JPH0617990U - ノック式筆記具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 筆記先端部を突出したまま胸ポケットに差し
ても筆記先端部が軸先端口から収納される安全な筆記具
であって、従来のものがコスト高となる点、品質のばら
つき等が在る点を解決可能すると共に、ノック操作のみ
で筆記先端部が軸先端口から出没可能とする。 【構成】 軸筒１に固着したクリップの玉部１１に係合
段部１３を設け、軸筒内カム筒１６とノック棒２１及び
回転カム部材１９よりなるノック機構部を設けてノック
動作により回転カム部材１９を進退位置に位置決めする
と共に、カム筒１６に係合突起１７を形成して前記係合
段部１３に係脱可能としてやはり進退位置に位置決めし
て、カム筒１６及び回転カム部材１９が共に前進位置に
ある時のみそれと連動するように配設した筆記体３０の
筆記先端部３２が軸先端口２から突出可能とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、筆記先端部を軸先端口から突出した状態でクリップに設けた係止段 部とノック機構部に設けた係合突起を係止させて固定し、その係止を解消するこ とによりコイルばねの弾発力で筆記体を後退させて筆記先端部を軸内部に没入さ せるよう構成したノック式筆記具の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

筆記部を軸先端口から突出させたままの状態で衣服の胸のポケットへ筆記具を 止着してその筆記部のインク等により衣服を汚損してしまわない様に工夫された 筆記具が存在する。その一例として図４及び図５に示すように、クリップ１｀の 先端玉部２｀に係合部３｀を設けると共にその係合部３｀と対向する軸筒４｀の 側面に玉部２｀が没入可能な窓孔５｀を設け、又ノック体６｀の側面にも係合部 ７｀を設け、ノック体６｀を前進させてリフィール８｀の先端筆記部９｀を軸先 端口１０｀から突出させた状態でクリップ１｀の係合部３｀とノック体６｀の係 合部７｀を係止させて固定し、クリップ１｀の後端に設けた押圧板部１１｀を軸 筒方向に押下げることにより逆にクリップ１｀の先端部を持ち上げて、玉部２｀ の係合部３｀とノック体６｀の係合部７｀の係止状態を解消したときにリフィー ル８｀及びノック体６｀がバネ１２｀により後退させられてリフィール８｀の筆 記部９｀が軸内部に没入するよう構成されたものが存在する。即ち、筆記部９｀ が軸先端口１０｀から突出した状態では、クリップ１｀の係合部３｀とノック体 ６｀の係合部７｀を係止させてクリップ１｀の使用を不能とし、よって胸ポケッ ト等への止着を阻止し、又、無理にクリップ１｀を持ち上げてポケット等に止着 しようとするとクリップ１｀の係合部３｀とノック体６｀の係合部７｀の係止状 態が解消することになるのでリフィール８｀がバネ１２｀によって否応無く後退 して筆記部９｀が時期内部に没入するように成して筆記部９｀インク等による衣 服の汚損を防止するものである。又、カム筒（通常は軸筒と一体）とノック棒及 び回転カム部材とから構成されるノック機構を使って筆記先端部を軸先端口から 出没させるようにしたノック式筆記具も知られているが、上記のような衣服を汚 損させない安全機構は有していない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前述した従来例の筆記具では、クリップ１｀の係合部３｀とノック 体６｀の係合部７｀の係止状態を解消する為にクリップ１｀の後端の押圧板部１ １｀を軸筒方向に押し下げることによりクリップ先端玉部２｀を持ち上げるよう 構成されているが、この構造ではクリップ１｀の取付基部１３｀に繰り返し荷重 が作用するので取付基部１３｀がへたり易い問題があり、その為この取付基部１ ３｀を合成樹脂製とすることには強度上の無理があるので例えば金属板等を用い ざるをえなかった。従って、クリップを軸筒と一体成形することは不可能で、材 料費や組立費の為にコストが嵩み、又、軸筒に対して、クリップを組付ける際の 組付具合によって品質上にばらつきが生ずる問題があった。本考案の課題はかか る問題点を解決することが第１の目的である。又、上記実施例では軸先端口から の筆記先端部の出没をノックとクリップの後端を押し下げることで行うが、通常 のカム筒とノック棒及び回転カム部材からなるノック機構部を使用したもののよ うにノックのみで筆記先端部の出没を行うものに対して使い勝手が悪く、遊び性 も乏しい。本考案の課題はその解決を第２の目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

前述した課題を解決する為に案出された本考案のノック式筆記具は、軸筒の後 端基部に固着したクリップの先端に係合段部を形成した玉部を有して、クリップ と対向する軸筒の側面にスリットを形成し、軸筒内には内径部にカム溝を有し外 周部に係合突起を備えたカム筒が、係合突起をスリットに嵌装して進退可能に位 置決めされ、更にカム筒内にはカム溝と迎合するカム部を有したノック棒と回転 カム部材が軸推移自在に嵌装されて、更にノック棒の後端にノック部材が固着さ れ、それとカム筒との間にリターンスプリングが附勢されて、ノック棒の前後退 で回転カム部材が回転しながら進退位置に位置決めされるノック機構部が構成さ れ、筆記体の後端部を回転カム部材の前面に当接した状態で該筆記体をコイルば ねにより後方へ附勢して軸筒内に収納し、筆記体の筆記先端部が突出した状態で クリップ玉部の係合段部にカム筒の係合突起が係止されると共に、回転カム部材 が前進位置に位置決めされ、その状態でクリップの玉部を軸筒面より外方側に持 ち上げた時に係合段部から係合突起が離脱してカム筒が後退し、筆記先端部が軸 筒内に没入するようにしたことである。

【０００５】

【実施例】

図１乃至図３は本考案の実施例を示している。先ず図１に示すように軸筒１は 樹脂製でその側面に後端開口縁から所要距離前方位置まで軸方向のスリット４を 設けると共にスリット４の後端側面部に基部６が突設されている。又、スリット ４の前方には両側壁より適宜斜面９を備えた段部８が形成されている。又、クリ ップ板１４の後端をコの字状に屈曲させた取付け部１５を上記基部６の取付け溝 （図示せず）に挿入して圧着すると共にクリップ板１４の先端を玉部１１にやは り取付け溝（図示せず）を設けて圧着してクリップ１０が構成されている。又、 上記玉部１１の下面には後述するカム筒１６の係合突起１７を嵌入させる溝１２ が形成され、溝１２の後端には係合段部１３が備えられている。

【０００６】 一方、筆記体３０は先端にボールペン等の筆記先端部３２を有した軸体の内部 にインクを充填したインク吸蔵体とそこから筆記先端部３２にインクを誘導する インク誘導芯が配設され、後端には尾栓が固着されている。（図示せず）又、筆 記先端部３２の後方には外面段部３１を有して軸筒１の内孔部７の先方に形成さ れた内面段部３と上記外面段部３１との間にコイルばね３３を附勢して筆記体３ ０は軸筒１の内孔部７に嵌装される。ところで、筆記体３０は本実施例では水性 ボールペンの筆記体としているが、油性ボールペン、サインペン、シャープペン シルとすることも可能である。

【０００７】 又、前記カム筒１６はその内孔部に円周状で複数の溝とリブで構成されその先 端にカム部を備えた通称カム溝が形成され、外周部には軸筒１の後方より設けた スリット４に嵌装する係合突起１７が形成されその先端には段部１８を有してい る。又、カム筒１６内には上記カム溝と迎合するカム部を有したノック棒２１と 回転カム部材１９がカム筒内で軸推移自在に嵌装されて、ノック棒２１の前後退 ごとに回転カム部材１９がカム溝の割り出し角度分づつ回転しながらカム溝の先 端カム部に係合して進退位置に位置決めされる。カム筒１６とノック棒２１及び 回転カム部材１９で構成されるノック機構部はよく知られるカーン式ノック機構 と同等の構成を成すものである。又、ノック棒２１と回転カム部材１９はカム筒 １６に進退位置に位置決めされるよう嵌装され、ノック棒２１の後端には軸筒１ の後端より適宜突出してノック部材２２が止着されると共に、上記カム筒１６の 後端とノック部材２２の前端との間にはリターンスプリング２３が附勢される。

【０００８】 以上により、筆記体３０は軸筒１の内孔部７にコイルばね３３を介装して挿入 され、ノック機構部は軸筒１の後端からカム筒１６の係合突起１７をスリット４ に嵌装して挿入されてスリット４の略中央に位置した斜面９に係合突起１７が当 接し、押圧によりスリットを弾性変形により拡開して係合突起１７が段部８の前 面に係止されて抜け止めされる。又、筆記体３０の後端は回転カム部材１９の前 面に当接する。又、ノック部材２２の後端をノックして前進させると、リターン スプリング２３の附勢力によりカム筒１６が一体となって前進し、カム筒１６の 係合突起１７がクリップ１０の弾性力に抗して玉部１１を外方に押し上げて溝１ ２に嵌入して係合段部１３に係止する。ノック部材２２を更に前進させると、係 合突起１７の段部１８がスリット４最前端の段部５に当接してカム筒１６の前進 が阻止され、ノック棒２１のみが前進して回転カム部材１９が前進位置に位置決 めされた時に筆記体３０の筆記先端部３２が軸筒１の軸先端口２から適宜に突出 状態となる。即ち、上記リターンスプリング２３の附勢力はコイルばね３３より 強く設定されている。

【０００９】

【作用】

上記の実施例に基づき作用を以下に説明する。先ず、図１の状態より、ノック 部材２２の後端をノックしてノック機構部を前進させるとカム筒１６の係合突起 １７がクリップの玉部１１の係合段部１３に係止され、更に前進すると段部８が スリット４先端の段部５に当接してカム筒１６の前進が阻止されると共に、ノッ ク棒２１と共に回転カム部材１９が前進して回転し、前進位置に位置決めされて 筆記体３０の筆記先端部３２が軸先端口２から適宜突出して筆記状態となる。そ の状態は図２に示される。

【００１０】 この状態でノック部材２２のノックを繰り返すとカム筒１６は係合突起１７が 玉部１１の係合段部１３に係止された位置を保持しつつ筆記先端部３２は軸先端 口２から出没を繰り返すことになる。（図３参照）

【００１１】 図２に示す示すように筆記先端部３２が軸先端口２から突出した状態にあって も筆記具を胸ポケット等に止着しようとするとクリップ玉部１１の係合段部１３ とカム筒１６の係合突起１７が係止しているのでクリップの使用が妨げられ胸ポ ケット等への止着が阻止される。又、無理に胸ポケット等へ止着した場合はクリ ップ玉部１１の係合段部１３とカム筒１６の係合突起１７の係止状態が解消した ことになるので否応なく筆記体３０はコイルばね３３の復帰力によって後退し、 筆記先端部３２を軸筒１内に没入させることになる。従って筆記先端部３２を突 出させたままの状態で胸のポケット等へ止着して衣服を汚損するのを未然に防止 する。

【００１２】 尚、筆記先端部３２を再び軸先端口２から突出させる為にはノック部材２２の 後端をノックすればよい。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は以上の通りであり、クリップ玉部の係合段部とカム筒の係合突起の係 止状態を解除する場合は筆記具のクリップを胸ポケット等に差した時のみ玉部が 押し上げられて解除され、従って、クリップ玉部のみが作動してクリップの他の 部位は何ら荷重を受けることがなく、従来例の如くクリップ取付基部がへたるこ ともないので、極端にはクリップを軸筒と共に一体成形することも可能となり、 従ってコスト低減を図ることができ、又、クリップの軸筒に対する取付具合によ る品質状のばらつきの問題も解消できる効果がある。又、ノックのみで筆記先端 部の出没が行えるので、使い勝手がよく、構造が簡単なので安価に提供可能とな る。又更に、筆記先端部を突出させたまま胸のポケット等に止着しても筆記先端 部が軸筒内に没入するのでインクで衣服を汚損したり、筆記体をシャープペンシ ルとした場合には芯が折れたり、体を傷つける等の危険を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例であるノック式筆記具の縦断面
図で筆記体を軸内に収納し、且つカム筒と回転カム部材
が共に後退位置に位置決めされた状態を示している。

【図２】後端をノックして筆記先端部を軸先端口から突
出させた状態を示した縦断面図である。

【図３】図２の状態から後端をノックして筆記先端部を
軸先端口から没入させた状態を示した縦断面図である。

【図４】従来のノック式筆記具で、筆記先端部を軸先端
口から突出させた状態を示した縦半断面図である。

【図５】従来のノック式筆記具で、筆記先端部を軸筒内
に没入させた状態を示した縦断面図である。

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ 軸先端口 ３ 内面段部 ４ スリット ５ 段部 ６ 基部 ７ 内孔部 ８ 段部 ９ 斜面 １０ クリップ １１ 玉部 １２ 溝 １３ 係合段部 １４ クリップ板 １５ 取付け部 １６ カム筒 １７ 係合突起 １８ 段部 １９ 回転カム部材 ２０ カム部 ２１ ノック棒 ２２ ノック部材 ２３ リターンスプリング ３０ 筆記体 ３１ 外面段部 ３２ 筆記先端部 ３３ コイルばね １｀ クリップ ２｀ 玉部 ３｀ 係合部 ４｀ 軸筒 ５｀ 窓孔 ６｀ ノック体 ７｀ 係合部 ８｀ リフィール ９｀ 筆記部 １０｀ 軸先端口 １１｀ 押圧板部 １２｀ バネ １３｀ 取付基部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸筒の後端基部に固着したクリップの先
   端に係合段部を形成した玉部を有して、クリップと対向
   する軸筒の側面にスリットを形成し、軸筒内には内径部
   にカム溝を有し外周部に係合突起を備えたカム筒が、該
   係合突起を前記スリットに嵌装して進退可能に位置決め
   され、更にカム筒内にはカム溝と迎合するカム部を有し
   たノック棒と回転カム部材が軸推移自在に嵌装されて、
   更にノック棒の後端にノック部材が固着され、それとカ
   ム筒との間にリターンスプリングが附勢されて、ノック
   棒の前後退で回転カム部材が回転しながら進退位置に位
   置決めされるノック機構部が構成され、筆記体の後端部
   を前記回転カム部材の前面に当接した状態で、該筆記体
   をコイルばねにより後方へ附勢して軸筒内に収納し、筆
   記体の筆記先端部が突出した状態でクリップ玉部の係合
   段部に前記カム筒の係合突起が係止されると共に、回転
   カム部材が前進位置に位置決めされ、その状態でクリッ
   プの玉部を軸筒面より外方側に持ち上げた時に、係合段
   部から係合突起が離脱してカム筒が後退し、筆記先端部
   が軸筒内に没入するように構成したことを特徴とするノ
   ック式筆記具。