JPH06132621A - 回路用基板 - Google Patents

回路用基板

Info

Publication number
JPH06132621A
JPH06132621A JP28450792A JP28450792A JPH06132621A JP H06132621 A JPH06132621 A JP H06132621A JP 28450792 A JP28450792 A JP 28450792A JP 28450792 A JP28450792 A JP 28450792A JP H06132621 A JPH06132621 A JP H06132621A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mol
circuit board
particles
dielectric constant
glass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28450792A
Other languages
English (en)
Inventor
Michimasa Tsuzaki
通正 津崎
Kiyotaka Komori
清孝 古森
Seishiro Yamakawa
山河清志郎
Isao Hirata
勲夫 平田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP28450792A priority Critical patent/JPH06132621A/ja
Publication of JPH06132621A publication Critical patent/JPH06132621A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Glass Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維化容易で誘電率も高く、しかも、化学的
耐久性が良好な組成のガラス繊維で強化され優れた誘電
特性の回路用基板を提供する。 【構成】 樹脂2中に無機誘電体粒子4が分散され高誘
電率ガラス繊維1で強化されてなる回路用基板であっ
て、前記高誘電率ガラス繊維1が、SiO2 を40〜6
5モル%、MgO,CaO,SrOおよびBaOの少な
くともひとつを20〜45モル%、TiO2 およびZr
2 の少なくともひとつを5〜25モル%、NbO5/2
を0.5〜15モル%それぞれ含み、これらの酸化物の
合計量が85モル%以上であり、比誘電率(1MHz,2
5℃)9以上の繊維化適性を有するガラス組成物からな
り、かつ、樹脂がフッ素樹脂であることを特徴とする回
路用基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プリント回路板等に
使われる回路用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】高度情報化時代を迎え、情報伝送はより
高速化・高周波化の傾向にある。自動車電話やパーソナ
ル無線等の移動無線、衛星放送、衛星通信やCATV等
のニューメディアでは、機器のコンパクト化が推し進め
られており、これに伴い誘電体共振器等のマイクロ波用
回路素子に対しても小型化が強く望まれている。
【0003】マイクロ波用回路素子の大きさは、使用電
磁波の波長が基準となる。比誘電率εr の誘電体中を伝
播する電磁波の波長λは、真空中の伝播波長をλ0 とす
るとλ=λ0 /(εr 0.5 となる。したがって、素子
は、使用されるプリント回路用基板の誘電率が大きい
程、小型になる。また、基板の誘電率が大きいと、電磁
エネルギーが基板内に集中するため、電磁波の漏れが少
なく好都合でもある。
【0004】上記の回路用基板として、樹脂(高周波特
性に優れるフッ素樹脂等)をガラス繊維製補強材で強化
してなる基板がある。この回路用基板は、アルミナ等の
セラミック系基板に比べ、大面積化対応性や後加工(切
断、孔開、接着等)性に優れる等、樹脂の利点が活かさ
れるため、注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ただ、上記回路用基板
は、肝心の誘電率の点では十分と言えないため、実用性
が今ひとつである。樹脂として、ポリフッ化ビニリデン
(εr =13)やシアノ樹脂(εr =16〜20)など
誘電率の高い樹脂を用いる方法もあるが、この場合、誘
電損失が大きく、高周波域では誘電特性の安定性にも問
題があり、高周波(特に100MHz以上)適性に欠ける
ため、余り適切な対策とは言いがたい。
【0006】そのため、無機誘電体粒子(例えば、Ti
2 粒子、BaTiO3 粒子など)を樹脂中に分散させ
誘電率を高めるようにするのであるが、適当量の無機誘
電体粒子では所望の誘電率(εr が10以上)をもたせ
ることが中々できない。これは、ガラス製補強材(例え
ば、ガラスクロス)の方の誘電率が高くないからであ
る。無機誘電体粒子の添加量を増せば誘電率は高くなる
が、余り添加量が多いとコスト高や界面トラブルが起こ
り易くなる等の不都合が起こるため、無機誘電体粒子の
添加量を増やすことは適切な方策ではない。
【0007】また、ガラス製補強材の誘電率が低い場
合、構造上からくる誘電率変動の問題があり利用し難
い。ひとつは、低誘電率のガラス製補強材域と無機誘電
体粒子を含む高誘電率樹脂域が入り組み、内部に微視的
な誘電率変動を生じることである。もうひとつは、低誘
電率のガラス製補強材域と無機誘電体粒子を含む高誘電
率樹脂域が混在する場合は高誘電率樹脂域の量の変化に
伴う誘電率変動があることである。
【0008】通常の補強材用のガラスクロスは、Eガラ
スと呼ばれるSiO2−Al23 −CaO系ガラス組成
物の繊維からなる。このEガラスは、より具体的には、
SiO2 :50〜60重量%、Al23 :13〜16
重量%、B23 :5〜9重量%、MgO:0〜6重量
%、CaO:15〜25重量%、Na2O+K2O:0〜
1重量%、F:0〜1重量%という組成を有しており、
比誘電率は6〜7程度であって、比誘電率はそれほど高
くないのである。
【0009】PbOを多量に含有する鉛系ガラス組成物
は高比誘電率である。例えば、PbO:72重量%、S
iO2 :26重量%、B23 :1.5重量%、K2O:
0.5重量%の組成の鉛系ガラス組成物は、13.0の
比誘電率を有する。しかし、鉛系ガラス組成物の場合、
繊維化(直径7〜9μm)が難しいという問題がある。
ガラス溶融時にPbOの蒸発が激しくて不均質になって
紡糸工程で糸切れが多発するのである。また、鉛系ガラ
ス組成物の場合、適切なガラスクロス化が困難であると
いう問題がある。ガラスクロスの製造の場合には、一次
バインダーを除去するための熱処理工程があるが、鉛系
ガラス組成物は歪み点が低く劣化し易いため十分な処理
を施すことが難しい。一次バインダーの除去処理が十分
でないガラスクロスは基板の長期信頼性低下の原因とな
る。それに、鉛系ガラス組成物の場合、鉛が有毒である
ため取扱が容易でないという問題もあるし、100MHz
以上の高周波域での誘電損失(tanδ)が大きいとい
う問題もある。
【0010】また、プリント回路用基板の補強材として
用いるガラスは、化学的耐久性も必要である。というの
は、プリント回路用基板に回路を形成する際に様々な化
学処理を経るが、この処理で補強材が損傷を受けないこ
とが必要だからである。また、無機誘電体粒子の誘電率
向上作用が強く、しかも、製造段階で無機誘電体粒子を
樹脂ワニス中に分散させたときに沈降分離し難くいと製
造が容易となり、やはり有用性が増す。
【0011】この発明は、上記事情に鑑み、繊維化が容
易で誘電率も高く、しかも、化学的耐久性が良好な組成
のガラス繊維で強化され優れた誘電特性の回路用基板を
提供することを第1の課題とする。そして、第1の課題
に加えて、高周波特性の良好なフッ素樹脂を用い、高周
波適性を有する回路用基板を提供することを第2の課題
とし、かつ、無機誘電体粒子がフッ素樹脂中に均一に分
散し、誘電率向上作用をもつ回路用基板を提供すること
を第3の課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記第1の課題を解決す
るため、発明者らは、SiO2 −BaO−TiO2 −Z
rO2 系ガラス組成物に着目した。このガラス組成物は
非鉛系であって誘電特性が良好であるし、化学的耐久性
(耐酸性、耐アルカリ性、耐水性)に富むからである。
しかしながら、失透温度が高くて繊維化が難しいという
問題がある。ガラス繊維を得る場合、200〜800個
の小穴を底にあけたブッシングと呼ばれる白金製ポット
の前記小穴から融液を引き出し繊維を得るのであるが、
失透温度が高いとブッシングの底に失透による結晶が生
じて融液流出が妨げられ糸切れが起こる。普通、ブッシ
ング底部の温度と繊維の巻き取り速度の制御により、失
透を抑えながらガラス繊維を得るのであるが、失透温度
が融液粘度が102.5 ポアズ(316ポアズ)となる温
度を越えると制御し切れないのである。つまり、従来の
高比誘電率(εr が9以上)のSiO2 −BaO−Ti
2 −ZrO2 系ガラス組成物の失透温度は融液粘度が
102.5 ポアズ(316ポアズ)となる温度を越えてお
り、繊維化適性に欠けていたのである。
【0013】そこで、発明者らは、必要な誘電特性や化
学的耐久性を確保しつつ繊維化適性をもたせる方途を求
めて鋭意検討を続け、適当量のNbO5/2 の添加が課題
解決に有効であるという第1の知見を得ることができ
た。それだけでなく、適当量のNbO5/2 の添加に加え
て適当量のAlO3/2 の同時添加が、失透温度と102.
5 ポアズ温度の間に顕著な差が出やすいことから課題解
決に非常に有効であるという第2の知見も得ることがで
きたのである。
【0014】SiO2 −BaO−TiO2 −ZrO2
ガラス組成物は、必要な誘電特性を確保できる組成範囲
においては失透によってSiO2 系のクリストバライト
結晶とBaO−TiO2 −ZrO2 系の結晶が主に析出
する。適当量のNbO5/2 の添加は、後者のBaO−T
iO2 −ZrO2 系結晶の析出を抑制するために失透温
度の低下が起こるのであるが、前者のSiO2 系クリス
トバライト結晶の析出は抑制し切れず、失透温度の低下
の程度に限界があったのである。それが、適当量のAl
3/2 の添加でSiO2 系クリストバライト結晶の析出
も十分に抑制されるようになるため、更に失透温度を低
下させられ、また、融液粘度が上昇するため、失透温度
と102.5 ポアズ温度との差がより大きくなるというこ
とを見いだしたのである。
【0015】したがって、第1の知見に基づいて完成し
た第1の課題を解決する請求項1記載の発明(第1発
明)にかかる回路用基板は、樹脂中に無機誘電体粒子が
分散されているとともに、SiO2 を40〜65モル
%、MgO,CaO,SrOおよびBaOの少なくとも
ひとつを20〜45モル%、TiO2 およびZrO2
少なくともひとつを5〜25モル%、NbO5/2 を0.
5〜15モル%それぞれ含み、これらの酸化物の合計量
を85モル%以上であり、比誘電率(1MHz,25℃)
9以上の繊維化適性を有するガラス組成物からなる高誘
電率ガラス繊維で強化した構成をとるようにしており、
第1発明の場合、ガラス組成物は、請求項2のように、
加えて、SiO2 の含有量が46〜60モル%、Mg
O,CaO,SrOおよびBaOの少なくともひとつの
含有量が25〜40モル%、TiO2 およびZrO2
少なくともひとつの含有量が7〜24モル%、NbO
5/2 の含有量が1〜10モル%であることが好ましい。
【0016】また、第2の知見に基づいて完成した第1
の課題を解決する請求項3記載の発明(第2発明)にか
かる回路用基板は、樹脂中に無機誘電体粒子が分散され
ているとともに、SiO2 を40〜65モル%、Ca
O,SrOおよびBaOの少なくともひとつを20〜4
5モル%、TiO2 およびZrO2 の少なくともひとつ
を5〜25モル%、NbO5/2 を0.5〜15モル%、
AlO3/2 を0.5〜15モル%それぞれ含み、これら
の酸化物の合計量を85モル%以上であり、比誘電率
(1MHz,25℃)9以上の繊維化適性を有するガラス
組成物からなる高誘電率ガラス繊維で強化した構成をと
るようにしており、第2発明の場合、ガラス組成物は、
請求項4のように、加えて、SiO2 の含有量が46〜
60モル%、CaO,SrOおよびBaOの少なくとも
ひとつの含有量が25〜40モル%、TiO2 およびZ
rO2 の少なくともひとつの含有量が7〜24モル%、
NbO 5/2 の含有量が1〜10モル%、AlO3/2 の含
有量が1〜10モル%であることが好ましい。
【0017】この発明では強化用の高誘電率ガラス繊維
用のガラスが、上記組成構成をとるため、以下のように
9以上の比誘電率(1MHz,25℃)や良好な繊維化適
性を始めとして優れた特性が確保できるようになる。 比誘電率(1MHz、25℃)9以上の高誘電率であ
る。 誘電損失(1MHz、25℃)即ちtanδ0.6%
以下の低損失である。
【0018】 100MHz以上の高周波域でも、上記
比誘電率および誘電損失の変化が僅かで、優れた高周波
誘電特性である。 化学的耐久性(耐酸性、耐アルカリ性、耐水性)に
富む。 失透温度が融液粘度が102.5 ポアズとなる温度以
下である。失透温度と102.5 ポアズ温度の差が大きい
ほど繊維化適性は良くなる。NbO5/2 とAlO3/2
併用する第2発明の場合は、失透温度と102.5 ポアズ
温度の差は約90℃にも達するようにすることも容易で
ある。
【0019】 歪み点が約600℃と高い。 この発明のガラス組成物の組成範囲を上記のように限定
した理由は、以下の通りである。 SiO2 :40〜65モル%(より好ましくは46〜6
0モル%) SiO2 は、ガラスの骨格を形成する成分であり、40
モル%未満だと失透温度の上昇と融液粘度の低下を招来
し必要な繊維化適性の確保が難しくなるとともに、化学
的耐久性も十分でなくなる。65モル%を上回ると9以
上の比誘電率の確保が難しいとともに、ガラス粘度が高
く融液化困難で繊維化し難くなる。
【0020】MgO,CaO,SrOおよびBaOの少
なくともひとつ:20〜45モル%(より好ましくは2
5〜40モル%)・・・第1発明の場合 MgO,CaO,SrOおよびBaOは、ガラス構造の
修飾イオンとして作用し、融液化を容易とする。また、
併用使用は失透温度の低下をもたらす。CaO,SrO
およびBaOは比誘電率を上昇させる働きをする。20
モル%未満だと、融液が得にくく繊維化適性が低下する
とともに9以上の比誘電率の確保が難しい。45モル%
を越えると失透温度の上昇と融液粘度の低下を招来し必
要な繊維化適性の確保が難しくなる。
【0021】CaO,SrOおよびBaOの少なくとも
ひとつ:20〜45モル%(より好ましくは25〜40
モル%)・・・第2発明の場合 CaO,SrOおよびBaOは、ガラス構造の修飾イオ
ンとして作用し、融液化を容易とする。また、併用使用
は失透温度の低下をもたらす。CaO,SrOおよびB
aOは比誘電率を上昇させる働きをする。20モル%未
満だと、融液が得にくく繊維化適性が低下するとともに
9以上の比誘電率の確保が難しい。45モル%を越える
と失透温度の上昇と融液粘度の低下を招来し必要な繊維
化適性の確保が難しくなる。
【0022】TiO2 およびZrO2 の少なくともひと
つ:5〜25モル%(より好ましくは7〜24モル%) TiO2 、ZrO2 は比誘電率を上昇させる働きと化学
的耐久性を高める働きがある。TiO2 とZrO2 の併
用が望ましく、TiO2 をZrO2 よりも多くすること
が多い。5モル%未満だと9以上の比誘電率や必要な化
学的耐久性の確保が難しい。25モル%を越えると失透
温度が上昇し繊維化適性が失われる。
【0023】NbO5/2 :0.5〜15モル%(より好
ましくは1〜10モル%) NbO5/2 は比誘電率の低下を伴わずに失透温度を大き
く低下させる働きがある。0.5モル%未満では必要な
添加効果があらわれず、15モル%を越えると逆に失透
温度の上昇をもたらす。 AlO3/2 :0.5〜15モル%(より好ましくは1〜
10モル%) AlO3/2 はガラスの骨格を形成する成分であり、失透
温度の低下と、融液粘度の上昇をもたらす。0.5モル
%未満では必要な添加効果があらわれず、15モル%を
越えると比誘電率が低下するとともに、過度のガラス粘
度上昇を招来し融液化が困難で繊維化し難くなる。
【0024】MgO,CaO,SrOおよびBaO(又
は、CaO,SrOおよびBaO)の少なくともひとつ
の含有量が28〜35モル%、NbO5/2 の含有量が2
〜9モル%であった場合には、失透温度と融液粘度が1
2.5 ポアズとなる温度との差が顕著となる傾向がある
ようである。また、上記酸化物の合計量が85モル%未
満だと、9以上の比誘電率の確保が難しかったり、必要
な繊維化適性(繊維成形性)の確保が難しくなる。
【0025】なお、第1、2発明のガラス組成物は、必
須成分の他に、15モル%以下の範囲で、Li2O,N
2O,K2O,ZnO,MnO2 ,TaO5/2 , BO
3/2 ,LaO3/2 ,CeO2 等の酸化物を少なくともひ
とつ含んでいてもよい。上記ガラス組成物を作るための
原料としては、酸化物(複合酸化物を含む)、炭酸塩、
硫酸塩、塩化物、フッ化物など様々な化合物が使用で
き、要は上記組成が得られさえすればよい。
【0026】この発明の回路用基板における高誘電率ガ
ラス繊維は、基板の機械的強度や寸法安定性を向上させ
るものであり、通常はクロス状の形であるが、他にマッ
ト状や単なるフィラメント(ファイバー)状の形でも使
用される。クロスやマットの場合、通常、繊維径0.5
〜20μm、厚み15μm〜1.5mm程度のものが用
いられる。
【0027】フィラメントの場合、通常、繊維径2〜5
0μm、長さ20〜300μm程度のものが用いられ
る。ガラス繊維と複合化される樹脂は、高周波域の用途
では、高周波損失の少ない(低tanδ)樹脂が好まし
い。例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ポリスチレン、フッ素樹脂等が挙
げられるが、フッ素樹脂以外は融点が低く、はんだ付け
等の際の変形が大きいので、回路用基板としては適さな
い。
【0028】また、熱硬化性樹脂は耐熱性は優れていて
も、誘電正接が大きく、前述の熱可塑性樹脂のように高
周波用途には向かない。たとえば、熱可塑性樹脂と熱硬
化性樹脂を複合化し、両者の利点を引き出すための、こ
の出願にかかる発明もある(特願平02−40069
5)が、この複合化した樹脂は、高周波域ではtanδ
が上昇し、高周波用途としては十分ではない。したがっ
て、高周波域で損失が少ない、すなわち、誘電正接の小
さいフッ素樹脂が最適である。
【0029】フッ素樹脂としては、四フッ化エチレン
(TFE、融点320〜335℃)、四フッ化エチレン
−六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP、融点26
0〜280℃)、四フッ化エチレン−パーフルオロビニ
ルエーテル共重合体樹脂(PFA、融点302〜310
℃)のように、融点が250℃以上のものが、はんだ付
け等の際に変形が小さく、回路用基板として特に好まし
い。また、フッ素樹脂は、耐湿性、耐酸・アルカリ性等
にも優れている。しかも、高周波における損失が特に小
さく、高周波での使用に適している。
【0030】この発明に用いられる無機誘電体粒子は、
普通、無機誘電体粒子が緻密で非多孔性粒子であるが、
分散適性を考慮して凝集しないよう余り小さすぎないよ
うに、また、沈降を避けることを考慮して余り大きすぎ
ないようにする。このような観点から、非多孔性無機誘
電体粒子の場合は、平均粒径0.3〜5μmであって、
平均比表面積0.2〜7.0m2 /g(好ましくは平均
粒径1〜5μmであって、平均比表面積0.2〜3.0
2 /g)の範囲のものを用いることが適当である。し
かしながら、発明者らの検討の結果、図2にみるよう
に、表面に向けて開口する孔や割れ目などからなる空隙
が多数個あって、この空隙内に樹脂の一部が入り込むこ
とができるような多孔質粒子が、回路基板の比誘電率を
効果的に高めるために好ましいことを見いだした。この
多孔質無機誘電体粒子としては、平均粒径5〜100μ
m、平均比表面積0.3〜7.0 m2 /gのものが好ま
しい。これらの非多孔質粒子と多孔質粒子は併用しても
よい。
【0031】粒径が100μmを超えると、回路用基板
の表面に粒子による凹凸が現れて平滑性が悪くなった
り、耐湿性(耐水性)が劣るようになったり、誘電損失
特性が悪くなったりするほか、製造時等に粒子が割れ易
くて誘電特性がばらついたりするという傾向がみられ
る。粒径が5μmを下回ると、誘電率向上効果が十分で
なくなる傾向がみられる。
【0032】比表面積が7.0 m2 /gを超えると、耐
湿性(耐水性)が劣るようになり、誘電損失特性が悪く
なる傾向がみられる。比表面積が0.3 m2 /gを下回
ると、誘電率向上効果が十分でなくなる傾向がみられ
る。多孔質無機誘電体粒子は、一次粒子が集合してでき
る二次粒子であってもよい。この二次粒子では、一次粒
子間に空隙があって多孔質になっている。この場合、多
孔質粒子を構成する一次粒子は、焼結により互いに物理
的・化学的に結合していることが好ましい。
【0033】この多孔質無機誘電体粒子は、ペロブスカ
イト型結晶構造を有する高誘電率組成の化合物からなる
ことが好ましい。多孔質無機誘電体粒子としては、例え
ば、BaTiO3 系、SrTiO3 系、PbTi1/2
1/23 系、Pb(Mg2/3Nb1/3)O3 系、Ba(Sn
XMgYTaZ)O3 系、Ba(ZrXZnYTaZ)O3 系な
どのペロブスカイト型結晶構造(あるいは複合ペロブス
カイト型結晶構造)を有するもの、その他、TiO2
ZrO2 、SnO2 の単独およびその複合酸化物などの
無機化合物等が具体的に挙げられる。多孔質無機誘電体
粒子は、球状、あるいは、様々な形のブロック片的形状
であってよく、その形状については特に限定しない。
【0034】この多孔質無機誘電体粒子は、例えば、
焼結密度が低く多孔質となるようにして得た無機誘電体
ブロックを粉砕したり、あるいは、無機粒子をバイン
ダー(例えば、PVA=ポリビニルアルコール水溶液)
中に分散し、乾燥雰囲気(例えば、130℃程度の温度
雰囲気)中にスプレーすることにより粒状物を得て、こ
れを1100℃程度の温度で焼成するようにしたりし
て、得ることができる。後者の場合、無機粒子として
は種々のものを選ぶことができるが、焼成は、スプレー
により得られた粒状物において、個々の粒状物内の粒子
同士は焼結により物理的・化学的な結合が起こり、特に
出発原料が微粒子の場合は粒成長が起こるが、粒状物同
士は簡単に離れる程度に行う。焼結粒子は、表面に開口
した孔や割れ目などがあって内部に空隙が生じており、
多孔質となっている。
【0035】この焼結に際しては、必要に応じて焼結助
剤を用いても良い。焼結助剤としては、このような粒子
を焼結する際に通常使用される助剤であれば、何であっ
ても良いのであるが、強いて定義すれば、誘電体組成を
破壊せず、特性を損なわず、充分に補強効果を与えるも
のが好ましい。焼結助剤の使用量は、目的に応じて、ま
た、焼結助剤の種類に応じて適宜選択すれば良いが、通
常は、無機誘電体粒子に対して0.1〜5重量%が好ま
しい。焼結助剤の粒子径は、0.01〜100μmの範
囲であれば、いずれも使用できるが、均一に分散させる
ために、0.1〜50μm程度が好ましい。焼結助剤の
添加時期は、無機誘電体化合物の調製段階および焼成段
階の任意の時期でよい。例えば、無機粒子をバインダー
中に分散する際に同時に焼結助剤を分散させるようにす
るのである。
【0036】焼結助剤を用いた場合には、不使用の場合
に較べて、焼結が容易になるという効果のみでなく、多
孔質粒子の強度が向上するために回路用基板の作製時に
おける多孔質誘電体粒子の崩れが防止できるという付随
的効果や、比較的低温で焼結できるようになるため、よ
り空隙率の大きな多孔質粒子の形成を可能とし、回路用
基板の誘電率を向上させうる等の付随的効果が表れる場
合がある。
【0037】焼結助剤の具体例としては以下のものがあ
る。すなわち、BaO−SiO2−B23 、CaO−
SiO2 −B23 、Li2O−SiO2 −B23 、L
2O−Al23 −SiO2 、Na2O−Al23 −S
iO2 、Li2O−GeO2、CdO−PbO−Si
2 、Li2O−SiO2 、B23 −Bi2 3 、Pb
O−SiO2 −BaO、Na2O−PbO−SiO2
PbO−GeO2 等のホウ酸系ガラス,鉛系ガラス,ビ
スマス系ガラス,カドミウム系ガラス,リチウム系ガラ
スなど、CuO、Bi23 、B23 、CdO、Li
2O、PbO、WO3 、Pb5Ge311、Li2SiO3
等の酸化物、および、LiF、CuF2 、ZnF2
CaF2 等の弗化物である。
【0038】無機誘電体化合物粒子を焼結する際には、
一般に、添加物の作用によって粒子成長や焼結体の電気
特性を制御することが行われているが、この発明におい
ても、従来知られている種々の添加物を同様の目的で使
用することができる。多孔質無機誘電体粒子としては、
前述のように、平均粒径5〜100μm、平均比表面積
0.3〜7.0 m2 /gのものが好ましいのであるが、
一次粒子を集合させて二次粒子にする場合には、一次粒
子としては、例えば、0.1〜5μm程度になる。これ
は、粒子を球とした場合、d(一次粒子の粒径)、ρ
(一次粒子の真比重)、Sw(二次粒子の比表面積)の
間に、d=6/(ρ×Sw)の関係があるからである。
したがって、例えば、チタン酸バリウムの場合、一次粒
子の粒径は0.14〜3.3μm程度となる。
【0039】この発明において、マトリックス用樹脂と
無機誘電体粒子および補強材たるガラス繊維の配合割合
は、通常、樹脂:25〜95 vol%(体積%)、無機誘
電体粒子:5〜75 vol%であり、強化用の高誘電率ガ
ラス繊維は5〜70 vol%の範囲にある。この発明の回
路用基板は、例えば、下記のようにして製造する。
【0040】粉体を混合したフッ素樹脂入りディスパー
ジョンをガラスクロスに含浸させる。含浸後、風乾また
は熱風によって水分を乾燥させる。その後、必要に応じ
て、ディスパージョン中の界面活性剤を分解させるため
に、さらに熱を加えてもよい。このようにして得たプリ
プレグを所定の設計厚みとなるように所定枚組み合わ
せ、さらに、両面または片面に金属箔を組み合わせて加
熱圧縮することにより回路基板を得ることができる。必
要に応じて、プリプレグ間、または、プリプレグと金属
箔の間に、フッ素樹脂のシート(粉体を含むシート)を
挟み加熱圧縮してもよい。
【0041】金属箔としては、銅箔,アルミニウム箔等
が用いられる。圧締は、プリプレグ同士や金属箔とプリ
プレグの接合、積層板の厚み調整のために行うので、圧
締条件は必要に応じて選択される。同時に、無機誘電体
粒子を圧壊しないような条件を設定する。このようにし
て、図1にみるように、例えば、樹脂2中に無機誘電体
粒子4が分散され高誘電率ガラス繊維1で強化され両面
に金属箔3が接着された両面プリント回路用基板が得ら
れるのである。回路用基板の厚みは、通常、0.1〜2
mm程度である。
【0042】この発明の範囲は、上記例示の化合物や数
値範囲あるいは処理方法に限られるものではない。
【0043】
【作用】この発明の回路用基板における強化用の高誘電
率ガラス繊維は、第1発明の場合、SiO2 を40〜6
5モル%、MgO,CaO,SrOおよびBaOの少な
くともひとつを20〜45モル%、TiO2 およびZr
2 の少なくともひとつを5〜25モル%、NbO5/2
を0.5〜15モル%それぞれ含み、これらの酸化物の
合計量を85モル%以上とするガラス組成物からなり、
第2発明の場合、SiO2 を40〜65モル%、Ca
O,SrOおよびBaOの少なくともひとつを20〜4
5モル%、TiO2 およびZrO2 の少なくともひとつ
を5〜25モル%、NbO5/2 を0.5〜15モル%、
AlO3/2 を0.5〜15モル%それぞれ含み、これら
の酸化物の合計量を85モル%以上とするガラス組成物
からなるため、比誘電率(1MHz、25℃)9以上と高
比誘電率であり、誘電損失(1MHz、25℃)即ちta
nδ0.6%以下の低損失であって、しかも、100M
Hzの高周波域でも、上記比誘電率および誘電損失の変化
が僅かで優れた高周波誘電特性をも有する。
【0044】そのため、無機誘電体粒子による誘電率向
上作用が阻害されず、微視的な内部の誘電率変動や樹脂
・無機誘電体粒子量の変化に伴う誘電率変動も抑制され
る。また、上記組成の場合、高誘電率ガラス繊維が化学
的耐久性(耐酸性、耐アルカリ性、耐水性)に富む(E
ガラスより遙に優れる)ため、加工時の化学処理での損
傷の問題がなく、PbOを多量に含む鉛系ガラスの場合
の毒性等の問題もないし、失透温度が融液粘度が10
2.5 ポアズとなる温度以下であるため、繊維化適性があ
って補強材用高誘電率ガラス繊維とすることができる
し、また、歪み点が約600℃と高く、クロス化の際の
一次バインダー除去処理も適切に行えるため、補強材と
して適切なガラスクロスとすることができる。
【0045】樹脂としてフッ素樹脂を用いると、高周波
での誘電特性が良好で、耐湿性や耐熱性等が優れた回路
用基板が得られる。無機誘電体粒子が多孔質粒子である
場合、誘電率向上作用が強い。誘電率向上作用が強いの
は、同じ重量の多孔質粒子同士で比較した場合、多孔質
粒子も非多孔質粒子も真に占める体積割合は同じである
が、前者の多孔質無機誘電体粒子は空隙により膨らんで
いる分だけ見かけ上の占有体積が大きく、そして、この
多孔質無機誘電体粒子が空隙部分も含めた広い領域が高
誘電率域として機能するからである、と推察される。そ
れに、多孔質粒子は、非多孔質粒子に比べて内部に空隙
があるため樹脂ワニス中で沈降分離し難くて製造が容易
である。それに、回路用基板の加工(切断、孔開等)の
際にも、同じ粒径の非多孔質無機誘電体に比べて容易に
破壊するので、加工表面が良好で、加工消耗品の劣化も
少ないという利点もある。
【0046】フッ素樹脂は線膨張係数が大きく、弾性率
が小さい。したがって、誘電率を上昇させるために無機
粉体だけを含浸させると(特公昭49−25499)、
形状の保持ができず変形しやすい。一方、この発明で
は、ガラスクロスを用いることにより変形の小さいプリ
ント回路用基板を得ることができる。
【0047】
【実施例】以下、実施例および比較例の説明を行う。ま
ず、実施例用と比較用のガラス組成物を、以下のように
して作成した。表1〜8に示す組成となるように、ガラ
ス組成物原料を調合し、白金ルツボに入れて加熱(4時
間、1500℃)し溶融した。なお、原料としては、S
iO2にはSiO2 を、MgO,CaO,SrOおよび
BaOには炭酸塩を、TiO2にはアナターゼ型TiO
2 を、ZrO2 にはZrO2 を、NbO5/2 にはNbO
5/2 の1級試薬をそれぞれ用いた。
【0048】ついで、融液をカーボン板上に流し出し板
状に成形しアニール処理し板状ガラスを得た。各実施例
用と比較例用の板状ガラスについて下記のデータを得
た。 −比誘電率および誘電損失− まず、得られた板状ガラスを一部切断し研磨して誘電特
性評価用試料を作製した。ついで、この試料の両面に金
電極を蒸着形成し、インピーダンスアナライザーで比誘
電率および誘電損失(誘電正接)を測定した。測定周波
数は1MHz、1GHz、温度は25℃である。
【0049】−102.5 ポアズ温度− 板状ガラスの一部を溶かし融液の粘度を白金球引き上げ
法により測定し102. 5 ポアズ温度を測定した。 −失透温度− 板状ガラスの一部を297〜500μmの粒子としてか
ら白金ボートに入れ温度勾配を有する電気炉に16時間
保持したのち空気中で放冷し顕微鏡下で失透出現位置を
求めることで測定した。
【0050】−繊維化適性− 板状ガラスの残部を粉砕し白金ブッシングに入れ、白金
ブッシングに直接通電しガラスを溶かし、ブッシング温
度を102.5 ポアズ温度に設定しておいて、ブッシング
底部の小穴(ノズル)から引き出し巻き取ってガラス繊
維を得るようにした。
【0051】上記データを表1〜8に併記する。なお、
上の場合、板状ガラスにしてから再溶融してガラス繊維
を得たが、最初の融液から直接ガラス繊維を得るように
してもよい。同様にガラス繊維を得ることができる。大
量生産の場合は、最初の融液から直接ガラス繊維を得る
ようにするのが適当である。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】組成1〜32の実施例用ガラスの場合はい
ずれも繊維化できたが、組成Xの比較用ガラスの場合は
TiO2 およびZrO2の含有量が多すぎると同時にN
bO5 /2 を含まず、組成Yの比較用ガラスの場合はNb
5/2 を含まないため、繊維化できなかった。また、組
成Zの比較用ガラスの場合もAlO3/2 は含むがNbO
5/2 を含まないため失透温度が102.5 ポアズ温度を越
えており、繊維化できなかった。AlO3/2 単独では必
要な繊維化適性が確保できないのである。10 2.5 ポア
ズ温度および失透温度のデータは繊維化適性の有無をよ
く裏付けている。なお、実施例用のガラスの場合は誘電
特性は高周波も含めて非常に良好である。
【0061】−実施例1− 平均粒径0.1μmのBaTi0.7Zr0.33 粒子50
0gとホウケイ酸系ガラス(岩城硝子製)2.5gと5
wt%ポリビニルアルコール溶液50mlをイオン交換
水1リットル中でよく湿式混合した後、噴霧造粒した。
次に、これを1050℃で2時間熱処理して、複数の一
次粒子からなる平均粒径20μm、平均比表面積1 .0
m2 /gの粒子を、多孔質無機誘電体粒子として得た。
次に、四フッ化エチレン樹脂(商品名ポリフロンTF
E、ダイキン工業(株)製)中に、上記粒子を30 vol
%となるように混合した。
【0062】一方、前記の組成3のガラスからなる繊維
を用いてガラスクロスを常法により得た。このガラスク
ロスは、平織ガラスクロスであって、厚み:100μ
m、繊維径:7μm、織密度:25mm当たり、縦60
本,横58本である。ワニスをよく攪拌してから、平織
ガラスクロスに含浸させ、400℃で焼成した。得られ
たワニス含浸ガラスクロスにおけるTFE樹脂とBaT
0.7Zr0.33 粒子の混合物とガラスクロスとの割合
は、樹脂と粒子の混合物:41wt%(約50 vol
%)、ガラスクロス:59wt%(約50 vol%)であ
った。このようにして得られたワニス含浸クロス5枚を
重ねて、上下に銅箔(厚み17μm)を配して、温度4
00℃、圧力20 kg/cm2 、60分間の成形条件で加圧
成形し、両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。
【0063】−比較例1− ガラスクロスを下記組成の鉛系ガラス用いて作成した他
は、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリント回路用
基板を得た。 「鉛ガラス」 組成 PbO:41.2モル%、SiO2 :55.3モ
ル%、B23 :2.8モル%、K2O:0.7モル% 比誘電率 1MHz:13.0、1GHz:12.9 tanδ(%) 1MHz:0.09%、1GHz:0.5
4% −比較例2− ガラスクロスを下記組成のEガラス用いて作成した他
は、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリント回路用
基板を得た。
【0064】「Eガラス」 組成 SiO2 :57.9モル%、Al2 3 :8.7
モル%、B2 3 :7.3モル%、CaO:24.2モ
ル%、MgO:1.6モル%、K2 O:0.3モル% 比誘電率 1MHz:6.5、1GHz:6.5 tanδ(%) 1MHz:0.15%、1GHz:0.2
8% −実施例2− 非多孔質無機誘電体粒子として、平均粒径20μmの、
平均比表面積0.2 m 2 /gのBaTi0.7 Zr0.3
3 粒子をそのまま用いた他は、実施例1と同様にして両
面銅箔張りプリント回路用基板を得た。
【0065】−実施例3− 非多孔質無機誘電体粒子として、平均粒径3.4μm
の、平均比表面積1.7m2 /gのTiO2 (ルチル)
を、四フッ化エチレン65vol %、ルチル35vol %の
比に混合し、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリン
ト回路用基板を得た。
【0066】−比較例3− 比較例1のガラスクロスを用い、実施例3と同様にし
て、両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。 −比較例4− 比較例2のガラスクロスを用い、実施例3と同様にし
て、両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。
【0067】−実施例4− 組成26のガラスクロスを用いた他は実施例1と同様に
して、両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。 −実施例5− 組成26のガラスクロスを用いた他は実施例2と同様に
して、両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。
【0068】−実施例6− 組成26のガラスクロスを用いた他は実施例3と同様に
して、両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。得られ
た各回路用基板について、1MHzおよび1GHzでの
比誘電率、誘電正接(tan δ) を調べた。結果を表9に
示す。
【0069】
【表9】
【0070】表9にみるように、実施例1のプリント回
路用基板は、鉛ガラスクロスを用いた比較例1のものに
比べて1GHzでの誘電正接が小さく、Eガラスを用いた
比較例2の基板に比べて比誘電率が高い。多孔質粉体を
用いた実施例1および4は、実施例2、3、5、6に比
べて誘電正接はさほど劣化せずに、比誘電率の上昇効果
が大きい。
【0071】非多孔質粉体を用いた実施例3は、鉛ガラ
スクロスを用いた比較例3のものに比べて1GHzでの誘
電正接が小さく、Eガラスを用いた比較例4の基板に比
べて比誘電率が高い。
【0072】
【発明の効果】以上に述べたように、第1、第2発明に
かかる回路用基板は、繊維化容易で誘電率も高く、しか
も、化学的耐久性が良好な組成のガラス繊維で強化され
ており、優れた誘電特性であって製造も容易であるた
め、有用である。加えて、樹脂にフッ素樹脂を用いるこ
とにより、さらに誘電正接の小さい回路用基板を得るこ
とができる。
【0073】請求項7〜11の回路用基板は、フッ素樹
脂中に分散している無機誘電体粒子が、沈降分離し難く
誘電率向上効果の高い粒子であって、より製造し易く、
誘電特性に優れるため、非常に有用である。請求項8の
回路用基板では、加えて、多孔質無機誘電体粒子の平均
粒径が5〜100μm、平均比表面積0.3〜7.0 m
2/grのものであるため、誘電率向上効果がより顕著に
発揮される。
【0074】請求項9の回路用基板では、加えて、多孔
質無機誘電体粒子が一次粒子が集合してなる二次粒子で
あって、この多孔質粒子の作製が容易であるため、結果
として回路用基板が製造し易いものとなっている。請求
項10の回路用基板では、加えて、多孔質無機誘電体粒
子における一次粒子が焼結により互いに結合しているた
め、誘電率向上効果がより顕著に発揮されるようにな
る。
【0075】請求項11の回路用基板では、多孔質無機
誘電体粒子の強度が向上しているため、複合化工程で粒
子破壊が発生せず、安定した性能が期待でき、粒子の製
造が容易となる。請求項12の回路用基板では、多孔質
無機誘電体粒子がペロブスカイト型結晶構造を有する化
合物からなるため、誘電率向上効果がより顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の回路用基板の構成例をあらわす概略
断面図である。
【図2】この発明の回路用基板に使われる多孔質無機誘
電体粒子の一例をあらわす断面図である。
【符号の説明】
1 ガラスクロス(高誘電率ガラス繊維) 2 樹脂 3 金属箔 4 多孔質無機誘電体粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 勲夫 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂中に無機誘電体粒子が分散され高誘
    電率ガラス繊維で強化されてなる回路用基板であって、
    前記高誘電率ガラス繊維が、SiO2 を40〜65モル
    %、MgO,CaO,SrOおよびBaOの少なくとも
    ひとつを20〜45モル%、TiO2 およびZrO2
    少なくともひとつを5〜25モル%、NbO5/2 を0.
    5〜15モル%それぞれ含み、これらの酸化物の合計量
    が85モル%以上であり、比誘電率(1MHz,25℃)
    9以上の繊維化適性を有するガラス組成物からなり、か
    つ、樹脂がフッ素樹脂であることを特徴とする回路用基
    板。
  2. 【請求項2】 SiO2 の含有量が46〜60モル%、
    MgO,CaO,SrOおよびBaOの少なくともひと
    つの含有量が25〜40モル%、TiO2 およびZrO
    2 の少なくともひとつの含有量が7〜24モル%、Nb
    5/2 の含有量が1〜10モル%である請求項1記載の
    回路用基板。
  3. 【請求項3】 樹脂中に無機誘電体粒子が分散され高誘
    電率ガラス繊維で強化されてなる回路用基板であって、
    前記高誘電率ガラス繊維が、SiO2 を40〜65モル
    %、CaO,SrOおよびBaOの少なくともひとつを
    20〜45モル%、TiO2 およびZrO2 の少なくと
    もひとつを5〜25モル%、NbO5/ 2 を0.5〜15
    モル%、AlO3/2 を0.5〜15モル%それぞれ含
    み、これらの酸化物の合計量が85モル%以上であり、
    比誘電率(1MHz,25℃)9以上の繊維化適性を有す
    るガラス組成物からなり、かつ、樹脂がフッ素樹脂であ
    ることを特徴とする回路用基板。
  4. 【請求項4】 SiO2 の含有量が46〜60モル%、
    CaO,SrOおよびBaOの少なくともひとつの含有
    量が25〜40モル%、TiO2 およびZrO2 の少な
    くともひとつの含有量が7〜24モル%、NbO5/2
    含有量が1〜10モル%、AlO3/2 の含有量が1〜1
    0モル%である請求項3記載の回路用基板。
  5. 【請求項5】 フッ素樹脂が融点250℃以上のもので
    ある請求項1から4までのいずれかに記載の回路用基
    板。
  6. 【請求項6】 フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレ
    ンである請求項1から4までのいずれかに記載の回路用
    基板。
  7. 【請求項7】 無機誘電体粒子が多孔質粒子である請求
    項1から6までのいずれかに記載の回路用基板。
  8. 【請求項8】 多孔質粒子が、平均粒径5〜100μ
    m、平均比表面積0.3〜7.0 m2 /gのものである
    請求項7記載の回路用基板。
  9. 【請求項9】 多孔質無機誘電体粒子が、一次粒子が集
    合してなる二次粒子である請求項7または8記載の回路
    用基板。
  10. 【請求項10】 二次粒子は一次粒子が焼結により互いに
    結合してなるものである請求項9記載の回路用基板。
  11. 【請求項11】 焼結が焼結助剤を添加してなされている
    請求項10記載の回路用基板。
  12. 【請求項12】 無機誘電体粒子が、ペロブスカイト型結
    晶構造を有する化合物からなる請求項1から11までの
    いずれかに記載の回路用基板。
JP28450792A 1992-10-22 1992-10-22 回路用基板 Pending JPH06132621A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28450792A JPH06132621A (ja) 1992-10-22 1992-10-22 回路用基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28450792A JPH06132621A (ja) 1992-10-22 1992-10-22 回路用基板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06132621A true JPH06132621A (ja) 1994-05-13

Family

ID=17679405

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28450792A Pending JPH06132621A (ja) 1992-10-22 1992-10-22 回路用基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06132621A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7276461B2 (en) 2003-05-20 2007-10-02 Ube Industries, Ltd. Dielectric ceramic composition, method of manufacturing the same, and dielectric ceramics and laminated ceramic part using the same

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7276461B2 (en) 2003-05-20 2007-10-02 Ube Industries, Ltd. Dielectric ceramic composition, method of manufacturing the same, and dielectric ceramics and laminated ceramic part using the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5284807A (en) Glass fiber forming composition, glass fibers obtained from the composition and substrate for circuit board including the glass fibers as reinforcing material
US7544629B2 (en) Non-lead glass for forming dielectric, glass ceramic composition for forming dielectric, dielectric, and process for producing laminated dielectric
JP3381332B2 (ja) 高誘電率ガラスセラミック
US5756408A (en) Glass-ceramic sintered body
US5290740A (en) Dielectric ceramic composition used for producing dielectric resonator or filter for microwave application
KR20140074246A (ko) 저유전성 유리 및 섬유 유리
Anjana et al. Microwave dielectric properties and low‐temperature sintering of cerium oxide for LTCC applications
JP7179135B2 (ja) 誘電体
US20100084173A1 (en) Ceramic powder for a green sheet and multilayer ceramic substrate
JP2006124201A (ja) 無鉛ガラス、ガラスセラミックス組成物および誘電体
JP2802173B2 (ja) 複合誘電体
JP3624405B2 (ja) ガラスセラミックス誘電体材料
JP7348587B2 (ja) ガラスセラミック誘電体
JP2733160B2 (ja) 回路用基板
JPH06132621A (ja) 回路用基板
JPH0825771B2 (ja) ガラス組成物および回路用基板
JPH04106806A (ja) 複合誘電体
JP2617632B2 (ja) ガラス組成物および回路用基板
JP2740357B2 (ja) プリント回路用基板
JPH06188529A (ja) 回路用基板
JPH06211564A (ja) セラミック基板
KR100674860B1 (ko) 저온 소결용 글라스 프릿트
JP3624406B2 (ja) ガラスセラミックス誘電体材料
JP2520970B2 (ja) 複合誘電体
CN114573235B (zh) 一种高强度低损耗温度稳定型ltcc介质材料及其制备方法