JPH061751A - ラセミ化トリフルオロ乳酸類の製造方法 - Google Patents

ラセミ化トリフルオロ乳酸類の製造方法

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JPH061751A
JPH061751A JP18282192A JP18282192A JPH061751A JP H061751 A JPH061751 A JP H061751A JP 18282192 A JP18282192 A JP 18282192A JP 18282192 A JP18282192 A JP 18282192A JP H061751 A JPH061751 A JP H061751A
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Japan
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trifluorolactic
trifluorolactic acid
mmol
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JP18282192A
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Inventor
Toshimasa Katagiri
利真 片桐
Keizo Furuhashi
敬三 古橋
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Original Assignee
Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式化1 【化1】 (式中、Rは置換または非置換のアルキル基を示す)で
表されるトリフルオロ乳酸類のうちトリフルオロメチル
基と水酸基とが結合しているメチン炭素上に不斉中心を
持つ光学活性体を塩基性化合物と反応させることからな
るもので、特に好ましくは前記塩基性化合物としてトリ
アルキルホスフィンとアゾジ炭酸エステル化合物の当量
混合物または二環アミジン化合物を用いることからなる
ラセミ化トリフルオロ乳酸類の製造方法。 【効果】 トリフルオロ乳酸またはその誘導体の光学活
性体からラセミ体を簡便に製造でき、これにより、従来
入手困難であった逆の光学活性を持つトリフルオロ乳酸
またはその誘導体の光学活性体を比較的大量に入手する
ことができ、逆の光学活性を持つトリフルオロ乳酸また
はその誘導体を原料とする生理活性物質などの有機化合
物を容易に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬や農薬等の生理活
性物質、液晶や界面活性剤等の機能性有機材料等々の合
成中間原料として有用なトリフルオロ乳酸類を、鏡像体
の相互変換の方法によりラセミ化して、ラセミ体のトリ
フルオロ乳酸類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、機能性或いは生理活性を有する
既知化合物の水素をフッ素に置き換えた化合物は、その
フッ素原子の特異的な電子効果によりその機能や生理活
性が強化され、或いは新しい機能や生理活性を獲得する
ことが知られている。そのため既知化合物の原料中間体
の特定の水素原子等をフッ素と置換した構造を持つ含フ
ッ素ビルディングブロックが多数設計され合成されてき
ている〔例えば、「90年代のフッ素系生理活性物質」
石川延男監修,CMC社刊(1991)或いは「Fluorine inBioorg
anic Chemistry」J.T.Welch,S.Eswarakrishnan著, John
Wiley & Sons社刊(1991)〕。
【0003】ところで乳酸は、機能性化合物或いは生理
活性物質の原料化合物として、特には光学活性中心を導
入するための原料として広く用いられている。そのフッ
素置換化合物であるトリフルオロ乳酸は光学活性中心を
有する含フッ素化合物であり、有用な原料化合物である
と考えられてきた。このトリフルオロ乳酸の光学活性体
は、トリフルオロプロペンを微生物酸化する(特公昭6
1-14798公報)ことにより得られる、絶対配座S体
の光学活性な3,3,3-トリフルオロプロペンオキシド
を特定の方法で酸化する(詳細は、特願平3-60979
号明細書或いは特願平3-103630号明細書に記載)
ことにより比較的容易かつ安価に得ることができる。し
かし、この方法により得られるトリフルオロ乳酸の光学
活性及びその光学純度はその原料化合物である3,3,3
-トリフルオロプロペンオキシドと同じとなり、R体の
トリフルオロ乳酸の含量はわずかである。従って光学活
性体としてR体を選択的に必要とする場合においては大
半のS体のトリフルオロ乳酸が無駄になり、それを利用
できず不都合である。このS体のトリフルオロ乳酸誘導
体をラセミ化し、得られたラセミ体からR体を連続的に
分離することができれば、このラセミ化と分離を繰り返
すことにより、R体のみを100%に近い収率で得るこ
とも可能になり非常に好都合である。同様にラセミ化法
と、光学活性体の分離法とを組み合わせれば、S体の収
率も現状よりも向上することができる。しかし、光学活
性なトリフルオロ乳酸誘導体からラセミ体を得るための
有効な方法は知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑みてなされたもので、本発明の目的は生理活性物質
や機能性有機化合物等の合成原料として有用なトリフル
オロ乳酸類の一方の鏡像体を選択的に製造するために必
要なラセミ化トリフルオロ乳酸類の製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式化
【化2】 (式中、Rは置換または非置換のアルキル基を示す)で
表されるトリフルオロ乳酸類のうちトリフルオロメチル
基と水酸基とが結合しているメチン炭素上に不斉中心を
持つ光学活性体を塩基性化合物と反応させることからな
るもので、特に好ましくは前記塩基性化合物としてトリ
アルキルホスフィンとアゾジ炭酸エステル化合物の当量
混合物または二環アミジン化合物を用いることからなる
ラセミ化トリフルオロ乳酸類の製造方法である。
【0006】本発明におけるラセミ化反応の原理につい
てはいまだ詳細は明らかではないが、今回用いたラセミ
化試薬が一般にプロトン引き抜き剤としての能力を有す
ることより、反応基質のトリフルオロメチル基の結合し
ているメチン炭素上の水素をこれらの試薬がプロトンと
して一度引き抜きカルバニオンを生成し、その後このカ
ルバニオンのアニオン中心に水素供与体からプロトンが
与えられ元の反応基質のS体R体がそれぞれ1/2の確
率で生成し、見かけ上ラセミ化するものと推測される。
この反応において強酸はラセミ化剤として有効ではない
ことを既に発明者等は見出しているが、このことはこの
反応の機構は、従来知られているカルボニルに対するカ
チオン種の付加により開始するラセミ化反応の機構とは
異なるものであることを示唆している。このような反応
機構の違いは、反応中心であるメチン位に結合している
トリフルオロメチル基に由来するものと推測される。即
ちこのトリフルオロメチル基の強い電子吸引効果により
メチン位の水素がプロトンとして引き抜かれやすくなっ
ており、そのため一般に知られている酸触媒によるラセ
ミ化反応よりも塩基触媒によるラセミ化の方が起りやす
くなっているものと推測される。従って、本発明の上記
一般式化2中のRは、広範なアルキル基、すなわち置換
あるいは非置換のアルキル基であれば、特に支障無く用
いることができる。
【0007】本発明に用いる上記一般式化2のトリフル
オロ乳酸類としては、トリフルオロ乳酸メチルエステ
ル、トリフルオロ乳酸エチルエステル、トリフルオロ乳
酸イソプロピルエステル、トリフルオロ乳酸ブチルエス
テル、トリフルオロ乳酸シクロヘキシルエステル、トリ
フルオロ乳酸ベンジルエステル等を例示することができ
る。このエステル類は、発明者らが開発した方法により
トリフルオロ乳酸と対応するアルコールとの反応により
容易に合成することができる(特願平3-261241明細書)。
【0008】既に述べたように本発明は、基質の反応中
心に結合しているトリフルオロメチル基の強い電子吸引
効果により初めて可能になったものである。従って、ト
リフルオロメチル基の結合しているメチン炭素が不斉中
心となる化合物一般についても本発明のラセミ化法が広
く適応できるものであることは容易に推測される。
【0009】しかし、化合物の安定性の都合上、脱フッ
酸を起し得る、即ち金属中心を持つような硬い塩基をラ
セミ化剤として用いることはあまり好ましくない。特に
は、トリアルキルホスフィン及びアゾジ炭酸エステル
化合物並びにこの試薬に中性の水素供与剤とを組み合わ
せたもの、または二環式アミジン誘導体をラセミ化材
として用いることが好ましい。この試薬のうち型のの
組合せは、ミツノブ試薬として広く知られているもので
あるが、この試薬をこのようなラセミ化剤として用いる
例は見られない。
【0010】まず型のラセミ化剤を用いる反応につい
て説明する。トリアルキルホスフィンとしてはトリフェ
ニルホスフィンが入手しやすく好適である。また、アゾ
ジ炭酸エステル化合物としてはジエトキシアゾジカルボ
キシレ-トが入手しやすくまた取扱いも容易で好まし
い。これらの試薬は、用いるトリフルオロ乳酸エステル
に対して当量以上反応させることが好ましい。
【0011】またこの場合、中性の水素供与剤は、必ず
しも必要ではないが、添加した方がラセミ化の進行が早
く、また生成物の収率も良い。この水素供与剤として
は、1級アミン、p-トルエンスルホニルアミド、イソ
プロパノールが好ましい結果を与える。
【0012】反応を円滑に進めるためには、反応溶媒を
用いる必要が有る。反応溶媒としては例えば、エチルエ
-テル、THF、ヘキサン、塩化メチレン等々を用いる
ことができるが、生成物単離の都合上エチルエーテル又
はTHF、或はこれらの溶媒を混合したものが好まし
い。
【0013】反応は−70℃から溶媒の沸点までの温度
範囲を用い得るが、通常は室温で反応を行なうことが好
ましい。
【0014】反応の終了は、光学分割ガスクロマトグラ
フ法、旋光度などにより確認することができる。反応の
後処理は既知のミツノブ反応の後処理法(O.Mitsunobu,
Synthesis,1981,1.)を用いることができる。また、生
成物は通常の精製方法によりその化学的純度の向上を行
なうことができる。
【0015】次にの二環式アミジン化合物をラセミ化
剤とする反応について説明する。二環式アミジン化合物
としては、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5
(以下「DBN」と略称する)、あるいは、1,8-ジアザビ
シクロ[5.4.0]ウンデセン-5(以下「DBU」と略称す
る)を例示することができる。これらの化合物は試薬と
して入手することができる。これらの試薬は用いるトリ
フルオロ乳酸エステルに対して1当量以上用いることが
必要である。
【0016】反応を円滑に進めるためには、反応溶媒を
用いる必要が有る。反応溶媒としては例えば、エチルエ
ーテル、THF、ヘキサン、塩化メチレン等々を用いる
ことができるが、生成物単離の都合上エチルエーテルと
THFとの混合溶媒が好ましい。これらの溶媒は充分に
脱水されていることが好ましい。
【0017】反応は−70℃から溶媒の沸点までの温度
範囲を用い得るが、通常は室温で反応を行なうことが好
ましい。
【0018】反応の終了は、光学分割ガスクロマトグラ
フ法、旋光度などにより確認することができる。また、
生成物は通常の精製方法によりその化学的純度の向上を
行なうことができる。特に、シリカゲルを用いたカラム
クロマトグラフ法により容易にアミジン化合物を除去す
ることができる。
【0019】
【実施例】トリアルキルホスフィン及びアゾジ炭酸エス
テル化合物を組合せた試薬をラセミ化剤に用いる例 (実施例1)絶対配座がSで、光学純度86%eeの光学
活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシルエステル1.1
3g(5mmol)をTHF2mlとエチルエーテル15mlとの
混合溶媒中に溶かし、そこへトリフェニルホスフィン
1.31gとp-トルエンスルホン酸アミド0.86g(5mm
ol)を加えて溶かした。この溶液中にジエトキシアゾジ
カルボラート0.87g(5mmol)を5mlのエチルエーテル
に溶かした溶液をゆっくり滴下し反応させた。一晩この
反応溶液を静置し、沈殿物を濾過したの知に溶媒を留去
し、得られた油状物質をエーテルに溶かし、これをシリ
カゲルを用いたカラムクロマトグラフ法により精製した
ところ、0.78gのトリフルオロ乳酸シクロヘキシルエ
ステルが収率69%でえられた。
【0020】このようにして得られたトリフルオロ乳酸
シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスクロ
マトグラフ法により測定したところ、その光学純度は2
%ee以下であることが確認された。このことは、反応に
用いたトリフルオロ乳酸シクロヘキシル全体のうち22
%量に相当するS体が立体反転を起こし、R体になり、
ラセミ化したことを示している。
【0021】(実施例2)絶対配座がSで、光学純度8
6%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシルエ
ステル2.26g(10mmol)をエチルエーテル30ml中に
溶かし、そこへトリフェニルホスフィン2.62gとイソ
プロパノール0.6g(10mmol)を加えて溶かした。この
溶液中にジエトキシアゾジカルボラート1.74g(10m
mol)を10mlのエチルエーテルに溶かした溶液をゆっく
り滴下し反応させた。一晩この反応溶液を静置し、沈殿
物を濾過した後に溶媒を留去し、得られた油状物質をエ
ーテルに溶かし、これをシリカゲルを用いたカラムクロ
マトグラフ法により精製したところ、2.03gのトリフ
ルオロ乳酸シクロヘキシルエステルが収率90%でえら
れた。
【0022】このようにして得られたトリフルオロ乳酸
シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスクロ
マトグラフ法により測定したところ、その光学純度は9
%ee以下であることが確認された。
【0023】(実施例3)絶対配座がSで、光学純度8
5%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシルエ
ステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶かし、
そこへトリフェニルホスフィン131mg(0.5mmol)とp
-トルエンスルホン酸アミド86mg(0.5mmol)を加えて
溶かした。この溶液中にジエトキシアゾジカルボラート
87mg(0.5mmol)を0.5mlのTHFに溶かした溶液を
滴下し反応させた。この反応溶液中に存在するトリフル
オロ乳酸シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割
ガスクロマトグラフ法により測定したところ、その光学
純度は28.1%eeであることが確認された。このこと
は、この反応においては、反応に用いたトリフルオロ乳
酸シクロヘキシル全体の約67%に相当する量がラセミ
化を起こしたことを示す。
【0024】(実施例4)絶対配座がSで、光学純度8
0.5%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシ
ルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶か
し、そこへトリフェニルホスフィン131mg(0.5mmo
l)と酢酸30mg(0.5mmol)を加えて溶かした。この溶
液中にジエトキシアゾジカルボラート87mg(0.5mmo
l)を0.5mlのTHFに溶かした溶液を滴下し反応させ
た。この反応溶液中に存在するトリフルオロ乳酸シクロ
ヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスクロマトグ
ラフ法により測定したところ、その光学純度は67.0
%eeであることが確認された。このことは、この反応に
おいては、反応に用いたトリフルオロ乳酸シクロヘキシ
ル全体の約17%に相当する量がラセミ化を起こしたこ
とを示す。
【0025】(実施例5)絶対配座がSで、光学純度8
0.5%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシ
ルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶か
し、そこへトリフェニルホスフィン131mg(0.5mmo
l)とイソプロパノール30mg(0.5mmol)を加えて溶か
した。この溶液中にジエトキシアゾジカルボラート87
mg(0.5mmol)を0.5mlのTHFに溶かした溶液を滴下
し反応させた。この反応溶液中に存在するトリフルオロ
乳酸シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガス
クロマトグラフ法により測定したところ、その光学純度
は40.5%eeであることが確認された。このことは、
この反応においては、反応に用いたトリフルオロ乳酸シ
クロヘキシル全体の約25%に相当する量がラセミ化を
起こしたことを示す。
【0026】(実施例6)絶対配座がSで、光学純度8
0.5%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシ
ルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶か
し、そこへトリフェニルホスフィン131mg(0.5mmo
l)とsec-ブチルアミン35mg(0.5mmol)を加えて溶か
した。この溶液中にジエトキシアゾジカルボラート87
mg(0.5mmol)を0.5mlのTHFに溶かした溶液を滴下
し反応させた。この反応溶液中に存在するトリフルオロ
乳酸シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガス
クロマトグラフ法により測定したところ、その光学純度
は70.5%eeであることが確認された。このことは、
この反応においては、反応に用いたトリフルオロ乳酸シ
クロヘキシル全体の約12%に相当する量がラセミ化を
起こしたことを示す。
【0027】(実施例7)絶対配座がSで、光学純度8
0.5%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシ
ルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶か
し、そこへ1,2-ビスジフェニルホスフィノエタン10
0mg(0.25mmol)とパラトルエンスルホン酸アミド8
6mg(0.5mmol)を加えて溶かした。この溶液中にジエ
トキシアゾジカルボラート87mg(0.5mmol)を0.5ml
のTHFに溶かした溶液を滴下し反応させた。この反応
溶液中に存在するトリフルオロ乳酸シクロヘキシルエス
テルの光学純度を光学分割ガスクロマトグラフ法により
測定したところ、その光学純度は32.4%eeであるこ
とが確認された。このことは、反応に用いたトリフルオ
ロ乳酸シクロヘキシル全体の約60%に相当する量がラ
セミ化を起こしたことを示す。
【0028】(実施例8)絶対配座がSで、光学純度7
5.8%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシ
ルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶か
し、そこへトリフェニルホスフィン131mg(0.5mmo
l)とエタノール23mg(0.5mmol)を加えて溶かした。
この溶液中にジエトキシアゾジカルボラート87mg(0.
5mmol)を0.5mlのTHFに溶かした溶液を滴下し反応
させた。この反応溶液中に存在するトリフルオロ乳酸シ
クロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスクロマ
トグラフ法により測定したところ、その光学純度は5
3.3%eeであることが確認された。このことは、反応
に用いたトリフルオロ乳酸シクロヘキシル全体の約30
%に相当する量がラセミ化を起こしたことを示す。
【0029】(実施例9)絶対配座がSで、光学純度7
5.8%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシ
ルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶か
し、そこへトリフェニルホスフィン131mg(0.5mmo
l)と水9mg(0.5mmol)を加えて溶かした。この溶液中
にジエトキシアゾジカルボラート87mg(0.5mmol)を
0.5mlのTHFに溶かした溶液を滴下し反応させた。
この反応溶液中に存在するトリフルオロ乳酸シクロヘキ
シルエステルの光学純度を光学分割ガスクロマトグラフ
法により測定したところ、その光学純度は60.6%ee
であることが確認された。このことは、反応に用いたト
リフルオロ乳酸シクロヘキシル全体の約20%に相当す
る量がラセミ化を起こしたことを示す。
【0030】(実施例10)絶対配座がSで、光学純度
75.8%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキ
シルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶
かし、そこへトリフェニルホスフィン131mg(0.5mm
ol)と1,10-デカンジアミン43mg(0.25mmol)を加
えて溶かした。この溶液中にジエトキシアゾジカルボラ
ート87mg(0.5mmol)を0.5mlのTHFに溶かした溶
液を滴下し反応させた。この反応溶液中に存在するトリ
フルオロ乳酸シクロヘキシルエステルの光学純度を光学
分割ガスクロマトグラフ法により測定したところ、その
光学純度は21.2%eeであることが確認された。この
ことは、反応に用いたトリフルオロ乳酸シクロヘキシル
全体の約72%に相当する量がラセミ化を起こしたこと
を示す。
【0031】(実施例11)絶対配座がSで、光学純度
85%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシル
エステル90mg(0.4mmol)及びトリフェニルホスフィ
ン131mg(0.5mmol)をTHF0.5mlに溶かし、そこ
へジエトキシアゾジカルボラート87mg(0.5mmol)を
THF0.5mlに溶かした溶液を加え室温で1日反応さ
せた。この反応溶液中に存在するトリフルオロ乳酸シク
ロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスクロマト
グラフ法により測定したところ、その光学純度は49.
0%eeであることが確認された。このことは、このトリ
フェニルホスフィン及びジエトキシアゾジカルボラート
だけでもトリフルオロ乳酸シクロヘキシル全体の約42
%に相当する量がラセミ化を起こすことを示している。
【0032】(実施例12)絶対配座がSで、光学純度
85%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシル
エステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5mlに溶かし、
そこへトリフェニルホスフィン131mg(0.5mmol)を
加えて溶かした。この溶液中にTHFを更に0.5ml添
加した上でこの反応混液を室温で1日反応させた。この
反応溶液中に存在するトリフルオロ乳酸シクロヘキシル
エステルの光学純度を光学分割ガスクロマトグラフ法に
より測定したところ、その光学純度は81.1%eeであ
ることが確認された。このことは、反応に用いたトリフ
ルオロ乳酸シクロヘキシル全体の約5%に相当する量が
ラセミ化を起こしたことを示す。
【0033】(実施例13)絶対配座がSで、光学純度
85%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシル
エステル90mg(0.4mmol)をTHF 0.5mlに溶か
し、そこへジエトキシアゾジカルボラート87mg(0.5
mmol)をTHF0.5mlに溶かした溶液を加え室温で1日
反応させた。この反応溶液中に存在するトリフルオロ乳
酸シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスク
ロマトグラフ法により測定したところ、その光学純度は
84.0%eeであることが確認された。このことは、こ
のジエトキシアゾジカルボラートだけではラセミ化は殆
ど起こらず、反応に用いたトリフルオロ乳酸シクロヘキ
シル全体の約1%に相当する量のみがラセミ化を起こし
たことを示す。
【0034】(実施例14)絶対配座がSで、光学純度
85%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシル
エステル90mg(0.4mmol)及びパラトルエンスルホン
酸アミド86mg(0.5mmol)をTHF0.5mlに溶かし、
そこへジエトキシアゾジカルボラート87mg(0.5mmo
l)をTHF0.5mlに溶かした溶液を加え室温で1日反
応させた。この反応溶液中に存在するトリフルオロ乳酸
シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスクロ
マトグラフ法により測定したところ、その光学純度は7
9.0%eeであることが確認された。このことは、反応
に用いたトリフルオロ乳酸シクロヘキシル全体の約7%
に相当する量がラセミ化を起こしたことを示す。
【0035】(実施例15)絶対配座がSで、光学純度
75.8%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキ
シルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶
かし、そこへトリフェニルホスフィン52mg(0.2mmo
l)とp-トルエンスルホン酸アミド34mg(0.2mmol)を
加えて溶かした。この溶液中にジエトキシアゾジカルボ
ラート31mg(0.2mmol)を0.5mlのTHFに溶かした
溶液を滴下し反応させた。この反応溶液中に存在するト
リフルオロ乳酸シクロヘキシルエステルの光学純度を光
学分割ガスクロマトグラフ法により測定したところ、そ
の光学純度は62.8%eeであることが確認された。こ
のことは、この反応においては、反応に用いたトリフル
オロ乳酸シクロヘキシル全体の約17%に相当する量が
ラセミ化を起こしたことを示す。
【0036】(実施例16)絶対配座がSで、光学純度
75.8%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキ
シルエステル90mg(0.4mmol)をTHF0.5ml中に溶
かし、そこへトリエチルアミン51mg(0.5mmol)とp-
トルエンスルホン酸アミド86mg(0.5mmol)を加えて
溶かした。この溶液中にジエトキシアゾジカルボラート
78mg(0.5mmol)を0.5mlのTHFに溶かした溶液を
滴下し反応させた。この反応溶液中に存在するトリフル
オロ乳酸シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割
ガスクロマトグラフ法により測定したところ、その光学
純度は72.5%eeであることが確認された。このこと
は、反応に用いたトリフルオロ乳酸シクロヘキシル全体
の約4%に相当する量のみがラセミ化を起こしたことを
示す。
【0037】二環式アミジン化合物をラセミ化剤に用い
る例 (実施例17)絶対配座がSで、光学純度76%eeの光
学活性なトリフルオロ乳酸シクロヘキシルエステル1.
0g(4.4mmol)をTHF10ml中に溶かし、そこへDB
U0.74g(4.8mmol)をゆっくり滴下し反応させた。
一晩この反応溶液を静置し、得られた反応混液をシリカ
ゲルを用いたカラムクロマトグラフ法により精製したと
ころ、0.46gのトリフルオロ乳酸シクロヘキシルエス
テルが収率46%でえられた。
【0038】このようにして得られたトリフルオロ乳酸
シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスクロ
マトグラフ法により測定したところ、その光学純度は
0.5%ee以下であることが確認された。
【0039】(実施例18)絶対配座がSで、光学純度
76%eeの光学活性なトリフルオロ乳酸メチルエステル
1.0g(6.3mmol)をTHF10ml中に溶かし、そこへ
DBU1.06g(7.0mmol)をゆっくり滴下し反応させ
た。一晩この反応溶液を静置し、得られた反応混液をシ
リカゲルを用いたカラムクロマトグラフ法により精製し
たところ、0.15gのトリフルオロ乳酸メチルエステル
が収率15%でえられた。
【0040】このようにして得られたトリフルオロ乳酸
シクロヘキシルエステルの光学純度を光学分割ガスクロ
マトグラフ法により測定したところ、その光学純度は
0.5%ee以下であることが確認された。
【0041】
【発明の効果】本発明は、産業上有用な含フッ素化合物
を合成するための原料として有用なトリフルオロ乳酸ま
たはその誘導体の光学活性体からラセミ体を簡便に製造
でき、これにより、従来入手困難であった逆の光学活性
を持つトリフルオロ乳酸またはその誘導体の光学活性体
を比較的大量に入手することができ、逆の光学活性を持
つトリフルオロ乳酸またはその誘導体を原料とする生理
活性物質などの有機化合物を容易に製造できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式化1 【化1】 (式中、Rは置換又は非置換のアルキル基を示す)で表
    されるトリフルオロ乳酸類のうちトリフルオロメチル基
    と水酸基とが結合しているメチン炭素上に不斉中心を持
    つ光学活性体を塩基性化合物と反応させることを特徴と
    するラセミ化トリフルオロ乳酸類の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の塩基性化合物としてトリ
    アルキルホスフィンとアゾジ炭酸エステル化合物との混
    合物を用いることを特徴とするラセミ化トリフルオロ乳
    酸類の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の塩基性化合物を用いる方
    法において、中性のプロトン供与体を添加することを特
    徴とするラセミ化トリフルオロ乳酸類の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の塩基性化合物として二環
    アミジン化合物を用いることを特徴とするラセミ化トリ
    フルオロ乳酸類の方法。 【0001】
JP18282192A 1992-06-18 1992-06-18 ラセミ化トリフルオロ乳酸類の製造方法 Pending JPH061751A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008273862A (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Yunimatekku Kk 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルプロパン酸エステルの製造法

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JP2008273862A (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Yunimatekku Kk 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルプロパン酸エステルの製造法

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