JPH06162502A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法Info
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- JPH06162502A JPH06162502A JP30855092A JP30855092A JPH06162502A JP H06162502 A JPH06162502 A JP H06162502A JP 30855092 A JP30855092 A JP 30855092A JP 30855092 A JP30855092 A JP 30855092A JP H06162502 A JPH06162502 A JP H06162502A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は薄膜型磁気記録媒体の製造方法に関
するもので、短波長領域において高い再生出力及び高S
/Nを有する磁気テープを提供することを目的とする。 【構成】 円筒状キャン2に沿って走行しつつある基板
1上に、磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜している
Co基の磁性層を真空蒸着法により形成する際に、膜形
成終了部を規制する遮蔽板3B、3B’を2重以上の構
造とし、かつ遮蔽板3B、3B’間及び遮蔽板3B’と
円筒状キャン2との間から酸素を蒸発原子に向かって吹
き出すようにする。
するもので、短波長領域において高い再生出力及び高S
/Nを有する磁気テープを提供することを目的とする。 【構成】 円筒状キャン2に沿って走行しつつある基板
1上に、磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜している
Co基の磁性層を真空蒸着法により形成する際に、膜形
成終了部を規制する遮蔽板3B、3B’を2重以上の構
造とし、かつ遮蔽板3B、3B’間及び遮蔽板3B’と
円筒状キャン2との間から酸素を蒸発原子に向かって吹
き出すようにする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高密度記録特性の優れた
磁気記録媒体の製造方法に関する。
磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録再生装置は年々高密度化してお
り、短波長記録再生特性の優れた磁気記録媒体が要望さ
れている。現在では基板上に磁性粉を塗布した塗布型磁
気記録媒体が主に使用されており、上記要望を満足すべ
く特性改善がなされているが、ほぼ限界に近づいてい
る。
り、短波長記録再生特性の優れた磁気記録媒体が要望さ
れている。現在では基板上に磁性粉を塗布した塗布型磁
気記録媒体が主に使用されており、上記要望を満足すべ
く特性改善がなされているが、ほぼ限界に近づいてい
る。
【0003】この限界を越えるものとして薄膜型磁気記
録媒体が開発されている。薄膜型磁気記録媒体は真空蒸
着法、スパッタリング法、メッキ法等により作製され、
優れた短波長記録再生特性を有する。薄膜型磁気記録媒
体における磁性層としては、Co、Co−Ni、Co−
Ni−P、Co−O、Co−Ni−O、Co−Fe−
O、Co−Ni−Fe−O、Co−Cr、Co−Ni−
Cr等が検討されている。
録媒体が開発されている。薄膜型磁気記録媒体は真空蒸
着法、スパッタリング法、メッキ法等により作製され、
優れた短波長記録再生特性を有する。薄膜型磁気記録媒
体における磁性層としては、Co、Co−Ni、Co−
Ni−P、Co−O、Co−Ni−O、Co−Fe−
O、Co−Ni−Fe−O、Co−Cr、Co−Ni−
Cr等が検討されている。
【0004】磁気テープへの応用の点からは、これらの
中で、部分酸化膜であるCo−O膜、Co−Ni−O膜
が最も適していると考えられており、Co−Ni−Oを
磁性層とした蒸着テープが既にHi8方式VTRテープ
として実用化されている。
中で、部分酸化膜であるCo−O膜、Co−Ni−O膜
が最も適していると考えられており、Co−Ni−Oを
磁性層とした蒸着テープが既にHi8方式VTRテープ
として実用化されている。
【0005】蒸着テープ製造方法の一例を、(図2)を
用いて以下に説明する。(図2)は蒸着テープを作製す
るための真空蒸着装置内部の構成の一例である。高分子
フィルムから成る基板1は円筒状キャン2に沿って矢印
6の向きに走行する。蒸発源8から蒸発した蒸発原子9
が、基板1に付着することにより磁性層が形成される。
用いて以下に説明する。(図2)は蒸着テープを作製す
るための真空蒸着装置内部の構成の一例である。高分子
フィルムから成る基板1は円筒状キャン2に沿って矢印
6の向きに走行する。蒸発源8から蒸発した蒸発原子9
が、基板1に付着することにより磁性層が形成される。
【0006】蒸発源8としては電子ビーム蒸発源が適し
ており、この中に蒸発物質7としてのCo基の合金を充
填する。なお、蒸発源として電子ビーム蒸発源を用いる
のは、Co等の高融点金属を高い蒸発速度で蒸発させる
ためである。3A、3Bは不用な蒸発原子が基板に付着
するのを防ぐために設けてある遮蔽板であり、前者は膜
形成開始部を規制する遮蔽板、後者は膜形成終了部を規
制する遮蔽板である。(図2)においては、いずれの遮
蔽板も1重、すなわち1枚の板から成っている。10は
蒸着時に真空槽内に酸素を導入するための酸素導入口で
ある。θi、θfは、それぞれ膜形成開始部及び膜形成終
了部における蒸発原子9の基板1への入射角である。現
在市販されているHi8方式VTR用蒸着テープは、以
上のような方法で製造されている。4、5はそれぞれ基
板1の供給ロールと巻き取りロールである。
ており、この中に蒸発物質7としてのCo基の合金を充
填する。なお、蒸発源として電子ビーム蒸発源を用いる
のは、Co等の高融点金属を高い蒸発速度で蒸発させる
ためである。3A、3Bは不用な蒸発原子が基板に付着
するのを防ぐために設けてある遮蔽板であり、前者は膜
形成開始部を規制する遮蔽板、後者は膜形成終了部を規
制する遮蔽板である。(図2)においては、いずれの遮
蔽板も1重、すなわち1枚の板から成っている。10は
蒸着時に真空槽内に酸素を導入するための酸素導入口で
ある。θi、θfは、それぞれ膜形成開始部及び膜形成終
了部における蒸発原子9の基板1への入射角である。現
在市販されているHi8方式VTR用蒸着テープは、以
上のような方法で製造されている。4、5はそれぞれ基
板1の供給ロールと巻き取りロールである。
【0007】このようにして作製されたCo−Oあるい
はCo−Ni−O磁性層は、磁化容易軸が膜面の法線に
対して傾斜している。すなわち、磁化容易軸が膜面内あ
るいは膜面の法線方向にあるのではなく、蒸発原子の基
板への入射方向を含む法面内において、法線に対して斜
めに傾斜した方向にある。
はCo−Ni−O磁性層は、磁化容易軸が膜面の法線に
対して傾斜している。すなわち、磁化容易軸が膜面内あ
るいは膜面の法線方向にあるのではなく、蒸発原子の基
板への入射方向を含む法面内において、法線に対して斜
めに傾斜した方向にある。
【0008】以上説明したような部分酸化膜から成る磁
性層は、蒸着時の酸素導入量及び酸素導入方法によって
記録再生特性が大きく変化する。
性層は、蒸着時の酸素導入量及び酸素導入方法によって
記録再生特性が大きく変化する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】今後、磁気テープには
短波長領域における高出力、高S/Nの要求がますます
強くなる。この要求に応える方法としては、部分酸化膜
から成る磁性層において、その成膜時に酸素の導入方法
を改善することが有望と考えられる。
短波長領域における高出力、高S/Nの要求がますます
強くなる。この要求に応える方法としては、部分酸化膜
から成る磁性層において、その成膜時に酸素の導入方法
を改善することが有望と考えられる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記要望を実現
したものであって、円筒状キャンに沿って走行しつつあ
る基板上に、磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜して
いるCo基の磁性層を真空蒸着法により形成する際に、
膜形成終了部を規制する遮蔽板を2重以上の構造とし、
かつ前記遮蔽板間及び遮蔽板と前記円筒状キャンとの間
から酸素を蒸発原子に向かって吹き出すことを特徴とす
る。
したものであって、円筒状キャンに沿って走行しつつあ
る基板上に、磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜して
いるCo基の磁性層を真空蒸着法により形成する際に、
膜形成終了部を規制する遮蔽板を2重以上の構造とし、
かつ前記遮蔽板間及び遮蔽板と前記円筒状キャンとの間
から酸素を蒸発原子に向かって吹き出すことを特徴とす
る。
【0011】
【作用】本発明の方法によれば、磁性層の膜厚方向にお
ける酸素濃度分布の最適化及び膜形成終了部における蒸
発原子の回り込みの防止ができるので、短波長領域で高
出力、高S/Nを有する磁気テープを提供できる。
ける酸素濃度分布の最適化及び膜形成終了部における蒸
発原子の回り込みの防止ができるので、短波長領域で高
出力、高S/Nを有する磁気テープを提供できる。
【0012】
【実施例】本発明の実施例を(図1)に基づいて説明す
る。(図1)は本発明の方法を実施するための真空蒸着
装置内部の一例を示す。基本的には、(図2)に示した
従来のものと同様であるが、膜形成終了部を規制する遮
蔽板が異なる。本発明においては、膜形成終了部を規制
する遮蔽板は2重以上になっており、(図1)は2重の
場合の例である。すなわち(図1)に示す如く、膜形成
終了部を規制する遮蔽板は、3Bと3B’とから成って
おり、2重の構造となっている。また酸素導入口10
は、(図1)の如く配置されており、ここから出た酸素
は、遮蔽板3Bと3B’の間及び遮蔽板3B’と円筒状
キャン2の間を通って、蒸発原子9に向かって吹き出
す。遮蔽板3Bの左端と遮蔽板3B’との距離及び遮蔽
板3B’の左端と円筒状キャンとの距離は2cm以下にな
るように設定することが望ましい。また、酸素は各遮蔽
板間及び遮蔽板と円筒状キャンとの間のいずれからも吹
き出す必要がある。そうしないと本発明の効果は著しく
低下する。(図1)は2重の場合の例であるが、3重以
上にしても2重の場合と同様の効果がある。また、(図
1)では、酸素導入口は1個所であるが、遮蔽板3Bと
3B’との間及び遮蔽板3B’と円筒状キャン2との間
に、それぞれ酸素導入口を配置してもよい。
る。(図1)は本発明の方法を実施するための真空蒸着
装置内部の一例を示す。基本的には、(図2)に示した
従来のものと同様であるが、膜形成終了部を規制する遮
蔽板が異なる。本発明においては、膜形成終了部を規制
する遮蔽板は2重以上になっており、(図1)は2重の
場合の例である。すなわち(図1)に示す如く、膜形成
終了部を規制する遮蔽板は、3Bと3B’とから成って
おり、2重の構造となっている。また酸素導入口10
は、(図1)の如く配置されており、ここから出た酸素
は、遮蔽板3Bと3B’の間及び遮蔽板3B’と円筒状
キャン2の間を通って、蒸発原子9に向かって吹き出
す。遮蔽板3Bの左端と遮蔽板3B’との距離及び遮蔽
板3B’の左端と円筒状キャンとの距離は2cm以下にな
るように設定することが望ましい。また、酸素は各遮蔽
板間及び遮蔽板と円筒状キャンとの間のいずれからも吹
き出す必要がある。そうしないと本発明の効果は著しく
低下する。(図1)は2重の場合の例であるが、3重以
上にしても2重の場合と同様の効果がある。また、(図
1)では、酸素導入口は1個所であるが、遮蔽板3Bと
3B’との間及び遮蔽板3B’と円筒状キャン2との間
に、それぞれ酸素導入口を配置してもよい。
【0013】以上のような設定により、従来の製造方法
で作製した蒸着テープに比べて、磁性層膜厚方向におけ
る酸素濃度分布の最適化と蒸発原子の回り込み防止を同
時に実現できるので、短波長領域において高い再生出力
及び高S/Nを有する磁気テープを得ることが出来る。
で作製した蒸着テープに比べて、磁性層膜厚方向におけ
る酸素濃度分布の最適化と蒸発原子の回り込み防止を同
時に実現できるので、短波長領域において高い再生出力
及び高S/Nを有する磁気テープを得ることが出来る。
【0014】蒸発原子の回り込みについて(図2)を用
いて説明する。(図2)に示される、膜形成終了部を規
制する遮蔽板3Bで規制された蒸発原子が、(図2)に
示す如く、そのまま直進してθfの入射角で基板に付着
するのであれば、蒸発原子の回り込みは全く無いことに
なる。ところが実際には、蒸発原子は主に拡散によって
移動しているので、遮蔽板3Bと円筒状キャン2の間の
蒸発原子は、(図2)に示されるよりも右側に広がる。
このことを回り込みと呼ぶ。回り込みがあると、蒸発原
子はθfよりも小さい入射角で基板に付着することにな
る。このような回り込みで付着した蒸発原子は、磁性層
の記録再生特性を著しく劣化させる。
いて説明する。(図2)に示される、膜形成終了部を規
制する遮蔽板3Bで規制された蒸発原子が、(図2)に
示す如く、そのまま直進してθfの入射角で基板に付着
するのであれば、蒸発原子の回り込みは全く無いことに
なる。ところが実際には、蒸発原子は主に拡散によって
移動しているので、遮蔽板3Bと円筒状キャン2の間の
蒸発原子は、(図2)に示されるよりも右側に広がる。
このことを回り込みと呼ぶ。回り込みがあると、蒸発原
子はθfよりも小さい入射角で基板に付着することにな
る。このような回り込みで付着した蒸発原子は、磁性層
の記録再生特性を著しく劣化させる。
【0015】次に、(図1)に示す本発明の構成で高い
再生出力及び高S/Nを有する媒体が得られる理由を詳
しく説明する。
再生出力及び高S/Nを有する媒体が得られる理由を詳
しく説明する。
【0016】(図2)に示す構成の従来の真空蒸着装置
で、Co基の磁性層から成る蒸着テープを作製する際
に、(図2)における膜形成終了部を規制する遮蔽板3
Bの左端と円筒状キャン2との距離(以下この距離をX
とする)を変えると、θfを同一に設定しておいても記
録再生特性が変化する。Xを大きくすると酸素ガスが流
れ易くなるので、蒸発原子に向かう酸素量が増加する。
単に蒸発原子に向かう酸素量が増加するだけであれば、
再生出力の増加及びノイズの低下が期待できるが、Xを
大きくすると蒸発原子の回り込み量が増える。回り込み
は再生出力を低下させる。この低下量の方が、酸素量が
増えることによる再生出力の増加よりも大きいので、総
合すると、Xを大きくすると、再生出力は低下してしま
うことになる。従って、回り込みを増加させずに酸素量
を増やせれば、再生出力の増加及びノイズの低下が期待
できる。
で、Co基の磁性層から成る蒸着テープを作製する際
に、(図2)における膜形成終了部を規制する遮蔽板3
Bの左端と円筒状キャン2との距離(以下この距離をX
とする)を変えると、θfを同一に設定しておいても記
録再生特性が変化する。Xを大きくすると酸素ガスが流
れ易くなるので、蒸発原子に向かう酸素量が増加する。
単に蒸発原子に向かう酸素量が増加するだけであれば、
再生出力の増加及びノイズの低下が期待できるが、Xを
大きくすると蒸発原子の回り込み量が増える。回り込み
は再生出力を低下させる。この低下量の方が、酸素量が
増えることによる再生出力の増加よりも大きいので、総
合すると、Xを大きくすると、再生出力は低下してしま
うことになる。従って、回り込みを増加させずに酸素量
を増やせれば、再生出力の増加及びノイズの低下が期待
できる。
【0017】本発明のように2重以上の遮蔽板を使用す
ると、回り込みにより基板に付着する蒸発原子の量を増
加させずに、蒸発原子に向かう酸素量を増加させること
ができる。その結果、再生出力の増加及びノイズの低減
を図ることができる。
ると、回り込みにより基板に付着する蒸発原子の量を増
加させずに、蒸発原子に向かう酸素量を増加させること
ができる。その結果、再生出力の増加及びノイズの低減
を図ることができる。
【0018】以下に、本発明の具体的実施例について説
明する。まず、(図1)のような基本構成を有する真空
蒸着装置を用いて、蒸着テープを作製した。円筒状キャ
ン2の直径は1mとし、テープ厚10μmのポリエチレン
テレフタレートフィルムを基板1として使用した。蒸発
物質7としてはCoを用いた。遮蔽板3Bの左端と遮蔽
板3B’との距離及び遮蔽板3B’左端と円筒状キャン
2との距離は1cmに設定した。膜形成開始部の入射角θ
iは85゜、膜形成終了部の入射角θfは55゜に設定し
た。
明する。まず、(図1)のような基本構成を有する真空
蒸着装置を用いて、蒸着テープを作製した。円筒状キャ
ン2の直径は1mとし、テープ厚10μmのポリエチレン
テレフタレートフィルムを基板1として使用した。蒸発
物質7としてはCoを用いた。遮蔽板3Bの左端と遮蔽
板3B’との距離及び遮蔽板3B’左端と円筒状キャン
2との距離は1cmに設定した。膜形成開始部の入射角θ
iは85゜、膜形成終了部の入射角θfは55゜に設定し
た。
【0019】以上のような構成で、平均の膜堆積速度を
0.3μm/sとして、膜厚0.1μmの磁性層を形成し
た。なお、酸素導入口10から真空槽内へは、0.8l/
minの割合で酸素を導入した。以上のようにして作製し
た媒体をサンプル(1)とする。
0.3μm/sとして、膜厚0.1μmの磁性層を形成し
た。なお、酸素導入口10から真空槽内へは、0.8l/
minの割合で酸素を導入した。以上のようにして作製し
た媒体をサンプル(1)とする。
【0020】比較のために、遮蔽板3Bと3B’との間
に酸素の通過を阻止する板を配置して、酸素を遮蔽板3
B’と円筒状キャン2との間からのみ吹き出して、それ
以外の条件は、上記と同一にして媒体を作製した。これ
をサンプル(2)とする。また、遮蔽板3B’と円筒状
キャン2との間に酸素の通過を阻止する板を配置し、酸
素を遮蔽板3Bと3B’との間からのみ吹き出して、そ
れ以外の条件は上記と同一にして媒体を作製した。これ
をサンプル(3)とする。
に酸素の通過を阻止する板を配置して、酸素を遮蔽板3
B’と円筒状キャン2との間からのみ吹き出して、それ
以外の条件は、上記と同一にして媒体を作製した。これ
をサンプル(2)とする。また、遮蔽板3B’と円筒状
キャン2との間に酸素の通過を阻止する板を配置し、酸
素を遮蔽板3Bと3B’との間からのみ吹き出して、そ
れ以外の条件は上記と同一にして媒体を作製した。これ
をサンプル(3)とする。
【0021】さらに、比較のために、(図2)のような
従来の基本構成を有する真空蒸着装置を用いて、蒸着テ
ープを作製した。膜形成終了部を規制する遮蔽板が3B
のみで1重であることを除いては、上記と全く同じ条件
で成膜した。ただし、遮蔽板3Bの左端と円筒状キャン
2との距離は変化させて、3種類の媒体を作製した。こ
の距離を1cmとして作製した媒体をサンプル(4)、2
cmとしたものをサンプル(5)、4cmとしたものをサン
プル(6)とする。
従来の基本構成を有する真空蒸着装置を用いて、蒸着テ
ープを作製した。膜形成終了部を規制する遮蔽板が3B
のみで1重であることを除いては、上記と全く同じ条件
で成膜した。ただし、遮蔽板3Bの左端と円筒状キャン
2との距離は変化させて、3種類の媒体を作製した。こ
の距離を1cmとして作製した媒体をサンプル(4)、2
cmとしたものをサンプル(5)、4cmとしたものをサン
プル(6)とする。
【0022】以上のようにして作製したサンプル(1)
〜(6)をテープ状にスリットし、センダストから成る
ギャップ長0.15μmのリング形磁気ヘッドを用いて
記録再生特性の評価を行なった。この評価の際には、い
ずれのサンプルにも表面に10nm厚のカーボン保護層を
形成した。評価結果を(表1)に示す。
〜(6)をテープ状にスリットし、センダストから成る
ギャップ長0.15μmのリング形磁気ヘッドを用いて
記録再生特性の評価を行なった。この評価の際には、い
ずれのサンプルにも表面に10nm厚のカーボン保護層を
形成した。評価結果を(表1)に示す。
【0023】
【表1】
【0024】(表1)には、波長0.5μmの信号を記
録再生した際の再生出力、波長0.5μmの信号を記録
再生した際の波長0.6μmに相当する周波数における
ノイズを、サンプル(1)の値を0dBとして、これに対
する相対値で示してある。
録再生した際の再生出力、波長0.5μmの信号を記録
再生した際の波長0.6μmに相当する周波数における
ノイズを、サンプル(1)の値を0dBとして、これに対
する相対値で示してある。
【0025】(表1)から、従来の方法で作製したサン
プル(4)〜(6)は、本発明の方法で得られたサンプ
ル(1)と比較して、いずれも再生出力が低く、(図
2)の遮蔽板3Bの左端と円筒状キャン2との距離が大
きくなるに従って、再生出力が低くなっている。これは
蒸発原子の回り込みによるものと考えられる。またノイ
ズは、サンプル(4)は本発明の方法で得られたサンプ
ル(1)よりも1dB高くなっており、サンプル(5)、
(6)は(1)と同等である。
プル(4)〜(6)は、本発明の方法で得られたサンプ
ル(1)と比較して、いずれも再生出力が低く、(図
2)の遮蔽板3Bの左端と円筒状キャン2との距離が大
きくなるに従って、再生出力が低くなっている。これは
蒸発原子の回り込みによるものと考えられる。またノイ
ズは、サンプル(4)は本発明の方法で得られたサンプ
ル(1)よりも1dB高くなっており、サンプル(5)、
(6)は(1)と同等である。
【0026】本発明の方法と同様に、遮蔽板は2重にな
っているが、酸素を遮蔽板3B’と円筒状キャン2の間
からのみ吹き出して作製したサンプル(2)、及び酸素
を遮蔽板間からのみ吹き出して作製したサンプル(3)
は、いずれも(1)よりも再生出力は1dB低く、ノイズ
は1dB高い。
っているが、酸素を遮蔽板3B’と円筒状キャン2の間
からのみ吹き出して作製したサンプル(2)、及び酸素
を遮蔽板間からのみ吹き出して作製したサンプル(3)
は、いずれも(1)よりも再生出力は1dB低く、ノイズ
は1dB高い。
【0027】上記の如く、本発明の方法で作製した媒体
が最も高い再生出力及び最も低いノイズを有している。
が最も高い再生出力及び最も低いノイズを有している。
【0028】以上ではCo部分酸化膜の例についてのみ
説明したが、この組成以外の部分酸化膜についても全く
同様の本発明の効果が得られる。また、基板について
は、ポリエチレンテレフタレートフィルムについて説明
したが、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポ
リエーテルイミドフィルム、ポリエチレンナフタレート
フィルム等の高分子フィルムでも、全く同様であること
は言うまでもない。さらに、非磁性の下地層あるいは磁
性層の形成されている高分子フィルムを基板として使用
しても、本発明の方法の効果は上記の説明と同様であ
る。また、蒸発原子の基板への入射角、θi、θfについ
ても、上記の説明の値に限ったものではない。ただし高
い再生出力を得るためには、θi>θfかつθf>50゜
なる条件を満たす必要がある。また、以上では遮蔽板が
2重の場合についての例についてのみ説明したが、3重
以上であっても上記と同様の効果が得られる。ただし、
この際、各遮蔽板間、及び遮蔽板と円筒状キャンとの間
のいずれからも、酸素を蒸発原子に向かって吹き出すこ
とが必要である。
説明したが、この組成以外の部分酸化膜についても全く
同様の本発明の効果が得られる。また、基板について
は、ポリエチレンテレフタレートフィルムについて説明
したが、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポ
リエーテルイミドフィルム、ポリエチレンナフタレート
フィルム等の高分子フィルムでも、全く同様であること
は言うまでもない。さらに、非磁性の下地層あるいは磁
性層の形成されている高分子フィルムを基板として使用
しても、本発明の方法の効果は上記の説明と同様であ
る。また、蒸発原子の基板への入射角、θi、θfについ
ても、上記の説明の値に限ったものではない。ただし高
い再生出力を得るためには、θi>θfかつθf>50゜
なる条件を満たす必要がある。また、以上では遮蔽板が
2重の場合についての例についてのみ説明したが、3重
以上であっても上記と同様の効果が得られる。ただし、
この際、各遮蔽板間、及び遮蔽板と円筒状キャンとの間
のいずれからも、酸素を蒸発原子に向かって吹き出すこ
とが必要である。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、短波長領域において高
い再生出力及び高S/Nを有する薄膜型磁気テープを提
供できる。
い再生出力及び高S/Nを有する薄膜型磁気テープを提
供できる。
【図1】本発明の一実施例における真空蒸着装置内部の
概略を示す図
概略を示す図
【図2】従来の真空蒸着装置内部の概略を示す図
1 基板 2 円筒状キャン 3A 膜形成開始部を規制する遮蔽板 3B、3B’ 膜形成終了部を規制する遮蔽板 4 供給ロール 5 巻き取りロール 6 基板走行方向 7 蒸発物質 8 蒸発源 9 蒸発原子 10 酸素導入口
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【実施例】本発明の実施例を(図1)に基づいて説明す
る。(図1)は本発明の方法を実施するための真空蒸着
装置内部の一例を示す。基本的には、(図2)に示した
従来のものと同様であるが、膜形成終了部を規制する遮
蔽板が異なる。本発明においては、膜形成終了部を規制
する遮蔽板は2重以上になっており、(図1)は2重の
場合の例である。すなわち(図1)に示す如く、膜形成
終了部を規制する遮蔽板は、3Bと3B’とから成って
おり、2重の構造となっている。また酸素導入口10
は、(図1)の如く配置されており、ここから出た酸素
は、遮蔽板3Bと3B’の間及び遮蔽板3B’と円筒状
キャン2の間を通って、蒸発原子9に向かって吹き出
す。遮蔽板3Bの左端と遮蔽板3B’との距離及び遮蔽
板3B’の左端と円筒状キャンとの距離は2cm以下にな
るように設定することが望ましい。また、酸素は各遮蔽
板間及び遮蔽板と円筒状キャンとの間のいずれからも吹
き出す必要がある。そうしないと本発明の効果は著しく
低下する。(図1)は2重の場合の例であるが、3重以
上にしても2重の場合と同様の効果がある。なお、3重
以上の場合は、遮蔽板間のすべてから酸素を吹き出す必
要はなく、少なくとも円筒状キャンに近い遮蔽板間の1
箇所から吹き出せばよい。また、(図1)では、酸素導
入口は1個所であるが、遮蔽板3Bと3B’との間及び
遮蔽板3B’と円筒状キャン2との間に、それぞれ酸素
導入口を配置してもよい。
る。(図1)は本発明の方法を実施するための真空蒸着
装置内部の一例を示す。基本的には、(図2)に示した
従来のものと同様であるが、膜形成終了部を規制する遮
蔽板が異なる。本発明においては、膜形成終了部を規制
する遮蔽板は2重以上になっており、(図1)は2重の
場合の例である。すなわち(図1)に示す如く、膜形成
終了部を規制する遮蔽板は、3Bと3B’とから成って
おり、2重の構造となっている。また酸素導入口10
は、(図1)の如く配置されており、ここから出た酸素
は、遮蔽板3Bと3B’の間及び遮蔽板3B’と円筒状
キャン2の間を通って、蒸発原子9に向かって吹き出
す。遮蔽板3Bの左端と遮蔽板3B’との距離及び遮蔽
板3B’の左端と円筒状キャンとの距離は2cm以下にな
るように設定することが望ましい。また、酸素は各遮蔽
板間及び遮蔽板と円筒状キャンとの間のいずれからも吹
き出す必要がある。そうしないと本発明の効果は著しく
低下する。(図1)は2重の場合の例であるが、3重以
上にしても2重の場合と同様の効果がある。なお、3重
以上の場合は、遮蔽板間のすべてから酸素を吹き出す必
要はなく、少なくとも円筒状キャンに近い遮蔽板間の1
箇所から吹き出せばよい。また、(図1)では、酸素導
入口は1個所であるが、遮蔽板3Bと3B’との間及び
遮蔽板3B’と円筒状キャン2との間に、それぞれ酸素
導入口を配置してもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】以上ではCo部分酸化膜の例についてのみ
説明したが、この組成以外の部分酸化膜についても全く
同様の本発明の効果が得られる。また、基板について
は、ポリエチレンテレフタレートフィルムについて説明
したが、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポ
リエーテルイミドフィルム、ポリエチレンナフタレート
フィルム等の高分子フィルムでも、全く同様であること
は言うまでもない。さらに、非磁性の下地層あるいは磁
性層の形成されている高分子フィルムを基板として使用
しても、本発明の方法の効果は上記の説明と同様であ
る。また、蒸発原子の基板への入射角、θi、θfについ
ても、上記の説明の値に限ったものではない。ただし高
い再生出力を得るためには、θi>θfかつθf>50゜
なる条件を満たす必要がある。また、以上では遮蔽板が
2重の場合についての例についてのみ説明したが、3重
以上であっても上記と同様の効果が得られる。ただし、
この際、遮蔽板間の少なくとも円筒状キャンに近い側の
1箇所、及び遮蔽板と円筒状キャンとの間から、酸素を
蒸発原子に向かって吹き出すことが必要である。
説明したが、この組成以外の部分酸化膜についても全く
同様の本発明の効果が得られる。また、基板について
は、ポリエチレンテレフタレートフィルムについて説明
したが、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポ
リエーテルイミドフィルム、ポリエチレンナフタレート
フィルム等の高分子フィルムでも、全く同様であること
は言うまでもない。さらに、非磁性の下地層あるいは磁
性層の形成されている高分子フィルムを基板として使用
しても、本発明の方法の効果は上記の説明と同様であ
る。また、蒸発原子の基板への入射角、θi、θfについ
ても、上記の説明の値に限ったものではない。ただし高
い再生出力を得るためには、θi>θfかつθf>50゜
なる条件を満たす必要がある。また、以上では遮蔽板が
2重の場合についての例についてのみ説明したが、3重
以上であっても上記と同様の効果が得られる。ただし、
この際、遮蔽板間の少なくとも円筒状キャンに近い側の
1箇所、及び遮蔽板と円筒状キャンとの間から、酸素を
蒸発原子に向かって吹き出すことが必要である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伴 泰明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】円筒状キャンに沿って走行しつつある基板
上に、磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜しているC
o基の磁性層を真空蒸着法により形成する際に、膜形成
終了部を規制する遮蔽板を2重以上の構造とし、かつ前
記遮蔽板間及び遮蔽板と前記円筒状キャンとの間から酸
素を蒸発原子に向かって吹き出すことを特徴とする磁気
記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04308550A JP3139181B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04308550A JP3139181B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06162502A true JPH06162502A (ja) | 1994-06-10 |
JP3139181B2 JP3139181B2 (ja) | 2001-02-26 |
Family
ID=17982383
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04308550A Expired - Fee Related JP3139181B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3139181B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11081979B2 (en) | 2017-04-25 | 2021-08-03 | Canon Kabushiki Kaisha | Vibration-type driving apparatus that detects undesired vibrations, control method for the vibration-type driving apparatus, storage medium, robot, pan head for image pickup apparatus, and image forming apparatus |
KR200488602Y1 (ko) * | 2018-07-16 | 2019-02-27 | 조규현 | 원터치 타입 파이프 결속기 |
-
1992
- 1992-11-18 JP JP04308550A patent/JP3139181B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3139181B2 (ja) | 2001-02-26 |
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