JPH06186485A - 急速変形圧電アクチュエータ - Google Patents

急速変形圧電アクチュエータ

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Publication number
JPH06186485A
JPH06186485A JP4342173A JP34217392A JPH06186485A JP H06186485 A JPH06186485 A JP H06186485A JP 4342173 A JP4342173 A JP 4342173A JP 34217392 A JP34217392 A JP 34217392A JP H06186485 A JPH06186485 A JP H06186485A
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JP
Japan
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moving body
housing
contact
piezoelectric element
inertial
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Pending
Application number
JP4342173A
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English (en)
Inventor
Hiroki Moriyama
宏樹 森山
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP4342173A priority Critical patent/JPH06186485A/ja
Publication of JPH06186485A publication Critical patent/JPH06186485A/ja
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  • Instruments For Viewing The Inside Of Hollow Bodies (AREA)
  • Endoscopes (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、移動体が、比重の比較的軽い材質で
ありながら、移動体とそれに接するハウジング内面と
が、アクチュエータの作動に対して耐摩耗性が良く、し
かも、仮に、多少の摩耗が生じても、アクチュエータの
性能がほとんど変わらない急速変形圧電アクチュエータ
を提供することを目的とする。 【構成】前記移動体3の少なくとも前記ハウジング2に
接して摩擦力を受ける部分の表面と、前記ハウジング2
の内面の少なくとも前記移動体3に接してその間の摩擦
力によりその移動体3を保持する部分の表面との一方の
表面を硬質化し、他方の表面の硬度を前記一方の表面の
硬度より高い硬度にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電素子の急速変形に伴
う慣性力を利用して移動を行なう急速変形圧電アクチュ
エータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開昭4−177214号
公報に示すように、簡単かつコンパクトな構成によって
可動レンズの移動操作を迅速かつ確実に行なおうとする
急速変形圧電アクチュエータが知られている。このアク
チュエータは、対物光学系を構成するレンズ群における
可動レンズを保持するレンズ枠に移動体を連結し、前記
レンズ枠を移動させるべき向きに沿って軸方向を配置
し、かつその軸方向に伸縮可能な圧電素子を設ける。さ
らに、この圧電素子の一端を前記移動体に実質的に固定
するとともに、前記圧電素子の他端に慣性体を取着し、
前記圧電素子に印加する駆動電圧を制御手段で制御し、
前記圧電素子がその軸方向へ伸縮するときの前記慣性体
の慣性力と前記移動体が移動路面から受ける摩擦力との
作用を利用しながら前記レンズ枠を移動させて可動レン
ズの位置を調整するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成のもの
にあっては、移動体とそれに接するハウジング内面の材
質の検討がなされていない。特に、移動体はアクチュエ
ータの性能上、比重が軽い材質を採用したいが、通常の
アルミニウムや樹脂では、耐摩耗性がよくないため、そ
の場合には急速変形圧電アクチュエータの耐繰返し性
(耐摩耗性)に不安があった。また、ステンレス材を用
いた場合、その表面に少しでも磨耗が生じると、表面の
性質が変化してしまうため、アクチュエータの動作性能
が変わり、悪影響を及ぼす。
【0004】本発明は前記課題に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、移動体が、比重の比較的
軽い材質でありながら、移動体とそれに接するハウジン
グ内面とが、アクチュエータの作動に対して耐摩耗性が
良く、しかも、仮に、多少の摩耗が生じても、アクチュ
エータの性能がほとんど変わらない急速変形圧電アクチ
ュエータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決する手段および作用】前記課題を解決する
ために、本発明は、ハウジング内に嵌合状態で摩擦力に
より保持された移動可能な移動体に印加電圧によって軸
方向に伸縮可能な圧電素子を介して慣性体を固定してな
り、前記圧電素子が軸方向に急速に変形したときの前記
慣性体の慣性力と、前記移動体が前記ハウジングの内面
から受ける摩擦力との差を利用して、前記移動体を軸方
向に移動する急速変形圧電アクチュエータにおいて、前
記移動体の少なくとも前記ハウジングに接して摩擦力を
受ける部分の表面と、前記ハウジング内面の少なくとも
前記移動体に接してその間の摩擦力によりその移動体を
保持する部分の表面との一方の表面を硬質化し、他方の
表面の硬度を前記一方の表面の硬度より高い硬度にし
た。
【0006】前記手段によって、例えば移動体の材料
に、比較的比重の軽いアルミニウムを用いながらもシュ
ウ酸アルマイト等の硬質化の表面処理によってその表面
硬度を上げ、さらに、ハウジング内面をそれ以上の硬度
にすることで、耐摩耗性を向上できる。仮に、摩耗が生
じるとすれば、硬度が低い側であるシュウ酸アルマイト
等の処理表面であるが、シュウ酸アルマイト膜等はステ
ンレス等とは異なって、表面が摩耗しても膜厚が少し薄
くなるだけで、その表面の性質は変わらないため、アク
チュエータの性能は、ほとんど影響しない。
【0007】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例を示すものであ
る。同図1(c)は急速変形圧電アクチュエータ1が装
着された内視鏡20の全体的な構成を示している。すな
わち、内視鏡20は長尺な挿入部21、操作部22、お
よびライトガイドケーブル23を有している。また、挿
入部21は、曲がりが自在な可撓管30と、強制的に湾
曲操作される湾曲管31と、先端構成部32とからな
る。操作部22には送気送水釦41、吸引釦42および
電子観察系の操作スイッチ43が設けられている。
【0008】前記挿入部21の先端構成部32には対物
光学系12が組み込まれており、この対物光学系12は
観察窓13を通じて観察される視野を固体撮像素子14
の撮像面に結像する。また、先端構成部32には図示し
ないが、一般的な内視鏡と同様に照明窓、鉗子口、送気
送水ノズル等が設けられている。前記照明窓は同じく図
示しないライトガイドファイバを通じて送られてきた照
明光を視野内に照射する。前記鉗子口にはチャンネルチ
ューブ16が接続され、前記送気送水ノズルには送気チ
ューブ17と送水チューブ18が接続されている。ま
た、固体撮像素子14には信号ケーブル19が接続され
ている。
【0009】前記対物光学系12は筒状の鏡筒15に複
数の固定レンズ35を組み込んでなり、さらに、鏡筒1
5内には、光軸方向へ摺動してスライド自在に筒状のレ
ンズ枠10が設けられ、このレンズ枠10は合焦レンズ
36を保持する。すなわち、レンズ枠10とともに合焦
レンズ36を光軸方向へ移動することにより、固体撮像
素子14の撮像面に視野を結像させるピント調整が行な
われる。
【0010】また、筒状のレンズ枠10の外周の一部
(この実施例では下面)には、アーム部10aが径方向
外側に向かって突設されている。このアーム部10aは
鏡筒15に形成されたスライド孔37を通じて貫通して
鏡筒15の側方へ突出している。なお、スライド孔37
は対物光学系12の光軸方向へ沿って細長く形成されて
いる。つまり、レンズ枠10はアーム部10aをスライ
ド孔37に沿って前後に移動することにより、回転する
ことなく光軸方向へ直線的に移動するように規制され
る。
【0011】また、先端構成部32内のレンズ枠10の
近傍には急速変形圧電アクチュエータ1が設けられてい
る。スライド孔37から突き出るレンズ枠10のアーム
部10aの先端は後述する急速変形圧電アクチュエータ
1の移動体3に連結される。
【0012】急速変形圧電アクチュエータ1は図1
(a)で示すように構成される。急速変形圧電アクチュ
エータ1は円筒管からなるハウジング2を有し、このハ
ウジング2内には嵌合状態で摩擦力により保持され、か
つハウジング2の内壁に接触しながら前後に摺動できる
移動体3が設けられている。また、移動体3には積層構
造の圧電素子4と慣性体6が設けられている。そして、
移動体3と慣性体6が圧電素子4を介して固定的に連結
される。この場合、圧電素子4と慣性体6はハウジング
2の内壁に接触しないように配置されている。圧電素子
4は後述するように電圧を印加することによってハウジ
ング2の軸方向に伸縮するようになっている。
【0013】レンズ枠10の側方に突き出るアーム部1
0aの先端は移動体3の先端に連結されている。また、
圧電素子4の電極にはリード線5が接続されており、こ
のリード線5は保護チューブ38内を通じて、内視鏡2
0の挿入部21、操作部22およびライトガイドケーブ
ル23の各内部を通り、内視鏡20の外部に設けられる
制御回路44と駆動電源45に接続されている。
【0014】前記移動体3はその外面から径方向に突設
された先端側の第1の接触部7と基端側の第2の接触部
8とによってハウジング2の内壁に接触している。第2
の接触部8は、ハウジング2の内径よりも小さくなるよ
うなはめあい公差による外径寸法を有し、第1の接触部
7は、ハウジング2の内径よりも大きくなるようなはめ
あい公差による外径寸法を有している。移動体3の周縁
部付近の先端からは圧接力付与手段としての2つのスリ
ット9,9が長手軸方向に向かって内側に切り込まれて
いる。スリット9,9は互いに略軸対称に設けられてお
り、このスリット9,9によってこれに対応した周部は
片持ち梁状に切り離されてその第1の接触部7を径方向
に向かう弾性が付与されている。つまり、スリット9,
9によって移動体3の外周縁部位には曲げ作用を受ける
薄肉な弾性梁部3a,3bが形成されている。
【0015】この移動体3は質量を軽くするためにアル
ミニウムによって作られている。移動体3は、その全体
でもいいが、少なくとも第1の接触部7の外周表面の部
位には、シュウ酸アルマイト処理がしてあり、その表面
の硬度を上げている。さらに、ハウジング2の少なくと
も第1の接触部7と接触する部分は、第1の接触部7の
シュウ酸アルマイト処理した表面よりも高い硬度の材
料、若しくは硬質化処理、例えば表面処理により第1の
接触部7のシュウ酸アルマイト処理した表面よりも高い
硬度に形成されている。
【0016】例えば、第1の接触部7の表面(又は移動
体3の表面)をシュウ酸アルマイトの蒸気封孔処理を
し、その表面のビッカース硬度を400以上にしたな
ら、ハウジング2はSUS440Cを熱処理し、表面の
ビッカース硬度を650以上にしたものを用いる。ま
た、移動体3の表面のシュウ酸アルマイト処理を表面の
ビッカース硬度を650以上にした場合には、ハウジン
グ2はSUS440Cを熱処理し、表面のビッカース硬
度を800以上にしたものを用いる。また、ハウジング
2にSUS303等の軟らかめのステンレスを用いた場
合は、ハウジング2の内面に無電解ニッケルめっきやチ
タンコートを施して硬度を前記シュウ酸アルマイト処理
面の硬度より高くする。
【0017】また、アーム部10aは、慣性体6の端面
に取り付けられていてもよい。すなわち、図1(a)で
いうならば、移動体3と慣性体6の位置を逆にし、慣性
体6の端面にアーム部10aを取り付けるか、さらに、
慣性体6をなくし、アーム部10aを圧電素子4に直接
取り付ける。この場合、レンズ枠10が慣性体となる。
こうすることで、移動体3の質量を極力軽くし、慣性体
6の質量を極力大きくすることができ、アクチュエータ
1の性能を上げることができる(慣性力による影響を大
きくできるので、力やスピードを上げることができ
る)。
【0018】また、移動体3の表面処理は、シュウ酸ア
ルマイトだけでなく、硬質アルマイト、クロムめっき
(又は工業用クロムめっき)、無電解ニッケル−リンめ
っき、酸化クロム、酸化チタン等のセラミック溶射にす
る等、他の表面硬質化処理でもよい。
【0019】次に、アクチュエータ1の移動体3が移動
する原理を図2および図3を参照して概念的に説明す
る。図2に示すように、質量の大きな移動体をM、質量
の小さな慣性体をm、移動体Mと慣性体mを連結する積
層型圧電素子をPとして移動体MがベースBの上に乗っ
ているとする。そこで、圧電素子Pに図3(a)又は図
3(b)に示すような波形の駆動電圧を印加することに
より、その走行アクチュエータの全体が図2(a)又は
図2(b)でそれぞれ示すような前進と後退の動作を行
う。
【0020】まず、前進(左方)移動するときの動作に
ついて図2(a)を参照して説明する。動作スタート前
において移動体MはベースB上におかれて静止摩擦力で
その位置に保持され、また、圧電素子Pは縮んだ状態に
ある。このため、慣性体mは前方の移動体Mの方へ引き
寄せられて待機している。
【0021】この状態から圧電素子Pに高圧の駆動電圧
を瞬時に印加して圧電素子Pを急激に伸ばすと、移動体
Mと慣性体mが互いに逆方向へ同時に移動する(急速変
形動作)。このとき、移動体Mは動摩擦力を受けながら
前方へ距離△m1 移動する。
【0022】続いて、圧電素子Pに対する印加電圧を比
較的ゆっくりと低減させて圧電素子Pを縮めて移動体M
側へ慣性体mを一定の加速度で引き戻す。このとき、移
動体MがベースBとの静止摩擦力で保持されて静止する
ように、その加速度による慣性力が移動体MとベースB
との静摩擦力よりも小さくなるような印加電圧に調整し
ておく。
【0023】圧電素子Pが充分に縮んだところで、通電
を急に止めて慣性体mの動きを急に止める。つまり、引
き戻し動作を急に停止させる(急速停止)。すると、慣
性体mが移動体Mに衝突する作用となり、これによっ
て、この走行アクチュエータの全体が、前記静止摩擦力
に打ち勝って前進を始め、運動エネルギを移動体Mの動
摩擦力によって失われるまで移動して停止する。この動
作によって移動体Mは前方へ距離△m2 移動する。した
がって、走行アクチュエータは、この1サイクルの動作
で(△m1 +△m2 )の距離を前進微動することができ
る。そして、この微動前進を繰り返すことによりその回
数に応じて大きく前進させることができるのである。
【0024】一方、後退、つまり、右方向へ移動すると
きには、前記動作パターンの逆動作を行わせる。すなわ
ち、圧電素子Pに対して高電圧の印加をゆっくり行って
おく。図2(b)で示すように動作スタート前において
移動体MはベースB上におかれて摩擦力でその位置に保
持され、圧電素子Pは伸びた状態にある。このため、慣
性体mは前方の移動体Mから最大に離れている。
【0025】この状態から圧電素子Pに対する高電圧の
印加を瞬時に消去し、圧電素子Pを急激に縮少すると、
移動体Mの摩擦力に比べて慣性体mの慣性力が相対的に
大きくなり、移動体Mと慣性体mが互いに近付く向きで
逆方向へ同時に移動する(急速変形)。このとき、移動
体Mは後方へ距離△m1 へ移動する。
【0026】ついで、圧電素子Pに対する印加電圧を次
第に増加させて圧電素子Pを伸ばして移動体M側から慣
性体mを一定の加速度で後退させる。このとき、移動体
MはベースBとの摩擦力で保持されて静止するようにそ
の加速度による慣性力がその静止摩擦力より小さくなる
ようにしておく。
【0027】圧電素子Pが充分に伸びたところで、慣性
体mの動きを急に止める。これによって、大きな慣性力
が生じて走行アクチュエータ全体が、前記静止摩擦力に
打ち勝って後退を始め、その走行アクチュエータ全体の
運動エネルギが移動体Mの動摩擦力によって失われるま
で移動して停止する。この動作によって、後方へ距離△
2 移動する。
【0028】したがって、走行アクチュエータはこの1
サイクル動作で(△m1 +△m2 )の距離を後退させる
ことができる。そして、この微動後退を繰り返すことに
より大きく後退させることができる。
【0029】なお、2回の電圧出力でこれを単一のサイ
クルとしての移動運動を行わせ、電圧を引き下げた直後
にすぐ立ち上げれば、急速変形時に発生したエネルギを
次の急速変形時の運動に加味してより大きな運動量を得
ることができる。
【0030】以上のような原理によって、この急速変形
圧電アクチュエータ1は移動体3がハウジング2内を軸
方向に摺動することができる。移動体3が前後に移動す
れば、移動体3に接続されたアーム部10aもスライド
孔37に沿って前後に移動する。このため、アーム部1
0aに連なるレンズ枠10が対物光学系12の光軸方向
に沿って前進または後退することができる。
【0031】なお、合焦レンズ36を保持したレンズ枠
10の前進または後退の選択は操作部22の電子観察用
操作スイッチ43を操作して行う。そして、観察対象物
との距離に応じて対物光学系12の合焦を行うことがで
きる。
【0032】以上説明したように、本実施例の急速変形
圧電アクチュエータ1は、移動体3が第1の接触部7に
よってハウジング2の内壁に適当な摩擦力で圧接してお
り、しかも、第1の接触部7は、スリット9によって充
分な弾力を有するとともに、ハウジング2の内径よりも
大きくなるようなはめあい公差による外径寸法を有して
いるため、弾性的な付勢力によってハウジング2の内壁
に圧接した状態にある。したがって、ハウジング2の内
径や移動体3の第1の接触部7の外径にわずかな寸法公
差のばらつきがあっても、こうしたばらつきはスリット
9に伴う梁部3aの弾性によって吸収できるため、ハウ
ジング2と第1の接触部7との間の摩擦力が大きく異な
ることはなく、レンズ枠10を移動する機構の性能のば
らつきが小さくなる。
【0033】また、第2の接触部8はハウジング2の内
径に対してゆるめのはめあいになっているため、慣性体
6を軸方向に長く移動体3より重くしたとしても、移動
体3、圧電素子4、慣性体6のそれぞれがハウジング2
の軸に対して傾くことはほとんどない。
【0034】さらに、前記構成によれば、合焦レンズ3
6を保持したレンズ枠10を移動するアクチュエータ1
を内視鏡の先端構成部32内にコンパクトに組み込むこ
とができる。また、レンズ枠10を動作させるための例
えば操作ワイヤを設ける代わりに挿入部21にリード線
5を通すだけでよいため、挿入部21の細径化を図るこ
ともできる。
【0035】また、前記構成においては、移動体3の第
1の接触部7の表面がシュウ酸アルマイト処理により、
硬度が高くなり、耐摩耗性に優れている。さらに、第1
の接触部7と接するハウジング2の表面は、第1の接触
部7の表面よりも、さらに硬度の高いものとなっている
ので、耐摩耗性がより優れたものとなっている。圧接さ
れているそれぞれの表面は耐摩耗性に優れている。
【0036】仮に、アクチュエータ1を多数回移動させ
てるうちに摩耗することがあっても、移動体3側の表面
の硬度の低いシュウ酸アルマイト処理部分が微量ずつけ
ずられるに過ぎない。移動体3側におけるシュウ酸アル
マイト処理部分が削れる限りにおいては、削れる前と後
とではその表面状態は変化しないので、摩擦力の変化も
ほとんどなく、アクチュエータ1の性能もほとんど変化
しない。
【0037】なお、ハウジング2側のステンレス材料等
が摩耗してしまうと、その表面状態が変化して移動体3
との摩擦力も変化し、アクチュエータ1の性能が低下し
てしまうが、この実施例では第1の接触部7と接するハ
ウジング2の表面は、第1の接触部7の表面よりもさら
に硬度の高いものとなっているので、その摩耗によるア
クチュエータ1の性能の低下の虞がない。
【0038】図4は本発明の第2の実施例を示すもので
ある。この急速変形圧電アクチュエータ60は、圧接力
付与手段としてのばね59とこのばね59の両端に取り
付けられた圧接部材57,58とが移動体3の内部に配
設された構成となっている。移動体56がハウジング2
内に配置された場合、ばね59は圧接部材57,58に
よって自然長よりも圧縮された状態にある。したがっ
て、そのばね59の弾性付勢力によって圧接部材57,
58は適度な弾性力でハウジング2の内壁に圧接する。
なお、圧接部材57,58以外はハウジング2の内壁に
接しないようになっている。また、ばね59は同じばね
効果を持つものであれば、螺旋状部材でなくてもゴム等
の樹脂材料であってもよい。それ以外の構成は第1の実
施例と同様である。
【0039】また、前記圧接部材57,58はアルミニ
ウムから成り、ハウジング2と接するその表面部分には
前述したような硬化処理、例えばシュウ酸アルマイト処
理がなされている。なお、圧接部材57,58の全体を
硬化処理してもよい。さらに、圧接部材57,58が接
するハウジング2の内表面の硬度は、その圧接部材5
7,58の表面より高くなっている。
【0040】前記構成では、移動体56に弾力を有する
圧接部材57,58を設けたことで、ハウジング2内に
移動体56を容易に挿入することができ、かつ、圧接部
材57,58がハウジング2内に対して適度に圧接する
ことができる。つまり、移動体56は圧接部材57,5
8がばね59の付勢力によってハウジング2の内壁に圧
接した状態にあるため、ハウジング2の内径や圧接部材
57,58の外径にわずかな寸法公差のばらつきがあっ
ても、こうしたばらつきは、ばね59の弾性によって吸
収できる。
【0041】このため、ハウジング2と圧接部材57,
58との間の摩擦力が大きく異なることなく、レンズ枠
10の移動機構の性能のばらつきが小さくなる。むろ
ん、移動体56がハウジング2内を繰り返し移動して圧
接部材57,58の表面が多少すり減っても、ばね59
の付勢力により、圧接部材57,58とハウジング2と
の圧接力はあまり変わらない。なお、レンズ枠を移動さ
せることにより合焦だけでなくズーミング(ズームレン
ズの移動)を行ってもよい。
【0042】また、仮に、圧接部材57,58の表面が
多少すり減っても、シュウ酸アルマイト層が多少薄くな
るだけで、表面の状態(性質)は変化しないので、アク
チュエータの性能に及ぼす影響はほとんどない。
【0043】さらに、本実施例においては、上述の圧接
部材57,58のすり減りに対してメンテナンスを行う
場合、移動体56の全体ではなく、圧接部材57,58
だけを取り替えればよく、メンテナンスコストを安くで
きる。
【0044】図5は本発明の第3の実施例を示すもので
ある。この実施例の急速変形圧電アクチュエータ61は
前述した第1の実施例の構成における通電手段を変更す
るようにしたものである。すなわち、図5(a)で示す
ようにハウジング62の内壁において、前記移動体3と
接しない部分には、一対の電極63,63が埋め込みま
たは貼り付けて固定されている。この固定式の電極6
3,63は、図5(b)で示すようにハウジング62の
内壁の上下に対向して配設されている。また、各電極6
3,63には、それぞれリード線64が接続され、各リ
ード線64はハウジング62の外へ導出している。
【0045】また、圧電素子4の電極部には、導電性の
弾性ワイヤ65,65が取り付けてあり、この弾性ワイ
ヤ65,65は、ハウジング62に設けられた対応する
電極63,63に接するように付勢されている。つま
り、電極63,63と弾性ワイヤ65,65とにより圧
電素子4をリード線64に接続するブラシとして機能す
る。それ以外の構成における材質、表面処理等は第1の
実施例と同様である。
【0046】このアクチュエータ1の動作、耐摩耗特性
等は前述した第1の実施例のものと同様である。本実施
例で、圧電素子4への通電は、リード線64からハウジ
ング62に設けられた電極63と、それと接している弾
性ワイヤ65を介して通電されることによってなされる
ため、移動体3が前後に移動しても、リード線64は移
動しない。また、弾性ワイヤ65は移動体3の移動に伴
って電極63上をすべるが、付勢力によって常に接触が
保たれる。
【0047】しかして、この通電手段によれば、リード
線64が移動しなくてすむので、リード線64、および
リード線64と圧電素子4の接続部にかかる機械的負荷
が減り、アクチュエータの耐久性が向上する。
【0048】図6は本発明の第4の実施例を示すもので
ある。この実施例の急速変形圧電アクチュエータ61は
前述した第1の実施例の構成における通電手段を変更す
るようにしたものである。すなわち、これでは、移動体
3が絶縁材料から成る1つの絶縁部73と導電材料から
成る2つの導電部74,74とに分かれており、絶縁部
73が内側で、2つの導電部74,74が外側に位置し
て上下に配置され、それらの一端部同士が互いに連結し
た片持ち梁構造になっている。また、圧電素子4の両電
極は半田等の導電部材75,75を介して対応する導電
部74,74に対して電気的に接続されている。
【0049】さらに、ハウジング72の内壁において上
下部分には、それぞれ軸方向に沿って形成される導体パ
ターン76,76が設けられている。この各導体パター
ン76,76には、ハウジング72の外へ導出するリー
ド線77が接続されている。その他の構成は前述した第
1の実施例と同様であり、その基本的な動作もその第1
の実施例と同様である。
【0050】本実施例では、圧電素子4の駆動電圧の印
加は、リード線77より導体パターン76と移動体3の
導電部74と導電部材75を介して通電されることによ
ってなされる。導電部74は付勢力によってハウジング
72の導体パターン76に圧接され、移動体3が移動し
ても、常に接触が保たれている。
【0051】図7は本発明の第5の実施例の構成を示す
ものである。これは内視鏡チャンネルに挿入され、生体
内組織を把持する処置具80に適用したものである。す
なわち、処置具80のシース81の先端部内には、例え
ば比較的質量が極力軽い材料からなる移動体82を摺動
自在に設け、その移動体82はシース81内面に摩擦力
によって保持されている。この移動体82とこれを摺接
するシース81とは、前述した各実施例で示したような
硬度を高める処理を適宜施して耐久性を向上させる。
【0052】移動体82の先端には、連結部材83を介
して、把持部84を構成する一対の把持椀84a,84
bが取り付けられている。把持椀84a,84bはピン
85によって連結部材83に回転可能に固定されてい
る。さらに、ピン85の内部には、図示しない回転トル
クばね等が設けられ、自然状態では把持椀84a,84
bが開いた状態となるように付勢している。
【0053】また、移動体82の後端には、電圧印加に
よってシース81の軸方向に伸縮可能な圧電素子86の
先端が連結固定され、圧電素子86の他端には慣性体8
7が連結固定されている。慣性体87はシース81の内
壁と僅かな隙間を形成して、接触しないように取り付け
られている。また、圧電素子86もシース81の内壁と
隙間を形成する太さとなっている。圧電素子86の電極
部にはリード線88が取り付けられ、リード線88はシ
ース81内を通じて内視鏡の外に設けられた制御装置8
9に接続される。
【0054】また、移動体82と慣性体87の間には、
シース81の内壁から圧電素子86に接しない範囲で突
出した突起90が設けられている。さらに、移動体82
と慣性体87の互いに向かい合う各端面91a,91b
は、ほぼ同方向にシース81の軸に対して斜めで互いに
平行なスパイラル状にカットされている。そして、この
各端面91a,91bには移動体82の移動に伴って前
記突起90が衝止するようになっている。
【0055】この場合、前記移動体82がシース81に
対して移動する原理は前述した第1の実施例の場合と同
様である。そこで、ここでは本実施例特有の作用を中心
に図7(a)〜(c)を用いて説明する。図7(a)は
処置具80の把持椀84a,84bが開いた状態であ
る。この状態から圧電素子86を駆動させ、移動体82
を後方へ移動させるとすると、シース81の先端開口の
エッジに把持椀84a,84bの周囲の一部に当たり、
その各把持椀84a,84bが次第に閉じることにな
る。把持部84の把持椀84a,84bが、図7(b)
で示すように完全に閉じると、把持椀84a,84bは
シース81内に収まる状態になる。ここで、図7(a)
から図7(b)に移る間、移動体82は軸方向に移動す
るが、軸まわりには、ほとんど回転しない。
【0056】また、図7(b)の状態では移動体82の
後方の端面91aの一部が突起90とほぼ接した状態で
止まっているが、さらに、圧電素子86を駆動させて移
動体82を後方に移動させると、突起90と接する移動
体82の端面91aがシース81の軸に対して斜めにカ
ットされているため、この両者間にカム作用が働き、図
7(c)で示す状態まで、移動体82は軸まわりに回転
する。この図7(c)の状態は、図7(b)より約90
゜回転して止まっている状態である。図(b)の状態か
らも、図(c)の状態からも、移動体82を前方に移動
させれば、把持椀84a,84bを開くことができる
が、図7(b)と図7(c)とでは、把持椀84a,8
4bの向いている方向が90゜程度異なっている。
【0057】また、図7(c)の状態から移動体82を
前方に移動させ、把持椀84a,84bを開き、突起9
0が慣性体87に当たったところで、さらに、移動体8
2を前方に移動させれば、慣性体87の端面91bのカ
ム作用で図7(a)と同じ状態に戻すことができる。こ
れによれば、処置具の処置作用時(把持部材の開閉時)
は処置作用部を回転させることなく、処置作用を行う前
後で処置作用部を回転制御することができる。
【0058】なお、前述した第1の実施例等において
は、移動体3の方を表面硬化処理や硬質の材質を用いて
硬化し、ハウジング2の内面は硬質な材質や硬化処理に
より、移動体3の方より硬質なものとしたが、これらの
対策を移動体3とハウジング2を逆にしてもよいもので
ある。また、本発明の急速変形圧電アクチュエータは内
視鏡や処置具の他の各種可動部分にも適用することが可
能である。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、移
動体に例えばアルミニウムのような軽量のものを用いな
がらも、耐摩耗性が高く、しかも、仮に、摩耗が生じて
もアクチュエータの性能がほとんど変化しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施例の急速変形圧電
アクチュエータの部分の断面図、(b)は(a)中A−
A線に沿う断面図、(c)は前記急速変形圧電アクチュ
エータを使用した内視鏡の断面図。
【図2】前記急速変形圧電アクチュエータの動作原理を
示す説明図。
【図3】前記急速変形圧電アクチュエータを駆動する電
圧の波形を示す図。
【図4】(a)は本発明の第2の実施例の急速変形圧電
アクチュエータの部分の断面図、(b)は(a)中B−
B線に沿う断面図。
【図5】(a)は本発明の第3の実施例の急速変形圧電
アクチュエータの部分の断面図、(b)は(a)中C−
C線に沿う断面図。
【図6】(a)は本発明の第4の実施例の急速変形圧電
アクチュエータの部分の断面図、(b)は(a)中D−
D線に沿う断面図。
【図7】本発明の第5の実施例の処置具を示す説明図。
【符号の説明】
1…急速変形圧電アクチュエータ、2…ハウジング、3
…移動体、4…圧電素子、6…慣性体。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハウジング内に嵌合状態で摩擦力により保
    持された移動可能な移動体に印加電圧によって軸方向に
    伸縮可能な圧電素子を介して慣性体を固定してなり、前
    記圧電素子が軸方向に急速に変形したときの前記慣性体
    の慣性力と、前記移動体が前記ハウジングの内面から受
    ける摩擦力との差を利用して、前記移動体を軸方向に移
    動する急速変形圧電アクチュエータにおいて、前記移動
    体の少なくとも前記ハウジングに接して摩擦力を受ける
    部分の表面と、前記ハウジング内面の少なくとも前記移
    動体に接してその間の摩擦力によりその移動体を保持す
    る部分の表面との一方の表面を硬質化し、他方の表面の
    硬度を前記一方の表面の硬度より高い硬度にしたことを
    特徴とする急速変形圧電アクチュエータ。
JP4342173A 1992-12-22 1992-12-22 急速変形圧電アクチュエータ Pending JPH06186485A (ja)

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