JPH06179107A - キャリパーの内径加工装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 キャリパーの内径加工装置の提供。 【構成】 フィスト型のキャリパー７のシリンダ部７ｂ
の中心軸線を水平方向とし、かつ、爪部７ａを上向きと
して保持するキャリパー保持具６と、該保持具６の昇降
駆動装置８と、該保持具６に保持されたキャリパー７の
シリンダ部７ｂの中心軸線方向に、スライダー４を摺動
案内し、該保持具６を当接支持するベース部材２と、ス
ライダー４の下側に支持される加工ユニット９と、スラ
イダー４を往復駆動する駆動機構５とを備える。 【効果】 刃物とキャリパーのシリンダ部との中心軸線
をキャリパー保持具に昇降移動を与えて合致させること
ができ、加工開始前の段取が極めて簡単な動作によつて
短時間に与えられると共に、加工に際し、キャリパーの
シリンダ部と刃物との間の反力がベース部材によつて支
持され、比較的簡素な構造により高剛性及び高精度とコ
スト低減とが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、フィスト型のキャリパ
ーの内径加工装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】従来、フィスト型のキャリ
パーのシリンダ部の内径加工は、シリンダ部の中心軸線
を水平方向として基盤に固定したキャリパーに対し、工
作機械、例えば中ぐり装置に複雑な移動を与えて刃物を
シリンダ部に挿入して行つている。

【０００３】すなわち、従来のキャリパーの内径加工装
置にあつては、一般に、シリンダ部の加工径である内径
の方が爪部の凹部よりも大きいため、シリンダ部の内径
と適合する大きさの刃先を有する刃物に水平移動のみを
与えてシリンダ部に挿入すると、刃先が爪部と干渉す
る。このため、刃物を水平移動させてシリンダ部と爪部
との間の側方に位置させた後、刃物を回転させて割出し
を与え、シリンダ部の中心軸線と刃物の中心軸線とを一
致させ、或いは、図４に示すように刃物１１１にクラン
ク状の動作を与え、爪部７０ａを迂回させて刃先１１１
ｂをシリンダ部７０ｂと爪部７０ａとの間に挿入し、シ
リンダ部７０ｂの中心軸線と刃物１１１の中心軸線とを
一致させている。このように、キャリパー７０の内径加
工作業の開始前に、刃物１１１に複雑な運動を与えなけ
ればならず、迅速な作業性を確保する上で妨げとなつて
いた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その構成
は、フィスト型のキャリパー７のシリンダ部７ｂの中心
軸線を水平方向とし、かつ、爪部７ａを上向きとして着
脱自在に保持するキャリパー保持具６と、該キャリパー
保持具６のクランプを兼ねた該キャリパー保持具６の昇
降をする昇降駆動装置８と、該キャリパー保持具６に保
持された該キャリパー７のシリンダ部７ｂの中心軸線方
向にスライダー４を摺動案内する案内部２ａを有し、前
記キャリパー保持具６を下面に当接支持するベース部材
２と、回転駆動される刃物１１を該キャリパー７の爪部
７ａ側として、該スライダー４の下側に支持される加工
ユニット９と、該スライダー４を該案内部２ａに沿つて
往復駆動する駆動機構５とを備えることを特徴とするキ
ャリパーの内径加工装置である。そして、ベース部材２
に当接支持されたキャリパー保持具６が位置決めされる
ように、キャリパー保持具６とベース部材２との間に位
置決め機構を介在することができる。

【作用】

【０００５】鋳造後のフィスト型のキャリパーは、前工
程において、シリンダ部の中心軸線を水平方向とし、か
つ、爪部を上向きとして、キャリパー保持具に保持させ
てあり、キャリパーの爪部を加工ユニット側となるよう
にしてこのキャリパー保持具を昇降駆動装置に乗せる。

【０００６】一方、加工ユニットは、駆動機構によりス
ライダーと共にキャリパーのシリンダ部の中心軸線方向
に駆動して、キャリパーの爪部とシリンダ部との間の上
方に刃物の刃先を位置させてある。

【０００７】次に、キャリパー保持具を乗せた昇降駆動
装置を上昇作動させ、キャリパー保持具をベース部材の
下面に当接支持させる。これにより、キャリパー保持具
が昇降駆動装置とベース部材とで挟まれた状態で、強固
に位置決めされる。その際、キャリパー保持具とベース
部材との間に位置決め機構を介在すれば、キャリパー保
持具の位置決めが更に良好になる。キャリパー保持具が
位置決めされた状態で、刃物の胴部は、キャリパーの爪
部間の凹部に非接触かつ回転自在に受け入れられてい
る。

【０００８】この状態からキャリパーのシリンダ部の内
径加工を開始する。すなわち、刃物を回転駆動し、か
つ、駆動機構により刃物に送りを与え、シリンダ部の内
径加工を行う。

【０００９】このようにしてキャリパーのシリンダ部の
内径加工が終了したなら、駆動機構により刃物に後進移
動を与え、かつ、刃物の回転を停止させ、当初位置つま
りキャリパーの爪部とシリンダ部との間に刃先を復帰さ
せる。次いで、昇降駆動装置を下降作動させてキャリパ
ー保持具を下降させる。このキャリパーを保持するキャ
リパー保持具は、次工程に移送する。

【実施例】

【００１０】以下、本発明の実施例について図面を参照
して説明する。図１〜図３は、本発明の１実施例を示
す。図中において符号１は基盤を示し、基盤１上には、
複数本の第１支柱１０を介してベース部材２が水平に配
設されている。ベース部材２は、図１，図２に示すよう
に前後方向に延在する開口部２ｂを有し、また、この開
口部２ｂの両側に、前後方向に延在する案内部である案
内突起２ａ，２ａを対向して有し、この案内突起２ａ，
２ａに両側の係合溝４ａ，４ａを係合させて、スライダ
ー４が前後方向の摺動自在に支持されている。スライダ
ー４は、ベース部材２の後端部に固設した駆動機構であ
るモータ５により、往復駆動される。すなわち、サーボ
モータからなるモータ５と、スライダー４との間に、図
２に示すボールスクリューねじ機構１２による回転運動
を直線運動に変換する機構が介在し、モータ５の正逆方
向の回転駆動により、開口部２ｂの全長に亘つてスライ
ダー４を駆動することができる。これにより、スライダ
ー４は、後記するキャリパー７のシリンダ部７ｂの中心
軸線方向に往復駆動が可能である。

【００１１】一方、ベース部材２の前端部の４箇所に
は、第２支柱１３が固着され、第２支柱１３の下端部に
固着した底部材１３ａの上に保持具送り手段１４が配設
される。保持具送り手段１４は、具体的には底部材１３
ａの両側部に平行に配置したローラ装置１４ａ，１４ａ
によつて構成され、枠部材６ａに乗つたキャリパー保持
具６が、この一対のローラ装置１４ａ，１４ａ上に送り
込まれる。このキャリパー保持具６には、適当な手段に
よつて、フィスト型のキャリパー７が着脱自在に保持さ
れている。

【００１２】また、第２支柱１３の底部材１３ａの下面
には、このキャリパー保持具６を昇降駆動する昇降駆動
装置であるシリンダ装置８が固設される。シリンダ装置
８は、シリンダ本体８ａが底部材１３ａの下面に固着さ
れ、ピストンロッド８ｂが底部材１３ａの中央部に形成
した通孔１３ｂを貫通している。更に、ピストンロッド
８ｂの先端部には、受け部材８ｃが固着されている。し
かして、シリンダ装置８の突出作動により、矩形の枠部
材６ａに乗つて一対のローラ装置１４ａ，１４ａによつ
て送り込まれたキャリパー保持具６が、受け部材８ｃに
乗せられて上昇駆動され、キャリパー保持具６の上端の
一部がベース部材２の下面に当接して、位置決め支持さ
れる。６ｂは、キャリパー保持具６の上端に突設したピ
ンであり、このピン６ｂがベース部材２の下面に固着し
た短筒部材２ｃに嵌合し、キャリパー保持具６が堅固に
位置決めされるようになつている。このピン６ｂと短筒
部材２ｃとで、キャリパー保持具６とベース部材２との
間の凸部と凹部とを有する位置決め機構を構成してい
る。

【００１３】フィスト型のキャリパー７は、図３に示す
ように周知の構造を有し、前腕の一対の爪部７ａと後腕
のシリンダ部７ｂとが鋳造によつて一体に成形され、一
対の爪部７ａの間に凹部７ｃを形成している。このキャ
リパー７は、シリンダ部７ｂの中心軸線を水平方向と
し、かつ、爪部７ａを上向きとしてキャリパー保持具６
に着脱自在に保持され、凹部７ｃが、図３に示すように
上方に開口している。

【００１４】そして、スライダー４の下側に加工ユニッ
ト９を吊り下げ支持する。加工ユニット９は、回転駆動
される刃物１１が中心軸線を水平方向としてフェーシン
グスライダー９ａに取付けられ、前述したモータ５の正
逆方向の回転駆動により、ボールスクリューねじ機構１
２を介して、スライダー４と共にキャリパー７のシリン
ダ部７ｂの中心軸線方向に往復駆動が可能である。刃物
１１は、小径の胴部１１ａの先端に刃先１１ｂを有す
る。また、刃物１１は、加工ユニット９の下部にブラケ
ット９ｃを介して吊り下げ支持された主軸用のモータ９
ｂにより、ベルト装置９ｆを介して刃物１１の主軸と一
体に回転駆動されると共に、加工ユニット９の上部にブ
ラケット９ｅを介して取付けたフェーシング用のモータ
９ｄにより、ベルト装置９ｇを介して主軸の回転中心軸
線に対する径方向に摺動自在にスライドするフェーシン
グスライダー９ａと一体に駆動される。

【００１５】１７は、刃物自動交換装置であり、複数本
のアーム１７ａに着脱自在に取付けた刃物１１を加工ユ
ニット９に対して交換自在である。交換に際しては、複
数本のアーム１７ａが回転軸線Ｎ−Ｎ軸回りに回転駆動
されると共に、案内部材１７ｂに沿つて昇降駆動され
る。

【００１６】次に、上記実施例の作用について説明す
る。鋳造後のフィスト型のキャリパー７は、前工程にお
いて、シリンダ部７ｂの中心軸線を水平方向とし、か
つ、爪部７ａを上向きとして、キャリパー保持具６に保
持させてあり、このキャリパー保持具６を枠部材６ａに
乗せた状態で、一対のローラ装置１４ａ，１４ａによつ
て送り込まれ、爪部７ａを加工ユニット９側とする所定
位置で停止させる。

【００１７】一方、加工ユニット９は、既にスライダー
４と共に、キャリパー７の爪部７ａとシリンダ部７ｂと
の間の上方に刃先１１ｂを位置させて待機している。

【００１８】次に、キャリパー保持具６及び枠部材６ａ
を一対のローラ装置１４ａ，１４ａ上の所定位置に停止
させたなら、シリンダ装置８を突出作動させ、受け部材
８ｃに載置した状態でキャリパー保持具６を上昇駆動す
る。その際、枠部材６ａは、一対のローラ装置１４ａ，
１４ａ上に乗つたまま残されている。なお、受け部材８
ｃとキャリパー保持具６との間にも、凹部と凸部とを有
する位置決め機構を介在させ、キャリパー保持具６に適
正位置を採らせてある。

【００１９】そして、シリンダ装置８の突出作動による
キャリパー保持具６の上昇駆動により、キャリパー保持
具６をベース部材２の下面に当接支持させ、クランプす
る。その際、ピン６ｂがベース部材２の短筒部材２ｃに
嵌合し、キャリパー保持具６の位置決め保持が堅固にな
る。このようにしてキャリパー７を保持するキャリパー
保持具６を、ベース部材２とシリンダ装置８とで挟み付
けた状態で、刃物１１の胴部１１ａは、キャリパー７の
爪部７ａ間の凹部７ｃに非接触かつ回転自在に受け入れ
られている。

【００２０】この状態からキャリパー７のシリンダ部７
ｂの内径面の加工を開始する。すなわち、主軸用のモー
タ９ｂにより刃物１１を回転駆動し、かつ、モータ５の
回転駆動により刃物１１に前進移動を与え、シリンダ部
７ｂの内径加工を行う。また、必要に応じ、フェーシン
グ用のモータ９ｄにより、刃物１１に径方向移動を与え
る。但し、この加工作業は、刃物１１の胴部１１ａがキ
ャリパー７の爪部７ａと干渉しない範囲で行われる。

【００２１】キャリパー７のシリンダ部７ｂの内径加工
が終了したなら、モータ５の逆回転駆動により刃物１１
に後進移動を与え、当初位置つまり刃先１１ｂがキャリ
パー７の爪部７ａとシリンダ部７ｂとの間に位置するよ
うに復帰させると共に、主軸用のモータ９ｂを停止させ
る。次いで、シリンダ装置８を没入作動させ、受け部材
８ｃに載置した状態でキャリパー保持具６を下降駆動
し、一対のローラ装置１４ａ，１４ａ上に乗つたまま残
されている枠部材６ａ上にキャリパー保持具６を載置す
る。このキャリパー保持具６及び枠部材６ａは、一対の
ローラ装置１４ａ，１４ａ上を移動させて、次工程に移
送される。

【００２２】このようにして、キャリパー７のシリンダ
部７ｂの内径加工が終了したなら、必要に応じて刃物１
１を交換するが、刃物１１の交換に際しては、刃物１１
を取付けた加工ユニット９のフェーシングスライダー９
ａを、刃物自動交換装置１７の下方位置にまで移動させ
るため、スライダー４を後退させた後、刃物自動交換装
置１７を駆動し、刃物１１を交換する。ところで、上記
の実施例にあつては、ベース部材２の下面にキャリパー
保持具６を当接支持したが、このキャリパー保持具６に
保持されるキャリパー７をベース部材２の下面に直接当
接支持することも可能である。

【発明の効果】

【００２３】以上の説明によつて理解されるように、本
発明に係るキャリパーの内径加工装置によれば、キャリ
パーの爪部間の凹部に挿入可能な太さ、かつ、回転中心
軸線方向の所定量の移動可能な長さの胴部を有する刃物
を使用するだけで、刃物及び加工ユニットに上下方向移
動又は割出し動作を与えることなく、刃物の中心軸線と
キャリパーのシリンダ部の中心軸線とを合致させること
ができ、加工開始前の段取が極めて簡単な動作によつて
短時間に行える。

【００２４】加えて、加工に際し、キャリパーのシリン
ダ部と刃物との間の切削抵抗による反力が、キャリパー
保持具を当接支持すると共に加工ユニットを摺動自在に
支持するベース部材によつて至近距離にて受けられ、大
きな曲げ力の作用が回避される。その結果、比較的簡素
な構造により高剛性及び高精度を確保することとコスト
低減とを両立させることができるという効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の１実施例に係るキャリパーの内径加
工装置を一部切開して示す正面図。

【図２】 同じくベース部材を示す断面図。

【図３】 同じくキャリパーを示す側面図。

【図４】 従来例を示す説明図。

【符号の説明】

１：基盤、２：ベース部材、２ａ：案内突起（案内
部）、２ｂ：開口部、２ｃ：短筒部材（位置決め機
構）、４：スライダー、４ａ：係合溝、５：モータ（駆
動機構）、６：キャリパー保持具、６ｂ：ピン（位置決
め機構）、７：キャリパー、７ａ：爪部、７ｂ：シリン
ダ部、７ｃ：凹部、８：シリンダ装置（昇降駆動装
置）、９：加工ユニット、９ｂ：主軸用のモータ、１
０：第１支柱、１１：刃物、１１ａ：胴部、１１ｂ：刃
先、１３：第２支柱、１３ａ：底部材、１７：刃物自動
交換装置。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フィスト型のキャリパーのシリンダ部の
   中心軸線を水平方向とし、かつ、爪部を上向きとして着
   脱自在に保持するキャリパー保持具と、該キャリパー保
   持具のクランプを兼ねた該キャリパー保持具の昇降をす
   る昇降駆動装置と、該キャリパー保持具に保持された該
   キャリパーのシリンダ部の中心軸線方向にスライダーを
   摺動案内する案内部を有し、前記キャリパー保持具を下
   面に当接支持するベース部材と、回転駆動される刃物を
   該キャリパーの爪部側として、該スライダーの下側に支
   持される加工ユニットと、該スライダーを該案内部に沿
   つて往復駆動する駆動機構とを備えることを特徴とする
   キャリパーの内径加工装置。
2. 【請求項２】 ベース部材に当接支持されたキャリパー
   保持具が位置決めされるように、キャリパー保持具とベ
   ース部材との間に位置決め機構を介在することを特徴と
   する請求項１のキャリパーの内径加工装置。