JPH0617886B2 - 湿度センサ用保護フイルタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は湿度センサ用保護フィルタに関する。

〔従来技術〕

感湿部材の付着水分量に応じた電気的変化を生じさせる
形式の湿度センサにおいては、防塵、防滴、防風等のた
め同センサを通湿性の保護フィルタで覆蓋しているもの
があり、現在保護フィルタとして青銅等を素材とする焼
結金属製の保護フィルタが使用されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、この種形式の湿度センサにおいては、湿度変
化の大きい雰囲気で使用された場合保護フィルタ内部の
感湿部材が直接露出する雰囲気も同様に短時間に温度変
化を生じ、同感湿部材に結露が発生して湿度センサとし
ての機能を発揮し得なくなるおそれがある。

本発明者等はかかる問題に対処すべく検討した結果、使
用している保護フィルタが結露の発生に大きく係わって
いることを知得した。従って、本発明の目的は、結露の
発生を十分に抑制し得て湿度センサの機能を損うことの
ない保護フィルタを提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、感湿部材の付着水分量に応じた電気的変化を
生じさせる湿度センサを覆蓋する保護フィルタであり、
当該保護フィルタは連続する多数の細孔を有しかつ熱伝
導率が5Kcal／mhr℃以下の多孔質セラミックスであるこ
とを特徴とするものである。

本発明における保護フィルタはアルミナ、シリカ、シリ
カ−アルミナ、ムライト、コーディラィト、ジルコニ
ア、ステアタイト、フオルステライト等の無機質材料か
らなるもので、通常のセラミックス多孔質体と同様の条
件の成形、焼成等にて得られるが、熱伝導率が5Kcal／m
hr℃以下で多数の連続細孔を有することが肝要であり、
また細孔の平均細孔径が0.05〜500μｍであることが好
ましい。

〔発明の作用・効果〕

第４図は湿度センサの使用場所の雰囲気温度（Ｔ１），
保護フィルタ内雰囲気温度（Ｔ２）、センサ温度（Ｔ
３）の挙動を概略的に説明するグラフであり、実線（熱
伝導率小）と破線（熱伝導率大）は熱伝導率の異なる２
種類の保護フィルタを使用した例である。同図から明ら
かなように、熱伝導率の大きい保護フィルタを使用した
場合には、使用場所の雰囲気温度（Ｔ１）に対するフィ
ルタ内雰囲気温度（Ｔ２）およびセンサ温度（Ｔ３）の
追従性が高く、Ｔ２とＴ３間に大きな温度差が生じて結
露が発生しやすい。これに対して、熱伝導率の小さい保
護フィルタを使用した場合にはＴ１に対するＴ２および
Ｔ３の追従性が低く、Ｔ２とＴ３間の温度が小さくて結
露が発生しにくい。第２表から明らかなように、熱伝導
率が5Kcal／mhr℃以下であれば、実用範囲内において結
露の発生が十分に抑制される。

なお、保護フィルタの細孔の平均細孔径は粉塵の除去性
能、使用雰囲気の湿度変化に対するフィルタ内雰囲気の
応答性に関係し、これらの両性能を考慮すれば第５図お
よび第６図に示すように細孔径が0.05〜500μｍである
ことが好ましい。第５図は通常の使用雰囲気におけるフ
ィルタの細孔径と粉塵の除去性能との関係を示してお
り、除去性能８０％以上が好ましい。また、第６図は常
温、湿度８０％の雰囲気を湿度９０％に変化させた場合
におけるフィルタの細孔径とフィルタ内湿度の応答時間
との関係を示しており、応答時間１０分以上が好まし
い。

〔実施例〕

(1)湿度センサ 本実施例に使用した湿度センサは山武ハネウエル株式会
社製静電容量湿度センサであり、同センサは同社製相対
湿度・湿度検出器ＲＨＳ１０１，ＲＨＳ１０２等に装備
されている。しかして、同センサは第１図および第２図
に示すように検出器の筒体１１の先端に突出して設けら
れており、筒体１１の先端に嵌着された有底筒状の保護
フィルタ１２により覆蓋されている。湿度センサ２０は
第３図に示すようにガラス基板２１、一対の下部電極２
２ａ，２２ｂ，吸湿性高分子薄膜誘導体２３および上部
電極２４からなる４×６×0.24mmの微小のもので、各下
部電極２２ａ，２２ｂに高周波電圧を通伝することによ
り、上部電極２４との対向面積間に一対のコンデンサが
直列接続された回路が形成される。従って、誘導体２３
の水分に起因する誘導率の変化がコンデンサ容量の変化
として表われ、コンデンサ容量の変化を測定することに
より誘導体２３の周囲の相対湿度が測定できる。

(2)保護フィルタ 第１図および第２図に示す検出器の筒体１１の先端に嵌
着させるため外径18.5mm，内径12mm、長さ30mmの有底筒
状のフィルタを、第１表に示すように４種類作製した。
なお、各フィルタ１２の開口端部には同図に示すよう
に、筒体１１の先端取付部に螺合するネジ部を有する合
成樹脂製の筒体１３を接着している。なお、この筒体１
３は金属製、セラミックス製であってもよい。

(3)試験 湿度測定雰囲気を温度０℃、相対湿度１０％に調節して
これを基準の条件とし、かかる雰囲気を第２表に示す所
定の温度および相対湿度に変更してこれを２時間保持
し、その後かかる雰囲気を基準の条件に戻してこれを２
時間保持する。以上の雰囲気の変更を１００回繰返し、
湿度センサの湿度検出機能の有無を測定した。なお、同
表中○印は湿度記録計による湿度記録が可能な場合を示
し、また×印はセンサ表面に結露が発生し、湿度記録計
が振切れて湿度記録が不可能な場合を示し、熱伝導率が
5Kcal／mhr℃より高いフィルタを使用した場合には湿度
を検出し得ないことがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る保護フィルタを備えた湿度検出器
の斜視図、第２図は同検出器に嵌着した保護フィルタの
拡大断面図、第３図は湿度センサの分解斜視図、第４図
は湿度を測定する雰囲気温度、保護フィルタ内雰囲気温
度およびセンサ温度の挙動を示すグラフ、第５図は保護
フィルタの細孔径と粉塵の除去性能との関係を示すグラ
フ、第６図は同フィルタの細孔径とフィルタ内温度の応
答時間との関係を示すグラフである。 符号の説明 １１……筒体、１２……保護フィルタ、２０……湿度セ
ンサ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】感湿部材の付着水分量に応じた電気的変化
   を生じさせる湿度センサを覆蓋する保護フィルタであ
   り、当該保護フィルタは連続する多数の細孔を有しかつ
   熱伝導率が5Kcal／mhr℃以下の多孔質セラミックスであ
   ることを特徴とする湿度センサ用保護フィルタ。
2. 【請求項２】細孔の平均細孔径が0.05〜500μｍである
   特許請求の範囲第１項に記載の湿度センサ用保護フィル
   タ。