JPH0617171A - ガスタービン翼用合金 - Google Patents
ガスタービン翼用合金Info
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- JPH0617171A JPH0617171A JP5082542A JP8254293A JPH0617171A JP H0617171 A JPH0617171 A JP H0617171A JP 5082542 A JP5082542 A JP 5082542A JP 8254293 A JP8254293 A JP 8254293A JP H0617171 A JPH0617171 A JP H0617171A
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- titanium
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C19/00—Alloys based on nickel or cobalt
- C22C19/03—Alloys based on nickel or cobalt based on nickel
- C22C19/05—Alloys based on nickel or cobalt based on nickel with chromium
- C22C19/051—Alloys based on nickel or cobalt based on nickel with chromium and Mo or W
- C22C19/056—Alloys based on nickel or cobalt based on nickel with chromium and Mo or W with the maximum Cr content being at least 10% but less than 20%
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C19/00—Alloys based on nickel or cobalt
- C22C19/03—Alloys based on nickel or cobalt based on nickel
- C22C19/05—Alloys based on nickel or cobalt based on nickel with chromium
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- Materials Engineering (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ガスタービンの回転翼鋳造に適し、異方性凝
固時の高い応力破壊強度と、優れた耐食性を得るための
少なくとも15重量%のクロムと、長期の使用に耐える
安定性を有するニッケル系合金を提供する。 【構成】 ガスタービン翼用ニッケル系合金は下記重量
%の下記元素から成る:クロム14.75乃至16.
0;コバルト8.0乃至8.5;アルミニウム3.4乃
至4.0;チタン3.4乃至4.3;アルミニウム+チ
タン7.7乃至8.3;タンタル1.75乃至2.7;
タングステン;2.0乃至4.0;炭素0.05乃至
0.12;ニッケル残余。この合金は他に不純物やニッ
ケル系合金に付随しがちな元素、例えば、重量%で0.
06またはそれ以下のジルコニウムや0.015または
それ以下のホウ素を含有してもよい。
固時の高い応力破壊強度と、優れた耐食性を得るための
少なくとも15重量%のクロムと、長期の使用に耐える
安定性を有するニッケル系合金を提供する。 【構成】 ガスタービン翼用ニッケル系合金は下記重量
%の下記元素から成る:クロム14.75乃至16.
0;コバルト8.0乃至8.5;アルミニウム3.4乃
至4.0;チタン3.4乃至4.3;アルミニウム+チ
タン7.7乃至8.3;タンタル1.75乃至2.7;
タングステン;2.0乃至4.0;炭素0.05乃至
0.12;ニッケル残余。この合金は他に不純物やニッ
ケル系合金に付随しがちな元素、例えば、重量%で0.
06またはそれ以下のジルコニウムや0.015または
それ以下のホウ素を含有してもよい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばガスタービンの
タービン部における回転翼のようなガスタービン部品の
製造に適した合金に係わる。特に、本発明は優れた耐食
性を具えるのに十分な量のクロムを含み、しかも方向性
を持つように凝固されたタービン翼の鋳造に使用される
と高い強度を維持するニッケル系合金に係わる。
タービン部における回転翼のようなガスタービン部品の
製造に適した合金に係わる。特に、本発明は優れた耐食
性を具えるのに十分な量のクロムを含み、しかも方向性
を持つように凝固されたタービン翼の鋳造に使用される
と高い強度を維持するニッケル系合金に係わる。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンはそのタービン部に多数の
回転翼を用いる。この翼は1100℃(2000°F)
を超える温度のガスにさらされ、高い応力の作用下に置
かれる。したがって、このような翼の鋳造材料である合
金は適当な熱処理を施こすことにより極めて高い応力破
壊強度を持ち、またこの強度を数千時間の運転時間に亘
って維持するのに十分な金属安定性を具えなければなら
ない。このような合金はタービン翼に加わる大きい熱応
力に耐えるのに十分な延性をも具えていなければならな
い。また、燃料や燃焼空気中には不純物が含まれている
から、翼に作用するガスは硫化物や塩化物のような腐食
性化合物を含有していることになる。したがってこのよ
うな翼用合金は優れた耐高温腐食性と共に耐酸化性をも
具えねばならない。
回転翼を用いる。この翼は1100℃(2000°F)
を超える温度のガスにさらされ、高い応力の作用下に置
かれる。したがって、このような翼の鋳造材料である合
金は適当な熱処理を施こすことにより極めて高い応力破
壊強度を持ち、またこの強度を数千時間の運転時間に亘
って維持するのに十分な金属安定性を具えなければなら
ない。このような合金はタービン翼に加わる大きい熱応
力に耐えるのに十分な延性をも具えていなければならな
い。また、燃料や燃焼空気中には不純物が含まれている
から、翼に作用するガスは硫化物や塩化物のような腐食
性化合物を含有していることになる。したがってこのよ
うな翼用合金は優れた耐高温腐食性と共に耐酸化性をも
具えねばならない。
【0003】一般に、耐高温腐食性はタービン翼用合金
に多量のクロムを含ませることによって得られる。クロ
ム含有率を高くすれば、溶解し難く且つNa2SO4溶
解物から再沈降し難い切れ目のない酸化クロムのスケー
ルを形成して有効なバリヤーで合金を包むことによって
合金の塩基フラクシングを抑制することができる。ま
た、クロムが硫黄と結合して高融点硫化物を形成するこ
とによって硫化に起因する劣化を抑制する。R.Str
eiff及びD.H.BooneがJournal o
f Materials Engineering(1
988)に発表した論文“Corrosion Res
istant Modified Aluminide
Coating”で述べているように、優れた耐高温
腐食性を得るには最低限15%のクロムが必要であると
考えられる。
に多量のクロムを含ませることによって得られる。クロ
ム含有率を高くすれば、溶解し難く且つNa2SO4溶
解物から再沈降し難い切れ目のない酸化クロムのスケー
ルを形成して有効なバリヤーで合金を包むことによって
合金の塩基フラクシングを抑制することができる。ま
た、クロムが硫黄と結合して高融点硫化物を形成するこ
とによって硫化に起因する劣化を抑制する。R.Str
eiff及びD.H.BooneがJournal o
f Materials Engineering(1
988)に発表した論文“Corrosion Res
istant Modified Aluminide
Coating”で述べているように、優れた耐高温
腐食性を得るには最低限15%のクロムが必要であると
考えられる。
【0004】多年に亘ってガスタービン翼に使用してあ
る程度の成果を上げてきたニッケル系合金の1つはIn
ternational Nickel Compan
yによって製造され、商品名IN−738として知られ
ている。IN−738の典型的組成はAmerican
Society of Metal Handboo
k,9th ed.,Volume 4,page 2
44に記載されているように重量%で下記の通りであ
る:ニッケル61、クロム16.0、コバルト8.5、
モリブデン1.7、タングステン2.6、タンタル1.
7、ニオブ(別名コロンビウム)0.9、アルミニウム
3.4、チタン3.4、炭素0.17、ホウ素0.0
1、ジルコニウム0.10。このメーカーはこの合金の
電子空位数が2.36を超えないことが望ましいと指摘
している。この合金は参考のためその内容を本願明細書
に引用した米国特許第3,459,545号(Bleb
er)において開示されている。
る程度の成果を上げてきたニッケル系合金の1つはIn
ternational Nickel Compan
yによって製造され、商品名IN−738として知られ
ている。IN−738の典型的組成はAmerican
Society of Metal Handboo
k,9th ed.,Volume 4,page 2
44に記載されているように重量%で下記の通りであ
る:ニッケル61、クロム16.0、コバルト8.5、
モリブデン1.7、タングステン2.6、タンタル1.
7、ニオブ(別名コロンビウム)0.9、アルミニウム
3.4、チタン3.4、炭素0.17、ホウ素0.0
1、ジルコニウム0.10。このメーカーはこの合金の
電子空位数が2.36を超えないことが望ましいと指摘
している。この合金は参考のためその内容を本願明細書
に引用した米国特許第3,459,545号(Bleb
er)において開示されている。
【0005】単軸結晶構造を生成させる方向性凝固が多
くのニッケル系合金の周期的熱応力に対する耐性だけで
なく応力破壊強度をも高めることは公知であり、例えば
米国特許第4,519,979号(Shaw)は商品名
IN−939で知られ、且つ重量%で炭素0.15、ク
ロム22.5、コバルト19、タングステン2、チタン
3.7、アルミニウム1.9、タンタル1.4、ニオブ
1.0、ジルコニウム0.1、ホウ素0.01、及び残
余のニッケルから成る合金の異方性凝固が870℃、2
00N/mm2において合金の耐応力破壊寿命を約85
0時間から1370時間に延ばすことを開示している。
しかし、発明者は異方性凝固がIN−738合金の応力
破壊強度をほとんど増大させないことを確認した。図1
は従来の方法で鋳造された、即ち、等方性結晶構造を有
する試験サンプルと異方性凝固IN−738試験サンプ
ルについて3つの温度レベルにおける破壊時間と応力の
関係を示すグラフである。このグラフから明らかなよう
に、870℃(1600°F)及び925℃(1700
°F)温度レベルにおけるデータは異方性凝固サンプル
の耐破壊寿命が約275N/mm2(40KSI)以上
の応力レベルでは従来の鋳造サンプルの耐破壊寿命に劣
ることを示唆している。
くのニッケル系合金の周期的熱応力に対する耐性だけで
なく応力破壊強度をも高めることは公知であり、例えば
米国特許第4,519,979号(Shaw)は商品名
IN−939で知られ、且つ重量%で炭素0.15、ク
ロム22.5、コバルト19、タングステン2、チタン
3.7、アルミニウム1.9、タンタル1.4、ニオブ
1.0、ジルコニウム0.1、ホウ素0.01、及び残
余のニッケルから成る合金の異方性凝固が870℃、2
00N/mm2において合金の耐応力破壊寿命を約85
0時間から1370時間に延ばすことを開示している。
しかし、発明者は異方性凝固がIN−738合金の応力
破壊強度をほとんど増大させないことを確認した。図1
は従来の方法で鋳造された、即ち、等方性結晶構造を有
する試験サンプルと異方性凝固IN−738試験サンプ
ルについて3つの温度レベルにおける破壊時間と応力の
関係を示すグラフである。このグラフから明らかなよう
に、870℃(1600°F)及び925℃(1700
°F)温度レベルにおけるデータは異方性凝固サンプル
の耐破壊寿命が約275N/mm2(40KSI)以上
の応力レベルでは従来の鋳造サンプルの耐破壊寿命に劣
ることを示唆している。
【0006】一般に、改良の大部分を異方性凝固から得
る合金には3つの特性がある。即ち、(i)比較的低い
クロム含有率、(ii)高γ´容積分率及び(iii)
高溶解温度。従って、IN−738のような合金におい
てはクロム含有率を減らすことによってのみ異方性凝固
の利点が得られるというのが従来の考え方であり、例え
ば、Metals Society, London
(1983)から刊行されたM.McLean著“Di
rectionally SolidifiedMet
als for High Temperature
Service”の153ページにもそのように記載さ
れている。GTD−111の商品名で知られる異方性凝
固翼に使用されている公知の合金の場合、Americ
an Society of Metals(198
9)刊“Damage Mechanisms and
Life Assessment of High−
Temperature Components”にお
いてR.Viswanathanが開示しているよう
に、重量%でクロム14.0、コバルト9.5、アルミ
ニウム3、チタン4.9、タンタル2.8、タングステ
ン3.8、モリブデン1.5、ホウ素0.01、炭素
0.1、残余がニッケルという典型的な組成である。即
ち、GTD−111の場合、異方性凝固の利点をIN−
738に採用されたクロムレベル16%を14%まで下
げることによって実現している。しかし、すでに述べた
ように、クロム含有率が比較的低ければ十分な耐蝕性は
得られない。
る合金には3つの特性がある。即ち、(i)比較的低い
クロム含有率、(ii)高γ´容積分率及び(iii)
高溶解温度。従って、IN−738のような合金におい
てはクロム含有率を減らすことによってのみ異方性凝固
の利点が得られるというのが従来の考え方であり、例え
ば、Metals Society, London
(1983)から刊行されたM.McLean著“Di
rectionally SolidifiedMet
als for High Temperature
Service”の153ページにもそのように記載さ
れている。GTD−111の商品名で知られる異方性凝
固翼に使用されている公知の合金の場合、Americ
an Society of Metals(198
9)刊“Damage Mechanisms and
Life Assessment of High−
Temperature Components”にお
いてR.Viswanathanが開示しているよう
に、重量%でクロム14.0、コバルト9.5、アルミ
ニウム3、チタン4.9、タンタル2.8、タングステ
ン3.8、モリブデン1.5、ホウ素0.01、炭素
0.1、残余がニッケルという典型的な組成である。即
ち、GTD−111の場合、異方性凝固の利点をIN−
738に採用されたクロムレベル16%を14%まで下
げることによって実現している。しかし、すでに述べた
ように、クロム含有率が比較的低ければ十分な耐蝕性は
得られない。
【0007】従って、異方性凝固に際して高い強度を有
し、しかも十分な耐食性を達成するのに必要なクロムを
含有する翼用合金の実現が望まれる。
し、しかも十分な耐食性を達成するのに必要なクロムを
含有する翼用合金の実現が望まれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はガスタ
ービンの回転翼鋳造に適し、異方性凝固時の高い応力破
壊強度と、優れた耐食性を得るための少なくとも15重
量%のクロムと、長期の使用に耐える安定性を有するニ
ッケル系合金を提供することにある。
ービンの回転翼鋳造に適し、異方性凝固時の高い応力破
壊強度と、優れた耐食性を得るための少なくとも15重
量%のクロムと、長期の使用に耐える安定性を有するニ
ッケル系合金を提供することにある。
【0009】本発明は下記重量%の下記元素から成るガ
スタービン翼用ニッケル系合金によって上記目的を達成
する: クロム 14.75乃至16.0 コバルト 8.0 乃至 8.5 アルミニウム 3.4 乃至 4.0 チタン 3.4 乃至 4.3 アルミニウム+チタン 7.7 乃至 8.3 タンタル 1.75乃至 2.7 タングステン 2.0 乃至 4.0 炭素 0.05乃至 0.12 ニッケル 残余 添付の図面に沿って本発明の好ましい実施例を以下に説
明する。
スタービン翼用ニッケル系合金によって上記目的を達成
する: クロム 14.75乃至16.0 コバルト 8.0 乃至 8.5 アルミニウム 3.4 乃至 4.0 チタン 3.4 乃至 4.3 アルミニウム+チタン 7.7 乃至 8.3 タンタル 1.75乃至 2.7 タングステン 2.0 乃至 4.0 炭素 0.05乃至 0.12 ニッケル 残余 添付の図面に沿って本発明の好ましい実施例を以下に説
明する。
【0010】
【実施例】ガスタービンのタービン部に使用する回転翼
1を図2に示す。本発明は特に異方性凝固鋳造法を利用
して前記タービンを鋳造するための材料である合金OM
200に係わる。一般的には、本発明は重量%で下記元
素から成る合金に係わる:クロム14.75乃至16.
0、コバルト8.0乃至8.5、アルミニウム3.4乃
至4.0、チタン3.4乃至4.3、アルミニウム+チ
タン7.7乃至8.3、タンタル1.75乃至2.7、
タングステン2.0乃至4.0、炭素0.05乃至0.
12、コロンビウム0.5またはそれ以下、モリブデン
2.0またはそれ以下、及び残余のニッケル。本発明の
合金は他に不純物やニッケル系合金に付随しがちな元
素、例えば、重量%で0.06またはそれ以下のジルコ
ニウムや0.015またはそれ以下のホウ素を含有して
もよい。しかし本質的には重量%で下記元素から組成さ
れていることが好ましい:クロム約15.5、コバルト
約8.0、アルミニウム約4.0、チタン約3.8、ア
ルミニウム+チタン約7.8、タンタル約2.7、タン
グステン約2.6、モリブデン0.5、炭素約0.08
及び残余のニッケル。
1を図2に示す。本発明は特に異方性凝固鋳造法を利用
して前記タービンを鋳造するための材料である合金OM
200に係わる。一般的には、本発明は重量%で下記元
素から成る合金に係わる:クロム14.75乃至16.
0、コバルト8.0乃至8.5、アルミニウム3.4乃
至4.0、チタン3.4乃至4.3、アルミニウム+チ
タン7.7乃至8.3、タンタル1.75乃至2.7、
タングステン2.0乃至4.0、炭素0.05乃至0.
12、コロンビウム0.5またはそれ以下、モリブデン
2.0またはそれ以下、及び残余のニッケル。本発明の
合金は他に不純物やニッケル系合金に付随しがちな元
素、例えば、重量%で0.06またはそれ以下のジルコ
ニウムや0.015またはそれ以下のホウ素を含有して
もよい。しかし本質的には重量%で下記元素から組成さ
れていることが好ましい:クロム約15.5、コバルト
約8.0、アルミニウム約4.0、チタン約3.8、ア
ルミニウム+チタン約7.8、タンタル約2.7、タン
グステン約2.6、モリブデン0.5、炭素約0.08
及び残余のニッケル。
【0011】すでに述べたように、翼用合金にとっては
耐食性も強度も重要な性質である。ニッケル系合金の耐
食性は主としてクロムによって与えられる。ガスタービ
ン部品に使用されるニッケル系合金は3つのメカニズム
によって強化される。即ち、(i)固溶体強化、(i
i)炭化物の存在による強化及び(iii)γ´強化で
ある。固溶体強化はモリブデン、クロム及びタングステ
ンによって達成され、さらに軽微ながらコバルト、鉄及
びバナジウムも寄与する。γ´強化は、Ni3(Al及
び/またはTi)の沈殿を介してオーステナイト地を強
化するアルミニウム及びチタンと、fcc金属間化合物
によって主として達成される。なお、γ´中のアルミニ
ウムの代わりにタンタル及びコロンビウムを使用しても
よい。
耐食性も強度も重要な性質である。ニッケル系合金の耐
食性は主としてクロムによって与えられる。ガスタービ
ン部品に使用されるニッケル系合金は3つのメカニズム
によって強化される。即ち、(i)固溶体強化、(i
i)炭化物の存在による強化及び(iii)γ´強化で
ある。固溶体強化はモリブデン、クロム及びタングステ
ンによって達成され、さらに軽微ながらコバルト、鉄及
びバナジウムも寄与する。γ´強化は、Ni3(Al及
び/またはTi)の沈殿を介してオーステナイト地を強
化するアルミニウム及びチタンと、fcc金属間化合物
によって主として達成される。なお、γ´中のアルミニ
ウムの代わりにタンタル及びコロンビウムを使用しても
よい。
【0012】ニッケル系超合金の強度はγ´容積分率が
約60%まで増大するのにしたがって増大するから、本
発明の合金では、γ´容積分率を増大させるアルミニウ
ム、チタン、タンタル及びコロンビウムの含有率を高γ
´容積比率が達成されるように制御した。合金中のγ´
量は電子空位数Nvの測定に関連して後述するように測
定すればよい。表Iに示す4ヒートの本発明合金におけ
るγ´量は重量%でそれぞれ約52,54,56及び5
4である。本発明の合金の上記好ましい組成は約56%
のγ´を含有する。これに対してIN−738における
γ´量は約50重量%である。(なお、本発明の合金に
おけるγ´量が上述のようにヒートごとに異なっても耐
食性または安定性に悪影響はなかった。)高温下で運転
されるから、ニッケル合金にはミクロ構造変化が現われ
る。この変化には合金の強度を損なうγ´粗化やγ´の
例えば板または針状σ、ηなどのような望ましくない位
相幾何学的な稠密第2相への変態が含まれる。このよう
な板状相の形成は強度だけでなく靭性をも損なう。した
がって、高温下での数千時間にも及ぶ運転にも高い強度
と靭性が維持されるようにするためには、合金がある程
度のミクロ構造安定性を具えるように後述する要領で強
化元素の組成を注意深く調和させねばならない。
約60%まで増大するのにしたがって増大するから、本
発明の合金では、γ´容積分率を増大させるアルミニウ
ム、チタン、タンタル及びコロンビウムの含有率を高γ
´容積比率が達成されるように制御した。合金中のγ´
量は電子空位数Nvの測定に関連して後述するように測
定すればよい。表Iに示す4ヒートの本発明合金におけ
るγ´量は重量%でそれぞれ約52,54,56及び5
4である。本発明の合金の上記好ましい組成は約56%
のγ´を含有する。これに対してIN−738における
γ´量は約50重量%である。(なお、本発明の合金に
おけるγ´量が上述のようにヒートごとに異なっても耐
食性または安定性に悪影響はなかった。)高温下で運転
されるから、ニッケル合金にはミクロ構造変化が現われ
る。この変化には合金の強度を損なうγ´粗化やγ´の
例えば板または針状σ、ηなどのような望ましくない位
相幾何学的な稠密第2相への変態が含まれる。このよう
な板状相の形成は強度だけでなく靭性をも損なう。した
がって、高温下での数千時間にも及ぶ運転にも高い強度
と靭性が維持されるようにするためには、合金がある程
度のミクロ構造安定性を具えるように後述する要領で強
化元素の組成を注意深く調和させねばならない。
【0013】電子空位数Nvが合金のミクロ構造安定性
の目安であることは公知である。Nv値が高ければ上記
位相幾何学的稠密第2相が形成される傾向が大きくな
り、例えば、American Society of
Metal Handbook,9th ed.,v
olume 4,p.278に記載されている。The
International Nickel Comp
anyから刊行され、参考のためその内容を本願明細書
にも引用したパンフレット“Alloy IN−73
8,Technical Data”に開示されている
ように、電子空位数は方程式:Nv=0.66Ni+
1.71Co+2.66Fe+4.66(Cr+Mo+
W)+6.66Zrから計算することができる。この方
程式に代入される地の各元素の原子%は組成を重量%か
ら原子%に換算し、(i)炭素の1/2がTaC、Cb
C、TiCの順にMCを形成し、(ii)残りの炭素が
23個のCr原子から成るMとM23C6を形成し、
(iii)ホウ素がMo3B2として結合し、(iv)
γ´がNi3(Al、Ti、Ta、Cb)であり、
(v)残留地が原子%−炭化物、ホウ化物及びγ´反応
に含まれる原子から成ると想定し、残る原子%の合計が
地における原子濃度を表わすようにすることで測定され
る。合計が100%となるように原子%換算を行なうこ
とにより上記方程式に代入すべき各元素の原子%が得ら
れる。Nv値を低く維持することが望ましいから、本発
明の合金では高強度を得るだけでなく、合金の電子空位
数が約2.4を超えないように組成を調整する。合金の
望ましい組成においては電子空位数が約2.4である。
の目安であることは公知である。Nv値が高ければ上記
位相幾何学的稠密第2相が形成される傾向が大きくな
り、例えば、American Society of
Metal Handbook,9th ed.,v
olume 4,p.278に記載されている。The
International Nickel Comp
anyから刊行され、参考のためその内容を本願明細書
にも引用したパンフレット“Alloy IN−73
8,Technical Data”に開示されている
ように、電子空位数は方程式:Nv=0.66Ni+
1.71Co+2.66Fe+4.66(Cr+Mo+
W)+6.66Zrから計算することができる。この方
程式に代入される地の各元素の原子%は組成を重量%か
ら原子%に換算し、(i)炭素の1/2がTaC、Cb
C、TiCの順にMCを形成し、(ii)残りの炭素が
23個のCr原子から成るMとM23C6を形成し、
(iii)ホウ素がMo3B2として結合し、(iv)
γ´がNi3(Al、Ti、Ta、Cb)であり、
(v)残留地が原子%−炭化物、ホウ化物及びγ´反応
に含まれる原子から成ると想定し、残る原子%の合計が
地における原子濃度を表わすようにすることで測定され
る。合計が100%となるように原子%換算を行なうこ
とにより上記方程式に代入すべき各元素の原子%が得ら
れる。Nv値を低く維持することが望ましいから、本発
明の合金では高強度を得るだけでなく、合金の電子空位
数が約2.4を超えないように組成を調整する。合金の
望ましい組成においては電子空位数が約2.4である。
【0014】すでに述べたように、γ´中のアルミニウ
ムの代わりにコロンビウム及び/またはタンタルのほ
か、チタンも使用できる。ただし、Ni3Alにおいて
Alの代わりにTi、CbまたはTaを使用するとオー
ステナイト地とγ´粒子との間のミスフィットを促進す
るから、Ni3Al、Ni3Ti及びNi3Cb(また
はTa)の順序で化合物の安定性が失われる。その結
果、チタン/アルニミウム比がγ´粗化に重要な役割を
果たす。チタン/アルミニウム比はγ´から上記望まし
くない板状相への変態にも重要な役割を果たす。したが
って、γ´の粗化を極力小さくし、γ´相の安定性を高
めるため、チタン/アルミニウム比を(重量比で)2:
1以下に維持するのが普通である。γ´から望ましくな
い針状または板状相への変態はタングステン添加によっ
ても遅らせることができる。
ムの代わりにコロンビウム及び/またはタンタルのほ
か、チタンも使用できる。ただし、Ni3Alにおいて
Alの代わりにTi、CbまたはTaを使用するとオー
ステナイト地とγ´粒子との間のミスフィットを促進す
るから、Ni3Al、Ni3Ti及びNi3Cb(また
はTa)の順序で化合物の安定性が失われる。その結
果、チタン/アルニミウム比がγ´粗化に重要な役割を
果たす。チタン/アルミニウム比はγ´から上記望まし
くない板状相への変態にも重要な役割を果たす。したが
って、γ´の粗化を極力小さくし、γ´相の安定性を高
めるため、チタン/アルミニウム比を(重量比で)2:
1以下に維持するのが普通である。γ´から望ましくな
い針状または板状相への変態はタングステン添加によっ
ても遅らせることができる。
【0015】本発明の合金の安定性を871℃(160
0°F)及び206.9N/mm2(30KSI)にお
いて試験されるクリープ破壊サンプルの肩部及びグリッ
プ部をσ、η及びμ相について金属組織学的に検討し
た。これらのサンプルを871℃で応力下に最長400
0時間に亘って時効硬化処理しても望ましくない相は生
成せず、本発明の合金の安定性が示唆された。
0°F)及び206.9N/mm2(30KSI)にお
いて試験されるクリープ破壊サンプルの肩部及びグリッ
プ部をσ、η及びμ相について金属組織学的に検討し
た。これらのサンプルを871℃で応力下に最長400
0時間に亘って時効硬化処理しても望ましくない相は生
成せず、本発明の合金の安定性が示唆された。
【0016】本発明の合金では、合金の異方性凝固によ
って高い強度に達し、しかも良好なミクロ構造安定性を
維持するようにアルミニウム、チタン、タンタル、コロ
ンビウム及びモリブデンの量を制御した。重要な事実と
して、この成果はクロム含有率を低下させることなく、
したがって、当業者が従来は不可避と考えてきたように
耐食性を損なうことなく達成された。同じく重要な事実
として、本発明の合金では、アルミニウム及びチタンの
量をIN−738よりも多くしてそれぞれの最少量を
3.4%として、アルミニウム+チタンの最少量を7.
7%とした。アルミニウム及びチタンの最大量をそれぞ
れ4.0%及び4.3%とし、アルミニウム+チタンの
最大量を8.3%とした。また、最適組成がコロンビウ
ム及びモリブデンの量を減少させた。本発明の合金では
最大限でもコロンビウムは0.5%、モリブデンは2.
0%までである。しかし、十分な耐蝕性が確保されるよ
うにクロムは14.75%乃至16%の範囲に維持す
る。タングステンは2.0%乃至4.0%の範囲に、タ
ンタルは1.75%乃至2.7%の範囲に維持する。ジ
ルコニウム及びホウ素はそれぞれ0.06%及び0.0
15%に制限するが、最も好ましい組成ではこれらの元
素のいずれも含まない。炭素は0.05%乃至0.12
%の範囲に維持する。また、すでに述べた通り、本発明
の合金では、電子空位数が約2.4を超えないように各
元素を上記範囲内で調整することにより、十分なミクロ
構造安定性を維持する。
って高い強度に達し、しかも良好なミクロ構造安定性を
維持するようにアルミニウム、チタン、タンタル、コロ
ンビウム及びモリブデンの量を制御した。重要な事実と
して、この成果はクロム含有率を低下させることなく、
したがって、当業者が従来は不可避と考えてきたように
耐食性を損なうことなく達成された。同じく重要な事実
として、本発明の合金では、アルミニウム及びチタンの
量をIN−738よりも多くしてそれぞれの最少量を
3.4%として、アルミニウム+チタンの最少量を7.
7%とした。アルミニウム及びチタンの最大量をそれぞ
れ4.0%及び4.3%とし、アルミニウム+チタンの
最大量を8.3%とした。また、最適組成がコロンビウ
ム及びモリブデンの量を減少させた。本発明の合金では
最大限でもコロンビウムは0.5%、モリブデンは2.
0%までである。しかし、十分な耐蝕性が確保されるよ
うにクロムは14.75%乃至16%の範囲に維持す
る。タングステンは2.0%乃至4.0%の範囲に、タ
ンタルは1.75%乃至2.7%の範囲に維持する。ジ
ルコニウム及びホウ素はそれぞれ0.06%及び0.0
15%に制限するが、最も好ましい組成ではこれらの元
素のいずれも含まない。炭素は0.05%乃至0.12
%の範囲に維持する。また、すでに述べた通り、本発明
の合金では、電子空位数が約2.4を超えないように各
元素を上記範囲内で調整することにより、十分なミクロ
構造安定性を維持する。
【0017】以上に述べたように組成したから、クロム
含有率が比較的高いにもかかわらず、異方性凝固法によ
る鋳造の結果本発明の合金は高い強度を示す。重要な事
実として、本発明の合金の良好なミクロ構造安定性はコ
ロンビウム及びモリブデンのレベルをIN−738より
もかなり低下させることによって達成されたものであ
り、したがって、電子空位数を許容限度以上に増大させ
ることなくアルミニウム及びチタンの量を増大させるこ
とができる。 表1に重量%で示す組成を採用して本発
明の合金を4ヒート、即ち、SAS1乃至SAS4だけ
製造した。これらのヒートから異方性凝固が起こるよう
にサンプルを鋳造し、IN−738の場合に行なわれる
標準的な熱処理を施した。即ち、2時間に亘る1121
℃(2050°F)溶体化処理に続いて24時間に亘る
843℃(1550°F)時効化処理を施した。これら
のサンプルで種々の試験を行ない、その結果を通常の方
法で鋳造されたIN−738及び異方性凝固IN−62
03と比較した。IN−6203は公称組成が重量%で
クロム22.0、コバルト19.0、アルミニウム2.
3、チタン3.5、タンタル1.10、コロンビウム
0.80、タングステン2.00、ホウ素0.01、炭
素0.15、ジルコニウム0.10、ハフニウム0.7
5及び残余がニッケルというニッケル系合金である。
含有率が比較的高いにもかかわらず、異方性凝固法によ
る鋳造の結果本発明の合金は高い強度を示す。重要な事
実として、本発明の合金の良好なミクロ構造安定性はコ
ロンビウム及びモリブデンのレベルをIN−738より
もかなり低下させることによって達成されたものであ
り、したがって、電子空位数を許容限度以上に増大させ
ることなくアルミニウム及びチタンの量を増大させるこ
とができる。 表1に重量%で示す組成を採用して本発
明の合金を4ヒート、即ち、SAS1乃至SAS4だけ
製造した。これらのヒートから異方性凝固が起こるよう
にサンプルを鋳造し、IN−738の場合に行なわれる
標準的な熱処理を施した。即ち、2時間に亘る1121
℃(2050°F)溶体化処理に続いて24時間に亘る
843℃(1550°F)時効化処理を施した。これら
のサンプルで種々の試験を行ない、その結果を通常の方
法で鋳造されたIN−738及び異方性凝固IN−62
03と比較した。IN−6203は公称組成が重量%で
クロム22.0、コバルト19.0、アルミニウム2.
3、チタン3.5、タンタル1.10、コロンビウム
0.80、タングステン2.00、ホウ素0.01、炭
素0.15、ジルコニウム0.10、ハフニウム0.7
5及び残余がニッケルというニッケル系合金である。
【0018】
【表1】 ヒートSAS1、SAS3及びSAS4から鋳造したサ
ンプルを871℃(1600°F)で低疲労試験した結
果は表2に示す通りであり、本発明の合金の周期寿命が
IN−738よりも優れていることを示唆している。ヒ
ートSAS1から鋳造し、その先端部、中間部及び底部
から採取した3つのサンプルの衝撃試験結果は表3に示
した通りであり、本発明の合金の衝撃強度がIN−73
8のそれと同等であることは明白である。なお、IN−
738には低炭素含有率のものと高炭素含有率のものが
あり、それぞれのデータは必要に応じて明らかにする。
低炭素含有率のIN−738では通常の高炭素含有IN
−738と比較して炭素含有率が0.17%から0.1
1%に減らされ、ジルコニウム含有率が0.10%から
0.05%に減らされる。
ンプルを871℃(1600°F)で低疲労試験した結
果は表2に示す通りであり、本発明の合金の周期寿命が
IN−738よりも優れていることを示唆している。ヒ
ートSAS1から鋳造し、その先端部、中間部及び底部
から採取した3つのサンプルの衝撃試験結果は表3に示
した通りであり、本発明の合金の衝撃強度がIN−73
8のそれと同等であることは明白である。なお、IN−
738には低炭素含有率のものと高炭素含有率のものが
あり、それぞれのデータは必要に応じて明らかにする。
低炭素含有率のIN−738では通常の高炭素含有IN
−738と比較して炭素含有率が0.17%から0.1
1%に減らされ、ジルコニウム含有率が0.10%から
0.05%に減らされる。
【0019】応力破壊試験の結果は表4、表5及び図3
に示す通りであり、この試験では4ヒートのそれぞれか
ら得たサンプルの破壊寿命を通常の鋳造によるIN−7
38及び異方性凝固IN−6203の破壊寿命と比較し
た。これらの表と図3に示すデータから明らかなよう
に、異方性凝固させた場合、本発明の合金の応力破壊寿
命はIN−738及びIN−6203の応力破壊寿命よ
りもはるかに優れている。例えば、69N/mm2(1
0KSI)において、本発明の合金は約56℃(100
°F)以上の温度においてIN−738及びIN−62
03と同じ破壊寿命を可能にする。ガスタービン翼に利
用すれば、このように高められた金属の耐熱性はタービ
ンが高いガス温度下で動作することを可能にし、その性
能を著しく向上させる。
に示す通りであり、この試験では4ヒートのそれぞれか
ら得たサンプルの破壊寿命を通常の鋳造によるIN−7
38及び異方性凝固IN−6203の破壊寿命と比較し
た。これらの表と図3に示すデータから明らかなよう
に、異方性凝固させた場合、本発明の合金の応力破壊寿
命はIN−738及びIN−6203の応力破壊寿命よ
りもはるかに優れている。例えば、69N/mm2(1
0KSI)において、本発明の合金は約56℃(100
°F)以上の温度においてIN−738及びIN−62
03と同じ破壊寿命を可能にする。ガスタービン翼に利
用すれば、このように高められた金属の耐熱性はタービ
ンが高いガス温度下で動作することを可能にし、その性
能を著しく向上させる。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】 本発明の合金から鋳造されるタービン翼は異方性凝固法
を利用する真空溶解及び真空鋳造によって製造するのが
有利である。異方性凝固によって結晶粒界が翼の主応力
軸とほぼ平行となり、主応力軸と直交する方向の結晶粒
界はほとんど存在しなくなる。異方性凝固法は公知であ
り、例えば、その内容を参考のため本願明細書に引用し
た米国特許第3,260,505号(Ver Snyd
er)、第3,494,709号(Piearcey)
及び第3,897,815号(Smashey)に開示
されている。
を利用する真空溶解及び真空鋳造によって製造するのが
有利である。異方性凝固によって結晶粒界が翼の主応力
軸とほぼ平行となり、主応力軸と直交する方向の結晶粒
界はほとんど存在しなくなる。異方性凝固法は公知であ
り、例えば、その内容を参考のため本願明細書に引用し
た米国特許第3,260,505号(Ver Snyd
er)、第3,494,709号(Piearcey)
及び第3,897,815号(Smashey)に開示
されている。
【0024】γ´分布は熱処理や組成に応じて異なる。
IN−738のようなニッケル系合金の標準的熱処理、
即ち、溶体化処理及びこれに続く時効化処理によってほ
ぼ等量の粗い立方形の1次γ´及び細かい球状のγ´か
ら成る2相γ´が生成する。粗いγ´は不溶性のγ´で
あり、溶体化処理の過程で溶解しなかった。したがっ
て、合金中に存在する粗いγ´の量は溶体化温度がγ´
ソルバス温度、即ちγ´のすべてが溶解する温度よりも
どの程度低いかに応じて異なる。即ち、溶体化温度が低
ければ低いほど粗γ´の量が多くなる。細かいγ´は時
効化処理の過程で形成され、その量は溶体化処理中に溶
解しなかったγ´の量に応じて異なる。
IN−738のようなニッケル系合金の標準的熱処理、
即ち、溶体化処理及びこれに続く時効化処理によってほ
ぼ等量の粗い立方形の1次γ´及び細かい球状のγ´か
ら成る2相γ´が生成する。粗いγ´は不溶性のγ´で
あり、溶体化処理の過程で溶解しなかった。したがっ
て、合金中に存在する粗いγ´の量は溶体化温度がγ´
ソルバス温度、即ちγ´のすべてが溶解する温度よりも
どの程度低いかに応じて異なる。即ち、溶体化温度が低
ければ低いほど粗γ´の量が多くなる。細かいγ´は時
効化処理の過程で形成され、その量は溶体化処理中に溶
解しなかったγ´の量に応じて異なる。
【0025】異方性凝固させた部品は通常の鋳造部品よ
りもゆっくりと冷却する。その結果、異方性凝固は比較
的粗い1次γ´を生成させるから、通常の鋳造部品と比
較して立方体γ´の容積分率は高く、球形γ´の容積分
率は低くなる。残念ながら粗γ´の高い容積分率は強度
に有害な影響を及ぼす。γ´分布のこのようなばらつき
はいずれも合金組成に応じて異なるγ´ソルバス及び初
期融解温度に基づいて熱処理、特に溶体化処理を最適化
することによって最少限に抑制することができる。一般
に、熱処理はソルバス温度と初期融解温度の間の温度で
行なうことが望ましい。したがって、熱処理の効果を完
全に活用するためにはソルバス温度が初期融解温度より
もかなり低くなければならない。残念ながらアルミニウ
ム、チタン、タンタル及びコロンビウムはγ´容積分率
を高め、したがって強度を高めるが、すでに述べた通
り、ソルバス温度を上昇させ、初期融解温度を低下させ
る作用をも有するから、熱処理の幅が狭くなる。
りもゆっくりと冷却する。その結果、異方性凝固は比較
的粗い1次γ´を生成させるから、通常の鋳造部品と比
較して立方体γ´の容積分率は高く、球形γ´の容積分
率は低くなる。残念ながら粗γ´の高い容積分率は強度
に有害な影響を及ぼす。γ´分布のこのようなばらつき
はいずれも合金組成に応じて異なるγ´ソルバス及び初
期融解温度に基づいて熱処理、特に溶体化処理を最適化
することによって最少限に抑制することができる。一般
に、熱処理はソルバス温度と初期融解温度の間の温度で
行なうことが望ましい。したがって、熱処理の効果を完
全に活用するためにはソルバス温度が初期融解温度より
もかなり低くなければならない。残念ながらアルミニウ
ム、チタン、タンタル及びコロンビウムはγ´容積分率
を高め、したがって強度を高めるが、すでに述べた通
り、ソルバス温度を上昇させ、初期融解温度を低下させ
る作用をも有するから、熱処理の幅が狭くなる。
【0026】本発明の合金の3つのヒートについてγ´
ソルバス温度及び初期融解温度を表6に示す。これらの
温度は示差熱分析、及びサンプル棒を1066℃(19
50°F)乃至1427℃(2300°F)の温度範囲
内の種々の温度下に4時間おいてからファンで冷却する
グラディエント・バー法、即ち、金属組織学的な方法を
利用して測定した。表6から明らかなように、ソルバス
温度は1211℃から1229℃まで変化する。ちなみ
に、IN−738のソルバス温度は約1204℃(22
00°F)である。すでに述べたように、IN−738
に対しては1121℃(2050°F)で2時間に亘っ
て溶体化熱処理を施してから、24時間に亘る843℃
(1550°F)で時効化処理を施すのが普通である。
初期融解温度及びソルバス温度に基づき本発明の合金に
対して行なう種々の熱処理法について以下に説明する。
ソルバス温度及び初期融解温度を表6に示す。これらの
温度は示差熱分析、及びサンプル棒を1066℃(19
50°F)乃至1427℃(2300°F)の温度範囲
内の種々の温度下に4時間おいてからファンで冷却する
グラディエント・バー法、即ち、金属組織学的な方法を
利用して測定した。表6から明らかなように、ソルバス
温度は1211℃から1229℃まで変化する。ちなみ
に、IN−738のソルバス温度は約1204℃(22
00°F)である。すでに述べたように、IN−738
に対しては1121℃(2050°F)で2時間に亘っ
て溶体化熱処理を施してから、24時間に亘る843℃
(1550°F)で時効化処理を施すのが普通である。
初期融解温度及びソルバス温度に基づき本発明の合金に
対して行なう種々の熱処理法について以下に説明する。
【0027】
【表6】 本発明では、鋳放しの翼を次に挙げる4通りの方法のい
ずれかで熱処理すればよい。即ち、(i)1121℃
(2050°F)で2時間に亘って溶体化処理してから
843℃(1550°F)で24時間に亘って時効化処
理する、(ii)1149℃(2100°F)で4時間
に亘って溶体化処理してから843℃で24時間に亘っ
て時効化処理する、(iii)1204℃(2200°
F)で4時間に亘って溶体化処理し、1121℃(20
50°F)で2時間に亘って再溶体化処理してから84
3℃(1550°F)で24時間に亘って時効化処理す
る、及び(iv)1204℃(2200°F)で4時間
に亘って溶体化処理し、1149℃(2100°F)で
4時間に亘って再溶体化処理してから843℃(155
0°F)で24時間に亘って時効化処理する。これらの
熱処理はγ地及び不連続なクロム炭化物の結晶粒界に2
相γ´構造を形成することによって機械的強度を最適化
する。比較的高い溶体化温度を採用すると粗γ´の量が
減少し、細かいγ´の量が増大して合金の強度がさらに
高くなる。
ずれかで熱処理すればよい。即ち、(i)1121℃
(2050°F)で2時間に亘って溶体化処理してから
843℃(1550°F)で24時間に亘って時効化処
理する、(ii)1149℃(2100°F)で4時間
に亘って溶体化処理してから843℃で24時間に亘っ
て時効化処理する、(iii)1204℃(2200°
F)で4時間に亘って溶体化処理し、1121℃(20
50°F)で2時間に亘って再溶体化処理してから84
3℃(1550°F)で24時間に亘って時効化処理す
る、及び(iv)1204℃(2200°F)で4時間
に亘って溶体化処理し、1149℃(2100°F)で
4時間に亘って再溶体化処理してから843℃(155
0°F)で24時間に亘って時効化処理する。これらの
熱処理はγ地及び不連続なクロム炭化物の結晶粒界に2
相γ´構造を形成することによって機械的強度を最適化
する。比較的高い溶体化温度を採用すると粗γ´の量が
減少し、細かいγ´の量が増大して合金の強度がさらに
高くなる。
【0028】タービン翼鋳造用の合金に関連して以上に
本発明を説明したが、本発明の合金は高温における高い
強度と優れた耐蝕性を必要とするタービン翼以外の部品
の形成にも利用できる。したがって、本発明はその思想
及び本質的属性から逸脱することなく上記以外の態様で
実施することが可能であり、本発明の範囲は以上の説明
よりはむしろ頭書した特許請求によって限定される。
本発明を説明したが、本発明の合金は高温における高い
強度と優れた耐蝕性を必要とするタービン翼以外の部品
の形成にも利用できる。したがって、本発明はその思想
及び本質的属性から逸脱することなく上記以外の態様で
実施することが可能であり、本発明の範囲は以上の説明
よりはむしろ頭書した特許請求によって限定される。
【図1】図1は、IN−738の普通鋳造(CC)サン
プルと異方性凝固(DS)サンプルにおける破壊時間t
(時)と応力σ(KSI(N/mm2))との関係によ
ってIN−738の応力破壊強度に対する異方性凝固の
効果を示すグラフである。
プルと異方性凝固(DS)サンプルにおける破壊時間t
(時)と応力σ(KSI(N/mm2))との関係によ
ってIN−738の応力破壊強度に対する異方性凝固の
効果を示すグラフである。
【図2】図2は、ガスタービン回転翼の斜視図である。
【図3】1000時間を単位とする破壊時間tとKSI
(N/mm2)を単位とする応力σとの関係によって
(i)異方性凝固鋳造された本発明合金の4ヒートSA
S1−SAS4、(ii)普通鋳造IN−738及び
(iii)異方性凝固鋳造IN−6203の870℃
(1600°F)における応力破壊寿命及び4通りの応
力レベルを示す棒グラフである。
(N/mm2)を単位とする応力σとの関係によって
(i)異方性凝固鋳造された本発明合金の4ヒートSA
S1−SAS4、(ii)普通鋳造IN−738及び
(iii)異方性凝固鋳造IN−6203の870℃
(1600°F)における応力破壊寿命及び4通りの応
力レベルを示す棒グラフである。
1 タービン回転翼
Claims (6)
- 【請求項1】 下記重量%の下記元素から成ることを特
徴とするガスタービン翼用のニッケル系合金: クロム 14.75乃至16.0 コバルト 8.0乃至8.5 アルミニウム 3.4乃至4.0 チタン 3.4乃至4.3 アルミニウム+チタン 7.7乃至8.3 タンタル 1.75乃至2.7 タングステン 2.0乃至4.0 炭素 0.05乃至0.12 ニッケル 残余 - 【請求項2】 請求項1に記載の合金において、前記合
金の電子空位数が約2.4以上でないことを特徴とする
合金。 - 【請求項3】 請求項1に記載の合金において、タング
ステン及び炭素の重量%がそれぞれ約2.6及び約0.
09であることを特徴とする合金。 - 【請求項4】 請求項1に記載の合金において、下記重
量%の下記元素をも含むことを特徴とする合金: コロンビウム 0.0乃至0.5 モリブデン 0.0乃至2.0 ジルコニウム 0.0乃至0.06 ホウ素 0.0乃至0.015 - 【請求項5】 請求項4に記載の合金において、重量%
でタングステンが約2.6、炭素が約0.09、モリブ
デンが0.60乃至1.75、ジルコニウムが約0.0
4、ホウ素が約0.01であることを特徴とする合金。 - 【請求項6】 請求項1に記載の合金において、下記重
量%の下記元素から成ることを特徴とする合金: クロム 約15.5 コバルト 約8.0 アルミニウム 約4.0 チタン 約3.8 アルミニウム+チタン 約7.8 タンタル 約2.6 タングステン 約2.6 炭素 約0.08 モリブデン 約0.5 ニッケル 残余
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US85414292A | 1992-03-18 | 1992-03-18 | |
US07/854142 | 1992-03-18 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0617171A true JPH0617171A (ja) | 1994-01-25 |
Family
ID=25317844
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5082542A Withdrawn JPH0617171A (ja) | 1992-03-18 | 1993-03-17 | ガスタービン翼用合金 |
Country Status (8)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP0561179A3 (ja) |
JP (1) | JPH0617171A (ja) |
KR (1) | KR930019844A (ja) |
CN (1) | CN1076508A (ja) |
AU (1) | AU3380093A (ja) |
CA (1) | CA2091827A1 (ja) |
MX (1) | MX9301280A (ja) |
TW (1) | TW222017B (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014214381A (ja) * | 2013-04-23 | 2014-11-17 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 鉄を含む鋳造ニッケル基超合金 |
Families Citing this family (6)
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