JPH06188529A - 回路用基板 - Google Patents

回路用基板

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JPH06188529A
JPH06188529A JP33925592A JP33925592A JPH06188529A JP H06188529 A JPH06188529 A JP H06188529A JP 33925592 A JP33925592 A JP 33925592A JP 33925592 A JP33925592 A JP 33925592A JP H06188529 A JPH06188529 A JP H06188529A
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JP
Japan
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mol
circuit board
inorganic
particles
resin
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Application number
JP33925592A
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English (en)
Inventor
Isao Hirata
勲夫 平田
Michimasa Tsuzaki
通正 津崎
Seishiro Yamakawa
山河清志郎
Kiyotaka Komori
清孝 古森
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、繊維化が容易で誘電率も高く、
しかも、化学的耐久性が良好な組成のガラス繊維で強化
され高誘電率の無機誘電体粒子が分散され優れた誘電特
性であって、フッ素系樹脂と無機誘電体粒子との界面の
信頼性の向上した高誘電率回路用基板を提供する。 【構成】 この発明の回路用基板は、樹脂2中に無機誘
電体粒子4が分散され高誘電率ガラス繊維1で強化され
てなる回路用基板であって、前記高誘電率ガラス繊維
が、適切な組成を有し十分な誘電率と繊維化適性を有す
るガラス組成物からなり、かつ、樹脂としてフッ素系樹
脂が用いられているとともに無機誘電体粒子としてフェ
ニルシラン系カップリング剤で表面処理されている無機
誘電体粒子が用いられていること用いられていることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プリント回路板等に
使われる回路用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】高度情報化時代を迎え、情報伝送はより
高速化・高周波化の傾向にある。自動車電話やパーソナ
ル無線等の移動無線、衛星放送、衛星通信やCATV等
のニューメディアでは、機器のコンパクト化が推し進め
られており、これに伴い誘電体共振器等のマイクロ波用
回路素子に対しても小型化が強く望まれている。
【0003】マイクロ波用回路素子の大きさは、使用電
磁波の波長が基準となる。比誘電率εr の誘電体中を伝
播する電磁波の波長λは、真空中の伝播波長をλ0 とす
るとλ=λ0 /(εr 0.5 となる。したがって、素子
は、使用されるプリント回路用基板の誘電率が大きい
程、小型になる。また、基板の誘電率が大きいと、電磁
エネルギーが基板内に集中するため、電磁波の漏れが少
なく好都合でもある。
【0004】上記の回路用基板として、樹脂をガラス繊
維製補強材で強化してなる基板がある。この回路用基板
は、アルミナ等のセラミック系基板に比べ、大面積化対
応性や後加工(切断、孔開、接着等)性に優れる等、樹
脂の利点が活かされるため、注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ただ、上記回路用基板
は、肝心の誘電率の点では大きいとえないため、高周波
用回路部品の小型化に対し実用性が今ひとつである。樹
脂として、ポリフッ化ビニリデン(εr =13)やシア
ノ樹脂(εr =16〜20)など誘電率の高い樹脂を用
いる方法もあるが、この場合、誘電損失が大きく、高周
波域では誘電特性の安定性にも問題があり、高周波(特
に100MHz以上)適性に欠けるため、余り適切な対策
とは言いがたい。
【0006】そのため、高周波域で誘電特性の秀れる
(誘電損失が小さい)樹脂中に無機誘電体粒子(例え
ば、TiO2 粒子、BaTiO3 粒子など)を分散させ
誘電率を高めるようにするのであるが、適当量の無機誘
電体粒子では所望の誘電率(εrが10以上)をもたせ
ることが中々できない。これは、ガラス製補強材(例え
ば、ガラスクロス)の方の誘電率が高くないからであ
る。無機誘電体粒子の添加量を増せば誘電率は高くなる
が、余り添加量が多いとコスト高や界面トラブルが起こ
り易くなる等の不都合が起こるため、無機誘電体粒子の
添加量を増やすことは適切な方策ではない。
【0007】また、ガラス製補強材の誘電率が低い場
合、構造上からくる誘電率変動の問題があり利用し難
い。ひとつは、低誘電率のガラス製補強材域と無機誘電
体粒子を含む高誘電率樹脂域が入り組み、内部に微視的
な誘電率変動を生じることである。もうひとつは、低誘
電率のガラス製補強材域と無機誘電体粒子を含む高誘電
率樹脂域が混在する場合は高誘電率樹脂域の量の変化に
伴う誘電率変動があることである。
【0008】通常の補強材用のガラスクロスは、Eガラ
スと呼ばれるSiO2−Al23 −CaO系ガラス組成
物の繊維からなる。このEガラスは、より具体的には、
SiO2 :50〜60重量%、Al23 :13〜16
重量%、B23 :5〜9重量%、MgO:0〜6重量
%、CaO:15〜25重量%、Na2O+K2O:0〜
1重量%、F:0〜1重量%という組成を有しており、
比誘電率は6〜7程度であって、比誘電率はそれほど高
くないのである。
【0009】PbOを多量に含有する鉛系ガラス組成物
は高比誘電率である。例えば、PbO:72重量%、S
iO2:26重量%、B23 :1.5重量%、K2O:
0.5重量%の組成の鉛系ガラス組成物は、13.0の
比誘電率を有する。しかし、鉛系ガラス組成物の場合、
繊維化(直径7〜9μm)が難しいという問題がある。
ガラス溶融時にPbOの蒸発が激しくて不均質になって
紡糸工程で糸切れが多発するのである。また、鉛系ガラ
ス組成物の場合、適切なガラスクロス化が困難であると
いう問題がある。ガラスクロスの製造の場合には、一次
バインダーを除去するための熱処理工程があるが、鉛系
ガラス組成物は歪み点が低く劣化し易いため十分な処理
を施すことが難しい。一次バインダーの除去処理が十分
でないガラスクロスは基板の長期信頼性低下の原因とな
る。それに、鉛系ガラス組成物の場合、鉛が有毒である
ため取扱が容易でないという問題もあるし、100MHz
以上の高周波域での誘電損失(tanδ)が大きいとい
う問題もある。
【0010】また、プリント回路用基板の補強材として
用いるガラスは、化学的耐久性も必要である。というの
は、プリント回路用基板に回路を形成する際に様々な化
学処理を経るが、この処理で補強材が損傷を受けないこ
とが必要だからである。また、高周波域で誘電特性が秀
れる(誘電損失が小さい)樹脂とすればフッ素系の樹脂
が最適である。しかしながら、このフッ素系樹脂は成形
加工で補強材および無機誘電体粒子と密着させることが
困難である。そのため、加工時や使用時に湿気がその界
面に入り込み電気的特性が変化・悪化させることにな
る。特に、無機誘電体粒子の表面に湿気が付着した場
合、その影響は大きい。
【0011】この発明は、上記事情に鑑み、繊維化が容
易で誘電率も高く、しかも、化学的耐久性が良好な組成
のガラス繊維で強化され高誘電率の無機誘電体粒子が分
散され優れた誘電特性の高誘電率回路用基板を提供する
ことを第1の課題とする。また、回路用基板の誘電率を
高めるための無機誘電体粒子と高周波数での誘電特性の
秀れたフッ素系樹脂とを複合させた際の無機誘電体粒子
と樹脂の界面の信頼性(密着性およびこれに伴う耐湿
性)の向上した回路用基板を提供することを第2の課題
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記第1の課題を解決す
るため、発明者らは、SiO2 −BaO−TiO2 −Z
rO2 系ガラス組成物に着目した。このガラス組成物は
非鉛系であって誘電特性が良好であるし、化学的耐久性
(耐酸性、耐アルカリ性、耐水性)に富むからである。
しかしながら、失透温度が高くて繊維化が難しいという
問題がある。ガラス繊維を得る場合、200〜800個
の小穴を底にあけたブッシングと呼ばれる白金製ポット
の前記小穴から融液を引き出し繊維を得るのであるが、
失透温度が高いとブッシングの底に失透による結晶が生
じて融液流出が妨げられ糸切れが起こる。普通、ブッシ
ング底部の温度と繊維の巻き取り速度の制御により、失
透を抑えながらガラス繊維を得るのであるが、失透温度
が融液粘度が102.5 ポアズ(316ポアズ)となる温
度を越えると制御し切れないのである。つまり、従来の
高比誘電率(εr が9以上)のSiO2 −BaO−Ti
2 −ZrO2 系ガラス組成物の失透温度は融液粘度が
102.5 ポアズ(316ポアズ)となる温度を越えてお
り、繊維化適性に欠けていたのである。
【0013】そこで、発明者らは、必要な誘電特性や化
学的耐久性を確保しつつ繊維化適性をもたせる方途を求
めて鋭意検討を続け、適当量のNbO5/2 の添加が課題
解決に有効であるという第1の知見を得ることができ
た。それだけでなく、適当量のNbO5/2 の添加に加え
て適当量のAlO3/2 の同時添加が、失透温度と102.
5 ポアズ温度の間に顕著な差が出やすいことから課題解
決に非常に有効であるという第2の知見も得ることがで
きたのである。
【0014】SiO2 −BaO−TiO2 −ZrO2
ガラス組成物は、必要な誘電特性を確保できる組成範囲
においては失透によってSiO2 系のクリストバライト
結晶とBaO−TiO2 −ZrO2 系の結晶が主に析出
する。適当量のNbO5/2 の添加は、後者のBaO−T
iO2 −ZrO2 系結晶の析出を抑制するために失透温
度の低下が起こるのであるが、前者のSiO2 系クリス
トバライト結晶の析出は抑制し切れず、失透温度の低下
の程度に限界があったのである。それが、適当量のAl
3/2 の添加でSiO2 系クリストバライト結晶の析出
も十分に抑制されるようになるため、更に失透温度を低
下させられ、また、融液粘度が上昇するため、失透温度
と102.5 ポアズ温度との差がより大きくなるというこ
とを見いだしたのである。
【0015】一方、前記第2の課題を解決するため、発
明者らは、検討の結果、無機誘電体粒子の密着性改善策
として無機誘電体粒子表面の改質に絞り、さらに検討を
続けた結果、無機誘電体粒子としてフェニルシラン系カ
ップリング剤で表面処理したものを用いれば、界面の密
着力が増し耐湿性の改善が図れるという第3の知見を得
ることが出来たのである。
【0016】したがって、第1および第3の知見に基づ
いて完成した第1,2の課題を解決する請求項1記載の
発明(第1発明)にかかる回路用基板は、樹脂中に無機
誘電体粒子が分散され高誘電率ガラス繊維で強化されて
なり、前記高誘電率ガラス繊維が、SiO2 を40〜6
5モル%、MgO,CaO,SrOおよびBaOの少な
くともひとつを20〜45モル%、TiO2 およびZr
2 の少なくともひとつを5〜25モル%、NbO5/2
を0.5〜15モル%それぞれ含み、これらの酸化物の
合計量が85モル%以上であり、比誘電率(1MHz,2
5℃)9以上の繊維化適性を有するガラス組成物からな
り、かつ、前記樹脂としてフッ素系樹脂が用いられてい
るとともに前記無機誘電体粒子としてフェニルシラン系
カップリング剤で表面処理されている無機誘電体粒子が
用いられている構成をとるようにしており、第1発明の
場合、ガラス組成物は、請求項2のように、加えて、S
iO2 の含有量が46〜60モル%、MgO,CaO,
SrOおよびBaOの少なくともひとつの含有量が25
〜40モル%、TiO2 およびZrO2 の少なくともひ
とつの含有量が7〜24モル%、NbO5/2 の含有量が
1〜10モル%であることが好ましい。
【0017】また、加えて、第2の知見にも基づいて完
成した第1,2の課題を解決する請求項3記載の発明
(第2発明)にかかる回路用基板は、樹脂中に無機誘電
体粒子が分散され高誘電率ガラス繊維で強化されてな
り、前記高誘電率ガラス繊維が、SiO2 を40〜65
モル%、CaO,SrOおよびBaOの少なくともひと
つを20〜45モル%、TiO2 およびZrO2 の少な
くともひとつを5〜25モル%、NbO5/2 を0.5〜
15モル%、AlO3/2 を0.5〜15モル%それぞれ
含み、これらの酸化物の合計量が85モル%以上であ
り、比誘電率(1MHz,25℃)9以上の繊維化適性を
有するガラス組成物からなり、かつ、前記樹脂としてフ
ッ素系樹脂が用いられているとともに前記無機誘電体粒
子としてフェニルシラン系カップリング剤で表面処理さ
れている無機誘電体粒子が用いられている構成を構成を
とるようにしており、第2発明の場合、ガラス組成物
は、請求項4のように、加えて、SiO2 の含有量が4
6〜60モル%、CaO,SrOおよびBaOの少なく
ともひとつの含有量が25〜40モル%、TiO2 およ
びZrO2 の少なくともひとつの含有量が7〜24モル
%、NbO5/2 の含有量が1〜10モル%、AlO3/2
の含有量が1〜10モル%であることが好ましい。
【0018】この発明では強化用の高誘電率ガラス繊維
用のガラスが、上記組成構成をとるため、以下のように
9以上の比誘電率(1MHz,25℃)や良好な繊維化適
性を始めとして優れた特性が確保できるようになる。 比誘電率(1MHz、25℃)9以上の高誘電率であ
る。 誘電損失(1MHz、25℃)即ちtanδ0.6%
以下の低損失である。
【0019】 100MHz以上の高周波域でも、上記
比誘電率および誘電損失の変化が僅かで、優れた高周波
誘電特性である。 化学的耐久性(耐酸性、耐アルカリ性、耐水性)に
富む。 失透温度が融液粘度が102.5 ポアズとなる温度以
下である。失透温度と102.5 ポアズ温度の差が大きい
ほど繊維化適性は良くなる。NbO5/2 とAlO3/2
併用する第2発明の場合は、失透温度と102.5 ポアズ
温度の差は約90℃にも達するようにすることも容易で
ある。
【0020】 歪み点が約600℃と高い。 この発明のガラス組成物の組成範囲を上記のように限定
した理由は、以下の通りである。 SiO2 :40〜65モル%(より好ましくは46〜6
0モル%) SiO2 は、ガラスの骨格を形成する成分であり、40
モル%未満だと失透温度の上昇と融液粘度の低下を招来
し必要な繊維化適性の確保が難しくなるとともに、化学
的耐久性も十分でなくなる。65モル%を上回ると9以
上の比誘電率の確保が難しいとともに、ガラス粘度が高
く融液化困難で繊維化し難くなる。
【0021】MgO,CaO,SrOおよびBaOの少
なくともひとつ:20〜45モル%(より好ましくは2
5〜40モル%)・・・第1発明の場合 MgO,CaO,SrOおよびBaOは、ガラス構造の
修飾イオンとして作用し、融液化を容易とする。また、
併用使用は失透温度の低下をもたらす。CaO,SrO
およびBaOは比誘電率を上昇させる働きをする。20
モル%未満だと、融液が得にくく繊維化適性が低下する
とともに9以上の比誘電率の確保が難しい。45モル%
を越えると失透温度の上昇と融液粘度の低下を招来し必
要な繊維化適性の確保が難しくなる。
【0022】CaO,SrOおよびBaOの少なくとも
ひとつ:20〜45モル%(より好ましくは25〜40
モル%)・・・第2発明の場合 CaO,SrOおよびBaOは、ガラス構造の修飾イオ
ンとして作用し、融液化を容易とする。また、併用使用
は失透温度の低下をもたらす。CaO,SrOおよびB
aOは比誘電率を上昇させる働きをする。20モル%未
満だと、融液が得にくく繊維化適性が低下するとともに
9以上の比誘電率の確保が難しい。45モル%を越える
と失透温度の上昇と融液粘度の低下を招来し必要な繊維
化適性の確保が難しくなる。
【0023】TiO2 およびZrO2 の少なくともひと
つ:5〜25モル%(より好ましくは7〜24モル%) TiO2 、ZrO2 は比誘電率を上昇させる働きと化学
的耐久性を高める働きがある。TiO2 とZrO2 の併
用が望ましく、TiO2 をZrO2 よりも多くすること
が多い。5モル%未満だと9以上の比誘電率や必要な化
学的耐久性の確保が難しい。25モル%を越えると失透
温度が上昇し繊維化適性が失われる。
【0024】NbO5/2 :0.5〜15モル%(より好
ましくは1〜10モル%) NbO5/2 は比誘電率の低下を伴わずに失透温度を大き
く低下させる働きがある。0.5モル%未満では必要な
添加効果があらわれず、15モル%を越えると逆に失透
温度の上昇をもたらす。 AlO3/2 :0.5〜15モル%(より好ましくは1〜
10モル%) AlO3/2 はガラスの骨格を形成する成分であり、失透
温度の低下と、融液粘度の上昇をもたらす。0.5モル
%未満では必要な添加効果があらわれず、15モル%を
越えると比誘電率が低下するとともに、過度のガラス粘
度上昇を招来し融液化が困難で繊維化し難くなる。
【0025】MgO,CaO,SrOおよびBaO(又
は、CaO,SrOおよびBaO)の少なくともひとつ
の含有量が28〜35モル%、NbO5/2 の含有量が2
〜9モル%であった場合には、失透温度と融液粘度が1
2.5 ポアズとなる温度との差が顕著となる傾向がある
ようである。また、上記酸化物の合計量が85モル%未
満だと、9以上の比誘電率の確保が難しかったり、必要
な繊維化適性(繊維成形性)の確保が難しくなる。
【0026】なお、第1、2発明におけるガラス組成物
は、必須成分の他に、15モル%以下の範囲で、Li2
O,Na2O,K2O,ZnO,MnO2 ,TaO5/2 ,
BO3 /2 , LaO3/2 ,CeO2 等の酸化物を少なくと
もひとつ含んでいてもよい。上記ガラス組成物を作るた
めの原料としては、酸化物(複合酸化物を含む)、炭酸
塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物など様々な化合物が使用
でき、要は上記組成が得られさえすればよい。
【0027】この発明の回路用基板における高誘電率ガ
ラス繊維は、基板の機械的強度や寸法安定性を向上させ
るものであり、通常はクロス状の形であるが、他にマッ
ト状や単なるフィラメント(ファイバー)状の形でも使
用される。クロスやマットの場合、通常、繊維径0.5
〜20μm、厚み15μm〜1.5mm程度のものが用
いられる。
【0028】フィラメントの場合、通常、繊維径2〜5
0μm、長さ20〜300μm程度のものが用いられ
る。ガラス繊維と複合化される樹脂は、高周波域の用途
では、高周波損失の少ない(低tanδ)樹脂が好まし
く、この発明の回路用基板に用いられているフッ素系樹
脂の他にも低tanδ樹脂として、ポリエチレン、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン等が挙げられるが、フッ素系樹脂以外は融点が低く、
はんだ付け等の際の変形が大きいため回路用基板として
は適さない。
【0029】この発明の回路用基板に用いられているフ
ッ素系樹脂としては、四フッ化エチレン(TFE、融点
320〜335℃)、四フッ化エチレン−六フッ化プロ
ピレン共重合体樹脂(FEP、融点260〜280
℃)、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル
共重合体樹脂(PFA、融点302〜310℃)のよう
に、融点が250℃以上のものが、はんだ付け等の際に
変形が小さく、回路用基板として特に好ましい。また、
フッ素系樹脂は、耐湿性、耐酸性や耐アルカリ性等にも
優れている。しかも、高周波における損失が特に小さ
く、高周波での使用に適している。
【0030】この発明に用いられる無機誘電体粒子は、
平均粒径が0.3〜10μm程度(好ましくは1〜5μ
m程度)のものであり、粒子の種類としては酸化チタン
粒子が特に好ましいが、酸化チタン粒子の他に、チタン
酸バリウム系粒子(例えばBaTi0.7 Zr0.3 3
子)、SrTiO3 系、PbTi1/2Zr1/23 系、P
b(Mg2/3Nb1/3)O3 系、Ba(SnXMgYTaZ)O
3 系、Ba(ZrXZnYTaZ)O3 系などのペロブスカ
イト型結晶構造(あるいは複合ペロブスカイト型結晶構
造)を有するもの、その他、TiO2 、ZrO2 、Sn
2 の単独およびその複合酸化物などの無機化合物等が
具体的に挙げられる。無機誘電体粒子は、球状、あるい
は、様々な形のブロック片的形状であってよく、その形
状については特に限定しない。
【0031】さらに、上記の無機誘電体粒子(特に酸化
チタン粒子)の表面に無機質のコーティングを施したも
のにフェニルシラン系カップリング処理を施した粒子が
好適である。無機質のコーティングにおける無機水酸化
物や無機酸化物としては、チタン、アルミニウム、ケイ
素、ジルコニウム、スズ、亜鉛およびアンチモンの水酸
化物または酸化物が挙げられ、これらの水酸化物や酸化
物は、単独、あるいは、複数が混合状態で無機コーティ
ングを形成している。無機コーティングは単一層構造に
限らず、多層構造をとっている場合もある。多層構造の
場合、各層においても、上の無機水酸化物や無機酸化物
が、単独、あるいは、複数が混合状態で層形成すること
になる。
【0032】また、無機誘電体粒子に対する無機質のコ
ーティングの体積量(コーティング厚みに比例する)
は、0.1×10-4cm3 /g〜5×10-4cm3 /g
が最適である。無機質のコーティングは気相法(CVD
法)あるいは液相処理法(液相反応を利用する方法)な
どを用いて形成することが出来る。例えば、液相処理法
によれば、以下のようにして無機質のコーティングを施
すことが出来る。
【0033】酸化チタンコーティングを施す場合、Ti
Cl4 や硫酸チタニウムを含む水溶液中に酸化チタン粒
子を投入し、pH8.5〜10.5に調整する。上述の
酸化チタン粒子に対する酸化チタンコーティングの体積
量(つまり、コーティング厚み)は、水溶液中のTiイ
オンの濃度で調整することができる。酸化アルミニウム
コーティングを施す場合、NaAlO2 ,AlCl
3 ,硫酸アルミニウムを含む水溶液中に酸化チタン粒
子を投入し、pH7程度に調整する。酸化チタン粒子に
対する酸化アルミニウムコーティングの体積量は、水溶
液中のAlイオンの濃度で調整することができる。酸化
ケイ素コーティングを施す場合はケイ酸塩を使えば良
い。また、無機酸化物ないし無機水酸化物を2種類以上
用いた無機コーティングを段階的ないし同時形成したい
場合は、2種以上の塩を含む液を用いて膜が析出するよ
うにpH調整すれば良い。この後、洗浄と乾燥を行う。
特に洗浄は導電性成分が残留しないように細心の注意を
払いながら十分に行うことが肝要である。
【0034】また、酸化チタン粒子へのフェニルシラン
系カップリング剤による表面処理方法は、粒子表面にカ
ップリング処理液をヘンシェルミキサー等で攪拌しなが
ら滴下してゆく乾式処理法、カップリング処理液に粒子
を浸漬したのち溶剤を飛散させる湿式処理法、フッ素粒
子を分散させたエマルション中に処理液を溶かし粒子を
投入するインテグラルブレンド法が用いられる。表面処
理は被処理無機誘電体粒子(被処理粉体)の重量に対し
0.01〜5wt%のフェニルシラン系カップリング剤の
使用量でなさることが最適である。この場合、使われた
カップリング剤の全量が無機誘電体粒子に付着するとは
限らない。付着せず残留するカップリング剤がある場合
もある。ただ、適切な表面改質のためには、被処理粉体
の重量に対し0.01〜5wt%の範囲のカップリング剤
を使うのが望ましいのである。上記被処理粉体の重量
は、無機質のコーティングのある粒子を使う場合にはコ
ーティングも含めた重量である。また、酸化チタン粒子
以外の無機誘電体粒子の場合も同じようにして表面処理
する。
【0035】この発明に用いられるガラス繊維にも、フ
ェニルシラン系カップリング剤による表面処理を施すこ
とは樹脂とガラス繊維の界面の密着性向上を図る上で有
効である。例えば、ガラス繊維に引く際にフェニルシラ
ン系カップリング剤を吹きつけたり、ガラスクロス化し
たあとフェニルシラン系カップリング剤を含む溶液に浸
漬したりすることで表面処理すればよい。
【0036】この発明において、マトリックス用樹脂と
無機誘電体粒子および補強材たるガラス繊維の配合割合
は、通常、樹脂:25〜95 vol%(体積%)、無機誘
電体粒子:5〜75 vol%であり、強化用の高誘電率ガ
ラス繊維は5〜70 vol%の範囲にある。この発明の回
路用基板は、例えば、下記のようにして製造する。
【0037】乾式法によってフェニルシラン系カップリ
ング剤による表面処理が施された無機誘電体粒子を分散
混合したフッ素系樹脂入りディスパージョンをガラスク
ロスに含浸させる。含浸後、風乾または熱風によって水
分を乾燥させる。その後、必要に応じて、ディスパージ
ョン中の界面活性剤を分解させるために、さらに熱を加
えてもよい。このようにして得たプリプレグを所定の設
計厚みとなるように所定枚組み合わせ、さらに、両面ま
たは片面に金属箔を組み合わせて加熱圧縮することによ
り回路基板を得ることができる。必要に応じて、プリプ
レグ間、または、プリプレグと金属箔の間に、ディスパ
ージョンからドクターブレード法より得たフッ素系樹脂
のシート(無機誘電体粒子を含むシート)を挟み加熱圧
縮してもよい。
【0038】金属箔としては、銅箔,アルミニウム箔等
が用いられる。圧締は、プリプレグ同士や金属箔とプリ
プレグの接合、積層板の厚み調整のために行うので、圧
締条件は必要に応じて選択される。同時に、無機誘電体
粒子を圧壊しないような条件を設定する。このようにし
て、図1にみるように、例えば、フッ素系樹脂2中に無
機誘電体粒子4が分散され高誘電率ガラス繊維1で強化
され両面に金属箔3が接着された両面プリント回路用基
板が得られるのである。回路用基板の厚みは、通常、
0.1〜2mm程度である。
【0039】この発明の範囲は、上記例示の化合物や数
値範囲あるいは処理方法に限られるものではない。
【0040】
【作用】この発明の回路用基板における強化用の高誘電
率ガラス繊維は、第1発明の場合、SiO2 を40〜6
5モル%、MgO,CaO,SrOおよびBaOの少な
くともひとつを20〜45モル%、TiO2 およびZr
2 の少なくともひとつを5〜25モル%、NbO5/2
を0.5〜15モル%それぞれ含み、これらの酸化物の
合計量を85モル%以上とするガラス組成物からなり、
第2発明の場合、SiO2 を40〜65モル%、Ca
O,SrOおよびBaOの少なくともひとつを20〜4
5モル%、TiO2 およびZrO2 の少なくともひとつ
を5〜25モル%、NbO5/2 を0.5〜15モル%、
AlO3/2 を0.5〜15モル%それぞれ含み、これら
の酸化物の合計量を85モル%以上とするガラス組成物
からなるため、比誘電率(1MHz、25℃)9以上と高
比誘電率であり、誘電損失(1MHz、25℃)即ちta
nδ0.6%以下の低損失であって、しかも、100M
Hzの高周波域でも、上記比誘電率および誘電損失の変化
が僅かで優れた高周波誘電特性をも有する。
【0041】そのため、無機誘電体粒子による誘電率向
上作用が阻害されず、微視的な内部の誘電率変動や樹脂
・無機誘電体粒子量の変化に伴う誘電率変動も抑制され
る。また、上記組成の場合、高誘電率ガラス繊維が化学
的耐久性(耐酸性、耐アルカリ性、耐水性)に富む(E
ガラスより遙に優れる)ため、加工時の化学処理での損
傷の問題がなく、PbOを多量に含む鉛系ガラスの場合
の毒性等の問題もないし、失透温度が融液粘度が10
2.5 ポアズとなる温度以下であるため、繊維化適性があ
って補強材用高誘電率ガラス繊維とすることができる
し、また、歪み点が約600℃と高く、クロス化の際の
一次バインダー除去処理も適切に行えるため、補強材と
して適切なガラスクロスとすることができる。
【0042】樹脂がフッ素系樹脂を用いると、高周波域
での誘電特性が良好な回路用基板が得られる。フッ素系
樹脂は線膨張係数が大きく、かつ弾性率が小さくため、
誘電率を上昇させるべく無機誘電体粒子だけを充填する
(特公昭49−25499号公報)と形状が保たれず変
形を起こしやすい。この発明では高誘電率ガラス繊維で
強化されているため変形の起こり難い高誘電率の回路用
基板となっているだけでなく、無機誘電体粒子を少なく
できるため界面の増大のトラブルの防止および構造上か
らくる誘電率の変動も抑制されることになる。
【0043】そして、回路用基板中の無機誘電体粒子は
フェニルシラン系カップリング剤で表面処理されている
ため高周波域での誘電特性に秀れかつ界面の密着性の向
上で著しく耐湿性の向上した回路用基板を得ることがで
きる。この効果は、無機誘電体粒子が、無機質のコーテ
ィングの施された酸化チタン粒子をフェニルシラン系カ
ップリング剤で表面処理した粒子である場合とくに明瞭
に現れる。
【0044】
【実施例】以下、実施例および比較例の説明を行う。ま
ず、実施例用と比較用のガラス組成物を、以下のように
して作成した。表1〜8に示す組成となるように、ガラ
ス組成物原料を調合し、白金ルツボに入れて加熱(4時
間、1500℃)し溶融した。なお、原料としては、S
iO2にはSiO2 を、MgO,CaO,SrOおよび
BaOには炭酸塩を、TiO2にはアナターゼ型TiO
2 を、ZrO2 にはZrO2 を、NbO5/2 にはNbO
5/2 の1級試薬をそれぞれ用いた。
【0045】ついで、融液をカーボン板上に流し出し板
状に成形しアニール処理し板状ガラスを得た。各実施例
用と比較例用の板状ガラスについて下記のデータを得
た。 −比誘電率および誘電損失− まず、得られた板状ガラスを一部切断し研磨して誘電特
性評価用試料を作製した。ついで、この試料の両面に金
電極を蒸着形成し、インピーダンスアナライザーで比誘
電率および誘電損失(誘電正接)を測定した。測定周波
数は1MHz、1GHz、温度は25℃である。
【0046】−102.5 ポアズ温度− 板状ガラスの一部を溶かし融液の粘度を白金球引き上げ
法により測定し102. 5 ポアズ温度を測定した。 −失透温度− 板状ガラスの一部を297〜500μmの粒子としてか
ら白金ボートに入れ温度勾配を有する電気炉に16時間
保持したのち空気中で放冷し顕微鏡下で失透出現位置を
求めることで測定した。
【0047】−繊維化適性− 板状ガラスの残部を粉砕し白金ブッシングに入れ、白金
ブッシングに直接通電しガラスを溶かし、ブッシング温
度を102.5 ポアズ温度に設定しておいて、ブッシング
底部の小穴(ノズル)から引き出し巻き取ってガラス繊
維を得るようにした。
【0048】上記データを表1〜8に併記する。なお、
上の場合、板状ガラスにしてから再溶融してガラス繊維
を得たが、最初の融液から直接ガラス繊維を得るように
してもよい。同様にガラス繊維を得ることができる。大
量生産の場合は、最初の融液から直接ガラス繊維を得る
ようにするのが適当である。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】組成1〜32の実施例用ガラスの場合はい
ずれも繊維化できたが、組成Xの比較用ガラスの場合は
TiO2 およびZrO2の含有量が多すぎると同時にN
bO5 /2 を含まず、組成Yの比較用ガラスの場合はNb
5/2 を含まないため、繊維化できなかった。また、組
成Zの比較用ガラスの場合もAlO3/2 は含むがNbO
5/2 を含まないため失透温度が102.5 ポアズ温度を越
えており、繊維化できなかった。AlO3/2 単独では必
要な繊維化適性が確保できないのである。10 2.5 ポア
ズ温度および失透温度のデータは繊維化適性の有無をよ
く裏付けている。なお、実施例用のガラスの場合は誘電
特性は高周波も含めて非常に良好である。
【0058】−実施例1− 無機誘電体粒子用として、無機質のコーティングが施さ
れた粒径2μmの酸化チタン粒子を用いた。無機質のコ
ーティングではTiO2 、Al2 3 、SiO 2 を体積
比で略等量となっている。無機質のコーティングの量は
2×10-4cm 3 /gである。
【0059】そして、酸化チタン粒子99重量部に対し
フェニルシラン系カップリング剤(東芝シリコーン社
製:TSL8173)を1重量部の割合で用いて乾式法
で表面処理した。このようにして表面処理を施した酸化
チタン粒子を四フッ化エチレン樹脂(ダイキン工業社
製:D−2)中に前記粒子を40vol%になるように
配合しワニスを作製した。
【0060】一方、前記の組成3のガラスからなる繊維
を用いてガラスクロスを常法により得てフェニルシラン
系カップリング剤で表面処理した。なお、ガラスクロス
は、平織ガラスクロスであって、厚み:100μm、繊
維径:7μm、織密度:25mm当たり、縦60本,横
58本である。ワニスをよく攪拌してから、平織ガラス
クロスに含浸させ、400℃で焼成した。得られたワニ
ス含浸ガラスクロスにおけるTFE樹脂と酸化チタン粒
子の混合物とガラスクロスとの割合は、樹脂と粒子の混
合物:58wt%(約60 vol%)、ガラスクロス:4
2wt%(約40 vol%)であった。このようにして得
られたワニス含浸クロス5枚を重ねて、上下に銅箔(厚
み17μm)を配して、温度400℃、圧力20 kg/cm
2 、60分間の成形条件で加圧成形し、両面銅箔張りプ
リント回路用基板を得た。
【0061】−実施例2− 実施例1において、酸化チタン粒子98重量部に対しフ
ェニルシラン系カップリング剤を2重量部の割合で用い
てた他は、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリント
回路用基板を得た。 −実施例3− 実施例1において、酸化チタン粒子として無機質のコー
ティングをしていない酸化チタン粒子を用いた他は、実
施例1と同様にして両面銅箔張りプリント回路用基板を
得た。 −実施例4− 実施例1において、酸化チタン粒子に代えて、無機質の
コーティング無しのチタン酸バリウム系粒子(BaTi
0.7 Zr0.3 3 粒子)を用いた他は、実施例1と同様
にして両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。
【0062】−実施例5− 実施例1において、ガラスクロスの方はフェニルシラン
系カップリング剤による表面処理が施されてないガラス
クロスである他は、実施例1と同様にして両面銅箔張り
プリント回路用基板を得た。 −比較例1− 実施例1において、酸化チタン粒子に対しフェニルシラ
ン系カップリング剤による表面処理を施さなかった他
は、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリント回路用
基板を得た。
【0063】−比較例2− 実施例1において、酸化チタン粒子に対しフェニルシラ
ン系カップリング剤の代わりに、エポキシシラン系カッ
プリング剤(東芝シリコーン社製TS8350)で表面
処理した他は、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリ
ント回路用基板を得た。
【0064】実施例および比較例で得られた各回路用基
板について、135℃,3気圧、2時間のPCT試験の
前と後の1MHzおよび1GHzの測定周波数fでの比
誘電率、誘電正接(tan δ) を調べた。結果を表9,1
0に示す。
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】表9,10にみるように、実施例のプリン
ト回路用基板は、比較例のもの違って、高周波域での優
れた誘電特性がPCT試験のも維持されており、耐湿性
が向上していて、無機誘電体粉末に対するフェニルシラ
ン系カップリング剤の表面処理が効果的であることがよ
く分かる。
【0068】
【発明の効果】以上に述べたように、第1、第2発明に
かかる回路用基板は、繊維化容易で誘電率も高く、しか
も、化学的耐久性が良好な組成のガラス繊維で強化され
ており、優れた誘電特性であって製造も容易であって、
加えて、樹脂にフッ素系樹脂を用いることにより、誘電
正接の小さい回路用基板を得ることができる上、適切な
カップリング剤で表面されている無機誘電体粒子を用い
ているため、高誘電率で耐湿性のあるものとなってお
り、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の回路用基板の構成例をあらわす概略
断面図である。
【符号の説明】
1 ガラスクロス(高誘電率ガラス繊維) 2 フッ素系樹脂 3 金属箔 4 無機誘電体粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古森 清孝 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂中に無機誘電体粒子が分散され高誘
    電率ガラス繊維で強化されてなる回路用基板であって、
    前記高誘電率ガラス繊維が、SiO2 を40〜65モル
    %、MgO,CaO,SrOおよびBaOの少なくとも
    ひとつを20〜45モル%、TiO2 およびZrO2
    少なくともひとつを5〜25モル%、NbO5/2 を0.
    5〜15モル%それぞれ含み、これらの酸化物の合計量
    が85モル%以上であり、比誘電率(1MHz,25℃)
    9以上の繊維化適性を有するガラス組成物からなり、か
    つ、前記樹脂としてフッ素系樹脂が用いられているとと
    もに前記無機誘電体粒子としてフェニルシラン系カップ
    リング剤で表面処理されている無機誘電体粒子が用いら
    れていることを特徴とする回路用基板。
  2. 【請求項2】 SiO2 の含有量が46〜60モル%、
    MgO,CaO,SrOおよびBaOの少なくともひと
    つの含有量が25〜40モル%、TiO2 およびZrO
    2 の少なくともひとつの含有量が7〜24モル%、Nb
    5/2 の含有量が1〜10モル%である請求項1記載の
    回路用基板。
  3. 【請求項3】 樹脂中に無機誘電体粒子が分散され高誘
    電率ガラス繊維で強化されてなる回路用基板であって、
    前記高誘電率ガラス繊維が、SiO2 を40〜65モル
    %、CaO,SrOおよびBaOの少なくともひとつを
    20〜45モル%、TiO2 およびZrO2 の少なくと
    もひとつを5〜25モル%、NbO5/ 2 を0.5〜15
    モル%、AlO3/2 を0.5〜15モル%それぞれ含
    み、これらの酸化物の合計量が85モル%以上であり、
    比誘電率(1MHz,25℃)9以上の繊維化適性を有す
    るガラス組成物からなり、かつ、前記樹脂としてフッ素
    系樹脂が用いられているとともに前記無機誘電体粒子と
    してフェニルシラン系カップリング剤で表面処理されて
    いる無機誘電体粒子が用いられていることを特徴とする
    回路用基板。
  4. 【請求項4】 SiO2 の含有量が46〜60モル%、
    CaO,SrOおよびBaOの少なくともひとつの含有
    量が25〜40モル%、TiO2 およびZrO2 の少な
    くともひとつの含有量が7〜24モル%、NbO5/2
    含有量が1〜10モル%、AlO3/2 の含有量が1〜1
    0モル%である請求項3記載の回路用基板。
  5. 【請求項5】 無機誘電体粒子が酸化チタン粒子である
    請求項1から4までのいずれかに記載の回路用基板。
  6. 【請求項6】 無機誘電体粒子の表面に無機質のコーテ
    ィングが施されている請求項1から5までのいずれかに
    記載の回路用基板。
  7. 【請求項7】 無機質のコーティングがチタン、アルミ
    ニウム、ケイ素、ジルコニウム、スズ、亜鉛およびアン
    チモンからなる群のうちの少なくとも1つの水酸化物ま
    たは酸化物のコーティングである請求項6記載の回路用
    基板。
  8. 【請求項8】 無機質のコーティングが多層構造になっ
    ている請求項6または7記載の回路用基板。
  9. 【請求項9】 無機質のコーティングの量が、0.1×
    10-4cm3 /g〜5×10-4cm3 /gである請求項
    6から8までのいずれかに記載の回路用基板。
  10. 【請求項10】 表面処理が被処理無機誘電体粒子の重量
    に対し0.01〜5wt%のフェニルシラン系カップリン
    グ剤の使用量でなされたものである請求項1から9まで
    のいずれかに記載の回路用基板。
  11. 【請求項11】 フッ素系樹脂の融点が250℃以上であ
    る請求項1から10までのいずれかに記載の回路用基
    板。
  12. 【請求項12】 フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチ
    レンである請求項1から11までのいずれかに記載の回
    路用基板。
JP33925592A 1992-12-18 1992-12-18 回路用基板 Pending JPH06188529A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113881171A (zh) * 2021-09-29 2022-01-04 浙江华正新材料股份有限公司 树脂组合物、胶片、电路基板以及印制电路板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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