後、該成形体を蓋付容器に入れ密閉して70℃の温度で
16時間保持して再水和せしめた。ついで再水和後の成
形体を電気炉に入れ1時間で380℃まで昇温し3時間
保持した。 NaOH179gに水を加え390mlと
した溶液を用意した。焼成後のアルミナ成形体1kgに
対し,この溶液390mlを吸液させ、電気炉に入れ1
20℃で2時間乾燥し成形体を得た。得られた成形体の
Na2 O濃度は11.7%、充填密度は1.04kg/
l、耐圧強度は12kg、BET表面積は69m2 /g
であった。また、HCl平衡吸着量は8.0%であっ
た。
【0021】実施例3 バイヤー工程から得られたギブサイトを約700℃の熱
ガス中で瞬間仮焼し、ついで粉砕した。得られた再水和
性アルミナの灼熱原料は5%、平均粒径は6μであっ
た。 この再水和性アルミナ1kgに対し水0.7kg
を加え、皿型造粒機で直径2〜4mmの球状に成形した
後、該成形体を蓋付容器に入れ密閉して90℃の温度で
16時間保持して再水和せしめた。ついで再水和後の成
形体を電気炉に入れ1時間で380℃まで昇温し3時間
保持した。 K2 CO3 164gに水を加え600ml
とした溶液を用意した。焼成後のアルミナ成形体1kg
に対し、この溶液600mlを吸液させ、電気炉に入れ
150℃で1時間さらに340℃で4時間加熱し成形体
を得た。得られた成形体のK2 O濃度は7.2%、充填
密度は0.72kg/l、耐圧強度は4kg、BET表
面積は196m2 /gであった。また、HCl平衡吸着
量は7.1%であった。
【0022】実施例4 Na2 CO3 ・10H2 O 102gに水を加え600
mlとした溶液を用いた以外実施例3と同様にして成形
体を得た。得られた成形体のNa2 O濃度は2.1%、
充填密度は0.67kg/l、耐圧強度は8kg、BE
T表面積は244m2 /gであった。また、HCl平衡
吸着量は5.5%であった。
【0023】実施例5 密閉容器での80℃処理の代わりに、常圧、100℃ス
チーム雰囲気中で3時間処理した以外は実施例1と同様
にして成形体を得た。得られた成形体のNa2 O濃度は
6.8%、充填密度は0.87kg/l、耐圧強度は1
5kg、BET表面積は131m2 /g、半径32オン
グストローム以上の細孔容積は0.27cm3 /gであ
った。また、HCl平衡吸着量は5.3%であった。
【0024】比較例1 皿型造粒に炭酸ナトリウム溶液を用いる代わりに水を用
いた以外実施例1と同様にして成形体を得た。得られた
成形体のNa2 O濃度は0.2%、充填密度は0.63
kg/l、耐圧強度は15kg、BET表面積は290
2 /gであった。また、HCl平衡吸着量は2.7%
であった。
【0025】比較例2 アルミニウムアルコキシドの加水分解で得た擬ベーマイ
トを500℃で電気炉中で焼成し、ついで粉砕して遷移
アルミナを得た。このアルミナは灼熱減量3%、平均粒
径10μであり、100℃水中でも再水和しなかった。
また、結晶形はγアルミナの回折ピークを示した。 こ
の遷移アルミナ1kgに対し酢酸酸性水0.7kgを加
え、皿型造粒機で直径2−4mmの球状に成形した後、
電気炉に入れ1時間で380℃まで昇温し3時間保持し
た。 NaOH179gに水を加え600mlとした溶
液を用意した。焼成後のアルミナ成形体1kgに対し、
この溶液600mlを吸液させ、乾燥機に入れ150℃
で3時間乾燥し成形体を得た。成形体の大部分は乾燥中
に割れた。得られた成形体のNa2 O濃度は6.7%、
充填密度は0.70kg/l、耐圧強度は1kg以下で
あった。また、BET表面積は28m2 /gであった。
【0026】実施例6 実施例1の吸着剤1.0gを、2.3ppmのClを含
むベンゼンおよびエチルベンゼンの混合液500mlに
投入し、60分攪拌後、混合液中のClを分析したとこ
ろ0.9ppmであった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】再水和性アルミナ粉末を成形し、次いで室
    温〜120℃の水蒸気雰囲気下に保持した後焼成して得
    たアルミナ担体に酸化物換算で2〜15重量%のアルカ
    リ金属塩を存在せしめてなることを特徴とする酸性成分
    吸着剤。
  2. 【請求項2】HCl含有流体からのHClの除去に用い
    ることを特徴とする請求項1記載の酸性成分吸着剤。
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