JPH06171050A - ラミネート - Google Patents

ラミネート

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JPH06171050A
JPH06171050A JP8011093A JP8011093A JPH06171050A JP H06171050 A JPH06171050 A JP H06171050A JP 8011093 A JP8011093 A JP 8011093A JP 8011093 A JP8011093 A JP 8011093A JP H06171050 A JPH06171050 A JP H06171050A
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義博 茂木
Tsunetaka Fujiwara
庸隆 藤原
Koji Furuichi
幸治 古市
Eiichiro Takiyama
栄一郎 滝山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラミネートの際に、基材への接着性、密着性
がよく、成形加工の際に酸化劣化臭と多量の煙の発生を
伴わず、更に自然界のごく通常の微生物により分解可能
なラミネートの開発。 【構成】 温度190℃、剪断速度100sec-1にお
ける溶融粘度が1.0×103 〜1.0×105 ポイズ
である脂肪族ポリエステル樹脂を基材に溶融押出コーテ
ィングしたラミネート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粘着シート、接着シー
ト、合成樹脂フィルム、キャスティング成膜等に使用す
る剥離紙及び粘着テープの基材として用いる紙は布製剥
離基材、またはコーヒー・スープ・みそ汁・即席麺等の
飲食品等に用いるカップに使用する基材あるいはピザ・
惣菜・電子レンジ食品等の食品等に用いるトレーに使用
する基材として用いる紙製容器用基材等のラミネートに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙または布等の基材の合成樹脂を積層し
たラミネートは各種の用途に用いられている。例えば剥
離基材としては、従来紙または布の片面もしくは両面に
目止め層として315〜345℃で通常高圧法で得られ
る長鎖分岐を有する低密度ポリエチレンあるいは低密度
ポリエチレンと高密度ポリエチレンをブレンドした中密
度ポリエチレンあるいは低密度ポリエチレンとポリプロ
ピレンをブレンドした組成物が用いられ、該目止め層の
上に剥離層が設けられたものがよく知られている。
【0003】現在の剥離基材製造法では、目止め層とし
て用いる上記ポリオレフィンを基材との密着及び接着を
強固にするため、315℃以上の高温で溶融コートする
必要がある。このためポリオレフィン自身の酸化劣化に
より多量の煙が発生することが避けられず、作業環境が
悪化し、また工場外への排煙による付近の環境汚染も大
きな問題であり、改善が強く求められている。また、使
用済みの剥離紙には基材に生分解性のないポリオレフィ
ンが積層されていたため土中に埋めるだけでは処理した
ことにならず、また紙を回収しようとする場合には使用
済みの剥離基材をアルカリ水溶液中に浸漬し、ポリオレ
フィンをはがすという非常に面倒で人手とコストを要す
る工程となるため、紙または布等の微生物分解性基材と
一緒に生分解するような剥離基材の開発が強く求められ
ている。
【0004】一方、温かい飲食品等に用いる紙カップ、
紙トレー等の紙製容器は、少なくとも液体等の内容物と
接する片面に撥水層として通常高圧法で得られる長鎖分
岐を有する低密度ポリエチレン、あるいは低密度ポリエ
チレンと高密度ポリエチレンとをブレンドした中密度ポ
リエチレン、あるいは低密度ポリエチレンとポリプロピ
レンとからなる組成物を積層したものが用いられてき
た。
【0005】現在温かい飲食品等に使用する紙カップま
たは紙トレー等の紙製容器用基材の製造法は、撥水層と
して用いる上記ポリオレフィン組成物を紙との密着及び
接着を強固にするため300℃以上の高温度で積層する
必要がある。このためポリオレフィン自身は酸化劣化が
避けられず、紙積層体に樹脂組成物の酸化劣化臭が残っ
たり、また積層工程において多量の煙が発生し成形作業
環境を悪化させたり、この煙の工場外への排煙により周
辺地域の環境を汚染する等の問題があり、これらの臭気
・発煙の低減対策が強く求められている。
【0006】更に使用済みの紙カップ、紙トレー等は、
紙に微生物分解性のないポリオレフィン組成物が積層さ
れているため土中に埋めても分解せず、また紙を回収し
ようとする場合はこの使用済みの紙カップ及び紙トレー
をアルカリ水溶液中に浸漬しポリオレフィン組成物を分
離するという非常に面倒で人手とコストを要するため紙
と一緒に生分解するような撥水層用組成物が強く求めら
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、剥離用基材
の目止め層として、溶融コーティング時の発煙を少なく
するためには低温で成形でき、しかも紙または布等の基
材に接着、密着性のよいポリマーであって、しかも自然
界のごくあたり前の土中の微生物により容易に分解させ
られるようなポリマーで目止めされた剥離基材の開発、
並びに高温度積層による製品基材に残るポリオレフィン
の酸化劣化臭と多量の煙の発生の問題を解決し、併せて
紙製容器に微生物分解性を付与して使用済み容器の廃棄
に伴う非分解性物質が蓄積する自然界環境の保全に有利
な紙容器用基材の開発を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、温度190
℃、剪断速度100(sec-1)における溶融粘度が
1.0×103 〜1.0×105 ポイズであり、融点が
70〜200℃である脂肪族ポリエステル樹脂を、基材
に溶融押出コーティングしたことを特徴とする剥離基材
を開発することにより、さらに温度190℃、剪断速度
100(sec-1)における溶融粘度が1.0×103
〜1.0×105 ポイズであり、融点が85〜200℃
とした脂肪族ポリエステル樹脂を、原紙に積層したこと
を特徴とする紙製容器用基材を開発することにより、上
記のそれぞれの目的を達成した。
【0009】本発明で言う脂肪族ポリエステルとは、グ
リコール類と脂肪族多塩基酸またはその酸無水物とから
合成されるポリエステルを主成分とするものであり、分
子量を充分に高くするため、両端にヒドロキシル基を有
する比較的高分子量のポリエステルプレポリマーを合成
した後カップリング剤により、さらにこれらプレポリマ
ーをカップリングさせたものである。
【0010】従来から、末端基がヒドロキシル基であ
る、数平均分子量が2,000〜2,500の低分子量
ポリエステルプレポリマーをジイソシアナートと反応さ
せて、ポリウレタンとし、ゴム、フォーム、塗料、接着
剤とすることは広く行われている。
【0011】しかし、これらのポリウレタン系フォー
ム、塗料、接着剤に用いられるポリエステルプレポリマ
ーは、数平均分子量が2,000〜2,500の、低分
子量プレポリマーであり、この低分子量プレポリマー1
00重量部に対して、ポリウレタンとしての実用的な物
性を得るためには、ジイソシアナートの使用量を10〜
20重量部とする必要がある。このように多量のジイソ
シアナートを150℃以上の溶融した低分子量ポリエス
テルに添加すると、ゲル化してしまい、溶融成形可能な
樹脂は得られない。
【0012】また、ポリウレタンゴムの場合のごとく、
ジイソシアナートを加えて、ヒドロキシル基をイソシア
ナート基に転換し、更にグリコールで数平均分子量を増
大する方法も考えられるが、使用されるジイソシアナー
トの量は前述のように低分子量プレポリマー100重量
部に対し10重量部以上が必要である。この際ポリエス
テルの合成に重金属系の触媒を用いると、イソシアナー
ト基の反応性を著しく促進して、保存性不良、架橋反
応、分岐生成をもたらすことから、ポリエステルプレポ
リマーは無触媒で合成されることが必要となり、この結
果数平均分子量は高くても2,500くらいが限界とな
る。
【0013】本発明に用いられる脂肪族ポリエステルを
得るためのポリエステルプレポリマーは、グリコールと
脂肪族多塩基酸またはその無水物とを反応せしめて得ら
れる末端基が実質的にヒドロキシル基を有する、数平均
分子量が5,000以上、好ましくは10,000以上
の比較的高分子量、融点が60℃以上の飽和脂肪族ポリ
エステルである。
【0014】数平均分子量が5,000未満であると、
0.1〜5重量部という少量のカップリング剤を用いて
も良好な物性を有するポリエステルを得ることができな
い。数平均分子量が5,000以上のポリエステルプレ
ポリマーは、ヒドロキシル価が30以下であり、少量の
カップリング剤の使用で、溶融状態といった過酷な条件
下でも反応中にゲルを生ずることなく、高分子量ポリエ
ステルを合成することができる。
【0015】用いられるグリコール類としては、例えば
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル等があげられる。エチレンオキシドも利用することが
できる。これらのグリコール類は併用しても良い。
【0016】グリコール類と反応して脂肪族ポリエステ
ルを形成する脂肪族多塩基酸またはその誘導体として
は、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、
ドデカン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸またはそれ
らのジメチルエステル等の低級アルコールジエステルな
どがあり、これらは市販されているので本発明に利用す
ることができる。脂肪族多塩基酸またはその誘導体は併
用しても良い。
【0017】これらグリコール類及び多塩基酸は脂肪族
系が主成分であるが、少量の他成分、例えば3官能また
は4官能の多価アルコール、オキシカルボン酸または多
価カルボン酸を併用することが好ましい。
【0018】3官能の多価アルコール成分としては、ト
リメチロールプロパン、グリセリンまたはその無水物が
代表的であり、4官能の多価アルコール成分はペンタエ
リトリットが代表的である。
【0019】3官能のオキシカルボン酸は、リンゴ酸が
実用上有利であり、4官能のオキシカルボン酸成分では
市販品が容易に、かつ低コストに入手できるところから
クエン酸が実用的である。
【0020】3官能の多価カルボン酸(またはその酸無
水物)成分としては、例えばトリメシン酸、プロパント
リカルボン酸等を使用することができるが、実用上から
無水トリメリット酸が有利である。
【0021】4官能の多価カルボン酸(またはその酸無
水物)としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボ
ン酸無水物等が挙げられる。
【0022】多官能成分の使用割合は、グリコール成分
または脂肪族(環状脂肪族を含む。)ジカルボン酸(ま
たはその酸無水物)成分のいずれかのモル数が100モ
ル%に対して、3官能成分の場合は5モル%以下、好ま
しくは0.5モル%以上3モル%以下であり、4官能成
分の場合は3モル%以下、好ましくは0.2モル%以上
2モル%以下である。
【0023】3官能成分の使用割合が5モル%より多い
場合、または4官能成分の使用割合が3モル%より多い
場合には、エステル化反応中にゲル化する危険性が著し
く増大する。
【0024】本発明で用いられる脂肪族ポリエステル用
ポリエステルプレポリマーは、末端基が実質的にヒドロ
キシル基を有するが、そのためには合成反応に使用する
グリコール類及び多塩基酸(またはその酸無水物)の使
用割合は、グリコール類をいくぶん過剰に使用する必要
がある。
【0025】比較的高分子量のポリエステルプレポリマ
ーを合成するには、エステル化に続く脱グリコール反応
の際に、高分子化を確実にするため脱グリコール反応触
媒を使用することが好ましい。
【0026】脱グリコール反応触媒としては、例えばア
セトアセトイル型チタンキレート化合物、並びに有機ア
ルコキシチタン化合物等のチタン化合物が挙げられる。
これらのチタン化合物は併用もできる。これらの例とし
ては、例えばジアセトアセトキシオキシチタン(日本化
学産業(株)社製“ナーセムチタン”)、テトラエトキ
シチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチ
タン等が挙げられる。チタン化合物の使用割合は、ポリ
エステルプレポリマー100重量部に対して0.001
〜1重量部、望ましくは0.01〜0.1重量部であ
る。チタン化合物はエステル化の最初から加えても良
く、また脱グリコール反応の直前に加えても良い。
【0027】この結果、ポリエステルプレポリマーは通
常酸平均分子量5,000以上、好ましくは20,00
0以上、融点60℃以上のものが容易に得られ、結晶性
があれば一層好ましい。
【0028】本発明の脂肪族ポリエステルを得るために
は、更に数平均分子量が5,000以上、望ましくは1
0,000以上の末端基が実質的にヒドロキシル基を有
するポリエステルプレポリマーに、更に数平均分子量を
高めるためにカップリング剤が使用される。
【0029】カップリング剤としては、ジイソシアナー
ト、オキサゾリン、ジエポキシ化合物、酸無水物等が挙
げられ、特にジイソシアナートが好適である。
【0030】なお、オキサゾリンやジエポキシ化合物の
場合はヒドロキシル基を酸無水物等と反応させ、末端を
カルボキシル基に変換してからカップリング剤を使用す
ることが必要である。
【0031】ジイソシアナートには特に制限はないが、
例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,4−
トリレンジイソシアナートと2,6−トリレンジイソシ
アナートとの混合体、ジフェニルメタンジイソシアナー
ト、1,5−ナフチレンジイソシアナート、キシリレン
ジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナー
ト、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイ
ソシアナートが挙げられ、特にヘキサメチレンジイソシ
アナートが生成樹脂の色相、ポリエステル添加時の反応
性等の点から好ましい。
【0032】これらカップリング剤の添加量は、ポリエ
ステルプレポリマー100重量部に対して0.1〜5重
量部、望ましくは0.5〜3重量部である。
【0033】0.1重量部未満ではカップリング反応が
不十分であり、5重量部を越えるとゲル化が発生する。
【0034】添加は、ポリエステルプレポリマーが均一
な溶融状態であり、容易に撹拌可能な条件下で行われる
ことが望ましい。固形状のポリエステルプレポリマーに
添加し、エクストルーダーを通して溶融、混合すること
も不可能ではないが、脂肪族ポリエステル製造装置内
か、あるいは溶融状態のポリエステルプレポリマー(例
えばニーダー内での)に添加することが実用的である。
【0035】本脂肪族ポリエステル樹脂は温度190
℃、剪断速度100(sec-1)における溶融粘度が
1.0×103 〜1.0×105 ポイズであることが好
ましい。溶融剪断粘度が1.0×103 ポイズ未満では
溶融粘度が小さすぎるため、押出成形時サージングや樹
脂温度の不均一化が発生し易く押出安定性に欠けたり、
ラミネート成形時には溶融膜のネックインが大きくなり
ラミネート成形しづらく、でき上がったラミネート膜の
偏肉が大きくなったりするという欠点がある。また溶融
剪断粘度が1.0×105 ポイズを越えると溶融粘度が
高すぎるため、押出成形時のモーター負荷が大きくなり
生産性が落ちたり、ラミネート成形時に溶融膜の薄膜化
が困難であるという欠点がある。好ましくは溶融剪断粘
度が2.0×103 〜2.0×104 ポイズである。更
に好ましくは溶融剪断粘度が2.5×103 〜1.2×
104 ポイズの範囲である。
【0036】本発明において、剥離基材に使用する脂肪
族ポリエステルの融点は70℃〜200℃が好適であ
る。これが70℃未満ではシリコーン塗工や粘着剤塗工
工程での耐熱性が不十分となり、低温処理が必要なため
シリコーンや粘着剤の溶媒の乾燥、除去に長時間を要
し、好ましくない。一方、200℃を越えると耐熱性は
充分であるが、生分解速度が遅くなり好ましくない。好
ましくは60℃〜150℃、更に好ましくは80℃〜1
30℃である。
【0037】また、紙製容器用に用いるときの脂肪族ポ
リエステルの融点は85〜200℃が好適である。融点
が85℃未満ではできた紙カップ及び紙トレーに温かい
飲食品を入れたときの耐熱性が不十分で、積層した脂肪
族ポリエステル組成物が剥離したり、溶融したりあるい
は接合部が剥離したりするため好ましくない。融点が2
00℃を越えるとできた紙カップ及び紙トレーを土中に
おいて微生物により分解させるとき、生分解速度が遅く
なり好ましくない。好ましくは融点が90〜150℃
で、更に好ましくは融点が100〜140℃である。
【0038】本発明において、この脂肪族ポリエステル
樹脂の数平均分子量は10,000以上で、ウレタン結
合が0.03〜3.0重量%である特徴を有する。数平
均分子量が10,000以上であってはじめて強度のあ
るポリエステル層のある基材が得られ、種々の用途に対
応できる。10,000未満では耐熱性も低下し、強度
面でももろい性質となり、実用強度のある基材としては
不適当である。
【0039】本発明においては上記のごとき方法で製造
された脂肪族ポリエステル樹脂をT−ダイ法により基材
に積層することによりラミネート製品を製造することが
できる。この時の押出する樹脂温度は150℃〜290
℃である。樹脂温度が150℃未満では溶融粘度が高す
ぎるため、押出成形時のモーター負荷が大きくなり生産
性が落ちたり、ラミネート成形時に溶融膜の薄膜化が困
難であるという欠点がある。一方樹脂温度が290℃を
越えると樹脂組成物が劣化し、サージング等が発生し押
出安定性に欠けたり、ラミネート成形時に溶融膜のネッ
クイン[ラミネート成形において、T−ダイから出た溶
融膜の幅が基材と接するまでの空間で狭くなる現象を言
い、T−ダイ出口の溶融膜の幅と基材上にラミネートさ
れたラミネート膜の幅との差で示す]が大きくかつ安定
せずラミネート成形しづらい、さらには成形時の発煙が
多く作業環境を悪化させると共に、できた紙積層体の臭
気を悪化させるという欠点がある。好ましくは樹脂温度
が160〜270℃であり、さらに好ましくは樹脂温度
が170〜250℃である。
【0040】本発明において、特に1分子中にアルコー
ル性水酸基(−OH)を3ケ以上持つ多価アルコール、
または1分子中に3ケ以上のカルボキシル基(−COO
H)を持つ多塩基酸モノマーの少量(0.2〜5.0モ
ル%)を併用し製造された脂肪族ポリエステルは、分子
量分布が広くなり、長鎖分岐を持つため押出時の成形圧
力は小さくなり、T−ダイを用いてラミ成形する場合の
ネックインは小さく、サージング等の現象は少なくな
り、成膜性が著しく改善される。
【0041】本発明において、上記の方法で製造された
脂肪族ポリエステルをT−ダイ法によりラミネート成形
する場合、長鎖分岐を全く含まない線状ポリエステルだ
けを用いて成形しても良いが、線状ポリエステルと長鎖
分岐を含むポリエステルを任意の組成で混合しても良い
し、長鎖分岐を含むポリエステルだけで成形することで
も良い。
【0042】ネックインを小さくしたい場合には長鎖分
岐をもつ脂肪族ポリエステルと線状ポリマーとを混合し
て用いるのが好ましい。
【0043】本発明のポリエステル樹脂を使用するに際
しては、必要に応じて滑剤、ワックス類、着色剤、フィ
ラー等を併用できることはもちろんである。特に従来の
滑剤の他に特にVITON等の滑剤が表面の平滑性を良
くする上で非常に有効であった。以下、本発明を実施
例、比較例により説明する。
【0044】
【実施例】
(実施例1)700Lの反応器を窒素置換してから、
1,4−ブタンジオール183kg、コハク酸224k
gを仕込んだ。窒素気流中において昇温を行い、195
〜210℃にて3.0時間、更に窒素を停止して15〜
5mmHgの減圧下に3.5時間にわたり脱水縮合によ
るエステル化反応を行った。採取された試料は、酸価が
6.3mg/g、数平均分子量(Mn)が5,200、
また重量平均分子量(Mw)が10,100であった。
引き続いて、常圧の窒素気流下に触媒のテトライソプロ
ポキシチタン3.4gを添加した。温度を上昇させ、温
度215〜220℃で5〜0.2mmHgの減圧下に
7.5時間、脱グリコール反応を行った。採取された試
料は数平均分子量(Mn)が18,600、また重量平
均分子量(Mw)が50,300であった。このポリエ
ステル(A1)は凝縮水を除くと収量は339kgであ
った。
【0045】ポリエステル(A1)339kgを入れた
反応器にヘキサメチレンジイソシアナート4070gを
添加し、180〜200℃で1時間カップリング反応を
行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかっ
た。次いで抗酸化剤としてイルガノックス1010(チ
バガイギー社製)を1700g及び滑剤としてステアリ
ン酸カルシウムを1700g加えて更に30分間撹拌を
続けた。この反応生成物をエクストルーダーにて水中に
押出し、カッターで裁断してペレットにした。90℃で
6時間、真空乾燥した後のポリエステル(B1)の収量
は270kgであった。
【0046】得られたポリエステル(B1)は、わずか
にアイボリー調の白色ワックス状結晶で、融点が110
℃、数平均分子量(Mn)が29,500、重量平均分
子量(Mw)が127,000、MFR(190℃)は
9.2g/10分、オルトクロロフェノールの10%溶
液の粘度は170ポイズ、温度190℃、剪断速度10
0sec-1における溶融粘度は8.0×103 ポイズで
あった。平均分子量の測定は、Shodex GPC
System−11(昭和電工(株)製ゲルクロマトグ
ラフィー),溶媒はCF3 COONaのヘキサフロロイ
ソプロピルアルコール5ミリモル溶液、濃度0.1重量
%、検量線は昭和電工(株)製PMMA標準サンプル
Shodex Standard M−75で行った。
次いでこのポリエステル樹脂(B1)をスクリュー径5
0mmφ、L/D=28の押出機に幅320mmのT−
ダイを用い、ダイリップギャップ0.8mm、エアギャ
ップ120mm、樹脂温度220℃で押出し、速度15
0m/minで供給される上質紙(70g/m2 )上に
20μmの厚みでラミネートし、剥離基材を製造した。
ラミネート成形時には溶融膜も安定しており成膜安定性
に優れており、発煙も少なく作業環境も良かった。得ら
れた剥離基材の紙とポリエステルフィルムとの密着性は
充分であり、剥離試験をしたところ界面剥離は起こら
ず、紙の凝集破壊が観察された。得られた基材の評価は
表1に示す。
【0047】該剥離基材を10cm×20cmの矩形に
切り出し、ステンレスで作った四角のワクにポリエチレ
ン製のネットでこの剥離紙を挟んで取りつけた。これを
深さ10cmの土中に埋め、生分解性の評価を行った。
場所は昭和電工株式会社川崎樹脂研究所(川崎市川崎
区)の庭である。3か月後に掘り出したところ紙の繊維
よりもポリエステルの薄膜の方が分解が進みぼろぼろに
なっていた。
【0048】(実施例2)実施例1と同様に脂肪族ポリ
エステル樹脂(B1)を速度100m/分で供給される
原紙上に樹脂温度190℃・厚み平均30μmで押出ラ
ミネートし、剥離基材を得た。紙とポリエステル層の密
着性は充分であり、剥離試験を行ったところ紙が凝集破
壊した。得られた積層体を100℃の循環式エアオーブ
ン中で耐熱試験を行ったところピンホールは2ケであ
り、表面光沢の変化も小さく充分であった。なお、実施
例1と同じ方法で生分解性を評価したところ、3か月後
にはフィルムには穴が開きぼろぼろになっていた。基材
の評価は表1に示す。
【0049】(比較例1)実施例1と同一のポリエステ
ル(B1)を同一ラミネーターを用い、145℃で上質
紙のコーティングを試みたところ、発煙は小さく成膜時
の膜は安定していた。しかし、成形スピードを上げると
薄膜の耳部で割れを起こすため60μmが限度であっ
た。積層体の耐熱性を評価したところ、光沢の温度によ
る変化は小さく、充分であったが、紙への密着性は悪く
界面剥離してしまい剥離基材としては不十分であった。
得られた基材の評価は表1に示す。
【0050】(比較例2)実施例1と同一のポリエステ
ル(B1)および同一のラミネーターを用い、300℃
でコーティングを試みたところ、成形時T−ダイからの
薄膜は左右に振れ、一定幅でかつ一定厚みで紙にコーテ
ィングすることは不可能であった。また発煙も多く作業
環境上も好ましくないものであった。従ってこの剥離基
材については耐熱性、密着性、生分解性の評価は行わな
かった。
【0051】(実施例3)700Lの反応器を窒素置換
してから、1,4−ブタンジオール183kg、コハク
酸224kgを仕込んだ。窒素気流中において昇温を行
い、192〜220℃にて3.5時間、更に窒素を停止
して20〜2mmHgの減圧下に3.5時間にわたり脱
水縮合によるエステル化反応を行った。採取された試料
は、酸価が9.2mg/g、数平均分子量(Mn)が
5,160、また重量平均分子量(Mw)が10,67
0であった。引き続いて、常圧の窒素気流下に触媒のテ
トライソプロポキシチタン34gを添加した。温度を上
昇させ、温度215〜220℃で15〜0.2mmHg
の減圧下に5.5時間、脱グリコール反応を行った。採
取された試料は数平均分子量(Mn)が16,800、
また重量平均分子量(Mw)が43,600であった。
このポリエステル(A2)は凝縮水を除くと収量は33
9kgであった。
【0052】ポリエステル(A2)339kgを入れた
反応器にヘキサメチレンジイソシアナート5420gを
添加し、180〜200℃で1時間カップリング反応を
行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかっ
た。次いで抗酸化剤としてイルガノックス1010(チ
バガイギー社製)を1700g及び滑剤としてステアリ
ン酸カルシウムを1700g加えて、更に30分間撹拌
を続けた。この反応生成物をエクストルーダーにて水中
に押出し、カッターで裁断してペレットにした。90℃
で6時間、真空乾燥した後のポリエステル(B2)の収
量は300kgであった。
【0053】得られたポリエステル(B2)は、わずか
にアイボリー調の白色ワックス状結晶で、融点が110
℃、数平均分子量(Mn)が35,500、重量平均分
子量(Mw)が170,000、MFR(190℃)は
1.0g/10分、オルトクロロフェノールの10%溶
液の粘度は230ポイズ、温度190℃、剪断速度10
0sec-1における溶融粘度は1.5×104 ポイズで
あった。平均分子量の測定は、Shodex GPC
System−11,溶媒はCF3 COONaのヘキサ
フロロイソプロピルアルコール5ミリモル溶液、濃度
0.1重量%、検量線は昭和電工(株)製PMMA標準
サンプル Shodex Standard M−75
で行った。
【0054】ついで、このポリエステル(B2)を実施
例1で用いたラミネーターを用い、230℃、ラインス
ピード100m/minで上質紙(70g/m2 )に押
出ラミネートを行い、30μmの紙剥離基材を得た。成
形時、発煙はなく、薄膜耳部も安定しており、膜幅、及
び膜厚の均一な積層体が得られた。
【0055】得られた紙剥離基材の耐熱性は充分であ
り、紙の密着性も強く剥離試験したところ紙の凝集破壊
であった。実施例1と同様の方法で生分解性を評価した
ところ、3か月後にはポリエステルフィルムは小さな穴
が無数に開き、部分的にはフィルムは消滅しているとこ
ろもあり分解性が非常に進んでいることが確認された。
得られた基材の評価は表1に示す。
【0056】(実施例4)700Lの反応器を窒素置換
してから、1,4−ブタンジオール177kg、コハク
酸198kg、アジピン酸25kgを仕込んだ。窒素気
流下に昇温を行い、190〜210℃にて3.5時間、
更に窒素を停止して20〜2mmHgの減圧下にて3.
5時間にわたり脱水縮合によるエステル化反応を行っ
た。採取された試料は、酸価が9.6mg/g、数平均
分子量(Mn)が6,100、また重量平均分子量(M
w)が12,200であった。引き続いて、常圧の窒素
気流下に触媒のテトライソプロポキシチタン20gを添
加した。温度を上昇させ、温度210〜220℃で15
〜0.2mmHgの減圧下にて6.5時間、脱グリコー
ル反応を行った。採取された試料は数平均分子量(M
n)が17,300、また重量平均分子量(Mw)が4
6,400であった。このポリエステル(A3)は凝縮
水を除くと収量は337kgであった。
【0057】ポリエステル(A3)333kgを入れた
反応器にヘキサメチレンジイソシアナート4.66kg
を添加し、180〜200℃で1時間カップリング反応
を行った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなか
った。次いで抗酸化剤としてイルガノックス1010
(チバガイギー社製)を1700g及び滑剤としてステ
アリン酸カルシウムを1700g加えて、更に30分間
撹拌を続けた。この反応生成物をエクストルーダーにて
水中に押出し、カッターで裁断してペレットにした。9
0℃で6時間、真空乾燥した後のポリエステル(B3)
の収量は300kgであった。
【0058】得られたポリエステル(B3)は、わずか
にアイボリー調の白色ワックス状結晶で、融点が103
℃、数平均分子量(Mn)が36,000、重量平均分
子量(Mw)が200,900、MFR(190℃)は
0.52g/10分、オルトクロロフェノールの10%
溶液の粘度は680ポイズ、温度190℃、剪断速度1
00sec-1における溶融粘度2.2×104 ポイズで
あった。
【0059】このポリエステル(B3)を270℃、1
50m/minで上質紙(70g/m2 )に厚さ20μ
mの押出ラミネートを行った。成膜時若干耳高になった
が成膜時の膜幅や厚みは安定しており、安定成形が可能
であった。
【0060】発煙は若干あったが問題になるほどではな
かった。得られた積層体を100℃で耐熱テストをした
ところピンホールは少なく光沢変化も小さかった。紙と
の密着性は充分であり、紙が凝集破壊した。
【0061】生分解性について実施例1と同様の方法で
テストしたところ、2か月後ですでにフィルムには穴が
無数に開きボロボロになっていた。得られた基材の評価
は表1に示す。
【0062】(実施例5)700Lの反応器を窒素置換
してから、1,4−ブタンジオール200kg、コハク
酸250kgおよびトリメチロールプロパン2.84k
gを仕込んだ。窒素気流中において昇温を行い、192
〜220℃にて3.5時間、更に窒素を停止して20〜
2mmHgの減圧下に2.5時間にわたり脱水縮合によ
るエステル化反応を行った。採取された試料は、酸価が
2.5mg/g、数平均分子量(Mn)が8,660、
また重量平均分子量(Mw)が9,520であった。引
き続いて、常圧の窒素気流下に触媒のテトライソプロポ
キシチタン37gを添加した。温度を上昇させ、温度2
15〜220℃で15〜0.3mmHgの減圧下に8.
0時間、脱グリコール反応を行った。採取された試料は
数平均分子量(Mn)が16,200、また重量平均分
子量(Mw)が67,900であった。このポリエステ
ル(A4)は凝縮水を除くと理論収量は367kgであ
った。
【0063】ポリエステル(A4)367kgを入れた
反応器にヘキサメチレンジイソシアナート330gを添
加し、170〜185℃で1時間カップリング反応を行
った。粘度は急速に増大したが、ゲル化は生じなかっ
た。次いで抗酸化剤としてイルガノックス1010を3
70g及び滑剤としてステアリン酸カルシウムを370
g加えて更に30分間撹拌を続けた。この反応生成物を
エクストルーダーにて水中に押出し、カッターで裁断し
てペレットにした。90℃で6時間、真空乾燥した後の
ポリエステル(B4)の収量は360kgであった。
【0064】得られたポリエステル(B4)は、わずか
にアイボリー調の白色ワックス状結晶で、融点が110
℃、数平均分子量(Mn)が25,600、重量平均分
子量(Mw)が122,000(Mw/Mn=4.
8)、MFR(190℃)は18g/10分、温度19
0℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度は4.
0×103 ポイズであった。平均分子量の測定は、Sh
odex GPC System−11,溶媒はCF3
COONaのヘキサフロロイソプロピルアルコール2ミ
リモル溶液、濃度0.1重量%、検量線は昭和電工
(株)製PMMA標準サンプル Shodex Sta
ndard M−75で行った。
【0065】次いでこのポリエステル樹脂(B4)をス
クリュー径50mmφ、L/D=28の押出機に幅32
0mmのT−ダイを用い、ダイリップギャップ0.8m
m、エアギャップ120mm、樹脂温度220℃、速度
150m/minのスピードで押出し、上質紙(70g
/m2 )に20μmの厚みでコーティングし、剥離基材
を製造した。成形時薄膜の耳部は安定しており、発煙も
ほとんど見られず、安定成形できた。
【0066】得られた剥離基材の紙とポリエステルフィ
ルムとの密着性は充分であり、剥離試験をしたところ界
面剥離は起こらず、紙の凝集破壊が観察された。得られ
た基材の評価は表1に示す。
【0067】該剥離基材を10cm×20cmの矩形に
切り出し、ステンレスで作った四角のワクにポリエチレ
ン製のネットでこの剥離紙を挟んで取りつけた。これを
深さ10cmの土中に埋め、生分解性の評価を行った。
場所は昭和電工株式会社川崎樹脂研究所(川崎市川崎
区)の庭である。3か月後に掘り出したところ紙の繊維
よりもポリエステルの薄膜の方が分解が進みぼろぼろに
なっていた。
【0068】(実施例6)実施例5で得た脂肪族ポリエ
ステル樹脂(B4)と実施例1で得た脂肪族ポリエステ
ル樹脂(B1)を3:7の割合で混合し、ペレタイズし
たものを実施例1と同じラミネーターを用い、成形温度
190℃、ラインスピードを150m/minにした以
外は実施例1と同じ条件で成形した。成形時は発煙もな
く安定成形できた。得られた剥離基材のポリエステル層
の膜厚は平均25μmであった。
【0069】紙とポリエステル層の密着性は充分であ
り、剥離試験を行ったところ紙が凝集破壊した。得られ
た積層体を100℃の循環式エアオーブン中で耐熱試験
を行ったところピンホールは2ケであり、表面光沢の変
化も小さく充分であった。なお、実施例1と同じ方法で
生分解性を評価したところ、3か月後にはフィルムには
穴が開きぼろぼろになっていた。基材の評価は表1に示
す。
【0070】(実施例7)実施例1において製造した脂
肪族ポリエステル樹脂(B1)をスクリュー径50mm
φ、L/D=28の押出機に幅320mmのストレート
マニホールドT−ダイを用い、ダイリップギャップ0.
8mm、エアギャップ120mm、樹脂温度220℃で
押出し、速度150m/minで供給されるコロナ放電
処理(処理量30w分/m2 )を施した原紙(280g
/m2 )上に20μmの厚みでラミネートし、紙製容器
用基材を製造した。ラミネート成形時には溶融膜も安定
しており成膜安定性に優れており、発煙も少なく作業環
境も良かった。得られた基材の評価は表2に示す。
【0071】該紙製容器用基材を10cm×20cmの
矩形に切り出し、ステンレスで作った四角のワクにポリ
エチレン製のネットでこの剥離紙を挟んで取りつけた。
これを深さ10cmの土中に埋め、生分解性の評価を行
った。場所は昭和電工株式会社川崎樹脂研究所(川崎市
川崎区)の庭である。3か月後に掘り出したところ紙の
繊維よりもポリエステルの薄膜の方が分解が進みぼろぼ
ろになっていた。
【0072】(実施例8)実施例7と同様に脂肪族ポリ
エステル樹脂(B1)を速度100m/分で供給される
原紙上に樹脂温度190℃・厚み20μmで押出ラミネ
ートし紙製容器用基材を得た。ラミネート成形時には溶
融膜も安定しており、成膜安定性に優れており発煙も少
なく作業環境も良かった。得られた基材の評価は表2に
示す。
【0073】(比較例4)実施例7と同様に脂肪族ポリ
エステル樹脂(B1)を速度50m/分で供給され板紙
上に樹脂温度145℃・厚み60μmで押出ラミネート
し、紙製容器用基材を得た。溶融粘度が高すぎてポリエ
ステル樹脂層の薄膜化が困難であり、厚み60μmが下
限で、これ以上の薄膜化はできなかった。ラミネート成
形時には溶融膜も安定しており、発煙も少なかった。得
られた基材の評価は表2に示す。
【0074】(比較例5)脂肪族ポリエステル(B1)
を樹脂温度300℃でラミネート成形を試みたところ、
組成物の溶融膜はサージングが激しく、一定幅・一定厚
みのラミネート膜を得ることができなかった。またその
他の評価は表2に示す。
【0075】(実施例9)実施例7と同様にして実施例
3において製造した脂肪族ポリエステル(B2)を速度
100m/分で供給される原紙上に、樹脂温度230℃
・厚み30μmで押出し、紙製容器用基材を得た。ラミ
ネート成形時には成膜安定性もよく、発煙も少なく作業
環境も良かった。得られた基材の評価は表2に示す。
【0076】(実施例10)脂肪族ポリエステル樹脂
(B3)を速度100m/分で供給される原紙上に、樹
脂温度270℃、厚み20μmで押出し、実施例1と同
様にし、紙製容器用基材を得た。ラミネート成形時には
ネックインが若干大きめであったが判定は○であり、成
膜安定は良かった。また発煙も若干あり判定は△であっ
たが作業環境の悪化は心配ないレベルであった。得られ
た基材の評価は表2に示す。
【0077】(実施例11)実施例5において製造した
脂肪族ポリエステル樹脂(B4)をスクリュー径50m
mφ、L/D=28の押出機に幅320mmのストレー
トマニホールドT−ダイを用い、ダイリップギャップ
0.8mm、エアギャップ120mm、樹脂温度220
℃で押出し、速度150m/minで供給されるコロナ
放電処理(処理量30w分/m2 )を施した原紙(28
0g/m2 )上に20μmの厚みでラミネートし、紙製
容器用基材を製造した。ラミネート成形時には溶融膜も
安定しており成膜安定性に優れており、発煙も少なく作
業環境も良かった。得られた基材の評価は表2に示す。
【0078】該紙製容器用基材を10cm×20cmの
矩形に切り出し、ステンレスで作った四角のワクにポリ
エチレン製のネットでこの剥離紙を挟んで取りつけた。
これを深さ10cmの土中に埋め、生分解性の評価を行
った。場所は昭和電工株式会社川崎樹脂研究所(川崎市
川崎区)の庭である。3か月後に掘り出したところ紙の
繊維よりもポリエステルの薄膜の方が分解が進みぼろぼ
ろになっていた。
【0079】(実施例12)実施例7と同様に脂肪族ポ
リエステル樹脂(B4)を速度100m/分で供給され
る原紙上に樹脂温度190℃・厚み30μmで押出ラミ
ネートし、紙製容器用基材を得た。ラミネート成形時に
は溶融膜も安定しており、成膜安定性に優れており発煙
も少なく作業環境も良かった。得られた基材の評価は表
2に示す。
【0080】(実施例13)実施例1で得た脂肪族ポリ
エステル樹脂(B1)と実施例5で得た脂肪族ポリエス
テル樹脂(B4)とを50φの押出機を用いペレタイズ
し、1:1の混合したポリエステル樹脂を得た。この脂
肪族ポリエステル樹脂組成物を180m/分で供給され
る原紙上に樹脂温度210℃、厚み20μmで押出し、
実施例7と同様にして紙製容器用基材を得た。ラミネー
ト成形時のネックインは小さく、成膜安定性は極めて良
好であった。発煙も少なく、作業環境も良好であった。
【0081】該ラミネート成形積層体を実施例7と同様
な方法で生分解性評価を行った。場所は昭和電工川崎樹
脂研究所の庭である。3か月後に掘り出したところ、紙
の繊維よりポリエステルフィルムの方が分解が進んでお
り、ぼろぼろになっていた。
【0082】《実験結果》実施例1〜6、比較例1〜2
における測定法は下記の通りである。 (1)成膜安定性;溶融膜のネックイン安定性とラミネ
ート膜の偏肉安定性で評価した。 ○:ラミネート成形時の溶融膜のネックインが80mm
以下でその変動がほとんどなく、ラミネート膜の偏肉が
耳部を除き10%以内であるとき。 △:○と×の中間。 ×:ラミネート成形時の溶融膜のネックインが80mm
を越え、その変動が片耳10mm以上で、ラミネート膜
の偏肉が耳部を除き10%を越えるとき。
【0083】(2)発煙;ラミネート成形時の溶融膜の
発煙状態を観察し評価した。△以上の評価があることが
好ましい。 ○:ラミネート成形時に発煙が非常に少なく、T−ダイ
周辺で操作側から駆動側をハッキリ見通せる状態。 △:ラミネート成形時に発煙が若干あり、T−ダイ周辺
で操作側から駆動側を見通すのに気になるが、作業環境
の悪化は伴わない状態。 ×:ラミネート成形時に発煙が多く、T−ダイ周辺で操
作側から駆動側をはっきり見通せず、作業環境が悪い状
態。
【0084】(3)耐熱性;100℃または110℃循
環式オーブン中で2分間放置後の光沢の変化及びピンホ
ールの数で判断。 ○:光沢変化 5%以下 △: 〃 5〜10% ×: 〃 10%以上
【0085】(4)ピンホール;色つきのアルコールを
表面にハケで塗り0.1m2 あたりのピンホール数を数
える。
【0086】(5)密着性;紙積層体を手で引き裂きか
つラミネート膜を紙から引きはがしその状態を観察し
た。 ○:引き裂きではラミネート膜の糸引が少なく、引きは
がしでは紙の凝集破壊を伴いラミネート膜のみの剥離は
起こらない状態。 △:引き裂きではラミネート膜の糸引が多く、引きはが
しでは部分的にラミネート膜の界面剥離が発生するが、
剥離抵抗は強い状態。 ×:引き裂きではラミネート膜が切れず伸びを生じ、引
きはがしでは強い抵抗なくラミネート膜の界面剥離が発
生する状態。
【0087】(6)生分解性;10cm×20cmの紙
積層体を、窓口にポリエチレン製のネットを備えたステ
ンレス製型枠に挟んで、深さ10cmの土中に埋め、3
か月後に掘り出しその生分解性を評価した。○の評価で
あることが好ましい。 ○:紙積層体の脂肪族ポリエステル組成物が紙よりも分
解が進んでおり、組成物表面に穴開きを伴いボロボロの
状態であるとき。 ×:紙積層体の脂肪族ポリエステル組成物より紙の分解
が進んでおり、いまだ脂肪族ポリエステルがしっかりし
ているとき。
【0088】
【表1】
【0089】実施例7〜13、比較例4〜5における測
定法は、臭気および耐熱性は下記の方法を採用したほか
は前記と同じ。
【0090】(7)臭気;臭気袋の空気臭を官能評価し
た。臭気袋は紙積層体を20cm×20cmにカット
し、中に新鮮な空気を詰め樹脂面を内面にヒートシール
法で作製した。空気臭の評価は既存の紙コップ用に使用
されている低密度ポリエチレンからなる紙積層体の空気
臭を基準に比較官能評価した。官能評価は5つの基準臭
気をかぎ分けることのできたパネラーによった。 ○:本発明の紙積層体の空気臭が基準空気臭と同等以下
であるとき。 ×:本発明の紙積層体の空気臭が基準空気臭より強いと
き。
【0091】(8)耐熱性;できた基材で自動販売機用
の紙コップを製造し、その中に沸騰した着色したお湯を
注ぎ込み、お湯の滲み出しや接合部の剥離を評価した。 ○:お湯の滲み出しや接合部の剥離がまったくない。 ×:お湯の滲み出しか接合部の剥離が見られる。
【0092】
【表2】
【0093】
【発明の効果】本発明は温度190℃、剪断速度100
sec-1における溶融粘度が1.0×103 〜1.0×
105 ポイズである脂肪族ポリエステル樹脂を粘着シー
ト、接着テープ等の目止め層として用いることにより低
温で積層しても基材に対する密着性が高い剥離基材を得
ることができた。
【0094】特に溶融コートする温度が低温であるた
め、従来問題とされていた煙の発生がないか、あっても
ほとんどなく、作業環境、工場外への排煙による問題も
全くないものである。
【0095】またこの樹脂は、紙製容器用基材の製造に
際し、熱飲食品等に用いる基材でありながら比較的低温
で積層が可能であり、樹脂の熱分解が最少限に抑えられ
るため該紙積層体(基材)から作られた紙製容器は樹脂
の酸化劣化臭のない利点があり、さらに低温で積層する
ことは多量の発煙を防止でき、作業環境を大きく改善で
きること、排煙による工場周辺の自然環境保全に有利で
ある。
【0096】また、この積層する脂肪族ポリエステル樹
脂は微生物分解性であり、また燃焼発熱量も従来使用さ
れているポリオレフィン樹脂に比して小さいため使用済
容器の廃棄処分に際しては、焼却するにしても、土中埋
設するにしても極めて有利な紙製容器用基材である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C09J 7/02 JHR 6770−4J JJA 6770−4J JKY 6770−4J (72)発明者 古市 幸治 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2昭和電 工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 滝山 栄一郎 神奈川県鎌倉市西鎌倉4−12−4

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度190℃、剪断速度100(sec
    -1)における溶融粘度が1.0×103 〜1.0×10
    5 ポイズであり、融点が70〜200℃である脂肪族ポ
    リエステル樹脂を、基材に溶融押出コーティングしたこ
    とを特徴とする剥離基材。
  2. 【請求項2】 温度190℃、剪断速度100(sec
    -1)における溶融粘度が1.0×103 〜1.0×10
    5 ポイズであり、融点が85〜200℃とした脂肪族ポ
    リエステル樹脂を、原紙に積層したことを特徴とする紙
    製容器用基材。
  3. 【請求項3】 溶融押出温度が、樹脂温度として150
    〜290℃である請求項1〜2記載の紙製容器用基材。
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