JPH06178574A - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents

誘導電動機の制御装置

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JPH06178574A
JPH06178574A JP43A JP32779692A JPH06178574A JP H06178574 A JPH06178574 A JP H06178574A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 32779692 A JP32779692 A JP 32779692A JP H06178574 A JPH06178574 A JP H06178574A
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JP
Japan
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induction motor
angular frequency
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current
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JP43A
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Inventor
Tadashi Ashikaga
正 足利
Masato Mori
真人 森
Masayuki Terajima
正之 寺嶋
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 速度演算部11によって算出された誘導電動
機の回転角周波数信号ωnを基に各種周波数演算信号又
は励磁分電流演算信号を得、これらの演算信号を用いて
有効な誘導電動機の制御装置を得る。 【構成】 誘導電動機9の励磁分電流指令IOと、トル
ク分電流指令Itを基に演算処理し、この演算信号を基
にインバータ7を制御して誘導電動機9を制御する誘導
電動機の制御装置において、速度演算部11によって算
出された誘導電動機の回転角周波数信号ωnを基に各種
周波数演算信号又は励磁分電流演算信号を得、これらの
演算信号を用いて演算制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は誘導電動機の制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】誘導電動機を高速応に制御する方式とし
てベクトル制御が実用化されている。これを実現した電
力変換装置はサイクロコンバータか電流形インバータで
あり、電流マイナーループをもち、一次電流をトルク分
電流と磁束分電流に分けて制御する方式である。
【0003】電力用変換装置はトランジスタの大容量化
・低コスト化によって、PWMインバータが多く用いら
れるようになった。しかし、PWMインバータは電圧源
であるため電流マイナーループをつけて見掛け上制御電
流源(ControlledCurrent Sour
ce:CCS)とし従来からの制御理論が用いられてい
る。
【0004】一方、この間誘導機の高速制御に関する理
論は多く研究がなされ、電力変換装置を考慮した種々の
方式が提案されている。制御電圧源(Controll
edVoltage Source:CVS)は、CC
Sの電源ももともと電圧形であることから、電圧を直接
制御量としようとする方式であり、既に実用化されてい
る。
【0005】図8は従来の誘導電動機の制御装置におい
てトルク制御時のベクトル制御構成図であって、1はト
ルク分電流指令部、2はベクトル演算部、3は座標変換
部、4a〜4cは加減算器、5a,5bは比例制御演算
器、6は反転増幅器、7はPWMインバータ、8a,8
bは電流検出器、9は誘導電動機(IM)、10はパル
スエンコーダ、11は速度演算部である。
【0006】電流指令部1はトルク設定値信号を入力と
してトルク分励磁電流指令信号ITを出力する。ベクト
ル演算部2は励磁電流指令信号I0、トルク分電流指令
信号ITおよび回転角周波数信号ωnを入力としてI1
(I0 2+IT 21/2,φ=tan-1(IT/I0),すべ
り角周波数ωS=(IT/I0)・(1/τ2)一次角周波
数ω0=ωn+ωsおよびωot=∫ω0dtの演算を行
う。座標変換部3はI1,φ,ωotを入力として座標変
換してIa=I1sin(ωot+φ)およびIb=I1
in{ω0t+φ−(2/3)π}を求める。
【0007】座標変換部3による電流信号Ia,Ibは加
減算器4a,4bによって電流検出器によって検出され
たPWMインバータ7の出力電流検出信号と加減算さ
れ、その偏差信号を電流アンプ5a,5bで比例積分し
て電圧指令信号Va,Vbを得るとともに、これらの電圧
指信号を加減算器4cで加減算し、その加算信号を反転
増幅器6を通して電圧指令信号Vcを得る。速度演算部
11はパルスエンコーダ10による誘導電動機9の速度
検出信号を基に演算して回転角周波数ωnを出力する。
【0008】図9は従来の誘導電動機の制御装置におけ
る定出力制御付のベクトル制御の構成を示すもので、速
度演算部11の出力段に励磁分電流指令演算部12を設
け励磁分電流指令をベクトル演算部2に入力するととも
に、誘導電動機9の回転角周波数ωnをベクトル演算部
2に入力するものである。励磁分電流指令演算部12は
速度演算部11の検出信号である回転角周波数ωnを基
にI0=ION(ωnb/ωn)の演算を実行する。ここで、
ONは励磁分定格電流である。
【0009】図9の誘導電動機の制御装置において、一
次周波数に同期して回転するd−q軸上で、定常状態の
モータ電圧は、
【0010】
【数1】
【0011】ここで、Vid,Viqは一次電圧、i1d,i
1qは一次電流、ω0は一次角周波数、L1は一次インダク
タンス、L2は二次インダクタンス、Mは励磁インダク
タンス、La=L1−M2/L2、r1は一次抵抗、r2は二
次抵抗である。
【0012】二次磁束は、
【0013】
【数2】
【0014】一次周波数及びすべりは、
【0015】
【数3】
【0016】軸トルクは、 T=(3/2)・(P/2)・(M2/L2)・i1d・i1q …(4) 三相電圧と電流は、 V1=(V1d 2+V1q 21/2 …(5) I1=(i1d 2+i1q 21/2 …(6) ここで、r1は一次抵抗、r2は二次抵抗、τ2=L2/r
2、ωnは回転角周波数、ωSはすべり角周波数、Pは極
数である。また、i1d=I0(励磁分電流)に対応し、
1q=IT(トルク分電流)に対応する。
【0017】(1)式において、i1d=I0,i1q=IT
として、r1及びLaは小さいので無視すると、
【0018】
【数7】
【0019】(5)式よりモータ電圧は V1≒ω010 …(8) ここで、比較的高速域で考えるとωS≪ωnのためω0
ωnと考えられ V1≒ωn10 …(9) モータ軸トルクは(33)式より T=(3/4)・P・(M2/L2)・I0・IT …(10) 出力Pは P=ωnT …(11) 定トルクの最大回転をωnb(基底回転角周波数)とし
て、I0を次式で制御すれば、定出力制御となる。
【0020】I=ION・(ωnb/ωn)…(12) また(9)式より定出力範囲ではモータ電圧がほぼ一定
に保たれることが分る。定トルクの制御範囲ではI0
ONとする。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】図8の誘導電動機の制
御装置に関しては、エンジン車のエンジン部分を誘導電
動機(IM)に置き換えて駆動する電気自動車(以下E
Vと略記する)等においては、モータトルクを線形に制
御するためにベクトル制御が用いられることが多い。こ
こで、通常はベクトル制御装置に、アクセルペダルのス
トロークに対応したトルク設定値が入力され、制御装置
側ではトルクに比例する電流の指令値を生成し、電流制
御を行なう。
【0022】ベクトル制御では、IMの励磁分電流成分
とトルク分電流成分に分けて電流を制御し、IMに供給
する一次周波数は、速度検出値とトルクに比例するすべ
り周波数設定値の和で演算される。ここで、モータトル
クを設定に対して遅れなく制御するためには二次磁束を
確立させておく必要があり、トルク設定が零でも励磁分
電流では供給しておく必要がある。これより、モータ停
止状態で、トルク設定が零の場合は、モータ各相に直流
電流が供給されることになる。
【0023】上記の状態で、モータ回転数の検出器が誤
動作するなどの原因により、モータが停止しているにも
かかわらず、ある回転数値を検出すると、この値で一次
周波数が与えられるため、モータトルクが発生し、モー
タの負荷が軽い場合はトルク指令値が零にもかかわら
ず、モータが回転を始める問題点が生ずる。
【0024】これは、アクセルを開放の状態で車が動き
始める可能性があるということであり、これを防止する
必要がある。
【0025】図9の誘導電動機の制御装置に関しては、
電気自動車等の駆動用電源としては、バッテリが用いら
れるが、バッテリ電圧は、満充電時と放電末期時では大
きく異なる。つまり、インバータ入力直流電圧は、バッ
テリの使用程度に応じて大きな範囲で変化することにな
る。ここで、満充電時の直流電圧を基準にして、インバ
ータの最大出力電圧を決定し、モータの定格電圧を決定
すると、放電が進み、バッテリ電圧が低下してくると、
インバータの出力可能な電圧が低下し、モータ回転数を
定格回転まで上げるには、インバータ出力電圧が不足と
なってしまう。
【0026】図9に示す様なベクトル制御装置において
は、モータ電流をフィードバック制御して指令値通りの
電流に制御すべくPWMインバータに電圧指令値
(Va,Vb,Vc)を与えている。この方式において、
上述したようにインバータ出力電圧が不足となると、指
令値通りの電流を流し得なくなり、電流制御器が飽和
し、この影響でモータ電流に歪が生じ高周波成分が増加
する問題が発生する。もちろん、回転数も定格値まで増
加できなくなる。
【0027】モータの定格電圧を放電末期のバッテリ電
圧を基準として決定すれば、上述の問題は発生しない
が、同じモータ出力を得るには、モータ電圧が低いと電
流が大きくなり損失などの面で、不利となるため、この
方法は不適当である。
【0028】本発明は上述の各問題点を解決することを
目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、誘導電動機の励磁分電流とトルク分電流指
令を基に、上記誘導電動機の制御要素を演算処理して、
上記誘導電動機の一次電流指令と該一次電流指令の位相
角指令および上記誘導電動機の回転角周波数を算出し、
これらの指令を座標変換して電流指令を得、この電流指
令を基にインバータの入力電圧指令を得て該インバータ
を制御して上記誘導電動機を制御する誘導電動機の制御
装置において、上記誘導電動機の一次位相角周波数を演
算する第1の角周波数演算部と、上記制御要素のうちす
べり角周波数と回転角周波数を基に一次角周波数を演算
する第2の角周波数演算部と、上記トルク分電流指令と
回転角周波数を基に上記トルク分電流指令の値が零のと
きの上記誘導電動機の回転状態を判別する判別部と、該
判別部の判別信号に応じて上記第1の角周波数演算部の
演算信号又は第2の角周波数演算部の演算信号を選択す
る選択部によって構成したことを特徴とする。
【0030】また、本発明においては、上記誘導電動機
の回転角周波数(ωn)と上記インバータの直流電圧検
出値(VDC)を基に励磁分電流(I0)を算出する励磁
分電流演算部を設け、この励磁分電流演算部により算出
された励磁分電流(I0)と上記回転角周波数(ωn)を
基に上記制御要素を演算処理することを特徴とする。
【0031】
【作用】誘導電動機の励磁分電流とトルク分電流指令を
基に、上記誘導電動機の制御要素を演算処理して、上記
誘導電動機の一次電流指令と該一次電流指令の位相角指
令および上記誘導電動機の回転角周波数を算出し、これ
らの指令を座標変換して電流指令を得、この電流指令を
基にインバータの入力電圧指令を得て該インバータを制
御して上記誘導電動機を制御する誘導電動機の制御装置
において、前記誘導電動機の回転角周波数を基に一次角
周波数,トルク分電流又は励磁分電流を演算して、イン
バータを制御し、これにより誘導電動機を効果的に制御
する。
【0032】
【実施例】以下に本発明の実施例を図1〜図7を参照し
ながら説明する。
【0033】図1は本発明の第1実施例による誘導電動
機の制御装置を示すもので、図8のものと同一又は相当
部分には同一符号が付されている。図1において13は
第1の角周波数演算部、14は第2の角周波数演算部、
15はトルク分電流指令信号ITと回転角周波数ωnを入
力とする判別部、16は選択部である。
【0034】図1の誘導電動機の制御装置において、ベ
クトル演算部2Aは励磁分電流指令I0とトルク分電流
指令ITを基にI1=(I0 2+IT 21/2,φ=tan-1
(IT/I0),及びすべり角周波数ωS=(IT/I0
・(1/τ2)をベクトル演算する。座標変換部3はベ
クトル演算部2Aの電流演算信号I1,位相角演算信号
φ及び後述する一次周波数演算信号ω0tを入力として
a=I1sin(ω0t+φ)とIb=I1sin{ω0
+φ−(3/2)π}に座標変換して電流指令Ia,Ib
を出力する。第1の角周波数演算部13はω0=0又は
ω0t=(π/2)を演算し、第2の角周波数演算部1
4はベクトル演算部2Aのすべり周波数演算信号ωS
速度演算部11の回転角周波数ωnを基にω0=ωn+ωS
とω0t=∫ω0dtを演算する。
【0035】判別部15は速度演算部11の回転角周波
数ωnとトルク分電流指令信号Itを入力とし選択部16
を制御する。ここで、IT=0のときωn≧ωLOW(速度
を零とみなす角周波数)であれば選択部16の接点16
bをオン、接点16aをオフにし、これによりω0t=
∫ω0dtとなる。また、IT=0のときωn≧ωLOWでな
ければ接点16aをオン、接点16bをオフにし、ω0
t=(π/2)となる。IT≠0であれば、接点16a
をオフ、接点16bをオンにし、ω0t=∫ω0dtとな
る。
【0036】モータが停止でかつトルク設定が零の状態
でのモータ速度検出部の誤動作等の原因による回転上昇
はω0=ωn+ωSでモータ一次周波数を演算しているこ
とによる。このため、図1に示すように、トルク設定が
零でかつ、モータ回転が予め設定された零とみなされる
点(ωLOW)以下の場合は、一次角周波数を零とし、ω0
t=(π/2)の角度に固定することにより、速度検出
の誤動作の影響を防ぐことができると共に安定した制動
となる。トルク設定値が零以外およびトルク設定値が零
でもモータが回転している状態(ω0≧ωLOW)ではω0
=ωn+ωSの演算を行い通常のベクトル制御を行う。
【0037】また、ω0t=(π/2)に固定すること
は、三相電流がIa=I0,Ib=−(I0/2),Ic
−(I0/2)の直流電流となり、直流制動をかけた状
態となり、安定に停止する。
【0038】以上により、トルク設定零でモータ停止時
における、誤動作による電気自動車(EV)などの前進
あるいは後進を防止できる。
【0039】図2は本発明の第2実施例による誘導電動
機の制御装置を示すもので、同図において図1のものと
同一又は相当部分には同一の符号が付されている。図2
において、17は回転角周波数演算部、18は加減算回
路、19は比例積分演算回路(PI)、20はリミッタ
回路である。
【0040】回転角周波数演算部17は速度演算部11
の回転角周波数演算値ωnとトルク設定信号ITSを基に
誘導電動機9の速度目標値ωRを算出する。回転角周波
数演算値ωnと速度目標値ωRは加減算され、その算出信
号は比例積分演算回路19により演算されリミッタ回路
20に入力される。リミッタ回路20は比例積分演算回
路19の演算信号を基に速度目標値ωRにリミッタをか
けてトルク分電流指令値ITを得る。
【0041】図3の演算フローチャートに示すように、
ステップST1でトルク分電流設定値ITS≠0であれば
ステップST2に進み|ωn|<ωLOWであるか否かを判
定する。|ωn|<ωLOWであれば、ステップST3に進
みωR=0を設定し、ステップST4で正側トルク分電
流リミット値PLIM=定格トルク分電流設定IT0
し、ステップST1に戻る。ステップST1でITS≠0
でなく、かつステップST2で|ωn|<ωLOWでなけれ
ば、ステップST5に進み、ITS≧0であればステップ
ST6に進みωR=+ωmaxとし、ステップST8に進
む。ステップST5でITS≧0でなければ、ステップS
T7に進みωR=−ωmaxとしステップST8に進む。ス
テップST8ではPLIM=|ITS|,負側トルク分電
流リミッタ値NLIM=−|ITS|としてステップST
1に戻る。
【0042】すなわち、ITSが零でかつモータ速度の絶
対値があらかじめ設定された速度がほぼ零とみなせる値
(ωLOW)より小さくなると、トルク分電流のリミッタ
値は定格値(IT0)に固定され、ωR=0の目標値で速
度制御運転となる。このため、仮に速度検出が短時間誤
動作しても速度フィードバック制御により零速度に制御
される。これにより、トルク設定零時の誤動作による電
気自動車の前後進を防止できる。
【0043】ITSを零以外あるいは|ωn|≧ωLOWの場
合は、トルク分電流リミッタ値は指令値のITSとなり、
速度目標値ωRは最大速度ωmaxに設定される。これよ
り、モータ速度がωmax以下の場合はPI演算器が飽和
し、リミッタにかかるためIT=ITSとなり、トルク設
定通りに制御される。ここでモータ速度(ωn)が上昇
し、ωn=ωmaxとなると、この点で速度制御が動作し、
電気自動車(EV)などの最高速度はωmaxのモータ速
度で決まる値に制限される。
【0044】以上より、本構成により、トルク設定零で
停止状態からの電気自動車の誤動作を防止し、かつ、最
高速度もωmaxの設定値の変更により任意の値に制限で
きる。
【0045】図2の誘導電動機の制御装置によれば、ト
ルク設定零でEVが停止している状態からの速度検出等
の誤動作によるEVの前・後進を防ぐことができる。ま
た、モータ回転が最大速度設定値ωmaxまで達すると、
自動的にωR=ωmaxの指令値で速度一定制御が動作する
ため、ωmaxの設定値により電気自動車等の最高スピー
ドを制限できる。さらに、この構成によれば、リミッタ
値をIT0に固定し、ωmaxを任意に変化させることによ
り、ωmaxを速度目標値とする速度一定制御が可能であ
り、アクセルに連動したトルク設定によるトルク制御運
転から、速度を目標値に自動的に制御する自動走行への
切換えが連続的にハードウェアの変更なしで可能とな
る。
【0046】図4は本発明の第3実施例による誘導電動
機の制御装置を示すもので、21は励磁電流演算部であ
って、速度演算部11の演算値ωnとインバータ7の直
流電圧検出信号VDCを基に励磁分電流指令I0を算出す
る。ベクトル演算部2はトルク分電流指令IT,励磁分
電流指令I0および速度演算信号ωnを基に所定のベクト
ル演算を実行してI1,φ,ω0tを算出する。
【0047】電気自動車等の駆動用に誘導電動機(I
M)をベクトル制御装置で駆動するシステムにおいて
は、図5に示す様に、低中速域では定トルク制御とし、
高速域では定出力制御とすることが多い。これは、大き
なトルクが必要となる低中速域に比較し、トルクが少な
くてすむ高速域では、速度の上昇につれて励磁分電流が
低下し、トルクを下げることで定出力に制御することに
よって、定出力の範囲ではモータ端子電圧をほぼ一定に
保つ方式である。これによると、モータ定格は最大回転
ではなく図5のA点(定トルク範囲の最高回転)で設計
できモータを小型化できる。
【0048】ところで、前述のように、電気自動車等の
駆動系ではバッテリ電圧が大きく変動するため、インバ
ータが出力し得る最大電圧が変化する。ここで、バッテ
リ公称電圧(VS)を基準として、インバータの最大出
力電圧を決め、この値で定格点(図5−A点)のモータ
端子電圧を設定すると、バッテリ電圧がVSより大きい
時は問題ないが、VSより電圧が低い時には、インバー
タの出力し得る電圧が不足となる。この点を解決するに
は、直流電圧の低下に応じて、励磁分電流を下げ、モー
タ端子電圧を抑えれば良い。
【0049】図5の定出力範囲ではモータ端子電圧がほ
ぼ一定になることはすでに述べているが、直流電圧がV
Sより低下した割合により、定出力制御を開始する回転
数(図5−A点)を低回転側に移動(点線で示す)すれ
ばモータ端子電圧をインバータが出力可能な電圧以下に
抑えることができる。
【0050】インバータの最大出力電圧(Vimax)は、
バッテリの公称電圧(VS)を基準にすると、 Vimax=VS/2 …(13) となり、インバータ最大出力電圧とモータ定格電圧が一
致するように(9)式と(13)式より励磁分定格電流
ONを決定する。
【0051】 ION=(VS/2)・ωnb・L1 …(14) インバータ直流入力電圧VDCがバッテリの公称電圧VS
よりも低下した場合には定出力制御を開始するときの回
転数を下げるために新たな基底角周波数ωnb’を次式で
決める。
【0052】ωnb’=(VDC/VS)・ωnb …(15) 定出力制御はωnがωnb’よりも大きくなった時点から
開始し、励磁分電流指令I0は I0=ION・(ωnb’/ωn)…(16) で制御する。
【0053】インバータ直流電圧VDCがバッテリ公称電
圧VSよりも高い場合は、ωnb’=ωnbとし、またωn
ωnb’の区間は定トルクの制御となりI0=IONとす
る。従って、インバータ直流電圧VDC,回転角周波数ω
nの条件により定出力制御を行うことによって、モータ
端子電圧の上昇を抑え、常にインバータが出力可能な電
圧以下で運転できる。
【0054】励磁分電流演算部21は図6に示すような
フローで演算を実行する。すなわち、ステップST9で
インバータの直流電圧VDCとバッテリ公称電圧VSとの
間でVDC≧VSであればステップST10に進みωnb
=ωnbとするステップST11でωn>ωnb’か否かを
判断し、ωn>ωnb’であればステップST12に進み
0=ION・(ωnb’/ωn)とする。ステップST9で
DC≧VSでなければωnb’=(VDC/VS)・ωnbとし
てステップST11に移行して再びωn>ωnb’か否か
を判断し、ωn>ωnb’でなければI0=IONとする。
【0055】図4に示す誘導電動機の制御装置によれ
ば、電気自動車等の駆動源であるバッテリ電圧が大きく
変動する条件下において、定出力制御を開始する点(基
底回転数)を直流電圧の変動に対応して(15)式によ
り変化させ、(16)式で励磁分電流指令値I0を演算
することにより、定出力制御を行ない、常にインバータ
が出力し得る電圧以内のモータ電圧に抑えて運転ができ
る。これより、電流制御器の飽和を防ぎ回転数も定格点
(基底回転)を越えた回転数まで制御可能となる。
【0056】図7は本発明の第4実施例による誘導電動
機の制御装置を示し、この実施例においては励磁分電流
演算部22を設け、この励磁分電流演算部22にI0
DC/2ωn1(L1は一次インダクタンス)の演算を
実行させる。
【0057】第4実施例の誘導電動機の制御装置におい
て、ベクトル制御時にモータに印加される電圧は、同期
回転座標上で(17)式となる。
【0058】
【数17】
【0059】ここで、一次抵抗r1及び結合インダクタ
ンスLδの項は小さいので無視すると、
【0060】
【数18】
【0061】 モータ一次電圧:V1=(V1 2 q0+V1 2 d01/2 …(1
9) よりV1=ω010 …(20) ここで、一次インダクタンスL1はモータ定数であり、
一次周波数ω0はω0=ωn+ωSで制御されており、高速
域ではωn≧ωSであるから、モータ一次電圧V1は回転
角速度ωnと励磁分電流I0でほぼ決まることになる(V
1≒ωn10)。
【0062】以上より、直流電圧の低下に応じてインバ
ータの出力可能な最大電圧(Vimax)を求め、V1がV
imaxを越えないように励磁分電流I0を決定すれば良い
ことが分かる。同期回転座標上におけるインバータの最
大出力電圧は、三相インバータでは、 Vimax=VDC/2 …(21) となる。従って、V1=VimaxとなるI0を求めると I0=VDC/2ωn1 …(22) 回転角速度ωnと直流電圧VDCを検出し、励磁分電流I0
を(22)式で演算する。かくして、直流電圧低下時に
は、励磁分電流を下げ、モータ電圧をインバータが出力
可能な最大値以下に抑えることにより、3項に述べた、
電流制御器の飽和を防ぎ、モータ回転数を定格値まで上
昇させることができる。
【0063】第4実施例の誘導電動機の制御装置によれ
ば、(22)式により励磁分電流を制御することによ
り、電気自動車の駆動源であるバッテリ電圧が大きく変
化しても、常にインバータが出力し得る電圧以内にモー
タ電圧を抑えて運転ができる。これにより、電流制御器
の飽和を防ぎ回転も定格値まで制御可能となる。
【0064】なお、本発明において、ベクトル制御の構
成方法は上記各実施例のものに限定されるものではな
く、トルク分電流と励磁分電流に分けて制御する全ての
方式について適用できるものである。
【0065】
【発明の効果】本発明は上述の如くであって、請求項1
の発明によれば、トルク設定零でモータ停止時におけ
る、誤動作による電気自動車などの前進あるいは後進を
防止できる。
【0066】請求項2の発明によれば、トルク設定零で
EVが停止している状態からの速度検出等の誤動作によ
るEVの前・後進を防ぐことができ、かつ電気自動車等
の最高スピードを制限でき、さらに、速度一定制御が可
能であり、アクセルに連動したトルク設定によるトルク
制御運転から、速度を目標値に自動的に制御する自動走
行への切換えが連続的にハードウェアの変更なしで可能
となる。
【0067】請求項3と4の発明によれば、定出力制御
を行ない、常にインバータが出力し得る電圧以内のモー
タ電圧に抑えて運転ができる。これより、電流制御器の
飽和を防ぎ回転数も定格点(基底回転)を越えた回転数
まで制御可能となる。
【0068】請求項5の発明によれば、バッテリ電圧が
大きく変化しても、常にインバータが出力し得る電圧以
内にモータ電圧を抑えて運転ができる。これにより、電
流制御器の飽和を防ぎ回転も定格値まで制御可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による誘導電動機の制御装
置のブロック図。
【図2】本発明の第2実施例による誘導電動機の制御装
置のブロック図。
【図3】図2の制御装置の演算フロー図。
【図4】本発明の第3実施例による誘導電動機の制御装
置のブロック図。
【図5】図4の制御装置の回転角周波数に対するトルク
特性図。
【図6】図4の制御装置の演算フロー図。
【図7】本発明の第4実施例による誘導電動機の制御装
置のブロック図。
【図8】従来の誘導電動機の制御装置のブロック図。
【図9】従来の誘導電動機の制御装置のブロック図。
【符号の説明】
1…トルク分電流指令部 2…ベクトル演算部 3…座標変換部 7…PWMインバータ 9…誘導電動機 11…速度演算部 13…第1の角周波数演算部 14…第2の角周波数演算部 15…判別部 16…選択部 17…開店角周波数演算部 20…リミッタ回路 21…励磁分電流演算部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導電動機の励磁分電流指令とトルク分
    電流指令を基に、上記誘導電動機の制御要素を演算処理
    して、上記誘導電動機の一次電流指令と該一次電流指令
    の位相角指令および上記誘導電動機の回転角周波数を算
    出し、これらの指令を座標変換して電流指令を得、この
    電流指令を基にインバータの入力電圧指令を得て該イン
    バータを制御して上記誘導電動機を制御する誘導電動機
    の制御装置において、上記誘導電動機の一次位相角周波
    数を演算する第1の角周波数演算部と、上記制御要素の
    うちすべり角周波数と回転角周波数を基に一次角周波数
    を演算する第2の角周波数演算部と、上記トルク分電流
    指令と回転角周波数を基に上記トルク分電流指令の値が
    零のときの上記誘導電動機の回転状態を判別する判別部
    と、該判別部の判別信号に応じて上記第1の角周波数演
    算部の演算信号又は第2の角周波数演算部の演算信号を
    選択する選択部によって構成したことを特徴とする誘導
    電動機の制御装置。
  2. 【請求項2】 誘導電動機の励磁分電流指令とトルク分
    電流指令を基に、上記誘導電動機の制御要素を演算処理
    して、上記誘導電動機の一次電流指令と該一次電流指令
    の位相角指令および上記誘導電動機の回転角周波数を算
    出し、これらの指令を座標変換して電流指令を得、この
    電流指令を基にインバータの入力電圧指令を得て該イン
    バータを制御して上記誘導電動機を制御する誘導電動機
    の制御装置において、上記誘導電動機のトルク設定信号
    と回転角周波数を基に速度目標値を算出する回転角周波
    数演算部と、上記回転角周波数と速度目標値との偏差信
    号に上記速度目標値に応じたリミッタをかけトルク分電
    流値を算出するリミッタ回路を設けて構成したことを特
    徴とする誘導電動機の制御装置。
  3. 【請求項3】 誘導電動機の励磁分電流指令とトルク分
    電流指令を基に、上記誘導電動機の制御要素を演算処理
    して、上記誘導電動機の一次電流指令と該一次電流指令
    の位相角指令および上記誘導電動機の回転角周波数を算
    出し、これらの指令を座標変換して電流指令を得、この
    電流指令を基にインバータの入力電圧指令を得て該イン
    バータを制御して上記誘導電動機を制御する誘導電動機
    の制御装置において、上記誘導電動機の回転角周波数
    (ωn)と上記インバータの直流電圧検出値(VDC)を
    基に励磁分電流(I0)を算出する励磁分電流演算部を
    設け、この励磁分電流演算部により算出された励磁分電
    流(I0)と上記回転角周波数(ωn)を基に上記制御要
    素を演算処理することを特徴とする誘導電動機の制御装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3の誘導電動機の制御装置におい
    て、上記励磁分電流演算部が、インバータ直流電圧(V
    DC)≧バッテリ公称電圧(VS)であればモータ定格の
    基底回転角周波数(ωnb)=定出力回転角周波数
    (ωnb')とし、VDC≧VSでなければωnb'=(VDC
    S)・ωnbとし、前記誘導電動機の回転角周波数
    (ωn)>ωnb’であれば励磁分電流(I0)=ION
    (ωnb'/ωn)とし(IONは励磁分定格電流)とすると
    ともに、ωn>ωnb’でなければI0=IONとする演算を
    実行することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項3の誘導電動機の制御装置におい
    て、前記励磁分電流演算部が、I0=(VDC/2ωn1
    (L1は誘導電動機の一次インダクタンス)の演算を実
    行することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
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