JPH06163329A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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JPH06163329A JP4337998A JP33799892A JPH06163329A JP H06163329 A JPH06163329 A JP H06163329A JP 4337998 A JP4337998 A JP 4337998A JP 33799892 A JP33799892 A JP 33799892A JP H06163329 A JPH06163329 A JP H06163329A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 導電性高分子物質を利用した固体電解コンデ
ンサの等価直列抵抗の低下とインピーダンス特性の改善
を図る。 【構成】 弁作用金属箔に誘電体酸化被膜を形成した
後、化学重合により化学酸化重合膜を形成し、次いで電
解重合液中に浸漬して電解重合により同化学酸化重合膜
上に導電性高分子物質よりなる電解重合膜を形成するに
あたって、化学重合に用いられるモノマー水溶液中もし
くは酸化剤水溶液中に2,6位に置換基を有するピリジ
ン化合物を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体電解コンデンサの製
造方法に関し、さらに詳しく言えば、導電性高分子物質
からなる固体電解質を備えた固体電解コンデンサの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】弁作用金属箔に導電性高分子物質、例え
ばポリピロールからなる固体電解質を形成するには、化
学重合工程と電解重合工程の2工程が実施される。
【0003】このうち、化学重合工程においては、まず
誘電体酸化被膜が形成された弁作用金属箔としての例え
ばアルミニウムエッチド箔をモノマー水溶液(例えば、
ピロールモノマー40wt%、エタノール40wt%、
水20wt%)中に浸漬し、次いで過硫酸アンモニウム
などの酸化剤(例えば、0.3mol/l)とパラトル
エンスルホン酸アンモニウム塩などの支持電解質(例え
ば、0.1mol/l)を含む水溶液中に浸漬する。そ
して、洗浄、乾燥し、通常はこれを2〜3回繰り返して
誘電体酸化被膜上に化学酸化重合膜を形成するようにし
ている。
【0004】これに対して、電解重合工程においてはピ
ロールモノマーと支持電解質と溶媒からなる電解重合液
中に浸漬し、その化学酸化重合膜に陽極側給電端子を接
触させるとともに、電解重合槽側を陰極として所定の電
流密度で電解重合を行なう。これにより、同化学酸化重
合膜上にポリピロールよりなる電解重合膜が形成され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにして、化
学酸化重合膜と電解重合膜とが形成されるのであるが、
化学酸化重合膜はその比抵抗ρが0.5Ω・cm程度
(電導度σは約2S/cm)であり、電解重合膜の比抵
抗値よりもかなり高い。
【0006】このため、その後工程で形成される電解重
合膜にムラが生じ易く、その結果コンデンサ自体のES
R(等価直列抵抗)が大きくなり、耐熱・耐湿などの信
頼性試験においてコンデンサ特性の劣化が顕著に見られ
る。また、化学酸化重合膜は電解重合膜に比べて熱安定
性が弱く劣化し易いため、これが原因でコンデンサの寿
命が短くなるという欠点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の事情
に鑑みなされたもので、その構成上の特徴は、弁作用金
属箔に誘電体酸化被膜を形成した後、化学重合により化
学酸化重合膜を形成し、次いで電解重合液中に浸漬して
電解重合により同化学酸化重合膜上に導電性高分子物質
よりなる電解重合膜を形成する固体電解コンデンサの製
造方法において、上記化学重合に用いられるモノマー水
溶液中もしくは酸化剤水溶液中に2,6位に置換基を有
するピリジン化合物を添加することにある。
【0008】すなわち、化学重合工程においては、まず
弁作用金属箔、例えばアルミニウムエッチド箔をモノマ
ーと溶媒を含む水溶液に浸漬し、同アルミニウムエッチ
ド箔の細孔内にモノマーを導入する。モノマー液として
は、例えば5〜50wt%、好ましくは20〜40wt
%のピロールを含む水とエタノールの混合水溶液が用い
られる。次いで、酸化剤と支持電解質を含む水溶液に浸
漬し、同アルミニウムエッチド箔表面および細孔内のモ
ノマーを導電性高分子に重合するのであるが、本発明に
おいては、モノマー水溶液中もしくは酸化剤水溶液中に
2,6位に置換基を有するピリジン化合物を添加するこ
とを特徴としている。
【0009】この場合、モノマー水溶液に対して上記ピ
リジン化合物を添加するのであれば、その添加量は0.
1〜5wt%であることが好ましい。この添加量が0.
1wt%未満であると添加剤の効果がみられなく、他方
5wt%を越えると電導度が低下する。
【0010】これに対して、酸化剤水溶液に上記ピリジ
ン化合物を添加する場合には、その添加量は0.01〜
0.20mol/lであることが好ましい。上記と同
様、この添加量が0.01mol/l未満であると添加
剤の効果がみられなくなり、0.20mol/lを越え
ると電導度が低下する。
【0011】なお、2,6位に置換基を有するピリジン
化合物は、
【化1】 で示されるが、その置換基R,Rとしては、水素、
ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COO
H)、ニトロ基(NO)、シアノ基(−CN)、ハロ
ゲンなどが例示される。
【0012】一方、電解重合液はモノマーと支持電解質
と溶媒からなる。モノマーの濃度は0.01〜5.0m
ol/l、好ましくは0.05〜3.0mol/lが良
い。支持電解質の濃度は0.01〜5.0mol/l、
好ましくは0.05〜3.0mol/lが良い。
【0013】モノマーとしては、ピロール、チオフェ
ン、フラン、アニリンなどの複素環式化合物が用いられ
る。
【0014】酸化剤としては、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭
素などのハロゲン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモ
ン、四フッ化ケイ素、五塩化リン、五フッ化リン、塩化
アルミニウム、塩化モリブデンなどの金属ハロゲン化
物、硫酸、硝酸、フルオロ硫酸、トリフルオロメタン硫
酸、クロロ硫酸などのプロトン酸、三酸化イオウ、二酸
化窒素などの含酸素化合物、過硫酸アンモニウムなどの
過硫酸塩、過酸化水素、過酢酸、ジフルオロスルホニル
パーオキサイドなどの過酸化物、硝酸第2鉄、硫酸第2
鉄などの鉄化合物、硝酸第2銅、硫酸銅などの銅化合物
などが用いられる。
【0015】また、支持電解質には、P−トルエンスル
ホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸な
どのスルホン酸、安息香酸、アジピン酸、シュウ酸、フ
タル酸などのカルボン酸、フェニルリン酸、ナフチルリ
ン酸などのリン酸、フェニルホウ酸などのホウ酸が単独
でもしくは混合して用いられる。
【0016】溶媒としては、水のほかエタノール、メタ
ノールなどのプロトン性溶媒と、アセトニトリル、プロ
ピレンカーボネイト、N,N−ジメチルホルムアミドな
どの非プロトン性溶媒が単独でもしくは混合して用いら
れる。溶媒の種類は支持電解質により適宜選択される。
【0017】用いられる弁作用金属箔としては、アルミ
ニウム、タンタル、チタンもしくはニオブなどの20〜
300μmの薄箔が好ましい。
【0018】
【作用】上記のように、化学重合に用いられるモノマー
水溶液中もしくは酸化剤水溶液中に2,6位に置換基を
有するピリジン化合物を添加することにより、比抵抗の
小さな化学酸化重合膜が得られる。
【0019】
【実施例】まず、化学酸化重合膜を単体として形成し、
その比抵抗ρ(Ω・cm)と電導度σ(S/cm)を測
定した。
【0020】〈比較例1〉6mol/l(リットル)ピ
ロールモノマー水溶液に、酸化剤として0.3mol/
lの過硫酸アンモニウム、0.1mol/lのトルエン
スルホン酸アンモニウム塩を混合し、生成された粉体を
直径13mm、厚さ1mmのペレットに成形し、四端子
測定法にてその比抵抗ρを測定したところ、0.502
Ω・cmであった。また、電導度σは1.99S/cm
であった。
【0021】《実施例1》6mol/lピロールモノマ
ー水溶液に対して2,6−ピリジンジカルボン酸を1w
t%添加した後、同ピロールモノマー水溶液に酸化剤と
して0.3mol/lの過硫酸アンモニウム、0.1m
ol/lのトルエンスルホン酸アンモニウム塩を混合
し、生成された粉体を直径13mm、厚さ1mmのペレ
ットに成形した。そして、四端子測定法にてその比抵抗
ρを測定したところ、0.129Ω・cmであった。ま
た、電導度σは7.75S/cmであった。
【0022】《実施例2》6mol/lピロールモノマ
ー水溶液に対して2−ピリジンカルボン酸を1wt%添
加した後、同ピロールモノマー水溶液に酸化剤として
0.3mol/lの過硫酸アンモニウム、0.1mol
/lのトルエンスルホン酸アンモニウム塩を混合し、生
成された粉体を直径13mm、厚さ1mmのペレットに
成形した。そして、四端子測定法にてその比抵抗ρを測
定したところ、0.132Ω・cmであった。また、電
導度σは7.58S/cmであった。
【0023】《実施例3》6mol/lピロールモノマ
ー水溶液に対して、0.3mol/lの過硫酸アンモニ
ウムおよび0.1mol/lのトルエンスルホン酸アン
モニウム塩を含む酸化剤水溶液を混合するにあたって、
同酸化剤水溶液に2,6−ピリジンジカルボン酸を0.
06mol/l添加した。そして、生成された粉体を直
径13mm、厚さ1mmのペレットに成形して、四端子
測定法にてその比抵抗ρを測定したところ、0.139
Ω・cmであった。また、電導度σは7.19S/cm
であった。
【0024】《実施例4》6mol/lピロールモノマ
ー水溶液に対して、0.3mol/lの過硫酸アンモニ
ウムおよび0.1mol/lのトルエンスルホン酸アン
モニウム塩を含む酸化剤水溶液を混合するにあたって、
同酸化剤水溶液に2−ピリジンカルボン酸を0.06m
ol/l添加した。そして、生成された粉体を直径13
mm、厚さ1mmのペレットに成形して、四端子測定法
にてその比抵抗ρを測定したところ、0.144Ω・c
mであった。また、電導度σは6.94S/cmであっ
た。このように、ピロールモノマー水溶液もしくは酸化
剤水溶液のいずれかに2,6位に置換基を有するピリジ
ン化合物を添加することにより、比抵抗の小さな化学酸
化重合膜が得られる。参考までに、上記比較例1および
実施例1〜4の比抵抗値および電導度の比較結果を表1
に示す。
【0025】
【表1】
【0026】次に、定格10V3.3μFのポリピロー
ルによる固体電解コンデンサを製作し、静電容量(μ
F)、損失角の正接(tanδ)および100kHz時
の等価直列抵抗(ESR;mΩ)を測定した。
【0027】〈比較例2〉3mm×3mm角のアルミニ
ウムエッチド箔(厚さ90〜100μm)を33Vにて
陽極酸化し、その表面に誘電体酸化皮膜を形成した。そ
して、このアルミニウム箔を6mol/lのピロールモ
ノマー水溶液に浸漬した後、0.3mol/lの過硫酸
アンモニウムおよび0.1mol/lのトルエンスルホ
ン酸アンモニウム塩を含む酸化剤水溶液中に浸漬し、引
き上げて洗浄し乾燥させ、これを3回繰り返し化学酸化
重合膜を形成した。アジピン酸アンモニウムを3wt%
含む化成液中に浸漬し、化成電圧26Vにて再化成を行
なった後、導電性高分子単量体としてピロールモノマー
を0.3mol/l、支持電解質としてアルキルナフタ
レンスルホン酸を0.1mol/lを含む水溶液中に浸
漬し、5.6mA/平方cmの電流密度で電解重合を行
ない、化学酸化重合膜上に電解重合膜を形成した。次
に、電解重合膜上に陰極引き出し層としてのカーボン層
および銀層をそれぞれ焼き付け、リードフレームに取り
付けた後、各コンデンサ素子の周囲に樹脂モールド法に
て樹脂外装体を形成し、このようにして定格10V3.
3μFの固体電解コンデンサを20個製作した。これら
について、静電容量(μF)、損失角の正接(tan
δ)および100kHz時の等価直列抵抗(ESR;m
Ω)を測定したところ、いずれも平均値で静電容量は
3.03μF、損失角の正接は0.009およびESR
は120mΩであった。
【0028】《実施例5》この実施例5では、化学重合
を行なうにあたって、6mol/lのピロールモノマー
水溶液に対して2,6−ピリジンジカルボン酸を1wt
%添加した。その他の条件は上記比較例2と同じとし
て、定格10V3.3μFの固体電解コンデンサを20
個製作した。これらについて、静電容量(μF)、損失
角の正接(tanδ)および100kHz時の等価直列
抵抗(ESR;mΩ)を測定したところ、いずれも平均
値で静電容量は3.05μF、損失角の正接は0.00
9およびESRは68mΩであった。
【0029】《実施例6》この実施例6においては、化
学重合を行なうにあたって、6mol/lのピロールモ
ノマー水溶液に対して2−ピリジンカルボン酸を1wt
%添加した。その他の条件は上記比較例2と同じとし
て、定格10V3.3μFの固体電解コンデンサを20
個製作した。これらについて、静電容量(μF)、損失
角の正接(tanδ)および100kHz時の等価直列
抵抗(ESR;mΩ)を測定したところ、いずれも平均
値で静電容量は3.02μF、損失角の正接は0.00
9およびESRは72mΩであった。
【0030】《実施例7》この実施例7においては、化
学重合を行なうにあたって、0.3mol/lの過硫酸
アンモニウムおよび0.1mol/lのトルエンスルホ
ン酸アンモニウム塩を含む酸化剤水溶液中に2,6−ピ
リジンジカルボン酸を0.06mol/l添加した。そ
の他の条件は上記比較例2と同じとして、定格10V
3.3μFの固体電解コンデンサを20個製作した。こ
れらについて、静電容量(μF)、損失角の正接(ta
nδ)および100kHz時の等価直列抵抗(ESR;
mΩ)を測定したところ、いずれも平均値で静電容量は
3.12μF、損失角の正接は0.010およびESR
は72mΩであった。
【0031】《実施例8》この実施例8においては、化
学重合を行なうにあたって、0.3mol/lの過硫酸
アンモニウムおよび0.1mol/lのトルエンスルホ
ン酸アンモニウム塩を含む酸化剤水溶液中に2−ピリジ
ンカルボン酸を0.06mol/l添加した。その他の
条件は上記比較例2と同じとして、定格10V3.3μ
Fの固体電解コンデンサを20個製作した。これらにつ
いて、静電容量(μF)、損失角の正接(tanδ)お
よび100kHz時の等価直列抵抗(ESR;mΩ)を
測定したところ、いずれも平均値で静電容量は3.08
μF、損失角の正接は0.010およびESRは77m
Ωであった。
【0032】参考までに、上記比較例2と実施例5〜8
の比較結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】また、上記比較例1と実施例1〜4に関
し、60℃、相対湿度95%雰囲気下での500時間に
およぶ化学酸化重合膜の耐湿特性の変化を図1に示すと
ともに、上記比較例2と実施例5〜8によるアルミニウ
ム固体電解コンデンサについて、60℃、相対湿度95
%雰囲気下での1200時間におよぶ定格電圧印加の信
頼性試験による静電容量およびESRの変化を図2に示
す。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
化学重合に用いられるモノマー水溶液中もしくは酸化剤
水溶液中に2,6位に置換基を有するピリジン化合物を
添加することにより、化学酸化重合膜の比抵抗を小さく
することができる。
【0036】したがって、導電性高分子物質を利用した
固体電解コンデンサの等価直列抵抗の低下およびインピ
ーダンス特性の改善が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化学酸化重合膜の耐湿特性の変化を示したグラ
フ。
【図2】信頼性試験による静電容量および等価直列抵抗
の変化状態を示したグラフ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁作用金属箔に誘電体酸化被膜を形成し
    た後、化学重合により化学酸化重合膜を形成し、次いで
    電解重合液中に浸漬して電解重合により同化学酸化重合
    膜上に導電性高分子物質よりなる電解重合膜を形成する
    固体電解コンデンサの製造方法において、上記化学重合
    に用いられるモノマー水溶液中もしくは酸化剤水溶液中
    に2,6位に置換基を有するピリジン化合物を添加する
    ことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記モノマー水溶液に対する上記ピリジ
    ン化合物の添加量は、0.1〜5wt%であることを特
    徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方
  3. 【請求項3】 上記酸化剤水溶液に対する上記化合物の
    添加量は、0.01〜0.20mol/lであることを
    特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 上記置換基は水素、ハロゲン、ヒドロキ
    シル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基から選択
    されることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コン
    デンサの製造方法。
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