JPH06157803A - 無架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子及びその製造方法 - Google Patents

無架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子及びその製造方法

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JPH06157803A
JPH06157803A JP31335492A JP31335492A JPH06157803A JP H06157803 A JPH06157803 A JP H06157803A JP 31335492 A JP31335492 A JP 31335492A JP 31335492 A JP31335492 A JP 31335492A JP H06157803 A JPH06157803 A JP H06157803A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得
る。 【構成】 低密度ポリエチレン20〜85重量部、高密
度ポリエチレン0〜40重量部及び線状低密度ポリエチ
レン0〜45重量部との混合樹脂粒子を用い、混合樹脂
粒子の含水率を100〜1000重量ppmの範囲に調
湿させたのち、揮発性発泡剤を含浸させ、次いでその混
合樹脂の融解終了点−5℃以下の温度でスチーム加熱発
泡せしめることにより、平均気泡径が0.07〜1.0m
mで粒子中の気泡径がほぼ均一な気泡構造である無架橋
ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を提供できる。 【効果】 架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子に匹敵
する優れた特性を有する、有用性に富んだ無架橋ポリエ
チレン系樹脂予備発泡粒子が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、架橋ポリエチレン系樹
脂発泡粒子の廃棄物問題に対応したもので、従来品質上
その実現が困難とされていた無架橋ポリエチレン系樹脂
予備発泡粒子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、架橋されたポリエチレン系樹脂の
予備発泡粒子を型内で蒸気加熱し融着成形して得られる
成形発泡体は良く知られており、柔軟性、強靭性、繰り
返し圧縮歪耐久性、低温特性、耐薬品性等に優れ包装用
緩衝材、自動車等の工業用部品の通函等、種々な市場に
供されている。
【0003】しかし、これら架橋ポリエチレン樹脂を基
材とする成形発泡品は、基材樹脂に架橋処理を行う余分
な工程を必要とするため設備費やエネルギー諸経費が比
較的大きく、しかも基材樹脂が架橋してあるため不要に
なっても元の樹脂に戻して回収利用することができない
など経済的に不利な問題がある。特に近年、地球環境問
題(廃棄物処理)が厳しく要求されている中、架橋工程
を省略した無架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子が注
目され、数多く開発されている(特公昭60−1004
7号公報、特開昭59−187035号公報、特開昭6
4−29444号公報、特開平2−43206号公
報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、上記の型内成
形発泡体はほぼ独立気泡で構成されており、その気泡の
大きさ及びその均一性を安定して得ることは、予備発泡
粒子の製造およびその品質において極めて重要なことで
ある。気泡の大きさ及びその均一性は、発泡成形体の品
質である機械的強度、物性、外観と成形加工時の膨張能
力及び粒子同士の融着性を決める要因となっている。
【0005】この気泡の大きさとその均一性は、発泡性
予備発泡粒子の組成と方法によって決定されるものであ
る。本発明者等は、前述の公報記載の、従来公知のポリ
マー組成物及び発泡方法によって無架橋のポリエチレン
系樹脂予備発泡粒子の作成を試みたところ、同一発泡
条件で発泡させても得られる予備発泡粒子の気泡が、超
微細となったり、ある時は粗大な気泡となったりして、
バッチ間での気泡径、発泡倍率が一定せず再現性に乏し
かったり、あるいは粒子中の気泡が、極大径の小数の
気泡と、小径の多数の気泡とが混在している不均一な気
泡のものであったりすることがあった。
【0006】これら予備発泡粒子の気泡状態は予備発泡
初期に決まり、樹脂組成の適度な均一性、樹脂の結晶形
態の均一性、発泡剤の分散安定性、発泡核の存在等に起
因していると考えられる。かかる一つとして、樹脂の結
晶形態の変化という製造上の欠点を解決すべく、特開昭
64−29444号公報が提案されている。この発明技
術は、樹脂粒子と発泡剤を分散媒に分散させた後、樹脂
の融点−10℃未満の温度に加熱して、樹脂の熱処理
(結晶形態の変化)と発泡剤の含浸を行い、容器内より
樹脂粒子と分散媒とを低圧の雰囲気に放出して樹脂粒子
を発泡させる方法(フラッシュ発泡法と呼ぶ)であり、
この技術のポイントは、熱処理及び発泡剤含浸前の樹脂
粒子として、融点以上に加熱したのち結晶化温度−30
℃以下の雰囲気にて急冷して得た樹脂粒子を用いるもの
である。そして粒子間での結晶形態の差を無くすことに
よって、ひとつのバッチ内における多数の発泡粒子間で
の気泡構造および発泡倍率のバラツキのない安定した無
架橋のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得ている。
【0007】しかしながら、この方法でも依然として前
述の問題は残っており、成形品外観を向上させ、成形品
物性を良くする気泡径および均一な気泡構造をもつ予備
発泡粒子が常時、安定して得られ難い。また一方、無架
橋ポリエチレン系樹脂の予備発泡粒子として多くの特許
発明が提案されている。すなわち特公昭60−1004
7号公報に見られるポリマー密度0.915〜0.95
0g/cm3 の線状低密度ポリエチレンを基材樹脂とす
る予備発泡粒子、特開昭59−187035号公報に見
られる分子量分布15以上でポリマー密度0.920g
/cm3 以上の線状ポリエチレンを基材樹脂とする予備
発泡粒子、特開平2−43206号公報に見られる示差
走査熱量測定によって得られるDSC曲線に2つの吸熱
ピークを有する線状低密度ポリエチレンを基材樹脂とす
る予備発泡粒子が提案されている。
【0008】しかし、これらの無架橋ポリエチレン系樹
脂の予備発泡粒子では、その無架橋樹脂予備発泡粒子を
型内融着成形して得られる成形発泡体の強靭性、繰り返
し圧縮歪耐久性という物性が、架橋ポリエチレン系樹脂
の予備発泡粒子から得られる成形発泡体並の特性値に、
まだ到達していないという問題を残していた。本発明
は、架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の欠点を解決
し、予備発泡粒子を型内融着成形して得られる成形発泡
体の有する柔軟性、強靭性、繰り返し圧縮歪耐久性が、
架橋ポリエチレン系樹脂成形発泡体と同等の物性を有す
る成形発泡体を提供し、かつ型内成形時の発泡粒子の膨
張能力および粒子同士の融着性に優れた無架橋ポリエチ
レン系樹脂の予備発泡粒子を提供することを目的として
いる。
【0009】本発明のもう一つの目的は、前記の目的を
達成する無架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造
方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、発泡前の樹脂の含
水率が発泡に影響を与えること、また無架橋ポリエチレ
ン系樹脂の特定範囲の混合組成物を用いることがその目
的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発
明を完成するに至った。
【0011】即ち本発明の一つは、ポリマー密度が0.
92〜0.94g/cm3 の範囲内にある無架橋ポリエ
チレン系樹脂からなる予備発泡粒子が、低密度ポリエチ
レン(A)20〜85重量部、高密度ポリエチレン
(B)0〜40重量部及び線状低密度ポリエチレン
(C)0〜45重量部との混合物を基材樹脂として含
み、かつ上記予備発泡粒子の発泡倍率が3〜60cm3
/g、平均気泡径が0.07〜1.0mm、粒子中の気
泡径がほぼ均一な気泡構造を有し、独立気泡率が90%
以上であることを特徴とする無架橋ポリエチレン系樹脂
予備発泡粒子である。
【0012】もう一つの発明は、低密度ポリエチレン
(A)20〜85重量部、高密度ポリエチレン(B)0
〜40重量部及び線状低密度ポリエチレン(C)0〜4
5重量部との混合物で、かつ上記混合物の密度が0.9
2〜0.94g/cm3 の範囲内である無架橋ポリエチ
レン系の混合樹脂粒子を用い、該混合樹脂粒子の含水率
を100〜1000重量ppmの範囲に調湿させたの
ち、その調湿した混合樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸さ
せ、次いで該発泡剤を含浸させた混合樹脂粒子をその混
合樹脂の融解終了点−5℃以下の温度でスチーム加熱し
て発泡させることを特徴とする無架橋ポリエチレン系樹
脂予備発泡粒子の製造方法である。
【0013】以下、本発明を図面を用いて説明する。図
1は、上記構成要件で規定する無架橋ポリエチレン系樹
脂の低密度ポリエチレン(A)含量、高密度ポリエチレ
ン(B)含量及び線状低密度ポリエチレン(C)含量の
重要性を立証する図である。この図1は、3成分或いは
2成分樹脂組成(合計100重量%)に占める各成分の
各々の割合を表す正三角図で、頂角は線状低密度ポリエ
チレン(C)100重量%、左角は低密度ポリエチレン
(A)100重量%、右角は高密度ポリエチレン(B)
100重量%を示している。図1の◎印、×印は、実施
例,比較例の結果をまとめた総合評価の記号をプロット
したもので、図1全体がひとつの解析図になっている。
【0014】つまりこの◎印、×印は、成形発泡体とし
て評価したときの、比圧縮強度、75%圧縮回復性、引
張り強さ、引張り伸びの一般物性と、耐剪断衝撃性、耐
摩耗性との各々がすべて実用に耐える水準に達している
場合を◎印、不満足な項目のある場合を×印としてまと
めている。少なくとも◎印の分布する樹脂成分の範囲は
本発明の目的達成に必要な成分領域であることが分か
る。その領域を点〔低密度ポリエチレン(A)成分、高
密度ポリエチレン(B)成分、線状低密度ポリエチレン
(C)成分(合計100重量%)〕の座標で表すと、点
16〔20,35,45〕、点17〔20,40,4
0〕、点18〔60,40,0〕、点19〔85,1
5,0〕、点20〔85,0,15〕、点21〔55,
0,45〕の六点を直線で結んでなる六辺形の領域とし
て区分することができる。
【0015】換言すれば、本発明の目的達成に必要な無
架橋ポリエチレン系樹脂の組成は、低密度ポリエチレン
(A)20〜85重量部と、高密度ポリエチレン(B)
0〜40重量部と、線状低密度ポリエチレン(C)0〜
45重量部との混合組成物であることの重要性が示され
ている。なお本発明の樹脂粒子の混合ポリマー密度は、
0.92g/cm3 以上であることが充分な圧縮強度を
有する上で好ましく、0.94g/cm3 以下であると
柔軟性があり好ましい。
【0016】図2及び図3は、予備発泡粒子の断面を拡
大した局部の模式図である。図2は本発明の予備発泡粒
子の模式図、図3は比較品の予備発泡粒子の模式図であ
る。図2、図3はいずれも、無架橋ポリエチレン系樹脂
の同一ポリマー組成のものを基材樹脂とする、同一発泡
倍率(3cm3 /g)の予備発泡粒子である。
【0017】これらの発泡粒子は、独立気泡に富む(9
0%以上)為に、一般の型内融着成形機に供し、成形発
泡体を得ることができる発泡粒子として知られている。
上記2種の各発泡粒子の発泡構造上の相違を対比する
と、図2の予備発泡粒子は、粒子中の内部(粒子の半径
をRとした時、粒子中心から0.9R内の部分)の気泡
が、比較的径寸法が揃った状態でほぼ均等に配置されて
いる。図3の予備発泡粒子は、粒子中の内部の気泡が、
大きな径の小数の気泡と、小さな径の多数の気泡とが混
在して分布している。
【0018】本発明の予備発泡粒子のもう一つの特徴
は、粒子中の気泡径がほぼ均一な気泡構造を有している
点である。粒子中の内部の気泡構造がほぼ均一である本
発明の予備発泡粒子は、比較品、従来品にはない、型内
成形時の発泡粒子の膨張能力および粒子同士の融着性に
優れ、そしてまた圧縮永久歪、繰返し圧縮永久歪の一般
物性や耐振動衝撃性、繰返し緩衝性能の実用特性に優れ
た成形発泡体を提供してくれる。これらの効果現象は、
本発明の発泡粒子を形成する気泡が欠陥の極めて少ない
構造状態にあることを意味している。
【0019】また本発明の予備発泡粒子は、発泡倍率が
3〜60cm3 /gで、平均気泡径が0.07〜1.0
mmで、かつ独立気泡率が90%以上である。発泡倍率
が3cm3 /g未満では型内成形時の粒子同士の融着性
に劣り、60cm3 /gを超える場合には型内成形性に
劣り、得られた成形発泡体の物性が低下する。発泡倍率
の特に好ましい範囲は5〜40cm3 /gである。平均
気泡径が0.07mm未満では膨張能力の高い発泡粒子
とならず、型内成形に供した場合粒子同士の融着性に劣
り、また1.0mmを超えると得られた成形発泡体は外
的視感において気泡の形状が判別され、そして凹凸化し
ており商品価値の劣るものとなる。平均気泡径の特に好
ましい範囲は0.09〜0.8mmである。独立気泡率
が90%未満の場合には、型内成形性に劣り、得られた
成形発泡体の物性が低下する。
【0020】このように本発明の無架橋ポリエチレン系
樹脂予備発泡粒子は、比圧縮強度、75%圧縮回復性、
引張り強さ、引張り伸び、圧縮永久歪、繰返し圧縮永久
歪の諸物性に優れた型内成形発泡体を提供し、繰返し落
下衝撃に耐える割れ難さ(耐剪断衝撃性)、通函として
繰返し使用しても擦り等による粉塵発生しにくい(耐摩
耗性)、繰返しの振動衝撃を受けても寸法を維持するへ
たり難さ(耐振動衝撃性)、繰返し落下衝撃を受けても
衝撃吸収量の低下しにくい(繰返し緩衝性能特性)の実
用特性すべてを高水準の値で満たすものである。
【0021】またこの要求特性の兼備度は、従来上市さ
れている無架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子のどの
成形発泡体に比べても大幅に優れており、架橋ポリエチ
レン系樹脂予備発泡粒子に匹敵するものである。次に本
発明の予備発泡粒子の製造方法について説明する。本発
明の製造方法としての主要点は、(イ)低密度ポリエチ
レン(A)20〜85重量部と、高密度ポリエチレン
(B)0〜40重量部と、線状低密度ポリエチレン
(C)0〜45重量部との混合物で、かつ上記混合ポリ
マー密度が0.92〜0.94g/cm3 の範囲内であ
る無架橋ポリエチレン系の混合樹脂粒子を用いること、
(ロ)混合樹脂粒子の含水率を100〜1000重量p
pmの範囲に調湿させたのち、その調湿した粒子に揮発
性発泡剤を含浸させること、(ハ)発泡性混合樹脂粒子
をその混合樹脂の融解終了点−5℃以下の温度でスチー
ム加熱発泡させることを採用することである。
【0022】上記の主要点(イ)の低密度ポリエチレン
(A)成分樹脂は、密度0.917〜0.930g/c
3 、融点98〜118℃,MI(メルトインデック
ス:190℃、2.16kg)0.05〜30g/10
分のものである。高密度ポリエチレン(B)成分樹脂
は、密度0.940g/cm3 以上、融点1180〜1
30℃、MIが0.05〜10g/10分のものであ
る。線状低密度ポリエチレン(C)成分樹脂は、エチレ
ンと炭素数4〜10のαーオレフィンとの共重合体であ
り、密度0.915〜0.940g/cm3 、融点12
0〜130℃、MIが0.1〜30g/10分のもので
ある。これらの混合ポリマー密度が0.92未満および
0.94g/cm3 を超える場合には、予備発泡が困難
となり好ましくない。
【0023】本発明の混合樹脂粒子は、上記組成範囲の
混合樹脂を例えば二軸押出機等の高混練り押出機で、ミ
クロに分散し均一な相容状態となるように十分に溶融混
練りしたのち、ダイスからストランド状に押出し、そし
て冷却、切断して得られる。混合手順は、予め2成分樹
脂を混練りした後それに残りの成分樹脂を添加混合す
る、或いはすべての成分樹脂を同時に混合混練りする、
いずれの方法でもよい。
【0024】上記主要点(ロ)の混合樹脂粒子の含水率
を100〜1000重量ppmの範囲に調湿させること
の意味は、成形品物性を良くする気泡径および均一な気
泡構造をもつ予備発泡粒子を常時安定して得る為であ
る。図4は、上記主要点(イ)の同一組成の混合樹脂粒
子を、同一の発泡剤およびその含有量を用いた場合の発
泡性混合樹脂粒子の含水率とそれを同一発泡法(昇温発
泡法)で発泡して得られた発泡粒子の平均気泡径との関
係を示すグラフである。この図から発泡性混合樹脂粒子
の含水率が多くなると得られる発泡粒子の平均気泡径は
小さくなる、つまり含水率が1000重量ppmを超え
ると平均気泡径が超微細(0.07mm未満)となり、
本発明の目的とする発泡粒子が得られないことが分か
る。また含水率が100重量ppm未満では、発泡粒子
の平均気泡径は大きくなりすぎ、かつ粒子中の気泡径が
図3に示すような、大きな径の小数の気泡と小さな径の
多数の気泡とが混在して分布した不均一気泡構造を有
し、本発明の発泡粒子には不向きな発泡粒子になってし
まう。この作用機構については明らかでないが、含水分
が発泡剤の溶解分散状態を高め、かつ一種の気泡核の役
割を演じているものと考えられる。そして発泡開始時の
結晶形態が粒子内で微妙に変化しやすい加熱昇温発泡法
での気泡径の不均一問題が、含水分制御によって緩和解
消されているものと推察する。
【0025】この調湿操作は、例えば密封容器内に充填
した混合樹脂粒子に調湿,調温した期待を循環させた
り、また調湿状態に放置することによって行うことがで
きる。また、この調湿操作は発泡剤含浸後の発泡性樹脂
粒子の段階で行うと発泡剤飛散量が増すという問題があ
るため、発泡剤含浸前の樹脂粒子の段階で行うことが必
要である。また、上記の調湿した樹脂粒子への発泡剤含
浸は、その工程での含水量の変化および発泡性樹脂粒子
のバッチ間での含水率バラツキが生じないように、常に
同一の含浸条件(含浸槽内の水分圧、樹脂粒子および発
泡剤の仕込量等)で行うのが望ましい。
【0026】上記、主要点(ロ)が充足されていても、
上記主要点(ハ)の発泡性混合樹脂粒子をその混合樹脂
の融解終了点−5℃以下の温度でスチーム加熱発泡させ
ないと、成形品物性を良くするところの、粒子中の気泡
径が均一な気泡構造をもつ予備発泡粒子を得ることはで
きない。すなわち、混合樹脂の融解終了点−5℃以上の
温度でスチーム加熱発泡させると、粒子中の気泡径が図
3に示すような、大きな径の小数の気泡と小さな径の多
数の気泡とが混在して分布した不均一気泡構造を有する
発泡粒子になってしまう。
【0027】この現象は、発泡温度が融点を超え結晶融
解終了温度に近くなると、結晶形態の変化ゆらぎが大き
く、かつムラを生じ、その結果気泡核発生ムラ、気泡成
長速度ムラを引き起こしているものと推察する。図3
は、図2に示す予備発泡粒子を得た本発明の製造方法に
おける昇温発泡法を、フラッシュ発泡法に変更した他は
同一の組成混合樹脂粒子、発泡剤および発泡温度で、同
一発泡倍率の予備発泡粒子を得た時の粒子断面の模式図
である。
【0028】フラッシュ発泡法を用いた場合、図3に示
した通りの、不均一な気泡構造の発泡粒子になってしま
う。その原因は、熱水懸濁系容器内での発泡剤含浸の際
に、高温の水分雰囲気状態に長時間曝されることによっ
て、樹脂粒子内に発生するミクロボイドに起因している
ものと推察する。上述のごとく、主要点(ロ)および
(ハ)の発泡条件を用いることによって、図2に示すよ
うな粒子中の内部(粒子の半径をRとした時、粒子中心
から0.9R内の部分)の気泡が、比較的径寸法が揃っ
た状態でほぼ均等に配置された予備発泡粒子を得ること
ができる。さらに発泡性樹脂粒子の含水率をある一定の
値に調湿することにより、目標とする平均気泡径の予備
発泡粒子が再現性よく常時安定して得ることができる。
【0029】高発泡倍率の予備発泡粒子を得ようとする
場合、発泡剤含浸量を多くして一段で加熱発泡してもよ
く、また多段階に発泡させてもよい。発泡段階を多くす
ることは、高発泡倍率の発泡粒子を得るのには有利であ
る。本発明に用いられる揮発性発泡剤としては、二酸化
炭素、プロパン、ブタン、ペンタン、1−1−1−2テ
トラフルオロエタン(F−134a)、1−1ジフルオ
ロエタン(F−152a)、塩化メチレン、塩化エチレ
ンなどが挙げられる。その中でも、フロン規制の問題が
無く不燃である二酸化炭素は望ましい発泡剤である。
【0030】本発明の無架橋ポリエチレン系樹脂は、前
記特定範囲の樹脂組成を基材樹脂として、本発明の目的
を損わない範囲で20重量部未満の他のポリオレフィ
ン、例えば、ポリプロピレン,エチレンープロピレン共
重合体等を混合してもよい。また紫外線吸収剤,帯電防
止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤等の添加剤類を目的に
応じて適宜添加することもできる。
【0031】上述した本発明の製造方法に基づけば、従
来の無架橋のポリエチレン系樹脂予備発泡粒子では持っ
ていなかった架橋ポリエチレン系樹脂成形発泡体と同等
の物性を有する成形発泡体を提供し、かつ型内成形時の
発泡粒子の膨張能力および粒子同士の融着性に優れた予
備発泡粒子を提供するところの本発明の無架橋ポリエチ
レン系樹脂予備発泡粒子はおのずと作成することが出来
る。
【0032】本発明で使用した特性値の評価方法、評価
尺度を下記に示す。 〔ポリマー密度(g/cm3 )〕ASTMD−1505
に準じて測定した。 〔調湿後の含水率(ppm)〕カールフィッシャー法に
よって樹脂粒子中の水分率を測定した。
【0033】〔発泡粒子の発泡倍率(cm3 /g)〕重
量(Wg)既知の発泡粒子の容積(Vcm3 )を水没法
で測定し、その容積を重量で除した値である。 〔平均気泡径(mm)〕発泡粒子を任意に直交する3つ
の面で切断して得られる三次元軸のそれぞれの軸上にお
いて、任意の長さL(1mm以上)あたりの気泡の数を
読み、次式により求めた値である。 平均気泡径
(mm)=L(mm)/気泡の数 〔発泡粒子内気泡の均一性〕発泡粒子の略中央部を鋭利
な刃物で切断し、前処理を行った検鏡用資料の切断面全
体を走査型電子顕微鏡を用いて拡大し撮影する。この撮
影フィルムから拡大率150倍、寸法340×240m
mの写真画像を作成した。この写真画像より、粒子中の
内部(粒子の半径をRとした時、粒子中心から0.9R
内の部分)の気泡が、比較的径寸法が揃った状態でほぼ
均等に配置されているのを「均一」であるとし、小さな
径の多数の気泡と、この小径気泡より倍以上の大きさの
大きな径の小数の気泡とが混在して分布しているのを
「不均一」であると表現した。
【0034】〔独立気泡率(%)〕ASTMD−285
6に記載されているエアーピクノメーター法(BECM
AN製,モデル930)により測定した。 n=10の
平均。 〔予備発泡粒子の試作再現性〕発泡剤の含浸そして加熱
発泡試作を10バッチ行い、各々バッチ毎に平均気泡径
(mm)を測定し、次式により算出評価した。
【0035】再現性(%)=100(平均気泡径の最大
値−最小値)/10個の平均気泡径値の平均値 評価尺度 区分 記号 備考 10%以下の場合 ○ 優れる 10%を超え30%以下の場合 △ 良好 30%を超える場合 × 不良 〔融着度〕約300×300×50mmの板状成形体品
を成形し、この成形品より100×100mm正方形状
の試験片を切り出し、その中央部に深さ2mmの切れ目
を入れ、切れ目にそっておりまげて成形品を開裂させ、
切開断面に存在する全粒子数に対する気泡部で材料破断
して切裂している粒子数の百分率(打破率)を求めた。
【0036】 評価尺度 区分 記号 備考 材破率90%以上の場合 ○ 優れる 材破率90%未満、80%以上の場合 △ 良好 材破率80%未満の場合 × 不良 〔対金型寸法収縮率〕成形発泡体の成形用金型に対する
収縮率により下記の如く評価した。
【0037】 評価尺度 区分 記号 備考 2.5%以下の場合 ○ 優れる 2.5%を超え3.5%以下の場合 △ 良好 3.5%を超える場合 × 不良 〔成形可能温度幅〕成形発泡体の融着度,対金型寸法収
縮率がいずれも○以上を合格とし、合格品を得る為の成
形加熱水蒸気圧の上限と下限との差を成形可能温度幅と
し、下記の如く評価した。
【0038】 評価尺度 区分 記号 備考 0.15Kg/cm2 以上の場合 ○ 優れる 0.15Kg/cm2 未満0.05Kg/cm2 以上の場合 △ 良好 0.05Kg/cm2 以上の場合 × 不良 〔成形発泡体の見かけの密度(g/cm3 )〕試験片か
ら10×10cm角のサイズに正確に切り出し、その重
量と厚みを計測して、重量を体積で除した単位体積あた
りの重さで表した値である。
【0039】〔成形発泡体の表面外観〕下記の如く評価
した。 評価尺度 区分 記号 備考 表面凹凸、シワがなく平滑美麗な場合 ○ 優れる 表面凹凸、シワがやや目立つ場合 △ 良好 表面凹凸、シワが激しく平坦でない場合 × 不良 〔圧縮強度〕JISK−6767に準じて測定した。2
5%歪を生じた時の圧縮応力値である。
【0040】〔比圧縮強度〕圧縮強度の値を見かけの密
度の値で除したもので、下記の如く評価した。 評価尺度 区分 記号 備考 20以上の値の場合 ○ 優れる 20未満18以上の値の場合 △ 良好 18未満の値の場合 × 不良 〔75%圧縮歪回復率〕厚さが40mmで50mm四方
の板状試験片を圧縮速度10mm/分で厚さが10mm
になるまで厚さ方向に全面圧縮したのち、同じ速度で除
圧し、圧縮応力がゼロになったときの厚さtを測定し、
次式で求め評価した。
【0041】 75%圧縮歪回復率(%)=100(40−t)/40 評価尺度 区分 記号 備考 18%未満の値の場合 ○ 優れる 21%未満18%以上の値の場合 △ 良好 21%以上の値の場合 × 不良 〔引張り強さ〕JISK−6767 A法に準じて測定
し、下記の如く評価した。
【0042】 評価尺度 区分 記号 備考 4kg/cm2 以上の値の場合 ○ 優れる 4kg/cm2 未満3kg/cm2 以上の値の場合 △ 良好 3kg/cm2 未満の値の場合 × 不良 〔引張り伸び〕JISK−6767 A法に準じて測定
し、下記の如く評価した。
【0043】 評価尺度 区分 記号 備考 24%以上の値の場合 ○ 優れる 24%未満20%以上の値の場合 △ 良好 20%未満の値の場合 × 不良 〔圧縮永久歪〕JISK−6767に準じて測定した。
実験条件は25%一定圧縮とし、下記の如く評価した。
【0044】 評価尺度 区分 記号 備考 5%以下の場合 ○ 優れる 5%を超え7%以下の場合 △ 良好 7%を超える場合 × 不良 〔繰返し圧縮永久歪〕JISK−6767に準じて測定
した。実験条件は25%圧縮、8万回繰返しとした。そ
して下記の如く評価した。
【0045】 評価尺度 区分 記号 備考 7%以下の場合 ○ 優れる 7%を超え10%以下の場合 △ 良好 10%を超える場合 × 不良 〔耐剪断衝撃性〕厚み30mm、内寸法70×70×7
0mmのコーナーパッドを成形加工し、三角錐型落下用
ダミーに取付、一平面(70×70mm)換算の静的応
力0. 05kg/cm2 の条件で、5cmきざみで落下
高さを変え、角落下させ、コーナーパッド試験体にクラ
ック割れが発生しない限界落下高さを求め、下記の如く
評価をした。
【0046】 評価尺度 区分 記号 備考 50cm以上の値の場合 ○ 優れる 50cm未満40cm以上の値の場合 △ 良好 40cm未満の値の場合 × 不良 〔耐摩耗性〕JISL−1048に準じて、往復距離1
00mm、接触面積10mm2 の摩耗試験に、サンドペ
ーパー(AA−320)を取り付けた荷重300gの摩
耗体を平滑な成形発泡品の表面に30回/分で300回
往復させた後の摩耗量を測定し、次の如く評価をした。
【0047】 評価尺度 区分 記号 備考 6mg/10cm2 以下の場合 ○ 優れる 6mg/10cm2 を超え10mg/10cm2 以下の場合 △ 良好 10mg/10m2 を超える場合 × 不良 〔耐振動衝撃性〕荷重0.08kg/cm2 、振動数1
0Hz、加振衝撃値2.5Gの条件で振動試験機(MT
S社製、840−02A)に60分間かけ、試験片の厚
みを測定し、次の式で計算し評価した。(n=3の平
均) 厚み保持率(%)=(振動試験後の厚さ/初めの厚さ)
×100 評価尺度 区分 記号 備考 80%以上の値の場合 ○ 優れる 80%未満60%以上の値の場合 △ 良好 60%未満の値の場合 × 不良 〔繰返し緩衝性能の低下率〕JISZ−1235に準
じ、試験片厚み40mm,落下高さ60mmから5回連
続して落下し、1回目および2〜5回の平均の最大加速
度と静的応力との関係曲線を求め、最適応力下での最大
加速度の変化率を次の式で計算し、評価した。 (n=3の平均) 低下率(%) =100(2〜5回落下の平均の最大加速度−1回目落
下の最大加速度)/1回目落下の最大加速度 評価尺度 区分 記号 備考 25%以下の場合 ○ 優れる 25%を超え28%以下の場合 △ 良好 28%を超える場合 × 不良 〔総合評価〕評価結果を総合するものとして、次の尺度
の評価をした。
【0048】 評価尺度 区分 記号 備考 総てが○印 ◎ 市場要求品質 ×印が1個以上 × 従来の品質
【0049】
【実施例】以下本発明を実施例を用いて説明する。
【0050】
【実施例1、比較例1】以下の実験は、本発明で言う粒
子中の気泡径がほぼ均一な気泡構造を有する予備発泡粒
子の意義を示すためのものである。換言すれば、本発明
で得た均一な気泡構造が満たされてなければ、優れた物
性をもつ成形発泡体は提供されるものでない事実の実証
である。
【0051】(実験No.1)低密度ポリエチレン
(A)を表1のI樹脂とする50重量部と、高密度ポリ
エチレン(B)を表1のIII樹脂とする20重量部
と、線状低密度ポリエチレン(C)を表1のIV樹脂と
する30重量部との混合物を93ミリの二軸押出機を用
いて溶融混練し、押出機の先端に取付けたダイスよりス
トランド状に押出し、冷却切断して樹脂粒子を製造し
た。この混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.933
g/cm3 、結晶融解終了温度130℃であった。この
樹脂粒子を10℃で90%の湿度を有する密封容器内に
充填し、24時間調湿した。この調湿した樹脂粒子の含
水率をカールフィッシャー法によって測定したところ、
含水率は350重量ppmであった。0.15m3 の耐
圧容器内にこの調湿した樹脂粒子80kgを収容し、発
泡剤として二酸化炭素(気体)注入し圧力30kg/c
2 G、温度8℃の条件下で4時間かけて樹脂粒子中に
二酸化炭素を含浸した。この発泡性樹脂粒子の含水率を
カールフィッシャー法によって測定したところ、含水率
は含浸前と変化なく350重量ppmであった。次にこ
の発泡性樹脂粒子4kgを0.1m3 の発泡装置(脱気
昇温方式)に収容して、槽内温度を80℃から120℃
まで20秒間かけて昇温し更にその温度を保持しながら
10秒間水蒸気加熱発泡した。この発泡操作を20回/
バッチ行った。そして上記の調湿操作、発泡剤含浸操作
及び発泡操作を10バッチ行い予備発泡粒子を得た。こ
れを実験No.1とする。得られた予備発泡粒子は、発
泡倍率3.0cm3 /gで、10バッチ間での平均気泡
径(mm)の最大値が0.13mm、最小値が0.12
mmで、再現性が良く、独立気泡率100%のものであ
った。また、この実験で得られた予備発泡粒子の断面を
拡大した局部の模式図を図2に示す。図2によると、本
発明の予備発泡粒子は粒子中の内部(粒子の半径をRと
した時、粒子中心から0.9R内の部分)の気泡が、比
較的径寸法が揃った状態でほぼ均等に配置されているこ
とが分かる。
【0052】表2の実験No.2〜6(本発明の実施例
1)と実験No.7〜15(比較例1)とは、本発明の
製造条件を採用することによって、本発明品が完成され
るものである事を実証しようとしたものであり、実験N
o.1に対し樹脂粒子の調湿条件、発泡温度、発泡方法
を下記に変更して行った。 (実験No.2)実験No.1の調湿条件を10℃で4
0%の湿度を有する密封容器内で調湿し、カールフィッ
シャー法によって測定したところの調湿した樹脂粒子の
含水率を100重量ppmとした以外は、実験No.1
と同様にして、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡
粒子は、発泡倍率3.0cm3 /gで、10バッチ間で
の平均気泡径(mm)の最大値が0.32mm、最小値
が0.30mmで、再現性が良く、粒子中の内部の気泡
が図2と同様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率100
%のものであった。
【0053】(実験No.3)実験No.1の調湿条件
を30℃で95%の湿度を有する密封容器内で調湿し、
カールフィッシャー法によって測定したところの調湿し
た樹脂粒子の含水率を1000重量ppmとした以外
は、実験No.1と同様にして、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子は、発泡倍率3.0cm3 /g
で、10バッチ間での平均気泡径(mm)の最大値が
0.080mm、最小値が0.075mmで、再現性が
良く、粒子中の内部の気泡が図2と同様な均一気泡構造
を持つ、独立気泡率100%のものであった。
【0054】(実験No.4)実験No.1の発泡温度
を125℃に変更した以外は、実験No.1と同様にし
て予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、発泡
倍率4.5cm3 /gで、10バッチ間での平均気泡径
(mm)の最大値が0.18mm、最小値が0.17m
mで、再現性が良く、粒子中の内部の気泡が図2と同様
な均一気泡構造を持つ、独立気泡率100%のものであ
った。
【0055】(実験No.5)実験No.1で得られた
予備発泡粒子を用い、この予備(一次)発泡粒子を実験
No.1のバッチ毎に加圧加温装置に収容し、80℃の
温度下で高圧空気を用い9.5kg/cm2 Gまで1時
間かけて昇圧し更に4時間その圧力を保持して、一次発
泡粒子の気泡内圧を高め膨張能を付与した。次にこの膨
張性一次発泡粒子を実験No.1と同じ条件で発泡し、
発泡倍率10cm3 /gの二次発泡粒子を得た。更に二
次発泡粒子に、上記二次発泡粒子を得た条件と同じ条件
で膨張能処理と加熱発泡処理を行い三次発泡粒子を得
た。得られた三次発泡粒子は、発泡倍率30cm3 /g
で、10バッチ間での平均気泡径(mm)の最大値が
0.30mm,最小値が0.29mmで、再現性が良
く、粒子中の内部の気泡が図2と同様な均一気泡構造を
持つ、独立気泡率98%のものであった。
【0056】(実験No.6)実験No.5の発泡粒子
を用い、この三次発泡粒子をバッチ毎に加圧加温装置に
収容し、80℃の温度下で高圧空気を用い9.5kg/
cm2 Gまで4時間かけて昇圧し更に1時間その圧力を
保持して、三次発泡粒子の気泡内圧を高め膨張能を付与
した。次にこの膨張性三次発泡粒子を実験No.5と同
じ条件で加熱発泡処理を行い四次発泡粒子を得た。得ら
れた四次発泡粒子は、発泡倍率60cm 3 /gで、10
バッチ間での平均気泡径(mm)の最大値が1.00m
m、最小値が0.93mmで、再現性が良く、粒子中の
内部の気泡が図2と同様な均一気泡構造を持つ、独立気
泡率97%のものであった。
【0057】(実験No.7)実験No.1での調湿条
件を行わずに、実験No.1と同様にして、予備発泡粒
子を得た。すなわち、1回目のバッチは、実験No.1
での製造直後の樹脂粒子を用いた(この樹脂粒子の含水
率をカールフィッシャー法によって測定したところ、含
水率は130重量ppmであった)。この製造直後の樹
脂粒子から得られた予備発泡粒子は、発泡倍率3.0c
3 /gで、平均気泡径0.35mmで、粒子中の内部
の気泡が図2と同様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率
100%のものであった。2〜5回目のバッチは上記の
製造直後の樹脂粒子を高温(25〜45℃)高湿(50
〜95%)の雰囲気に2日間曝しておいた樹脂粒子を用
いた(この樹脂粒子の含水率をカールフィッシャー法に
よって測定したところ、含水率は830重量ppmであ
った)。得られた予備発泡粒子は、発泡倍率3.0cm
3 /gで、平均気泡径0.085mmで、粒子中の内部
の気泡が図2と同様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率
100%のものであった。6〜8回目のバッチは上記の
製造直後の樹脂粒子を高温(25〜45℃)高湿(50
〜95%)の雰囲気に5日間曝しておいた樹脂粒子を用
いた(この樹脂粒子の含水率をカールフィッシャー法に
よって測定したところ、含水率は1200重量ppmで
あった)。得られた予備発泡粒子は、発泡倍率2.7c
3 /gで、平均気泡径0.065mmで、粒子中の内
部の気泡が図2と同様な均一気泡構造を持つ、独立気泡
率100%のものであった。更に9〜10回目のバッチ
は、製造直後の樹脂粒子がその表面が水で濡れた状態で
10日間保管しておいた樹脂粒子を用いた(この樹脂粒
子の含水率は1500重量ppmであった)。得られた
予備発泡粒子は、発泡倍率2.7cm3 /gで、平均気
泡径0.020mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同
様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率100%のもので
あった。これら10バッチ分の予備発泡粒子は、発泡倍
率2.8cm3 /gで、10バッチ間での平均気泡径
(mm)の最大値が0.35mm、最小値が0.02m
mで、発泡再現性のないものであった。
【0058】(実験No.8)実験No.1の調湿条件
を90℃で約0%の湿度を有する密封容器内で調湿し、
カールフィッシャー法によって測定したところの調湿し
た樹脂粒子の含水率を50重量ppmとした以外は、実
験No.1と同様にして、予備発泡粒子を得た。得られ
た予備発泡粒子は、発泡倍率3.1cm3 /gで、10
バッチ間での平均気泡径(mm)の最大値が0.43m
m,最小値が0.40mmで、発泡再現性は良いが、粒
子中の内部の気泡は図3の如く、大きな径の小数の気泡
と、小さな径の多数の気泡とが混在して分布した不均一
な気泡構造であり、独立気泡率98%のものであった。
【0059】(実験No.9)実験No.1の調湿条件
を50℃で95%の湿度を有する密封容器内で調湿し、
カールフィッシャー法によって測定したところの調湿し
た樹脂粒子の含水率を1500重量ppmとした以外
は、実験No.1と同様にして、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子は、発泡倍率2.7cm3 /g
で、10バッチ間での平均気泡径(mm)の最大値が
0.020mm、最小値が0.016mmで、発泡再現
性がやや悪く、粒子中の内部の気泡が図2と同様な均一
気泡構造を持つ、独立気泡率95%のものであった。
【0060】(実験No.10)実験No.1の発泡温
度を127℃に変更した以外は、実験No.1と同様に
して予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、発
泡倍率5.0cm3 /gで、10バッチ間での平均気泡
径(mm)の最大値が0.20mm、最小値が0.15
mmで、発泡再現性がやや悪く、粒子中の内部の気泡が
図3の如く、大きな径の小数の気泡と、小さな径の多数
の気泡とが混在して分布した不均一な気泡構造であり、
独立気泡率96%のものであった。
【0061】(実験No.11)実験No.8の発泡粒
子を用い、実験No.5の二次、三次発泡条件で三次発
泡粒子を得た。得られた三次発泡粒子は、発泡倍率30
cm3 /gで、10バッチ間での平均気泡径(mm)の
最大値が1.03mm、最小値が0.96mmで、発泡
再現性は良いが、粒子中の内部の気泡は図3の如く、大
きな径の小数の気泡と、小さな径の多数の気泡とが混在
して分布した不均一な気泡構造であり、独立気泡率93
%のものであった。
【0062】(実験No.12)実験No.11の三次
発泡粒子を用い、この三次発泡粒子をバッチ毎に加圧加
温装置に収容し、80℃の温度下で高圧空気を用い9.
5kg/cm2 Gまで4時間かけて昇圧し更に1時間そ
の圧力を保持して、三次発泡粒子の気泡内圧を高め膨張
能を付与した。次にこの膨張性三次発泡粒子を実験N
o.11と同じ条件で加熱発泡処理を行い四次発泡粒子
を得た。得られた四次発泡粒子は、発泡倍率60cm3
/gで、10バッチ間での平均気泡径(mm)の最大値
が1.30mm,最小値が1.21mmで、発泡再現性
は良いが、粒子中の内部の気泡は図3の如く、大きな径
の小数の気泡と、小さな径の多数の気泡とが混在して分
布した不均一な気泡構造であり、独立気泡率80%のも
のであった。
【0063】(実験No.13)実験No.9の発泡粒
子を用い、実験No.5の二次、三次発泡条件で三次発
泡粒子を得た。得られた三次発泡粒子は、発泡倍率15
cm3 /gで目標倍率30cm3 /gに到達せず、10
バッチ間での平均気泡径(mm)の最大値が0.040
mm、最小値が0.032mmで、発泡再現性がやや悪
く、粒子中の内部の気泡が図2と同様な均一気泡構造を
持つ、独立気泡率60%のものであった。
【0064】(実験No.14)耐圧容器内に実験N
o.1の調湿した樹脂粒子100重量部、発泡剤として
二酸化炭素16重量部、水450重量部、分散剤として
塩基性炭酸マグネシウム3重量部を収容し、攪拌下で1
20℃に昇温し、45分間保持して樹脂中に発泡剤を含
浸したのち、容器内圧を30kg/cm2 Gの窒素ガス
で加圧しつつ容器の一端を開放し大気中に放出発泡し
て、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、発
泡倍率3.0cm3 /gで、10バッチ間での平均気泡
径(mm)の最大値が0.50mm,最小値が0.40
mmで、発泡再現性がやや悪く、独立気泡率99%のも
のであった。また、この実験で得られた予備発泡粒子の
断面を拡大した局部の模式図を図3に示す。図3による
と、粒子中の内部(粒子の半径をRとした時、粒子中心
から0.9R内の部分)の気泡は、大きな径の小数の気
泡と、小さな径の多数の気泡とが混在して分布した不均
一な気泡構造であることが分かる。
【0065】(実験No.15)実験No.14の発泡
粒子を用い、実験No.5の二次、三次発泡条件で三次
発泡粒子を、そして実験No.6の四次発泡条件で四次
発泡粒子を得た。得られた四次発泡粒子は、発泡倍率6
0cm3 /gで、10バッチ間での平均気泡径(mm)
の最大値が0.95mm、最小値が0.80mmで、発
泡再現性がやや悪く、粒子中の内部の気泡が図3の如
く、大きな径の小数の気泡と、小さな径の多数の気泡と
が混在して分布した不均一な気泡構造であり、独立気泡
率96%のものであった。
【0066】上記実験No.1〜3,実験No.7〜9
の、同一組成の混合樹脂粒子を、同一の発泡剤およびそ
の含有量を用いた場合の発泡性混合樹脂粒子の含水率と
それを同一発泡法(昇温発泡法)で発泡して得た発泡粒
子の平均気泡径との関係を図4にまとめて示す。この図
から発泡性混合樹脂粒子の含水率が多くなると得られる
発泡粒子の平均気泡径は小さくなる。つまり含水率が1
000重量ppmを超えると平均気泡径が超微細(0.
07mm未満)となり、本発明の目的とする発泡粒子が
得られないことが分かる(実験No.13にて立証)。
また含水率が100重量ppm未満では、発泡粒子の平
均気泡径は大きくなりすぎ、かつ粒子中の気泡径が図3
に示されるように、大きな径の小数の気泡と小さな径の
多数の気泡とが混在して分布した不均一気泡構造を有
し、本発明の発泡粒子には不向きな発泡粒子になってし
まうことが分かる。
【0067】上記実験No.1、4と実験No.10の
対比にて、発泡性混合樹脂粒子をその混合樹脂の融解終
了点−5℃以下の温度でスチーム加熱発泡させないと、
成形品物性を良くするところの、粒子中の気泡径が均一
な気泡構造をもつ予備発泡粒子を得ることはできない。
すなわち混合樹脂の融解終了点−5℃以上の温度でスチ
ーム加熱発泡させると、粒子中の気泡径が図3に示され
るように、大きな径の小数の気泡と小さな径の多数の気
泡とが混在して分布した不均一気泡構造を有する発泡粒
子になってしまうことが分かる。
【0068】また実験No.1と実験No.14、実験
No.6と実験No.15の対比にて、図2に示すよう
な粒子中の内部(粒子の半径をRとした時、粒子中心か
ら0.9R内の部分)の気泡が、比較的径寸法が揃った
状態でほぼ均等に配置された予備発泡粒子が得られる本
発明の昇温発泡法を、フラッシュ発泡法に変更した場合
は図3に示した通りの、不均一な気泡構造の発泡粒子に
なってしまうことが分かる。
【0069】次いで、上記実験No.1〜15の各々の
予備発泡粒子について、これを小孔を有する閉鎖金型
(内寸法300×300×75mm)に充填したのち、
金型開度を50mmに圧縮(圧縮率33%)して型内で
加熱発泡融着させ、成形発泡体を得た。この場合の加熱
には水蒸気を用い、1.2〜1.4kg/cm2 Gの成
形加熱を行い、後冷却して型から取りだした。取りだし
た成形体は60℃の室内で8時間熟成させた。この成形
性能と得られた成形発泡体の物性を前記記載の方法で評
価し、その結果を表2にまとめた。
【0070】表2によると、本発明の実施例1による予
備発泡粒子(実験No.1〜6のもの)は、比較例1に
よるもの(実験No.7〜15のもの)よりも、型内融
着成形性(融着度、対金型寸法収縮率)に優れており、
型内成形して得た成形発泡体の表面外観、圧縮永久歪の
物性が品位のある高度な値を示すことが分かる。この結
果は、本発明の予備発泡粒子の特徴であるところの、発
泡倍率が3〜60cm 3 /gで、平均気泡径が0.07
〜1.0mmで粒子中の気泡径がほぼ均一な気泡構造を
有し、かつ独立気泡率が90%以上であることを意味
し、特に粒子中の気泡径がほぼ均一であるため、欠陥の
極めて少ない気泡構造状態にあることを示唆しているも
のである。
【0071】
【実施例2、比較例2】ここでの実験は、本発明で言う
樹脂成分領域からなる予備発泡粒子の重要性を示すため
のものである。換言すれば、本発明の基材樹脂で得た予
備発泡粒子でなければ、優れた物性をもつ成形発泡体は
提供されるものでない事実の実証である。
【0072】以下の実験は、実験No.1の樹脂成分組
成、発泡温度を下記のように変更して一次発泡粒子を
得、次いで実験No.5の二次、三次発泡条件で発泡倍
率30cm3 /gの三次発泡粒子となるように行ったも
のである。 (実験No.16)低密度ポリエチレン(A)を表1の
I樹脂とする20重量部と、高密度ポリエチレン(B)
を表1のIII樹脂とする35重量部と、線状低密度ポ
リエチレン(C)を表1のIV樹脂とする45重量部と
の混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。この
混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.936g/cm
3 、結晶融解終了温度130℃であった。発泡温度12
0℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気泡径
が0.25mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同様な
均一気泡構造を持つ、独立気泡率100%のものであっ
た。
【0073】(実験No.17)低密度ポリエチレン
(A)を表1のI樹脂とする20重量部と、高密度ポリ
エチレン(B)を表1のIII樹脂とする40重量部
と、線状低密度ポリエチレン(C)を表1のIV樹脂と
する40重量部との混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子
を製造した。この混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度
0.938g/cm3 、結晶融解終了温度130℃であ
った。発泡温度120℃で発泡した。得られた三次発泡
粒子は、平均気泡径が0.22mmで、粒子中の内部の
気泡が図2と同様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率9
8%のものであった。
【0074】(実験No.18)低密度ポリエチレン
(A)を表1のI樹脂とする60重量部と、高密度ポリ
エチレン(B)を表1のIII樹脂とする40重量部と
の混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。この
混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.939g/cm
3 、結晶融解終了温度129℃であった。発泡温度12
0℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気泡径
が0.22mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同様な
均一気泡構造を持つ、独立気泡率98%のものであっ
た。
【0075】(実験No.19)低密度ポリエチレン
(A)を表1のI樹脂とする85重量部と、高密度ポリ
エチレン(B)を表1のIII樹脂とする15重量部と
の混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。この
混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.933g/cm
3 、結晶融解終了温度129℃であった。発泡温度12
0℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気泡径
が0.29mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同様な
均一気泡構造を持つ、独立気泡率96%のものであっ
た。
【0076】(実験No.20)低密度ポリエチレン
(A)を表1のI樹脂とする85重量部と、線状低密度
ポリエチレン(C)を表1のIV樹脂とする15重量部
との混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。こ
の混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.928g/c
3 、結晶融解終了温度122℃であった。発泡温度1
16℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気泡
径が0.32mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同様
な均一気泡構造を持つ、独立気泡率97%のものであっ
た。
【0077】(実験No.21)低密度ポリエチレン
(A)を表1のII樹脂とする55重量部と、線状低密
度ポリエチレン(C)を表1のIV樹脂とする45重量
部との混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。
この混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.923g/
cm3 、結晶融解終了温度122℃であった。発泡温度
115℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気
泡径が0.35mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同
様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率100%のもので
あった。
【0078】(実験No.22)低密度ポリエチレン
(A)を表1のI樹脂とする30重量部と、高密度ポリ
エチレン(B)を表1のIII樹脂とする20重量部
と、線状低密度ポリエチレン(C)を表1のIV樹脂と
する50重量部との混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子
を製造した。この混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度
0.933g/cm3 、結晶融解終了温度128℃であ
った。発泡温度120℃で発泡した。得られた三次発泡
粒子は、平均気泡径が0.28mmで、粒子中の内部の
気泡が図2と同様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率9
8%のものであった。
【0079】(実験No.23)低密度ポリエチレン
(A)を表1のI樹脂とする15重量部と、高密度ポリ
エチレン(B)を表1のIII樹脂とする40重量部
と、線状低密度ポリエチレン(C)を表1のIV樹脂と
する45重量部との混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子
を製造した。この混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度
0.938g/cm3 、結晶融解終了温度129℃であ
った。発泡温度120℃で発泡した。得られた三次発泡
粒子は、平均気泡径が0.22mmで、粒子中の内部の
気泡が図2と同様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率9
8%のものであった。
【0080】(実験No.24)低密度ポリエチレン
(A)を表1のII樹脂とする50重量部と、高密度ポ
リエチレン(B)を表1のIII樹脂とする50重量部
との混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。こ
の混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.938g/c
3 、結晶融解終了温度129℃であった。発泡温度1
20℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気泡
径が0.22mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同様
な均一気泡構造を持つ、独立気泡率95%のものであっ
た。
【0081】(実験No.25)低密度ポリエチレン
(A)を表1のI樹脂とする90重量部と、高密度ポリ
エチレン(B)を表1のIII樹脂とする10重量部と
の混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。この
混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.932g/cm
3 、結晶融解終了温度128℃であった。発泡温度12
0℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気泡径
が0.30mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同様な
均一気泡構造を持つ、独立気泡率90%のものであっ
た。
【0082】(実験No.26)低密度ポリエチレン
(A)を表1のII樹脂とする90重量部と、線状低密
度ポリエチレン(C)を表1のIV樹脂とする10重量
部との混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。
この混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.922g/
cm3 、結晶融解終了温度121℃であった。発泡温度
115℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気
泡径が0.35mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同
様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率90%のものであ
った。
【0083】(実験No.27)低密度ポリエチレン
(A)を表1のII樹脂とする50重量部と、線状低密
度ポリエチレン(C)を表1のIV樹脂とする50重量
部との混合樹脂組成を用い、混合樹脂粒子を製造した。
この混合樹脂粒子は、混合ポリマー密度0.923g/
cm3 、結晶融解終了温度122℃であった。発泡温度
115℃で発泡した。得られた三次発泡粒子は、平均気
泡径が0.35mmで、粒子中の内部の気泡が図2と同
様な均一気泡構造を持つ、独立気泡率96%のものであ
った。
【0084】上記実験No.16〜27および実施例
1、比較例1の実験No.5、6、11、12の各々の
予備発泡粒子を耐圧容器に入れ、常温のまま空気圧をか
けることにより元のかさ容積の65%(圧縮率35%)
に圧縮し、これを空胴部が305×305×103m
m、厚み21mmの箱型を形成する型および305×3
05×52mmの内寸法を有する閉鎖金型そのままに充
填し、0.7〜1.6kg/cm2 Gの水蒸気で加熱発
泡融着したのち、冷却して型より取りだした。取りだし
た成形体は60℃の室内で8時間熟成させて、成形発泡
体を得た。この成形性能と得られた成形発泡体の物性を
前記記載の方法で評価し、その結果を表3、表4にまと
めた。
【0085】表3及び表4によると、本発明の予備発泡
粒子(実験No.5、6、16〜21のもの)は比較品
(実験No.11、12、22〜27のもの)よりも、
型内融着成形可能温度幅が広く、型内成形性に優れてお
り、型内成形して得た成形発泡体の比圧縮強度、75%
圧縮回復性、引張り強さ、引張り伸びの一般物性と、耐
剪断衝撃性、耐摩耗性との各々がすべて実用に耐える高
度な値を示すことが分かる。この結果は、本発明の予備
発泡粒子の特徴であるところの無架橋ポリエチレン系基
材樹脂組成が、低密度ポリエチレン(A)20〜85重
量部と、高密度ポリエチレン(B)0〜40重量部と、
線状低密度ポリエチレン(C)0〜45重量部との混合
組成物であることの重要性を示唆しているものである。
【0086】図1は、上記実施例で規定する無架橋ポリ
エチレン系樹脂の低密度ポリエチレン(A)含量、高密
度ポリエチレン(B)含量及び線状低密度ポリエチレン
(C)含量の重要性を立証する図である。実施例の結果
をまとめた総合評価の記号をプロットしたもので、少な
くとも◎印の分布する樹脂成分の範囲は本発明の目的達
成に必要な成分領域であることが分かる。
【0087】
【比較例3】この実験は、本発明の予備発泡粒子で得た
成形発泡体が市販の無架橋ポリエチレン系予備発泡粒子
からなる成形発泡体よりも優れた特性を持つことを示す
ためのものである。下記の市販の成形発泡体の特性を評
価して表4に併記した。
【0088】 メーカー 名称 素材 主用途 A 社製 架橋PEビーズ成形発泡体 架橋低密度PE 緩衝包装体 A 社製 無架橋PEビーズ成形発泡体 高密度PE 緩衝包装体 K 社製 無架橋PEビーズ成形発泡体 線状低密度PE 緩衝包装体 表4によると、本発明の無架橋ポリエチレン系樹脂予備
発泡粒子は、表面外観、比圧縮強度、75%圧縮回復
性、引張り強さ、引張り伸び、圧縮永久歪、繰返し圧縮
永久歪の諸物性に優れた型内成形発泡体を提供し、繰返
し落下衝撃に耐える割れ難さ(耐剪断衝撃性)、通函と
して繰返し使用しても擦り等による粉塵発生しにくい
(耐摩耗性)、繰返しの振動衝撃を受けても寸法を維持
するへたり難さ(耐振動衝撃性)、繰返し落下衝撃を受
けても衝撃吸収量の低下しにくい(繰返し緩衝性能特
性)の実用特性すべてを高水準の値で満たすものであ
り、この要求特性の兼備度は、従来上市されている無架
橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子のどの成形発泡体に
比べても大幅に優れており、架橋ポリエチレン系樹脂予
備発泡粒子に匹敵するものである。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明の予備発泡
粒子は上述の構成を持つことにより、型内融着成形性能
に富み、そして従来の無架橋ポリエチレン系樹脂型内成
形発泡体に比べて、表面外観、比圧縮強度、75%圧縮
回復性、引張り強さ、引張り伸び、圧縮永久歪、繰返し
圧縮永久歪の諸物性に優れ、繰返し落下衝撃に耐える割
れ難さ(耐剪断衝撃性)、通函として繰返し使用しても
擦り等による粉塵発生しにくい(耐摩耗性)、繰返しの
振動衝撃を受けても寸法を維持するへたり難さ(耐振動
衝撃性)、繰返し落下衝撃を受けても衝撃吸収量の低下
しにくい(繰返し緩衝性能特性)の実用特性すべてを高
水準の値で満たす型内成形発泡体を容易に提供すること
ができる。
【0095】そしてこれらの特性が廃棄物問題をもつ架
橋ポリエチレン系樹脂型内成形発泡体に匹敵し、業界の
願望を満たすものであり、例えば包装材、緩衝材、通
函、建築資材等に広く活用でき有用であることにより、
その商品価値は極めて高いものである。また製造方法
は、従来その実現が難しかった粒子中の気泡径がほぼ均
一な気泡構造を有する予備発泡粒子を再現性よく得るこ
とに成功しており、しかも架橋工程を省略し省資源省エ
ネルギーに貢献しており、その技術的意義は極めて高い
ものである。
【0096】以上、本発明は産業界に果たす役割の大き
い、極めて高い優れた発明であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂成分〔低密度ポリエチレ(A)成分,高密
度ポリエチレン(B)成分,線状低密度ポリエチレン
(C)成分(合計100重量%)〕組成と、成形発泡体
の性能を表す三角図である。
【図2】本発明の予備発泡粒子の断面を拡大した局部の
模式図である。
【図3】比較品の予備発泡粒子の断面を拡大した局部の
模式図である。
【図4】発泡性樹脂の含水率と得られた発泡粒子の平均
気泡径との関係を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー密度が0.92〜0.94g/
    cm3 の範囲内にある無架橋ポリエチレン系樹脂からな
    る予備発泡粒子が、低密度ポリエチレン(A)20〜8
    5重量部、高密度ポリエチレン(B)0〜40重量部及
    び線状低密度ポリエチレン(C)0〜45重量部との混
    合物を基材樹脂として含み、かつ上記予備発泡粒子の発
    泡倍率が3〜60cm3 /g、平均気泡径が0.07〜
    1.0mm、粒子中の気泡径がほぼ均一な気泡構造を有
    し、独立気泡率が90%以上であることを特徴とする無
    架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
  2. 【請求項2】 低密度ポリエチレン(A)20〜85重
    量部、高密度ポリエチレン(B)0〜40重量部及び線
    状低密度ポリエチレン(C)0〜45重量部との混合物
    で、かつ上記混合物の密度が0.92〜0.94g/c
    3 の範囲内である無架橋ポリエチレン系の混合樹脂粒
    子を用い、該混合樹脂粒子の含水率を100〜1000
    重量ppmの範囲に調湿させたのち、その調湿した混合
    樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸させ、次いで該発泡剤を
    含浸させた混合樹脂粒子をその混合樹脂の融解終了点−
    5℃以下の温度でスチーム加熱して発泡させることを特
    徴とする無架橋ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6028121A (en) * 1995-11-15 2000-02-22 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Pre-expanded polyethylene beads and process for producing the same thereof
WO2015076306A1 (ja) 2013-11-20 2015-05-28 株式会社カネカ ポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂型内発泡成形体およびその製造方法
CN105037912A (zh) * 2015-07-29 2015-11-11 无锡会通新材料有限公司 一种低收缩、高回弹epe珠粒及其制备方法

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