JP2000144289A - 安定に熱処理可能なニッケル基超合金単結晶物体及び組成物並びにガスタービン用部品 - Google Patents

安定に熱処理可能なニッケル基超合金単結晶物体及び組成物並びにガスタービン用部品

Info

Publication number
JP2000144289A
JP2000144289A JP10311928A JP31192898A JP2000144289A JP 2000144289 A JP2000144289 A JP 2000144289A JP 10311928 A JP10311928 A JP 10311928A JP 31192898 A JP31192898 A JP 31192898A JP 2000144289 A JP2000144289 A JP 2000144289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
added
aluminum
titanium
rhenium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10311928A
Other languages
English (en)
Inventor
N Dyuoru David
エヌ.デュオル デイヴィッド
D Setel Alan
ディー.セテル アラン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Raytheon Technologies Corp
Original Assignee
United Technologies Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by United Technologies Corp filed Critical United Technologies Corp
Priority to JP10311928A priority Critical patent/JP2000144289A/ja
Publication of JP2000144289A publication Critical patent/JP2000144289A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定に熱処理可能なニッケル超合金単結晶物
体及び組成物を提供する。 【解決手段】 ニッケル基超合金の単結晶物体を製造す
るための改善された組成物が開示されている。この組成
物は、炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムを含ま
ず、コバルトを意図的に添加している。このコバルト添
加により、上記組成物の安定性が向上し、熱処理安定性
が向上できる。これらの組成物からなる単結晶物体は、
ガスタービン部品として用いることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶ガスタービ
ンエンジン用部品として用いられる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】単結晶ガスタービンエンジン部品は、ガ
スタービンエンジンの特性を改善することを可能とす
る。本出願の譲受人に譲渡された米国特許第3,494,709
号においては、ガスタービンエンジンに単結晶部品を用
いることが開示されている。この特許は、ホウ素やジル
コニウムといった成分を所望するように低い限度にまで
制限することを開示している。単結晶超合金物体におい
て炭素を低いレベルに制限することは、米国特許第3,56
7,526号に開示されている。米国特許第4,116,723号で
は、コバルト、ホウ素、ジルコニウム、ハフニウムを加
えずに熱処理された超合金単結晶物体を開示している。
この特許によれば、これらの元素を除くことで、上記組
成物を熱処理可能にさせている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明はニ
ッケル基超合金の単結晶物体を製造するための改善され
た組成物を提供することを目的とする。この組成物は、
炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムを含まず、コ
バルトが意図的に添加されている。
【0004】また、本発明の別の目的は、高温耐久性の
改善されたニッケル基超合金組成物を提供することを目
的とする。
【0005】さらに、本発明の目的は、熱処理安定性の
向上したニッケル基超合金組成物を提供することを目的
とする。
【0006】また、本発明のさらに別の目的は、ニッケ
ル基超合金の熱処理安定性を向上させるための方法を提
供することを目的とする。
【0007】また、本発明の他の目的は、上記ニッケル
基超合金により製造されるガスタービン用の部品を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明においては、熱処
理可能なニッケル超合金単結晶物体を製造することがで
きる改善された組成を開示している。ブロード組成でい
えば、この合金は、5%〜12%のクロムと、2%〜8
%のアルミニウムと、0%〜6%のチタンと、0%〜
9.5%のタンタルと、0%〜12%のタングステン
と、0%〜3%のモリブデンと、0%〜3%のニオブ
(コロンビウム)と、0%〜3.5%のハフニウムと、
0%〜7%のレニウムと、バランス成分としてのニッケ
ルと、を含有する。好適な組成としては、7%〜12%
のクロムと、3%〜7%のアルミニウムと、1%〜5%
のチタンと、1%〜8%のタンタルと、0%〜12%の
タングステンと、0%〜0.8%のモリブデンと、0%
〜3%のニオブと、0%〜2.5%のハフニウムと、0
%〜7%のレニウムと、本質的なバランス成分としての
ニッケルを挙げることができる。上記組成は、炭素、ホ
ウ素、ジルコニウム、バナジウムといった添加物を意図
的に添加する必要がない。上記組成には、安定化させ、
かつ劣化層を形成させないようにするだけ充分、意図的
にコバルトが添加される。このコバルトが添加された上
記組成物はまた、熱処理性が向上されている。ガンマプ
ライムソルバス温度と溶解開始温度の間の温度範囲は、
コバルトが添加されていない合金に比較して増大されて
いる。
【0009】本発明の上述した特徴及びその他の特徴並
びに効果については、添付の図面をもってする詳細な説
明により明らかとなろう。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、航空機用ガスタービン
エンジンに用いられるニッケル基単結晶物体に関するも
のである。より詳細には、本発明は、約5%〜約12%
のクロムと、約2%〜約8%のアルミニウムと、約6%
以下のチタンと、を有し、アルミニウムとチタンの合計
が4%以上とされ、さらに約9.5%以下のタンタル
と、約12%以下のタングステンと、約3%以下のモリ
ブデンと、約3%以下のニオブと、約3.5%以下のハ
フニウムと、約7%以下のレニウムと、を含んでおり、
これらモリブデンと、ニオブと、ハフニウムと、レニウ
ムと、タンタルと、タングステンとの合計が5%を超え
るようにされたニッケル基単結晶物体に関し、その組成
物は、炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムを意図
的に加えずとも良く、又、この組成物は、安定化させる
だけ充分な量のコバルトが添加されている。なお、本願
においては、特に断らない限り組成比は、重量%で示
す。好ましい組成物としては、5%〜12%のクロム、
3%〜7%のアルミニウム、1%〜5%のチタン、1%
〜8%のタンタル、0%〜12%のタングステン、0%
〜8%のモリブデン、0%〜3%のニオブ、0%〜2.
5%のハフニウム、0%〜7%のレニウム、バランス成
分としてのニッケルを含有する組成物を挙げることがで
きる。アルミニウムとチタンの含有量の和は、約5%以
上であることが好ましく、モリブデンと、ニオブと、ハ
フニウムと、レニウムと、タンタルと、タングステンの
含有量の和が約10%を超えることが好ましい。さら
に、チタンのアルミニウムに対する比は、約1:1より
も小さいことが好ましい。
【0011】前述のクロムとアルミニウム含有量は、合
金が確実に昇温下においてアルミナ保護層を形成するよ
うにさせる。このタイプの酸化挙動は、部品を長寿命化
させるために必要とされる。約5%未満のクロム含有量
では、必要なアルミニウム層が信頼性良く形成されず、
クロム含有量が約12%を超えると合金の全体としての
強度を低下させてしまうことになる。このアルミニウム
とチタンは、ともにガンマプライム強化相(Ni3(A
l,Ti))を形成する。この必要な合金強度は、アル
ミニウムとチタンの合計が4%を超え、好ましくは約5
%を超えることによって得られる。チタンとアルミニウ
ムの比は、好ましくは約1:1以下に制御され、このよ
うにすることで所望するアルミナ酸化物保護相が確実に
形成されることになる。元素タンタルと、タングステン
と、モリブデンと、ニオブと、ハフニウムと、レニウム
とは、耐熱性元素として知られており、合金中には強化
のために用いられている。上記各元素タングステン、モ
リブデン、レニウムは、主としてガンマプライムマトリ
ックス相を与え、元素タンタル、ニオブは、ガンマプラ
イム強化相を形成する。耐熱性元素の混合により、充分
な合金特性が得られ、これらの元素の和は、5%以上好
ましくは10%とされていることが好ましい。上述の強
化用元素をより少なく含有している合金は、これらの強
化用元素をより高濃度に含有する組成では用途がブレー
ドや同様の高応力エンジン部品にしか用いられないが、
ベーンや他の回転しない用途にまでも概ね用いることを
可能とする。
【0012】これらの組成物は、内部粒界の無い鋳造部
品である単結晶部品としての用途が見出される。従来の
超合金においては、炭素、ホウ素、ジルコニウムといっ
た元素は、主として上記粒界を強化する目的のために添
加されるが、単結晶部品では、このような粒界がなく、
これらの元素を実質的に除去することによる実質的な利
点が得られることになる。これらの元素を排除すること
はまた、溶融開始温度を上昇させて、溶体化熱処理を容
易にさせる。この課題は、米国特許第4,116,723号にあ
る程度記載されている。バナジウムは、ある種の超合金
においてはガンマプライム相を形成する目的で添加さ
れ、低融点共晶としてガンマプライム相が出現するのを
最低化させているが、合金の高温浸食性挙動には、実質
的な悪影響を及ぼすので、本発明の組成物からは除外さ
れている。
【0013】本発明においては、コバルトを厳密に制御
した量で添加しているのが特徴となっている。ニッケル
基超合金は、組成的に複雑で温度及び応力の極限的条件
下で用いられる。ある種の超合金は、上述の使用条件下
では微細構造が不安定であることが見出されている。用
語“不安定”とは、上記使用条件に長期間晒された結
果、異質の相を形成することをいう。これらの相は、し
ばしばトポロジカルに密に充填された相(topologicall
y close-packed phase)又はTCP相として参照され、
シグマ及びミュ−といった相等の異なった相を含有す
る。これらの相は、概ねもろく、低強度であり、これら
の相の形成は、強度を与える耐熱性元素の合金特性を劣
化させてしまうので望ましくない。この結果、高応力が
加えられている部品に使用中に形成されるこれらの相
は、早期の壊滅的な損傷を生じさせることになる。これ
までの検討によれば、これらの相の形成には、Nv、す
なわち電子欠損数として参照されるパラメータが関係し
ていることが見出されている。上記Nv数を超合金マト
リックスについて算出するための好適な方法は、下記に
示す通りである。
【0014】1. 組成を重量%から原子%へと変換す
る。
【0015】2. TCP相形成温度範囲に長期間晒し
た後、MCカーバイドは、M236へと変換される傾向
にある。そこで、 a) 炭素のうちの半分がMCを次の順で形成するもの
と仮定する;TaC,NbC,TiC b) 残された炭素は、組成Cr21(Mo,W,Re)
26又はモリブデン、タングステン、レニウムの含有さ
れていないCr236というM236を形成するものと仮
定する。
【0016】3. ホウ素は、(Mo0・5Ti0・15Cr
0・250・1032のM32を形成するものと仮定する。
【0017】4. ガンマプライム相は、Ni3(Al,
Ti,Ta,Nb,Zr,0.5V,0.03Cr)の
組成を有していると仮定する。ここで、Crは、元の原
子パーセントの0.03%とする。
【0018】5. これ以外のマトリックスは、原子パ
ーセントから上記カーバイド化反応、ホウ化物反応、及
びガンマプライム相反応に用いられた原子を減じた成分
量を含有している。これらの残りの原子パーセントの合
計は、上記マトリックス内の原子濃度を示す。これを1
00%換算することにより、上記マトリックス内に残さ
れている各元素の原子パーセントが得られる。
【0019】これが電子欠損数を算出するための原子パ
ーセントとなる。
【0020】6. 上記電子欠損数を算出するための式
は、下記式で与えられる。
【0021】
【数1】
【0022】従来組成における概ねの規則においては、
シグマ相は、Nvが約2.5を超えている場合に期待さ
れる。本発明においては、合金不安定性とNvの関係
が、従来までに予測されていたよりもさらに複雑である
ことを見出し、注意深くコバルトを添加すると、上述の
Nv数に実質的に影響を受けないようにして、合金の安
定性を実質的に改善できることを見出したことによりな
されたのである。
【0023】図1は、電子欠損数と実験的に試験を行っ
たいくつかのレニウムフリー合金の耐熱性パラメータと
の関係を示している。図1にはまた、種々のコバルト濃
度を含有する合金の安定領域と不安定領域とを明示した
いくつかのラインが示されている。図1からは、上記耐
熱性パラメータの特定の値について、約10%までコバ
ルトを添加させると、不安定性が生じる電子欠損数のし
きい値にまで増加してしまうのが示されている。この観
測結果は、従来とは反対のものであり、従来では、概ね
Nv数は、合金の安定性を制御するパラメータとされて
いた。従来によれば、コバルトの添加は、上記合金の不
安定性を増加させしまう。
【0024】上述したように、超合金は、その強度部分
を耐熱性金属といった固溶体強化体により得ている。し
かしながら、これらの耐熱性金属はとしては、タングス
テン、モリブデン、レニウムを挙げることができ、これ
らは、実質的にマトリックス内に分割され、また上述の
電子欠損数を増加させてしまうことになる。本発明が図
1において教示するように、コバルトといった高濃度の
耐熱性元素が強化の目的のために添加でき、同時にコバ
ルトの添加は、従来では、安定性を損ねるとされてきた
電子欠損数(Nv)まで電子欠損数が増大しても不安定
合金を安定化させることを可能とする。
【0025】図1のポイントで示されている上記合金組
成は、表1にまとめられている。ここで単位(゜F)
は、華氏温度を指し、セ氏温度(゜C)と以下の関係に
ある。
【0026】
【数2】
【0027】(上式中、bは、華氏温度であり、aは、
セ氏温度である)。
【0028】例えば、合金L1と合金705とを比較す
ると、これらの合金は、実質的に同一の耐熱性金属含有
量とされている。合金L1は、不安定であり、合金70
5は、コバルトを5%含有していて安定である。したが
って、コバルトを制御しつつ添加することによって不安
定な合金を安定化させることができるようになるととも
に、過酷な条件下で長期間の使用を可能とさせる。図1
から、上記耐熱性元素含有量は、その合金が不安定にな
るNvレベルにまで達していることがわかる。コバルト
フリーの合金では、安定合金から不安定合金の間のライ
ンについての直線の方程式は、およそ、
【0029】
【数3】
【0030】で与えられる。これを超えたNvを有する
合金は不安定となる。本発明の顕著な特徴として、コバ
ルトの添加が安定領域と不安定領域との境界を変化させ
ることが見出されたのである。
【0031】例えば、コバルト5%を含有した合金は、
下式
【0032】
【数4】
【0033】から最大でNv≦2.5までが安定とな
り、コバルトを10%含有する合金は、下式
【0034】
【数5】
【0035】から最大で約Nv≦2.5までが安定とな
る。したがって、本発明の特徴は、単結晶合金組成がコ
バルト10%の合金では、下式
【0036】
【数6】
【0037】コバルトが5%の合金では、下式
【0038】
【数7】
【0039】で示される合金を見出したことにある。
【0040】レニウムを含有する超合金では、コバルト
はまた、合金の安定性を決定付ける際の重要な役割を担
っている。本発明が教示するように、コバルトを充分に
添加すると不安定合金を安定合金とすることができる。
従来技術においては、不安定合金においてコバルトのレ
ベルを上昇させると電子欠損数(Nv)が上昇して合金
の安定性をさらに低下させるとされていた。図2に示さ
れるように、注意深くコバルトを添加することによっ
て、合金の安定性が増加することが見出された。
【0041】図2のポイントで示される合金組成を表2
に示す。例えば、実質的に同一の耐熱性元素を含有する
合金250と合金483とを比較する。合金250は、
不安定であるが、合金483は、合金250よりも5%
コバルトが多く添加されていて安定で、合金250の電
子欠損数Nvよりも1.0だけ電子欠損数は高くなって
いる。したがって、合金安定性を制御することが可能と
なり、注意深くコバルトを添加することで過酷条件下で
の長期間の使用に対して不安定合金を安定化させること
ができる。
【0042】図2においては、耐熱性元素含有量は、合
金が不安定となるNvレベルに影響を与えるのが示され
ている。10%のコバルトを含有する合金では、安定合
金と不安定合金との間の直線の方程式は、重量%の組成
で近似的に下記式
【0043】
【数8】
【0044】から最大で約2.5とされる。
【0045】このレベルを超えるNvを有する合金は、
不安定となる。レニウムフリーの合金において図1にお
いてすでに示したように、レニウム含有合金へのコバル
トの添加は、安定領域と不安定領域の間の境界を変化さ
せる。
【0046】例えば、約5%のコバルトを含有する合金
は、下記式
【0047】
【数9】
【0048】において安定である。したがって、本発明
の特徴は、10%のコバルトを含有する合金について
2.23−0.027(W+2Mo+Re)≦Nv≦
2.56−0.027(W+2Mo+Re)の領域にあ
る安定なレニウム含有単結晶合金を見出したことにあ
る。ここで、Nvは、約2.5以下とされる。
【0049】合金へのコバルトを添加することによるこ
の予期せぬ顕著な効果は、当業界に対する顕著な貢献を
与えるものであり、本発明により従来知られていた合金
よりも、より強度の高い安定な合金を提供することを可
能とする。しかしながら、このコバルトの添加効果はま
た、実質的に別の特性においても見出される。現在で
は、最大の超合金特性は、その合金が適切に熱処理され
た場合に得られることが知られている。超合金の熱処理
は、粗な鋳造されたガンマプライム構造を溶解させるた
めにガンマプライムソルバス温度よりも高く加熱し、つ
いで、迅速冷却し、再度微細なガンマプライム相を析出
させるために、より低い温度に再度加熱することによ
る。多くの複雑な現代の超合金は、溶体化熱処理に必要
とされる温度と、溶融開始温度の間の温度差が小さい。
これは、熱処理を困難なものとしており、特に製造スケ
ールの観点から見て困難を生じさせ、金属間の僅かな組
成変動がガンマプライム相と溶融開始温度の間の変動を
引き起こしてしまう。後述するように、わずかな量のコ
バルトを添加するだけで、熱処理温度範囲が拡大でき、
これによりコバルトなしでは従来熱処理できなかった高
強度合金の熱処理を可能とし、これらの合金に対し、最
大強度を与えることが可能となる。
【0050】前述した表3の各対となった合金は、コバ
ルトが5%から10%の添加のみで著しく相違している
が、これらのケースそれぞれについて、上記コバルトの
添加は、実質的に溶体化熱処理温度範囲を変化させてい
る。この変化範囲は、10°F(6℃)から35°F
(19℃)であり、2つの場合において、従来は溶融解
せずには熱処理ができなかった合金の熱処理が可能とさ
れているのがわかる。表4には、この著しく改善された
熱処理性による顕著な効果を示してある。合金255及
び合金454は、その高いタンタル含有量のため、本発
明の範囲外ではあるものの、これらの特性を比較すると
本発明の効果が理解される。合金255は、合金454
のコバルト成分を取り除いた合金である点が合金454
とは異なっている。合金255の溶融開始温度とガンマ
プライムソルバス温度は、双方とも約2380°F(1
304.4℃)である。合金255の2380°F(1
304.4℃)での熱処理は、実質的に溶融を開始させ
ることになる。2380°F(1304.4℃)におけ
る熱処理後の合金255の1800°F/36ksi
(982℃/25.3kg/mm2)での破断寿命は、
約40時間であり、1%クリープを生じるまでの時間は
約15時間である。合金255の熱処理温度を2370
゜F(1299゜C)に低下させると効率よく溶融開始
を防ぐことができるが、鋳造された粗いガンマプライム
相のすべてがガンマ固溶体へと溶解されているわけでは
ないので、中間的な熱処理を受けているにすぎない。し
かしながら、溶融を開始させずに行うこの中間的な熱処
理の効果であっても約53時間へと破断寿命は増加し、
1%クリープまでの時間は約16時間となる。合金45
4は、2350°F(1288℃)において完全に溶体
化熱処理が溶解開始をともなわずに行われており、この
完全な溶体化熱処理の後には、破断寿命が90時間で、
1%クリープ時間が30時間となっている。このこと
は、完全に溶体化処理することの重要性と、最大の特性
を得るためには、溶融開始をさせないことが重要である
ことを示すものである。
【0051】これまで、本発明を実施例の詳細な説明に
より行ってきたが、当業者によれば形態及び細部にわた
って種々の変更を加えることが、本発明の趣旨及び範囲
内において可能であることが理解されよう。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】レニウムフリーニッケル基超合金組成物の微細
構造安定性に対するコバルト添加効果を示した図。
【図2】レニウム含有ニッケル基超合金組成物の微細構
造安定性に対するコバルト添加効果を示した図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アラン ディー.セテル アメリカ合衆国,コネチカット,ウエスト ハートフォード,フラー ドライヴ 90

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a.5%〜12%のクロムと、 b.2%〜8%のアルミニウムと、 c.アルミニウムとチタンとの合計が少なくとも4%以
    上となり、アルミニウムとチタンとの比が少なくとも
    1:1となるように添加される6%以下のチタンと、 d.9.5%以下のタンタルと、 e.12%以下のタングステンと、 f.3%以下のモリブデンと、 g.3%以下のニオブと、 h.3.5%以下のハフニウムと、 i.7%以下のレニウムとを含有し、 j.モリブデン、ニオブ、ハフニウム、レニウム、タン
    タル、タングステンの合計が5%を超えるようにして添
    加されており、 k.炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムが添加さ
    れておらず、 l.安定化させるためのコバルトと、バランス成分とし
    てのニッケルと、を含むことを特徴とする単結晶タービ
    ン用物体を製造するために用いられる組成物。
  2. 【請求項2】 7%〜12%のクロムと、3%〜7%の
    アルミニウムと、1%〜5%のチタンと、1%〜8%の
    タンタルと、2.5%以下のハフニウムとを含むことを
    特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 タンタル(Ta)+タングステン(W)
    +モリブデン(Mo)ニオブ(Nb)+ハフニウム(H
    f)+レニウム(Re)の合計が、10%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 a.7%〜12%のクロムと、 b.2%〜8%のアルミニウムと、 c.アルミニウムとチタンとの合計が少なくとも4%以
    上となり、アルミニウムとチタンとの比が少なくとも
    1:1となるように添加される6%以下のチタンと、 d.1.0%〜9.5%のタンタルと、 e.2%〜12%のタングステンと、 f.0.8%以下のモリブデンと、 g.3%以下のニオブと、 h.3.5%以下のハフニウムと、 i.7%以下のレニウムとを含有し、 j.モリブデン、ニオブ、ハフニウム、レニウム、タン
    タル、タングステンの合計が5%を超えるようにして添
    加されており、 k.炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムが添加さ
    れておらず、 l.安定化させるためのコバルトと、バランス成分とし
    てのニッケルとを含み、内部粒界を有さず、ガンマプラ
    イムソルバス温度よりも高い溶融開始温度を有していて
    高温下で良好な特性を有する熱処理可能な単結晶物体。
  5. 【請求項5】 a.7%〜12%のクロムと、 b.2%〜8%のアルミニウムと、 c.アルミニウムとチタンとの合計が少なくとも4%以
    上となり、アルミニウムとチタンとの比が少なくとも
    1:1となるように添加される6%以下のチタンと、 d.1.0%〜9.5%のタンタルと、 e.2%〜12%のタングステンと、 f.0.8%以下のモリブデンと、 g.3%以下のニオブと、 h.3.5%以下のハフニウムと、 i.7%以下のレニウムとを含有し、 j.モリブデン、ニオブ、ハフニウム、レニウム、タン
    タル、タングステンの合計が5%を超えるようにして添
    加されており、 k.炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムが添加さ
    れておらず、 l.安定化させるためのコバルトと、バランス成分とし
    てのニッケルとを含み、ガンマプライム相が均一かつ微
    細に分散され、前記ガンマプライム粒子の平均粒径が、
    約0.4μm以下とされていることを特徴とする高温下
    で良好な特性を有する熱処理された単結晶ガスタービン
    部品。
  6. 【請求項6】 レニウムフリーの不安定ニッケル基超合
    金に、コバルトを添加することにより、相を安定化させ
    る方法。
  7. 【請求項7】 レニウムを含有する不安定ニッケル基超
    合金に、コバルトを添加することにより、相を安定化さ
    せる方法。
  8. 【請求項8】 レニウムフリーの不安定ニッケル基超合
    金の相を安定化させる方法であって、前記超合金は、 a.7%〜12%のクロムと、 b.2%〜8%のアルミニウムと、 c.アルミニウムとチタンとの合計が少なくとも4%以
    上となり、アルミニウムとチタンとの比が少なくとも
    1:1となるように添加される6%以下のチタンと、 d.1.0%〜9.5%のタンタルと、 e.2%〜12%のタングステンと、 f.0.8%以下のモリブデンと、 g.3%以下のニオブと、 h.3.5%以下のハフニウムと、 i.モリブデン、ニオブ、ハフニウム、タンタル、タン
    グステンの合計が5%を超えるようにして添加されてお
    り、 j.炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムが添加さ
    れておらず、さらにバランス成分としてのニッケルを含
    み、 1%〜15%のコバルトを添加して、前記超合金の相を
    安定化させる方法。
  9. 【請求項9】 レニウムを含有する不安定ニッケル基超
    合金の相を安定化させる方法であって、前記超合金は、 a.7%〜12%のクロムと、 b.2%〜8%のアルミニウムと、 c.アルミニウムとチタンとの合計が少なくとも4%以
    上となり、アルミニウムとチタンとの比が少なくとも
    1:1となるように添加される6%以下のチタンと、 d.1.0%〜9.5%のタンタルと、 e.2%〜12%のタングステンと、 f.0.8%以下のモリブデンと、 g.3%以下のニオブと、 h.3.5%以下のハフニウムと、 i.7%以下で添加されるレニウムと、 j.モリブデン、ニオブ、ハフニウム、レニウム、タン
    タル、タングステンの合計が5%を超えるようにして添
    加されており、 k.炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムが添加さ
    れておらず、さらにバランス成分としてのニッケルを含
    み、 1%〜15%のコバルトの添加により、前記超合金の相
    を安定化させる方法。
  10. 【請求項10】 単結晶タービン用物体を製造するため
    に用いられる組成物であって、 a.5%のクロムと、 b.2%〜8%のアルミニウムと、 c.アルミニウムとチタンとの合計が少なくとも4%以
    上となり、アルミニウムとチタンとの比が少なくとも
    1:1となるように添加される6%以下のチタンと、 d.9.5%以下のタンタルと、 e.1%以下のタングステンと、 f.2.1%以下のモリブデンと、 g.3%以下のニオブと、 h.3.5%以下のハフニウムと、 i.3%以下のレニウムとを含有し、 j.モリブデン、ニオブ、ハフニウム、レニウム、タン
    タル、タングステンの合計が5%を超えるようにして添
    加されており、 k.炭素、ホウ素、ジルコニウム、バナジウムが添加さ
    れておらず、 l.さらに10%〜15%のコバルトと、バランス成分
    としてのニッケルとを含むことを特徴とする単結晶ター
    ビン用物体を製造するために用いられる組成物。
  11. 【請求項11】 タンタル(Ta)+タングステン
    (W)+モリブデン(Mo)+ニオブ(Nb)+ハフニ
    ウム(Hf)+レニウム(Re)の合計が10%以上と
    されていることを特徴とする請求項10に記載の組成
    物。
JP10311928A 1998-11-02 1998-11-02 安定に熱処理可能なニッケル基超合金単結晶物体及び組成物並びにガスタービン用部品 Pending JP2000144289A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10311928A JP2000144289A (ja) 1998-11-02 1998-11-02 安定に熱処理可能なニッケル基超合金単結晶物体及び組成物並びにガスタービン用部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10311928A JP2000144289A (ja) 1998-11-02 1998-11-02 安定に熱処理可能なニッケル基超合金単結晶物体及び組成物並びにガスタービン用部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000144289A true JP2000144289A (ja) 2000-05-26

Family

ID=18023127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10311928A Pending JP2000144289A (ja) 1998-11-02 1998-11-02 安定に熱処理可能なニッケル基超合金単結晶物体及び組成物並びにガスタービン用部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000144289A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302724A (ja) * 2001-01-10 2002-10-18 Mtu Aero Engines Gmbh 単結晶として固化した、構造部材を鋳造法によって製造するためのニッケルをベースにした合金
EP2305848A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-06 General Electric Company Nickel-Based Superalloys And Articles
EP2305847A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-06 General Electric Company Nickle-based superalloys and articles
EP2314727A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-27 General Electric Company Nickle-based superalloys and articles
JP2013108166A (ja) * 2011-11-17 2013-06-06 Cannon-Muskegon Corp タービンブレード及びベーン用途向けのレニウムを含まない単結晶超合金
EP2725110A1 (de) * 2012-10-26 2014-04-30 MTU Aero Engines GmbH Kriechbeständige, rheniumfreie Nickelbasissuperlegierung
KR101470069B1 (ko) * 2011-12-06 2014-12-05 캐논-머스케곤 코포레이션 터빈 날개 및 베인 용도를 위한 저레늄 단결정 초합금
RU2685926C1 (ru) * 2018-11-14 2019-04-23 Федеральное государственное унитарное предприятие "Всероссийский научно-исследовательский институт авиационных материалов" (ФГУП "ВИАМ") Интерметаллидный сплав на основе никеля и изделие, выполненное из него

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302724A (ja) * 2001-01-10 2002-10-18 Mtu Aero Engines Gmbh 単結晶として固化した、構造部材を鋳造法によって製造するためのニッケルをベースにした合金
EP2305848A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-06 General Electric Company Nickel-Based Superalloys And Articles
EP2305847A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-06 General Electric Company Nickle-based superalloys and articles
EP2314727A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-27 General Electric Company Nickle-based superalloys and articles
EP2314727B1 (en) 2009-09-30 2016-03-23 General Electric Company Nickle-based superalloys and articles
JP2013108166A (ja) * 2011-11-17 2013-06-06 Cannon-Muskegon Corp タービンブレード及びベーン用途向けのレニウムを含まない単結晶超合金
KR101470069B1 (ko) * 2011-12-06 2014-12-05 캐논-머스케곤 코포레이션 터빈 날개 및 베인 용도를 위한 저레늄 단결정 초합금
EP2725110A1 (de) * 2012-10-26 2014-04-30 MTU Aero Engines GmbH Kriechbeständige, rheniumfreie Nickelbasissuperlegierung
RU2685926C1 (ru) * 2018-11-14 2019-04-23 Федеральное государственное унитарное предприятие "Всероссийский научно-исследовательский институт авиационных материалов" (ФГУП "ВИАМ") Интерметаллидный сплав на основе никеля и изделие, выполненное из него

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2881626B2 (ja) 単結晶ニッケル・ベース超合金
US6054096A (en) Stable heat treatable nickel superalloy single crystal articles and compositions
JP5278936B2 (ja) 耐熱超合金
JP2782340B2 (ja) 単結晶合金およびその製造方法
JP4026883B2 (ja) タービンエンジン部品用ニッケル合金
JPH026820B2 (ja)
KR100954683B1 (ko) 고강도 내부식성 및 내산화성의 니켈계 초합금 및 이를 포함하는 방향성 고화 제품
JPH055143A (ja) ニツケル基単結晶超合金
JPS6343459B2 (ja)
JP2009097094A (ja) ニッケル基超合金
JPH0245694B2 (ja)
JPH03197653A (ja) 耐クリープ性の高い単結晶合金の製法
JP2018003157A (ja) 超合金物品及び関連物品の製造方法
US4386976A (en) Dispersion-strengthened nickel-base alloy
EP0076360A2 (en) Single crystal nickel-base superalloy, article and method for making
JPWO2007122931A1 (ja) Ni基超合金とその製造方法
JP5697454B2 (ja) ニッケル基超合金組成物を安定化する方法
TWI248975B (en) Nickel-base superalloy for high temperature, high strain application
JPH0239573B2 (ja)
JP2018024938A (ja) 超合金物品及び関連物品の製造方法
JP4326830B2 (ja) ニッケル基超合金
EP1927669B1 (en) Low-density directionally solidified single-crystal superalloys
EP0052911B1 (en) Single crystal (single grain) alloy
JP2000144289A (ja) 安定に熱処理可能なニッケル基超合金単結晶物体及び組成物並びにガスタービン用部品
JP2004315973A (ja) 析出強化型ニッケル−鉄−クロム合金及びその処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050708

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070123

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070420

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070425

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070522

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070525

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070814