JP2016075520A - 電流測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】広いレンジの微小電流を、レンジを切換えることなく、高速且つ連続的に測定可能な電流測定装置を提供する。【解決手段】被測定電流に比例した電圧を出力するとともに、電荷も蓄積する一次遅れ増幅回路3と、この増幅回路3から出力される電圧に比例した周波数パルス信号を出力する電圧/周波数変換回路4と、増幅回路3から出力される電圧が基準設定値に達したときに比較信号を出力する電圧比較回路5と、この比較信号が供給されたとき周波数パルス信号を出力する発振回路6、このパルス信号により増幅回路に蓄積された電荷を一定量放電するポンピング回路7と、電圧/周波数変換回路4と発振回路6とからの周波数パルス信号に基づいて、被測定電流を表す電流値を演算する測定値演算部8とを備える電流測定装置。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば広範囲な微小電流をパルス周波数に変換して測定する電流測定装置に関する。
例えば、電離箱放射線検出器の出力電流を測定する電流測定装置としては、例えば特許文献1に記載されている電流/周波数変換装置を用いた電流測定装置が提案されている。この電流/周波数変換装置は、入力電流を電荷として蓄積し、この蓄積された電荷に比例する電圧を出力する積分増幅回路と、前記積分増幅回路から出力される電圧に比例した周波数で且つデューティ比が50%のパルス信号を出力する周波数変換回路と、前記積分回路に蓄積された電荷を前記パルス信号の供給時に放電するポンピング回路とを備えている。
特許第4479430号公報
ところで、電離箱放射線検出器のように、10−15A〜10−6Aのような広い微小測定電流領域(〜9桁)をカバーするには、特許文献1に記載された電流/周波数変換装置では、最小電流における出力周波数が0.001Hz程度になり、測定結果を得るための応答時間が1000秒になる。ここで、応答時間を例えば1秒にするには、最小電流における出力周波数を1Hz以上にする必要があり、測定電流領域の最小電流が3桁上昇するため、その分測定電流領域が狭くなる。
そのため、例えば1秒の応答時間を確保し、かつ測定電流領域を広くするためには、測定できる電流領域が異なる複数の回路定数を備えておき、被測定電流に応じて回路定数を切り替える方法が用いられる。
しかしながら、電流領域の切り替えを行う場合には、電流領域を切り替える時間が必要なために、その切り替え時間分応答が遅れてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、広いレンジの電流を、レンジを切換えることなく、高速且つ連続的に測定可能な電流測定装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明に係る電流測定装置の一態様は、被測定電流に比例した電圧を出力するとともに電荷も蓄積する一次遅れ増幅回路と、該一次遅れ増幅回路から出力される電圧に比例した周波数パルス信号を出力する電圧/周波数変換回路と、前記一次遅れ増幅回路から出力される電圧が基準電圧値に達したことを検知して比較信号を出力する電圧比較回路と、該電圧比較回路の比較信号が供給されて一定幅で且つ一定波高の周波数パルス信号を出力する発振回路と、該発振回路から出力されるパルス信号が供給されたときに、前記一次遅れ増幅回路に蓄積された電荷を放電するポンピング回路とを備え、前記被測定電流の電流値に対応する測定値として、前記電圧/周波数変換回路の出力と前記発振回路の出力とに基づいて、前記被測定電流の電流値に対応する測定値を算出する。
本発明によれば、被測定電流を一次遅れ増幅回路に供給することにより、一次遅れ増幅回路から被測定電流に比例した電圧を出力するとともに、電荷を蓄積し、この一次遅れ増幅回路の出力電圧を電圧/周波数変換回路に供給して、第1の周波数信号を得るとともに、一次遅れ増幅回路の出力信号が基準電圧に達する毎に出力されるパルス信号をポンピング回路に供給して前記一次遅れ増幅回路に蓄積された電荷を放電させることを繰り返し、パルス信号から第2の周波数信号を得、これら第1の周波数信号及び第2の周波数信号によって被測定電流の広いレンジの電流測定値を、レンジ切換えを行うことなく高速且つ連続的に測定可能となる。
本発明に係る電流測定装置の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。 第1の実施形態の具体的構成を示すブロック図である。 第1の実施形態の動作の説明に供するタイムチャートである。 本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。 第2の実施形態の動作の説明に供するタイムチャートである。 第2の実施形態における電流測定装置の被測定電流値と周波数との関係と、被測定電流値と発振回路のパルス信号の周波数との関係を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を伴って説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
本発明に係る電流測定装置1は、図1に示すように、被測定電流Iinが入力される電流入力端子2と、この電流入力端子2に接続された一次遅れ増幅回路3とを備えている。
また、電流測定装置1は、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voが入力されて周波数に変換する電圧/周波数変換回路4と、同様に一遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voと第1の基準電圧V1が入力される電圧比較回路としての第1電圧比較回路5と、この第1電圧比較回路5から出力される比較信号としての第1比較信号Sc1が入力される発振回路6とを備えている。
また、電流測定装置1は、発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2が入力される毎に一次遅れ増幅回路3の電荷を一定量放電させるポンピング回路7と、電圧/周波数変換回路4から出力される第1の周波数パルス信号Pf1と発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2とが入力されて被測定電流Iinの電流測定値Imを演算する測定値演算部8とを備えている。
ここで、入力端子2に入力される被測定電流Iinは、例えば電離箱放射線検出器の出力電流のように10−15A(1fA)〜10−6A(1μA)の測定電流領域(〜9桁)を有する負の微小電流である。
一次遅れ増幅回路3は、図2に示すように、被測定電流Iinが反転入力側に供給され、非反転入力側が接地されたオペアンプ31と、このオペアンプ31の出力側及び反転入力側間に接続された抵抗32とこの抵抗32と並列に接続された電荷蓄積用コンデンサ33とで構成されている。したがって、一次遅れ増幅回路3では、入力される被測定電流Iinに比例する出力電圧信号Voを出力するとともに、電荷蓄積用コンデンサ33に電荷を蓄積する。
電圧/周波数変換回路4は、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voをこれに比例した周波数となる第1の周波数パルス信号Pf1に変換し、変換した第1の周波数パルス信号Pf1を測定値演算部8へ出力する。
第1電圧比較回路5は、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voと第1の基準電圧V1とを比較し、出力電圧信号Voが第1の基準電圧V1未満であるときにローレベルとなり、出力電圧信号Voが第1の基準電圧V1以上となったときにハイレベルとなる第1比較信号Sc1を発振回路6へ出力する。
発振回路6は、第1電圧比較回路5から入力される第1比較信号Sc1がローレベルからハイレベルに反転すると、ハイレベルの間は一定のパルス幅で且つ一定の波高値を有する第2の周波数パルス信号Pf2を出力するように構成されている。
さらに、ポンピング回路7は、発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2が入力されるポンピングコンデンサ71と、カソードが入力端子2と一次遅れ増幅回路3を構成するオペアンプ31の反転入力側との間に接続されたポンピングダイオード72との直列回路と、ポンピングコンデンサ71とポンピングダイオード72のアノードとの直列接続点と接地との間に介挿された抵抗73とで構成されている。
このポンピング回路7では、発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2がローレベルであるときには、ポンピングコンデンサ71に蓄積された電荷が抵抗73を介して放電されており、ポンピングダイオード72は遮断状態となり、一次遅れ増幅回路3の電荷蓄積用コンデンサ33は電荷蓄積状態を持続する。
この状態から、発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2がハイレベルとなると、その立ち上がりで、ポンピングコンデンサ71を充電する電流が抵抗73を介して接地に流れ、ポンピングコンデンサ71と抵抗73との接続点に正電圧が発生する。この電圧は、ポンピングダイオード72に順方向電圧として印加されるので、ポンピングダイオード72が導通して電流が流れ、一次遅れ増幅回路3の電荷蓄積用コンデンサ33に蓄積されている電荷を一定量放電させる。
測定値演算部8は、電圧/周波数変換回路4から出力される第1の周波数パルス信号Pf1とタイマ86から出力される計数タイミング信号tmが入力されるカウンタ回路81と、発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2とタイマ86から出力される計数タイミング信号tmが入力されるカウンタ回路82と、カウンタ回路81とカウンタ回路82へ計数タイミング信号tmを出力するタイマ86と、カウンタ回路81から出力される周波数信号Pf1に換算係数Kaを乗算する乗算部83と、カウンタ回路82から出力される周波数信号f2に換算係数Kbを乗算する乗算部84と、乗算部83及び84の乗算出力を加算する加算部85とを備えている。
カウンタ回路81は、図3の(d)、(f)、(g)に示すように、タイマ86のタイムアップ周期毎(T1、T2、T3、T4・・・)にそのときの電圧/周波数変換回路4から出力される第1の周波数パルス信号Pf1のカウント値を周波数信号Pf1として乗算部83に出力して保持するとともに第1の周波数パルス信号Pf1のカウント値がクリアされる初期化が行われ、引き続き第1の周波数パルス信号Pf1をカウントすることを繰り返す。
カウンタ回路82は、カウンタ回路81と同様に、図3の(c)、(e)、(f)、(h)に示すように、タイマ86のタイムアップ周期毎(T1、T2、T3、T4・・・)にそのときの発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2のカウント値を周波数信号f2として乗算部84に出力して保持するとともに第2の周波数パルス信号Pf2のカウント値がクリアされる初期化が行われ、引き続き第2の周波数パルス信号Pf2をカウントすることを繰り返す。
タイマ86は、所定の周期でタイムアップする毎に計数タイミング信号tmをカウンタ回路81とカウンタ回路82へ出力し、タイマカウント値をクリアする初期化を行ってタイマカウントを継続する。
次に、上記第1の実施形態の動作について図3のタイミングチャートを伴って説明する。
今、入力端子2に入力される被測定電流Iinが、図3(a)に示すように、時点t0では入力されておらず、一次遅れ増幅回路3の電荷蓄積用コンデンサ33が放電されて出力される出力電圧信号Voが“0”であるとともに、測定値演算部8のタイマ86、カウンタ回路81及び82のカウント値が“0V”にクリアされた後、タイマ86と各カウンタ81及び82が起動されているものとする。
この状態で、時点t1で図3(a)に示すように、負の一定値例えば−10−15Aとなる被測定電流Iinが入力されると、この被測定電流Iinが一次遅れ増幅回路3の帰還抵抗32へ流れ、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Vo(以降出力電圧信号Voとも記述)は、図3(b)に示すように、帰還抵抗32の抵抗値Rと電荷蓄積用コンデンサ33の静電容量Cとの積の時定数をもって上昇し、最終的には帰還抵抗32の抵抗値Rと被測定電流Iinとの積となる。このとき、電荷蓄積用コンデンサ33にはオペアンプ31の出力電圧Voと電荷蓄積用コンデンサ33の静電容量Cとの積だけの電荷が蓄積されている。
そして、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voが第1電圧比較回路5の第1の基準電圧V1未満となる電圧領域では第1電圧比較回路5から出力される第1比較信号Sc1が、図3(c)に示すように、ローレベルを維持するので、発振回路6は、図3(e)に示すように、第2の周波数パルス信号Pf2を出力することはない。
しかしながら、電圧/周波数変換回路4では、図3(d)に示すように、出力電圧信号Voに比例する周波数の第1の周波数パルス信号Pf1が出力され、この第1の周波数パルス信号Pf1が測定値演算部8のカウンタ回路81に入力される。
このため、カウンタ回路81で第1の周波数パルス信号Pf1がカウントされる。
その後、図3(f)に示すように、タイマがタイムアップする毎(T1、T2、T3、T4・・・)に、図3(g)に示すように、カウント値が周波数信号f1(0,f1n1,f1n2,f1n3,・・・)として乗算部83に出力され、この乗算部83で周波数信号f1に換算係数Ka(例えば“1”)が乗算されて第1の電流測定値Im1が算出され、この第1の電流測定値Im1が加算部85に供給される。この状態では、発振回路6が動作していないので、カウンタ回路82のカウント値は“0”を維持し、乗算部84で算出される第2の電流測定値Im2も“0”を維持する。
したがって、乗算部83から出力される第1の電流測定値Im1が、電流測定値Imとして加算部85から出力される。
これに対して、図3(a)に示すように、時点t2で負値の被測定電流Iinが増大し、出力電圧信号Voが上昇して、時点t21で図3(b)に示すように、出力電圧信号Voが第1電圧比較回路5の第1の基準電圧V1以上となると、第1電圧比較回路5から図3(c)に示すようにハイレベルの第1比較信号Sc1が出力される。この第1比較信号Sc1が発振回路6に供給されるので、この発振回路6から図3(e)に示すように、一定のパルス幅で且つ一定の波高値のパルス信号の第2の周波数パルス信号Pf2が出力される。この第2の周波数パルス信号Pf2がポンピング回路7及び測定値演算部8に供給される。
ポンピング回路7では、第2の周波数パルス信号Pf2がポンピングコンデンサ71に供給されることにより、第2の周波数パルス信号Pf2の立ち上がりで、ポンピングコンデンサ71が充電され、その充電電流が抵抗73を介して接地に流れ、ポンピングコンデンサ71と抵抗73との接続点に正電圧が発生する。この電圧は、ポンピングダイオード72に順方向電圧として印加されるので、ポンピングダイオード72が導通して電流が流れ、一次遅れ増幅回路3の電荷蓄積用コンデンサ33に蓄積されている電荷を一定量放電させる。
このため、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voは、図3(b)の時点t21に示すように低下し始める。
その後、ポンピングコンデンサ71の充電電流が除々に減少して流れなくなるとポンピングダイオード72の順方向電圧も減少してポンピングダイオード72が遮断し、時点t21aでポンピング回路7による電荷蓄積用コンデンサ33の放電が停止し、一次遅れ増幅回路3では、出力電圧信号Voが図3(b)のt21aに示すように再度上昇し始める。
その後、出力電圧信号Voが上昇して時点t22で出力電圧信号Voが再度基準電圧V1に達すると、第1電圧比較回路5からハイレベルの第1比較信号Sc1が出力され、これによって発振回路6から第2の周波数パルス信号Pf2が出力される。
これによって、ポンピング回路7の作用により一次遅れ増幅回路3の電荷蓄積用コンデンサ33の電荷が一定量放電されて出力電圧信号Voが低下し、放電が停止すると、出力電圧信号Voが増加して第1の基準電圧V1に達する(、図3(b)のt23,t24,t25)ことを繰り返す。
このとき、ポンピング回路7により放電される電荷の電流換算値は、単位時間当りの発振回路6の第2の周波数パルス信号Pf2のパルス数と1パルス当りに放電される電荷の積になる。
また、発振回路6の第2の周波数パルス信号Pf2によるポンピング回路動作により一次遅れ増幅回路の出力電圧信号Voが低下したとき、電圧/周波数変換回路4から出力される第1の周波数パルス信号Pf1の周波数も追従して低下する。このような状態でもカウンタ回路81は、前記の動作を継続して、第1の周波数パルス信号Pf1を繰り返しカウントしカウント値f1(f1c1,f1c2,f1c3,f1c4・・・)を乗算部83へ出力している。
一方、発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2はカウンタ回路82に供給される。このカウンタ回路82では、図3(h)に示すように、タイマがタイムアップする毎(T1、T2、T3、T4・・・)に乗算部84へカウント値f2(f2n1,f2n2,f2n3,・・・)を出力して保持した後、カウンタを初期化して、第2の周波数パルス信号Pf2のカウントを継続して行う。
このような動作状態において、ポンピング回路動作による第1の周波数パルス信号Pf1の周波数はポンピング回路7で放電された電荷に対応して変化するので、カウンタ回路81とカウンタ回路82のタイマのタイムアップ時刻と周期を同期させて、入力電流の測定値は第1の電流測定値Im1と第2の電流測定値Im2の合計値とすればよい。具体的には、第2の周波数信号にf2に換算係数Kb(例えば“1000”〜“10000”)を乗算して、第2の電流測定値Im2を算出する。この第2の電流測定値Im2が加算部85に供給されるので、この加算部85で、第1の電流測定値Im1と第2の電流測定値Im2とを加算して電流測定値Imを算出する。
その後、図3(a)の時点t3に示すように、負値の被測定電流Iinがさらに増大した場合、一次遅れ増幅回路の出力電圧信号Voの上昇する上昇率が大きくなり、前記ポンピング回路7によって一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが低下した後、それが増加して第1の基準電圧V1に達する時間が短くなり、図3(e)に示す発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2の周波数が高くなる。このように、被測定電流Iinの増大による一次遅れ増幅回路の出力電圧信号Voの上昇は、被測定電流Iinが増大した分第2の周波数パルス信号Pf2の周波数が高くなり、ポンピング回路7による放電量が増大することによって、抑制される。
もし、被測定電流Iinが更に増大し、第2の周波数パルス信号Pf2の周波数が最高となって、ポンピング回路7による最大放電量を超える過大入力状態となった場合は、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voは、第1の基準電圧V1を超え続け、第1電圧比較回路5からハイレベルの第1比較信号Sc1が出力され続けるので発振回路6の第2の周波数パルス信号Pf2は、連続発振状態の信号が出力される。この状態は入力電流Iinが測定電流領域内にまで減少して、一次遅れ回路3の電荷蓄積用コンデンサ33の放電状態が一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが基準電圧V1未満となるまで継続される。
なお、乗算部83,84の換算係数Ka,Kbは、予め基準となる電流を入力端子2へ供給し電流測定値が基準の電流値に一致するように決定する。
具体的には、最初に前記図3(a)のt1に示すような一次遅れ回路の出力電圧Voが基準電圧V1に到達しない基準電流を入力端子2へ供給し、第1の電流測定値Im1が入力した基準電流と一致するように乗算部83の換算係数Kaを決める。
その後、前記図3(a)の時点t3に示すように一次遅れ回路の出力電圧Voが基準電圧V1を十分超える基準電流を入力端子2へ供給し、加算部85から出力される電流測定値Imが入力した基準電流と一致するように乗算部84の換算係数Kbを決めればよい。
その後、被測定電流Iinが図3(a)のt4,t5,t6に示すように徐々に減少して零に近づく状態において、時点t4から時点t5の間では、前記とは逆に被測定電流が小さくなるにつれて、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voの上昇率が小さくなり、第1電圧比較回路5の第1の基準電圧V1以上となるまでの時間も長くなり、結果、ポンピング回路7へ供給される発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2の発生頻度が低くなり第2の電流測定値Im2が小さくなる。更に図3(a)のt5では一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが低下し基準電圧V1未満になり、第1電圧比較回路5からの第1比較信号Sc1がローレベルに変化し、これによって発振回路6から第2の周波数パルス信号Pf2が停止するので、図3(f)の時点T4以後のカウンタ回路82のカウント値f2(f2n5,・・・)は0となり、これが乗算部84に供給され、第2の電流測定値Im2もゼロになる。この状態では前述のように、乗算部83から出力される第1の電流測定値Im1が、電流測定値Imとして加算部85から出力される。
このように、上記第1の実施形態では、被測定電流Iinを一次遅れ増幅回路3に供給してこの一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voを電圧/周波数変換回路4で直接第1の周波数パルス信号Pf1に変換し、この第1の周波数パルス信号Pf1を計数して周波数f1を算出する。一方、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voを第1電圧比較回路5に供給して第1の基準電圧V1以上となったときに、発振回路6で第2の周波数パルス信号Pf2を形成し、この第2の周波数パルス信号Pf2でポンピング回路7をポンピング動作させて一次遅れ増幅回路3の電荷蓄積用コンデンサ33に蓄積された電荷を一定量放電させるとともに第2の周波数パルス信号Pf2を計数して、第2の周波数f2を算出する。
そして、算出した第1の周波数f1に換算係数Kaを乗算して第1の電流測定値Im1を算出し、第2の周波数f2に換算係数Kbを乗算して第2の電流測定値Im2を算出し、両電流測定値Im1及びIm2を加算して被測定電流Iinの電流測定値Imを算出する。
したがって、被測定電流Iinが一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが第1の基準電圧V1に達しない範囲の小さい電流値である場合には、電圧/周波数変換回路4から出力される第1の周波数パルス信号Pf1に基づいて電流測定値Imを算出する。一方、被測定電流Iinが大きな電流値となって、一次遅れ増幅回路の出力電圧Voが第1の基準電圧V1に達する大きな値となると発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2に基づいて第2の電流測定値Im2を算出し、これを第1の電流測定値Im1に加算して電流測定値Imを算出する。このため、被測定電流Iinが広範囲の電流であっても、レンジ切換えを行うことなく、連続的に電流測定値を測定することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について図4及び図5を伴って説明する。
この第2の実施形態では、第1の基準電圧V1とこれより大きな第2の基準電圧V2とを設定し、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが第2の基準電圧V2に達してから発振回路6を動作させるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図4に示すように、前述した第1の実施形態における図2の構成において、第1電圧比較回路5及び発振回路6間にゲート回路11を介挿し、このゲート回路11を駆動するゲート駆動回路12を設けることを除いては図2と同様の構成を有し、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
ここで、ゲート駆動回路12は、図4に示すように、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voが入力されるとともに、第1の基準電圧V1(例えば0.6V)より高い第2の基準電圧V2(例えば3V)が入力された第2電圧比較回路13と、この第2電圧比較回路13から出力される第2比較信号Sc2が起動信号として入力されるとともに、発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2が初期化信号として入力されるタイマ回路14とを備えている。そして、タイマ回路14からは、タイマ計時状態となったときにハイレベルとなり、タイムアップしたときにローレベルとなるゲート信号Gaがゲート回路11に供給される。
次に、上記第2の実施形態の動作について図5のタイミングチャートを伴って説明する。なお、図5では、電圧/周波数変換回路出力Pf1を表示していないが図3(d)と同様に一次遅れ回路の出力電圧Voに比例した周波数の信号出力Pf1が出力される。
今、時点t0では入力端子2に被測定電流Iinが、図5(a)に示すように、入力されておらず一次遅れ増幅回路3の電荷蓄積用コンデンサ33が放電されて出力される出力電圧信号Voが“0V”であるとともに、測定値演算部8のタイマ86、カウンタ回路81及び82のカウント値が“0”にクリアされた後、タイマ86とカウンタ回路81とカウンタ回路82が起動され、タイマ回路14は起動停止されているものとする。
この状態で、時点t1で図5(a)に示すように、負の一定値例えば−10−15Aとなる被測定電流Iinが入力されると、前述した第1の実施形態と同様に、この被測定電流Iinが一次遅れ増幅回路3の帰還抵抗32へ流れ、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voは、図5(b)の時点t1から時点t2間に示すような遷移となり、帰還抵抗32の抵抗値Rと被測定電流Iinとの積となる。このとき、電荷蓄積用コンデンサ33にはオペアンプ31の出力電圧Voと電荷蓄積用コンデンサ33の静電容量Cとの積だけの電荷が蓄積されている。
このような一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voが第1電圧比較回路5の第1の基準電圧V1未満となる電圧領域では、第1電圧比較回路5から出力される第1比較信号Sc1はローレベルを維持する。
また、ゲート駆動回路12でも、第2電圧比較回路13からハイレベルの第2比較信号Sc2が出力されないので、タイマ回路14は起動されず、ゲート信号Gaはローレベルを維持し、ゲート回路11は閉じている。従って、発振回路6から第2の周波数パルス信号Pf2は出力されない。
しかしながら、電圧/周波数変換回路4では、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voに比例する周波数の第1の周波数パルス信号Pf1が出力され、この第1の周波数パルス信号Pf1が測定値演算部8のカウンタ回路81に入力される。
このため、カウンタ回路81で第1の周波数パルス信号Pf1のカウントが行われる。
また、図5(b)に示すように、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voが第1電圧比較回路5の第1の基準電圧V1以上となる時点t21〜t3の電圧領域では、第1電圧比較回路5から出力される第1比較信号Sc1はハイレベルとなる。しかし、第2電圧比較回路13からハイレベルの第2比較信号Sc2が出力されないので、タイマ回路14は起動されず、ゲート回路11は閉じられており、ゲート信号はローレベルを維持している。従って、発振回路6から第2の周波数パルス信号Pf2は出力されない。
この時点t21〜t3でも、電圧/周波数変換回路4では、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voに比例する周波数の第1の周波数パルス信号Pf1が出力され、この第1の周波数パルス信号Pf1が測定値演算部8のカウンタ回路81に入力される。
このため、カウンタ回路81で第1の周波数パルス信号Pf1のカウントが継続して行われる。その後、図5(g)に示すように、タイマが一定周期でタイムアップする毎に、図5(h)に示すようにカウント値が周波数信号f1(f1c1,f1c2,f1c3,・・・)として乗算部83に出力され、この乗算部83で周波数信号f1に換算係数Kaが乗算されて第1の電流測定値Im1が算出され、この第1の電流測定値Im1が加算部85に供給される。この状態では、発振回路6が動作していないので、図5(i)(f2n1=0)に示すようにカウンタ回路82のカウント値は“0”を維持し、乗算部84で算出される第2の電流測定値Im2も“0”を維持する。
したがって、乗算部83から出力される第1の電流測定値Im1が、電流測定値Imとして加算部85から出力される。
この状態が、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが第2の基準電圧V2に達するまでは継続される。
図5(a)に示すように、時点t3で負値の被測定電流Iinがさらに増大し、出力電圧信号Voが増加して、時点t31で図5(b)に示すように、出力電圧信号Voが第2電圧比較回路13の第2の基準電圧V2に達すると、第2電圧比較回路13から図5(d)に示すように、ハイレベルの第2比較信号Sc2が起動信号としてタイマ回路14に出力される。
このため、タイマ回路14が起動されて、計時を開始し、これに応じて図5(e)に示すハイレベルのゲート信号Gaがゲート回路11に出力されることにより、ゲート回路11が開く。
一方、第1電圧比較回路5は、図5(c)に示すように、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが第1の基準電圧V1を超えた時点t21でハイレベルとなる第1比較信号Sc1を出力しているので、このゲート回路11が開いたことにより、発振回路6にローレベルからハイレベルに反転する入力信号が供給される。これによって発振回路6から図5(f)に示すように時点t31で第2の周波数パルス信号Pf2が出力される。
この第2の周波数パルス信号Pf2がポンピング回路7に供給されるので、前述した第1の実施形態と同様に、ポンピング回路7のポンピング動作によって一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが、図5(b)の時点t31に示すように低下し、第2電圧比較回路13の第2の基準電圧V2未満になり第2比較信号Sc2がローレベルになるが、タイマ回路出力のゲート信号Gaは、まだタイマが動作時間内なのでハイレベルを持続する。
このとき、発振回路6からの第2の周波数パルス信号Pf2の所定周期Tをタイマ回路14のタイマ設定時間よりも短い時間に設定しておくことにより、発振回路6から第2の周波数パルス信号Pf2が出力されると、これがタイマ回路14に初期化信号として供給され、タイマ回路14のカウント値がクリアされて初期値に戻される。このため、タイマ回路14から出力されるゲート信号Gaは図5(e)、(f)に示すように発振回路6から第2の周波数パルス信号Pf2が所定周期Tで出力されている期間はハイレベルを維持し、ゲート回路11は開いたままとなる。
そして、第1電圧比較回路5から出力される図5(c)の第1比較信号Sc1がハイレベルを継続しているので、発振回路6からは図5(f)に示すように所定周期Tで第2の周波数パルス信号Pf2を出力し続ける。このため、ポンピング回路7のポンピング動作によって一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voは図5(b)の時点t31から時点t4間に示すように徐々減少する。
その後、時点t4で一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが第1の基準電圧V1を下回ると、第1電圧比較回路5から出力される第1比較信号Sc1がローレベルへ復帰し、これにより、発振回路6からの一定周期Tの第2の周波数パルス信号Pf2の出力が停止される。
第2の周波数パルス信号Pf2の出力が停止されると、ポンピング回路7のポンピング動作は終了するので、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが再び増加し始める。
そして、時点t41で一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが第1の基準電圧V1に達すると、第1電圧比較回路5から図5(c)に示すようにローレベルからハイレベルの第1比較信号Sc1が出力され、これによって発振回路6から図5(f)に示すように第2の周波数パルス信号Pf2が出力される。
このため、前述した第1の実施形態と同様、ポンピング回路7によるポンピング動作によって、一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voが低下し、被測定電流によって上昇し、出力電圧信号Voが第1の基準電圧V1に達する毎に発振回路6から第2の周波数パルス信号Pf2が出力される動作を繰り返す。
被測定電流Iinの大きさが更に増大すると、前述した第1の実施形態と同様に、一次遅れ増幅回路の出力電圧信号Voの上昇率が大きくなり、前記ポンピング回路7によって一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが低下した後、それが増加して第1の基準電圧V1に達する時間が短くなり、図5(f)に示す発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2の周波数が高くなる。
そして発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2はカウンタ回路82に供給されてカウントされ、タイマが一定周期でタイムアップする毎に、図5(i)に示すように、カウント値で表される周波数f2(f2n1,f2n2,f2n3,・・・)を乗算部84に出力して保持し、タイマ値とカウント値をクリアする初期化をした後、計数を継続する。このような動作状態において電流測定値Imは、前述した第1の実施形態と同様に、カウンタ回路82のカウント値で表される周波数f2が乗算部84に出力される。この乗算部84で周波数f2に換算係数Kb(例えば“1000”〜“10000”)が乗算されて第2の電流測定値Im2が算出され、この第2の電流測定値Im2が加算部85で該1の電流測定値Im1に加算されて被測定電流Iinの電流測定値Imが算出される。
このとき、乗算部84の換算係数Kbは、前述した第1の実施形態と同様に設定すればよい。
その後、被測定電流Iinが図5(a)の時点t5,t6,t7,t8に示すように電流値が徐々に“0”に近づくと、図5(b)の時点t5からt8に示すように、これに応じて一次遅れ増幅回路3から出力される出力電圧信号Voの上昇率が減少して緩やかな上昇となることにより、発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2の周期も長くなる。
タイマ回路14は、第2の周波数パルス信号Pf2により初期化された後、タイマ計測時間Tdを経過しても第2の周波数パルス信号Pf2が入力されない時点t6でタイムアップとなり、図5(e)に示すタイマ回路14から出力されるゲート信号がローレベルとなるので、ゲート回路11は閉じられる。このような状態では、その後、図5(b)の時点t7に示すように一次遅れ回路の出力電圧Voが第1の基準電圧V1を超えて第1比較信号Sc1が出力されてもタイマ回路から出力されるゲート信号Gaがローレベルになってゲートが閉じているので発振回路6から出力される第2の周波数パルス信号Pf2も出力されないので前記図5の時点t1からt31間の動作と同じ動作となる。
以上の一連の動作において、被測定電流Iinの電流値は、一次遅れ増幅回路3の帰還抵抗32に流れた電流とポンピング回路7によるポンピング電流の和となるので、被測定電流Iinの測定値は、電圧/周波数変換回路4の周波数に換算係数Kaを乗じた値と、発振回路6のパルス信号周波数に換算係数Kbを乗じた値の和となり、加算部85から出力される電流測定値Imが被測定電流Iinの電流値を表している。
次に、具体的な測定電流範囲を1fAから1μAにする場合の回路定数を上記第2の実施形態について説明する。
〔一次遅れ増幅回路3〕
<高レンジ系>
被測定電流Iinの高レンジ用測定値は、ポンピング回路7を駆動する発振回路6の周波数パルス信号Pf2の周波数を測定することにより得ることができ、被測定電流Iinと第2の周波数パルス信号Pf2の周波数との対応関係は、図6(b)に示すように
1pA〜1μAが0.5Hz〜500kHzに対応する。
この場合、1μAの電流が1/500kHz時間流れたとき、その電荷は、2pC=1μA/500kHzとなる。この電荷は、ポンピング回路7で放電される電荷と平衡するので、1回のポンピング動作で一次遅れ増幅回路3から出力される積分電圧信号Voの電圧を例えば0.1V変化させようとすると、電荷蓄積用コンデンサ33の静電容量Cは、
C=Q/V=2pC/0.1V=20pF
となる。
<低レンジ系>
被測定電流Iinの低レンジ用測定値は、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voを電圧/周波数変換回路4で周波数に変換して第1の周波数パルス信号Pf1を形成し、その周波数をカウンタ回路81で測定することにより得ることができる。被測定電流Iinと第1の周波数パルス信号Pf1の周波数を図6(a)に示すように、被測定電流Iinの1fA〜3pAを周波数50Hz〜300kHzに対応させた場合、オペアンプ31の帰還抵抗32の抵抗値Rは低レンジ測定範囲上限のオペアンプ出力電圧を3Vとすると、
R=3V/3pA=1TΩ
となる。さらに、オペアンプ31のオフセット電圧調整を行ってオペアンプ31に測定レンジの電流1fAから3pAを入出力したとき、オペアンプ出力電圧が1mV〜3Vに対応させる。
〔電圧/周波数変換回路4〕
電圧/周波数変換回路4は市販の集積回路が存在する。
電圧/周波数変換回路4は、一次遅れ増幅回路3の出力電圧が3Vのとき発振周波数が300kHzになるように回路定数を定め、オフセット調整を行い、一次遅れ増幅回路の出力電圧1mV〜3Vのときの発振周波数が30Hzから300kHzに対応するようにする。
〔第2電圧比較回路13〕
第2電圧比較回路13の基準電圧V2を3Vに設定し、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが低レンジ測定範囲の上限電圧(3V)を超えたら、タイマ回路14を起動する。
〔タイマ回路14〕
タイマ回路14は、第2電圧比較回路13の出力信号で起動され、所定時間(例えば1秒間)ゲート回路11を開き、第1電圧比較回路5の第1比較信号Sc1を発振回路6へ通す。タイマ回路14は、起動されてから所定時間内(1秒以内)に第2電圧比較回路13から再起動信号が供給されるか、発振回路6の第2の周波数パルス信号Pf2が供給されれば、タイマ時間が初期化されて、初期化から所定時間はゲート回路11を開き続ける。
〔発振回路6〕
発振回路6の出力信号の波高は、可変できるようにしておくと、被測定電流Iinと発振回路6の第2の周波数パルス信号Pf2の周波数との関係が規格化できるので都合がよい。発振回路6の第2の周波数パルス信号Pf2のパルス幅は、発振回路6の最高周波数が500kHzなので、例えばデューティ比20%とすると0.4μs程度にする。
〔ポンピング回路7〕
ポンピング回路7で放電する電流は、高レンジ系の入力電流と平衡するので、1μAの電流が1/500kHz時間流れたとき、発振回路6から出力されるパルス信号Pf2の周波数が1/500kHzであり、1個のパルス信号で放電させる電荷は、2pCとなり、ポンピングコンデンサ71の静電容量C1は発振回路6の実効的な出力電圧の波高を例えば0.1Vとすると、
C1=Q/V=2pC/0.1V=20pF
となる。
また、抵抗73の抵抗値は、発振回路6のパルス幅が0.4μs程度なので、この時間内にポンピングコンデンサ71が十分に充放電されるように、抵抗73の抵抗値とポンピングコンデンサ71の静電容量との積(τp:ポンピング回路時定数)を発振回路6から出力されるパルス信号Pf2のパルス幅が0.4μsに対して十分小さい値、例えば0.04μs(1/10)とすると、抵抗73の抵抗値R2は、
R2=0.04(μs)/20(pF)=0.002(MΩ)
となり、2kΩ以下とすればよい。
ただし、実際には、ポンピングダイオード72の順方向電圧の降下分の電圧と、ポンピングコンデンサ71の電極間の静電容量により損失する分を加算する必要がある。
〔第1電圧比較回路5〕
例えば、第1の基準電圧V1を0.6V(第2の基準電圧V2(3V)の1/5)とした場合、一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voが基準電圧V2(3V)に相当する被測定電流Iinは、前述の通り3pAなので、タイマ回路14が起動されてゲート回路11が開き、第1電圧比較回路5の第1比較信号Sc1で発振回路6が動作する状態で被測定電流Iinとポンピング電荷が平衡状態となっているときの発振回路6の第2の周波数パルス信号Pf2の周波数は、一次遅れ増幅回路3の応答時点数(τ)が20秒(=1TΩ×20pF)、ポンピング電荷による一次遅れ増幅回路3の出力電圧信号Voの振幅が0.1V、基準電圧V1が0.6Vなので、一次遅れ増幅回路3の出力電圧がポンピング電荷によって0.5V(0.6V−0.1V)まで低下し、3V(3pA×1TΩ)へ向かって時定数20秒で0.6Vまで上昇することを繰り返す時間の逆数(周波数)になるので、
0.1/(Vo−(0.6−0.1))=0.1/(3−0.5)=1−exp(−t/τ)
ここでτ=20秒より、t=0.816sとなり、約1.2Hzとなる。
一方、高レンジの発振回路6が停止する被測定電流Iinは、前述のように発振回路6の出力周期が1秒を超えた場合であるので、
0.1/(Vo−0.5)=1−exp(−t/τ)
ここでτ=20秒,t=1sより、
Vo=2.55V
となり、2.55pAとなる。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、被測定電流Iinが負値である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、正値の被測定電流Iinを入力する場合には、一次遅れ増幅回路3の出力側に増幅率1の反転増幅器を介挿し、ポンピングダイオードの極性を逆にすればよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、ポンピング回路7を構成するポンピングダイオード72の温度依存性を考慮しない場合について説明したが、ポンピングダイオード72の温度依存性を考慮する場合には、前述した特許文献1に記載されているように、ポンピングダイオード72の温度を温度センサで実測し、温度センサで実測した温度におけるポンピングダイオード72の順方向電圧の変化分だけ、発振回路6から出力されるパルス信号Pf2のパルス振幅を調整する温度補償回路を設けるようにすれば良い。
1…電流測定装置、2…入力端子、3…一次遅れ増幅回路、4…電圧/周波数変換回路、5…第1電圧比較回路、6…発振回路、7…ポンピング回路、8…測定値演算部、11…ゲート回路、12…ゲート駆動回路、13…第2電圧比較回路、14…タイマ回路、31…オペアンプ、32…帰還抵抗、33…電荷蓄積用コンデンサ、81…第1カウンタ回路、82…第2カウンタ回路、83,84…乗算部、85…加算部

Claims (5)

  1. 被測定電流に比例した電圧を出力するとともに、電荷も蓄積する一次遅れ増幅回路と、
    該一次遅れ増幅回路から出力される電圧に比例した周波数パルス信号を出力する電圧/周波数変換回路と、
    前記一次遅れ増幅回路から出力される電圧が基準設定値に達したことを検知して比較信号を出力する電圧比較回路と、
    該電圧比較回路の比較信号が供給されたとき、一定幅で且つ一定波高のパルス信号を出力する発振回路と、
    該発振回路から出力される周波数パルス信号が供給されたときに、前記一次遅れ増幅回路に蓄積された電荷を一定量放電するポンピング回路と、
    前記電圧/周波数変換回路からの周波数パルス信号と前記発振回路からの周波数パルス信号とに基づいて、前記被測定電流を表す電流値を演算して出力する測定値演算部と、
    を備えることを特徴とする電流測定装置。
  2. 被測定電流に比例した電圧を出力するとともに、電荷も蓄積する一次遅れ増幅回路と、
    該一次遅れ増幅回路から出力される電圧に比例した周波数パルス信号を出力する電圧/周波数変換回路と、
    前記一次遅れ増幅回路から出力される電圧が第1基準設定値に達したことを検知して第1比較信号を出力する第1電圧比較回路と、
    前記一次遅れ増幅回路から出力される電圧が前記第1基準設定値よりも高い値に設定された第2基準設定値に達したことを検知して第2比較信号を出力する第2電圧比較回路と、
    前記第1電圧比較回路の第1比較信号が供給されるゲート回路と、
    該ゲート回路が開かれることにより前記第1比較信号が供給され、該第1比較信号が供給されている期間、一定幅で且つ一定波高の周波数パルス信号を出力する発振回路と、
    前記第2電圧比較回路の第2比較信号が供給されたときにタイマを起動し、タイムアップするまでの期間中は前記ゲート回路にゲート開信号を供給し、前記発振回路から出力されるパルス信号が供給されたときに、前記タイマのカウント値を初期化するタイマ回路と、
    前記発振回路から出力されるパルス信号が供給され、前記一定幅の期間、前記一次遅れ増幅回路に蓄積された電荷を一定量放電するポンピング回路と、
    前記電圧/周波数変換回路からのパルス信号と前記発振回路からのパルス信号とに基づいて、前記被測定電流を表す電流値を演算して出力する測定値演算部と、
    を備えることを特徴とする電流測定装置。
  3. 請求項2に記載の電流測定装置において、
    前記発振回路は、
    前記第1比較信号が連続して供給されている期間は、予め設定された周期の周波数パルス信号を出力することを特徴とする電流測定装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか1項に記載の電流測定装置において、
    前記測定値演算部は、
    前記電圧/周波数変換回路からのパルス信号を所定時間間隔毎にカウントし、出力する第1カウンタ回路と、
    前記発振回路からのパルス信号を所定時間間隔毎にカウントし、出力する第2カウンタ回路と、
    前記第1カウンタ回路から出力されるカウント値に第1換算係数を乗算した第1換算値と前記第2カウンタ回路から出力されるカウント値に第2換算係数を乗算した第2換算値とを加算して前記被測定電流を表す電流値として出力する加算部と
    を備えることを特徴とする電流測定装置。
  5. 請求項4に記載の電流測定装置において、
    前記第1カウンタ回路及び前記第2カウンタ回路は、タイマから入力される計数タイミング信号によって同期してカウントを行うことを特徴とする電流測定装置。
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