JPH0615562B2 - 部分アミド化ペクチンの製造方法 - Google Patents

部分アミド化ペクチンの製造方法

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JPH0615562B2
JPH0615562B2 JP59198334A JP19833484A JPH0615562B2 JP H0615562 B2 JPH0615562 B2 JP H0615562B2 JP 59198334 A JP59198334 A JP 59198334A JP 19833484 A JP19833484 A JP 19833484A JP H0615562 B2 JPH0615562 B2 JP H0615562B2
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pectin
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晶二 鈴木
弘文 二宮
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はペクチンの製造方法に関する。更に詳しくは柑
橘類果皮等ペクチン含有植物からペクチンを抽出するに
際してペクチンの部分的にメチルエステル化されている
D−ガラクツロン酸のエステル部分を部分的に脱メトキ
シル化し、且つ、部分アミド化するアミド型ペクチンの
製造方法に関する。
ペクチン分子中のD−ガラクツロン酸のメトキシル化度
によってペクチンの性質が異なり、メトキシル化度50
%以上のものはハイメトキシル(HM)ペクチン、50
%以下のものはロウメトキシル(LM)ペクチンと分類
される。さらにHMペクチンにいてはそのメトキシル化
度によりゲル化速度が異なってくるのでそのメトキシル
化度によりラピッドセット、ミディアムセット、スロー
セットに分けられている。LMペクチンにおいてもメト
キシル化度によりゲルの硬さや弾力性等性質が異なって
くるのでペクチンを製造する上でメトキシル化度の調節
は重要である。
又、LMペクチンには酸等で抽出したままのLMペクチ
ンと部分アミド化したLMペクチンの2種類があり、部
分アミド化ペクチンはカルシウムによるゲル化にあたり
最適ゲル化カルシウム濃度範囲が広く、良好なゲルを容
易に得ることができ、さらに、比較的強度の高いゲルを
得易いという特徴を有する。
[従来の技術] ペクチンのメトキシル化を行なわないでペクチンを製造
すると例えばレモン搾汁果皮からのペクチンでは70〜
75%、オレンジ搾汁果皮からでは67〜72%程度と
いうメトキシル化度の高いいわゆるラビットセットHM
ペクチンしか得られない。所望のメトキシル化度のペク
チンを得るためには酸、アルカリ或いは酸素により脱メ
トキシル化する必要があり、この時にアルカリとしてア
ンモニアを用いると同時に部分アミド化もおこって部分
アミド化ペクチンとなる。
部分アミド化LMペクチンの製造法としては通常のペク
チン製造工程において抽出、沈殿してえられる粗製ペク
チンをアンモニアとアルコールの混合物で処理する方法
と、粗製ペクチンを酸含有アルコールで処理した後アン
モニアとアルコールの混合物で処理する方法とがある。
[発明が解決しようとする問題点] これらの方法の中で、前者の方法は脱メトキシル化と部
分アミド化を一段で行なうため必要な程度まで脱メトキ
シル化を行なわねばならないのでアンモニア濃度を高
くしたり、反応時間を長くしたりする必要がある。この
ように厳しい条件で脱メトキシル化を行なうとと、特に
アンモニアの様なアルカリ存在下ではグリコシド結合の
開裂等によるペクチンの分子量低下即ち品質の低下は避
けられず、場合によっては製品収率も低下する。
後者の場合、第1段の処理方法としては得られた脱水沈
殿に対し酸水溶液/アルコールの容量比が1/1〜1/
2程度、該沈殿/酸含有アルコールの重量/容量比が1
/1〜1/3程度で且つ酸の系全体に対する濃度が1〜
3規定程度で数十時間反応させるものである。この反応
を終了させるに際し系にアルカリを添加して中和する方
法もあるが、かかる方法を用いると酸濃度が高いため中
和に要するアルカリも多量に必要となり、沈殿を圧搾し
て乾燥しても製品中に20%程度という多量の塩が残留
して製品の品質を低下せしめる結果となる。これを回避
するために通常は反応を終了させる際し水を含むアルコ
ールで繰り返し洗浄を行ない過剰の酸を除去する方法が
用いられる。こうして得られる沈殿を にアンモニアと
アルコールの混合物で処理し再び同様にして洗浄を行な
う必要があり、操作が煩雑となると同時に設備も複雑と
となり、アルコールの使用量も増大しコスト高になると
いう問題がある。
本発明はこのような問題点のなく、効率の良い部分アミ
ド化ペクチンの製造方法を提供することにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明の要旨は乾燥状態のペクチン含有植物を酸で膨潤
させてペクチンを部分的に脱メトキシル化し、次いでペ
クチンを溶解して不溶解分を分離した後ペクチンを沈殿
させ、系全体に対するアンモニアの濃度が0.5〜1.
5規定となるようなアンモニア水と水混和性有機溶剤と
を得られた沈殿物に作用させて、部分的に脱メトキシル
化するとともに部分アミド化する部分アミド化ペクチン
の製造方法にある。即ちペクチン含有植物を酸処理して
メトキシル化度を低下せしめ、ペクチンを分離した後そ
のペクチンをアンモニアでさらに脱メトキシル化すると
同時にアミド化する方法にある。
本発明において用いられる酸としては塩酸、硫酸、硝酸
等の無機酸が好ましく用いられる。酢酸やクエン酸等の
有機酸も用いることができるが、収率が低くなるという
欠点がある。
酸による脱メトキシル化は乾燥状態のペクチン含有植物
に酸を添加することにより行なわれるが、添加する酸の
濃度は0.1規定以上であることが好ましい。これより低
いと反応に長時間を要するようになる。酸の添加方法は
噴霧あるいはブレンダー等によるブレンド等いずれの方
法もとれるが、酸と該植物を均一に混合するよう注意を
払うことが特に好ましい。
脱メトキシル化において酸は触媒として働くため特に酸
の量が限定されるものではないが、該植物乾燥重量1kg
に対して0.5〜2.0グラム当量%程度用いることが好まし
い。脱メトキシル化で用いられた酸はそのまま除去せず
に必要ならば酸を追加し、且つ水を添加して濃度を調節
して抽出すれば同じ酸を脱メトキシル化にも抽出にも用
い得るので好ましい。脱メトキシル化に用いる酸の量が
抽出に用いる酸の量よりも多くなってもよいが、該量を
越えると抽出前に部分洗浄あるいは中和が必要となる。
従って脱メトキシル化に用いる酸の量が抽出に必要な酸
の量と同等又はそれ以下であることが好ましい。又、脱
メトキシル化の為の酸水溶液の量は乾燥状態の該植物の
重量以下となる量を用いることが好ましい。これは必要
な酸に対し不必要に水が多くなると酸の濃度が低下し、
反応時間が長くなるため均一な混合のし易さと反応時間
のかねあいから水溶液の量が乾燥状態の該植物の重量以
下となる量であることが好ましいことを見出したことに
なる。濃厚な酸を用いても均一にブレンドさえできれば
特に範囲は生じないため酸濃度に関する上限はない。例
えばスプレー法を用いる場合には比較的濃厚な酸を用い
ることができる。該植物に酸を含浸せしめた後は水分等
の蒸発等により濃度変化が生じないように脱メトキシル
化反応中は密閉しておくことが好ましい。ペクチンのメ
トキシル化度を第1段目での所望の値に調節するには脱
メトキシル化の反応時間、酸の濃度、酸の量、反応温度
等を適宜調節すればよい。
アンモニア水による処理においては沈殿物を実質的に溶
解させない状態で処理させる必要がある。即ち、アンモ
ニア水溶液と水混和性有機溶剤の混合溶液を用いて処理
することが好ましい。アンモニア水溶液と水混和性有機
溶剤の容量比は1/10〜1/20であることが好まし
く、且つ、沈殿物と該混合溶液の重量/容量比が1/1
〜1/3であることが好ましい。系全体に対するアンモ
ニアの濃度は0.5乃至1.5規定程度であることが好ましく
このような条件では室温での必要な反応時間は30分乃
至数時間程度でよい。系のアンモニア濃度が低すぎる場
合は反応に長時間を要するため好ましくなく、高すぎる
場合は反応速度が早すぎて制御が困難となる。
[実施例] 以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
なお実施例において、メトキシル化度、アミド化度はフ
ッド ケミカルズ コーデックス(Food Chemicals Code
x)第3版に記載された方法に依った。又、ゲル強度は糖
度31%、pH3.0、ペクチン1%、カルシウム250mg/
kg−ゲルの組成のものを作成し、ネオカドメーターを用
いて測定した。
実施例1 レモンの搾汁果皮の乾燥物3.0kgに3規定の塩酸水溶液
1を添加混合した。該果皮はこの水溶液で膨潤した状
態になった。これをポリエチレン製袋に入れて密閉し、
25℃で72時間放置した。しかる後該果皮を抽出槽に
入れ、水を加え全量が100となるようにし、昇温し
て90℃で30分間撹拌抽出を行なった。抽出液のpHは
2.0であった。次に不溶解分を遠心分離して除去し、得
られた上澄液に珪藻土濾過助剤を400g加え加圧濾過
して清澄濾液7.8kgを得た。この濾液に60%容量濃度
となるようにイソプロピルアルコールを加え析出したペ
クチンの沈殿を分離し、圧搾して固形分濃度25%の沈
殿2.4kgを得た。この沈殿に60%容量濃度のイソプロ
ピルアルコール4.4と25%のアンモニア水400m
を加え撹拌混合して3時間反応させた。次いで濃塩酸
でpH4.0にして、沈殿を分離、圧搾した。この沈殿に対
し2倍量のイソプロピルアルコールを加え沈殿中に含ま
れる塩を溶解した後、再度沈殿を分離圧し、次いで乾
燥、粉砕して粉末ペクチン58gを得た。得られたペク
チンのメトキシル化度は30.0%であり、アミド化度は1
6.3%であった。又、ゲル強度は163g/cm2であっ
た。尚、アンモニア処理を実施する前のペクチンのメト
キシル化度は57.1%であった。
実施例2 オレンジの搾汁果皮の乾燥物3.0kgに2.3規定の塩酸水溶
液1550mを添加混合した。該果皮はこの水溶液で膨潤
した状態になった。これをポリエチレン製袋に入れて密
閉し、30℃で20時間放置した。以下アンモニア水処
理として60%容量濃度のイソプロピルアルコール4
と25%のアンモニア水270mを用いた以外は実施
例1と同様にして粉末ペクチンを得た。なお抽出時のpH
は2.1であった。得られたペクチンのメトキシル化度は3
6.4%であり、アミド化度は12.0%であった。又、ゲル
強度は148g/cm2であった。尚、アンモニア処理を
実施する前のペクチンのメトキシル化度は52.3%であっ
た。
比較例1 まえもって酸水溶液で乾燥果皮を膨潤させた状態で密封
放置することをせず、抽出以降の条件はアンモニア水処
理として60%容量濃度のイソプロピルアルコール4と
25%のアンモニア水450mを用いた以外は実施例1
と同様にしてレモンの搾汁果皮の乾燥物3.0kgからペク
チンを製造した。得られたペクチンのメトキシル化度は
28.6%であり、アミド化度は20.3であった。又、ゲル強
度は124g/cm2であった。ペクチンは通常砂糖やブ
ドウ糖等の安価な希釈剤を添加したコンパウンドとして
用いられるが、希釈剤を添加するとゲル強度が低下す
る。このコンパウンドはその用途に応じ所定のゲル強度
を必要とするが、この124g/cm2というようなゲル
強度のペクチンでは必要なゲル強度のコンパウンドが得
られないか、得られたとしても希釈剤をほとんど添加で
きないのでコンパウンドのコストが高くなり経済的に不
利となる。
[発明の効果] 以上の実施例から明らかなようにあらかじめペクチン含
有植物を酸で処理し、次いでペクチンを分離した後アン
モニア処理する本願発明は高品質のペクチンを得ること
ができ、従来技術におけるようなペクチンの分子量の過
度の低下をまねいたり、その後の中和により生成する塩
の洗浄が比較的容易であるという優れた効果を有してい
る。又、抽出に用いる酸でメトキシル化の調節ができる
ので経済的である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乾燥状態のペクチン含有植物を酸で膨潤さ
    せてペクチンを部分的に脱メトキシル化し、次いでペク
    チンを溶解して不溶解分を分離した後ペクチンを沈殿さ
    せ、系全体に対するアンモニアの濃度が0.5〜1.5
    規定となるようなアンモニア水と水混和性有機溶剤とを
    得られた沈殿物に作用させて、部分的に脱メトキシル化
    するとともに部分アミド化することを特徴とする部分ア
    ミド化ペクチンの製造方法。
  2. 【請求項2】脱メトキシル化に用いる酸の量が抽出に必
    要な酸の量と同等又はそれ以下であることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の部分アミド化ペクチンの製
    造方法。
  3. 【請求項3】脱メトキシル化に用いる酸が水溶液であ
    り、その溶液の濃度が0.1規定以上であり、且つ、溶
    液の量が乾燥状態の該植物の重量以下となる量を用いる
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の部分アミ
    ド化ペクチンの製造方法。
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