JPH0615679A - プレス成型機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 平行に相対して設置された２枚の型締め板４
と、型締め板４の間に挟まれた空間に設置された雄雌金
型５と、雄雌金型５の内部空間を覆い、外部空間と遮断
密閉するベローズ部３とから構成され、ベローズ部３は
雄雌金型５の型開閉方向に伸縮し、内部空間と外部空間
とを連通する導管１が設けられているプレス成型機。 【効果】 冷却しきっていない高温の金型を型締め板の
間より取り出す必要がないので危険性が低く、真空ポン
プで所定の排気を行うための所要時間および真空を破る
のに要する時間が短く高能率であり、また、樹脂を溶融
して雄雌金型の上下方向に圧力を加えた後速やかに金型
を冷却することができるために樹脂の劣化着色が軽減で
き、さらに、本発明におけるベローズ部は従来のプレス
成型機における真空チャンバーに比較して、真空密閉が
比較的容易であり、製造コストが低く、したがってプレ
ス成型機装置費用の軽減にも効果的である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はプレス成型機に関する。

【０００２】

【従来の技術】プラスチックの代表的な成型方法とし
て、射出成型法と並び、プレス成型法がよく知られてい
る。光学部品などの精密成型においては射出成型法が採
用されることが多い。しかし、プレス成型法は装置が比
較的安価で使いやすいために、本生産では射出成型法を
採用する場合においても、生産に先だって少量の製品サ
ンプルを成型する際にはプレス成型法を採用することが
ある。

【０００３】プレス成型法においては、通常、金型内部
空間が外部の大気に解放されているために、成型材料で
ある樹脂（プラスチック）を加熱軟化（または溶融）す
る際に、大気中の酸素または水分の影響により樹脂の劣
化を起こしやすい。したがって得られた成型品が茶色ま
たは黄色に着色することがある。また、金型内面に設け
られた凹凸に樹脂が完全に充填されず、またエアを噛み
込みやすいために成型品に気泡が混入することがある。
特に原料樹脂の形状がペレットまたは粉状である場合
は、その形状がシート状である場合に比較して、得られ
た成型品への気泡混入が避け難い。これら成型品の着色
または気泡混入は得られた成型品の商品の外観価値を著
しく損なうだけでなく、透明性を要求される光学部品の
成型においては機能上の致命的な欠陥となることがあ
る。

【０００４】上述の問題を解消するために、従来、真空
プレス成型機と称されるものが開発されている。これ
は、図４に示すように、平行に相対して設置された２枚
の型締め板２０と、該型締め板の間に挟まれた空間に設
置された雄雌金型２１とを一つの真空チャンバー２２の
中に設ける構造を有する。該型締め板２０の内部には加
熱ヒーターが設けられ、型締め板２０と接触する雄雌金
型２１に熱を与える。成型操作を簡単に説明すれば、先
ずペレット状、シート状、粉状などの樹脂を雄雌金型２
１の所定の位置に所定の分量だけ入れ、真空チャンバー
２２内を真空ポンプ２３を用いて真空にし、雄雌金型２
１を加熱して金型中の樹脂を溶融する。その後、型締め
板２０を閉じ雄雌金型２１を加圧し、溶融した樹脂を金
型内部に充填する。次いで、真空チャンバー２２内に空
気を導入して真空チャンバー２２内の真空を破り、チャ
ンバー内より雄雌金型をすばやく取り出して、例えば、
金型を加熱されていない金属塊に接触させるか、金型ご
と水中に投入するか、放置するかなどにより、金型を冷
却し樹脂が固まった後に雄雌金型より固まった樹脂成型
物を取り出す。したがって、溶融前に樹脂のまわり（例
えば、ペレット状樹脂であれば１個１個のペレットとペ
レットとの間隙）に存在していた空気が真空チャンバー
を用いて樹脂が溶融する前に除去されるため、溶融樹脂
内に空気（気泡）を咬み込むことがなく、気泡の咬み込
みがない優れた成型品を得ることが可能であるとされて
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の真空プレス成型機においては、雄雌金型を加圧した
後、チャンバー内より雄雌金型をすばやく取り出してか
ら雄雌金型を冷却しなければならないために、次のよう
な問題点を生じる。 （１）まだ冷却されていない高温で重量のある雄雌金型
を真空チャンバーより取り出すことは、高温であるため
に火傷の危険があり、重量があるために足先への落下に
よる怪我の危険があり、さらに重い金型を取り出して冷
却に到る操作はすばやく実施されなければならないため
に腰痛を引き起こす危険がある。 （２）真空チャンバーは雄雌金型だけでなく型締め板ま
でを内部に納めてあるためにチャンバー内の容積が大き
く、真空ポンプで真空するためには大きな容積の空気を
排出しなければならないことにより、減圧に要する時間
が長く、雄雌金型を加圧した後、真空を破るためにチャ
ンバー内に大容積の空気を導入する時間が長いことのた
めに作業時間が長く能率的な成型作業ができない。 （３）樹脂を溶融してから冷却するまでの時間が長いこ
とから、樹脂を高温状態にさらす時間が長くなり、樹脂
の劣化を招き易く、成型品の着色や強度低下を起こしや
すい。 （４）真空チャンバーを設置することは技術的な困難を
伴い、それだけ設置のために設備費用がかかる。

【０００６】以上挙げた問題点、すなわち（１）危険、
（２）非能率、（３）樹脂劣化、（４）高い設備費用、
を解消あるいは軽減することが本発明の目的である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のプレス成型機は、平行に相対して設置され
た２枚の型締め板と、該型締め板の間に挟まれた空間に
設置された雄雌金型と、該雄雌金型の内部空間を覆い、
外部空間と遮断密閉するベローズ部とから構成され、該
ベローズ部は該雄雌金型の型開閉方向に伸縮し、該内部
空間と該外部空間とを連通する導管が設けられているこ
とを特徴とする。本発明のプレス成型機において、内部
空間と外部空間とを連通する第１の導管と第２の導管と
が設けられており、該第１の導管は該内部空間より気体
を抜き出すかあるいは気体を充填するために設けられて
おり、該第２の導管は該内部空間より液体を抜き出すか
あるいは液体を充填するために設けられていても良い。

【０００８】

【実施例】本発明のプレス成型機と従来のプレス成型機
との構造上の相違を、図４に示す従来のプレス成型機を
示す概略図と図１に示す本発明のプレス成型機の一例の
概略図とを比較して説明する。従来のプレス成型機（図
４）においては真空チャンバー２２が設けられている
が、本発明のプレス成型機（図１）においては真空チャ
ンバーはない。代わりに、導管１とベローズ部材２が設
けられたベローズ部３が設置されている。ベローズ部３
のベローズ部材２が図の上下方向に伸縮するので、型締
め板４を動かして間隙を小さくすることが可能であり、
これによって雄雌金型５に図の上下方向に圧力を加えて
プレス成型することができる。図に示すように、従来の
プレス成型機においては真空ポンプ６により排出される
空気は大きい容積を有する真空チャンバー内部の空気で
あるが、本発明のプレス成型機においては真空ポンプ６
により排出される空気は小さい容積を有するベローズ部
３の内部の空気である。したがって、先に述べた従来技
術における問題点（２）（真空に達する時間、真空を破
る時間が長いこと）については、本発明のプレス成型機
によれば、排出すべき空気容積が小さいことから、真空
に達する時間おび真空を破る時間が短く、能率的なプレ
ス成型作業を実現することが可能となる。

【０００９】ベローズ部の一例の詳細図を図３に示す。
図３に示すベローズ部は、ベローズ部上板７、ベローズ
部フランジ８、ベローズ部下板９、ベローズ部材１０、
第２の導管１２、第１の導管１１およびベローズ部の上
板とフランジとを固定する固定ねじ１３から成る。かか
るベローズ部３の内部に雄雌金型を納め、取り出す場合
は固定ねじ１３をゆるめてベローズ部上板７をベローズ
部フランジ８より取り出す。

【００１０】本発明のプレス成型機の他の一例（ベロー
ズ部の構造が異なる）の概略図を図２に示す。図２に示
すプレス成型機について、操作手順を説明する。図３に
示す本発明のプレス成型機において、雄雌金型１４に光
学用ポリカーボネート樹脂等のペレットを入れて、ベロ
ーズ部１５の中に該金型を挿入設置し、第２の導管１７
ａ，１７ｂを閉じた後、第１の導管１６より真空ポンプ
６を用いてベローズ部１５内の空気を排出しベローズ部
１５内を真空にする。ここで、雄雌金型１４を上下に分
離して図示しているが、実機では雄雌金型１４の上下は
互いに嵌合している。真空ポンプ６を作動したままの状
態でベローズ部１５を予め加熱された上下の型締め板１
８の間に納め、一定時間放置したあと型締め板１８の上
板を下方に動かしベローズ部１５に圧力をかける。この
後速やかに型締め板１８内に設置された加熱ヒータの電
源を切り、第１の導管１６を閉じた後、該導管と真空ポ
ンプ６とを連結する管を該導管より外し、第１の導管１
６を開いてベローズ部１５内部の真空を破る。次いで、
２本設置されている第２の導管１７ａ，１７ｂの双方の
導管を開き、一方の導管１７ａより水道水を注意深くベ
ローズ部１５の内部に流入する。第２の導管の他方の導
管１７ｂを徐々に閉じて第１の導管１７ａより水が流出
することを確認した後、すばやく第１の導管１７ａを閉
じると同時に、徐々に閉じつつある第２の導管の他方の
導管１７ｂを開く。このように操作することによって水
がベローズ部１５内部をほぼ満たし、２本設置された第
２の導管の一方の導管１７ａより水がベローズ部１５内
部に流入し、第２の導管の他方の導管１７ｂより流出す
る。水による雄雌金型１４の冷却を促進するために雄雌
金型１４の上下に接触する部分に水が流入することので
きる溝１９が設けられている。以上のようにして雄雌金
型１４が充分に冷却された後、水道水を停止し、ベロー
ズ部１５を型締め板１８の間から取り出して、ベローズ
部１５内部より雄雌金型１４を取り出し、該金型より成
型品を取り出す。

【００１１】

【発明の効果】本発明のプレス成型機によれば、冷却し
きっていない高温の金型を型締め板の間より取り出す必
要がないので危険性が低く、真空ポンプで所定の排気を
行うための所要時間および真空を破るのに要する時間が
短く高能率であり、また、樹脂を溶融して雄雌金型の上
下方向に圧力を加えた後速やかに金型を冷却することが
できるために樹脂の劣化着色が軽減でき、さらに本発明
におけるベローズ部は従来のプレス成型機における真空
チャンバーに比較して、真空密閉が比較的容易であり、
製造コストが低く、したがってプレス成型機装置費用の
軽減にも効果的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のプレス成型機の一例の概略図である。

【図２】本発明におけるベローズ部の詳細図である。

【図３】本発明のプレス成型機の他の一例の概略図であ
る。

【図４】従来のプレス成型機の概略図である。

【符号の説明】

１ 導管 ２，１０ ベローズ部材 ３，１５ ベローズ部 ４，１８ 型締め板 ５，１４ 雄雌金型 ６ 真空ポンプ ７ ベローズ部上板 ９ ベローズ部下板 １１，１６ 第１の導管 １２，１７ａ，１７ｂ 第２の導管

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平行に相対して設置された２枚の型締め
   板と、該型締め板の間に挟まれた空間に設置された雄雌
   金型と、該雄雌金型の内部空間を覆い、外部空間と遮断
   密閉するベロース部とから構成され、該ベロース部は該
   雄雌金型の型開閉方向に伸縮し、該内部空間と該外部空
   間とを連通する導管が設けられていることを特徴とする
   プレス成型機。
2. 【請求項２】 内部空間と外部空間とを連通する第１の
   導管と第２の導管とが設けられており、該第１の導管は
   該内部空間より気体を抜き出すかあるいは気体を充填す
   るために設けられており、該第２の導管は該内部空間よ
   り液体を抜き出すかあるいは液体を充填するために設け
   られていることを特徴とする請求項１記載のプレス成型
   機。