JPH0615934Y2 - 合成樹脂モノフィラメントの連結構造体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、合成樹脂モノフィラメントの端末同志を連結
してなる構造体に関するものであり、さらに詳しくは、
連結部の破断強度および耐久性がすぐれた合成樹脂モノ
フィラメントの連結構造体に関するものである。

（従来の技術） 直径が１．０mmを越える合成樹脂製太物モノフィラメン
トは、耐久性や強度がすぐれ、錆びを発生することがな
いため、金属製針金に代わる材料として、農業用資材、
張り線、屋外用の棚、テレビアンテナの固定用ロープお
よび電気工事用の呼び線などの多くの用途で注目されて
いる。

そして、上述した合成樹脂製太物モノフィラメントの用
途においては、モノフィラメントの長さが足らなくなっ
たり、またはモノフィラメントをさらに延長する必要が
生じた時などに、モノフィラメントの端末に他のモノフ
ィラメントを連結して使用することがあるが、太物モノ
フィラメントはそれ自体が硬くて柔軟性に乏しく、しか
も反発性を有していることから、針金の如く端末同志を
からませたりすることにより連結するのが困難であり、
たとえ連結したとしても容易に連結がほどけてしまうた
め、特殊な連結手段を講ずる必要があった。

本出願人は、連結強度がすぐれ、しかも耐久性が良好な
太物モノフィラメントの連結構造について検討した結
果、第４図および第５図に示したように、結束ピースを
使用する手段が有効であることを見出し、先に特開昭５
７−１９５０７８号公報および特開昭５８−７６５７２
号公報として出願した。

すなわち、第４図に示した連結構造は、合成樹脂製管状
体からなる結束ピース３ａに、一方のモノフィラメント
１ａの端部を挿入してループ部２ａを形成し、このルー
プ部２ａを、他方のモノフィラメント１ｂを結束ピース
３ｂに挿入して形成したループ部２ｂに掛け合せると共
に、各結束ピース３ａ、３ｂから突出した各モノフィラ
メント１ａ、１ｂの端部を旋回させて、各ループ部２
ａ、２ｂの間隙に挿入した状態で、各モノフィラメント
１ａ、１ｂに張力を与えて、各ループ部２ａおよび２ｂ
の締め付けることにより連結強度を高めたものである。

また、第５図に示した連結構造は、上記第４図と同様の
結束ピース３ａおよび３ｂと共に、さらに中空部が外ひ
ろがりで、外周の中央に凹部を有する第２の結束ピース
３ｃを用い、一方のモノフィラメント１ａを結束ピース
３ａの中空部に挿通して形成したループ部２ａを、前記
第２の結束ピース３ｃの外周凹部に、また他方のモノフ
ィラメント１ｂを結束ピース３ｂに挿通したループ部２
ｂを前記第２の結束ピース３ｃの中空部に、夫々係合せ
しめ、モノフィラメント１ａおよび１ｂの端部を旋回さ
せて夫々のループ部２ａおよび２ｂに挿入した状態で各
モノフィラメント１ａおよび１ｂに張力を与え、各ルー
プ部２ａおよび２ｂを締付けることにより、固定したも
のであり、中間に介在させた第２の結束ピース３ｃによ
り連結部の耐久性が高められている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上述の第４図に示した連結態様において
は、連結部でモノフィラメントループ同志が接触し、摩
擦を生ずるため、この部分からの破断が起こりやすく、
破断強度の保持率が７０％以下にまで低下するという問
題があった。

また、第５図に示した態様においては、第２の結束ピー
ス３ｃにより、モノフィラメント同志の接触は回避でき
るが、モノフィラメントがすべって第２の結束ピース３
ｃの外周から抜けやすいため、耐久性に問題があり、し
かも部品数および連結工数を多く必要とし、破断強度の
保持率も８０％以下に低下するという欠点があった。

そこで本考案者らは、連結部の破断強度および耐久性を
さらに改良したモノフィラメントの連結構造体の取得を
目的として検討を続けた結果、連結部においてモノフィ
ラメント同志がループ状に接触するのを避け、しかも結
束ピースと共にクッション材を使用した構造により、上
記目的が効果的に達成できることを見出し本考案に到達
した。

（問題点を解決するための手段） すなわち本考案は、直径１．０mm以上の合成樹脂モノフ
ィラメントの端末同志を連結してなる構造体において、
１８０°折返した端末同志を平行に重ね合せ、この重ね
合せ部分にチューブ状またはテープ状のクッション材を
かぶせ、さらにこのクッション材を介して結束ピースを
かぶせると共に、前記結束ピースを圧縮めしたことを特
徴とする合成樹脂モノフィラメントの連結構造体を提供
するものである。

（考案の作用） 本考案のモノフィラメントの連結構造体は、モノフィラ
メントを１８０°折返した端末同志を平行に重ね合せ、
この重ね合せ部分にチューブ状またはテープ状のクッシ
ョン材をかぶせ、さらにこのクッション材を介して結束
ピースをかぶせると共に、前記結束ピースを圧縮めした
ことにより、モノフィラメント同志が直接ループ状に接
触せず、摩耗による切断が起こりにくい上、クッション
材の使用によりモノフィラメントのすべりが解消し、さ
らには結束ピースを圧縮する時にモノフィラメントを傷
つけることがないため、破断強度の保持率が９０％以上
と高く、連結部の耐久性がきわめてすぐれている。

（実施例の説明） 以下に、図面を参照しつつ、本考案のモノフィラメント
の連結構造体の実施例について詳細に説明する。

第１図は本考案のモノフィラメントの連結構造体の第１
実施例を示す正面図、第２図は同第２実施例を示す正面
図である。

第１図に示した第１実施例において、モノフィラメント
１０ａおよび１０ｂは、夫々の端末がＡ点において１８
０°折り返され、この折り返された端末同志が平行に重
ね合されて、この重ね合せ部Ｂにクッション材としての
軟質塩化ビニールチューブ２０がかぶせられ、さらには
２つの金属製結束ピース３０ａおよび３０ｂが嵌入され
ている。

上述の構成において、２つの結束ピース３０ａおよび３
０ｂを、圧着工具などにより強く圧締めし、圧締部Ｃを
形成することにより、破断強度の高いモノフィラメント
１０ａおよび１０ｂの連結が達成される。

すなわち、各結束ピース３０ａおよび３０ｂには、クッ
ション材２０を介してモノフィラメントが平行に計４本
挿入された状態で圧締めされているため、２本のモノフ
ィラメント１０ａおよび１０ｂの両端を引張っても、モ
ノフィラメント同志は絡み合うことがなく、しかも重ね
合せ部Ｂのモノフィラメントが相互にすべることもない
ため、モノフィラメント同志は堅固に把持されることに
なり、その破断強度および耐久性が理想的に向上するの
である。

また、第２図に示した第２実施例は、モノフィラメント
１０ａおよび１０ｂを折り返し部Ａで折り返したもの
を、各端末が相互に対向するように平行に重ね合せ、こ
の重ね合せ部Ｂにチューブ状のクッション材２０および
金属製結束ピース３０ａおよび３０ｂをかぶせて、圧締
部Ｃを形成したものであり、前記結束ピース３０ａおよ
び３０ｂ内にモノフィラメントの計３本が挿入されてい
る点が上述した第１実施例と相違している。

この第２実施例の態様によれば、重ね合せ部Ｂおよび結
束ピース３０の外径が前記第１実施例よりも小さくなる
ため、たとえばモノフィラメントを小径のパイプに通線
する際の連結手段として有用である。

なお、上述した第１および第２実施例においては、モノ
フィラメント１０を折り返した折り返し部Ａの全体をク
ッション材２０に挿入することもでき、このようにすれ
ばモノフィラメント同志の接触が全く起こらなくなるた
め、さらに連結強度を向上することができる。

また、上述した第１および第２実施例において、モノフ
ィラメントを折り返した重ね合せ部Ｂの長さは通常１０
〜２００mmの範囲が好適であり、この重ね合せ部Ｂにか
ぶせる結束ピースは、通常２〜６個に分割してもよく、
場合によっては重ね合せ部Ｂの全体に１つの結束ピース
をかぶせ、その数個所に圧締めすることによっても同様
の効果を得ることができる。

一方、第３図に示したように、モノフィラメント１０ａ
および１０ｂを、折り返し部を設けずにそのまま重ね合
せ、この重ね合せ部Ｂに上記と同様のクッション材２０
および結束ピース３０ａおよび３０ｂをかぶせて圧締部
ｃを形成した場合には、たとえクッション材２０が存在
したとしてもモノフィラメント同志がすべりやすく、モ
ノフィラメントの両端に張力をかけると、連結が容易に
破壊されるため好ましくない。

本考案で使用する合成樹脂製太物モノフィラメントと
は、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン６１０、ナイ
ロン１２などのポリアミド、ポリエチセンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリ弗化ビニリデンなどのポリハ
ロゲン化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンな
どのポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を溶融紡糸、延
伸して得られる直径が１．０mm以上、とくに１．３〜
４．０mmの、かなりの高強力と硬度を有する線条体であ
る。

また、本考案で使用する結束ピース３０の材質および形
状については特に制限しないが、なかでも圧締め可能な
金属からなる管状体または断面コ型の金属片を連結部と
同等の長さ、または約２〜３０mmのチップ状に切断した
ものが好適である。

ここで、結束ピース３０の内径はモノフィラメント直径
の３倍以上であることが好ましい。

上記モノフィラメント１０と結束ピース３０との間に介
在させるクッション材２０としては、軟質合成樹脂また
はゴムからなるチューブまたはテープであり、このクッ
ション材２０はモノフィラメントの連結部全体に設けて
もよく、また結束ピース３０と合致する連結部の一部分
のみに設けてもよい。

また、さらに改良された連結強力を得るために、連結部
Ｃに接着剤を使用することができる。

さらには、折り返し部Ａの内接部に、連結に使用したモ
ノフィラメントの切断物や金属線などを挟み込んで、く
さびとしての役目を持たせることにより、モノフィラメ
ントのすべりを一層軽減することができる。

（試験例） 直径３．０mmのポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）
モノフィラメント２本の末端同志を連結するに際し、各
モノフィラメントの末端を夫々１２０mmづつ折り返し
て、これを第１図のように平行に重ね合せた部分に、ク
ッション材としての外径６mm、内径４mm、長さ１００mm
の軟質塩化ビニル製チューブおよび２本および結束ピー
スとしての外径１５mm、内径１１mm、長さ１９mmのアル
ミ製中空ピース４個をかぶせ、前記結束ピースを圧着端
子用手動油圧式工具で圧締することにより、第１図に示
した態様の連結構造体Ａ−１を得た。

また、上記２本のＰＥＴモノフィラメントの折り返し部
を、第２図のように平行に重ね合せた部分に、上記と同
じクッション材２本および結束ピースとしての外径１３
mm、内径９mm、長さ１７mmのアルミ製中空ピース４個を
かぶせ、前記結束ピースを上記と同じ圧着工具で圧締す
ることにより、第２図に示した態様の連結構造体Ａ−２
を得た。

一方、比較のために上記２本のＰＥＴモノフィラメント
を、折り返し部を設けずに、第３図に示したように平行
に重ね合せた部分に、上記と同じクッション材２本およ
び結束ピースとしての外径１３mm、内径９mm、長さ１７
mmのアルミ製中空ピース４個をかぶせ、前記結束ピース
を上記と同様に圧締することにより、第３図に示した態
様の連結構造体Ｂ−１を得た。

また、結束ピースとして外径９mm、内径６mm、長さ１２
mmのアルミ製中空ピース２個を用い、第４図に示したよ
うに、２本のＰＥＴモノフィラメントを連結することに
より、連結構造体Ｂ−２を得た。

さらに、第２の結束ピースとして外径９mm、内径６mm、
長さ１１mmのアルミ製中空ピースを使用し、第５図に示
したように、２本のＰＥＴモノフィラメントを連結する
ことにより、連結構造体Ｂ−３を得た。

このようにして得た５種類の連結構造体について、連結
部の破断強度を測定し、連結しないモノフィラメントの
破断強度を１００とした時の破断強度の保持率を評価し
た結果を次表に示す。

上記の結果から明らかなように、本考案のモノフィラメ
ント連結構造体（Ａ−１およびＡ−２）は、破断強度の
保持率が高く、強固な連結が達成されている。

［考案の効果］ 以上、詳細に説明したように、本考案のモノフィラメン
トの連結構造体は、モノフィラメントを１８０°折返し
た端末同志を平行に重ね合せ、この重ね合せ部分にクッ
ション材を介して結束ピースをかぶせると共に、前記結
束ピースを圧締めしたことにより、モノフィラメント同
志が直接ループ状に接触せず、摩耗による切断が起こり
にくい上、クッション材の使用によりモノフィラメント
のすべりが解消し、さらには結束ピースを圧締する時に
モノフィラメントを傷つけることがないため、破断強度
の保持率が９０％以上と高く、連結部の耐久性がきわめ
てすぐれている。

したがって、本考案のモノフィラメント連結構造体は、
農業用資材、張り線、屋外用の棚、テレビアンテナの固
定用ロープおよび電気工事用の呼び線などの多くの用途
において、モノフィラメント同志を連結する場合にきわ
めて有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のモノフィラメントの連結構造体の第１
実施例を示す正面図、第２図は同第２実施例を示す正面
図、第３図は同比較例を示す正面図、第４図および第５
図は従来のモノフィラメントの連結構造を示す正面図で
ある。 １０ａ、１０Ｂ……モノフィラメント ２０……クッション材 ３０ａ、３０ｂ…結束リング Ａ……折り返し部 Ｂ……重ね合せ部 Ｃ……圧締部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】直径１．０mm以上の合成樹脂モノフィラメ
   ントの端末同志を連結してなる構造体において、１８０
   °折返した端末同志を平行に重ね合せ、この重ね合せ部
   分にチューブ状またはテープ状のクッション材をかぶ
   せ、さらにこのクッション材を介して結束ピースをかぶ
   せると共に、前記結束ピースを圧締めしたことを特徴と
   する合成樹脂モノフィラメントの連結構造体。