JPH06166950A - 靴下裏返し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、靴下裏返し装置を、その部品点数
を少なく、すなわち構造を簡単化して耐久性に優れたも
のとし、しかも栓付き回転軸による内筒の密閉および回
転を確実に行ない得て、動作に信頼性のある装置とす
る。 【構成】 円型靴下編機の回転する釜１内側に外筒４を
固定し、外筒４下端部に一対の噛み合いクラッチの一片
５ａを噛合面下向きに固定して設け、外筒４の中ほどに
は編織生地Ａ下端を支持する支持リング６を固定して設
け、周壁に吸気孔７を有する生地装着用の内筒８を設
け、内筒８下部には噛み合いクラッチの他片５ｂを噛合
面上向きに固定して設け、内筒８はニードル軸受１０に
て回転自在に保持すると共に、アクチュエータでもって
軸方向に昇降可能としてその下端には吸気パイプ１２を
連結し、釜１上方には内筒８の上昇位置でその上端開口
８ａを密閉しかつ釜１と共に回転する栓付き回転軸１３
を配置し、支持リング６より下方の外筒４の内側には内
筒８外周壁を気密に被う筒形気密室１４を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、筒形の靴下生地を裏
返す靴下裏返し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、靴下工場で円型靴下編機によっ
て表向きの状態で編成される筒形の靴下生地は、次工程
で靴下生地の先端開口縁をミシンで縫合する前に、裏返
しておく必要がある。この裏返し工程は、手作業で行な
うと、靴下生地が傷み易く作業効率も劣るため、ターン
テーブルに複数の靴下反転シリンダを取り付けた靴下返
し装置（実公平２−２６９５７号）などを使用し、その
シリンダに靴下を挿し嵌めてこれを裏返すようにしてい
た。

【０００３】このような靴下返し装置は、筒形の靴下を
靴下反転シリンダに装着するだけで、生地を傷めずに、
自動的に表裏いずれかの反対面に返すことができるの
で、手作業で返しを行なう場合に比べて高能率である。
しかし、シリンダに筒形の靴下を装着するには手作業で
これを行なっており、作業性を充分に改善したものとは
いえない。

【０００４】上記作業性の改善を目的とした靴下裏返し
装置としては、この発明者が先に出願した特開平４−２
６３６６４号に記載のものがある。

【０００５】図５に示すように、このものは、編織時に
回転動作する円型靴下編機の釜１の内部に、上端が開口
し、かつ下部周壁に吸気孔３０を形成した内筒３１を配
置し、内筒３１の下端には吸気パイプ１２を連結し、基
台３２に内筒３１を回転自在に保持させると共に軸方向
に流体圧力シリンダ３３でもって昇降可能に取付け、釜
１上方には、内筒３１の上方位置でその上端開口を密閉
しかつ回転動力を伝える栓付き回転軸３４を配置したも
のである。そして、内筒３１の外周には、別途設けた流
体圧力シリンダ３５付き外部磁石３６を設け、これに吸
着された状態で昇降する支持筒３７を介して外筒３８を
装着し、支持筒３７には下降位置で吸気孔３０と支持筒
３７上方を連通する通気路３９を設けている。

【０００６】このような靴下裏返し装置によると、円型
靴下編機で編成された靴下生地Ａは、内筒３１と外筒３
８の間の下降気流によって引っ張られて編成と同時に内
筒３１の外周面に装着される。そして、内筒３１は、上
昇位置で栓付き回転軸３４に連動して生地と共に回転す
るので、靴下生地Ａはこれに絡みつかない。編成後、釜
１から靴下生地Ａを切り離し、流体圧力シリンダ３３，
３５でそれぞれ内筒３１を降下させ、支持筒３７を上昇
させると、内筒３１の回転は停止し、かつ通気路３９か
らの吸気が停止して内筒３１の上端開口からの吸気に切
り替わる。このとき靴下生地Ａの下端部は、内筒３１に
沿って支持筒３７で持ち上げられ、その上部から内筒３
１内に引き込まれて裏返しの状態となり、吸気パイプ１
２内を移送されることとなる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の靴下裏返し装置では、たとえば複数の流体圧力シリン
ダをそれぞれ交互にまたは同時に、かつ正確に動作させ
る必要があり、支持筒などの複雑な構成を有して部品点
数も多く、動作不良を誘発し易い。特に、栓付き回転軸
は、内筒の上端開口を密閉すると同時に回転動力を伝達
するといった二つの作用を同時に満足させる必要がある
が、しばしばスリップ現象を起こして回転力の伝達およ
び気密性ともに充分に満足させ得ないという問題点があ
る。

【０００８】そこで、この発明は、上記した問題点を解
決し、靴下裏返し装置を、その部品点数を少なく、すな
わち構造を簡単化して耐久性に優れたものとし、しかも
栓付き回転軸による内筒開口部の密閉および回転を確実
に行ない得て、動作に信頼性のあるものとすることを課
題としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、円型靴下編機の回転する釜内
側に外筒を固定して設け、この外筒下端部に一対の噛み
合いクラッチの一片を噛合面下向きに固定して設け、外
筒の軸方向中ほどの内側には編織生地下端を支持する支
持リングを固定して設け、この支持リングの内側に軸方
向中ほどの周壁に吸気孔を有する生地挿着用の内筒を装
着し、内筒下部には前記噛み合いクラッチの他片を噛合
面上向きに固定して設け、前記内筒は軸受にて回転自在
に保持すると共にアクチュエータでもって軸方向に昇降
可能としてその下端には吸気パイプを連結し、前記釜上
方には内筒の上昇位置でその上端開口を密閉しかつ前記
釜と共に回転する栓付き回転軸を配置し、前記支持リン
グより下方の外筒の内側には前記内筒外周壁を気密に被
う筒形気密室を形成した構成を採用したのである。

【００１０】

【作用】この発明に係る靴下裏返し装置によると、円型
靴下編機の編織時に、その外筒が回転釜と共に回転す
る。そして、アクチュエータで内筒を上昇させて、その
上端開口を栓付き回転軸に密接させた際、前記外筒下端
部の噛み合いクラッチの一片と、内筒下部の前記噛み合
いクラッチの他片が噛み合って、外筒の回転力を内筒に
伝える。このとき前記栓付き回転軸は、回転釜と共に回
転しているので、内筒と栓付き回転軸は摺動することな
く、気密状態で確実に密接する。そして、回転釜によっ
て回転しながら編成された靴下生地は、同様に回転する
内筒と外筒の間に垂れ下がると同時に、吸気孔に至る吸
気流によって下方に引っ張られ、内筒に絡みつくことな
く装着される。

【００１１】そして編成後、編機から靴下生地を切り離
し、アクチュエータで内筒を降下させると、栓付き回転
軸から離れた内筒の上端が開口し、噛み合いクラッチの
他片は内筒と共に下降して前記一片から離れるので、内
筒の回転は停止する。さらに内筒が下降すると、その周
壁の吸気孔は外筒内側の筒型気密室内に位置することと
なって気密に閉じ、内筒の上端開口から吸気が行なわれ
る。一方、靴下生地は、その下端部を支持リングで支持
されて下降しないので、その上部から上端開口内に引き
込まれて裏返しの状態になり、吸引パイプ内を移送され
る。

【００１２】

【実施例】この発明の実施例を以下、図面に基づいて説
明する。

【００１３】図１および図２に示すように、実施例は、
円型靴下編機の釜１の内側に、キー２およびくの字形に
屈曲した板状金具３でもって外筒４の上部を一体に固定
し、外筒４下端部には、対の山形の噛合面を有する噛み
合いクラッチの一片５ａを噛合面下向きに固定して設
け、外筒４の中ほどの内側には、編織生地Ａの下端を支
持する支持リング６をネジ止め固定して設け、この支持
リング６の内側には、軸方向中ほどの周壁に長穴状の吸
気孔７を有する生地挿着用の内筒８を配置している。こ
のような内筒８は、支持リング６内側に気密に摺接して
軸回りに回転自在かつ軸方向にスライド自在であり、そ
の下部には噛み合いクラッチの他片５ｂを噛合面上向き
に固定して設けている。さらに図３に示すように、内筒
８は、スラスト玉軸受９およびニードル軸受１０を介し
てロッドレスシリンダ１１で軸方向に昇降可能に支持
し、その下端には吸気パイプ１２を連結している。釜１
の上方には内筒８の上昇位置でその上端開口８ａを密閉
すると共に、この際に一体に回転する栓付き回転軸１３
を配置し、支持リング６より下方の外筒４の内側には、
内筒８の外周壁を気密に被う筒形気密室１４形成してい
る。

【００１４】前記した外筒４は、その全長が靴下生地の
ほぼ２倍の長さとなるように、小径管４ａと大径管５ａ
を長手方向に連結している。そして長手方向の中ほどに
は、周壁を貫通する複数の吸気孔７を周方向に等間隔に
形成している。

【００１５】図３に示すように、大径管４ｂの下部は、
基台固定用の取付けフランジ１５にニードル軸受１６を
介して回転自在に保持している。また、大径管４ｂの下
端外周に、山形の噛合面をその半径方向下向きに形成し
た一対のリング状噛み合いクラッチの一片５ａを、セレ
ーションＳでもって嵌合固定している。このような大径
管４ｂの内周には、内筒８の外周に気密に摺接するシー
ルリング１７を固定している。

【００１６】したがって、前記した筒形気密室１４は、
外筒４と内筒８の間隙であって、支持リング６より下方
であり、かつシールリング１７より上方に形成されるこ
とになる。

【００１７】内筒８は、その下部に回り止め用のセレー
ションＳを有し、これに上向きのリング状噛み合いクラ
ッチの他片５ｂを嵌合保持している。そして、他片５ｂ
の下端面には、クラッチ固定用のカラー１８を密接状に
取付け、さらにスラスト玉軸受９およびニードル軸受１
０を介してロッドレスシリンダ１１のアーム１９に、こ
のような内筒８を回転自在に取付けている。さらに、ア
ーム１９の下端面は、摺動性のシールリング２０および
ホース継手２１を介して吸気パイプ１２に連結してお
り、内筒８の回転を吸気パイプ１２に伝えない構造であ
る。なお、前記したロッドレスシリンダ１１は、図外の
アクチュエータによってスライドリング２２を昇降させ
るものであり、このスライドリング２２と前記したアー
ム１９は一体に連結されている。また、ホース継ぎ手２
１の内周面は、摺動リング２３でダストシールされてい
る。

【００１８】このような内筒８の上端開口８ａは、その
上昇位置（図１または図２）において、栓付き回転軸１
３で密閉されることとなる。栓付き回転軸１３は、釜１
と連動して同じ速度で回転する円盤２４の下面に、ゴ
ム、エラストマーなどの密着性に優れた気密質材料から
なる円錐台状の栓２５をネジ止め固定している。上昇し
た内筒８は栓付き回転軸１３と摺動することなく、確実
に密閉状態を保つこととなる。

【００１９】吸気パイプ１２は、可撓性の合成樹脂また
は蛇腹構造の伸縮パイプ２６に連結し、内筒８の昇降動
作に追従し得るようにしている。このような吸気パイプ
１２の基端部分は真空ポンプ２７に連結しており、その
パイプの中ほどには、靴下排出ボックス２８を設置し
て、その底板を適宜開放して編織生地Ａを取り出すよう
にしている。

【００２０】上記した実施例の使用状態を図４に基づい
て説明する。

【００２１】まず、図４（ａ）に示すように、円型靴下
編機の釜１の内側に回転しながら編成される筒形の編織
生地Ａは、外筒４と内筒８の間に有り、吸気孔７を経て
吸気パイプ１２に至る下降気流に引っ張られており、釜
１および外筒４と噛み合いクラッチ５ａ，５ｂを介して
確実に回転する内筒８の外周に絡みつくことなく装着さ
れる。

【００２２】次に、図４（ｂ）に示すように、内筒８を
ロッドレスシリンダ１１で下降させると、噛み合いクラ
ッチの一対の片５ａ，５ｂは外れて内筒８の回転が停止
すると共に、吸気孔７は筒形気密室１４に入るので、吸
気孔７からの吸気は断たれ、これに代えて栓付き回転軸
１３から開放された上端開口８ａから吸気が行われる。
編成後切り離された靴下生地Ａは、支持リング６上に支
持されており、上部から下部へと順に上端開口３ａ内に
引き込まれて、裏返しの状態になるのである。

【００２３】

【効果】この発明は、以上説明したように、一つのアク
チュエータで内筒を昇降動作させるだけで、円型靴下編
機によって編成された筒形生地を連続した工程で裏返し
て移送することができるもので、その部品点数は少な
く、すなわち構造は簡単化されて耐久性に優れたものと
なる。また、外筒を回転釜と共に回転させて、この回転
力を噛み合いクラッチでもって、内筒に伝えるようにし
たので、内筒の上端開口と栓付き回転軸は摺動すること
なく確実に密接する。このため、栓付き回転軸による内
筒の密閉および回転動作が確実に行なわれるようにな
り、信頼性に優れた靴下裏返し装置となる利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の縦断面図

【図２】図１の内筒および外筒の上部を示す縦断面図

【図３】図１の内筒および外筒の下部を示す縦断面図

【図４】（ａ）実施例の作動状態を示し、内筒の上昇し
た状態の縦断面図 （ｂ）実施例の作動状態を示し、内筒の下降した状態の
縦断面図

【図５】従来例を示す縦断面図

【符号の説明】

１ 釜 ２ キー ３ 板状金具 ４ 外筒 ５ａ、５ｂ 噛み合いクラッチ ６ 支持リング ７ 吸気孔 ８ 内筒 ８ａ 上端開口 １２ 吸気パイプ １３ 栓付き回転軸 １４ 筒形気密室 Ａ 編織生地

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円型靴下編機の回転する釜内側に外筒を
   固定して設け、この外筒下端部に一対の噛み合いクラッ
   チの一片を噛合面下向きに固定して設け、外筒の軸方向
   中ほどの内側には編織生地下端を支持する支持リングを
   固定して設け、この支持リングの内側に軸方向中ほどの
   周壁に吸気孔を有する生地挿着用の内筒を装着し、内筒
   下部には前記噛み合いクラッチの他片を噛合面上向きに
   固定して設け、前記内筒は軸受にて回転自在に保持する
   と共にアクチュエータでもって軸方向に昇降可能として
   その下端には吸気パイプを連結し、前記釜上方には内筒
   の上昇位置でその上端開口を密閉しかつ前記釜と共に回
   転する栓付き回転軸を配置し、前記支持リングより下方
   の外筒の内側には前記内筒外周壁を気密に被う筒形気密
   室を形成してなる靴下裏返し装置。