JPH06154859A - プッシュ式ｌ形折曲加工装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 型構造が複雑になることがなく、またプッシ
ュ式Ｌ形折曲を迅速に行うこと。 【構成】 板材を挟み込み式にクランプするトップダイ
１およびボトムダイ３を互いに対向して配置すると共に
トップダイ１およびボトムダイ３の一側方にベントビー
ム１１を回動可能に、且つ上下方向に移動可能に設け
る。ベントビーム１１には板材Ｐの折曲片と係合する係
合部３９を含み、ベントビーム１１の回動により板材Ｐ
の折曲を行うベントダイ３７を取り付ける。ベントビー
ム１１と駆動連結されてベントビーム１１の回動により
回転駆動され、回転運動を線形運動に変換してベントビ
ーム１１を上下方向に線形駆動するベントビーム線形駆
動手段（傘歯車３３、３５、送りねじ軸２５、ナット部
材３１）を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プッシュ式Ｌ形折曲加
工装置に関し、特にフォールディングマシンを用いてプ
ッシュ式のＬ形折曲を行う加工装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】板材のＬ形折曲加工方法の一つとして、
板材の折曲線に沿って予め微細連結部を部分的に残して
スリットが設けられ、その折曲線に沿って板材主部に対
して実質的に直角に折曲を行い、折曲片を板材主部に対
して板厚分だけ変位させて折曲片を板材主部の端面に接
合させるプッシュ式のＬ形折曲加工方法は既に提案され
ている。

【０００３】このプッシュ式のＬ形折曲加工方法によれ
ば、板材の板厚が厚くても大きい折曲加工力を必要とす
ることなくＬ形折曲が行われ、しかも外観性に優れた直
角の折曲角部が得られると云う利点がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】プッシュ式のＬ形折曲
加工方法は、専用の型装置の使用によりプレスブレーキ
の如き曲げ機械により実施されるが、しかし、このプッ
シュ式Ｌ形折曲加工用の型装置は、Ｌ形折曲完了後に折
曲片を板材主部に対して板厚分だけ変位させる構造にな
っており、このため型構造が複雑になり、また迅速な折
曲加工を行い難いと云う欠点を含んでいる。

【０００５】本発明は、従来のプッシュ式Ｌ形折曲加工
用型装置に於ける上述の如き問題点に着目してなされた
ものであり、型構造を複雑になることがなく、また迅速
な折曲加工を行うことを可能するプッシュ式Ｌ形折曲加
工装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の如き目的は、本発
明によれば、互いに対向して配置され板材を挟み込み式
にクランプするトップダイおよびボトムダイと、前記ト
ップダイおよびボトムダイの一側方に配置され回動可能
に、且つ前記トップダイとボトムダイとの対向方向に移
動可能なベントビームと、前記ベントビームに装着さ
れ、前記板材の折曲片と係合する係合部を含み、前記ベ
ントビームの回動により前記板材の折曲を行うベントダ
イと、前記ベントビームと駆動連結されて前記ベントビ
ームの回動により回転駆動され、回転運動を線形運動に
変換して前記ベントビームを前記トップダイとボトムダ
イとの対向方向に線形駆動するベントビーム線形駆動手
段とを有していることを特徴とするプッシュ式Ｌ形折曲
加工装置によって達成される。

【０００７】

【作用】上述の如き構成によれば、トップダイとボトム
ダイとによりクランプされた板材がフォールディングマ
シン方式にてベントビームの回動によりベントダイによ
ってＬ形折曲が行われ、このＬ形折曲のためのベントビ
ームの回動に伴いベントビーム線形駆動手段によりベン
トビームがトップダイとボトムダイとの対向方向に線形
駆動され、これによるベントビームの線形移動によって
係合部によりベントダイと係合している折曲片がトップ
ダイとボトムダイとの対向方向、即ち板材のクランプ部
分（板材主部）の板厚方向に押圧され、折曲片が板材主
部に対して板厚分だけ変位する。

【０００８】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。

【０００９】先ず本発明によるプッシュ式Ｌ形折曲加工
装置の説明に先だって図７〜図９を用いて一般的なプッ
シュ式Ｌ形折曲の手順について説明する。プッシュ式Ｌ
形折曲を行われる板材Ｐは折曲線部に微細な連結部Ｊを
残して折曲線に沿って設けられた折曲線スリットＳａに
より板材主部Ｐａと折曲片Ｐｂとに区画されている。ま
た連結部Ｊの両側には折曲線スリットＳａに直交する方
向に板材Ｐの板厚にほぼ等しい長さだけ折曲線スリット
Ｓａより折曲片Ｐｂに延在する連結部サイドスリットＳ
ｂが形成されている。

【００１０】この板材ＰのＬ形折曲に際しては、先ず図
８に示されている如く、折曲線スリットＳａに沿って折
曲片Ｐｂを板材主部Ｐａに対してほぼ９０度折曲し、こ
の折曲完了後に図９に示されている如く、折曲片Ｐｂを
当該折曲片Ｐｂの延在方向、換言すれば板材主部Ｐａの
板厚方向に押圧し、連結部Ｊを圧縮変形させつつ折曲片
Ｐｂを板材主部Ｐａの板厚分だけ板材主部Ｐａに対して
変位させ、板材主部Ｐａの端面部に折曲片Ｐｂが接合す
るようにする。

【００１１】図１〜図４は本発明によるプッシュ式Ｌ形
折曲加工装置の一実施例を示している。これらの図に於
いて、１はトップダイを、３はボトムダイを各々示して
いる。

【００１２】トップダイ１とボトムダイ３は、互いに上
下方向に対向して配置され、トップダイ１は図示されて
いない駆動手段により上下駆動されるトップダイ支持部
材５に装着されて上下動するようになっており、これに
対しボトムダイ３は固定配置されている。

【００１３】トップダイ１とボトムダイ３は、ホトムダ
イ３に対するトップダイ１の降下により各々の水平クラ
ンプ面７、９にて板材Ｐの板材主部Ｐａを上下方向に挟
み込み式にクランプするようになっている。

【００１４】トップダイ１およびボトムダイ３の一側方
にはベントビーム１１が配置されている。ベントビーム
１１は両側に支持アーム１３を一体的に有しており、こ
の両支持アーム１３には一本の回転中心軸１５が貫通
し、支持アーム１３と回転中心軸１５とはキー１７によ
り固定連結されている。

【００１５】回転中心軸１５は両端近傍部にて各々両側
の上下動ブラケット１９より回転可能に支持され、上下
動ブラケット１９は各々両側の固定のガイドレール部材
２１に上下方向にのみ移動可能に係合している。

【００１６】これによりベントビーム１１は、回転中心
軸１５の中心軸線周りに回転可能であると共に、ガイド
レール部材２１に案内されて上下方向にのみ、即ちトッ
プダイ１とボトムダイ３との対向方向にのみ水平状態に
て線形移動可能になる。

【００１７】また回転中心軸１５は両端近傍部にて各々
Ｌ形の支持部材２３に回転可能に係合しており、両側の
各支持部材２３には上下方向に延在する送りねじ軸２５
が回転可能に貫通係合している。両側の送りねじ軸２５
は各々、上端側のねじ部２７にてガイドレール部材２１
の固定ブラケット２９に装着されたナット部材３１と螺
合し、支持部材２３より下側の下端部に傘歯車３３を固
定装着されている。

【００１８】これにより両側の各支持部材２３、回転中
心軸１５、上下動ブラケット１９、ベントビーム１１
は、送りねじ軸２５、ナット部材３１を介してガイドレ
ール部材２１より吊り下げ式に支持され、送りねじ軸２
５の回転によるねじ部２７のナット部材３１に対するね
じ込み量の変化によって上下方向に線形移動する。

【００１９】両側の各送りねじ軸２５の傘歯車３３には
回転中心軸１５の両端に各々固定装着された傘歯車３５
が噛合しており、回転中心軸１５の回転により両側の送
りねじ軸２５が互いに同期回転駆動されるようになって
いる。

【００２０】ベントビーム１１にはベントダイ３７が固
定装着されている。ベントダイ３７には板材Ｐの折曲片
Ｐｂの先端縁と係合するフック形状の係合部材３９が固
定装着されている。

【００２１】ベントビーム１１は、流体圧シリンダ装置
４１と駆動連結され、流体圧シリンダ装置４１により回
転中心軸１５の中心軸線周りに回動駆動されるようなっ
ている。

【００２２】上述の如き構成によりなるプッシュ式Ｌ形
折曲加工装置によりプッシュ式Ｌ形折曲加工を行う場合
は、先ずトップダイ１をアンクランプ位置である上昇位
置へ上昇させた状態にてボイムダイ３のクランプ面９上
に板材Ｐの板材主部Ｐａを、その折曲線スリットＳａが
ボイムダイ３の図４にて右側の側縁に整合し、板材Ｐの
折曲片Ｐｂがベントダイ３７の側に位置して折曲片Ｐｂ
の先端縁が図４に示されている如く係合部材３９に係合
するように水平に載置する。

【００２３】次にトップダイ１を降下させてトップダイ
１のクランプ面７とボイムダイ３のクランプ面９とによ
り板材Ｐの板材主部Ｐａを上下方向に挟み込み式にクラ
ンプする。

【００２４】次に流体圧シリンダ装置４１によりベント
ビーム１１を図示されている如き初期位置より回転中心
軸１５の中心軸線周りに上方へ、即ち図にて反時計廻り
方向へ回動駆動する。これによりベントビーム１１が図
示されている如き初期位置より回転中心軸１５の中心軸
線周りに図にて反時計廻り方向へ回動し、このベントビ
ーム１１の回動によってベントダイ３７により折曲片Ｐ
ｂが折曲線スリットＳａに沿って板材主部Ｓａに対し上
向きに折曲されるようになる。

【００２５】またこのベントビーム１１の回動によりベ
ントビーム１１と一体連結の回転中心軸１５および傘歯
車３５が回転し、この傘歯車３５の回転により傘歯車３
３、送りねじ軸２５が回転し、送りねじ軸２５のねじ部
２７とナット部材３１との螺合関係により、支持部材２
３、回転中心軸１５、上下動ブラケット１９、ベントビ
ーム１１がガイドレール部材２１に対して降下移動す
る。

【００２６】即ち、ベントビーム１１の回動に伴いベン
トビーム１１がガイドレール部材２１に対して降下移動
し、これにより折曲片Ｐｂは折曲線スリットＳａに沿っ
て板材主部Ｓａに対し上向きに折曲されつつ板材主部Ｓ
ａの側へ変位し、図４にて仮想線により示されている如
く、ベントビーム１１が初期位置より９０度回動し、折
曲片ＰｂのＬ形折曲が完了した時点では、折曲片Ｐｂが
板材主部Ｐａの板厚分だけ板材主部Ｐａに対して変位
し、板材主部Ｐａの端面部に折曲片Ｐｂが接合してプッ
シュ式Ｌ形折曲加工が完了する。

【００２７】図５、図６は本発明によるプッシュ式Ｌ形
折曲加工装置の他の実施例を示している。尚、図５、図
６に於いて、図１、図２に対応する部分は図１、図２に
付した符号と同一の符号により示されいる。

【００２８】この実施例に於いては、回転中心軸１５に
傘歯車３５に代えてピニオン４３が固定装着されてい
る。ピニオン４３は、ガイドレール部材２１に固定装着
されたラック４５と噛合し、ベントビーム１１の上向き
回動に伴う回転によりラック４５との噛合位置を下方へ
変化、即ち下方へ走行移動するようになっている。

【００２９】これによりこの実施例に於いても、流体圧
シリンダ装置４１によりベントビーム１１が図示されて
いる如き初期位置より回転中心軸１５の中心軸線周りに
上方へ回動されることにより、ベントビーム１１と一体
連結の回転中心軸１５およびピニオン４３が回転し、こ
のピニオン４３の回転によりピニオン４３がラック４５
上を下方へ走行変位し、これに応じて支持部材２３、回
転中心軸１５、上下動ブラケット１９、ベントビーム１
１がガイドレール部材２１に対して降下移動する。

【００３０】従ってこの場合も、ベントビーム１１の回
動に伴いベントビーム１１がガイドレール部材２１に対
して降下移動し、これにより折曲片Ｐｂは折曲線スリッ
トＳａに沿って板材主部Ｓａに対し上向きに折曲されつ
つ板材主部Ｓａの側に変位し、図４にて仮想線により示
されている如く、ベントビーム１１が初期位置より９０
度回動し、折曲片ＰｂのＬ形折曲が完了した時点では、
折曲片Ｐｂが板材主部Ｐａの板厚分だけ板材主部Ｐａに
対して変位し、板材主部Ｐａの端面部に折曲片Ｐｂが接
合してプッシュ式Ｌ形折曲加工が完了する。

【００３１】以上に於ては、本発明を特定の実施例につ
いて詳細に説明したが、本発明は、これらに限定される
ものではなく、本発明の範囲内にて種々の実施例が可能
であることは当業者にとって明らかであろう。

【００３２】

【発明の効果】以上の説明から理解される如く、本発明
によるプッシュ式Ｌ形折曲加工装置によれば、トップダ
イとボトムダイとによりクランプされた板材がフォール
ディングマシン方式にてベントビームの回動によりベン
トダイによってＬ形折曲が行われ、このＬ形折曲のため
のベントビームの回動に伴い傘歯車と送りねじ、ラック
とピニオン等によるベントビーム線形駆動手段によりベ
ントビームがトップダイとボトムダイとの対向方向に線
形駆動され、これによるベントビームの線形移動によっ
て係合部によりベントダイと係合している折曲片がトッ
プダイとボトムダイとの対向方向、即ち板材の板材主部
の板厚方向に押圧され、折曲片が板材主部に対して板厚
分だけ変位し、ワンアクションにてプッシュ式Ｌ形折曲
加工がおこなわれるから、型構造が複雑になることがな
く、しかも迅速にプッシュ式Ｌ形折曲加工が行われるよ
うになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるプッシュ式Ｌ形折曲加工装置の一
実施例を示す全体的斜視図である。

【図２】本発明によるプッシュ式Ｌ形折曲加工装置の一
実施例をその要部について示す拡大斜視図である。

【図３】本発明によるプッシュ式Ｌ形折曲加工装置の一
実施例をその要部について示す平面図である。

【図４】本発明によるプッシュ式Ｌ形折曲加工装置の一
実施例を示す側面図である。

【図５】本発明によるプッシュ式Ｌ形折曲加工装置の他
の実施例を示す全体的斜視図である。

【図６】本発明によるプッシュ式Ｌ形折曲加工装置の他
の実施例をその要部について示す拡大斜視図である。

【図７】プッシュ式Ｌ形折曲される板材の初期形状を示
す斜視図である。

【図８】プッシュ式Ｌ形折曲される板材の折曲第一段階
を示す斜視図である。

【図９】プッシュ式Ｌ形折曲される板材の折曲第二段階
を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ トップダイ ３ ボトムダイ １１ ベントビーム １３ 支持アーム １９ 上下動ブラケット ２１ ガイドレール部材 ２３ 支持部材 ２５ 送りねじ軸 ３１ ナット部材 ３３，３５ 傘歯車 ３７ ベントダイ ３９ 係合部材 ４１ 流体圧シリンダ装置 ４３ ピニオン ４５ ラック

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに対向して配置され板材を挟み込み
   式にクランプするトップダイおよびボトムダイと、 前記トップダイおよびボトムダイの一側方に配置され回
   動可能に、且つ前記トップダイとボトムダイとの対向方
   向に移動可能なベントビームと、 前記ベントビームに装着され、前記板材の折曲片と係合
   する係合部を含み、前記ベントビームの回動により前記
   板材の折曲を行うベントダイと、 前記ベントビームと駆動連結されて前記ベントビームの
   回動により回転駆動され、回転運動を線形運動に変換し
   て前記ベントビームを前記トップダイとボトムダイとの
   対向方向に線形駆動するベントビーム線形駆動手段と、 を有していることを特徴とするプッシュ式Ｌ形折曲加工
   装置。