JPH06172627A - 液晶ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂組成物

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JPH06172627A
JPH06172627A JP35807392A JP35807392A JPH06172627A JP H06172627 A JPH06172627 A JP H06172627A JP 35807392 A JP35807392 A JP 35807392A JP 35807392 A JP35807392 A JP 35807392A JP H06172627 A JPH06172627 A JP H06172627A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強度、加工性、異方性などが改善された溶融
状態で光学的異方性を示すポリエステル組成物を提供す
る。 【構成】 溶融状態において光学的異方性を示すポリエ
ステルを主体としこれにアルカリ金属オキシ有機化合物
を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融状態で光学的異方性
を示すポリエステル組成物に関する。さらに詳しくは強
度、加工性、異方性などが改善された溶融状態で光学的
異方性を示すポリエステル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジニアリングプラスチックは非常に
多種類のものが上市され、耐熱性、機械強度に優れた樹
脂がそれぞれの特性にあわせて電気電子部品、自動車部
品、精密機械部品などに広く用いられている。しかしな
がら高性能化に対する要求はますます高まり、なかでも
特に剛直な分子鎖からなり、溶融時に光学的異方性を示
すポリエステル(以下、LCPと称することがある。)
は、溶融粘度が低く加工性が良好でしかも優れた機械特
性、耐熱性を有することで知られている。
【0003】しかしながらこれらのLCPは溶融状態で
高度な配向性を示しその結果機械的物性に異方性を生じ
易く、また成形品においてはそり易い、ウエルド強度が
弱い、表面がフィブリル化しやすく剥離しやすいなどの
実用上の欠点も有している。
【0004】この異方性の緩和方法としては種々の方法
が検討されている。例えばガラス繊維や無機フィラーを
充填しても異方性が緩和されるが、この方法では数十%
充填しないと効果が得られないためLCP本来の特徴で
ある加工性が犠牲になり、またガラス繊維という充填剤
を配合するためフィルムや繊維などに用いることができ
ず、実用上不十分な点が多いのが問題となっている。
【0005】またかかる欠点を補う方法として種々のポ
リマーをミックスして新しい材料を作ることが近年ポリ
マーアロイ或いはポリマーブレンドとして開発されてお
り、たとえばLCPについても特開昭56−11535
7号公報ではLCPと各種ポリマーによるブレンドの検
討がなされている。
【0006】しかしこのブレンドにおいてはLCPの引
張強さや曲げ弾性率といった機械物性は十分でなく、さ
らに異方性の改良もみられず必ずしも満足できるもので
はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これまで種々の方法が
検討され発表されているにも関わらず、LCPが実用化
されている例は少なく、フィラー充填によって改良され
たものが製品となっているにすぎない。これはこのポリ
マーが溶融状態で高度に配向しその結果、異方性が大き
くなる為である。しかし前述のように加工性が低下する
という欠点がある。
【0008】また従来提案されている他の樹脂とのブレ
ンドにおいても、LCPはその特性故に他の樹脂との相
溶姓が悪いため相分離することが多く、フィルムや成形
品にした場合、その表面における表面フィブリル化(毛
羽立ち現象)が激しく、実用上の使用に耐えられないも
のであった。
【0009】本発明は、LCPの優れた加工性を維持し
つつ、かつ機械的な異方性を改良しその結果機械特性を
向上させた溶融状態において光学的異方性を示すポリエ
ステル組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、溶融
状態において光学的異方性を示すポリエステルを主体と
しこれにアルカリ金属オキシ有機化合物を配合してなる
ことを特徴とする樹脂組成物である。
【0011】以下本発明をさらに説明する。
【0012】本発明で用いる溶融状態で光学的異方性を
示すポリエステルとは、溶融時に光学的異方性を示す熱
可塑性溶融可能なポリマーである。このような溶融時に
光学的異方性を示すポリマーは、溶融状態でポリマー分
子鎖が規則的な並行配列をとる性質を有している。光学
的異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した通常の
偏光検査法により確認できる。一般の溶融異方性を示さ
ないポリマーでは溶融状態で等方性となるが、溶融過程
において異方性を示す場合固相から異方性の液晶相を経
て等方相に変化する。
【0013】また機械的異方性も確認できる。すなわち
射出成形した場合に成形品表面の剥離、フィブリル化が
著しくなりまた、樹脂の流れ方向とその方向に直角方向
との物性の差が大きいことにより確認できる。
【0014】この溶融状態で光学的異方性を示すポリエ
ステルは、一般にはサーモトロピック液晶ポリマーとし
て知られている。このサーモトロピック液晶ポリマー
は、一般に細長く、偏平で、分子の長鎖に沿って剛性が
高く同軸または並行のいずれかの関係にある複数の連鎖
伸長結合を有しているようなモノマーから製造される。
【0015】溶融時に光学的異方性を示すポリマーは、
溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性
質を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏光子を
利用した通常の偏光検査法により確認することができ
る。
【0016】上記サーモトロピック液晶ポリエステルと
しては、たとえば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエ
ステルイミドなど、具体的には(全)芳香族ポリエステ
ル、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート等
が挙げられる。すなわち、分子内にエステル結合を複数
個含む限りポリエステルの範中に含まれる。好ましいポ
リエステルは、芳香族ポリエステルである。
【0017】本発明において用いるサーモトロピック液
晶ポリエステルには、一つの高分子鎖の一部が異方性溶
融相を形成するポリマーのセグメントで構成され、残り
の部分が異方性溶融相を形成しないポリマーのセグメン
トから構成されるポリマーも含まれる。また、複数のサ
ーモトロピック液晶ポリマーを複合したものも含まれ
る。
【0018】サーモトロピック液晶ポリエステルを構成
するモノマーの代表例としては (a)芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種、 (b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくと
も1種、 (c)芳香族ジオール系化合物の少なくとも1種、 (d)(d1)芳香族ジチオール、(d2)芳香族チオ
フェノール、(d3)芳香族チオールカルボン酸化合物
の少なくとも1種、 (e)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合
物の少なくとも1種 等があげられる。これらは単独で構成される場合もある
が、多くは(a)と(c)、(a)と(d)、(a)
(b)と(c)、(a)(b)と(e)、あるいは
(a)(b)(c)と(e)等の様に組合せて構成され
る。
【0019】上記(a)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボ
ン酸、4,4’−トリフェニルジカルボン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン
−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,
4’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4’−ジ
カルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,
3’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3’−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3’−ジカルボ
ン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族
ジカルボン酸またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレ
フタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、
ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシ
テレフタル酸、エトキシテレフタル酸等、上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0020】(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチ
ル−4,ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ
酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、
2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息
香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3
−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−
5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−ク
ロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジク
ロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸
のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げら
れる。
【0021】(c)芳香族ジオールとしては、4,4’
−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジヒドロキシジ
フェニル、4,4’−ジヒドロキシトリフェニル、ハイ
ドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオー
ル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3’−ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオ
ール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族
ジオールまたはクロロハイドロキノン、メチルハイドロ
キノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロ
キノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロ
キノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン
等の芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体が挙げられる。
【0022】(d1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオ
ール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフ
タレン−ジチオール等が挙げられる。
【0023】(d2)芳香族チオフェノールとしては、
4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノー
ル、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
【0024】(d3)芳香族チオールカルボン酸として
は、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香
酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト
−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0025】(e)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジ
アミン系化合物としては、4−アミノフェノール、N−
メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジ
アミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、
N,N’−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3
−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノー
ル、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−
1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェ
ニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルメタン、
4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリ
ン)、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、2,5−
ジアミノトルエン、4,4’−エチレンジアニリン、
4,4’−ジアミノジフェノキシエタン、4,4’−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4’−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリ
ン)等か挙げられる。
【0026】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
エステルは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やス
ラリー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造
することができる。
【0027】分子量としては、本発明に用いるに好適な
サーモトロピック液晶ポリエステルのそれは、約200
0〜200000、好ましくは約10000〜1000
00である。かかる分子量の測定は、例えば圧縮フィル
ムについて赤外分光法により末端基を測定して求めるこ
とができる。また溶液形成を伴う一般的な測定法である
GPCによることもできる。
【0028】これらのモノマーから得られるサーモトロ
ピック液晶ポリマーのうち一般式〔I〕で表されるモノ
マー単位を必須成分として含む(共)重合体である芳香
族ポリエステルが好ましい。該モノマー単位は約5モル
%以上含むものが好ましい。
【0029】
【化2】
【0030】本発明の特に好ましい芳香族ポリエステル
は、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェノ
ールの3種の化合物からそれぞれ誘導される構造の繰り
返し単位を有する一般式〔II〕で表されるポリエステ
ル(このポリエステルのビフェノールから誘導される構
造の繰り返し単位は、その一部または全部をジヒドロキ
シベンゼンから誘導される繰り返し単位で置換されたポ
リエステルであることもできる)、p−ヒドロキシ安息
香酸およびヒドロキシナフタリンカルボン酸の2種の化
合物からそれぞれ誘導される構造の繰り返し単位を有す
る一般式〔III〕で表されるポリエステルである。
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】LCPに配合する本発明で用いるアルカリ
金属オキシ有機化合物は一般式〔IV〕で表される置換
基を分子中に少なくとも1個有する化合物であり、一般
的にはアルカリ金属アルコラート(もしくはフエノラー
ト)化合物と表現しうる。
【0034】
【化5】
【0035】ここで、Rは二価の炭化水素残基、Meは
アルカリ金属を示す。この置換基は、好ましくは分子末
端として存在するものであり、さらに好ましくは分子の
両末端が該置換基で置換されているような有機化合物で
ある。
【0036】アルカリ金属Meは、具体的にはLi、N
a、K、Rb、Cs、Frであり好ましくはNa、K、
特に好ましくはNaであるアルカリ金属である。
【0037】このアルカリ金属オキシ有機化合物中にお
いて前記置換基により、アルカリ金属のアルコラートま
たはフェノラートを形成しているものである。従って、
二価の炭化水素残基Rは脂肪族炭化水素残基、脂環族炭
化水素残基などの非芳香族炭化水素残基である場合には
金属アルコラートを形成し、またフェニレン、ナフチレ
ン、ビフェニレンなどの芳香族性炭化水素である場合に
は金属フェノラートを形成している。すなわち、脂肪族
性水酸基および芳香族性水酸基を合計した水酸基におけ
る水素原子の50モル%以上がアルカリ金属とフェノラ
ートまたはアルコラートを形成しているものが好まし
い。
【0038】前記一般式〔IV〕で示される二価の炭化
水素残基Rの炭素数は1〜20であり、好ましくは側鎖
を有することのある炭素数6〜20の芳香族炭化水素残
基である。具体的には、例えば、芳香族置換基を有する
ことのあるフェニレン、ナフチレン、ビフェニレンなど
の二価の炭化水素残基である。
【0039】上記特定の置換基は、分子中に少なくとも
1個有することが必要である。好ましい該置換基の形態
は、分子鎖末端の基として有するものである。
【0040】アルカリ金属オキシ有機化合物としては、
上記特定の置換基を有する限りさらに限定はないが、好
ましくは分子量500〜500000、好ましくは50
0〜100000の範囲にある有機化合物である。常温
での態様は液状でもまた固体でもよい。好ましくは常温
固体の有機化合物である。機械的物性向上のためには融
点の観点からさらに好ましくは、融点100℃以上の熱
可塑性の樹脂状有機化合物である。熱分解することなく
熱可塑化するならば、融点の上限値は特に限定されな
い。通常は400℃以下の温度である。
【0041】好ましい有機化合物は、配合時の安定性の
点から一般式〔V〕で表される繰り返し単位を含むもの
である。
【0042】
【化6】
【0043】ここで、Xは、フルフォニル基(−SO
−)であり、RおよびRの基は、同一もしくは異な
る二価の脂肪族もしくは脂環族炭化水素残基または二価
の芳香族炭化水素残基であり、nは3〜50の範囲の整
数を示す。
【0044】また、かかる有機化合物の分子末端の少な
くとも一つがアルコール性水酸基またはフェノール性水
酸基であって、そのいずれか一つがアルカリ金属とのア
ルコラートまたはフェノラートを形成しているような有
機化合物である。すなわち、分子末端が前記式(I)で
表される置換基を有するものである。
【0045】ここで、前記式(II)において、R
よびRの基は同一もしくは異なる二価の脂肪族もしく
は脂環族炭化水素残基または二価の芳香族炭化水素残基
である。これらの残基の炭化水素原子の数は、1〜20
の範囲である。好ましい二価の炭化水素残基は側鎖を有
することのあるフェニレン、ナフチレンまたはビフェニ
レンなどの炭素数6〜20の範囲にある芳香族炭化水素
残基である。
【0046】なお、一般式(V)で表される繰り返し単
位を含む限り、他の繰り返し単位例えば、ビスフェノー
ル−Aから誘導される繰り返し単位または4,4−ビフ
ェノールから誘導される繰り返し単位などを適宜に含む
ことができる。
【0047】繰り返し単位の数であるnは、特に限定さ
れないが、通常は3〜50の範囲の整数を示す。3個未
満では異方性改良効果を得ることが難しく、また50個
を越える場合には流動性が低下し成形性が困難になり実
用に向かない。
【0048】例えば、4,4’−ジクロロジフェニル
スルフォンから誘導される繰り返し単位を含む化合物、
さらに具体的には例えば4,4’−ジクロロジフェニル
スルフォンおよびビスフェノール Aから誘導される
繰り返し単位を含む化合物などである。さらに4,4’
−ジクロロジフェニル スルフォンおよび4,4’−ビ
フェノールから誘導される繰り返し単位を有する化合物
も例示される。分子中にサルホン骨格のほかエーテル基
をも含む化合物、例えば4−(4−クロロフェニル−ス
ルフォニル)フェノールから誘導される繰り返し単位を
含む化合物も例示される。
【0049】なお、一般に市販されているポリエーテル
サルフォン樹脂などは、あらかじめアルカリ金属分を洗
浄等で取り除いているために分子末端はいずれも水酸基
となっている。それ故、本発明の有機化合物とは明確に
区別される異なる物質である。
【0050】具体的な構造式で表される前記一般式
(V)の化合物の具体例は、以下のとおりである。
【0051】
【化7】
【0052】本発明のアルカリ金属オキシ有機化合物の
製造法は特に限定されず、従来公知の方法により製造さ
れ得る。その一例を例示すると、Williamson
合成方法によって合成することができる。例えばモノマ
ーとして4,4’−ジクロロジフェニルサルフォンと
4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパンのアルカリ
塩をサルフォランの様なアルカリ溶媒中で200℃で加
熱することで重合できる。
【0053】LCPに対する前記有機化合物の添加量は
通常LCP 100重量部に対して1〜50重量部を使
用する。特に好ましくは3〜10重量部である。添加量
が1重量部未満では機械強度が向上せず異方性の改良効
果も少ない、50重量部を越える配合量では強度の向上
は認められず加工性も劣り経済的にも不利になる。
【0054】本発明の組成物に対しては、さらにLCP
や前記有機化合物以外の第三の樹脂を配合することもで
きる。
【0055】混合する樹脂は熱可塑柱樹脂、熱硬化性樹
脂のいずれでもよいが、好ましくはポリアミド樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレン
サルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリ
サルフォン樹脂ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテル
エーテルケトン樹脂などのいわゆる熱可塑性のエンジニ
アリングプラスチックが例示される。
【0056】上記第三の熱可塑性樹脂の配合量は、本発
明のLCP 100重量部あたり1〜200重量部、好
ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは1〜50
重量部である。
【0057】なお本発明で得られる樹脂組成物に対し
て、さらに耐熱性、機械的性質を向上させるため強化剤
または充填剤を添加することができる。強化剤または充
填剤の具体例としては、繊維状、粉粒状および両者の混
合物が挙げられる。繊維状の強化剤としてはガラス繊
維、シラスガラス繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊
維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石こう繊維、金
属繊維(例えばステンレス繊維など)などの無機質繊維
および炭素繊維などが挙げられる。また粉粒状の強化剤
としては、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マ
イカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、ア
ルミナシリケートなどのケイ酸塩、アルミナ、酸化ケイ
素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニア、酸化チタンな
どの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、ピロリン酸
カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビー
ズ、窒化ほう素、炭化ケイ素、サロヤンなどが挙げら
れ、これらは中空であってもよい(例えば、中空ガラス
繊維、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、カー
ボンバルーンなど)。上記強化剤は必要ならばシラン系
またはチタン系カップリング剤で予備処理して使用する
こともできる。
【0058】また、本発明の樹脂組成物には、本発明の
目的を損なわない範囲で、酸化防止剤および熱安定剤
(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、フォ
スファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収
剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾト
リアゾール、ベンゾフェノンなど)、骨剤および離型
剤、染料(例えばニトロシンなど)、および顔料(例え
ば、硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラッ
クなど)を含む着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤な
どを通常の添加剤を添加し、所定の特性を付与すること
ができる。強化剤および充填剤などは、組成物全体に対
して80重量%以下、好ましくは70重量%以下配合す
ることができる。
【0059】本発明のLCPと本発明の有機化合物の混
合方法は、特に限定されず従来公知の方法で行うことが
できる。例えば押出機を用いて加熱溶融して反応させる
方法、LCPを溶融合成する過程で本発明の有機化合物
を混合する方法、さらにこの混合物を粉砕して固相状態
で反応させる方法がある。
【0060】本発明においては押出機で溶融混練する方
法が簡便でありながら均一に混合できるので最も好まし
い。この時適宜に少量の溶剤を添加することも可能であ
る。溶融混練する装置としては、バンバリーミキサー、
スタチックミキサーローラー、ニーダー等を連続的或い
は回分的に用いることができるが、単軸押出機、2軸押
出機を連続で用いることが効果的である。
【0061】前記第三の熱可塑性樹脂を混合する方法
は、本発明の有機化合物と同時に混合してもよいし、あ
らかじめLCPと本発明の有機化合物を混合したものに
混合しても良い。さらにLCPに該第三の樹脂をあらか
じめ混合した後、本発明の有機化合物を混合しても良
い。
【0062】
【実施例】以下実施例にて本発明を詳述する。
【0063】初めに実施例および比較例において使用し
た材料を説明する。
【0064】溶融光学的異方性ポリエステルとして LCP(A−1):フタル酸、イソフタル酸、4−ヒ
ドロキシ安息香酸および4,4−ジヒドロキシジフェニ
ルから合成されたLCPの粉状物。ホットステージを装
着した偏光顕微鏡を用いて光学的異方性を観察したとこ
ろ340℃以上で溶融状態で光学的異方性を示した。
【0065】LCP(A−2):ポリエチレンテレフ
タレート、4−アセトキシ安息香酸から合成されたLC
P。このポリエステルは210℃〜370℃の温度範囲
で溶融状態にあり光学的異方性を示した。
【0066】アルカリ金属オキシ有機化合物
【0067】
【化8】
【0068】
【化9】
【0069】金属アルコラート(B−1):4,4’−
ジヒヒドロキシフェニルスルホンおよび4,4’−ジク
ロロフェニルスルホンをモノマーとして過剰水酸化ナト
リウムのサルフォラン溶媒中で合成された金属アルコラ
ート化合物。
【0070】金属アルコラート(B−2):4,4’−
ジヒヒドロキシフェニルスルホン、4,4’−ジクロロ
ジフェニルスルホン、ビスフェノール−Aをモノマーと
して過剰水酸化ナトリウムのサルフォラン溶媒中で合成
された金属アルコラート化合物。
【0071】金属アルコラート(B−3):4,4’−
ジヒヒドロキシフェニルスルホン、4,4−ビフェノー
ルをモノマーとして過剰水酸化ナトリウムのサルフォラ
ン溶媒中で合成された金属アルコラート化合物。
【0072】LCP以外の第三の樹脂として ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂(住友化
学製 商品名ヴィクトレックス450G) 引張強さ:990kg/cm、曲げ強さ1450kg
/cm、HDT152℃ ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(東レ製
商品名東レPBT1401X06) 引張強さ:570kg/cm、曲げ強さ870kg/
cm、HDT58℃ポリカーボネート(PC)樹脂
(三菱ガス化学製 商品名ユーピロンS1000) 引張強さ:650kg/cm、曲げ強さ870kg/
cm、HDT136℃を使用した。
【0073】実施例及び比較例 2軸押出機で混練部の温度350℃にて、表に示す原料
を溶融混合して押出しによりペレットを作った。このペ
レットから各種測定用の試料片を射出成形により作成し
た。
【0074】評価項目は一般的な機械特性の測定として
引張強さ試験(ASTM−D638)およびHDT(:
荷重たわみ温度ASTM−D648)の測定を行った。
【0075】機械的異方性の改善の指標としては、得ら
れた成形品としての試料片表面のフィブリル化の度合い
の確認を行った。
【0076】その確認は直径5mmの鋼棒に市販の粘着
テープを巻き、試験片の表面を5kgfの力を加えて1
0回擦りその跡を目視で確認した。
【0077】成形性の指標としては、得られた成形品と
しての試料片外観の良否を目視で確認した。
【0078】結果を表に示す。
【0079】
【発明の効果】本発明の効果は、LCPに金属アルコレ
ートを混合して改良することにより、異方性が緩和され
フィブリルが抑えられ、しかも機械強度が向上すること
である。本発明によってLCPの問題点が解決され応用
範囲を広げることができ工業的に有用である。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融状態において光学的異方性を示すポ
    リエステルを主体としこれにアルカリ金属オキシ有機化
    合物を配合してなることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ金属オキシ有機化合物が下
    記式で表される繰返単位を含む請求項1記載の組成物。 【化1】 ここで、Xは、スルフォニル基(−SO−)であり、
    およびRの基は、同一もしくは異なる二価の脂肪
    族もしくは脂環族炭化水素残基または二価の芳香族炭化
    水素残基であり、nは3〜50の範囲の整数を示す。
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