JPH06159781A - 能動消音装置 - Google Patents

能動消音装置

Info

Publication number
JPH06159781A
JPH06159781A JP4308720A JP30872092A JPH06159781A JP H06159781 A JPH06159781 A JP H06159781A JP 4308720 A JP4308720 A JP 4308720A JP 30872092 A JP30872092 A JP 30872092A JP H06159781 A JPH06159781 A JP H06159781A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound
control
signal
filter
noise
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4308720A
Other languages
English (en)
Inventor
Susumu Saruta
進 猿田
Yasuyuki Sekiguchi
康幸 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP4308720A priority Critical patent/JPH06159781A/ja
Publication of JPH06159781A publication Critical patent/JPH06159781A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Duct Arrangements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 能動消音制御の実行中に送風ダクトの伝達特
性の変動を検出してデジタルフィルタの設定を補正して
適応制御が確実に行えるようにする。 【構成】 送風ダクト21内に音源マイクロホン22,
スピーカ23,評価マイクロホン24を設ける。FIR
フィルタ26により、音源マイクロホン22からの検出
音に基いて干渉音をスピーカ23から出力させて能動消
音制御を行う。適応フィルタ32により、評価マイクロ
ホン24による検出音が最小となるようにFIRフィル
タ26の演算係数を適宜変更設定して適応制御を行う。
補正手段36により、スピーカ23から500Hzの発
振音を出力したときの位相のずれを検出してデジタルフ
ィルタ33の伝達特性GAOを補正し、適応フィルタ32
による演算係数の調整条件を補正する。簡単な構成で、
消音動作中にリアルタイムで補正できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝播経路内の騒音に対
して同振幅で逆位相の音を発生させて音波干渉を起こす
ことにより消音するようにした能動消音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば空調用の送風ダクト内の騒
音を、その騒音と同振幅且つ逆位相の音を発生させるこ
とにより音波干渉を起こして積極的に消音し、送風ダク
トの外に漏れる騒音を極力低減させるようにした能動消
音装置が注目されている。
【0003】このような能動消音装置に適用される能動
消音技術は、エレクトロニクスの応用技術、中でも音響
データの処理回路及び音響の干渉を利用して騒音低減を
行うもので、基本的には、騒音源からの音を送風ダクト
内に設けた受音器(例えばマイクロホン)にて電気信号
に変換すると共に、この電気信号を演算器により加工し
た信号に基いて制御用発音器(例えばスピーカ)を動作
させることにより、その制御用発音器から原音(騒音源
からの音)とは制御対象点で逆位相で且つ同一振幅とな
る人工音を発生させ、この人工音と原音とを干渉させる
ことによって原音を減衰させようというものである。
【0004】これにより、低周波の消音周波数帯域にお
いては10dB以上の消音効果が期待でき、しかも、従
来のような消音器と異なり圧力損失がほとんどないた
め、例えば、コンサートホールなどにおいては、このよ
うな装置を導入することで、空調用送風ダクトから発生
する騒音を極力低減して静粛な視聴空間を形成すること
ができるものである。
【0005】また、このような能動制御を実現するにあ
たっては、その消音のための信号系を構成する部品の経
年変化による特性変動及び周囲温度による特性変動に対
応して調整する必要がある。このため、実用化にあたっ
ては、消音能力の変動に追従させて前記演算器の演算係
数(音響伝達関数)を調整していくことが行われてい
る。すなわち、前記制御用発音器による消音効果をモニ
タする補助受音器(例えばマイクロホン)を設け、この
補助受音器によるモニタ結果が所定の許容範囲を外れて
いた場合に、演算器の演算係数を変化させて前記モニタ
結果が前記許容範囲内に入るように制御する適用制御手
段を設け、これにより能動制御時おける消音能力を特性
の変動に応じて常に最適に保つという所謂適応制御を行
うようにしている。
【0006】このような能動消音装置の一例を図2に示
す。図2において、空調用送風ダクト1の内部には、そ
の騒音の伝播経路(図中空調用送風ダクト1内の左から
右に向かう方向)に沿って、騒音を検出する音源マイク
ロホン2,干渉音を出力するスピーカ3および評価用マ
イクロホン4が順次所定位置に設けられている。
【0007】干渉音の制御信号を生成する制御部5にお
いて、演算器としてのFIRフィルタ6の入力部には、
音源マイクロホン2による検出信号がBPF(バンドパ
スフィルタ)7およびA/D変換器8を介して入力され
るようになっている。そして、FIR(Finite Impulse
Response )フィルタ6は、後述のように演算加工して
生成した制御信号をD/A変換器9,LPF(ローパス
フィルタ)10および増幅器11を介してスピーカ3に
出力するようになっている。
【0008】適応フィルタ12は、FIRフィルタ6の
演算係数を調整するように設けられたもので、A/D変
換器8から伝達特性GAOを有するデジタルフィルタ13
を介して検出信号が与えられる。また、適応フィルタ1
2には、評価マイクロホン4からの検出信号がBPF
(バンドパスフィルタ)14およびA/D変換器15を
介して入力されるようになっている。
【0009】さて、制御部5においては、音源マイクロ
ホン2から与えられる検出信号を次のような特性で演算
加工して消音用の制御信号を生成する。すなわち、スピ
ーカ3の位置A点と評価マイクロホン4の位置O点との
間の音響伝達特性をGAO,音源マイクロホン2の位置S
点とO点との間の音響伝達特性をGSO,S点とA点との
間の音響伝達特性をGSAであるとすると、 GSO=GSA・GAO …(1) という関係が成立つ。
【0010】そこで、制御部5のFIRフィルタ6に必
要な伝達特性Gは、上述のS点とA点との間の音響伝達
特性GSAに対して逆位相となる特性とすれば良いから、
上記(1)式から、 G=−GSA =−GSO/GAO …(2) となる。つまり、FIRフィルタ6の伝達特性Gを
(2)式のように設定すれば、評価マイクロホン4の位
置でスピーカ3から出力する干渉音で騒音を消音できる
ことがわかる。
【0011】制御部5においては、マイクロホン2ある
いは4からの信号がA/D変換器8,15などにより変
換されたデジタル信号として処理されるようになってい
る。すなわち、音源マイクロホン2から出力された騒音
の検出信号は、BPF7により消音対象の周波数範囲外
の低周波および高周波の成分が遮断される。次に、BP
F7から出力された検出信号は、A/D変換器8により
サンプリング周波数fでサンプリングされると共にデジ
タル信号に変換される。なお、このときのサンプリング
周波数fは、サンプリング定理を満たすように、少なく
とも消音対象となる周波数の上限の2倍以上の周波数に
設定されている。
【0012】デジタル信号に変換された検出信号は、F
IRフィルタ6において逆位相で同振幅となる干渉音を
生成すべく、その位相と振幅が調整されて干渉音の制御
信号が生成される。この制御信号はD/A変換器9を介
してアナログ信号に変換された後、LPF10で高調波
のエイリアシング成分がカットされ、増幅器11を介し
てスピーカ3に出力される。これにより、スピーカ3か
ら出力される干渉音で送風ダクト1内の騒音が干渉され
て消音されるようになる。
【0013】さて、このように消音動作を行う際に、ス
ピーカ3からの干渉音で十分に消音効果が得られている
か否かを、評価マイクロホン4からの検出信号によりモ
ニタし、この検出信号に基いて適応フィルタ12により
FIRフィルタ6の演算係数を調整するようになってい
る。
【0014】すなわち、あらかじめ騒音がない状態にお
いて、ランダムノイズあるいは信号処理に必要な周波数
帯域の正弦波信号によりFIRフィルタ6の出力部分a
点からD/A変換器9,LPF10,増幅器11,スピ
ーカ3,評価マイクロホン4,BPF14およびA/D
変換器15の出力部b点までの間の伝達特性GAOを測定
し、デジタルフィルタ13に設定しておく。
【0015】そして、消音時において、A/D変換器8
でデジタル信号に変換された音源マイクロホン2からの
検出信号を、FIRフィルタ6に与えると共に、デジタ
ルフィルタ13にも与える。デジタルフィルタ13は、
与えられたデジタル信号を伝達特性GAOにてフィルタリ
ングして適応フィルタ12に与える。適応フィルタ12
においては、デジタルフィルタ13からの信号と評価マ
イクロホン4からA/D変換器15を介して入力される
信号とに基いて、評価マイクロホン4からの信号のレベ
ルが最小になるように、つまり消音量が最大となるよう
に(例えば、LMSアルゴリズムを用いて)FIRフィ
ルタ6の演算係数を設定し、常に、能動制御が効率良く
実施されるように適応制御を行うのである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な能動制御を行って送風ダクト1内の消音を行い、且つ
適応制御を行っている状態では、気温や気流の速度の変
化等で音速が変化して送風ダクト1内の音響特性が多少
変動しても、これに追従して上記したような適応制御に
より最適な能動消音制御が行われるが、その適応制御の
能力を超えて送風ダクト1内の音響伝達特性が大きく変
動すると、FIRフィルタ6の出力部のa点から評価マ
イクロホン4を介してA/D変換器15の出力部のb点
に至る経路の伝達特性GAOも変動するようになる。
【0017】ところが、前述のように、デジタルフィル
タ13の伝達特性GAOは消音動作を行っていない状態で
測定した固定的な値に設定しているので、a点からb点
に至る伝達特性GAOが変動すると、前述の適応制御がず
れて適切に実施できなくなり、送風ダクト1内の変化に
追従して十分な消音効果を達成することができなくなる
不具合がある。
【0018】一方、デジタルフィルタ13に設定される
伝達特性GAOは、送風ダクト1内の送風状態で測定する
と、その送風により騒音が発生して精度良く測定するこ
とができなくなるため、送風を停止した状態で行わねば
ならないことが多い。ところが、実際に送風ダクト1内
に送風している状態では、空気が流れることにより送風
停止状態とは異なる音速となる。したがって、上述のよ
うに測定した伝達特性GAOでは、送風状態で消音制御を
行う際に初めからずれた伝達特性GAOが設定されている
ことになる。
【0019】このため、常に十分な消音量を得るために
は、デジタルフィルタ13に設定する伝達特性GAOを、
消音制御を実施しているときにも現実の特性の変動に追
従できるように設定する必要があるが、上述した方法で
は消音制御の実施中にリアルタイムで伝達特性GAOの変
動に追従して測定が行えないため、他の方法により測定
を行わねばならないのが実情であった。
【0020】そこで、例えば、音響特性の変動の原因と
なる気温や気流速度の変動を各種のセンサにより検出し
てフィードバックすることにより、適切な伝達特性の設
定を行うことが考えられるが、これでは、送風ダクト1
内に伝達特性の変動要因に関する多数のセンサを設ける
必要があるため、コストが大幅に上昇し、しかも、それ
らセンサの配設により、送風状態においては新たな騒音
の発生原因となったり、あるいはセンサの故障等に対処
するための構成が必要になる。
【0021】また、このようなセンサを設ける構成で
は、伝達特性の変動要因として予想していない要素があ
る場合には、その要因についての情報が得られないため
適切な設定が行えなくなる。さらに、このようなセンサ
では、スピーカ3,評価マイクロホン4やこれらを駆動
する回路の位相特性等については検出することができな
いので、これらの特性変動については対処することがで
きないなどの不具合がある。
【0022】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、送風ダクト等の騒音の伝播経路に受音
器以外に他のセンサなどを設けることなく、簡単な構成
としながら、実際に消音動作を行っている状態でダクト
内の音響特性の変動や受音手段あるいは制御用発音器な
どの特性変動に対応して伝達特性の変動を測定し、常に
最適な干渉音を出力することができて消音効果を低減さ
せることがない能動消音装置を提供するにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の能動消音装置
は、騒音の伝播経路に設けられた第1の受音手段と、前
記騒音の伝播経路に前記第1の受音手段より下流側の位
置に設けられ前記騒音に対する干渉音を出力する制御用
発音器と、前記騒音の伝播経路に前記制御用発音器より
下流側の位置に設けられた第2の受音器と、前記第1の
受音手段の検出信号に基いて演算加工を行うことにより
制御信号を生成して前記制御用発音器に前記干渉音を出
力させる演算手段と、前記第2の受音手段の検出信号に
基いて前記制御用発音器による消音量が最大となるよう
に前記演算手段の演算係数を調整する適応制御手段と、
前記干渉音の周波数帯域外の周波数のモニタ信号を前記
制御用発音器に与えると共に前記第2の受音器の検出信
号に含まれた対応するモニタ信号の到達時間差を検出し
て前記適応制御手段の演算係数の調整条件を補正する補
正手段とを具備して構成したところに特徴を有する。
【0024】また、補正手段を、所定周波数の正弦波を
モニタ信号として制御用発音器に出力する正弦波発振器
と、第2の受音器の検出信号から前記モニタ信号を抽出
する抽出回路と、前記正弦波発振器から出力された前記
モニタ信号と前記抽出回路により抽出された前記モニタ
信号との位相差を検出する位相差検出回路と、この位相
差検出回路により検出された前記位相差の値に基いて適
応制御手段による演算係数の調整条件を補正する補正設
定手段とから構成すると良い。
【0025】
【作用】請求項1記載の能動消音装置によれば、演算手
段は、第1の受音手段の検出信号に基いて演算加工を行
って制御信号を生成し、制御用発音器から干渉音を出力
させて消音制御を行い、適応制御手段は、第2の受音手
段の検出信号に基いて制御用発音器による消音量が最大
となるように演算手段の演算係数を調整するようにな
る。これにより、伝播経路の騒音は制御用発音器から出
力される干渉音で消音されるようになる。
【0026】このとき、補正手段は、制御用発音器に前
記干渉音の周波数帯域外の周波数のモニタ信号を同時に
出力させており、このモニタ信号に対応して出力される
音は、騒音に対する干渉音ではないので、第2の受音器
により検出され検出信号として出力される。そして、補
正手段は、この検出信号に含まれるモニタ信号を制御用
発音器から出力されたときのモニタ信号と比較してその
到達時間差を検出して適応制御手段の演算係数の調整条
件を補正する。
【0027】この場合、補正手段は、例えば、モニタ信
号の到達時間差に対応する消音周波数帯域の音の到達時
間差からあらかじめ設定された調整条件で適応制御手段
の演算係数の調整条件を補正するので、騒音の伝播経路
の音響伝達特性が変動した場合でも、消音制御を実行し
ながらリアルタイムでその変動に追従して適応制御の条
件を修正することができ、常に消音量を最大にするよう
に能動制御を行うことができる。
【0028】請求項2記載の能動消音装置によれば、補
正手段において、正弦波発振器は消音周波数帯域外の所
定周波数の正弦波をモニタ信号として制御用発音器に与
え、抽出回路は、第2の受音器の検出信号からモニタ信
号を抽出する。そして、位相差検出回路により制御用発
音器に与えたモニタ信号と抽出回路から出力されるモニ
タ信号との位相差が検出されると、補正設定手段は、そ
の検出された位相差に基いて適応制御手段の演算係数の
調整条件を精度良く補正することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を空調装置の送風ダクトに設け
る能動消音装置に適用した場合の一実施例について、図
1を参照して説明する。すなわち、全体のブロック構成
を示す図1において、騒音の伝播経路としての空調用の
送風ダクト21は、左方の図示しない空調装置から空調
空気が右方に向けて送風される経路となるもので、この
空調装置が同時に騒音源となって送風ダクト21内を伝
播経路として図中左方から右方に向けて騒音が伝播す
る。この場合、送風ダクト21は、例えば断面が50c
m角の矩形状に形成されている。
【0030】送風ダクト21の内部には、内部を伝播す
る騒音を検出する第1の受音手段としての音源マイクロ
ホン22が設けられ、この下流側つまり右方の所定位置
には干渉音を出力するための制御用発音器としてのスピ
ーカ23が設けられている。また、スピーカ23の右方
近傍には消音効果を評価するための第2の受音手段とし
ての評価マイクロホン24が設けられている。
【0031】制御回路25は、音源マイクロホン22お
よび評価マイクロホン24からの検出信号に基いてスピ
ーカ23に干渉音の制御信号を出力するもので、次のよ
うに構成されている。まず、演算手段としてのFIR
(Finite Impulse Response )フィルタ26の入力部に
は、音源マイクロホン22による検出信号がBPF(バ
ンドパスフィルタ)27およびA/D変換器28を介し
て入力されるようになっている。そして、FIRフィル
タ26は、後述するように伝達特性Gを有するフィルタ
にて演算加工して生成した制御信号を、D/A変換器2
9,LPF(ローパスフィルタ)30および増幅器31
を介してスピーカ23に出力するようになっている。
【0032】この場合、BPF27は、音源マイクロホ
ン22から入力される音の検出信号に対して、周波数5
0Hzから800Hz程度の範囲の帯域の周波数成分を
通過させるようになっている。またA/D変換器28
は、BPF27の通過周波数帯域の上限800Hzの2
倍以上のサンプリング周波数f(例えば2kHz)でサ
ンプリングしてデジタル信号に変換するようになってお
り、消音対象としている周波数帯域50Hzから350
Hzの音に対するサンプリング定理を満たすように設定
されている。また、LPF30は、D/A変換器29に
よりアナログ信号に変換された信号のうち高調波のエイ
リアシング成分をカットするために設けられたものであ
る。
【0033】適応フィルタ32は、FIRフィルタ26
の演算係数を調整するように設けられたもので、伝達特
性GAOを有するデジタルフィルタ33を介してA/D変
換器28から検出信号が与えられる。また、適応フィル
タ32には、評価マイクロホン24の検出信号がBPF
(バンドパスフィルタ)34およびA/D変換器35を
介して入力されるようになっている。なお、BPF34
およびA/D変換器35も前述のBPF27およびA/
D変換器28と同様の帯域通過特性およびサンプリング
周波数に設定されている。デジタルフィルタ33の伝達
特性GAOは、あらかじめ騒音がない状態で測定された特
性として、FIRフィルタ26の出力部分であるa点か
ら、D/A変換器29,LPF30,増幅器31,スピ
ーカ23,送風ダクト21,評価マイクロホン24,B
PF34およびA/D変換器35を介してその出力端子
であるb点に至る経路における伝達特性GAOが設定され
ている。
【0034】さて、本発明でいうところの補正手段36
は次のように構成される。すなわち、D/A変換器29
の入力側にはスイッチ回路37を介して正弦波発振器3
8が接続されている。この正弦波発振器38は、上記し
た消音周波数帯域外の周波数として500Hzの正弦波
信号を出力するようになっている。なお、この正弦波発
振器38の発振周波数を500Hzに設定したのは、後
述するように同期加算処理を行う都合上、その周期の整
数倍がA/D変換器35のサンプリング周期の整数倍に
なっている必要があるからである。
【0035】また、A/D変換器35の出力端子には、
BPF(バンドパスフィルタ)39および同期加算回路
40を介して位相差検出回路41が接続されている。位
相差検出回路41の出力端子側には補正設定手段として
の係数設定回路42および係数記憶部43が設けられ、
デジタルフィルタ33の伝達特性の条件を補正設定する
ようになっている。
【0036】BPF39および同期加算器40は抽出手
段としての機能を有するもので、BPF39は、500
Hz付近の周波数の信号を通過させるフィルタであり、
同期加算器40は、正弦波発振器38から与えられる5
00Hzの正弦波信号と1波長あるいはn波長(nは正
の整数)の周期で同期してBPF39からの出力を加算
し平均化することにより、評価マイクロホン4の検出信
号から500Hzの正弦波信号のみを抽出するものであ
る。
【0037】位相差検出回路41は、同期加算回路40
により抽出された正弦波信号と、正弦波発振器38から
出力される正弦波信号との位相差を検出し、その検出さ
れた位相差があらかじめ記憶されている初期状態におけ
る位相差とのずれ量を求めるようになっている。係数設
定回路42は、位相検出回路41で求められた位相差の
ずれ量に応じて演算係数を補正すべく係数記憶部43を
切換え設定するもので、係数記憶部43には、あらかじ
め位相差のずれ量に応じて設定された複数の伝達特性G
AOの係数が記憶されている。
【0038】次に、本実施例の作用について説明する。
まず、本実施例において送風ダクト21の消音すべき周
波数帯域について述べる。すなわち、送風ダクト21の
断面形状が、前述のように50cm角の寸法に設定され
ているので、その幾何学的寸法から、内部を平面波とし
て伝播可能な音響的な周波数の上限は350Hz程度と
なる。したがって、350Hz以上の周波数の音は送風
ダクト21内部で平面波となり得ないために伝播するう
ちに減衰してしまう。一方、スピーカ23により再生可
能な周波数の下限は50Hz程度であるから、上記理由
により、消音対象とする周波数帯域としては50Hzか
ら350Hzの範囲に設定すれば良いことになる。
【0039】さて、能動消音制御については、従来例の
項で説明したように、伝達特性Gを有するFIRフィル
タ26により、次のようにして音源マイクロホン22か
らの検出信号に演算加工を行われる。すなわち、スピー
カ23の位置A点と評価マイクロホン24の位置O点と
の間の音響伝達特性をGAO,音源マイクロホン22の位
置S点とO点との間の音響伝達特性をGSO,S点とA点
との間の音響伝達特性をGSAであるとすると、前述の関
係式(1)で示したように、GSO=GSA・GAOという関
係が成立つ。したがって、FIRフィルタ26に必要な
伝達特性Gは、上述の伝達特性GSAと逆位相になる特性
として、関係式(2)で示したように、G=−GSAつま
り、G=−GSO/GAOとなるように設定されている。
【0040】そして、騒音源から送風ダクト21を伝播
してきた騒音はS点で音源マイクロホン22により検出
され、その検出信号はBPF27により消音周波数帯域
外の低周波および高周波成分が遮断され、さらにA/D
変換器28によりサンプリング周波数f(例えば2kH
z)でサンプリングしたデジタル信号に変換される。F
IRフィルタ26は、上述した伝達特性Gでそのデジタ
ル信号を演算加工して干渉音の制御信号を生成する。こ
の制御信号は、D/A変換器29を介してアナログ信号
に変換された後、LPF31で高調波のエイリアシング
成分がカットされてからスピーカ23に与えられて干渉
音として出力される。
【0041】これにより、スピーカ23から出力される
干渉音は、評価マイクロホン24の位置O点で送風ダク
ト21内を伝播してきた騒音に対して同一振幅で逆位相
の音となり、騒音と干渉して送風ダクト21内で音響的
な壁が形成され、これより下流側への騒音の伝播を阻止
するようになる。この結果、送風ダクト21内は、消音
周波数帯域において10dB以上の消音効果が得られる
ようになる。
【0042】次に、上記の能動消音制御を最適に行うべ
くFIRフィルタ26の演算係数を調整する適応制御に
ついて述べる。すなわち、理論的にはFIRフィルタ2
6から出力される制御信号により送風ダクト21内の消
音制御が行われていれば評価マイクロホン24により検
出される音は零に近い値になる筈であるが、実際には、
空調装置の制御状態によって気温や気流速度の変動がす
るため、これに伴って送風ダクト21内の音響伝達特性
も変動して理論的な消音量が得られなくなる。適応フィ
ルタ32は、消音制御中にこのような特性の変動に対応
して消音量が低下しないようにFIRフィルタ26の演
算係数を適宜変更するのである。
【0043】この場合、適応フィルタ32は、送風ダク
ト21内のO点に到達した音の検出信号が評価マイクロ
ホン24,BPF34およびA/D変換器35を介して
入力され、一方、デジタルフィルタ33を介して伝達特
性GAOでフィルタリングされたデジタル信号が入力され
る。つまり、適応フィルタ32には、FIRフィルタ2
6から出力された制御信号が伝達特性GAOを有するa点
からb点を介してフィルタリングされた信号と、A/D
変換器28からFIRフィルタ26へ入力されるデジタ
ル信号が同じ伝達特性GAOを有するデジタルフィルタ3
3を介してフィルタリングされた信号とが入力されるの
であり、これら2つの入力信号に基いて周知のLMSア
ルゴリズムを用いて演算係数の調整設定動作を行うので
ある。
【0044】さて、適応制御を行っていても、消音制御
中に送風ダクト21内の音響伝達特性がさらに大きく変
動したり、スピーカ23,評価マイクロホン24等のa
点からb点に至る信号伝達経路における変動があるとき
には、適応フィルタ32に入力される2つの信号が同じ
伝達特性GAOでフィルタリングされていないことになっ
てしまう。そこで、実際に変動したa点からb点に至る
経路の伝達特性GAO′に対応して、次のようにして補正
手段36によりデジタルフィルタ33の伝達特性をGAO
の補正を行っている。
【0045】すなわち、消音制御中において、スイッチ
回路37が所定のタイミングで(例えば1時間に1回,
あるいは1日に1回の頻度で所定時間だけ)オンオフさ
れるようになっており、これにより、正弦波発振器38
から500Hzの正弦波信号がD/A変換器29に与え
られ、LPF30,増幅器31を介してスピーカ23か
ら500Hzの発振音が出力されるようになる。この発
振音は評価マイクロホン24により検出されるので、A
/D変換器35を介して出力されたデジタル信号がBP
F39に入力されると500Hz近傍の周波数の信号の
みが同期加算回路40に入力される。同期加算回路40
は、BPF39からの信号を正弦波発振器38からの正
弦波信号と同期をとって1波長あるいは複数波長の周期
で加算してゆく。これは、同期加算することにより、検
出した信号の平均をとって500Hzの成分の正弦波の
波形のみを取り出して位相差の検出誤差を低減するため
である。
【0046】さて、位相差検出回路41は、同期加算回
路40から検出信号を受けるとこれを正弦波発振器38
から出力されたもとの正弦波信号と比較してその位相差
を求める。そして、検出された位相差に応じて係数設定
回路42に補正信号を与えると、係数設定回路42は、
検出された位相差に対応した伝達特性GAOを設定するた
めの条件パターンを係数記憶部43から読出してデジタ
ルフィルタ33に設定するようになる。
【0047】これにより、デジタルフィルタ33の伝達
特性GAOは実際に変動したa点からb点に至る伝達特性
GAO′に対応するように設定され、A/D変換器28か
らのデジタル信号を変動した伝達特性GAO′でフィルタ
リングして適応フィルタ32に与えることができる。し
たがって、適応フィルタ32によるFIRフィルタ26
の係数設定により、常に消音量が最大となるように適応
制御を行える。
【0048】なお、上述の500Hzの発振音は評価マ
イクロホン24で検出可能となる程度の小さい音量に設
定すれば良いし、しかも、その周波数は消音周波数帯域
よりも高く設定されているため、送風ダクト21内で平
面波とならないので伝播するうちに減衰するので、送風
ダクト21内で騒音として伝播することはなく、消音制
御に悪影響を与えるものではない。
【0049】このような本実施例によれば、補正手段3
6により、デジタルフィルタ33の伝達特性GAOを実際
のa点からb点に至る経路の伝達特性GAO′を検出して
補正するようにしたので、送風ダクト21内に各種セン
サなどを設けることなく、簡単且つ安価な構成としなが
ら、適応フィルタ32によるFIRフィルタ26の演算
係数の設定を、消音制御を実施している状態でリアルタ
イムで送風ダクト21内の音響伝達特性の変動に応じて
常に消音量を最大にすることができる。
【0050】また、本実施例によれば、補正手段36の
構成を、500Hzの正弦波信号をスピーカ23から出
力させる正弦波発振器38,BPF39および同期加算
回路40からなる抽出手段,位相差検出回路41,係数
設定回路42,係数記憶部43から構成したので、簡単
な構成で伝達特性GAOの変動を精度良く検出してデジタ
ルフィルタ33の伝達特性の条件を設定することができ
る。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の能動消音
装置によれば次のような効果が得られる。すなわち、請
求項1記載の能動消音装置によれば、補正手段により、
干渉音の周波数帯域外の周波数のモニタ信号を前記制御
用発音器に与えると共に前記第2の受音器の検出信号に
含まれた対応するモニタ信号の到達時間差を検出して前
記適応制御手段の演算係数の調整条件を補正するように
したので、騒音の伝播経路の音響伝達特性が大きく変動
した場合でも、消音制御を実行しながらリアルタイムで
その変動に追従して適応制御の条件を修正することがで
き、常に消音量を最大にするように能動制御を行うこと
ができるという優れた効果を奏する。
【0052】請求項2記載の能動消音装置によれば、正
弦波発振器により消音周波数帯域外の所定周波数の正弦
波をモニタ信号として制御用発音器に与え、抽出回路お
よび位相差検出回路により、第2の受音器の検出信号か
らモニタ信号を抽出してその位相差を検出し、補正設定
手段により適応制御手段の演算係数の調整条件を補正す
るようにしたので、簡単な構成としながら伝達特性の変
動を精度良く検出して補正することができるという優れ
た効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す電気的なブロック構成
【図2】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
21は送風ダクト(騒音の伝達経路)、22は音源マイ
クロホン(第1の受音手段)、23はスピーカ(制御用
発音器)、24は評価マイクロホン(第2の受音手
段)、25は制御回路、26はFIRフィルタ(演算手
段)、27,34はBPF、28,35はA/D変換
器、29はD/A変換器、30はLPF、32は適応フ
ィルタ(適応制御手段)、33はデジタルフィルタ、3
6は補正手段、37はスイッチ回路、38は正弦波発振
器、39はBPF(抽出手段)、40は同期加算回路
(抽出手段)、41は位相差検出回路、42は係数設定
回路、43は係数記憶部である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音の伝播経路に設けられた第1の受音
    手段と、 前記騒音の伝播経路に前記第1の受音手段より下流側の
    位置に設けられ前記騒音に対する干渉音を出力する制御
    用発音器と、 前記騒音の伝播経路に前記制御用発音器より下流側の位
    置に設けられた第2の受音器と、 前記第1の受音手段の検出信号に基いて演算加工を行う
    ことにより制御信号を生成して前記制御用発音器に前記
    干渉音を出力させる演算手段と、 前記第2の受音手段の検出信号に基いて前記制御用発音
    器による消音量が最大となるように前記演算手段の演算
    係数を調整する適応制御手段と、 前記干渉音の周波数帯域外の周波数のモニタ信号を前記
    制御用発音器に与えると共に前記第2の受音器の検出信
    号に含まれた対応するモニタ信号の到達時間差を検出し
    て前記適応制御手段の演算係数の調整条件を補正する補
    正手段とを具備したことを特徴とする能動消音装置。
  2. 【請求項2】 補正手段は、所定周波数の正弦波をモニ
    タ信号として制御用発音器に出力する正弦波発振器と、
    第2の受音器の検出信号から前記モニタ信号を抽出する
    抽出回路と、前記正弦波発振器から出力された前記モニ
    タ信号と前記抽出回路により抽出された前記モニタ信号
    との位相差を検出する位相差検出回路と、この位相差検
    出回路により検出された前記位相差の値に基いて適応制
    御手段による演算係数の調整条件を補正する補正設定手
    段とを具備したことを特徴とする請求項1記載の能動消
    音装置。
JP4308720A 1992-11-18 1992-11-18 能動消音装置 Pending JPH06159781A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4308720A JPH06159781A (ja) 1992-11-18 1992-11-18 能動消音装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4308720A JPH06159781A (ja) 1992-11-18 1992-11-18 能動消音装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06159781A true JPH06159781A (ja) 1994-06-07

Family

ID=17984475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4308720A Pending JPH06159781A (ja) 1992-11-18 1992-11-18 能動消音装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06159781A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106352492A (zh) * 2016-10-08 2017-01-25 珠海格力电器股份有限公司 线控器及空调器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106352492A (zh) * 2016-10-08 2017-01-25 珠海格力电器股份有限公司 线控器及空调器
CN106352492B (zh) * 2016-10-08 2022-04-12 珠海格力电器股份有限公司 线控器及空调器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0572208B1 (en) Noise controller
JP2856625B2 (ja) 適応形能動消音装置
JPH06202669A (ja) 能動消音装置
JPH06159781A (ja) 能動消音装置
JPH07219559A (ja) 適応形能動消音装置
JPH0234422A (ja) 空調装置の騒音低減装置
JP2872545B2 (ja) 消音装置
JP4080898B2 (ja) 能動消音装置
JP3544999B2 (ja) 消音装置
JP4402812B2 (ja) アクティブ消音装置
JPH0353698A (ja) 能動的消音装置
JPH07253792A (ja) 消音装置
JPH0635482A (ja) アクティブ消音方法及び消音装置
JP4171824B2 (ja) 音響インピーダンス調節機構付きダクトを適用した電子消音システム
JPH07104764A (ja) 空調ダクト用消音装置
JPH0720878A (ja) アクティブ消音装置の制御装置
JP3461513B2 (ja) 能動型消音装置
JP2022149568A (ja) 能動消音装置
JPH06250670A (ja) 能動消音装置の診断装置
JP2747100B2 (ja) 能動消音装置
JPH06201182A (ja) 空調ダクト用消音装置
JP3275449B2 (ja) 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置
JPH08234765A (ja) アクティブ消音装置
JP4015812B2 (ja) 能動消音装置
JPH06332468A (ja) アクティブ消音装置