JPH06169528A - 地中送電線事故復旧業務支援システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熟練者でなくとも、迅速、的確に事故復旧に
対応できる簡便な汎用システムを構築する。 【構成】 （ａ）線路情報、部門情報、事故巡視および
測定工具・機器情報、工事業者情報、復旧資材、人員と
工具配置情報、さらに復旧時間情報を集積しているデー
タベースと、（ｂ）事故復旧業務ルール知識ベース、
（ｃ）事故点の属する送電線路における作業停電系統に
関連する給電所への作業停電の依頼、道路占有使用の依
頼、工事人員と資材および工具の手配を提示し、この指
示の対応入力に応じてこれらを更新する判定処理装置、
（ｄ）判定処理装置からデータベースに対してアクセス
して情報検索するデータベースインターフェイス、
（ｅ）マンマシンインターフェスと出力装置とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、地中送電線事故復旧
業務支援システムに関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、地中送電線での事故発生時に迅速かつ
的確な対応を可能とし、電力の安定供給を図ることので
きる新しい事故復旧業務支援システムに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術とその課題】近年、高度情報化社会の到来
とあいまって、エレクトロニクス、情報通信システムの
維持保全体系としての電力の安定供給システムの確立が
極めて重要となってきている。このため、地中送電線路
においても、万一の事故に迅速、かつ的確に対応するこ
とのできる事故復旧業務支援システムの実現が求められ
てもいる。

【０００３】もちろん、システムの信頼性の向上によっ
て、電力供給系としての地中送電線路路での事故発生件
数は減少傾向にあるが、このことは逆に、復旧業務に精
通した保守員の不足と、それによる事故時の初動と復旧
対応の遅れという問題も顕在化させている。このため、
広範囲で複雑化している地中送電線路の事故復旧業務を
より迅速に、かつ的確に、しかも少ない要因で、熟練保
守員が不足した状況であっても遂行することのできる、
汎用の地中送電線路の事故復旧業務の支援システムの確
立が望まれていた。

【０００４】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであって、これまでの事故復旧対応の困難さ
を解消し、迅速、的確な対応によって高品質な電力の安
定供給を可能とする新しい地中送電線の事故復旧業務支
援システムを提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、 （ａ）地中送電線路情報、部門情報、事故巡視および測
定用工具・機器情報、復旧資材、人員と工具配置情報さ
らには復旧時間情報とを集積しているデータベースと、 （ｂ）事故復旧業務ルール知識ベース （ｃ）事故点の属する送電線路における作業停電系統に
関連する給電所への作業停電の依頼と道路占有使用の依
頼、工事人員と資材および工具の手配を指示し、この指
示の対応入力に応じてこれを更新する判定処理装置と、 （ｄ）判定処理装置からデータベースにアクセスして情
報検索するデータベースインターフェイス （ｅ）マンマシンインターフェイスと出力装置 とを備えてなることを特徴とする地中送電線事故復旧業
務支援システムを提供する。

【０００６】すなわち、この発明の地中送電線事故復旧
業務支援システムは、データベース、知識ベース、判定
処理装置、データベースインターフェイス、マンマシン
インターフェイス、から構成される。

【０００７】地中送電線路の事故復旧については、その
業務として、複雑かつ広範囲なものとなる。たとえば以
下の点が重要なポイントとなる。 （１）給電所他関連先への連絡 事故発生時には、事故状況、経過等の多くの情報につい
て正確かつタイミングよく関係各所と連絡をとりあいな
がら最適な復旧業務を進めていく必要がある。 （２）事故状況の把握 事故状況の正確な把握は、事故復旧のための第一歩であ
り、そのためにはルート巡視、給油漕の油量確認（ＯＦ
ケーブルの場合のみ）等の事故巡視を行わなければなら
ない。この業務においては、要員の確保、巡視必要工具
の準備、線路形態および事故状況に応じた的確な判断が
必要である。 （３）事故点の測定 早期の事故復旧を行うためには、事故の発生地点をでき
る限り早く発見することが重要である。そのための事故
点測定は、線路の形態、事故状況に応じて要員数、測定
器の選別、測定方法が異なり多くの知識と熟練した判断
が必要である。 （４）復旧資材の手配 事故復旧のためにはケーブル、接続箱等の復旧資材を早
急に手配しなければならない。必要な復旧資材の種類、
数量の把握、手配先への連絡手段、連絡先に復旧資材が
無い場合の対処等冷静な判断が必要である。 （５）復旧人員・業者の手配 電線メーカ、人孔排水業者、土木業者等の事故復旧に必
要な業者に早急に連絡をとり、要員の確保を行うととも
に事故状況に応じて的確な作業指示を行う必要がある。 （６）復旧作業 事故点の確定、復旧資材の手配が終われば、復旧作業を
行ない、線路が元の正常な状態に戻ったことを確認して
事故復旧業務が完了することになる。

【０００８】特に確実さを要求される復旧作業では、線
路形態、事故状況に応じて的確な手順で作業指示を行う
必要がある。

【０００９】

【実施例】このような要求に対応するものとして、この
発明においては、たとえば前記の通りのシステムを構築
する。すなわち、この発明のシステムをパーソナルコン
ピュータ上で動作するものとし、その構成を示したもの
が図１である。

【００１０】具体的には、データベース部、知識ベース
部、データベースＩ／Ｆ部、判定処理部、マンマシンＩ
／Ｆ部、帳票出力部から構成されている。事故復旧業務
を分析して作成したフローチャートから、業務遂行上の
判断情報であり、かつ線路単位あるいは電力所単位に固
有の情報となるものを抽出し、これらを各ルール（知識
ベース）・ファイルとは切り離して外部データベース・
ファイルとして持たせる構成にした。外部データベース
・ファイルとしてプログラム本体と独立させたのは、デ
ータの追加、変更だけであらゆる形態の線路に対応でき
ることを狙ったものである。またデータの追加、変更の
容易性を考慮し、パーソナルコンピュータ用の汎用デー
タベースを用いて構築した。

【００１１】構築したデータベースの種類と規模を例示
したものが表１である。これらのデータベースの内容を
書き換えるだけで、容易に各所の電力所で使用できるシ
ステムに拡張することができる。

【００１２】

【表１】

【００１３】具体的には次のようなものがある。 （１）線路データベース 各線路のケーブル平面図からケーブル種別、線路電圧、
最大スパン長、終端形態等各線路固有の情報を抜き出し
たもの。 （２）部門データベース 給電所、制御所、電力所等関係各所の昼間および休日・
夜間の連絡先に関する情報。 （３）復旧業者データベース 電線メーカ、人孔排水業者、土木業者等の復旧業者の昼
間および休日・夜間の連絡先に関する情報。 （４）巡視、測定用工具・機器データベース 事故巡視、測定の際に必要な工具・機器の種類、数量を
線路形態毎に分類したもの。 （５）復旧時間データベース 過去の経験に基づき、事故種別、線路形態により復旧完
了までの最短時間を分類したもの。

【００１４】また、このシステムにおいては、熟練者の
豊富な知識をもとに作成した事故復旧業務フローチャー
トをルール化したものである。これまでの経験から想定
されるあらゆる事故および線路形態を考慮し、事故受付
から復旧完了までの多岐にわたる復旧業務における判断
を約３７０の「ＩＦ〜ＴＨＥＮ〜」のプロダクションル
ールで表現した。

【００１５】そして、キーボードから入力される情報に
より得られる事故状況および現在の復旧業務進捗状況と
データベースから取り出した線路データ等各種情報か
ら、次にとるべきアクションが何であるかを知識ベース
上のルールを参照しながら判定処理を行う。また、この
システムはＣＲＴの画面上でウィンドウを用いて対話形
式で復旧業務を進めていくものであり、そのためのキー
入力および画面出力制御を行うようにした。

【００１６】さらには、関係各所への連絡、手配等で必
要な情報や後で記録として残しておく必要のある情報
を、帳票としてプリンタ出力するようにしている。具体
的な事故復旧支援処理は、たとえば図２のフローチャー
トとして例示することができる。この発明の実際のシス
テムは、誰でも容易に操作できることが必須条件であ
り、そのために簡単なキー操作で対話形式で復旧業務を
進めて行くことができるようマンマシンインターフェイ
スの設計を行った。たとえば図３に例示したように、画
面上には入力エリアとメッセージエリアを設けている。
入力エリアはキー入力を行う領域で、数字入力またはカ
ーソル移動による選択入力のみですべての操作ができ
る。また業務進行中以前に入力した内容について誤りに
気付いた場合でも、その入力項目まで戻って再入力でき
る訂正機能も備えている。メッセージエリアでは、次に
行うべき業務指示メッセージを表示する。

【００１７】以上のシステムは復旧業務各フェーズで様
々な支援を行う機能を有しているが、以下に業務分類毎
の主な機能について述べる。 （１）給電所他関係先連絡支援 図４に示すような事故発生日時、事故相、リレー動作、
地絡電流等の事故発生時の状況をまとめた設備事故調書
や、図５に例示したように、復旧業務をどのような手順
で進めて行ったかの履歴情報である事故経過報告書の帳
票出力機能を有している。これらの出力結果を関係各所
に送ることで正確かつ迅速に連絡業務を行うことができ
る 。 （２）事故巡視支援 夜間の事故発生を想定して、連絡先の一覧を出力し、早
期の要員確保を支援する。さらに、油量の確認等現場の
巡視員に次々に適切な指示を画面上に出力する。 （３）事故点測定支援 該当線路のケーブル種別等形態に応じて図６に示すよう
な必要な工具の一覧を出力し、事故点測定の準備の支援
を行う。また、絶縁抵抗、導通試験、誘導電圧測定結果
および線路形態により表２に示す種類の測定器の中から
最適なものを判断する。さらに測定値を入力すれば、該
当線路のケーブル長、導体サイズ等のデータベース情報
から自動的に事故点を算出し、図７に示すように、結果
を出力する。これにより、これまでケーブル平面図から
必要な情報を読み取って手計算で事故点を算出していた
労力の削減が図れる。

【００１８】

【表２】

【００１９】（４）復旧資材手配支援 たとえば図８に示すように、事故線路の復旧に必要なケ
ーブル、接続箱等の資材の種類および数量の一覧を出力
するとともに、手配業務の手順を確認先の資材在庫の状
況に応じて、逐次適切な指示メッセージを出力し支援を
行う。 （５）復旧業者手配支援 あらかじめデータベースに登録されている業種毎の業者
名および連絡先の一覧を出力し、どの業者に連絡すれば
よいかが一目で判別できる。 （６）復旧作業支援 該当線路のケーブル種別、入力された巡視結果、事故点
の位置に応じて、ケーブル切断、接続箱の分解から終端
リード線の継込みまでの的確な作業指示を画面上にメッ
セージ出力する。

【００２０】

【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明のシ
ステムによって、簡単な操作で、複雑かつ多岐にわたる
業務内容を手順をおった適切な指示として画面に出力す
るものであり、このシステムを利用することで、従来知
識の豊富な熟練者のみが可能であった業務を経験の浅い
保守員であっても充分遂行して行けるものと期待され
る。また、パーソナルコンピュータ上で手軽に実行でき
るため、日常の教育訓練用としても効果がある。

【００２１】このシステムはデータベース内容を書き換
えるだけで全線路に適用可能となるよう設計されてお
り、今後の全電力所への水平展開に対応可能となってい
る。このシステムは電力の安定供給に大きく貢献する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のシステムの全体構成を例示したブロ
ック図である。

【図２】実施例としての処理フロー図である。

【図３】ＣＲＴ上の出力例図である。

【図４】実施例としての事故調書出力例図である。

【図５】事故経過報告の例図である。

【図６】実施例としての測定工具一覧出力例図である。

【図７】事故点の算出結果図である。

【図８】要復旧資材出力例図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安森 稔久 大阪府大阪市此花区島屋１丁目１の３ 住 友電気工業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）線路情報、部門情報、事故巡視お
   よび測定工具・機器情報、工事業者情報、復旧資材、人
   員と工具配置情報、さらに復旧時間情報を集積している
   データベースと、（ｂ）事故復旧業務ルール知識ベー
   ス、（ｃ）事故点の属する送電線路における作業停電系
   統に関連する給電所への作業停電の依頼、道路占有使用
   の依頼、工事人員と資材および工具の手配を提示し、こ
   の指示の対応入力に応じてこれらを更新する判定処理装
   置、（ｄ）判定処理装置からデータベースにアクセスし
   て情報検索するデータベースインターフェイス、（ｅ）
   マンマシンインターフェイスと出力装置とを備えてなる
   ことを特徴とする地中送電線事故復旧業務支援システ
   ム。