JPH06157523A - N−(n’−メチルアミノフェニルエチル)カンフィジン誘導体およびその用途 - Google Patents

N−(n’−メチルアミノフェニルエチル)カンフィジン誘導体およびその用途

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JPH06157523A
JPH06157523A JP21946693A JP21946693A JPH06157523A JP H06157523 A JPH06157523 A JP H06157523A JP 21946693 A JP21946693 A JP 21946693A JP 21946693 A JP21946693 A JP 21946693A JP H06157523 A JPH06157523 A JP H06157523A
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azabicyclo
trimethyl
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JP21946693A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Takahashi
信幸 高橋
Daisuke Mochizuki
大介 望月
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式 【化1】 (式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表される光学活
性な化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩、
およびそれらを有効成分として含有することを特徴とす
る抗精神分裂病薬。 【効果】 本発明のN−(N’−メチルアミノフェニル
エチル)カンフィジン誘導体(1)およびその薬理学的
に許容される酸付加塩は、錘体外路性副作用を起こさ
ず、抗精神分裂病作用を発揮するばかりか、既存の抗精
神分裂病薬で生じた副作用を軽減させる作用も有してい
る。このことから本発明化合物(1)およびびその薬理
学的に許容される酸付加塩は副作用のない抗精神分裂病
薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性な3−[2−
(N−メチルアミノフェニル)エチル]−1,8,8−
トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
誘導体または薬理学的に許容される酸付加塩およびそれ
らを有効成分として含有することを特徴とする抗精神分
裂病薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】英国特許852971(1959)明細
書、Acta pharmacol.et toxic
ol.,17,277−287(1960)およびAc
taChemica Scandinavica,1
7,2069−2078(1963)には、一般式
【0003】
【化3】
【0004】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそ
れぞれ同一あるいは異なる水素原子、ハロゲン原子、ア
ルキル基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基またはアミ
ノ基を示し、nは1〜3の整数を示す)で表されるN−
アリールアルキルカンフィジン誘導体が開示されてい
る。具体的には、アリール基がアミノ基で置換されたフ
ェニル基を有する誘導体としてはN−(o−アミノベン
ジル)カンフィジンのみが開示されている。
【0005】上記の先行文献に記載された化合物は、中
枢神経抑制薬(depressoractivity
upon the central nervous
system)およびトランキライザーとして有用であ
り、好ましくは、N−モノクロロアリールアルキルカン
フィジン誘導体がよく、更に具体的にはN−(m−クロ
ロベンジル)カンフィジンが特に好ましいと記載されて
いる。
【0006】また、薬学雑誌,84(10),918−
929(1964)においていくつかのN−アリールア
ルキルカンフィジン誘導体が開示されている。具体的に
は、アミノ基で置換されたフェニル基を有する誘導体と
してはN−(β−p−アミノフェニルエチル)カンフィ
ジンまたはN−(p−アミノベンジル)カンフィジンの
みが開示されている。この先行文献では鎮痛作用につい
て検討されたが、上記に具体的に示した化合物は効果が
なかったことが報告されている。
【0007】上記のいずれの先行文献においても具体的
に開示されたN−アリールアルキルカンフィジン化合物
の中でアミノ基で置換されたフェニル基を有する化合物
はアミノアリールアルキルカンフィジンのみであり、メ
チルアミノ体はいまだ知られていない。しかも、上記の
いずれの先行文献においても、これらの公知化合物は精
神分裂病の動物モデルとして汎用されているアポモルヒ
ネ誘発のクライミングモデルでの有効性は示さなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】精神病患者では脳内の
ドーパミン神経系機能が過活動となっていることが知ら
れている。そのため、従来の抗精神分裂病薬はドーパミ
ン受容体を遮断することを目的として開発され、代表的
なものとしてハロペリドールやクロルプロマジンなどが
ある。しかしながら、これら従来の抗精神分裂病薬はパ
ーキンソン症状、アカシジア、急性ジストニアなどの錘
体外路性副作用を高頻度に引き起こし、さらには慢性投
与により難治性の遅発性ジスキネジアをも引き起こすこ
とが知られている。さらには、これら従来の抗精神分裂
病薬では改善されない症例も多い。
【0009】これらのことにより、錘体外路性副作用の
ない新世代の抗精神分裂病薬の開発が望まれている。こ
の錘体外路性副作用の発現を動物実験で予測することが
可能である。ラットに抗精神分裂病薬を投与するとカタ
レプシーという異常行動が観察される。このカタレプシ
ーの強弱はヒトでの錘体外路性副作用の発現率とよく相
関することが知られている。従ってカタレプシーを起こ
さなければ、ヒトに投与しても錘体外路性副作用を発現
しないと考えられる。また、従来の抗精神分裂病薬によ
り誘発されたカタレプシーを改善させる薬は、これら錘
体外路性副作用の治療薬となりうる。しかしながら、未
だにドーパミン受容体ブロッカー以外の抗精神分裂病薬
は存在せず、現在使用されている抗精神分裂病薬は程度
の差こそあれすべて錘体外路性副作用を引き起こす。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはア
ポモルヒネ誘発クライミング行動に拮抗し、カタレプシ
ー誘発作用がなく、さらには従来の抗精神分裂病薬によ
って誘発されたカタレプシーを改善させる薬物を創製す
べく、鋭意努力し探索した結果、全く意外なことに後記
一般式(1)の化合物またはその薬理学的に許容される
酸付加塩がこれら条件を満たすことを見い出し、本発明
を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、一般式(1)
【0012】
【化4】
【0013】(式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表
される光学活性な化合物またはその薬理学的に許容され
る酸付加塩を提供するものである。また、本発明は前記
一般式(1)で表される光学活性な化合物またはその薬
理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する
ことを特徴とする抗精神分裂病薬を提供するものであ
る。
【0014】本発明の化合物(1)の例としては、次の
化合物を挙げることができる。(1R)−3ー[2−
[2ー(N−メチルアミノ)フェニル]エチル]ー1,
8,8ートリメチルー3ーアザビシクロ[3.2.1]
オクタン、(1R)−3−[2−[3ー(N−メチルア
ミノ)フェニル]エチル]ー1,8,8ートリメチルー
3ーアザビシクロ[3.2.1]オクタン、(1R)−
3−[2−[4ー(N−メチルアミノ)フェニル]エチ
ル]ー1,8,8ートリメチルー3ーアザビシクロ
[3.2.1]オクタン、(1S)−3−[2−[2ー
(N−メチルアミノ)フェニル]エチル]ー1,8,8
ートリメチルー3ーアザビシクロ[3.2.1]オクタ
ン、(1S)−3−[2−[3−(N−メチルアミノ)
フェニル]エチル]ー1,8,8ートリメチルー3ーア
ザビシクロ[3.2.1]オクタン、(1S)−3−
[2−[4−(N−メチルアミノ)フェニル]エチル]
ー1,8,8ートリメチルー3ーアザビシクロ[3.
2.1]オクタン.
【0015】本発明化合物(1)の製造は、一般式
(1)が開示されれば、以下の製造法により限定されな
いが、例えばその一例としては、次の製造法が挙げられ
る。すなわち、本発明化合物(1)は、一般式(2)
【0016】
【化5】
【0017】(式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表
される化合物のホルミル基を還元することによって得ら
れる。
【0018】前記の化合物(2)は、一般式(3)
【0019】
【化6】
【0020】(式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表
される化合物をギ酸またはその反応性誘導体でホルミル
化することにより得られる。前記の化合物(3)のうち
R体は、文献記載の公知化合物であって、例えば、Ac
ta Chemica Scandinavica,1
7,2069−2078(1963)および薬学雑誌、
84、918−929(1964)などの文献に従って
合成することができる。
【0021】また、前記化合物(3)は、一般式(4)
【0022】
【化7】
【0023】(式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表
されるアミン(4)を一般式(5)
【0024】
【化8】
【0025】(式中、Xは反応性有機スルホニルオキシ
基またはハロゲン原子を示す)で表される反応性誘導体
を不活性有機溶媒中、塩基の存在下で反応させ、得られ
た一般式(6)
【0026】
【化9】
【0027】(式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表
される化合物のニトロ基をアミノ基に還元することによ
り得られる。
【0028】上記の出発原料のうち、前記アミン
(4)、すなわち1,8,8−トリメチル−3−アザビ
シクロ[3.2.1]オクタンは一般式(4)で示され
る如く不斉炭素原子を有するので、R体またはS体の光
学活性体として使用される。R体は文献記載の公知化合
物であって、例えば、Acta.Chem.Scan
d.,17,2069(1963)、Tetrahed
ron Letters,21,4593(1980)
などの文献に記載されている。S体は文献未記載の化合
物であって、(1S)−トリメチル−3−アザビシクロ
[3.2.1]オクタン−2−オンを不活性有機溶媒
中、水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤で還元す
ることにより得られる。
【0029】上記反応性誘導体(5)のうちスルホニル
オキシ誘導体は、アルコールを塩化メチレンのような乾
燥不活性反応溶媒中、メタンスルホニルクロライド、p
−トルエンスルホニルクロライドなどでスルホニル化す
ることにより得られる。上記のアルコールの例として
は、o−ニトロフェニルエチルアルコール、m−ニトロ
フェニルエチルアルコールおよびp−ニトロフェニルエ
チルアルコールが挙げられる。これらは公知の化合物で
あり、それぞれ市販品または容易に合成することができ
る。
【0030】また、上記反応性誘導体(5)のうちハロ
ゲン化物の例としては、o−ニトロフェニルエチルブロ
マイド、m−ニトロフェニルエチルブロマイド、p−ニ
トロフェニルエチルブロマイド、o−ニトロフェニルエ
チルクロライド、m−ニトロフェニルエチルクロライ
ド、p−ニトロフェニルエチルクロライドなどが挙げら
れる。アミン(4)と反応性誘導体(5)との反応で使
用される塩基の例としては、例えば、トリエチルアミ
ン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルア
ニリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N,N−ジ
メチルアミノピリジンなどの第3級有機塩基やアルカリ
またはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化
物または水素化物などの無機塩基が挙げられる。
【0031】上記反応において使用される不活性有機溶
媒の例としては、アセトニトリル、ベンゼン、アセト
ン、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、アセトニ
トリルが特に好ましい。上記反応は通常、使用する反応
溶媒の還流温度で適宜行われる。反応時間は、反応温
度、塩基の種類により左右されるが、薄層クロマトグラ
フィー、高速液体クロマトグラフィーなどにより反応の
経過を追跡することができるので、アミン(4)の消失
を待って適宜反応を収量させればよい。一般には特定で
きないが、通常は2〜72時間程度である。
【0032】上記反応液から目的化合物(6)を得るに
は、不溶性物を濾去し、溶媒を濃縮した後、残渣を例え
ば、クロロホルムとアセトンやメタノールとの混合物を
溶離剤としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーなど
の公知の精製法により精製することができる。このよう
にして得られた化合物(6)から化合物(3)を得るに
は、化合物(6)のニトロ基をアミノ基に還元する公知
の方法に準じて行えばよい。通常は、塩酸溶液中鉄粉の
存在下で還元するか、あるいはアルコール中パラジウム
/炭素の触媒の存在下水素添加することにより得られ
る。
【0033】前記化合物(3)のホルミル化反応は、公
知のホルミル化反応に準じて実施することができる。例
えば、ギ酸を遊離の形で使用する場合には、縮合剤の存
在下で反応を行わせる。その縮合剤の例としては、N,
N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−
3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド,N−シクロヘキシル−N’−(4−ジエチルアミノ
シクロヘキシル)カルボジイミドなどのカルボジイミド
化合物、ジフェニルホスホリルアジド、ベンゾトリアゾ
リル−N−ヒドロキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホ
ニウムヘキサフルオロリン化物塩、カルボニルジイミダ
ゾールなどの試薬、N−メチルホルムアミド、N,N−
ジメチルホルムアミドなどのアミド化物を塩化チオニ
ル、オキシ塩化リン、ホスゲンなどのハロゲン化物との
反応によって生成する試薬(いわゆるビルスマイヤー試
薬)などが挙げられる。その他の公知の縮合剤も使用で
きる。
【0034】ギ酸の反応性誘導体としては、その酸ハラ
イド、酸無水物、酸アジド、活性エステル、活性アミド
などが挙げられ、その好ましい例としては、酸クロライ
ド、酸ブロマイドなどの酸ハライド、酢酸、ピバリン
酸、イソ吉草酸、トリクロロ酢酸、炭酸モノアルキルエ
ステルなどとの混合酸無水物、p−ニトロフェニルエス
テル、2、4ージニトロフェニルエステル、トリクロロ
フェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、1
ーヒドロキシー1H−ピリドン、N−ヒドロキシスクシ
ンイミド、N−ヒドロキシフタルイミドエステルなどの
活性エステル、ピラゾール、イミダゾール、ジメチルピ
ラゾール、ベンゾトリアゾールなどとの活性アミドなど
が挙げられる。
【0035】上記ホルミル化反応における反応性誘導体
の中で、酸ハロゲン化物または酸無水物を用いる反応は
脱酸剤の存在下で行うのが好ましい。脱酸剤としては、
例えばトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミ
ン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリ
ン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの
第3級有機塩基や公知の無機塩基が使用される。
【0036】上記ホルミル化反応は、反応に悪影響を及
ぼさないような有機溶媒中で行われ、有機溶媒として
は、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラ
ン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトンまたはこ
れらの混合溶媒などが使用される。反応温度は特に限定
されないが、通常は室温で充分に進行する。反応時間
は、反応温度、反応溶媒により左右され、一般に特定で
きないが2〜30時間程度である。
【0037】上記ホルミル化反応によって得られた化合
物(2)を反応液から採取するには、反応溶媒が非親水
性有機溶媒である場合には、反応液をアルカリ性水溶
液、酸性水溶液または飽和食塩水で洗浄した後、有機層
を濃縮し、反応溶媒が親水性有機溶媒である場合には、
該溶媒を留去し、残渣を非親水性有機溶媒に溶解した
後、前記と同様に処理することにより化合物(2)を得
ることができる。該化合物(2)を、さらに、例えば、
シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの公知の精製
法により精製することができる。
【0038】このようにして得られた化合物(2)のホ
ルミル基を還元して本発明化合物(1)を得るのである
が、上記の還元反応は化合物(2)を不活性有機溶媒中
水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミ
ニウム、水素化ホウ素などの還元剤存在下で還流するこ
とにより行われる。不活性有機溶媒の例としてはテトラ
ヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサ
ン、ピリジンなどが挙げられる。上記反応における反応
温度は、加熱下、できれば還流下で行われる。反応時間
は、反応温度、還元剤の種類に左右されるが、薄層クロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどによ
り反応の経過を追跡することができ、化合物(2)の消
失を待って適宜反応を終了させればよい。一般には特定
できないが、15分〜10時間程度である。
【0039】上記反応液から目的化合物(1)を得るに
は、反応溶媒が非親水性有機溶媒である場合には、反応
液をアルカリ性水溶液、酸性水溶液または飽和食塩水で
洗浄した後、有機層を濃縮し、反応溶媒が親水性有機溶
媒である場合には、該溶媒を留去し、残渣を非親水性有
機溶媒に溶解した後、前記と同様に処理することにより
化合物(1)を得ることができる。該化合物(1)を、
さらに、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
などの公知の精製法により精製することができる。
【0040】また、得られた本発明化合物(1)は必要
に応じてその薬理学的に許容される酸付加塩とすること
も可能である。このような塩の例としては、塩酸、硫
酸、リン酸などの無機酸との塩、酢酸、プロピオン酸、
酒石酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク
酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタン
スルホン酸、マンデル酸、p−トルエンスルホン酸、マ
レイン酸などの有機酸との酸付加塩を挙げることができ
る。
【0041】本発明化合物(1)およびその薬理学的に
許容される酸付加塩のいずれの化合物もラットに30m
g/kg静脈投与しても、死亡例は認められなかったこ
とから明かなように、医薬として使用しても安全な化合
物ということができる。本発明化合物(1)またはその
薬理学的に許容される酸付加塩を医薬として使用するに
は、これを製剤化し、通常、経口投与もしくは点滴を含
む注射などの非経口投与すればよく、その投与量は、投
与形態、被投与者の年齢、体重、症状などによって異な
るが、一般には、成人1日当り0.1mg−100mg
程度である。
【0042】上記製剤化のための剤形としては、錠剤、
丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、注射剤などが挙げら
れるが、その製造のためには、これらの製剤に応じた各
種担体、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤などの経口
剤は、澱粉、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチ
ルセルロース、コーンスターチ、無機塩類などの賦形
剤、澱粉、デキストリン、アラビアゴム、ゼラチン、ヒ
ドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピル
セルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリ
ビニルピロリドン、マクロゴールなどの結合剤、澱粉、
ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシプロピルセル
ロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒド
ロキシプロピルセルロース、などの崩壊剤、ラウリル硫
酸ナトリウム、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ポ
リソルベート80などの界面活性剤、タルク、ロウ、水
素添加植物油、蔗糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシウムなどの滑沢剤、流動
性促進剤、矯味剤、着色剤、香料などを使用することが
できる。
【0043】また、本発明化合物(1)またはその薬理
学的に許容される酸付加塩は、懸濁剤、エマルジョン
剤、シロップ剤、エリキシル剤としても使用できる。非
経口剤は、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩
水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、プロピレングリコ
ール、ポリエチレングリコールなどを使用することがで
きる。さらに必要に応じ、殺菌剤、防腐剤、安定剤、等
張化剤、無痛化剤などを加えてもよい。
【0044】
【発明の効果】次に、本発明の化合物(1)およびその
薬理学的に許容される酸付加塩(以下、単に「本発明化
合物」ということがある)の薬理学的作用について述べ
る。 1.アポモルヒネ誘発クライミングの抑制作用 ドーパミン作動薬であるアポモルヒネをマウスに投与す
ると種々の異常行動が観察され、なかでもケージをよじ
登る行動はヒトでの精神分裂病と密接な関係があること
が知られている。すなわち、ある薬物がマウスでのアポ
モルヒネ誘発クライミングの抑制作用を有していれば、
その薬物はヒトにおいて抗精神分裂病作用を有すると予
測することができる。
【0045】ICR系雄性マウス(チャールス・リバ
ー)に各々本発明化合物および対照品を腹腔内投与し、
その30分後にアポモルヒネ2mg/kgを皮下投与し
た。アポモルヒネ投与後20分から23分までの3分間
のクライミング行動を観察した。クライミング行動はス
テンレススチール製金網ケージにマウスを入れ、観察時
間中にケージの1/2以上上部へ留まっている時間を測
定した。アポモルヒネ単独群のクライミング時間を10
0%として被験薬物による時間短縮を抑制率で示した。
その結果は表1の通りである。
【0046】 表1 アポモルヒネ誘発クライミングの抑制作用 被験薬物 抑制率 (mg/kg腹腔内投与) 本発明化合物 実施例番号 1(塩酸塩) 50% (1) 2(塩酸塩) 40% (1) 3(塩酸塩) 40% (1) 4(塩酸塩) 40% (0.1) 5(塩酸塩) 50% (1) 6(塩酸塩) 40% (0.1) 対照品 N−(m−クロロベンジル)カ 0% (10) ンフィジン塩酸塩 N−(β−p−アミノフェニル 0% (10) エチル)カンフィジン塩酸塩 クロルプロマジン 40% (1)
【0047】以上の結果から、本発明化合物は非常に低
容量の投与においてアポモルヒネ誘発クライミング行動
を抑制し、その効力は抗精神分裂病薬であるクロルプロ
マジンと同等もしくはそれ以上であった。また、対照品
N−(m−クロロベンジル)カンフィジン塩酸塩および
N−(β−p−アミノフェニルエチル)カンフィジン塩
酸塩は各々10mg/kg投与でアポモルヒネ誘発クラ
イミング行動を抑制しなかった。これらの成績より、本
発明化合物(塩酸塩)は、対照品N−(m−クロロベン
ジル)カンフィジン塩酸塩およびN−(β−p−アミノ
フェニルエチル)カンフィジン塩酸塩とは異なり、非常
に強い抗精神分裂病作用を有することが認められた。
【0048】2.カタレプシー発現作用 Wister系雄性ラット(180g前後、チャールス
・リバー)に各々本発明化合物および対照品を腹腔内投
与し、30分後にカタレプシーを測定した。カタレプシ
ーの測定は以下の通りに行った。直径2mmの鉄棒に細
い糸を巻き付けたものを12cmの高さに水平に設置
し、これにラットの前肢を強制的に掛けさせ、ラットが
前肢をおろすまでの時間を測定した。その時間が30秒
までを0点、60秒までを1点、120秒までを2点、
180秒までを3点、180秒以上を4点とし、平均点
が1点未満であればー、1点以上2点未満であれば+、
2点以上3点未満であれば++、3点以上であれば++
+と表示した。その結果は表2の通りである。
【0049】
【0050】ハロペリドールをはじめとする多くの抗精
神分裂病薬は錘体外路性症状を主とした重篤な副作用を
引き起こすことが知られている。抗精神分裂病薬をラッ
トに投与したときに観察されるカタレプシーは、ヒトで
の錘体外路性の副作用を反映していることが明らかとな
っている。ハロペリドールは2mg/kg投与において
著明なカタレプシーを引き起こすのに対して、本発明化
合物はカタレプシーを引き起こさなかった。このことは
本発明化合物は強力な精神分裂病治療効果を発揮し、し
かも錘体外路性の副作用を引き起こさない新しいタイプ
の抗精神分裂病薬として有用である。
【0051】3.カタレプシー拮抗作用 Wister系雄性ラット(180g前後、チャールス
・リバー)に各々本発明化合物および対照品を腹腔内投
与し、30分後にハロペリドール2mg/kgを腹腔内
投与した。そのさらに30分後にカタレプシーを測定し
た。カタレプシーの測定は前記のカタレプシー発現作用
における測定方法と同じ方法で行った。平均点が1点未
満であれば+++、1点以上2点未満であれば++、2
点以上3点未満であれば+、3点以上であればーと表示
した。結果は表3の通りである。
【0052】
【0053】以上の結果から、実施例3に記載の本発明
化合物(塩酸塩)は、ハロペリドール誘発カタレプシー
に対して拮抗作用を示している。この作用は対照品N−
(m−クロロベンジル)カンフィジン塩酸塩およびN−
(β−p−アミノフェニルエチル)カンフィジン塩酸塩
では認められなかった。
【0054】以上の実験結果から、本発明化合物が錘体
外路性副作用を起こさず、抗精神分裂病作用を発揮する
ばかりか、既存の抗精神分裂病薬で生じた副作用を軽減
させる作用も有していることを示すものである。これに
対し、公知のN−(m−クロロベンジル)カンフィジン
塩酸塩およびN−(β−p−アミノフェニルエチル)カ
ンフィジン塩酸塩は抗精神分裂病作用を示さなかった。
このことから、本発明化合物(1)およびその薬理学的
に許容される酸付加塩の薬理作用は、公知文献からは全
く予想もし得なかった医薬としての有用性を示すもので
ある。
【0055】
【実施例】次に、参考例および実施例を挙げて本発明を
具体的に説明する。
【0056】
【実施例1】(1R)−3−[2−〔2−(N−メチル
アミノ)フェニル〕エチル]−1,8,8−トリメチル
−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン ギ酸1.42mlと無水酢酸3.54mlのN,N−ジ
メチルホルムアミド(DMF)15ml溶液を0℃に冷
却し、これに(1R)−3−[2−(2−アミノフェニ
ルエチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−ア
ザビシクロ[3.2.1]オクタン2.03gのDMF
5ml溶液を15分かけて滴下した。滴下後、徐々に室
温に戻し、5時間攪拌した。反応後、反応液を水で希釈
し、炭酸ナトリウムでアルカリ性にしてクロロホルム抽
出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、
濾液を減圧濃縮し、ホルミルアミノ体を得た。これを単
離することなく水素化リチウムアルミニウム0.57g
のテトラヒドロフラン40ml溶液に加え4時間加熱還
流した。反応後、反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾
別して濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=
20:1−10:1)で精製し、表題の目的物を得た。
収量0.64g MS(FAB);287(MH+
【0057】1H−NMR(CDCl3 )δ(pp
m);0.80(3H,s),0.87(3H,s),
0.93(3H,s),1.5−1.9(5H,m),
2.2−2.4(2H,m),2.5−2.7(6H,
m),2.87(3H,s)6.60(1H,d,J=
5.3),6.63(1H,d,J=5.6),7.0
2(1H,d,J=6.3),7.11(1H,dd,
J=7.6、8.3) 得られた表題化合物に2倍モル量の塩化水素メタノール
溶液を加え、濃縮してジエチルエーテルで結晶化し、塩
酸塩を得た。 〔α〕D 25=+8.2°(c 0.5,メタノール)
【0058】
【実施例2】(1R)−3−[2−[3−(N−メチル
アミノ)フェニル]エチル]−1,8,8−トリメチル
−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン (1R)−3−[2−(3−アミノフェニル)エチル]
−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.
2.1]オクタン0.44gをギ酸エチル10mlに溶
解し、40時間加熱還流した。反応後、反応液を減圧濃
縮し、ホルミルアミノ体を得た。これを単離することな
く、水素化リチウムアルミニウム0.13gのテトラヒ
ドロフラン10ml溶液へ加え3時間加熱還流した。反
応後、反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別して濾液
を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(クロロホルム:アセトン=20:1−
10:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.2
6g MS(FAB);287(MH+
【0059】1H−NMR(CDCl3 )δ(pp
m);0.79(3H,s),0.86(3H,s),
0.91(3H,s),1.4−1.8(5H,m),
2.22(1H,d,J=9.9),2.30(1H,
d,J=10.6),2.5−2.7(6H,m),
2.83(3H,s),6.46(1H,d,J=7.
9),6.51(1H,s),6.58(1H,d,J
=7.6),7.10(1H,dd,J=7.6,7.
9) 実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。 〔α〕D 25=+1.1°(c 0.5,メタノール)
【0060】
【参考例1】(1R)−3−[2−(4−ホルミルアミ
ノフェニル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−
アザビシクロ[3.2.1]オクタン (1R)−3−[2−(4−アミノフェニルエチル)エ
チル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ
[3.2.1]オクタン0.48gをギ酸エチル10m
lに溶解し、45℃で19時間攪拌した。反応後、反応
液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(クロロホルム:メタノ−ル=10:1
−5:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.5
3g MS(FAB);301(MH+ 1 H−NMR(CDCl3 )δ(ppm);0.87
(3H,s),0.93(3H,s),1.01(3
H,s),1.6−2.1(5H,m),2.8−3.
1(8H,m),7.10(2H,d,J=8.3),
7.52(2H,d,J=8.3),8.35(1H,
bs)9.34(1H,bs)
【0061】
【参考例2】(1R)−3−[2−(4−ホルミルアミ
ノフェニル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−
アザビシクロ[3.2.1]オクタン (1R)−3−[2−(4−アミノフェニル)エチル]
−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.
2.1]オクタン0.50gとギ酸0.14mlの塩化
メチレン10ml溶液を0℃に冷却し、1−エチル−3
−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩
酸塩(WSC)0.50gを加え徐々に室温に戻し12
時間攪拌した。反応後、反応液を飽和食塩水で洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を
減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(クロロホルム:メタノ−ル=20:1−1
0:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.55
【0062】
【参考例3】(1R)−3−[2−(4−ホルミルアミ
ノフェニル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−
アザビシクロ[3.2.1]オクタン ギ酸0.70mlと無水酢酸1.74mlのDMF10
ml溶液を0℃に冷却し、これに(1R)−3−[2−
(4−アミノフェニル)エチル]−1,8,8−トリメ
チル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン1.0
0gのDMF10ml溶液を30分かけて滴下した。滴
下後、徐々に室温に戻し、6時間攪拌した。反応後、反
応液を水で希釈し、炭酸ナトリウムでアルカリ性にして
クロロホルム抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタ
ノ−ル=20:1−10:1)で精製し、表題の目的物
を得た。収量1.05g.
【0063】
【実施例3】(1R)−3−[2−[4−(N−メチル
アミノ)フェニル]エチル]−1,8,8−トリメチル
−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン 水素化リチウムアルミニウム0.17gのテトラヒドロ
フラン15ml溶液に(1R)−3−[2−(4−ホル
ミルアミノ)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−
アザビシクロ[3.2.1]オクタン0.67gを加え
2時間加熱還流した。反応後、反応液を冷却し、6N塩
酸、続いて5N水酸化ナトリウムを加え不溶物を濾別
し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=
10:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.5
9g MS(FAB);287(MH+
【0064】1H−NMR(CDCl3 )δ(pp
m);0.79(3H,s),0.86(3H,s),
0.91(3H,s),1.5−1.8(5H,m),
2.25(1H,d,J=10.6),2.37(1
H,d,J=10.6),2.5−2.7(6H,
m),2.81(3H,s),6.55(2H,d,J
=8.6),7.05(2H,d,J=8.6) 実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。 [α]D 25=+5.4°(c 0.5,メタノール)
【0065】
【参考例4】(1S)−3−[2−(2−ホルミルアミ
ノフェニル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−
アザビシクロ[3.2.1]オクタン (1S)−3−[2−(2−アミノフェニル)エチル]
−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.
2.1]オクタン1.47gをギ酸エチル20mlに溶
解し、8時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、得ら
れた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロ
ロホルム:アセトン=5:1−2:1)で精製し、表題
の目的物を得た。収量0.29g1 H−NMR(CDCl3 )δ(ppm);0.82
(3H,s),0.90(3H,s),0.96(3
H,s),1.5−2.1(5H,m),2.3−2.
9(8H,m),7.0−7.3(2H,m),8.1
5(1H,d,J=8.2),8.56(1H,d,J
=9.9),10.37(1H,bs),11.10
(1H,bs)
【0066】
【参考例5】(1S)−3−[2−(2−ホルミルアミ
ノフェニル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−
アザビシクロ[3.2.1]オクタン ギ酸0.41mlと無水酢酸1.03mlのDMF5m
l溶液を0℃に冷却し、これに(1S)−3−[2−
(2−アミノフェニル)エチル]−1,8,8−トリメ
チル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン0.5
9gのDMF5ml溶液を加えた。徐々に室温に戻し、
6時間攪拌した。反応後、反応液を水で希釈し、炭酸ナ
トリウムでアルカリ性にしてクロロホルム抽出後、無水
硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧
濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(クロロホルム:アセトン=5:1−2:1)で
精製し、表題の目的物を得た。収量0.66g
【0067】
【実施例4】(1S)−3−[2−[2−(N−メチル
アミノ)フェニル]エチル]−1,8,8−トリメチル
−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン 水素化リチウムアルミニウム0.25gのテトラヒドロ
フラン25ml溶液に(1S)−3−[2−(2−ホル
ミルアミノフェニル)エチル]−1,8,8−トリメチ
ル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン0.95
gを加え3時間加熱還流した。反応後、反応液を冷却
し、水を加え不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得
られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ク
ロロホルム:アセトン=20:1)で精製し、表題の目
的物を得た。収量0.24g MS(FAB);287(MH+
【0068】1H−NMR(CDCl3 )δ(pp
m);0.81(3H,s),0.89(3H,s),
0.94(3H,s),1.5−1.9(5H,m),
2.3−2.7(8H,m),2.87(3H,s)
6.6−6.7(2H,m),6.98(1H,d,J
=6.9),7.14(1H,dd,J=7.6、7.
9) 実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。 〔α〕D 25=−6.5°(c 0.5,メタノール)
【0069】
【実施例5】(1S)−3−[2−[3−(N−メチル
アミノ)フェニル]エチル]−1,8,8−トリメチル
−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン (1S)−3−[2−(3−アミノフェニル)エチル]
−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.
2.1]オクタン1.17gをギ酸エチル20mlに溶
解し、12時間半加熱還流した。反応後、反応液を減圧
濃縮し、ホルミルアミノ体を得た。これを単離すること
なく、水素化リチウムアルミニウム0.33gのテトラ
ヒドロフラン30ml溶液へ加え3時間加熱還流した。
反応後、反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別して濾
液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=20:
1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.89g MS(FAB);287(MH+
【0070】1H−NMR(CDCl3 )δ(pp
m);0.79(3H,s),0.86(3H,s),
0.91(3H,s),1.5−1.8(5H,m),
2.22(1H,d,J=10.9),2.31(1
H,d,J=10.6),2.5−2.8(6H,
m),2.83(3H,s),6.46(1H,d,J
=7.9),6.51(1H,s),6.58(1H,
d,J=7.6),7.10(1H,t,J=7.6) 実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。 〔α〕D 25=−7.5°(c 0.5,メタノール)
【0071】
【実施例6】(1S)−3−[2−[4−(N−メチル
アミノ)フェニル]エチル]−1,8,8−トリメチル
−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン (1S)−3−[2−(4−アミノフェニル)エチル]
−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.
2.1]オクタン0.58gをギ酸エチル15mlに溶
解し、4時間半加熱還流した。反応後、反応液を減圧濃
縮し、ホルミルアミノ体を得た。これを単離することな
く、水素化リチウムアルミニウム0.16gのテトラヒ
ドロフラン20ml溶液へ加え2時間加熱還流した。反
応後、反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別して濾液
を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:
1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.42g MS(FAB);287(MH+
【0072】1H−NMR(CDCl3 )δ(pp
m);0.79(3H,s),0.85(3H,s),
0.91(3H,s),1.4−1.8(5H,m),
2.27(1H,d,J=10.2),2.35(1
H,d,J=10.6),2.5−2.7(6H,
m),2.82(3H,s),6.56(2H,d,J
=8.3),7.06(2H,d,J=8.3) 実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。 〔α〕D 25=−6.0°(c 0.5,メタノール)
【0073】
【実施例7】注射剤の製造 (1S)ー3ー[2−[4−(N−メチルアミノ)フェ
ニル]エチル]−1,8,8−トリメチルー3ーアザビ
シクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩1.0gを注射用
蒸留水1Lに溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液でp
H6−7に調節した後、滅菌し、これをアンプルに5m
lずつ充填して注射剤を得た。
【0074】
【実施例8】 錠剤の製造 (1S)ー3ー[2−[4−(N−メチルアミノ)フェニル]エチル]−1, 8,8−トリメチルー3ーアザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩 50.0mg とうもろこし澱粉 40.0mg 結晶セルロース 80.0mg ステアリン酸マグネシウム 0.5mg タルク 29.5mg の組成からなる1錠200mgの錠剤を乾式打錠により
得た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表される光学活
    性な化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩。
  2. 【請求項2】 一般式(1) 【化2】 (式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表される光学活
    性な化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩を
    有効成分として含有することを特徴とする抗精神分裂病
    薬。
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