JPH06184712A - 高強度アルミニウム合金の製造方法 - Google Patents

高強度アルミニウム合金の製造方法

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JPH06184712A
JPH06184712A JP4357081A JP35708192A JPH06184712A JP H06184712 A JPH06184712 A JP H06184712A JP 4357081 A JP4357081 A JP 4357081A JP 35708192 A JP35708192 A JP 35708192A JP H06184712 A JPH06184712 A JP H06184712A
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amorphous
alloy
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aluminum alloy
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Kazuaki Sato
和明 佐藤
Yukio Okochi
幸男 大河内
Tetsuya Suganuma
徹哉 菅沼
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 急冷凝固アルミニウム合金粉末から延性およ
び強度に優れたアルミニウム合金押出材を製造する方
法。 【構成】 一般式、Ala Lnb c (ただし、Lnは
希土類元素、Mは遷移金属元素の1種または2種以上
で、a、b、cは原子%で、50≦a≦97.5、0.
5≦b≦30、0.5≦c≦30、)で表される組成を
有し、微細結晶相を、5〜50体積%のアモルファス相
が取り囲むセル状の複相組織を有する急冷凝固したアル
ミニウム合金を用いたので、添加元素の固溶効果の少な
い結晶相が多くなり、粉末を固化した後にもマトリック
ス相に過剰な固溶強化がなく、また、原料として微細結
晶相をアモルファス相が取り囲む複合組織のものを用い
たので、固化の際に析出する金属間化合物の粒径は使用
した粉末のアモルファス相の厚さにほぼ対応してアモル
ファス相から微細金属間化合物が均一に分散し、高強度
のアルミニウム合金を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粉末もしくはリボン形状
の非晶質急冷凝固アルミニウム合金から高強度のバルク
材を得ることのできる高強度アルミニウム合金の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】アモルファス合金、すなわち非晶質合金
は、物質を構成する原子の配列が結晶様の長周期規則性
を持たないものと定義され、一般に融液の急冷、電着、
蒸着、スパッタリングなどの製法により作製される。こ
の非晶質合金は、対応する結晶質合金と比較して、材料
特性の上で種々の優れた特性を持っていることは良く知
られている。
【0003】Al基合金においても、非晶質合金が得ら
れることは従来から良く知られており、金属−金属系非
結質合金としては、Al−Ln2元合金(Ln=Y、L
a、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb)、あるいはAl−Ln−
TM3元合金(TM=V、Nb、Mo、Mn、Fe、C
o、Ni)などがある。
【0004】Al−Ln2元合金の硬さ(Hv)と引張
強さ(σf)とは、Ln量の増加に伴い増大し、2元非
晶質合金でのHvとσfの最高値は250および875
MPaである。さらに高い機械的強度がAl−Ln−T
M3元非晶質合金において得られており、Al−Ln−
Ni系においてσfとHvの最高値はそれぞれ1140
MPa、340であって、これらの値はAl基結晶質合
金の最高値(550MPa、180)を大きく上回って
おり、Al基非晶質合金が優れた機械的性質を有するこ
とがわかる。
【0005】また、特開平1−275732号公報にお
いては、一般式:Alabc (但し、M:V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Ti、M
o、W、Ca、Li、Mg、Si、Nbから選ばれる1
種もしくは2種以上の金属元素、X:Y、La、Ce、
Sm、Nd、Hf、Ta、Mm(ミッシュメタル)から
選ばれる1種もしくは2種以上の金属元素、a、b、c
は原子パーセントで、a:50〜95at%、b:0.
5〜35at%、c:0.5〜25at%)からなる3
元合金を急冷凝固することにより、引張強度87〜10
3kg/mm2、降伏強度82〜96kg/mm2の非晶
質または非晶質と微細結晶質の複合体が得られている。
【0006】Al−Ln−Ni3元系の非晶質合金にお
いて、優れた機械的強度が得られることは前記の通りで
あるが、さらにAl88Ni102合金を基本組成とし、
Niの一部をMn、Fe、Co、Zr等で置換する4元
合金についての研究がなされ、Al88Ni52Fe5
金において1400MPa、Al88Ni82Mn2合金
において1470MPaの高い引張強さが得られている
(日本学術振興会アモルファス材料第147委員会第3
0回研究資料)。
【0007】このように、Al−希土類−遷移金属系合
金は液体急冷凝固により、アモルファスに代表される非
平衡状態となり、従来材の2〜3倍の強度と180°密
着曲げの可能な延性を示す。しかし、これら急冷材はい
ずれも粉末またはリボン形状として得られるため、部品
の材料として用いる場合にはバルク化が必要である。
【0008】そのため、これら非晶質合金のバルク化の
試みが従来からなされており、例えば特開昭61−25
0123号公報の圧縮体物品の発明においては、少なく
とも50%、好ましくは100%非晶質合金粒子を非晶
質の状態で圧縮結合させ、次いでこの非晶質物品を熱処
理して、きわめて微細な結晶粒子組織の圧縮体物品を得
ている。また、特開平3−202431号公報の焼結部
材の製造方法の発明においては、準安定相である非晶質
組織の高硬度軽合金粉末を用いて圧粉体を成形し、熱間
塑性加工を施すことによって、安定相である結晶組織の
焼結部材を得ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記い
ずれの急冷凝固粉末の固化方法においても、アモルファ
ス合金が結晶化温度近傍の吸熱温度域で急激に軟化する
特性を利用するものであるため、結晶化、化合物の析
出、組織の粗大化等により、急冷の効果を失ってしま
い、アモルファス合金の持つ本来の特性が引き出せない
という問題点がある。
【0010】さらに、アモルファス粉末は、溶質元素が
過剰に固溶している状態に相当し、それを原料として用
いると、得られた微細結晶質のバルク材も、やはり溶質
元素が過剰に固溶して固溶強化されており、延性がせい
ぜい4%位までで、脆くなって所望の強度が確保できな
いという問題点もある。
【0011】本発明はAl−希土類−遷移金属系の非晶
質合金粉末またはリボン等をバルク化する際の前記のご
とき問題点を解決するためになされたものであって、延
性に優れ引張強さの強い合金の得られる高強度アルミニ
ウム合金の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者等は非晶質合金粉
末を100%用いてバルク化すると、固溶強化により延
性が低下することに鑑み、微細結晶相との混合相を用い
ることを着想し、その配合割合と強度および延性との関
連について研究を重ねた。その結果、アモルファス相を
5〜50%混合することにより、優れた強度と延性が得
られることを知見した。
【0013】また、粉末の組織とバルク化後の組織との
関連について研究を進めたところ、バルク化後に析出す
る金属間化合物がアモルファス相の厚さにほぼ対応する
ことを新たに知見し、微細結晶相を、5〜50体積%の
アモルファス相が取り囲むセル状の複相組織とすること
により微細な金属間化合物を均一に分散させることに成
功して本発明を完成した。
【0014】本発明の高強度アルミニウム合金の製造方
法は、一般式、Ala Lnb c ただし、式中のLn:Mm(ミッシュメタル)、Y、L
a、Ce、Sm、Nd、Hf、Nb、Taから選ばれる
1種以上の金属元素、 M:V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、
Ti、Mo、W、Ca、Li、Mg、Siから選ばれる
1種以上の金属元素、 a、b、cは原子%で、50≦a≦97.5、0.5≦
b≦30、0.5≦c≦30、で表される組成を有し、
微細結晶相を、5〜50体積%のアモルファス相が取り
囲むセル状の複相組織を有する急冷凝固したアルミニウ
ム合金に、アモルファスの結晶化温度以上の温度で塑性
加工を施し、微細結晶マトリックス中に前記Al、L
n、Mのうち2種以上からなる金属間化合物が分散した
組織を得ることを要旨とする。
【0015】Mmはミッシュメタルを表し、ミッシュメ
タルとは主要元素がLa、Ceであり、そのほかに上記
La、Ceを除く希土類(ランタノイド系列)元素およ
び不可避不純物(Si、Mg、Fe、Ag等)を含有す
る複合体の通称であり、成分はCe45〜54wt%、
La23〜32wt%、Nd13〜19wt%、Pr3
〜8wt%、Fe1%未満、その他1wt%未満であ
る。
【0016】本発明の高強度アルミニウム合金におい
て、微細結晶相を、5〜50体積%のアモルファス相が
取り囲むセル状の複相組織を有する急冷凝固したアルミ
ニウム合金を得るには、前記組成を有する合金の溶湯を
液体急冷凝固法で急冷凝固することにより得られる。液
体急冷凝固法は溶融した金属・合金を急速に冷却して過
冷させ、その構造を凍結させて非晶質を得る方法であっ
て、数100mg程度の薄片を得るガン法、ピストン・
アンビル法、あるいは薄帯を連続的に得ることができる
遠心法、単ロール法、双ロール法、粉体が得られるスプ
レー法、高圧溶湯の噴霧法、細線として得られる回転液
中紡糸法などがある。
【0017】本発明には、単ロール法、双ロール法また
は高圧溶湯噴霧法が特に有効である。これらの方法では
104〜106℃/秒程度の冷却速度が得られる。この単
ロール法、双ロール法により薄帯を製造するには、ノズ
ル孔を通して約300〜10000rpmの範囲の一定
速度で回転している直径30〜300mmの銅あるいは
鋼製のロールに溶湯を噴出する。これにより幅が約1〜
300mm厚さが約5〜500μmの非晶質薄片を製造
することができる。
【0018】高圧溶湯噴霧法により非晶質粉末を得るに
は、滴下させた溶湯に40〜100kgf/cm2の高
圧の窒素あるいはアルゴンガスやヘリウムガスなどを吹
き付けて、溶湯を急冷させることにより得られる。
【0019】回転液中紡糸法により、非晶質細線を得る
には、約50〜500rpmで回転するドラム内に遠心
力により保持された深さ1〜10cmの冷却液層を形成
し、この回転する冷却液層中に、ノズル孔を通じ、アル
ゴン背圧にて、溶湯を噴出することにより得られる。な
お、非晶質相あるいは微細結晶相を得るには、液体急冷
凝固法の他に、真空蒸着法、スパッタ法あるいは気相化
学反応法(CVD法)などを用いることができる。
【0020】液体急冷凝固法等によって得られたアルミ
ニウム合金が、非晶質と微細結晶質の混相であるかまた
は微細結晶質であるかどうかは、通常のX線回折法によ
って知ることができる。すなわち、非晶質の存在は、非
晶質組織特有のハローパターンを示し、非晶質と微細結
晶質の複合体である場合は、ハローパターンと微細結晶
質に起因する回折ピークの合成された回折パターンが示
される。
【0021】また、非晶質合金は示差走査熱量計(DS
C)において、結晶化温度(TX)以上の温度で発熱と
して検出される。また、得られた合金粉末が本発明の特
許請求の範囲に規定する複合組織を有するか否かは、X
線回折およびTEM写真により確認することができる。
すなわち、請求範囲に示す組織を有する粒径範囲を決定
し、ふるいによる分級が行われる。
【0022】粉末を固化するための塑性加工は、圧粉体
を成形後直接押し出すか、あるいは粉末をアルミニウ
ム、銅等の缶に詰め脱ガスを行いながらビレットを作製
し間接押出機で押し出して固化材を作製する。押出比
(面積比)は少なくとも5以上とすることが好ましい。
【0023】
【作用】本発明で用いられる急冷凝固したアルミニウム
合金粉末は、添加元素の固溶量の多いアモルファス相の
量を5〜50体積%に規制したので、添加元素の固溶効
果の少ない結晶相が多くなり、粉末を固化した後にもマ
トリックス相に過剰な固溶強化がなく、高強度で延性の
優れたアルミニウム合金固化物が得られる。
【0024】また、原料として微細結晶相をアモルファ
ス相が取り囲む複合組織のものを用いたので、固化の際
に析出する金属間化合物の粒径は使用した粉末のアモル
ファス相の厚さにほぼ対応しており、固化の際の塑性加
工によるセル組織の分断により、アモルファス相から微
細金属間化合物が均一に分散し、組織の微細化による強
化、金属間化合物の分散強化に加えて、適度の固溶強化
を得ることができるので、高強度となる。
【0025】前記一般式で示される本発明のアルミニウ
ム合金において、原子%でaを50〜97.5%の範囲
に、bおよびcを0.5〜30%の範囲にそれぞれ限定
したのは、その範囲から外れると非晶質化しにくくなっ
たり、固溶限を越えた過飽和固溶体を形成しにくくなる
ために、前記液体急冷を利用した工業的な急冷手段では
本発明の目的とする5〜50体積%のアモルファス相が
取り囲むセル状の複相組織を有する急冷凝固したアルミ
ニウム合金を得ることができなくなるからである。
【0026】Ln元素はMm(ミッシュメタル)、Y、
La、Ce、Sm、Nd、Hf、Nb、Taから選ばれ
る1種以上の金属元素であり、特に非晶質形成能を向上
させると共に、非晶質相の結晶化温度を上昇させる効果
を分担する。これにより耐食性を著しく改善させると共
に、非晶質相を高温まで安定に存在させることができ
る。また、微細結晶質合金を製造する条件下にあって
は、M元素と共存して、微細結晶相を安定化させる効果
を持つ。
【0027】M元素はV、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Zr、Ti、Mo、W、Ca、Li、Mg、
Siから選ばれる1種以上金属元素であり、Ln元素と
共存して非晶質形成能を向上させる効果および非晶質の
結晶化温度を上昇させる効果も示すが、ここでは非晶質
相の強度を著しく向上させる効果が重要である。一方、
微細結晶質相を製造する条件下においては、微細結晶相
を安定化させる効果を持ち、アルミニウム元素および他
の添加元素と安定または準安定な金属化合物を形成し、
アルミニウムマトリックス(α相)中に均一微細に分散
させ合金の強度を著しく向上させる。
【0028】本発明で用いる急冷凝固したアルミニウム
合金の体積率を5〜50体積%に限定したのは、5%未
満では結晶質相が多くなり充分な強度が得られないから
であり、50%を越えると延性が急激に低下し、結晶押
出材は脆くなり、強度の低下を招くからである。
【0029】また、本発明においては、固化温度は25
0〜400℃とすることが好ましい。250℃未満の温
度では結晶化が不充分となり、高強度が得られず、40
0℃を越えると組織、特に金属間化合物の粗大化、固溶
硬化の消失を招き、強度が急激に低下するためである。
【0030】
【実施例】本発明の実施例を比較例と対比して説明し、
本発明の効果を明らかにする。表1に示す本発明の組成
範囲にある母合金を高周波溶解により溶製し、高圧ガス
アトマイズ法により急冷凝固粉末を作製した。噴霧には
ヘリウムガスを100kgf/cm2で使用し、ノズル
径はΦ1mmとした。
【0031】この粉末についてX線回折、組織観察を行
って、本発明の特許請求の範囲に示す組織を有する粒径
範囲を決定した。表1においてNo.5を除いて、粒径
25μm以下の全ての粉末で本発明の特許請求の範囲に
示す組織を有する粉末が得られた。
【0032】また、No.5においては、粒径10〜4
5μmの範囲で上記組織を有する粉末が得られた。N
o.5において、粒径10μm以下のものはアモルファ
ス相の体積率が50%以上となり、45μm以上ではA
l結晶相と金属間化合物とからなる組織となった。そこ
で、10μm以下の粉末を用いたものを比較例No.1
とし、45μm以上の粉末を用いたものを比較例No.
2とした。
【0033】
【表1】
【0034】図1は実施例No.4の急冷粉末の粒子構
造を表すTEM像であって、図1(a)は明視野像、図
1(b)は電子回折像、図1(c)は暗視野像である。
EDX分析により、明視野像における白い結晶相はA
l、それを取り囲むようにして存在する黒い部粉はA
l、Mm、Feからなることを確認した。また両相を含
んだ範囲から得られた電子回折にはアモルファス相の存
在を示すハローリングが観察され、このハローリングか
ら得られた暗視野像により、Alを取り囲む相がアモル
ファス相であることが確認された。また、アモルファス
相の存在は示差走査熱量計によっても確認した。
【0035】前記X線回折によって、本発明の特許請求
の範囲に示す組織を有する粒径範囲を決定した後、ふる
いによる分級を行い、粉末の組織を観察したところ、実
施例No.1〜8のアモルファス体積%は5〜50%で
あった。また、比較例No.1は100%Al結晶相で
あり、比較例No.2はAl結晶相に金属間化合物が析
出した組織であった。
【0036】分級した各粉末は圧粉体に形成後、温度3
50℃で押出比12:1で押し出し、真密度押出材を得
て、この押出材の引張強さおよび延性を測定した。な
お、押出材の引張試験には平行部φ5mm×25mmの
試験片を用い、インストロン型の引張試験機により、1
mm/minのクロスヘッドスピードで強度の測定を行
った。得られた結果は表1にまとめて示した。
【0037】表1に示したように、比較例No.1では
使用粉末においてアモルファス相が100%であったの
で、押出材でのAl相の固溶強化の程度が大きく、延性
が1.0%以下であり、それに伴って引張強さも680
MPaであった。また、比較例No.2の粉末はAl結
晶相に金属間化合物が析出した組織であったため、押出
材の延性は4.0%であり比較例No.1と比較して向
上したが、引張強さが570MPaと不充分であった。
【0038】これに対して、本発明の実施例No.1〜
8は、伸びが5.5〜9.0%であって、引張強さも7
60〜890MPaであって、本発明方法により高強度
のアルミニウム合金押出材の得られることが確認され
た。
【0039】図2は実施例No.4の押出材の粒子構造
を表すTEM写真である。図2の写真から明らかなよう
に、0.1〜0.2μmのAl相マトリックスに50n
m以下の微細な金属間化合物が分散している組織である
ことがわかる。EDXの結果から金属間化合物はAl−
CeおよびAl−Feの金属間化合物であることが分か
ったが組成比の同定はできなかった。金属間化合物の粒
径は使用した粉末のアモルファス層の厚さにほぼ対応し
ており、固化の際の塑性加工によるセル組織の分断、ア
モルファス相からの微細金属間化合物の均一分散が生じ
たと思われる。
【0040】比較例No.1およびNo.2でもほぼ同
様の組織が観察されたが、X線回折から求めた格子定数
(Al=0.4047nm)は実施例No.4およびN
o.5では0.4052nm、比較例No.1では0.
4056nm、比較例No.2で0.4050nmであ
った。この結果から、本発明の範囲より、アモルファス
相の体積率が増えると押出材でのAl相の固溶強化の程
度が大きくなり過ぎて硬化し、延性が不足して強度の低
下を招くものと思われる。すなわち、本発明の組織を限
定することにより、組織の微細化による強化、金属間化
合物の分散強化に加えて、適度の固溶強化を得ることが
可能となり、高強度結晶材が得られるものと考えられ
る。
【0041】なお、実施例では希土類金属としてMmを
使用しているが、これはコストが他と比較して安価なた
めに選択したものであって、Ce、La、Yの希土類で
も本発明の限定による高強度結晶材が得られた。また遷
移金属はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zrの1種または2種以上において効果を確認し
た。
【0042】
【発明の効果】本発明の高強度アルミニウム合金の製造
方法は以上詳述したように、一般式、Ala Lnb c
(ただし、Lnは希土類元素、Mは遷移金属元素の1種
または2種以上で、a、b、cは原子%で、50≦a≦
97.5、0.5≦b≦30、0.5≦c≦30、)で
表される組成を有し、微細結晶相を、5〜50体積%の
アモルファス相が取り囲むセル状の複相組織を有する急
冷凝固したアルミニウム合金を用いたので、添加元素の
固溶効果の少ない結晶相が多くなり、粉末を固化した後
にもマトリックス相に過剰な固溶強化がなく、高強度で
延性の優れたアルミニウム合金固化物が得られる。ま
た、原料として微細結晶相をアモルファス相が取り囲む
複合組織のものを用いたので、固化の際に析出する金属
間化合物の粒径は使用した粉末のアモルファス相の厚さ
にほぼ対応してアモルファス相から微細金属間化合物が
均一に分散し、組織の微細化による強化、金属間化合物
の分散強化に加えて、適度の固溶強化を得ることができ
るので、高強度のアルミニウム合金を得ることができ
る。さらに、原料となる合金粉末のアモルファス量が少
なくても良いので、アモルファス形成能の小さい低合金
側の組成のものを用いることを可能とし、またより低冷
却速度で所望の組織の合金粉末を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられた急冷凝固アルミニウム合金
粉末の粒子構造を表すTEM写真である。
【図2】本発明の実施例で得られた押出材の粒子構造を
表すTEM写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 45/08 C22F 1/00 B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式、Ala Lnb c ただし、式中のLn:Mm(ミッシュメタル)、Y、L
    a、Ce、Sm、Nd、Hf、Nb、Taから選ばれる
    1種以上の金属元素、 M:V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、
    Ti、Mo、W、Ca、Li、Mg、Siから選ばれる
    1種以上の金属元素、a、b、cは原子%で、50≦a
    ≦97.5、 0.5≦b≦30、 0.5≦c≦30、 で表される組成を有し、微細結晶相を、5〜50体積%
    のアモルファス相が取り囲むセル状の複相組織を有する
    急冷凝固したアルミニウム合金に、アモルファスの結晶
    化温度以上の温度で塑性加工を施し、微細結晶マトリッ
    クス中に前記Al、Ln、Mのうち2種以上からなる金
    属間化合物が分散した組織を得ることを特徴とする高強
    度アルミニウム合金の製造方法。
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