JPH06160536A - 電離箱式放射線検出器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】電離箱式放射線検出器において、高圧電源に電
力機器の起動停止等によって急峻な電圧変動が誘起され
た場合にも、その影響を外部に出力せず安定な測定の継
続を可能とする。 【構成】電離箱式放射線検出器を、電離箱１０の高圧電
源回路に設けられ高圧電源４の電圧急変を検出する微分
増幅回路５と、検出された電圧急変について所定のレベ
ル超過有無を判定するレベル判定回路６と、レベル判定
回路６の判定出力によって起動される単安定パルス発生
回路７と、この単安定パルス発生回路７の出力の間、電
離箱１の集電極１０に接続された増幅回路２の出力を、
単安定パルス発回路７の出力前の値に保持する出力ホー
ルド回路８とによって構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、原子力施設，放射性
同位元素利用施設等で放射線の計測監視に用いられる電
離箱式放射線検出器に関する。

【０００２】

【従来の技術】放射線によって作られた荷電粒子を、電
界によって電極に集めるときに流れる電流から放射線の
強さを測る電離箱を用いた放射線の計測装置の検出器部
分の構成の従来例を図３に示す。図３において電離箱１
の封入ガスまたは流通ガスに放射線が作用して発生した
荷電粒子は、集電極１０と外部電極１１間に印加された
高圧電源４の出力電圧で生じる電界によって集電極１０
に集められ、この時流れる電流が外部からノイズが侵入
しないよう電磁遮蔽されて電離箱と緊密に結合している
増幅回路２で増幅され、測定値として出力される。

【０００３】この高圧電源４の出力インピーダンスは、
設計およびコスト上の制約から比較的高い水準に設定さ
れているので高圧電源の近傍で大形電気機器の電源投入
遮断操作が行われ、大電流の急激な変動が生じた場合な
どに、高圧電源回路にパルス状のノイズが誘起されやす
い性質を内在させている。高圧電源回路に誘起された異
常電圧は電離箱を介して増幅回路２の入力となり、放射
線によらない偽信号として出力されるので、この誘起ノ
イズの影響を低減する目的で濾波フィルタ３を高圧電源
と電離箱の間に挿入することが行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この発明は電離箱式の
放射線検出器において、高圧電源に急激な電圧変動が生
じた場合にも、その影響を外部に出力せずに安定な測定
の継続を可能とする電離箱式放射線検出器を提供するこ
とを目的とする。

【０００５】

【問題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明においては、電離箱式放射線検出器に対し
て、電離箱の高圧電源回路に設けられ高圧電源の電圧急
変を検出する微分増幅回路と、検出された電圧急変が所
定のレベルを超えたか超えないかを判定するレベル判定
回路と、レベル判定回路の判定出力によって起動される
単安定パルス発生回路と、この単安定パルス発生回路の
出力の間、電離箱の集電極に接続された増幅回路の出力
を単安定パルス発回路の出力前の値に保持する出力ホー
ルド回路とを設ける。

【０００６】更に増幅回路の応答速度が速い場合には増
幅器と出力ホールド回路の間に遅延回路を設ける。

【０００７】

【作用】上記の各回路を設けた電離箱式放射線検出器の
高圧電源回路に急峻な電圧変動が誘起された時、その立
上りは微分増幅回路で検出され、変動の大きさがレベル
判定回路に予め設定された値を越えると、レベル判別回
路は次段の単安定パルス発生回路を起動するパルス信号
を出力する。単安定パルス発生回路はレベル判定回路よ
り出力信号があった時、電離箱に接続された増幅回路の
時定数に相当する時間巾のパルスを発生し、増幅器回路
の出力につながれた出力ホールド回路のホールド起動端
子に入力する。出力ホールド回路はホールド起動端子に
ホールド信号が入力されている期間、増幅回路の出力信
号をホールド信号入力時点前の値に保持し、ホールド信
号がなくなると増幅回路の出力をそのまま出力する。

【０００８】

【実施例】図１に本発明の１実施例を示す。電離箱式放
射線検出器の周辺で大形電気機器の電源の投入または遮
断が行われた時など、比較的高い出力インピーダンスを
もつ高圧電源４の出力回路には急峻な電圧変動が誘起さ
れる。

【０００９】この電圧変動は濾波回路３によって吸収し
きれず電離箱１を経由して増幅回路２の入力に印加さ
れ、増幅回路２の出力側に放射線によらない偽信号出力
となって表われる。この偽信号出力は濾波回路３と増幅
回路２に時定数が設定されているため、電源電圧に変動
があってから時定数分程度遅れて表われる。一方、高圧
電源回路から分岐して接続された微分増幅回路５は、電
源に急峻な変動が生じた時これを検出して変動の大きさ
に応じた信号をレベル判定回路６に出力する。レベル判
定回路６は微分増幅回路の出力信号が予め設定されたレ
ベルを超えた時、ホールド回路８を駆動する単安定パル
ス発生回路７に起動信号を出力する。単安定パルス発生
回路７はこの起動信号を受信すると増幅回路２の時定数
に相当する時間の間ホールド回路８を作動させる駆動信
号を出力し、ホールド回路８はこの駆動信号の間、増幅
回路２の出力を駆動信号入力直前の値に保持し、駆動信
号がなくなったとき増幅回路２の出力を直接出力する動
作に復帰する。

【００１０】微弱な放射線を測定対象とする電離箱式放
射線検出器では、増幅回路２の時定数は相当に大きな値
に設定されるので、電源変動を生じてから増幅回路２の
出力にその影響が表われるまでの時間は、微分増幅回路
５が変動を検出してホールド回路８が動作するまでの時
間に比べ長いので、図１の回路方式によって十分偽信号
の外部への発信を防止することができる。

【００１１】しかしながら原子力プラントの動作状況監
視などでの使用を目的とする早い応答速度をもつように
設計された電離箱式放射線検出器の場合には、図１の回
路方式ではホールド回路８が動作する前に増幅回路２の
出力に偽信号が表われてしまう。図２は早い応答速度の
電離箱式放射線検出器における本発明の実施例であり、
増幅回路２とホールド回路８の間に電源変動発生からホ
ールド回路動作までの時間遅れを吸収しうる遅延時間を
もつ遅延回路９を挿入する。遅延回路９以外の回路の動
作は図１におけると同等である。

【００１２】

【発明の効果】本発明による電離箱式放射線検出器にお
いては高圧電源回路に急峻な電圧変動が誘起侵入するこ
とがあっても、その影響による偽信号を発信することな
く変動発生前の正常値を発信しつづけ電源の急峻変動復
帰時に正常出力発信にもどるので、電離箱式放射線検出
器の測定値によって管理される施設の運営に偽測定信号
発生による支障をきたすことがないという効果が得られ
る。特に検出器の出力信号によってプラントの運転を制
御しているようなシステ施設において偽信号による誤動
作の発生を防止できることの効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を説明するための回路ブロ
ック図

【図２】増幅回路の応答が早い場合の他の実施例を説明
するための回路ブロック図

【図３】従来方式の電離箱式放射線検出器の回路ブロッ
ク図

【符号の説明】

１ 電離箱 １０ 集電極 １１ 対極 ２ 増幅回路 ３ 濾波回路 ４ 高圧電源 ５ 微分増幅回路 ６ レベル判定回路 ７ 単安定パルス発生回路 ８ 出力ホールド回路 ９ 遅延回路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電離箱式放射線検出器において、 電離箱の高圧電源回路に設けられ、高圧電源の電圧急変
   を検出する微分増幅回路と、 前記電圧急変について所定のレベル超過有無を判定する
   レベル判定回路と、 レベル判定回路の判定出力によって起動される単安定パ
   ルス発生回路と、 この単安定パルス発生回路の出力の間、電離箱の集電極
   に接続された増幅回路の出力を、単安定パルス発回路の
   出力前の値に保持する出力ホールド回路とを、備えたこ
   とを特長とする電離箱式放射線検出器。
2. 【請求項２】電離箱の出力電流を増幅する増幅回路と出
   力ホールド回路の間に遅延回路を備えたことを特長とす
   る請求項１に記載の電離箱式放射線検出器。