JP3732554B2 - 新規な2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体、その製造方法および用途 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体、その製造方法および用途に関する。更に詳しくは本発明の2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体およびその無毒性塩は、セロトニン1Aレセプターに対し高い親和性を示すので、抗不安剤、抗うつ剤、摂食障害改善剤、血圧降下剤、制吐剤(抗動揺病剤、抗宇宙酔い剤、抗めまい剤、薬物誘発嘔吐抑制剤などを含む)などのセロトニン神経系関連疾患治療用医薬組成物として有用である。
【0002】
【従来の技術】
最近、数年の間に、神経伝達物質セロトニン〔5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)〕が、食欲、記憶、体温調節、睡眠、性的行動、不安、うつ、ストレス等の生理現象と関連していることが解かってきた〔グレノン(Glennon,R.A.);J.Med.Chem.,30,1(1987)〕。
【0003】
セロトニンが作用するレセプタ−のうち5−HT1Aレセプターに作用する化合物が、抗不安剤、抗うつ剤、摂食障害改善剤、血圧降下剤、制吐剤(抗動揺病剤、抗宇宙酔い剤、抗めまい剤、薬物誘発嘔吐抑制剤等を含む)等として有用なことが知られており、これらの化合物について既に多くの報告がなされている〔日本臨床、47巻、1989年増刊号、第1241−1248頁;J.P.Feighnev,W.F.Boyer,Psychopathology,22,21(1989);P.R.Saxena,C.M.Villalon,Tips,11,95(1990);N.Matsuki et al.,Jpa.J.Pharmacol,Suppl.,58,313(1992)等〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、より優れた上記の薬理作用を有する化合物を見い出し、これを提供することが望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を解決するために鋭意研究し、種々の化合物を合成し、それらの薬理作用について検討したところ、驚くべきことに、後記式(1)で表される新規な2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体が、セロトニンが作用する5−HT1Aレセプターに対して高い親和性および優れた薬理作用を有することを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
従って、本発明の一つの目的は、セロトニンが作用する5−HT1Aレセプターに対し高い親和性を示す化合物を提供することにある。
本発明の他の一つの目的は、セロトニン神経系関連疾患に対し優れた薬理作用を示す上記化合物を含有する、セロトニン神経系関連疾患治療用医薬組成物を提供することにある。
本発明の更に他の一つの目的は、上記したセロトニン神経系関連疾患治療用医薬組成物を、セロトニン神経系関連疾患患者に投与することを包含するセロトニン神経系関連疾患治療法を提供することにある。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、次の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
【0007】
本発明の1つの態様によれば、式(1)
【0008】
【化6】
(式中、R1 は水素原子または低級アルキル基を、R2 はナフチル基、ピリジル基、フリル基またはチエニル基を、nは2〜6の整数を、Aはカルボニル基またはスルホニル基を、*は不斉炭素原子を示す)で表される2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体またはその塩が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、式(2)
【0009】
【化7】
(式中、R11はアミノ基の保護基または低級アルキル基を、nおよび*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(2)」と称する〕と、式(3)
X−A−R2 (3)
(式中、Xは脱離原子又は脱離基を示し、R2 およびAは前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(3)」と称する〕とを反応させることを包含し、式(2)においてR11がアミノ基の保護基である場合には、式(2)の化合物と式(3)の化合物との反応により得られる生成物を、該保護基が水素原子に置換されるような該保護基の脱離処理にかけることを特徴とする上記式(1)で表される2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体またはその塩の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の他の態様によれば、治療的に有効量の、式(1)で表される2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体〔以下、単に「化合物(1)」と称する〕またはその無毒性塩、並びに薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤の少なくとも一種を含有することを特徴とするセロトニン神経系関連疾患治療用医薬組成物が提供される。
【0011】
また、本発明の更に他の態様によれば、化合物(1)またはその無毒性塩、並びに薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤の少なくとも一種を含有するセロトニン神経系関連疾患治療用組成物を、セロトニン神経系関連疾患患者に投与することを包含するセロトニン神経系関連疾患治療法が提供される。
【0012】
本発明において低級アルキル基とは、炭素数1〜4個の分鎖を有していてもよいアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0013】
R2 で表されるナフチル基、ピリジル基、フリル基またはチエニル基の、基Aとの置換位置は、それらの基のいずれの炭素原子でもよいが、ナフチル基に関しては1位または2位、ピリジル基は2位、3位または4位、フリル基およびチエニル基に関しては2位または3位であることが好ましい。
上記の化合物(2)と化合物(3)との反応により、式(4)
【0014】
【化8】
(式中、R2 、R11、A、nおよび*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(4)」と称する〕が得られ、該化合物(4)においてR11がアミノ基の保護基である場合には、その保護基を、後述するように公知の方法で脱離することによりR1 が水素原子である式(1)の化合物を得、該化合物(4)においてR11が低級アルキル基の場合は、該化合物(4)を、R1 が低級アルキル基である式(1)の化合物として得る。また、所望であれば、R1 が水素原子である目的化合物(1)のR1 を、後述のアルキル化試薬により低級アルキル基としてもよい。
【0015】
化合物(2)の基R11としてのアミノ保護基は、R11と結合しているアミノ基が、化合物(3)との反応に際して副反応を生じないよう保護するものである。該アミノ保護基としては前記化合物(4)の生成後、余計な反応を生じない条件にて容易に脱離する基であればよく、これらの基は従来公知のアミノ保護基が挙げられるが、それについては、先行文献を参考にすることができる〔例えば、グリーン(Green)著;(Protective groups in organic synthesis)1981年 第7章、グリーン、ワッツ(Green、Wuts)著;(Protective groups in organic synthesis)第二版、1991年第7章等を参照]。
【0016】
具体的には、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、9−フルオレニルオキシカルボニル基(Fmoc基)、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、アセチル基、ベンジル基等が挙げられる。本発明において使用される化合物(2)は、例えば、式(5)
【0017】
【化9】
(式中、R11、nおよび*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(5)」と称する〕を還元することにより調製できる。
【0018】
すなわち、化合物(5)の還元は、化合物(5)に対して触媒量、通常は化合物(5)の1重量%〜20重量%、好ましくは5重量%〜10重量%のパラジウム−活性炭の存在下、水素ガスを添加することにより行う。また、その他の還元方法として、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどを使用して還元することもできる。
【0019】
上記の化合物(5)の還元反応は、通常、不活性媒体中で行う。不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(5)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。上記反応は、通常、冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、室温付近で行うのが好ましい。
【0020】
反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常30分間〜3日間で終了する。化合物(5)のR11において、アミノ基の保護基の種類によっては、上記の還元に際してその脱離反応が起こるので、脱離反応を起こさない保護基を選択するかまたは再度保護基を導入することが好ましい。
前記化合物(5)は、例えば、式(6)
【0021】
【化10】
(式中、X1 はハロゲン原子または有機スルホニルオキシ基を示し、R11、nおよび*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(6)」と称する〕とアジド化試薬とを反応させることによって得られる。
【0022】
上記化合物(6)における基X1 とは、アジド化試薬との間でアジド基に置換される基を意味し、例えば、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の有機スルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
アジド化試薬としては、アジ化ナトリウム、アジ化リチウム等が例示される。アジド化試薬は、化合物(6)に対して1〜10当量、好ましくは1〜3当量を用いることができる。化合物(6)のアジド化反応は、通常、不活性媒体中で行う。不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられるが、ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0024】
不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(6)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。上記反応は、通常、冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、加熱条件下で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常1〜24時間で終了する。X1 が有機スルホニルオキシ基であるときの化合物(6)は例えば、式(7)
【0025】
【化11】
(式中、R11、nおよび*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(7)」と称する〕とp−トルエンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸無水物、メタンスルホニルクロライド等の有機スルホニル化試薬とを反応させることによって得られる。
【0026】
化合物(7)の有機スルホニル化反応に使用されるスルホニル化試薬は、化合物(7)に対して、1〜10当量、好ましくは1〜1.5当量を用いることができる。上記反応においては、塩基の存在下で行うのが好ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルモルホリン等の公知の有機塩基、もしくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の公知の無機塩基等が例示される。用いる塩基の量は、スルホニル化試薬と当量もしくは1.5当量までの少過剰量用いることが好ましい。
【0027】
化合物(7)の有機スルホニル化反応は、通常、不活性媒体中で行う。不活性媒体とは、反応に不活性であればよく、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(7)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。反応は、通常−25℃〜40℃で行うことができるが、室温付近で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常1〜24時間で終了する。
【0028】
また、X1 がハロゲン原子であるときの化合物(6)は、化合物(7)とハロゲン含有化合物を、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物の存在下に反応させることによって得られる。ハロゲン含有化合物としては、四塩化炭素または四臭化炭素等が例示される。ハロゲン含有化合物の量は、通常化合物(7)に対して1当量以上用いるが、10当量以上であってもよい。トリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物は、化合物(7)に対して1〜10当量、好ましくは1〜3当量用いることができる。
【0029】
化合物(7)とハロゲン含有化合物及びホスフィン化合物との反応は、通常、不活性媒体中で行われる。不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。また、不活性媒体の代わりに、ハロゲン含有化合物を用いてもよい。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(7)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。
【0030】
上記反応は、通常、冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、室温付近で行うことが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常30分間〜1日間で終了する。前記化合物(7)は、従来公知の方法を用いて製造することができる。例えば、R11が低級アルキル基であるときの化合物(7)は、式(8)
【0031】
【化12】
(式中、nおよび*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(8)」と称する〕を、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化イソプロピル、臭化メチル等の公知のアルキル化試薬によりアルキル化することによって得ることができる。
【0032】
上記のアルキル化試薬は化合物(8)に対して、1〜10当量、好ましくは1〜3当量用いることができる。上記アルキル化反応においては、塩基の存在下で行うのが好ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルモルホリン等の公知の有機塩基、もしくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の公知の無機塩基等が挙げられる。用いる塩基の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(8)に対して1〜100当量を用いることができる。上記反応は、通常、不活性媒体中で行われる。
【0033】
不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等が挙げられる。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(8)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。反応は、通常−25℃〜40℃で行うことができるが、室温付近で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常1時間〜3日間で終了する。
【0034】
R11が低級アルキル基であるときの化合物(7)を製造する別法としては、例えば、化合物(8)を、ホルムアルデヒド水溶液、ホルムアルデヒドのアルコール溶液、アセトアルデヒド等のアルデヒド試薬と反応させ、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤により、還元的にアルキル化することによって得られる。反応に用いるアルデヒド試薬は、化合物(8)に対して、1〜10当量、好ましくは1〜3当量用いることができる。反応に用いる還元剤は、化合物(8)に対して、1〜10当量、好ましくは1〜3当量用いることができる。
【0035】
化合物(8)とアルデヒド試薬、還元剤との反応は、通常、不活性媒体中で行われる。不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等が挙げられる。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(8)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。反応は、通常−25℃〜40℃で行うことができるが、室温付近で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常1時間〜3日間で終了する。
【0036】
また、R11がアミノ保護基であるときの化合物(7)は、化合物(8)をジ−t−ブチルジカ−ボネ−ト(Boc2 O)、ベンジルオキシカルボニルクロライド(Cbz−Cl)、9−フルオレニルメチルクロロホルメ−ト(Fmoc−Cl)等の公知の保護化試薬と反応させることによって得られる。これらの保護化試薬は、化合物(8)に対して1〜10当量、好ましくは1〜3当量用いることができる。
【0037】
上記反応においては、塩基の存在下で行うのが好ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルモルホリン等の公知の有機塩基もしくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の公知の無機塩基が挙げられる。これらの塩基の使用量としては化合物(8)に対して1〜100当量を例示することができるが、保護化試薬の1〜5当量が好ましく、1〜1.5当量が特に好ましい。
【0038】
化合物(8)と保護化試薬との反応は、通常、不活性媒体中で行われる。不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(8)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。反応は、通常−25℃〜40℃で行うことができるが、室温付近で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常1〜24時間で終了する。
前記化合物(8)は、従来公知の方法を用いて製造することができる。例えば、式(9)
【0039】
【化13】
(式中、X1 、nおよび*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(9)」と称する〕を、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノ−ル、4−アミノ−1−ブタノ−ル、5−アミノ−1−ペンタノ−ル、6−アミノ−1−ヘキサノ−ル等のアミノアルコールとを反応させることにより得られる。
【0040】
化合物(9)との反応に用いるアミノアルコールは、化合物(9)に対して、通常1当量以上、好ましくは3〜5当量用いることができる。反応は、通常、不活性媒体中で行われる。不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、アセトニトリル等が挙げられる。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(9)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。
【0041】
化合物(9)とアミノアルコールとの反応は、通常冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、加熱条件下で行うのが好ましい。反応の終了は、原料の消失をもって知ることができるが、通常3時間〜2日間で終了する。上記反応は、塩基の存在下に行うのが好ましい。その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルモルホリン等の公知の有機塩基もしくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の公知の無機塩基が挙げられる。用いる塩基の量は、適宜の量を選択することができるが、例えば、化合物(9)に対して1〜100当量を用いることができる。上記の塩基は、不活性媒体を兼ねていてもよい。塩基または不活性媒体の代わりに、上記アミノアルコールを用いてもよい。
【0042】
前記化合物(9)を製造するための方法は、薬学雑誌,88(5),503−512(1968)、特開平3−188077号公報等に記載されている。これらの方法に準じて、化合物(9)は市販の2−アリルフェノ−ルから合成することが出来る。
前記化合物(2)を製造する別法としては、例えば、以下の方法がある。すなわち、式(10)
【0043】
【化14】
(式中、R11、nおよび*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(10)」と称する〕をヒドラジン試薬と反応させてフタルイミド基を除去することにより得られる。
【0044】
化合物(10)との反応に使用されるヒドラジン試薬としては、化合物(10)に対して1〜10当量、好ましくは1〜3当量の無水ヒドラジン、100%抱水ヒドラジン、80%ヒドラジン水等のヒドラジン試薬が使用される。上記反応は、通常、不活性媒体中で行われる。不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールまたは水等を用いることができる。
【0045】
不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(10)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。反応は、通常冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、室温付近で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常30分間〜3日間で終了する。
前記化合物(10)は、例えば、式(11)
【0046】
【化15】
(式中、R11及び*は前記と同じ意味を有する)で表される化合物〔以下、単に「化合物(11)」と称する〕にN−(2−ブロモエチル)フタルイミド、N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド、N−(4−ブロモブチル)フタルイミド等のイミド試薬を反応させることによって得られる。反応に用いるイミド試薬は、従来公知の方法を用いて得ることもできるが、市販品を利用するのが簡便である。
【0047】
化合物(11)との反応に用いるイミド試薬は、化合物(11)に対して、通常1当量以上、好ましくは、1〜5当量を用いることができる。反応は、通常、不活性媒体中で行われる。不活性媒体としては、反応に不活性であればよく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、アセトニトリル等が挙げられる。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(11)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。
【0048】
化合物(11)とイミド試薬との反応は、通常、冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、加熱条件下で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常3時間から2日間で完了する。上記反応は、塩基の存在下で行うのが好ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルモルホリン等の公知の有機塩基もしくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の公知の無機塩基が挙げられる。これらの塩基の使用量としては、化合物(8)に対して1〜100当量を用いることができるが、イミド試薬の1〜5当量が好ましく、1〜1.5当量が特に好ましい。上記塩基は、不活性媒体を兼ねていてもよい。
【0049】
前記化合物(11)は、例えば、前記化合物(9)を、公知の、アミノ保護基で置換されていてもよいアミン、例えば、アンモニア(アンモニア水溶液、又は塩基性条件下でアンモニアを発生するアンモニウム塩も含む)、ベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、3,4−ジメトキシベンジルアミン、ジフェニルメチルアミン、トリフェニルメチルアミン等の公知のアミンとを反応させることによって得られる。化合物(9)をアンモニアと反応させた場合は、反応後、前述の保護基でアミノ基を保護するか、又は前述のアルキル化試薬で水素原子を低級アルキル基に置換することができる。反応に用いるアミンは、従来公知の方法により製造してもよいが、市販品を利用することが簡便である。上記アミンは、化合物(9)に対して、通常1当量以上、好ましくは1〜5当量用いることができる。
【0050】
化合物(9)とアミンとの反応は、通常、不活性媒体中で行われる。不活性媒体としては反応に不活性であればよく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、アセトニトリル等が挙げられる。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(9)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。
【0051】
反応は、通常、冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、加熱条件下で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常3時間〜2日間で完了する。化合物(9)とアミンとの反応は塩基の存在下で行うのが好ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルモルホリン等の公知の有機塩基もしくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の公知の無機塩基存在下で反応させることによって実施される。用いる塩基の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(9)に対して1〜100当量を用いることができる。上記塩基は不活性媒体を兼ねていてもよい。また、塩基または不活性媒体の代わりに、上記アミンを用いてもよい。
以上のようにして、化合物(2)を得ることができる。
【0052】
本発明における出発物質の1つである化合物(3)における脱離原子又は脱離基Xとは、化合物(2)と化合物(3)とが反応して化合物(4)を生成する反応に際し、化合物(3)より脱離する原子又は基を意味し、通常は、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の有機スルホニルオキシ基、対称酸無水物を構成する基等の反応性脱離原子又は基、及び場合によっては水酸基を挙げることができる。脱離基Xが水酸基である場合には、後記の酸活性化剤を併用することが通常好ましい。
【0053】
本発明において使用される化合物(3)は、公知の化合物であり、例えば、1−ナフトイルクロライド、2−ナフトイルクロライド、1−ナフタレンスルホニルクロライド、2−ナフタレンスルホニルクロライド、ピコリノイルクロライド塩酸塩、ニコチノイルクロライド塩酸塩、イソニコチノイルクロライド塩酸塩、2−テノイルクロライド、3−テノイルクロライド、2−フロイルクロライド、3−フロイルクロライド、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−チオフェンカルボン酸、3−チオフェンカルボン酸、2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物は、例えば、日本国東京化成社、米国アルドリッチ社等より市販されており、それらの市販品を利用することが簡便である。
【0054】
化合物(2)と化合物(3)との反応は、従来公知のアミド化方法を用いて実施できる。例えば、Xが上記した反応性脱離原子又は基である化合物(3)を使用した場合は、化合物(2)と化合物(3)とを不活性媒体中で反応させる。不活性媒体としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。化合物(3)は、化合物(2)に対し通常0.1〜10当量、好ましくは1〜2当量を用いることができる。不活性媒体は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(2)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。反応は、通常室温付近で行うことができる。反応の終了は、原料の消失をもって知ることができるが、通常1時間〜3日間で終了する。
【0055】
上記のアミド化反応は塩基の存在下で行うのが好ましく、またその塩基が上記不活性媒体を兼ねていてもよい。その塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、4−メチルモルホリン等の公知の有機塩基もしくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の公知の無機塩基等が挙げられる。上記の塩基は、通常、化合物(3)に対して当量もしくは1.5当量程度の少過剰量用いるのが好ましい。
【0056】
また、Xが水酸基である化合物(3)を使用した場合は、化合物(2)と化合物(3)との反応の前に、公知の酸活性化剤を用いて活性化することが好ましい。この酸活性化剤としては、例えば、クロロ蟻酸イソブチル、クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸メチル、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0057】
例えば酸活性化剤として、クロロ蟻酸イソブチル、クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸メチル等のクロロ蟻酸エステル類を用いる場合は、3−チオフェンカルボン酸、3−フランカルボン酸等の活性化を必要とする酸である化合物(3)と、クロロ蟻酸イソブチル、クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸メチルなどのクロロ蟻酸エステル類とを、通常、塩基の存在下、不活性媒体中で反応させることによって化合物(3)を活性化することができる。その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルモルホリン等の公知の有機塩基もしくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の公知の無機塩基が挙げられる。上記塩基は、不活性媒体を兼ねていてもよい。
【0058】
Xが水酸基である化合物(3)の活性化に用いる前記酸活性化剤は、化合物(3)の1〜5当量、好ましくは1〜1.5当量用いて反応させる。反応に用いる塩基の量は、酸活性化剤の1〜2当量、好ましくは1〜1.5当量用いる。不活性媒体は、前述と同様に、反応において不活性な媒体であれば使用可能である。不活性媒体の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(3)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。反応は、通常室温付近で行うことができるが、−25℃〜5℃程度の低温下で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知ることができるが、通常15分間〜2時間で終了する。酸活性化剤で活性化された酸誘導体は、反応系から取り出しても、取り出さなくてもよいが、通常取り出さずに、そのまま化合物(2)との反応に用いることができる。
【0059】
このようにして化合物(4)が得られるのであるが、化合物(4)のR11がアミノ基の保護基である場合には、さらにその脱離が必要となる。上記の保護基の脱離化は、該保護基の種類により異なるが、公知の脱離化方法を適宜選択して行う。例えば、保護基がt−ブトキシカルボニル基(Boc基)等である場合には、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等の酸に接触させることによって脱離化される。用いる酸の量は、化合物(4)の量に対し通常1当量以上、好ましくは1〜100当量を用いることができる。このとき、酸を溶媒で適宜希釈して用いることができる。
【0060】
希釈する溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、水等が挙げられる。反応は、通常−25℃から40℃で行うことができるが、0℃付近で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知るか、もしくは、クロマトグラフィーなどにより目的物が最大に生成したことを確認して適宜停止することができるが、通常1〜24時間で終了する。
【0061】
また、保護基がベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、ベンジル基等である場合には、パラジウム黒、パラジウム−活性炭、酸化白金などの触媒存在下、水素ガスと接触させることによって脱離化される。このとき、用いる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、水等が挙げられる。用いる溶媒の量は、適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(4)の5〜100倍量(v/w)を用いることができる。反応は、通常冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、室温付近で行うのが好ましい。反応の終了は原料の消失をもって知るか、もしくは、クロマトグラフィーなどにより目的物が最大に生成したことを確認して適宜停止することができるが、通常1時間〜3日間で終了する。
【0062】
保護基がベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)等である場合には、臭化水素酸の酢酸溶液、トリフルオロ酢酸溶液、塩化アルミニウム、三臭化ホウ素等で処理することにより脱離化される。これらの試薬は、化合物(4)に対して通常1当量以上、好ましくは、1〜100当量を用いる。このとき、酸を溶媒で適宜希釈して用いることができる。希釈する溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0063】
また、反応中に生成するベンジルカチオンのスカベンジャーとしてアニソール、チオアニソールなどを反応液中に共存させることが好ましい。用いるスカベンジャーの量としては、化合物(4)に対して通常1当量以上、好ましくは1〜100当量を用いる。反応は、通常冷却条件から加熱条件下で行うことができるが、0℃から室温付近で行うのが好ましい。反応の終了は、原料の消失をもって知るか、もしくは、クロマトグラフィーなどにより目的物が最大に生成したことを確認して適宜停止することができるが、通常1時間〜3日間で終了する。
【0064】
さらにまた、保護基が9−フルオレニルオキシカルボニル基(Fmoc基)、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、アセチル基等である場合には、モルホリン等の有機塩基、水酸化ナトリウム等の無機塩基により脱保護される。用いる塩基の量は適宜の量を選択することができ、例えば、化合物(4)に対して1〜100当量を用いることができる。
【0065】
このようにしてR1 が水素原子である目的化合物(1)が得られる。さらに、該化合物からR1 が低級アルキル基である化合物(1)を得る場合には、R1 が水素原子である化合物(1)を、前述のアルキル化試薬により低級アルキル基を導入し、R1 が低級アルキル基である化合物(1)を得ることができる。この場合、アルキル化試薬は化合物(1)に対して0.1〜10当量、好ましくは1〜5当量を用いることができる。
【0066】
化合物(1)は反応溶媒が非親水性有機溶媒である場合には、反応液をアルカリ性水溶液または飽和食塩水で洗浄した後、有機溶媒層を濃縮して得るか、或いは、反応溶媒が親水性有機溶媒である場合には、該溶媒を留去し、残渣を非親水性有機溶媒に溶解した後、前記と同様に処理することにより得ることができる。
【0067】
化合物(1)を合成する上記の各工程において得られる中間体は、通常は単離せず、そのまま(in situ)次の反応に供することができる。また、所望であれば、これらの中間体は各々分離、精製してから次の反応に供してもよい。所望により行なわれる各中間体の分離、精製、並びに最終的に得られる化合物(1)の精製は、シリカゲル等の担体を用いるカラムクロマトグラフィー、再結晶、抽出等の公知の精製方法を適宜組み合わせて行うことができる。
尚、上記した各反応を行う際の圧力に関しては特に限定はないが、通常は常圧下で反応を行う。
【0068】
本発明の化合物(1)を製造するために用いることができる上記の2つのルートの理解を容易にするために、以下にそれらルートのフローチャートを示す。
化合物(1)の製造工程のフローチャートは以下のとおりである。
【0069】
【化16】
【0070】
【化17】
【0071】
化合物(1)は、式(1)で示される通り、分子中に不斉炭素原子を有するので、各々の光学活性体として、あるいはそれらの混合物であるラセミ体として存在し得る。従って、本発明においては、化合物(1)には、各々の光学活性体およびラセミ体も包含される。特定の光学活性体は、従来知られている方法により、キラル静止相でのクロマトグラフィーや、キラル塩形成とその後の選択的結晶化による分離を経由する分割、または立体選択的エステラーゼを使用する酵素的加水分解のような公知の手段によって分離、回収できる。また、光学活性な出発原料から誘導することもできる。
【0072】
本発明の化合物(1)は、所望であれば、医薬上許容される無毒性塩の形とすることができる。このような塩の例としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸との酸付加塩、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩を挙げることができる。
【0073】
これらの無毒性塩を化合物(1)から得るには、遊離塩基から塩を得る公知の方法によって製造することができる。例えば、化合物(1)に1当量以上の塩酸/メタノール溶液を加えて塩酸塩を析出させ、これを回収する。塩が析出しがたい場合には、これにジエチルエーテルなどの媒体を加えて析出させてもよい。
本発明の化合物(1)及びその無毒性塩のいずれの化合物をラットに100mg/kg腹腔内投与しても、死亡例は認められなかった。従って、本医薬として使用し得る化合物であるといえる。
【0074】
本発明の新規化合物(1)またはその無毒性塩は、5−HT1Aレセプターに高い親和性を有する。従って、本発明の化合物(1)は、セロトニン神経系関連疾患治療用医薬組成物の有効成分として、有利に用いることができる。本発明でいうセロトニン神経系関連疾患としては、セロトニンが関与する神経系の疾患を意味し、具体的には、不安、うつ、摂食障害、高血圧、嘔吐(動揺病、宇宙酔い、めまい、薬物誘発嘔吐等を含む)等が挙げられる。
【0075】
セロトニン神経系関連疾患治療用医薬組成物を調製するには、化合物(1)またはそれらの無毒性塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを組み合わせ、公知方法により経口もしくは非経口投与用に製剤化することができる。上記製剤化のための剤型としては、注射剤、点滴剤、錠剤、丸薬、散剤、顆粒剤、カプセル剤等が挙げられるが、その製造のためには、これらの製剤に応じた薬学的に許容される各種医薬担体、希釈剤、賦形剤などを用いることができる。
【0076】
例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤などの経口剤の調製にあたっては、澱粉、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類などの賦形剤、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなどの崩壊剤、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80などの界面活性剤、タルク、ロウ、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどの滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤を用いることができる。また、本発明の薬剤は、エマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤としても使用することができる。
【0077】
非経口剤を調製するには、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いることができる。更に必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤、等張剤、無痛化剤などを加えてもよい。
本発明のセロトニン神経系関連疾患治療用医薬組成物は、経口もしくは非経口により投与することができるが、非経口投与としては、筋肉内注射、静脈内注射等による投与や経皮、経鼻、経膣等の投与が例示される。
本発明の医薬組成物の投与量は、投与経路、被投与者の年齢、体重、症状などによって異なるが、一般には成人1日当り目的化合物(1)として、0.001〜100mg/kg程度である。
【0078】
次に、本発明化合物(1)の薬理作用について述べる。
1.セロトニン(5−HT)1Aレセプターに対する親和性
(1)実験方法
(A)ラット海馬膜画分の調製
SD系雄性ラット(7週令、チャ−ルス・リバー)を断頭後、すばやく脳を取り出し、これに氷冷下50mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)を加えて懸濁し、ホモジネートした。このホモジネートを遠心分離(48000×g、15分)し、その沈渣を上記緩衝液で再懸濁した。内在性のセロトニンを分解するために、この懸濁液を30℃で20分間保温した後、遠心分離(48000×g、15分)し、その沈渣を海馬膜画分とした。
【0079】
(B) 3H−8−ヒドロキシ−2−ジプロピルアミノテトラリン(3H−8−OH−DPAT)の、セロトニン1Aレセプターへの結合能の測定方法
上記で調製したラット海馬膜画分(約0.1〜0.2mg蛋白量)と 3H−8−OH−DPAT(米国ニュ−イングランド・ニュ−クレア社製)(最終濃度0.5nM)及びパージリン(pargyline、米国シグマ社製)(最終濃度0.01mM)を30℃で30分間反応させた後、反応液をホワットマンGF/Cフィルターで吸引濾過することにより反応を停止させ、フィルターに吸着した放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定し、得られた測定値を総結合量(TB)とした。上記の組成にセロトニン(最終濃度0.01mM)を加えて同様に反応させたものの測定値を非特異的結合量(NB)とした。セロトニンの代わりに適宜の濃度の各化合物の検体を加えて反応させ、測定値(DTB)を得た。
【0080】
(C)Ki値計算法
ある一定濃度の検体による、 3H−8−OH−DPATのセロトニン1Aレセプターに対する結合阻害率を次の計算式で算出した。
結合阻害率(%)=100−〔(DTB−NB)÷(TB−NB)〕×100
各検体毎に適宜の濃度(高濃度から低濃度まで)における結合阻害率を求め、横軸に濃度の対数値、縦軸に結合阻害率をプロットし、非線形最小2乗法にて曲線を引き、各検体のIC50値(50%結合する濃度)を求めた。
【0081】
Ki値は次の計算式で算出した。
Ki=(IC50)÷〔1+(L)/Kd〕
但し、式中、
(L);実験に用いた放射性リガンド( 3H−8−OH−DPAT)濃度(0.2nM)
Kd;放射性リガンドのレセプターに対する親和性を表す濃度(0.717 4nM)
IC50;レセプターと放射性リガンドとの結合を50%阻害する検体濃度
【0082】
(2)実験結果
本発明化合物のセロトニン1Aレセプターへの結合能を測定した結果は、表1の通りである。尚、検体とする各化合物は、実施例に記載の化合物番号で示し、予め塩酸塩としたものを用いた。
【0083】
【表1】
【0084】
2.アドレナリンα1レセプターに対する親和性
(1)実験方法
(A)ラットアドレナリンα1レセプターの膜標品の調製
SD系雄性ラット(7週令、チャ−ルス・リバー)を断頭後、素早く脳を取り出し、これに氷冷下50mMで大脳皮質を分離した。摘出した大脳皮質は−80℃で1昼夜以上凍結した。凍結したこの組織を氷冷下でゆっくりと解凍し、50mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)を加えて懸濁し、ホモジネートした。このホモジネートを遠心分離(48000×g、15分)し、その沈渣を上記緩衝液で2回洗浄し、得られた沈渣を上記緩衝液で再懸濁して、アドレナリンα1レセプターの膜標品とした。
【0085】
(B) 3H−プラゾシン結合能の測定方法
上記で調製したラットアドレナリンα1レセプターの膜標品と 3H−プラゾシン(米国ニュ−イングランド・ニュ−クレア社製)(最終濃度0.2nM)及びアスコルビン酸(最終濃度0.005%)とを全量1mlとし25℃で30分間反応させた。反応液をホワットマンGF/Cフィルターで吸引濾過し、濾紙を50mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)4mlで3回洗浄し、バイアル瓶に移し、シンチレーターを加えて放射能を測定して、得られた測定値を総結合量(TB)とした。上記組成にさらにプラゾシン(最終濃度100nM)を加えて同様に反応させたものの測定値を非特異的結合量(NB)とした。プラゾシンの代わりに適宜の濃度の各化合物の検体を加えて反応させ、測定値(DTB)を得た。
【0086】
(C)Ki値計算法
ある一定濃度の検体による、 3H−プラゾシンのアドレナリンα1レセプターに対する結合阻害率を次の計算式で算出した。
結合阻害率(%)=100−〔(DTB−NB)÷(TB−NB)〕×100
各検体毎に適宜の濃度(高濃度から低濃度まで)における結合阻害率を求め、横軸に濃度の対数値、縦軸に結合阻害率をプロットし、非線形最小2乗法にて曲線を引き、各検体のIC50値(50%結合する濃度)を求めた。
【0087】
Ki値は次の計算式で算出した。
Ki=(IC50)÷〔1+(L)/Kd〕
但し、式中、
(L);実験に用いた放射性リガンド( 3H−プラゾシン)濃度(0.2nM)
Kd;放射性リガンドのレセプターに対する親和性を表す濃度(0.133nM)
IC50;レセプターと放射性リガンドとの結合を50%阻害する検体濃度
【0088】
(2)実験結果
本発明化合物のアドレナリンα1レセプターに対する親和性を測定した結果は表2の通りであ。尚、検体とする各化合物は、実施例に記載の化合物番号で示し、予め塩酸塩としたものを用いた。
【0089】
【表2】
【0090】
上記の結果から、本発明の化合物(1)は、セロトニン1Aレセプターに対し高い親和性を示すのに対して、アドレナリンα1レセプターに対する親和性が低く、選択的な作用を示すことが分かる。従って、本発明の化合物(1)は、抗不安剤、抗うつ剤、摂食障害改善剤、血圧降下剤、制吐剤(抗動揺病剤、抗宇宙酔い剤、抗めまい剤、薬物誘発嘔吐抑制剤などを含む)などのセロトニン神経系関連疾患治療剤として有用である。
【0091】
3.抗嘔吐作用
(1)実験方法
実験動物としてスンクスを使用した。スンクスはトガリネズミ科の小動物であり、動揺病や嘔吐を起こす動物として知られている〔生体の科学,42,538(1990)〕。スンクスは単純な加速度刺激を加えると、人での乗物酔いに相当する症状(動揺病)を呈し、最終的に嘔吐を引き起こす。また、シスプラチン等の薬物を投与すると嘔吐を引き起こすことも知られている。
スンクスに被検体化合物を腹腔内投与し、その30分後に振幅4cm、頻度1Hzの加速度刺激を与え、嘔吐の発現有無を観察した。
【0092】
(2)実験結果
本発明化合物の抗嘔吐作用について測定した結果は、表3の通りである。なお、検体とする各化合物は、実施例に記載の化合物番号で示し、予め塩酸塩としたものを用いた。
【0093】
【表3】
【0094】
以上の結果から、本発明の化合物(1)は極めて有効に嘔吐を抑制することが分かる。従って、本発明の化合物(1)およびその無毒性塩は、抗宇宙酔い剤、抗めまい剤、薬物誘発嘔吐抑制剤等として有用である。
【0095】
【発明の効果】
本発明の2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体およびその無毒性塩は、セロトニン1Aレセプターに対し高い親和性を示すので、抗不安剤、抗うつ剤、摂食障害改善剤、血圧降下剤、制吐剤(抗動揺病剤、抗宇宙酔い剤、抗めまい剤、薬物誘発嘔吐抑制剤などを含む)などのセロトニン神経系関連疾患治療用医薬組成物として有用である。
【0096】
【実施例】
以下、参考例および実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、各参考例および各実施例で得られた化合物(化合物番号で表示する)の核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)及び質量分析(MS)のデータは後記の表4ないし表6に示す。
【0097】
参考例1
2−[N−(4−アミノブチル)−N−(t−ブトキシカルボニル)]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物001H)の合成
(工程A)2−アセトキシアリルベンゼン(化合物001A)の合成
2−アリルフェノール1.3ml(10mmol)をピリジン6.5mlに溶かし、これに0℃に冷却下ジメチルアミノピリジン24mg(0.2mmol)とアセチルクロライド1.9ml(20mmol)を加え、0℃で2時間攪拌して反応を行なった。反応液にクロロホルム50mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水50ml、水50ml、飽和食塩水50mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣を減圧蒸留(78〜80℃/4mmHg)し、表題化合物を無色の油状物として得た。収量1.64g(収率93%)。
【0098】
(工程B)3−(2−アセトキシフェニル)−1,2−ジブロモプロパン(化合物001B)の合成
工程Aで調製された化合物001A580mg(3.0mmol)を四塩化炭素5mlに溶かし、これに0℃に冷却下臭素0.16ml(3.0mmol)を滴下した後、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を亜硫酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮して、表題化合物を無色の油状物として得た。収量0.93g(収率92%)。
【0099】
(工程C)2−ブロモメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物001C)の合成
工程Bで調製された化合物001B340mg(1.0mmol)をエタノール3mlに溶かし、これに0℃に冷却下1規定のナトリウムエトキシドのエタノール溶液1.2ml(1.2mmol)を滴下した後、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を10%クエン酸水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=30:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を無色の油状物として得た。収量140mg(収率66%)。
【0100】
(工程D)2−[N−(4−ヒドロキシブチル)]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物001D)の合成
工程Cで調製された化合物001C430mg(2.0mmol)をアセトニトリル4mlに溶かし、これに4−アミノ−1−ブタノール0.92ml(10.0mmol)と炭酸カリウム550mg(4.0mmol)を加えて、80℃で8時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール:濃アンモニア水=10:1:0.1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量300mg(収率67%)。
【0101】
(工程E)2−[N−(tーブトキシカルボニル)−N−(4−ヒドロキシブチル)]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物001E)の合成
工程Dで調製された化合物001D220mg(1.0mmol)を塩化メチレン2mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.15ml(1.1mmol)、ジ−t−ブチルジカーボネート240mg(1.1mmol)を加え、室温で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlで洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルムで溶出し、表題化合物を無色の油状物として得た。収量306mg(収率95%)。
【0102】
(工程F)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物001F)の合成
工程Eで調製された化合物001E322mg(1.00mmol)を塩化メチレン4mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.56ml(4.0mmol)とp−トルエンスルホニルクロライド300mg(1.58mmol)を加え、室温で一昼夜攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム50mlを加え、得られる混合液を水50ml、飽和食塩水50mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=5:1で溶出し、表題化合物を無色の油状物として得た。収量459mg(収率96%)。
【0103】
(工程G)2−[N−(4−アジドブチル)−N−(t−ブトキシカルボニル)]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物001F)の合成
工程Fで調製された化合物001F184mg(0.39mmol)をジメチルホルムアミド1mlに溶かし、これにアジ化ナトリウム100mg(1.54mmol)を加え、40℃で4時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=20:1で溶出し、表題化合物を無色の油状物として得た。収量120mg(収率89%)。
【0104】
(工程H)2−[N−(4−アミノブチル)−N−(t−ブトキシカルボニル)]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物001H)の合成
工程Gで調製された化合物001G117mg(0.34mmol)をメタノール2mlに溶かし、これに10%パラジウム−活性炭15mgを加え、水素雰囲気下室温で一昼夜攪拌して反応を行った。反応液をセライトを通して濾過し、少量のメタノールで洗浄し、瀘液を減圧濃縮し、表題化合物を無色透明の油状物として得た。収量108mg(収率100%)。
【0105】
上記の方法で得た表題化合物はこれ以上の精製を行わず、以下の実施例に記載する化合物の反応に用いた。
参考例2
2−[N−(2−アミノエチル)−N−ベンジル]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物002C)の合成
(工程A)2−(N−ベンジル)アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物002A)の合成
参考例1の工程Cで調製された化合物001C1.07g(5.00mmol)をアセトニトリル11mlに溶かし、これにベンジルアミン1.64ml(15.0mmol)と炭酸カリウム2.07g(15.0mmol)を加えて、80℃で8時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム100mlを加え、得られる混合液を水100ml、飽和食塩水100mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,50g)に付し、クロロホルムで溶出し、表題化合物を黄色の油状物として得た。収量873mg(収率73%)。
【0106】
(工程B)2−[N−ベンジル−N−(2−フタルイミドエチル)]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物002B)の合成
上記工程Aで調製された化合物002A2.39g(10.0mmol)をアセトニトリル24mlに溶かし、これにN−(2−ブロモエチル)フタルイミド5.08g(20.0mmol)と炭酸カリウム2.76g(20.0mmol)を加えて、80℃で8時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム100mlを加え、得られる混合液を水100ml、飽和食塩水100mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,50g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=20:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を黄色の油状物として得た。収量3.08g(収率75%)。
【0107】
(工程C)2−[N−(2−アミノエチル)−N−ベンジル]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物002C)の合成
上記工程Bで調製された化合物002B2.06g(5.00mmol)を塩化メチレン:エタノール=9:1の混合溶媒20mlに溶かし、これに0℃に冷却下100%抱水ヒドラジン0.29ml(6.00mmol)を加えた後、室温で3日間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム50mlを加え、得られる混合液を水50ml、飽和食塩水50mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,50g)に付し、クロロホルム:メタノール:濃アンモニア水=30:1:0.1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を黄色の油状物として得た。収量1.19g(収率84%)。
【0108】
参考例3
2−[N−(3−アミノプロピル)−N−ベンジル]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物003B)の合成
(工程A)2−[N−ベンジル−N−(3−フタルイミドプロピル)]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物003A)の合成
参考例2の工程Aで調製された化合物002A864mg(3.60mmol)をアセトニトリル9mlに溶かし、これにN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド1.94g(7.20mmol)と炭酸カリウム1.11g(8.00mmol)を加えて、80℃で8時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を水20ml、飽和食塩水20mlで洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,20g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=10:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を黄色の油状物として得た。収量1.47g(収率98%)。
【0109】
(工程B)2−[N−(3−アミノプロピル)−N−ベンジル]アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物003B)の合成
上記工程Aで調製された化合物003A1.28g(3.00mmol)を塩化メチレン:エタノール=9:1の混合溶媒20mlに溶かし、これに0℃に冷却下100%抱水ヒドラジン0.17ml(3.60mmol)を加えた後、室温で2日間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム50mlを加え、得られる混合液を水50ml、飽和食塩水50mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,20g)に付し、クロロホルム:メタノール:濃アンモニア水=30:1:0.1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を黄色の油状物として得た。収量678mg(収率76%)。
【0110】
実施例1
2−{N−[4−(1−ナフトイルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物101B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(1−ナフトイルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物101A)の合成
参考例1の工程Hにて調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.14ml(1.0mmol)と1−ナフトイルクロライド0.09ml(0.6mmol)を加えた後、温度を0℃から徐々に室温まで上げ、2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=200:1の混合溶媒で溶出して、表題化合物を無色の油状物として得た。収量236mg(収率100%)。
【0111】
(工程B)2−{N−[4−(1−ナフトイルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物101B)の合成
上記工程Aで調製された化合物101A226mg(0.48mmol)に、0℃に冷却下トリフルオロ酢酸0.37mlを加え、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=25:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量141mg(収率79%)。
【0112】
実施例2
2−{N−[4−(2−ナフトイルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物102B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(2−ナフトイルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物102A)の合成
参考例1の工程Hで調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.14ml(1.0mmol)と2−ナフトイルクロライド114mg(0.60mmol)を加え、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=200:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量224mg(収率95%)。
【0113】
(工程B)2−{N−[4−(2−ナフトイルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物102B)の合成
上記工程Aで調製された化合物102A220mg(0.46mmol)に、0℃に冷却下トリフルオロ酢酸0.35mlを加え、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=20:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量141mg(収率82%)。
【0114】
実施例3
2−{N−[4−(4−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物103B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(4−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物103A)の合成
参考例1の工程Hで調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.28ml(2.0mmol)とイソニコチノイルクロライド塩酸塩(東京化成社製)107mg(0.60mmol)を加え、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=100:1の混合溶媒で溶出し表題化合物を無色の油状物として得た。収量198mg(収率93%)。
【0115】
(工程B)2−{N−[4−(4−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物103B)の合成
上記工程Aで調製された化合物103A194mg(0.46mmol)に、0℃に冷却下トリフルオロ酢酸0.35mlを加え、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=20:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量129mg(収率87%)。
【0116】
実施例4
2−{N−[4−(3−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物104B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(3−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物104A)の合成
参考例1の工程Hで調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン1.6mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.21ml(1.5mmol)とニコチノイルクロライド塩酸塩(東京化成社製)107mg(0.6mmol)を加え0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlで洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水して、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=50:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量200mg(収率94%)。
【0117】
(工程B)2−{N−[4−(3−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物104B)の合成
上記工程Aで調製された化合物104A187mg(0.44mmol)に、0℃に冷却下トリフルオロ酢酸2.0mlを加え、0℃で1.5時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量139mg(収率97%)。
【0118】
実施例5
2−{N−[4−(2−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物105B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(2−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物105A)の合成
参考例1の工程Hで調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン1.6mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.21ml(1.5mmol)とピコリノイルクロライド塩酸塩(東京化成社製)107mg(0.6mmol)を加え、0℃で1.5時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=2:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量175mg(収率74%)。
【0119】
(工程B)2−{N−[4−(2−ピリジルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物105B)の合成
上記工程Aで調製された化合物105A170mg(0.37mmol)に、0℃に冷却下トリフルオロ酢酸2.0mlを加え、0℃で1.5時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し減圧濃縮し、表題化合物135mgを淡黄色の油状物として得た。収量135mg(収率100%)。
【0120】
実施例6
2−{N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物106B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物106A)の合成
上記参考例1の工程Hで調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン1.6mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.14ml(1.0mmol)と2−テノイルクロライド(東京化成社製)0.06ml(0.6mmol)を加え、0℃で3時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=200:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量213mg(収率99%)。
【0121】
(工程B)2−{N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物106B)の合成
上記工程Aで調製された化合物106A200mg(0.46mmol)に、0℃に冷却下トリフルオロ酢酸2.0mlを加え、0℃で5時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=25:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量133mg(収率88%)。
【0122】
実施例7
2−{N−[4−(3−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物107B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(3−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物107A)の合成
3−チオフェンカルボン酸64mg(0.50mmol)を塩化メチレン5.0mlに溶かし、これに−25℃に冷却下トリエチルアミン0.08ml(0.6mmol)とクロロ蟻酸イソブチル0.08ml(0.6mmol)を加えて、−25℃で10分間撹拌した。得られた反応液に、参考例1の工程Hで調製した化合物001H192mg(0.60mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かした溶液を加え、−25℃で10分間、室温で4時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルムで溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量75mg(収率35%)。
【0123】
(工程B)2−{N−[4−(3−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物107B)の合成
上記工程Aで調製された化合物107A74mg(0.17mmol)に0℃に冷却下トリフルオロ酢酸0.13mlを加え、0℃で3.5時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=30:1で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量36mg(収率64%)。
【0124】
実施例8
2−{N−[4−(2−フリルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物108B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(2−フリルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物108A)の合成
上記参考例1の工程Hで調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン1.6mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.14ml(1.0mmol)と2−フロイルクロライド(東京化成社製)0.06ml(0.6mmol)を加え、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=200:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量204mg(収率99%)。
【0125】
(工程B)2−{N−[4−(2−フリルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物108B)の合成
上記工程Aで調製された化合物108A198mg(0.48mmol)に、0℃に冷却下トリフルオロ酢酸2.0mlを加え、0℃で3時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=30:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の固体として得た。収量117mg(収率78%)。
【0126】
実施例9
2−{N−[4−(3−フリルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物109B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−(3−フリルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物109A)の合成
3−フランカルボン酸112mg(1.00mmol)を塩化メチレン10mlに溶かし、これに−25℃に冷却下トリエチルアミン0.17ml(1.2mmol)とクロロ蟻酸イソブチル0.16ml(1.2mmol)とを加えて、−25℃で10分間撹拌した。得られた反応液に、参考例1の工程Hで調製した化合物001H192mg(0.60mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かした溶液を加え、−25℃で10分間、室温で3時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルムで溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量250mg(収率61%)。
【0127】
(工程B)2−{N−[4−(3−フリルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物109B)の合成
工程Aで調製された化合物109A242mg(0.59mmol)に0℃に冷却下トリフルオロ酢酸0.45mlを加え、0℃で3時間攪拌して反応を行った。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mlに溶かした。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=25:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量135mg(収率73%)。
【0128】
実施例10
(+)−2−{N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン・塩酸塩(化合物110A)の合成
実施例6で得られた化合物106B803mg(2.43mmol)をメタノール10mlに溶かし、これに(R)−(−)−N−(3,5−ジニトロべンゾイル)−α−フェニルグリシン(東京化成社製)839mg(2.43mmol)を加え、室温で一昼夜放置した後、析出した結晶を濾取し、減圧下乾燥した。この結晶をメタノールで2度再結晶化した。得られた結晶208mgを0.5N−水酸化ナトリウム水溶液2mlに溶かし、クロロホルム10mlで2度抽出した。クロロホルム層を水10ml、飽和食塩水10mlの順で洗浄後、ホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣を2.7規定の塩酸/メタノール溶液に溶かした後、減圧濃縮した。析出した結晶を濾過後、減圧下乾燥して、表題化合物105mgを白色結晶として得た。
【0129】
光学純度;97.7%e.e.(大阪曹達社製キラルセルOD、カラム;0.46×25cm、溶出溶媒;ヘキサン:エタノール=90:10(0.1%トリエチルアミン含有)、溶出速度;0.6ml/分、検出波長;270nm)
[α]D 62.0(c=0.26,メタノール)
【0130】
実施例11
(−)−2−{N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン・塩酸塩(化合物111A)の合成
実施例10の結晶化、再結晶化に用いた母液を全て集めて減圧濃縮し、残渣を1N−水酸化ナトリウム水溶液10mlに溶かし、この溶液をクロロホルム10mlで2度抽出した。クロロホルム層を水10ml、飽和食塩水10mlの順で洗浄後、ホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。得られた淡黄色の油状物をメタノール25mlに溶かし、これに(S)−(+)−N−(3,5−ジニトロべンゾイル)−α−フェニルグリシン(米国アルドリッチ社製)733mg(2.12mmol)を加え、室温で一昼夜時間放置した後、析出した結晶を濾取し、減圧乾燥した。この結晶をメタノールで2度再結晶化した。得られた結晶205mgを0.5N−水酸化ナトリウム水溶液2mlに溶かし、これをクロロホルム10mlで2度抽出した。クロロホルム層を水10ml、飽和食塩水10mlの順で洗浄後、ホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣を2.0規定の塩酸/メタノール溶液に溶かした後、減圧濃縮した。析出した結晶を濾過後、減圧下乾燥して、表題化合物100mgを白色結晶として得た。
【0131】
光学純度;99.7%e.e.(大阪曹達社製キラルセルOD,カラム;0.46×25cm、溶出溶媒;ヘキサン:エタノール=90:10(0.1%トリエチルアミン含有)、溶出速度;0.6ml/分、検出波長;270nm)
[α]D −62.9(c=0.25, メタノール)
【0132】
実施例12
2−{N−[2−(1−ナフトイルアミノ)エチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物112B)の合成
(工程A)2−{N−ベンジル−N−[2−(1−ナフトイルアミノ)エチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物112A)の合成
参考例2において調製された化合物002C141mg(0.50mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.14ml(1.00mmol)と1−ナフトイルクロライド0.09ml(0.6mmol)を加え、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=3:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量179mg(収率82%)。
【0133】
(工程B)2−{N−[2−(1−ナフトイルアミノ)エチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物112B)の合成
上記工程Aにより調製された化合物112A175mg(0.40mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下ベンジルオキシカルボニルクロライドのトルエン溶液(東京化成社製)0.71ml(1.20mmol)を加えた後、40℃で6時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、クロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=1:1の混合溶媒で溶出し、2−{N−カルボベンゾキシ−N−[2−(1−ナフトイルアミノ)エチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン168mgを得た。
【0134】
上記化合物を酢酸0.5mlに溶かし、アニソール0.05mlを加え、これに0℃に冷却下30%臭化水素酸の酢酸溶液0.84mlを加えた後、室温で1時間攪拌して反応を行った。反応液にジエチルエーテル20mlを加えて、析出した沈殿を濾取した。これをクロロホルム20mlに溶かし、得られる溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=20:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物112mgを無色の油状物として得た。収量112mg(収率81%)。
【0135】
実施例13
2−{N−[3−(1−ナフトイルアミノ)プロピル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物113B)の合成
(工程A)2−{N−ベンジル−N−[3−(1−ナフトイルアミノ)プロピル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物113A)の合成
参考例3において調製された化合物003B148mg(0.50mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.14ml(1.0mmol)と1−ナフトイルクロライド0.09ml(0.6mmol)を加え、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=3:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を無色の油状物として得た。収量219mg(収率97%)。
【0136】
(工程B)2−{N−[3−(1−ナフトイルアミノ)プロピル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物113B)の合成
上記工程Aにより調製された化合物113A255mg(0.57mmol)を塩化メチレン3.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下ベンジルオキシカルボニルクロライドのトルエン溶液(東京化成社製)1.0ml(1.7mmol)を加え、40℃で6時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、クロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、ヘキサン:酢酸エチル=2:1の混合溶媒で溶出し、2−{N−カルボベンゾキシ−N−[3−(1−ナフトイルアミノ)プロピル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フランを白色の泡状物として得た。上記化合物を酢酸0.7mlに溶かし、アニソール0.07mlを加え、これに0℃に冷却下30%臭化水素酸の酢酸溶液1.2mlを加えた後、室温で1時間攪拌して反応を行った。
【0137】
反応液にジエチルエーテル20mlを加えて、析出した沈殿を濾取した。これをクロロホルム20mlに溶かし、得られる溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=10:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を無色の油状物として得た。収量171mg(収率83%)。
【0138】
実施例14
2−{N−[4−[(1−ナフチルスルホニル)アミノ]ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物114B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−[(1−ナフチルスルホニル)アミノ]ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物114A)の合成
参考例1の工程Hで調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.14ml(1.0mmol)と1−ナフタレンスルホニルクロライド(東京化成社製)136mg(0.60mmol)を加え、0℃で6時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルムで溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量269mg(収率100%)。
【0139】
(工程B)2−{N−[4−[(1−ナフチルスルホニル)アミノ]ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物114B)の合成
上記工程Aにより調製された化合物114A246mg(0.48mmol)を塩化メチレン5.0mlに溶かし、これにトリフルオロ酢酸0.37mlを加え、0℃で3時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=50:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量163mg(収率83%)。
【0140】
実施例15
2−{N−[4−[(2−ナフチルスルホニル)アミノ]ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物115B)の合成
(工程A)2−{N−(t−ブトキシカルボニル)−N−[4−[(2−ナフチルスルホニル)アミノ]ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物115A)の合成
参考例1の工程Hで調製された化合物001H160mg(0.50mmol)を塩化メチレン2.0mlに溶かし、これに0℃に冷却下トリエチルアミン0.14ml(1.0mmol)と2−ナフタレンスルホニルクロライド(東京化成社製)136mg(0.60mmol)を加え、0℃で3時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルムで溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量252mg(収率99%)。
【0141】
(工程B)2−{N−[4−[(2−ナフチルスルホニル)アミノ]ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物115B)の合成
上記工程Aにより調製された化合物115A242mg(0.48mmol)を塩化メチレン5.0mlに溶かし、これにトリフルオロ酢酸0.37mlを加え、0℃で4時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水20ml、水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、目的化合物を含むクロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=50:1の混合溶媒で溶出し、表題化合物を淡黄色の油状物として得た。収量170mg(収率87%)。
【0142】
実施例16
(−)−2−{N−メチル−N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン・塩酸塩(化合物116A)の合成
塩酸/メタノール溶液に溶かす操作を行わない以外は実施例11と同様の方法で得られた(−)−2−{N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン73mg(0.22mmol)をメタノール1.5mlに溶かし、これに37%ホルムアルデヒド水溶液0.20ml(2.5mmol)と水素化ホウ素ナトリウム16mg(0.25mmol)を加えて、0℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、クロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=30:1の混合溶媒で溶出し、63mgの淡黄色の油状物を得た。この油状物を2.7規定の塩酸/メタノール溶液に溶かし、減圧濃縮し、析出した結晶を濾過後、減圧下乾燥して、表題化合物60mgを白色結晶として得た。
[α]D −57.3(c=0.26,メタノール)
【0143】
実施例17
(−)−2−{N−エチル−N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン・塩酸塩(化合物117A)の合成
塩酸/メタノール溶液に溶かす操作を行わない以外は実施例11と同様の方法で得られた(−)−2−{N−[4−(2−チエニルカルボニルアミノ)ブチル]}アミノメチル−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン83mg(0.25mmol)をアセトニトリル0.8mlに溶かし、これにヨウ化エチル0.024ml(0.30mmol)と炭酸カリウム70mg(0.50mmol)を加えて、80℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液にクロロホルム20mlを加え、得られる混合液を水20ml、飽和食塩水20mlの順で洗浄後、クロロホルム層をホワットマン1PS濾紙を通して脱水し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(独国メルク社製、Art.9385,10g)に付し、クロロホルム:メタノール=30:1の混合溶媒で溶出し、66mgの淡黄色の油状物を得た。この油状物を2.7規定の塩酸/メタノール溶液に溶かし、減圧下濃縮し、析出した結晶を濾過後、減圧下乾燥して、表題化合物62mgを淡黄色の泡状物質として得た。
[α]D −54.5(c=0.22,メタノール)
【0144】
【表4】
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
Claims (3)
- 式(2)
X−A−R2 (3)
(式中、Xは脱離原子又は脱離基を、R2 はナフチル基、ピリジル基、フリル基またはチエニル基を、Aはカルボニル基またはスルホニル基を示す)で表される化合物とを反応させることを包含し、式(2)においてR11がアミノ基の保護基である場合には、式(2)の化合物と式(3)の化合物との反応により得られる生成物を、該保護基が水素原子に置換されるような該保護基の脱離処理にかけることを特徴とする式(1)
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