JP2004129381A - 永久磁石型同期電動機の制御装置 - Google Patents

永久磁石型同期電動機の制御装置 Download PDF

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Hiroshi Abiko
神孫子 博
Shigeru Nakamura
中村 茂
Yoshinobu Sato
佐藤 芳信
Michio Iwabori
岩堀 道雄
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Abstract

【課題】スイッチング素子の電流容量を増大させずに低速での電流制御精度を確保し、機器の効率を低下させずに高速での弱め界磁制御を実現する。
【解決手段】弱め磁束制御される永久磁石型同期電動機4の制御装置において、q軸電流指令値と電圧振幅指令値とd軸電流検出値と速度検出値と電動機定数とから第2の電圧位相指令値を求める電圧位相演算器23と、第1の電圧位相指令値と第2の電圧位相指令値とを切り換える電圧位相切換器21と、低速運転時と弱め界磁制御が必要な高速運転時とを判断し、前記電圧位相切換器21に対して切換信号を出力する位相切換判断器22とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電圧形インバータを用いて永久磁石型同期電動機の弱め磁束制御を行う永久磁石型同期電動機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10に電圧形インバータにより永久磁石型同期電動機を駆動するシステムの構成例を示す。このシステムは、直流電源1、電圧形インバータ2、電流検出器3、永久磁石型同期電動機4、この同期電動機4に連結された磁極位置検出器5、速度検出器6、及び、トルク指令τを受けてインバータ2に駆動用のゲートパルス信号を与える制御装置7から構成されている。
【0003】
次に、制御装置7の構成について述べる。同期電動機4の永久磁石が作り出す磁束と同期して回転する回転座標系において、磁束方向をd軸とし、これと直交する方向をq軸とするdq座標系を考え、電流検出器3により検出された同期電動機4の相電流検出値をdq座標上のd軸電流検出値Idf、q軸電流検出値Iqfに変換する座標変換器11、トルク指令値τと速度検出器ωと直流電圧検出値Vとからd軸電流指令値I 、q軸電流指令値I を演算する電流指令演算器12、d軸、q軸電流検出値Idf,Iqfをd軸、q軸電流指令値I ,I に追従させる電流制御系13、その出力であるd軸電圧指令値V 、q軸電圧指令値V を極座標形式の電圧振幅指令値V**と電圧位相指令値δ(=δ)に変換する極座標変換器14、電圧振幅指令値V**の大きさを制限するリミッタ15、リミッタ15を通った後の電圧振幅指令値V(≦V**)と電圧位相指令値δ(=δ)とからゲートパルス信号を演算するパルスパターン演算器16から構成されている。
【0004】
前記電流制御系13は、d軸、q軸の電流指令値I ,I と電流検出値Idf,Iqfとの偏差をそれぞれ求める減算器31,32と、これらの偏差を無くすように調節動作するd軸のPI調節器33、q軸のPI調節器34と、d軸、q軸の電流指令値I ,I と速度検出値ωとから電機子抵抗、同期リアクタンスによる電圧低下や誘起電圧を演算して補償するd軸の補償演算器35、q軸の補償演算器36と、PI調節器33,34の出力と各補償演算器35,36の出力とを加算する加算器37,38とから構成される。
【0005】
次に、この従来技術の動作を説明する。電流検出器3により検出される相電流検出値は、位置検出器5により検出される磁極位置信号θを用いて、座標変換器11によりd軸、q軸電流検出値Idf,Iqfに変換される。一方、トルク指令値τと、速度検出器6により検出される速度検出値ωと、インバータ2の直流電圧検出値Vとに応じて、電流指令演算器12によりd軸、q軸電流指令値I ,I が求められる。そして、d軸、q軸電流検出値Idf,Iqfをd軸、q軸電流指令値I ,I に追従させるように電流制御系13が動作し、数式1、数式2に示すようなd軸、q軸電圧指令値V ,V が出力される。
【0006】
【数1】
Figure 2004129381
【0007】
【数2】
Figure 2004129381
【0008】
なお、これらの数式において、R:電機子抵抗、ω:速度検出値、L,L:永久磁石型同期電動機のd軸、q軸インダクタンス、acr_d,acr_q:d軸、q軸のPI調節器出力、G:比例ゲイン、T:積分時間、s:ラプラス演算子である。
【0009】
このd軸、q軸電圧指令値V ,V は、極座標変換器14により、数式3に示すように極座標形式の電圧振幅指令値V**と電圧位相指令値δに変換される。
電圧振幅指令値V**は、インバータ2の出力可能な電圧値以上にならないようにするために、リミッタ15によって大きさがVに制限される。この制限後の電圧振幅指令値Vと電圧位相指令値δとから、パルスパターン演算器16によりインバータ2のゲート信号のパルスパターンが求められる。このゲート信号によりインバータ2が運転され、永久磁石型同期電動機4が駆動される。
【0010】
【数3】
**=√(V *2+V *2),
δ=δ=tan−1(−V /V
【0011】
永久磁石型同期電動機4を高速で駆動する場合、速度に比例して誘起電圧が上昇し、インバータ2が出力可能な電圧を越えてしまうことがある。この場合に、トルク指令値τと直流電圧検出値Vと速度検出値ωとから磁石磁束と逆方向である負のd軸電流指令値I を求め、それに追従するようにd軸電流を流すことにより、誘起電圧に対抗する電圧を生じさせるいわゆる弱め磁束制御を行ない、高速域における駆動を可能としている。
【0012】
図11に、永久磁石型同期電動機4を駆動する時のインバータ2の電圧ベクトル図を示す。図11の各図において、実線の半円はインバータ2が出力可能な最大電圧を示しており、また、点線の半円はPI調節器にて電流の制御を行った時に、積分器の飽和を抑えるための制御上の電圧余裕を取った場合のインバータ出力電圧を示している。
同期電動機4の端子電圧がインバータの出力電圧を少しでも越えると所望のトルクが得られなくなると共に、PI調節器の積分器が飽和して最悪の場合は制御不能となる。このため、PI調節器を安定に動かすためには制御上の電圧余裕を設ける必要がある。従って、実線の半円で示した最大電圧よりも前記電圧余裕分だけ小さい点線の半円内の電圧振幅指令値でインバータ2を駆動するため、その分、インバータ2の出力電圧が低下することになる。
【0013】
従来技術において、図11の(a)に示す低速運転時には、同期電動機4の誘起電圧(ωψにて示す(ψ:永久磁石の磁束))が低く、同期電動機4の最大トルクを得る場合でも電圧振幅指令値Vは図示するように点線の半円の内側となり、d軸電流Iをゼロとしたままで駆動が可能である。
一方、図11の(b−1)に示すように、速度が上昇して誘起電圧ωψがインバータ2の出力可能な電圧よりも高くなった場合には、負のd軸電流Iを流し、−ωLの電圧降下を生じさせて誘起電圧値と電圧振幅指令値との電圧差を補う弱め磁束制御を行う必要がある。
【0014】
このとき、従来技術において安定な電流制御を行うためにはPI調節器の積分器の飽和を抑える必要があり、電圧振幅指令値Vは積分器が飽和しないように電圧余裕を取った点線の半円の円周上の値までに制限される。そのため、出力電圧が電圧余裕分だけ低下すると共に、−ωLに相当する弱め磁束制御に必要なd軸電流Iが大きくなる。
従って、電動機を高速運転して出力を得る場合に必要な電流容量が増加し、インバータ2や同期電動機4の効率低下を招く等の問題が生じる。
【0015】
上記の問題を解決するために、例えば特許文献1に示すような方式が提案されている。この方式では、電圧余裕を少なくするために電流制御系としてPI調節器から積分器を除いた比例調節器のみを用いている。
【0016】
【特許文献1】
特開平8−336300号公報(図1)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1記載の発明では、電流制御系から積分器を除いたことにより、弱め磁束制御が必要でない低速においても電流検出値が電流指令値に対して偏差をもち、電流制御精度が低下するという問題が生じる。そのため、トルク電流の制御精度が低下し、起動トルクのように低速での大きなトルクが必要な動作領域で所望のトルクが得られなかったり、電流指令値に対する電流実際値の偏差分だけ余裕をもった電流値でインバータに用いられるスイッチング素子定格を選択するため、スイッチング素子の電流容量の増大を招き、低コスト化の妨げになるといった問題がある。
そこで本発明は、スイッチング素子の電流容量を増大させることなく低速での電流制御精度を確保し、しかも機器の効率を低下させずに高速での弱め磁束制御を実現させる低コストの制御装置を提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、永久磁石からなる磁極を有する永久磁石型同期電動機を電圧形インバータにより駆動するための制御装置であって、
永久磁石が作る磁束と同期して回転するdq座標系において同期電動機のトルク指令値から同期電動機のd軸電流指令値及びq軸電流指令値を求める電流指令演算手段と、インバータの出力電流検出値をdq座標系に変換してなるd軸電流検出値及びq軸電流検出値をそれぞれd軸電流指令値及びq軸電流指令値に追従させるように調節動作するPI調節手段と、d軸、q軸電流指令値及び同期電動機の速度検出値から電機子抵抗及び同期リアクタンスによる電圧低下や誘起電圧を演算して補償するd軸、q軸の補償演算手段とからなる電流制御手段と、この電流制御手段の出力であるd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を極座標形式の電圧振幅指令値及び第1の電圧位相指令値に変換する極座標変換手段と、前記電圧振幅指令値及び電圧位相指令値からインバータの駆動用パルスパターンを求めるパルスパターン演算手段とを有する制御装置において、
請求項1記載の発明は、q軸電流指令値と電圧振幅指令値とd軸電流検出値と速度検出値と電動機定数とから第2の電圧位相指令値を求める電圧位相演算手段と、第1の電圧位相指令値と第2の電圧位相指令値とを切り換える電圧位相切換手段と、低速運転時と弱め磁束制御が必要な高速運転時とを判断し、前記電圧位相切換手段に対して切換信号を出力する位相切換判断手段とを備えたものである。
【0019】
請求項2記載の発明は、q軸電流検出値をq軸電流指令値に追従させるように第2の電圧位相指令値を求める電圧位相調節手段と、第1の電圧位相指令値と第2の電圧位相指令値とを切り換える電圧位相切換手段と、低速運転時と弱め磁束制御が必要な高速運転時とを判断し、前記電圧位相切換手段に対して切換信号を出力する位相切換判断手段とを備えたものである。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載した制御装置において、
位相切換判断手段は、極座標変換手段の出力である電圧振幅指令値を直流電圧検出値により除算した値が第1の基準値以上になった場合に電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換えて電流制御手段のPI調節手段内の積分手段への入力を停止させるとともに、前記電圧振幅指令値を直流電圧検出値により除算した値が第2の基準値以下になった場合に電圧位相切換手段の出力を第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換えて前記積分手段への入力を再開させるような切換信号を出力するものである。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1または2に記載した制御装置において、
位相切換判断手段は、直流電圧検出値と同期電動機の速度検出値とを用いた演算により求めた値が第1の基準値以上になった場合に電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換えて電流制御手段のPI調節手段内の積分手段への入力を停止させるとともに、前記速度検出値と直流電圧検出値とを用いた演算により求めた値が第2の基準値以下になった場合に電圧位相切換手段の出力を第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換えて前記積分手段への入力を再開させるような切換信号を出力するものである。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項3または4に記載した制御装置において、
位相切換判断手段は、電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換える時に電流制御手段のPI調節手段への入力を停止させるとともに積分手段の入力をゼロにし、かつ、電圧位相切換手段の出力を第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換える時に前記PI調節手段への入力及び前記積分手段の積分動作を再開させるような切換信号を出力するものである。
【0023】
以下、本発明の作用について説明する。
永久磁石型同期電動機の出力トルクは、数式4によって求められる。回転子の表面に磁石がある永久磁石型同期電動機では、d軸インダクタンスLとq軸インダクタンスLの値が等しい特性をもっているので、トルクτはq軸電流Iのみに比例し、弱め磁束電流であるd軸電流Iには無関係である。
なお、数式4において、τ:トルク、p:極対数、ψ:磁石磁束、I,I:d軸、q軸電流である。
【0024】
【数4】
τ=p{ψI+(L−L)I
【0025】
請求項1の発明においては、低速での電流制御精度が必要な運転領域では、PI調節手段と補償演算手段とを有する電流制御手段の出力である電圧振幅指令値Vと第1の電圧位相指令値δとを用いることでd軸、q軸電流指令値とd軸、q軸電流検出値との偏差を無くす電流制御を実現する。
また、高速での弱め磁束制御が必要な運転領域では、電圧振幅指令値Vとして電流制御手段の出力を用い、電圧位相指令値としては、電圧位相演算手段において数式5の演算によりトルク電流であるq軸電流検出値が指令値通りに流れるように求めた第2の電圧位相指令値δを用いる。
なお、数式5において、δ:第2の電圧位相指令値、Idf:d軸電流検出値である。
【0026】
【数5】
Figure 2004129381
【0027】
上記のようにして求めた第2の電圧位相指令値δを弱め磁束制御が必要な運転領域で用いることにより、出力電圧が電圧振幅指令値一定の場合でもトルク制御が可能となる。また、誘起電圧と電圧振幅指令値のd軸成分の差に応じて数式6に示すd軸電流Iが流れ、永久磁石型同期電動機の端子電圧を電圧振幅指令値と等しくする弱め磁束制御も行うことが可能となる。
【0028】
【数6】
Figure 2004129381
【0029】
このように、第2の電圧位相指令値δを用いることで、図11(a),(b−1)に示したごとく電流制御手段に必要であった電圧余裕が不要となり、図11(b−2)のように電圧振幅指令値Vとして実線半円のインバータの最大出力電圧まで用いることができ、従来技術に比べて弱め磁束制御を行うときのd軸電流Iを減少させることができる。従って、高速運転時におけるインバータや同期電動機の効率低下や電流容量の増加を防ぐことができる。
【0030】
請求項2の発明においては、低速での電流制御精度が必要な運転領域では、請求項1の発明と同様に電流制御手段の出力である電圧振幅指令値Vと第1の電圧位相指令値δとを用いてd軸、q軸電流指令値とd軸、q軸電流検出値との偏差を無くす電流制御を実現する。
また、高速での弱め磁束制御が必要な運転領域では、電圧振幅指令値Vとして電流制御手段の出力を用い、電圧振幅指令値としては、電圧位相調節手段においてトルク電流であるq軸電流検出値をq軸電流指令値に追従させるように数式7によって求めた第2の電圧位相指令値δ’を用いる。これにより、電圧振幅指令値一定でのトルク制御が可能となる。同時に、図11(b−2)のごとく電圧振幅指令値をインバータの最大出力電圧まで用いることが可能となり、従来技術に比べて弱め磁束電流であるd軸電流を減少させることができる。なお、数式7において、δ’:第2の電圧位相指令値、G:ゲイン、T:積分時間である。
【0031】
【数7】
Figure 2004129381
【0032】
請求項3の発明においては、請求項1または2に記載した発明において、位相切換判断手段が、電圧振幅指令値を直流電圧検出値によって除算した値が第1の基準値以上になった場合に電流制御精度が必要な運転領域から弱め磁束制御が必要な運転領域に変わったと判断して切換信号を出力することにより、PI調節手段の積分手段への入力を停止し、かつ、電圧位相切換手段の出力を第2の電圧位相指令値δとする。また、電圧振幅指令値を直流電圧検出値で除算した値が第2の基準値以下になった場合に、弱め磁束制御が必要な運転領域から電流制御精度が必要な運転領域に変わったと判断してPI調節手段の積分手段への入力を再開し、かつ、電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値δとする。
【0033】
ここで、電圧振幅指令値を直流電圧検出値によって除算した値はインバータの出力可能な電圧の割合を示し、100%を越える場合には弱め磁束制御を行う必要があることが分かる。そのため、この値を電圧位相指令の切換判断に用いることで弱め磁束制御が必要かどうかを明確に判断できるようになり、弱め磁束制御が必要になる領域まで、電流指令値に対して電流実際値が偏差を無くすような電流制御を行うことが可能となる。
また、弱め磁束制御時にPI調節手段の積分手段の入力を停止することにより、弱め磁束電流指令値であるd軸電流指令値と、誘起電圧と電圧振幅指令値のd軸成分との差によって流れるd軸電流検出値との偏差により、PI調節手段の積分手段が飽和するのを防ぐことができる。
【0034】
請求項4の発明では、請求項1または2に記載した発明において、位相切換判断手段が、同期電動機の速度検出値と直流電圧検出値とを用いた演算により得た値が第1の基準値以上になった場合に電流制御精度が必要な運転領域から弱め磁束制御が必要な運転領域に変わったと判断し、PI調節手段の積分手段への入力を停止して電圧位相切換手段の出力を第2の電圧位相指令値δ’とする。また、上記演算により得た値が第2の基準値以下になった場合に弱め磁束制御が必要な運転領域から電流制御精度が必要な運転領域に変わったと判断してPI調節手段の積分手段への入力を再開し、電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値δに切り換える。
同期電動機の誘起電圧は速度に比例するため速度検出値から誘起電圧を演算することができ、また、インバータの出力可能な電圧は直流電圧検出値から演算することができる。そのため、速度検出値と直流電圧検出値とを用いて演算した値(速度検出値を直流電圧検出値により除算した値)はインバータの出力可能な電圧の割合を示す値に比例するので、この値を電圧位相指令の切換判断に用いることで、弱め磁束制御が必要かどうかの判断が可能となる。
【0035】
請求項4の発明によれば、請求項3のように電圧振幅指令値を直流電圧値により除算した値を用いる場合に比べて、速度検出値を直流電圧検出値により除算した値は同じ動作条件における値の変化が少ないため、第1の電圧位相指令値と第2の電圧位相指令値とが過度に切換わることを抑制するのに効果的である。
また、弱め磁束制御時にPI調節手段の積分手段の入力を停止することにより、弱め磁束電流指令値であるd軸電流指令値とd軸電流検出値との偏差により、PI調節手段の積分手段が飽和するのを防ぐことができる。
【0036】
請求項5の発明では、請求項3または4に記載した発明において、電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換える時に、前述したPI調節手段への入力を停止し、積分手段の入力をゼロとする。また、第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換える時に、前記PI調節手段への入力と積分手段の動作とを再開する。
このように弱め磁束制御時にPI調節手段への入力を停止し、積分手段の入力をゼロとすることで、弱め磁束制御時のd軸電流指令値とd軸電流検出値との偏差による前記積分手段の飽和を防ぐことができる。同時に、PI調節手段の出力をゼロにすることで電圧振幅指令値や電圧位相指令値の切換前後における偏差をそれぞれ小さくでき、特に第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換える際に発生するトルクや電流の急変を抑制することが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1に、請求項1に記載した発明の実施形態を示す。ここでは、図10の従来技術と異なる点を中心に説明する。
図1の制御装置7Aにおいて、トルク指令値τからd軸、q軸電流の指令値を作る電流指令演算器12Aの出力として、d軸電流指令値I は常にゼロとし、q軸電流指令値I のみをトルク指令値τに比例した値とする。q軸電流指令値I 、電圧振幅指令値V、速度検出値ω、d軸電流検出値Idf、及び電動機定数(電機子抵抗R、q軸インダクタンスL等)から前述の数式5により第2の電圧位相指令値δを求める電圧位相演算器23と、極座標変換器14の出力である第1の電圧位相指令値δと前記第2の電圧位相指令値δとを切り換える電圧位相切換器21と、リミッタ15を経た電圧振幅指令値Vと直流電圧検出値Vとから電圧位相指令の切換を判断する位相切換判断器22とを設け、電圧振幅指令値Vと電圧位相切換器21から出力される電圧位相指令値δとを用いて、パルスパターン演算器16によりインバータ2のゲート信号を演算する。
【0038】
低速での電流制御精度が必要な運転領域では、PI調節器33,34と補償演算器35,36とを有する電流制御系13の出力である電圧振幅指令値Vと第1の電圧位相指令値δとを用いることにより、d軸、q軸電流指令値I ,I とd軸、q軸電流検出値Idf,Iqfとの偏差を無くす電流制御を実現することができる。
また、高速での弱め磁束制御が必要な運転領域では、電圧振幅指令値Vとしては低速時と同様に電流制御系13の出力を用い、電圧位相指令値δとしては、電圧位相演算器23においてトルク電流であるq軸電流が指令通りに流れるように数式5から求めた第2の電圧位相指令値δを用いることにより、出力電圧が電圧振幅指令値一定の場合であってもトルク制御が可能となる。このため、電圧振幅指令値Vとして図11(b−2)に示したようにインバータ2の最大出力電圧まで用いることが可能となり、従来技術の(b−1)に比べて弱め磁束制御を行う際のd軸電流Iを減少させることができる。
【0039】
なお、この実施形態における第1、第2の電圧位相指令値の切換は、後に詳述するように、位相切換判断器22が内部の除算器41で電圧振幅指令値Vを直流電圧検出値Vにより除算して得た値(変調率λ)を比較器42にて第1、第2の基準値と比較し、それによって得た切換信号を電圧位相切換器21に出力することにより行うものである。
【0040】
次に、図2に請求項2に記載した発明の実施形態を示す。以下では、図10の従来技術と異なる点を中心に説明する。
図2の制御装置7Bにおいて、図1と同様にd軸電流指令値I は常にゼロとし、q軸電流指令値I は電流指令演算器12Aによってトルク指令値τに比例した値とし、減算器24から出力されるq軸電流指令値I とq軸電流検出値Iqfとの偏差を無くすように前述の数式7によって第2の電圧位相指令値δ’を演算する電圧位相調節器25と、極座標変換器14から出力される第1の電圧位相指令値δと上記第2の電圧位相指令値δ’とを切り換える電圧位相切換器21と、速度検出値ωと直流電圧検出値Vとに基づいた演算により電圧位相指令値の切り換えを判断する位相切換判断器22Bとを設け、電圧振幅指令値Vと電圧位相切換器21から出力される電圧位相指令値δとを用いて、パルスパターン演算器16によりインバータ2のゲート信号を演算する。
【0041】
このようにして求めた第2の電圧位相指令値δ’を用いれば、出力電圧が電圧振幅指令値一定の場合でもトルクの制御が可能となる。また、図11の(b−2)のように、従来技術の(b−1)に対し、PI調節器の積分器の飽和を防ぐための電圧余裕が不要となった分、電圧振幅指令値をインバータ2の最大出力電圧まで増加させることができ、その結果、弱め磁束電流であるd軸電流Iを減少させることができる。
【0042】
この実施形態における第1、第2の電圧位相指令値の切換は、後に詳述するように、位相切換判断器22Bが内部の演算器43により速度検出値ωと電圧振幅指令値Vとを用いて演算を行い、その演算値(変調率λ)を比較器42にて第1、第2の基準値と比較し、それによって得た切換信号を電圧位相切換器21に出力することにより行うものである。
【0043】
次いで、請求項3の発明の実施形態を図3及び図4を用いて説明する。
構成例としては、図1に示すPI調節器33,34と位相切換判断器22において、PI調節器33,34を図3に示すような構成とし、位相切換判断器22は、図1に示したように電圧振幅指令値Vを直流電圧検出値Vにより除算して数式8の変調率λを求める除算器41と、この変調率λを第1、第2の基準値と比較する比較器42とから構成される。
【0044】
【数8】
λ=V/V
【0045】
なお、図3ではd軸のPI調節器33について示してあるが、q軸のPI調節器34の構成も同様である。以下では、便宜上、d軸のPI調節器33のみについてその構成、動作を説明する。
図3に示すPI調節器33は、比例ゲイン51と、積分器52と、比例ゲイン51の出力と積分器52の出力とを加算する加算器53と、積分器52への入力を停止するスイッチ54とから構成されている。
【0046】
この実施形態における位相切換判断器22の動作を、図4のフローチャートに従って説明する。
初期状態として、図3の積分器52への入力が停止されておらず(スイッチ54がオン)、位相切換判断器22による電圧位相指令値の切換信号が“0”の状態で電圧位相指令値として第1の電圧位相指令値δを出力している(図4のS1,S2)。
位相切換判断器22において、変調率λが位相切換判断器22の第1の基準値以上になった場合(S3 YES)に切換信号を“1”としてスイッチ54により積分器52への入力を停止し(図3において、積分器52の入力を“0”とする)、電圧位相切換器21により第1の電圧位相指令値δを第2の電圧位相指令値δに切り換えて出力する(S4〜S6)。
【0047】
また、第2の電圧位相指令値δが選択され、換言すれば位相切換判断器22による電圧位相指令値の切換信号が“1”の状態(S2 ON)では、変調率λが位相切換判断器22の第2の基準値以下になった場合(S7 YES)に切換信号を“0”としてスイッチ54により積分器52への入力を再開する(図3の状態)とともに、電圧位相切換器21により第2の電圧位相指令値δを第1の電圧位相指令値δに切り換えて出力する(S8〜S10)。
なお、ステップS6,S10の後は終了条件が満たされれば終了し、満たされない場合にはステップS2に戻る(S11)。
【0048】
このときの電圧位相指令値δ(δ,δ)とPI調節器33,34の出力を、図5に示す。
図5(a)において、永久磁石型同期電動機4の速度が上昇して電圧振幅指令値Vが大きくなり、それに伴って変調率λが増加し、位相切換判断器22の第1の基準値以上となった場合に、切換信号が“0”から“1”となり、PI調節器の積分器への入力を停止し、第1の電圧位相指令値δに代えて第2の電圧位相指令値δが出力される。更に速度が上昇すると、電圧振幅指令値Vがインバータ2の出力可能な電圧値よりも大きくなり、誘起電圧と電圧振幅指令値のd軸成分との差に応じて数式6に示すd軸電流Iが流れ始める。こうして流れるd軸電流Iによって永久磁石型同期電動機4の端子電圧を電圧振幅指令値と等しくする弱め磁束制御が行われる。このとき、d軸電流指令値I はゼロのままであるため、d軸のPI調節器33の出力のみ増加している。
【0049】
また、図5(b)において、電動機4の速度が減少し、電圧振幅指令値Vがインバータ2の出力可能な最大電圧値以下になると、負のd軸電流が流れなくなるためにd軸のPI調節器33の出力が一定になる。更に速度が減少していって変調率λが位相切換判断器22の第2の基準値以下になると、切換信号が“1”から“0”となって積分器への入力が再開され、電圧位相指令値が第2の電圧位相指令値δから電流制御系13の出力である第1の電圧位相指令値δに切り換えられる。
【0050】
図6は、請求項1の発明の他の実施形態である。この実施形態は、制御装置7Cにおいて、電圧振幅指令値Vを直流電圧検出値Vにより除算する除算器41を位相切換判断器22Cの内部からリミッタ15の後段に置き、この除算器41の出力である変調率λを位相切換判断器22Cの第1の基準値や第2の基準値と比較して切換信号を生成し、この切換信号を第1の電圧位相指令値δと第2の電圧位相指令値δとの切り換えに用いるようにしても請求項1と同様の効果が得られる。
この実施形態は、図3に示した請求項3の発明の実施形態にも適用可能である。
【0051】
次に、請求項4の発明の実施形態を説明する。この実施形態は、図2に示す位相切換判断器22Bの構成に特徴を有しており、請求項3における位相切換判断器22との違いは、除算器41に代えて、速度検出値ωと直流電圧検出値Vとを用いた演算により変調率λを求める演算器43を有することである。
【0052】
すなわち、図2に示した位相切換判断器22B内の演算器43において、速度検出値ωと直流電圧検出値Vとを用いて数式9により演算された変調率λが第1の基準値以上になった場合に、スイッチによりPI調節器33,34の積分器への入力を停止し、電圧位相切換器21により第1の電圧位相指令値δを第2の電圧位相指令値δ’に切り換えて出力する。なお、数式9において、KはPWM変調方式による係数である。
【0053】
【数9】
λ=(K・ωψ)/V
【0054】
また、第2の電圧位相指令値δが選択されていて変調率λが第2の基準値以下になった場合には、スイッチによりPI調節器33,34の積分器への入力を再開し、電圧位相切換器21により、第2の電圧位相指令値δから第1の電圧位相指令値δに切り換えて出力する。
【0055】
次いで、請求項5の実施形態を図7,図8を用いて説明する。構成例としては、図1に示すPI調節器33,34を図7のような構成とし、そのときの位相切換判断器22の動作を図8に示すフローチャートのようにする。
なお、図7ではd軸のPI調節器33について示してあるが、q軸のPI調節器34の構成も同様である。以下では、便宜上、d軸のPI調節器33のみについてその構成、動作を説明する。
【0056】
図7に示すPI調節器33は、比例ゲイン61と、積分器62と、比例ゲイン61の出力と積分器62の出力とを加算する加算器63と、PI調節器33の入力を停止するスイッチ64と、積分器62の出力を増幅する増幅器65と、PI調節器の入力から増幅器65の出力を減算する減算器66と、減算器66への入力を増幅器65の出力か“0”かの何れかに切り換えるスイッチ67とから構成されている。
【0057】
図8において、初期状態としてPI調節器33の入力が停止されていない状態で(スイッチ64がオン)、スイッチ67により減算器66の入力をゼロとし(S21)、電圧位相指令値の切換信号が“0”の状態で電圧位相指令値として第1の電圧位相指令値δを出力している(S22 YES)。
位相切換判断器22において、電圧振幅指令値Vを直流電圧検出値Vにより除算した値である変調率λが位相切換判断器22の第1の基準値以上になった場合に(S23 YES)、切換信号を“1”としてスイッチ64によりPI調節器33への入力を停止し、スイッチ67により減算器66の入力を増幅器65の出力として積分器62の入力をゼロにする(S24〜S26)。このとき、電圧位相指令値は第2の電圧位相指令値δに切り換えられる(S27)。
【0058】
また、第2の電圧位相指令値δが選択されている状態、すなわち切換信号が“1”の状態で(S22 ON)変調率λが第2の基準値以下になった場合(S28 YES)には、切換信号を“0”としてスイッチ64によりPI調節器33への入力を開始すると共に(図7の状態)、スイッチ67により減算器66への入力を“0”にして積分器動作を再開する(S29〜S31)。このとき、電圧位相指令値は第1の電圧位相指令値δに切り換えられる(S32)。
なお、ステップS27,S32の後は終了条件が満たされれば終了し、満たされない場合にはステップS22に戻る(S33)。
【0059】
このときの変調率λとPI調節器33,34の出力との関係を図9に示す。図9(a)において、永久磁石型同期電動機4の速度が上昇し、切換判断値である変調率λが位相切換判断器22の第1の基準値以上になった場合に切換信号が“0”から“1”となり、第1の電圧位相指令値δから第2の電圧位相指令値δに切り換えられる。そのとき、PI調節器33,34への入力が停止し、積分器の値がゼロとなることでPI調節器33,34の出力はゼロとなる。
また、図9(b)において、同期電動機4の速度が減少して変調率λが第2の基準値以下になると、切換信号が“1”から“0”となり、第2の電圧位相指令値δから第1の電圧位相指令値δに切り換えられる。そのとき、PI調節器33,34への入力が再開され、PI調節器33,34の出力がゼロから増加する。
【0060】
なお、請求項5記載の発明については、上記実施形態において請求項1及び請求項3記載の発明に適用した場合につき説明したが、請求項2及び請求項4記載の発明に適用することも可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、永久磁石型同期電動機に対し起動トルク等の大きなトルク電流を流すための電流制御精度が必要な領域では、PI調節器を用いた電流制御手段の出力である第1の電圧位相指令値を用いることで電流偏差の無い電流制御を実現する。また、高速での弱め磁束制御が必要な領域では、電圧振幅指令値、速度検出値、d軸電流検出値等を用いて演算した第2の電圧位相指令値を用いることで、出力電圧一定の条件下でのトルク制御を可能とし、電圧振幅指令値をインバータの最大出力電圧まで用いてd軸電流を減少させ、同一のトルクまたは出力を得る場合の機器の効率を向上させることができる。
【0062】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様に大きなトルク電流を流すための電流制御精度が必要な領域では、電流偏差の無い電流制御を実現し、また、弱め磁束制御が必要な領域では、q軸電流検出値をq軸電流指令値に追従させるような第2の電圧位相指令値を用いることで、出力電圧一定の条件下でのトルク制御を可能とし、電圧振幅指令値をインバータの最大出力電圧まで用いてd軸電流を減少させ、同一トルクまたは出力を得る場合の機器の効率向上を可能にしている。
【0063】
請求項3の発明によれば、請求項1または2に記載した発明において、電圧位相指令値の切換判断を、電圧振幅指令値を直流電圧検出値により除算した値と位相切換手段の基準値との比較により行うこととし、前記除算結果が第1の基準値以上となった場合に電流制御精度が必要な運転領域から弱め磁束制御が必要な運転領域に変わったと判断し、PI調節手段の積分手段の入力を停止すると共に第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換えるものである。また、前記除算結果が第2の基準値以下になった場合には、弱め磁束制御が必要な運転領域から電流制御精度が必要な運転領域に変わったと判断し、PI調節手段の積分手段への入力を再開すると共に、第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換えるものである。
このように電圧位相指令値を切り換えることで、弱め磁束制御が必要な動作領域の直前まで、PI調節手段を用いた電流偏差の無い電流制御を実現することができる。また、弱め磁束制御時にPI調節手段の積分手段の入力を停止することで、積分手段の飽和を防止でき、電圧位相指令値の切換えを行った時でも安定な制御を行うことができる。
【0064】
請求項4の発明によれば、請求項1または2に記載した発明において、電圧位相指令値の切換判断を、速度検出値と直流電圧検出値とを用いて演算した値と位相切換判断手段の基準値とを比較することとし、前記演算結果が第1の基準値以上となった場合に電流制御精度が必要な運転領域から弱め磁束制御が必要な運転領域に変わったと判断し、PI調節手段の積分手段の入力を停止すると共に第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換えるものである。また、前記演算結果が第2の基準値以下になった場合には、弱め磁束制御が必要な運転領域から電流制御精度が必要な運転領域に変わったと判断し、PI調節手段の積分手段への入力を再開すると共に、第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換えるものである。
このように電圧位相指令値を切り換えることで、低速ではPI調節手段を用いた電流偏差の無い電流制御を行ない、高速では弱め磁束制御を行なうことが可能となり、速度検出値を直流電圧検出値により除算した値を切換判断値として用いることで、過度に電圧位相指令値が切換わって制御が不安定になるのを抑制することができる。
更に、弱め磁束制御時にPI調節手段の積分手段の入力を停止することで積分手段の飽和を防ぎ、電圧位相指令値の切換えを行なっても安定な制御を行うことができる。
【0065】
請求項5においては、請求項3または4記載の発明において、電圧位相切換手段により電圧位相指令値を第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換える時に、電流制御手段のPI調節手段への入力を停止して積分手段の値をゼロとし、また、電圧位相指令値を第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換える時に、上記PI調節手段への入力と積分手段の積分動作とを再開するものである。
電圧位相切換手段から第2の電圧位相指令値が出力される弱め磁束制御の際に、上述の如くPI調節手段への入力を停止することで積分手段が飽和するのを防ぐことができ、積分手段の入力をゼロとすることでPI調節手段の出力がゼロとなり、電圧位相指令値の切換え前後の電圧振幅指令値や電圧位相指令値の偏差を少なくし、電圧位相指令値の切換わり時に発生するトルクや電流の急変を抑制して良好なトルク制御を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】請求項2の発明の実施形態を示すブロック図である。
【図3】請求項3の発明の実施形態を示すブロック図である。
【図4】請求項3の発明の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】請求項3の発明の実施形態における電圧位相指令値とPI調節器出力との関係を示す図である。
【図6】請求項1の発明の他の実施形態を示すブロック図である。
【図7】請求項5の発明の実施形態を示すブロック図である。
【図8】請求項5の発明の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図9】請求項5の発明の実施形態における電圧位相指令値とPI調節器出力との関係を示す図である。
【図10】従来技術を示すブロック図である。
【図11】従来技術と本発明の電圧ベクトル図である。
【符号の説明】
1:直流電源
2:電圧形インバータ
3:電流検出器
4:永久磁石型同期電動機
5:位置検出器
6:速度検出器
7A,7B,7C:制御装置
11:座標変換器
12A:電流指令演算器
13:電流制御系
14:極座標変換器
15:リミッタ
16:パルスパターン演算器
21:電圧位相切換器
22,22B,22C:位相切換判断器
23:電圧位相演算器
24,31,32,66:減算器
25:電圧位相調節器
33,34:PI調節器
35,36:補償演算器
37,38,53,63:加算器
41:除算器
42:比較器
43:演算器
51,61:比例ゲイン
52,62:積分器
54,64,67:スイッチ
65:増幅器

Claims (5)

  1. 永久磁石からなる磁極を有する永久磁石型同期電動機を電圧形インバータにより駆動するための制御装置であって、
    永久磁石が作る磁束と同期して回転するdq座標系において同期電動機のトルク指令値から同期電動機のd軸電流指令値及びq軸電流指令値を求める電流指令演算手段と、
    インバータの出力電流検出値をdq座標系に変換してなるd軸電流検出値及びq軸電流検出値をそれぞれd軸電流指令値及びq軸電流指令値に追従させるように調節動作するPI調節手段と、d軸、q軸電流指令値及び同期電動機の速度検出値から電機子抵抗及び同期リアクタンスによる電圧低下や誘起電圧を演算して補償するd軸、q軸の補償演算手段とからなる電流制御手段と、
    この電流制御手段の出力であるd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を極座標形式の電圧振幅指令値及び第1の電圧位相指令値に変換する極座標変換手段と、
    前記電圧振幅指令値及び電圧位相指令値からインバータの駆動用パルスパターンを求めるパルスパターン演算手段とを有する制御装置において、
    q軸電流指令値と電圧振幅指令値とd軸電流検出値と速度検出値と電動機定数とから第2の電圧位相指令値を求める電圧位相演算手段と、
    第1の電圧位相指令値と第2の電圧位相指令値とを切り換える電圧位相切換手段と、
    低速運転時と弱め磁束制御が必要な高速運転時とを判断し、前記電圧位相切換手段に対して切換信号を出力する位相切換判断手段とを備えたことを特徴とする永久磁石型同期電動機の制御装置。
  2. 永久磁石からなる磁極を有する永久磁石型同期電動機を電圧形インバータにより駆動するための制御装置であって、
    永久磁石が作る磁束と同期して回転するdq座標系において同期電動機のトルク指令値から同期電動機のd軸電流指令値及びq軸電流指令値を求める電流指令演算手段と、
    インバータの出力電流検出値をdq座標系に変換してなるd軸電流検出値及びq軸電流検出値をそれぞれd軸電流指令値及びq軸電流指令値に追従させるように調節動作するPI調節手段と、d軸、q軸電流指令値及び同期電動機の速度検出値から電機子抵抗及び同期リアクタンスによる電圧低下や誘起電圧を演算して補償するd軸、q軸の補償演算手段とからなる電流制御手段と、
    この電流制御手段の出力であるd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を極座標形式の電圧振幅指令値及び第1の電圧位相指令値に変換する極座標変換手段と、
    前記電圧振幅指令値及び電圧位相指令値からインバータの駆動用パルスパターンを求めるパルスパターン演算手段とを有する制御装置において、
    q軸電流検出値をq軸電流指令値に追従させるように第2の電圧位相指令値を求める電圧位相調節手段と、
    第1の電圧位相指令値と第2の電圧位相指令値とを切り換える電圧位相切換手段と、
    低速運転時と弱め磁束制御が必要な高速運転時とを判断し、前記電圧位相切換手段に対して切換信号を出力する位相切換判断手段とを備えたことを特徴とする永久磁石型同期電動機の制御装置。
  3. 請求項1または2に記載した永久磁石型同期電動機の制御装置において、
    位相切換判断手段は、
    極座標変換手段の出力である電圧振幅指令値を直流電圧検出値により除算した値が第1の基準値以上になった場合に電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換えて電流制御手段のPI調節手段内の積分手段への入力を停止させるとともに、前記電圧振幅指令値を直流電圧検出値により除算した値が第2の基準値以下になった場合に電圧位相切換手段の出力を第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換えて前記積分手段への入力を再開させるような切換信号を出力することを特徴とする永久磁石型同期電動機の制御装置。
  4. 請求項1または2に記載した永久磁石型同期電動機の制御装置において、
    位相切換判断手段は、
    直流電圧検出値と同期電動機の速度検出値とを用いた演算により求めた値が第1の基準値以上になった場合に電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換えて電流制御手段のPI調節手段内の積分手段への入力を停止させるとともに、前記速度検出値と直流電圧検出値とを用いた演算により求めた値が第2の基準値以下になった場合に電圧位相切換手段の出力を第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換えて前記積分手段への入力を再開させるような切換信号を出力することを特徴とする永久磁石型同期電動機の制御装置。
  5. 請求項3または4に記載した永久磁石型同期電動機の制御装置において、
    位相切換判断手段は、
    電圧位相切換手段の出力を第1の電圧位相指令値から第2の電圧位相指令値に切り換える時に電流制御手段のPI調節手段への入力を停止させるとともに積分手段の入力をゼロにし、かつ、電圧位相切換手段の出力を第2の電圧位相指令値から第1の電圧位相指令値に切り換える時に前記PI調節手段への入力及び前記積分手段の積分動作を再開させるような切換信号を出力することを特徴とする永久磁石型同期電動機の制御装置。
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