JPH06158079A - 潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油組成物

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JPH06158079A
JPH06158079A JP33964092A JP33964092A JPH06158079A JP H06158079 A JPH06158079 A JP H06158079A JP 33964092 A JP33964092 A JP 33964092A JP 33964092 A JP33964092 A JP 33964092A JP H06158079 A JPH06158079 A JP H06158079A
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JP
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acid
fatty acid
fatty acids
lubricating oil
ester
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JP33964092A
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English (en)
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Kuniaki Tsuruoka
邦昭 鶴岡
Nobuhiko Sei
延彦 静
Fujio Takahashi
不二夫 高橋
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NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い熱酸化安定性を有するとともに、粘度指
数の高い潤滑油組成物を提供する。 【構成】 2位ないし3位に側鎖を有する分岐脂肪酸を
特定割合で含む脂肪酸混合物と炭素数5〜30のヒンダ
―ドアルコ―ルとのエステル90〜99.999重量%
およびフエノ―ル系、アミン系または硫黄系の抗酸化剤
10〜0.001重量%により、潤滑油組成物を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱酸化安定性の高いヒ
ンダ―ドエステル系の潤滑油組成物に関し、エンジン
油、作動油、冷凍機油、電気絶縁油、コンプレツサ―
油、熱媒体油、グリ―ス基油などに使用できる潤滑油組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、需要が拡大してきたDOHC(D
ouble Over Head Camshaf
t)、タ―ボエンジンなどの高性能自動車エンジンやコ
―ジエネレ―シヨン用のエンジンなどは高温で運転され
るため、これらのエンジンに使用される潤滑油には高い
熱酸化安定性が要求される。また、省エネルギ―、作業
性の向上などを目的とした、通常の自動車エンジン油、
産業用エンジン油、難燃性作動油、冷凍機油、コンプレ
ツサ―油、電気絶縁油、熱媒体油、グリ―ス基油などの
潤滑油の長寿命化に関する試みが近年注目を集めている
が、このような潤滑油にも熱酸化安定性の向上が要求さ
れる。
【0003】ところで、熱酸化安定性が高く、潤滑性、
粘度特性などの性能のバランスのとれた潤滑油基油とし
て、ヒンダ―ドエステルがよく知られている。ヒンダ―
ドエステル系の潤滑油の中でも、とくに高い熱酸化安定
性を有するものは、ジエツトエンジン油として広く使用
されている。しかし、ジエツトエンジン油でさえも、上
述の用途に使用するには熱酸化安定性は十分ではない。
【0004】ヒンダ―ドエステル系の潤滑油の熱酸化安
定性を高める試みは、基油の改良、抗酸化剤の改良など
によつてなされてきた。基油の改良としては、米国特許
第3115519号明細書、同第3341600号明細
書、英国特許第999099号明細書、同第10284
02号明細書などにみられる。これらの改良は、2位ま
たは3位に側鎖を2つ有する脂肪酸をヒンダ―ドエステ
ルの原料として使用することに特徴があり、この改良に
よつて従来のヒンダ―ドエステルよりも熱酸化安定性は
向上しているが、粘度指数、低温特性などが逆に悪化し
て、総合的な性能バランスに欠ける欠点がある。
【0005】粘度指数や低温特性を改良するために、2
位または3位に側鎖を2つ有する脂肪酸と直鎖脂肪酸と
の混合物を、ヒンダ―ドエステルの原料として使用する
試みもなされている。たとえば、米国特許第32829
71号明細書では、2位に側鎖を2つ有する脂肪酸3
3.3モル%と直鎖脂肪酸66.6モル%との混合物の
ヒンダ―ドエステルが開示されているが、粘度指数の向
上は十分ではない。
【0006】2位または3位に側鎖を1つ有する脂肪酸
のヒンダ―ドエステルも、既に、いくつか開示されてい
る。たとえば、特開昭61−207358号公報には、
2−エチルヘキサン酸とトリメチロ―ルプロパンとのエ
ステルが、また特開昭54−105644号公報には、
3・5・5−トリメチルヘキサン酸と直鎖脂肪酸を9
0:10ないしは10:90の割合で使用したヒンダ―
ドエステルが、それぞれ示されている。しかし、これら
エステルの熱酸化安定性は、従来の直鎖脂肪酸のヒンダ
―ドエステルとほぼ同等であり、粘度指数は直鎖脂肪酸
のヒンダ―ドエステルと比べて低い。
【0007】一方、ヒンダ―ドエステルに使用する抗酸
化剤としては、米国特許第3790481号明細書、同
第3247111号明細書などにみられるように、フエ
ノ―ル系、アミン系、硫黄系などの抗酸化剤が知られて
いる。しかし、従来公知のヒンダ―ドエステル系の潤滑
油にこれらの抗酸化剤を添加しても、高い熱酸化安定性
は得られなかつた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来公知
の潤滑油組成物には、熱酸化安定性と粘度指数がともに
高いものは、ほとんど見い出されておらず、これら特性
を満足する潤滑油組成物の出現が強く望まれていた。
【0009】本発明は、上記従来の事情に鑑み、高い熱
酸化安定性を有し、かつ粘度指数の高い潤滑油組成物を
提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、特定の分岐脂肪
酸を特定割合で使用したヒンダ―ドエステルと公知のフ
エノ―ル系、アミン系または硫黄系の抗酸化剤との組成
物が、極めて高い熱酸化安定性と高い粘度指数を有する
ことを見い出し、本発明を完成するに至つた。
【0011】すなわち、本発明は、脂肪酸混合物と炭素
数5〜30のヒンダ―ドアルコ―ルとのエステル90〜
99.999重量%およびフエノ―ル系、アミン系また
は硫黄系の抗酸化剤10〜0.001重量%からなる潤
滑油組成物であつて、上記の脂肪酸混合物が、 (A)2位に側鎖を有する炭素数4〜26の脂肪酸(2
位と3位の両方に側鎖を有する脂肪酸を含む)と、 (B)3位に側鎖を有する炭素数4〜26の脂肪酸(2
位と3位の両方に側鎖を有する脂肪酸を除く)と、 (C)2位と3位に側鎖を有しない炭素数4〜54の脂
肪酸とのモル比1:0〜9:0〜9〔ただし、(B)と
(C)とが同時に0になることはない〕の混合物からな
り、かつ、 (a)2位または3位に側鎖を2個有する脂肪酸の全脂
肪酸に対する量が20モル%以下、 (b)2位または3位に側鎖を1個有する炭素数4〜5
の脂肪酸の全脂肪酸に対する量が25モル%以下である
ことを特徴とする潤滑油組成物に係るものである。
【0012】
【発明の構成・作用】本発明において、(A)の2位に
側鎖を有する炭素数4〜26の脂肪酸には、2位と3位
の両方に側鎖を有する脂肪酸も含まれる。具体的には、
2−メチルブタン酸、2・2−ジメチルプロパン酸、2
−エチルブタン酸、2・3−ジメチルブタン酸、2・2
−ジメチルブタン酸、2−エチルペンタン酸、2・2−
ジメチルペンタン酸、2−エチル−2−メチルブタン
酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、2
−プロピルペンタン酸、2・2−ジメチルヘキサン酸、
2−エチル−2−メチルペンタン酸、2−メチルオクタ
ン酸、2・2−ジメチルヘプタン酸、2・2−ジメチル
オクタン酸、2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカ
ン酸、2−(1・4・4−トリメチルブチル)−5・8
・8−トリメチルオクタン酸、2−(1・3・3−トリ
メチルブチル)−5・7・7−トリメチルオクタン酸、
2−ドデシルテトラデカン酸などが挙げられ、その1種
または2種以上が用いられる。
【0013】本発明において、(B)の3位に側鎖を有
する炭素数4〜26の脂肪酸には、2位と3位の両方に
側鎖を有する脂肪酸は除かれ、たとえば、3−メチルブ
タン酸、3−メチルヘキサン酸、3・5・5−トリメチ
ルヘキサン酸などの脂肪酸が、1種または2種以上用い
られる。
【0014】本発明において、(C)の2位と3位に側
鎖を有しない炭素数4〜54の脂肪酸としては、たとえ
ば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル
酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイ
マ―酸、トリマ―酸などが挙げられ、その1種または2
種以上が用いられる。
【0015】これら(A)〜(C)の脂肪酸において、
炭素数を(A),(B)で4〜26、(C)で4〜54
に規定しているのは、炭素数が4未満であると、微量に
残存する未反応の脂肪酸の影響で金属が腐食するためで
あり、また、(A),(B)の炭素数が26を超えた
り、(C)の炭素数が54を超えると、低温安定性が悪
くなるためである。(A),(B)の好適な炭素数とし
ては5〜16、さらに好適には5〜10であり、また
(C)の好適な炭素数としては5〜36、さらに好適に
は5〜12である。
【0016】本発明において、このような(A)〜
(C)の脂肪酸は、モル比が、(A):(B):(C)
=1:0〜9:0〜9、好適には1:0〜3:0〜3
〔ただし、(B)と(C)とが同時に0になることはな
い〕となる割合で混合使用される。この範囲外、たとえ
ば(A)の脂肪酸が0となつたり、(B)の脂肪酸や
(C)の脂肪酸が上記よりも多くなつたりすると、いず
れも、熱酸化安定性にすぐれる潤滑油組成物が得られな
い。
【0017】脂肪酸混合物が(A)と(B)との混合物
からなる場合、つまり(C)=0の場合は、2位の合計
側鎖数と3位の合計側鎖数との比が、1:0.1〜11
の範囲にあるのが望ましい。3位の側鎖数が過少では粘
度指数が低くなり、逆に過多となると高い熱酸化安定性
が得られない。
【0018】本発明では、このような脂肪酸混合物にお
いて、さらに、下記の2つの要件; (a)2位または3位に側鎖を2個有する脂肪酸の全脂
肪酸に対する量が20モル%以下、好適には10モル%
以下である (b)2位または3位に側鎖を1個有する炭素数4〜5
の脂肪酸の全脂肪酸に対する量が25モル%以下、好適
には15モル%以下であるを満足させることが必要で、
この要件を満たしたときにのみ、熱酸化安定性と粘度指
数にともに好結果が得られる。すなわち、(a)の側鎖
を2個有する脂肪酸が20モル%を超えたり、(b)の
側鎖を1個有する低級脂肪酸が25モル%を超えると、
いずれも、粘度指数が低下する。
【0019】本発明における炭素数5〜30のヒンダ―
ドアルコ―ルとしては、ネオペンチルグリコ―ル、トリ
メチロ―ルエタン、トリメチロ―ルプロパン、ジトリメ
チロ―ルプロパン、トリトリメチロ―ルプロパン、テト
ラトリメチロ―ルプロパン、ペンタトリメチロ―ルプロ
パン、トリメチロ―ルブタン、ペンタエリスリト―ル、
ジペンタエリスリト―ル、トリペンタエリスリト―ル、
テトラペンタエリスリト―ル、ペンタペンタエリスリト
―ルなどが挙げられ、その1種または2種以上が用いら
れる。炭素数の上限を30としたのは、これを超えると
粘度が高くなりすぎて潤滑油として実用上問題があるた
めである。とくに好ましい炭素数は5〜10、さらに好
ましくは5〜6である。
【0020】本発明において、上記の混合脂肪酸とヒン
ダ―ドアルコ―ルとのエステルは、(イ)脂肪酸クロリ
ドとヒンダ―ドアルコ―ルとの反応、(ロ)脂肪酸とヒ
ンダ―ドアルコ―ルとの直接エステル化、(ハ)脂肪酸
低級アルコ―ルエステルとヒンダ―ドアルコ―ルとのエ
ステル交換反応など、通常のエステルの製造方法によつ
て、容易に得ることができる。
【0021】本発明に使用するエステルは、水酸基価が
高すぎると加水分解を受けやすく、酸価が高すぎると熱
酸化安定性が低くなるので、水酸基価は50mgKOH/
g以下、酸価は5mgKOH/g以下であるのが好まし
い。
【0022】本発明に使用するフエノ―ル系の抗酸化剤
としては、たとえば、つぎの一般式(I)で表される化
合物や、一般式(II)で表される化合物などがある。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】これらフエノ―ル系の抗酸化剤の例として
は、2・6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ―ル、2・6
−ジ−t−ブチルフエノ―ル、2・5−ジ−t−ブチル
ヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニゾ―ル、2・6
−ジ−t−ブチル−4−エチルフエノ―ル、カテコ―
ル、2−t−ブチル−p−クレゾ―ル、t−ブチル−p
−カテコ―ル、2・2´−メチレン−ビス−(4−メチ
ル−6−t−ブチルフエノ―ル)、2・2´−メチレン
−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフエノ―ル)、
4・4´−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−
ブチルフエノ―ル)、2・2´−チオビス−(3−メチ
ル−6−t−ブチルフエノ―ル)、1・1−ビス(4−
ヒドロキシフエニル)−シクロヘキサン、2・2´−ビ
ス−(4−ヒドロキシフエニル)−プロパンなどが挙げ
られる。
【0026】これらの中でも、とくに、2・6−ジ−t
−ブチルフエノ―ル、2・5−ジ−t−ブチルヒドロキ
ノン、4・4´−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6
−t−ブチルフエノ―ル)、2・2´−チオビス−(3
−メチル−6−t−ブチルフエノ―ル)、1・1−ビス
(4−ヒドロキシフエニル)−シクロヘキサン、2・2
´−ビス−(4−ヒドロキシフエニル)−プロパンなど
が好ましい。
【0027】本発明に使用するアミン系の抗酸化剤とし
ては、たとえば、ベンゾトリアゾ―ル、ベンゾトリアゾ
―ル誘導体、またはつぎの一般式(III )、(IV)、
(V)、(VI)で表される化合物がある。
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】これらアミン系の抗酸化剤の例としては、
ベンゾトリアゾ―ル、2−(2´−ヒドロキシ−5´−
メチルフエニル)ベンゾトリアゾ―ル、2−(2´−ヒ
ドロキシ−5´−t−ブチルフエニル)ベンゾトリアゾ
―ル、2−(2´−ヒドロキシ−3´・5´−ジ−t−
ブチルフエニル)ベンゾトリアゾ―ル、2−(2´−ヒ
ドロキシ−3´−t−ブチル−5´−メチルフエニル)
−5−クロロベンゾトリアゾ―ル、2−(2´−ヒドロ
キシ−3´・5´−ジ−t−ブチルフエニル)−5−ク
ロロベンゾトリアゾ―ル、2−(2´−ヒドロキシ−3
´・5´−ジ−t−アミノフエニル)ベンゾトリアゾ―
ル、2−{2´−ヒドロキシ−3´(3″・4″・5″
・6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)5´−メチ
ルフエニル}ベンゾトリアゾ―ル、ジフエニルアミン、
p・p´−ジオクチルジフエニルアミンなどのアルキル
化ジフエニルアミン、N−フエニル−α−ナフチルアミ
ン、アルキル化N−フエニル−α−ナフチルアミン、フ
エノチアジン、3・7−ジオクチルフエノチアジン、ポ
リ(2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒドロキノリ
ン)、6−エトキシ−1・2−ジヒドロ−2・2・4−
トリメチルキノリンなどが挙げられる。これらの中で
も、とくに、ベンゾトリアゾ―ル、アルキル化ジフエニ
ルアミン、アルキル化N−フエニル−α−ナフチルアミ
ン、フエノチアジンなどが好ましい。
【0033】本発明に使用する硫黄系の抗酸化剤の例と
しては、たとえば、ジオクチルジチオ燐酸亜鉛、ジオク
チルジチオ燐酸モリブデンなどのジアルキルジチオ燐酸
塩などが挙げられる。
【0034】本発明においては、上記の抗酸化剤の中か
ら、その1種を単独で用いても、2種以上を混合使用し
てもよい。後者の場合、とくに、ジアルキルジチオ燐酸
亜塩と1・1−ビス−(4−ヒドロキシフエニル)−シ
クロヘキサンの混合使用、ジアルキルジチオ燐酸亜塩と
1・1−ビス−(4−ヒドロキシフエニル)−シクロヘ
キサンとベンゾトリアゾ―ルとの混合使用、2・2´−
ビス−(4−ヒドロキシフエニル)−プロパンとベンゾ
トリアゾ―ルとの混合使用が好ましい。
【0035】本発明において、前記した脂肪酸混合物と
炭素数5〜30のヒンダ―ドアルコ―ルとのエステル
と、上記の抗酸化剤との使用割合としては、前者のエス
テルが90〜99.999重量%、好ましくは95〜9
9.99重量%、さらに好ましくは99〜99.5重量
%、後者の抗酸化剤が10〜0.001重量%、好まし
くは5〜0.01重量%、さらに好ましくは1〜0.5
重量%となるようにするのがよい。後者の抗酸化剤が1
0重量%を超えると、抗酸化剤の溶解性や組成物の低温
安定性などが悪くなり、0.001重量%未満となる
と、抗酸化剤としての作用効果が発揮されなくなる。
【0036】本発明の潤滑油組成物は、上記のヒンダ―
ドエステルおよび抗酸化剤を必須成分とするが、必要に
より鉱物油、合成炭化水素、ヒンダ―ドエステル以外の
ジエステルなどの基油を混合して使用することもでき
る。この場合、熱酸化安定性の面から、本発明で用いる
上記のヒンダ―ドエステルの配合割合が、全組成物中、
10重量%以上、好ましくは30重量%以上となるよう
にするのがよい。
【0037】本発明の潤滑油組成物には、従来から知ら
れている、カルシウムスルホネ―ト、マグネシウムスル
ホネ―ト、バリウムフエネ―ト、バリウムホスホネ―
ト、こはく酸イミドなどの清浄分散剤、オレイン酸、ス
テアリン酸、オレイルアルコ―ルなどの油性剤、塩素化
パラフイン、ジブチルジスルフイド、トリクレジルホス
フエ―トなどの極圧添加剤、ソルビタンモノオレエ―ト
などの防錆剤、シリコ―ン油などの消泡剤、塩素化パラ
フインとナフタレンの縮合物、塩素化パラフインとフエ
ノ―ルの縮合物、ポリアルキルスチレンなどの流動点降
下剤、ポリアルキルメタクリレ―ト、ポリイソブチレン
などの粘度指数向上剤などの各種添加剤を添加すること
もできる。
【0038】
【発明の効果】本発明の潤滑油組成物は、熱酸化安定性
と粘度指数が高いため、自動車エンジン油、産業用エン
ジン油、難燃性作動油、冷凍機油、コンプレツサ―油、
電気絶縁油、熱媒体油、グリ―ス基油などの潤滑油に使
用することができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を、ヒンダ―ドエステルの製造
例および実施例により、さらに具体的に説明する。
【0040】製造例1 1リツトルの四つ口フラスコに、撹拌機、温度計、窒素
ガス吹き込み管および冷却管を取り付けた。このフラス
コに、2−エチルヘキサン酸と3・5・5−トリメチル
ヘキサン酸とを80モル%:20モル%の割合でとり、
これにトリメチロ―ルプロパンをカルボキシル基:水酸
基=1.05:1の当量比で加えた。これらの合計量は
800gである。
【0041】つぎに、この反応原料に、エステル化触媒
として、p−トルエンスルホン酸を2.4g加え、窒素
ガスを吹き込みながら、220℃で16時間反応させ、
留出する水を除去した。反応終了後、水酸化ナトリウム
水溶液で未反応の脂肪酸を中和し、水洗の後、95℃,
20mmHg,1時間の条件で脱水し、さらにろ過をして、
エステルE1を得た。
【0042】製造例2 反応原料として、表1,表2に記載の脂肪酸およびヒン
ダ―ドアルコ―ルを用いた以外は、製造例1と同様にし
て、5種のエステルE2〜E6を得た。表1には、製造
例1の原料組成も合わせて記載した。
【0043】製造例3 反応原料として、表3,表4に記載の脂肪酸およびヒン
ダ―ドアルコ―ルを用いた以外は、製造例1と同様にし
て、6種のエステルE7〜E12を得た。これら6種のエ
ステルは、本発明の範囲外のエステルである。
【0044】なお、下記の表1〜表4において、2・2
−ジメチルプロパン酸はシエル化学(株)製のピバリン
酸、2・2−ジメチルペンタン酸はエクソン化学(株)
製のネオヘペタン酸、2−メチルヘキサン酸はエクソン
化学(株)製のセカノイツクC7酸、2−エチルヘキサ
ン酸は協和醗酵工業(株)製のオクチル酸、3−メチル
ブタン酸は和光純薬工業(株)製、3・3−ジメチルブ
タン酸は東京化成(株)製、3・5・5−トリメチルヘ
キサン酸はエクソン化学(株)製のセカノイツクC9
酸、n−ペンタン酸はUNION CARBIDE C
o.製、n−オクタン酸は日本油脂(株)製のNAA−
82、ネオペンチルグリコ―ル、トリメチロ―ルプロパ
ン、ペンタエリスリト―ルおよびジペンタエリスリト―
ルはいずれも広栄化学工業(株)製である。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】上記の製造例1〜3で得た各エステルE1
〜E12において、用いた脂肪酸の混合組成は、下記の表
5に示すとおりであつた。なお、同表中、(A)〜
(C)および(a),(b)は、本文で説明した各脂肪
酸の符号に対応し、また同表中の*は、本発明の範囲外
の条件であることを意味する。
【0050】
【表5】
【0051】また、上記の製造例1〜3で得た各エステ
ルE1〜E12について、その物性を調べた。その結果
を、下記の表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】実施例1 製造例1,2で得たエステルE1〜E6を基油とし、こ
れに表7および表8に示す抗酸化剤を、基油との合計量
中、同表に示す割合(重量%)となるように添加し、溶
解混合して、試料No.1〜9の潤滑油組成物を調製し
た。
【0054】比較例1 製造例3で得たエステルE7〜E12を基油とし、これに
表9〜表11に示す抗酸化剤を、基油との合計量中、同
表に示す割合(重量%)となるように添加し、溶解混合
して、試料No.10〜20の潤滑油組成物を調製し
た。
【0055】比較例2 製造例1で得たエステルE1を、これ単独で試料No.
21の潤滑油組成物とした。また、製造例6で得たエス
テルE6を、これ単独で試料No.22の潤滑油組成物
とした。
【0056】なお、表7〜表11に示す抗酸化剤におい
て、4・4´−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチ
ルフエノ―ル)は吉富製薬(株)製のヨシノツクスS
R、1・1−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−シクロ
ヘキサンは住友化学工業(株)製のアンチゲンW、ジオ
クチルジチオ燐酸亜鉛はラインヘミ―社製のADDIT
IN−RC−3180、4・4´−ブチリデン−ビス−
(3−メチル−6−t−ブチルフエノ―ル)は吉富製薬
(株)製のヨシノツクスBB、オクチル化ジフエニルア
ミンは日本チバガイギ―(株)製のIRGANOX 5
057、アルキル化N−フエニル−α−ナフチルアミン
は日本チバガイギ―(株)製のIRGANOX L0
6、フエノチアジンは東京化成工業(株)製、ベンゾト
リアゾ―ルは和光純薬工業(株)製、6−エトキシ−1
・2−ジヒドロ−2・2・4−トリメチルキノリンは住
友化学工業(株)製、2・6−ジ−t−ブチルフエノ―
ルと2・5−ジ−t−ブチルヒドロキノンは東京化成工
業(株)製、2・2´−ビス(4−ヒドロキシフエニ
ル)−プロパンは和光純薬工業(株)製である。
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】上記の実施例1および比較例1,2で調製
した試料No.1〜22の各潤滑油組成物について、下
記の方法で、熱酸化安定性試験を行つた。これらの結果
を、後記の表12および表13に示す。
【0063】<熱酸化安定性試験>JIS−K−251
4−1982−3.3に基づいて行つた。すなわち、試
料油(潤滑油組成物)、水、銅触媒を入れた容器に、酸
素を6.9kgf /cm2 まで圧入し、毎分100回転の速
さで回転させながら、150℃に保つた。酸素の圧力が
1.75kgf /cm2 降下した点を記録し、試験開始時か
らこの時間までを誘導期とし、これを表12および表1
3に示した。この誘導期が長いほど、熱酸化安定性にす
ぐれていることを意味している。
【0064】
【表12】
【0065】
【表13】
【0066】上記の表6,表12および表13の結果か
ら明らかなように、本発明の潤滑油組成物(試料No.
1〜9)は、基油に基づく高い粘度指数を期待でき、か
つ熱酸化安定性にすぐれていることがわかる。これに対
し、基油だけの潤滑油組成物(試料No.21,22)
では、熱酸化安定性が十分でなく、また本発明とは異な
る基油を用いた潤滑油組成物(試料No.10〜20)
では、粘度指数と熱酸化安定性とをともに満足させるこ
とが困難である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 133:44 135:36 137:10) A 9159−4H C10N 30:02 30:08 30:10 40:06 40:08 40:14 40:25 40:30 50:10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸混合物と炭素数5〜30のヒンダ
    ―ドアルコ―ルとのエステル90〜99.999重量%
    およびフエノ―ル系、アミン系または硫黄系の抗酸化剤
    10〜0.001重量%からなる潤滑油組成物であつ
    て、上記の脂肪酸混合物が、 (A)2位に側鎖を有する炭素数4〜26の脂肪酸(2
    位と3位の両方に側鎖を有する脂肪酸を含む)と、 (B)3位に側鎖を有する炭素数4〜26の脂肪酸(2
    位と3位の両方に側鎖を有する脂肪酸を除く)と、 (C)2位と3位に側鎖を有しない炭素数4〜54の脂
    肪酸とのモル比1:0〜9:0〜9〔ただし、(B)と
    (C)とが同時に0になることはない〕の混合物からな
    り、かつ、 (a)2位または3位に側鎖を2個有する脂肪酸の全脂
    肪酸に対する量が20モル%以下、 (b)2位または3位に側鎖を1個有する炭素数4〜5
    の脂肪酸の全脂肪酸に対する量が25モル%以下である
    ことを特徴とする潤滑油組成物。
  2. 【請求項2】 脂肪酸混合物が(A)と(B)との混合
    物からなり、かつ2位の合計側鎖数と3位の合計側鎖数
    の比が1:0.1〜11の範囲にある請求項1に記載の
    潤滑油組成物。
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