JPH06154825A - 鋼管の冷間圧延方法 - Google Patents

鋼管の冷間圧延方法

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JPH06154825A
JPH06154825A JP4328397A JP32839792A JPH06154825A JP H06154825 A JPH06154825 A JP H06154825A JP 4328397 A JP4328397 A JP 4328397A JP 32839792 A JP32839792 A JP 32839792A JP H06154825 A JPH06154825 A JP H06154825A
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Toshihiro Hikita
敏博 疋田
Shigehiko Minami
成彦 南
Hiromi Iwanaga
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高外径縮小率での絞り圧延における外径寸法
の悪化を抑制する。 【構成】 鋼管を冷間絞り圧延して高精度の外径寸法を
有する鋼管を製造する方法において、冷間絞り圧延が2
スタンド以上の3ロールレデューサによる絞り工程と、
1スタンド以上の2ロールによる定径工程を組合せ、3
ロールレデューサによる絞り工程の最終前スタンドのロ
ールを0<楕円率≦3%、最大外径縮小率5%で絞り圧
延し、最終段スタンドのロール周長を製品周長と等しく
設計し、0<サイドリリーフ、ロールを0≦楕円率≦
1.5%、外径縮小率を0.5%以上で、n−1段目の
スタンドのロール溝底半径≦n段目スタンドのロールフ
ランジ半径としたときに決定する最大外径縮小率で絞り
圧延する。 【効果】 外径に対する肉厚比t/Dの高い小径厚肉鋼
管を、高精度の製品外径寸法で製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鋼管を複数のスタン
ドからなる3ロール式絞り圧延機で冷間絞り圧延する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】機械構造用鋼管の需要動向は、小径厚肉
サイズおよび多種外径サイズの需要が増加している。一
方、3ロール式レデューサは、冷間でも高外径縮小率で
の絞り圧延が可能なため、外径Dに対する肉厚t比t/
Dを高くでき、同一外径の母管から任意の外径に縮径可
能であるという特徴を有しており、前記小径厚肉サイズ
および多種外径サイズの需要に対応することができる。
【0003】例えば、電縫鋼管の場合は、小径厚肉品を
母管の段階で製造するには、オープンパイプの加熱時に
エッジ部だけでなく、母材部も加熱され、溶接効率が著
しく悪くなり、生産性が悪化または内面冷却水の吹き返
し等により溶接が困難となる。また、内径が小さくなる
ため、内面ビード切削が困難となり、生産性が著しく悪
化したり、内面ビードの切削が残存したりする。さら
に、内外径差が大きくなるため、鋼帯をオープンパイプ
に成形する工程において、特に突き合わせのエッジ形状
が悪化し、溶接が困難となると共に、肉厚形状が悪化す
る。したがって、電縫鋼管の小径厚肉品の製造可能範囲
は、一般的に管肉厚t、管外径Dとすると、t/D≦2
0%程度である。小径厚肉品製造時の問題点を解決する
方法としては、母管をレデューサ等によリ絞り圧延すれ
ば、外径絞りにより管肉厚は増肉し、管径が小さくなる
ため、外径に対する肉厚比t/Dの高い小径厚肉管が製
造できることが知られている。
【0004】電縫鋼管等の冷間製管材を製品外径に仕上
げる方法としては、図8(a)図に示すとおり、一対の
孔型ロール31を組込んだスタンド32を、図8(b)
図および(c)図に示すとおり、隣接するスタンド間で
ロール配列を互いに90°ずらせて連続的に配置した絞
り圧延機を用い、母管33の外径を各スタンド32で順
次絞り、最終および最終前段のスタンドで所定の外径に
仕上げる。この2ロール式絞り圧延機は、ロール孔型が
深く、ロール溝底部とロールフランジ部とのロール周速
度が大きく異なるため、高い外径縮小率で絞り圧延する
と、管表面とロール31が焼き付いて管表面に疵が発生
するという欠点を有している。このため、2ロール式絞
り圧延機は、高い外径縮小率での絞り圧延には不向きで
ある。
【0005】一方、継目無鋼管等で汎用されている3ロ
ール式レデューサは、図9に示すとおり、3個の孔型ロ
ール41を垂直面内で120°間隔で組込んだスタンド
を、図9(a)図および(b)図に示すとおり、隣接す
るスタンド間でロール配列を互いに60°ずつ変えて連
続的に配置したものである。この3ロール式レデューサ
によれば、ロール孔型が2ロール方式に比較して浅いた
め、ロール溝底部とロールフランジ部とのロール周速度
差が小さく、管表面とロールが焼き付いて発生する疵が
著しく減少するため、高外径縮小率での絞り圧延に有利
である。
【0006】従来の3ロール式レデューサによる冷間の
絞り圧延においては、1スタンド当たりの外径縮小率は
最大10%程度であり、かつ、図10に示すとおり、ロ
ール41のフランジ部のギャップ42から鋼管43表面
の噛み出し44が発生する。このため、前段スタンドの
ロールの溝底半径が後段スタンドのロールのフランジ部
半径より小さくなるように、ロール孔型を楕円形にして
いる。このロール楕円率は、1スタンド当たりの外径縮
小率が大きくなればなるほど増大するものである。従っ
て、1スタンド当たり最大10%程度の高い外径縮小率
で絞り圧延するには、相当大きい楕円率のロールを使用
する必要がある。前記3ロール式レデューサにより冷間
製管した母管の絞り圧延においては、高い外径縮小率で
絞り圧延を行うと、冷間母管故に生じるスプリングバッ
クとスタンド剛性不足によって、3ロール式レデューサ
での絞り圧延後の仕上外径がロール孔型を同一にしてい
るにもかかわらず、母管の肉厚、強度等により差が生じ
る現象が発生する。
【0007】前記3ロール式レデューサの絞り圧延での
仕上外径寸法の不均一を解決するには、ロールの絞り圧
延量を変更すればよいが、従来の3ロール式レデューサ
はロールおよびロール軸の相対的位置関係が固定で、ロ
ールの絞り圧延量を変更することはできない。上記絞り
圧延での仕上外径の不均一を解決する方法としては、3
ロール式孔型ロールのハウジングと2ロール式孔型ロー
ルのハウジングが交換可能とされ、少なくとも最終スタ
ンドまたは最終スタンドとその前段のスタンドに、2ロ
ール式孔型ロールが組込まれ、それより上流側のスタン
ドに3ロール式孔型ロールが組込まれた絞り圧延機(特
開昭58−116907号公報)、被圧延材を3ロール
のスタンドからなる第1のスタンド列で大圧下量を与え
て所定の外径寸法付近まで圧延し、ついでロール圧下手
段を有する2ロールのスタンドからなり前記第1のスタ
ンド列の出側に直列に設置された第2のスタンド列で仕
上げ圧延する方法(特開平2−211904号公報)、
3ロール式レデューサの2本のロール軸を支持する軸受
部軸心と、2本のロールを軸受する軸受部軸心とを偏心
させ、該2本のロールの軸受部を回転することによりロ
ールの相対間隔を調整可能とし、さらに2本のロールの
端部に軸スライド機構を設け、2本のロールのロール軸
方向への調節をも可能とした絞り圧延機(特開平3−2
94008号公報)が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭58−11
6907号公報、特開平2−211904号公報に開示
の方法は、3ロールのスタンドからなる第1のスタンド
列で大圧下量を与えて所定の外径寸法付近まで圧延し、
ついでロールギャップの調整可能な2ロールの第2のス
タンド列で仕上げ圧延するため、外径寸法の精度を上げ
ることが可能であるが、しかし、1スタンド当たり高い
外径縮小率で絞り圧延すると、仕上外径寸法が極端に悪
化するという問題が残っている。また、特開平3−29
4008号公報の絞り圧延機は、製造ライン上でオンラ
インで調整することは不可能であり、オフラインでの調
整またはロール孔型を変更したロールとの交換になる。
したがって、この方法を選択した場合は、同一外径寸法
の管を製造しているにもかかわらず、母管の材質、強度
が変わるたびにミルを停止しなければならないため、大
幅な稼働率、歩留の悪化を招くこととなり、実用的では
ない。
【0009】この発明の目的は、鋼管の3ロール式レデ
ューサによる冷間絞り工程において、高外径縮小率での
絞り圧延における外径寸法の悪化を抑制し、かつ少ない
ロールスタンドで外径に対する肉厚比t/Dの高い小径
厚肉鋼管を製造できる冷間圧延方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々試験研究を重ねた。その結果、鋼管の
外径絞り工程において、2スタンド以上の3ロールレデ
ューサによる絞り工程と、2ロールによる定径工程を組
合せ、3ロールレデューサの最終前段スタンドの3ロー
ル楕円率と外径縮小率を所定範囲となし、最終スタンド
のロール楕円率、外径縮小率およびロール周長を所定範
囲とすることによって、高い外径縮小率で絞り圧延して
も、高精度の仕上外径寸法が得られ、外径に対する肉厚
比t/Dの高い小径厚肉鋼管が製造できることを究明
し、この発明に到達した。
【0011】すなわちこの発明は、鋼管を冷間絞り圧延
して高精度の外径寸法を有する鋼管を製造する方法にお
いて、冷間絞り圧延が2スタンド以上の3ロール式レデ
ューサによる絞り工程と、2ロール式定径工程を組合
せ、3ロール式レデューサによる絞り工程の最終前段ス
タンドのロールを、0<楕円率≦3%、最大外径縮小率
5%で絞り圧延し、最終段スタンドのロール周長を製品
周長と等しく設計し、0<サイドリリーフ、ロールを0
≦楕円率≦1.5%、外径縮小率を0.5%以上で、最
終前段スタンドのロール溝底半径≦最終段スタンドのロ
ールフランジ半径としたときに決定する最大外径縮小率
で絞り圧延することを特徴とする鋼管の冷間圧延方法で
ある。
【0012】
【作用】この発明においては、鋼管を冷間絞り圧延して
高精度の外径寸法を有する鋼管を製造する方法におい
て、冷間絞り圧延を2スタンド以上の3ロール式レデュ
ーサによる絞り工程と、2ロール式定径工程を組合せた
から、3ロール式レデューサにおける母管の肉厚、強度
差によるスプリングバックとスタンドの剛性不足により
生じる仕上外径のバラツキは、後続のロールギャップを
オンライン調整可能な2ロール式定径機で調整できるか
ら、高精度の仕上外径寸法を得ることができる。また、
3ロールレデューサによる絞り工程の最終前段スタンド
のロール楕円率を3%以下、最大外径縮小率5%で絞り
圧延するから、前段スタンドでの高外径縮小率での絞り
圧延による真円度の悪化が調整される。さらに、最終段
スタンドのロール周長を製品周長と等しく設計し、0<
サイドリリーフ、ロールの楕円率を0〜1.5%、外径
縮小率を0.5%以上で、最終前段スタンドのロール溝
底半径≦最終段スタンドのロールフランジ半径としたと
きに決定する最大外径縮小率で絞り圧延するから、噛み
出しが防止されると共に、真円カリバー3ロール式2段
で絞り圧延した場合と同等の仕上外径寸法精度とするこ
とができる。
【0013】この発明において、3ロール式レデューサ
による絞り工程の最終前段スタンドのロールを0<楕円
率≦3%、最大外径縮小率5%としたのは、ロール楕円
率が3%を超えると極端に真円度が悪化するからで、そ
の時の最大外径縮小率は5%であった。さらに、最終段
スタンドのロール周長を製品周長と等しく設計し、0<
サイドリリーフ、ロールを0≦楕円率≦1.5%、外径
縮小率を0.5%以上で、最終前段スタンドのロール溝
底半径≦最終段スタンドのロールフランジ半径としたと
きに決定する最大外径縮小率としたのは、サイドリリー
フが0では噛み出しが発生するからであり、また、ロー
ルの楕円率が1.5%を超えると、真円の3ロール2段
で圧延した場合と同等の仕上外径精度が得られないから
である。また、外径縮小率は、0.5%未満では仕上外
径寸法に偏差が生じ、0.5%以上、最終前段スタンド
のロール溝底半径≦最終段スタンドのロールフランジ半
径としたときに決定する最大外径縮小率で高精度の仕上
外径寸法が得られるからである。
【0014】この発明において、3ロールレデューサに
よる絞り工程の後に、2ロールによる定径工程を設置し
たのは、3ロールレデューサは、ギャップ調整が困難で
あるため、最終の仕上げ外径調整が不可能で、母材強
度、肉厚が異なると、同じロールギャップであっても最
終仕上げ外径が異なってしまう。また、冷間での3ロー
ル圧延においては、管のスプリングバックにより3ロー
ル圧延後の管外径が3ロール孔型より大きくなり、この
割合は母管の肉厚、強度に比例する。このため、最終外
径調整用として2ロールによる定径スタンドを設置す
る。2ロールによる定径スタンドは、垂直ロールスタン
ド1段と水平ロールスタンド1段の組合せからなる。
【0015】
【実施例】
実施例1 以下にこの発明の詳細を実施の一例を示す図1ないし図
3に基づいて説明する。図1はこの発明方法を実施する
絞り圧延機の概略配置図を示すもので、(a)図は絞り
圧延機の概略配置図、(b)図は2ロール式垂直ロール
スタンドと2ロール式水平ロールスタンドからなる定径
機を備えた絞り圧延機の概略配置図、図2は3ロール式
レデューサの楕円率の説明図、図3はサイドリリフの計
算方法の概略説明図である図1において、1は冷間鋼
管、2は(n)スタンドからなる3ロール式レデューサ
のスタンド群、3は3ロール式レデューサのスタンド群
2の後段に設けた2ロール式定径機で、2ロール式定径
機3は、2ロール式垂直ロールスタンド4と2ロール式
水平ロールスタンド5からなる。(n)スタンドからな
る3ロール式レデューサのスタンド群2は、図示してい
ないが、最終前段スタンドのロールを0<楕円率≦3
%、最大外径縮小率5%で絞り圧延し、最終段スタンド
のロール周長を製品周長と等しく設計し、0<サイドリ
リーフ、ロールを0≦楕円率≦1.5%、外径縮小率を
0.5%以上で、最終前段スタンドのロール溝底半径≦
最終段スタンドのロールフランジ半径としたときに決定
する最大外径縮小率で絞り圧延するよう構成されてい
る。
【0016】また、2ロール式垂直ロールスタンド4と
2ロール式水平ロールスタンド5からなる定径機3は、
高い外径縮小率での絞り圧延を受けた管の外径調整を行
うと共に、3ロール式レデューサの最終段スタンドでの
真円度を保持する。なお、この発明におけるロールの楕
円率は、図2に示すとおり、ロール11のフランジ部半
径Rn、溝底部半径rnとすれば、下式により求める。 ロールの楕円率={2(Rn−rn)/(Rn+r
n)}×100(%) また、外径縮小率は、最終前段スタンドのロール周長か
ら最終段スタンドのロール周長を差引いた値を、最終前
段スタンドのロール周長で除した値の百分率である。さ
らに、この発明におけるサイドリリーフは、図3に示す
とおり、前段ロール溝底半径をrn−1、後段ロールフ
ランジ部半径をRn、後段ロールフランジ部半径Rnか
ら前段ロール溝底半径rn−1を差し引いた値をsとす
れば、サイドリリーフは、下式により求めることができ
る。 サイドリリーフ=(s/rn−1)×100(%)
【0017】上記のとおり構成したことにより、3ロー
ルレデューサによる絞り工程の(n−2)段目までのス
タンドのロールの楕円率を3%以上、1スタンド当たり
最大外径縮小率10%の高い外径縮小率で絞り圧延し、
最終前段スタンドのロールを0<楕円率≦3%、最大外
径縮小率5%で絞り圧延するから、(n−2)段目まで
のスタンドでの高外径縮小率での絞り圧延による真円度
の悪化が調整される。さらに、最終段スタンドのロール
周長を製品周長と等しく設計し、0<サイドリリーフ、
ロールを0≦楕円率≦1.5%、外径縮小率を0.5%
以上で、最終前段スタンドのロール溝底半径≦最終段ス
タンドのロールフランジ半径としたときに決定する最大
外径縮小率で絞り圧延するから、噛み出しを防止して、
真円カリバー3ロール式2段で絞り圧延した場合と同等
の仕上外径寸法精度とすることができる。しかも、この
発明方法は、冷間絞り圧延を2スタンド以上の3ロール
式レデューサによる絞り工程と、1スタンド以上の2ロ
ール式定径工程を組合せたから、3ロール式レデューサ
における母管の肉厚、強度差によるスプリングバックと
スタンドの剛性不足により生じる仕上外径のバラツキ
は、後続のロールギャップをオンライン調整可能な2ロ
ール式定径機で調整できるから、高精度の仕上外径寸法
を得ることができる。
【0018】実施例2 各スタンド毎に60°の位相差を以て配列した6スタン
ドからなる3ロール式レデューサを用い、4段目スタン
ドまでは、ロール楕円率3%以上で1スタンド当たり最
大10%の外径縮小率で絞り圧延した冷間鋼管を、5段
目スタンドの3ロールの楕円率を3〜5%に変化させて
最大5%の外径縮小率で絞り圧延し、最終6段目スタン
ドの3ロールの楕円率を0%、1.25%、2.75%
に変えて外径縮小率1%で絞り圧延し、得られた製品の
真円度を測定した。その結果を図4に示す。図4に示す
とおり、5段目すなわち、最終前段スタンドのロール楕
円率が3%を超えると極端に製品真円度が悪化してい
る。したがって、最終前段スタンドのロールを0<楕円
率≦3%、最終段スタンドのロールを0≦楕円率≦1.
5%とすることによって、図4に示す楕円率0%の真円
カリバー3ロールの2段スタンドを用いて絞り圧延した
場合と同等の仕上外径精度が得られている。
【0019】実施例3 外径54.0mm、肉厚1.5〜7.5mmの母管を各
スタンド毎に60°の位相差を以て配列した6スタンド
からなる3ロール式レデューサを用い、4段目スタンド
までは、ロール楕円率3%以上で1スタンド当たり最大
10%の外径縮小率で絞り圧延した冷間鋼管を、最終前
段スタンドの3ロールの楕円率を3%、外径縮小率3%
で絞り圧延し、最終段スタンドのロール楕円率0%、
1.0%の場合について、外径縮小率を0〜1.2%で
絞り圧延し、得られた製品の外径を測定し、最大外径か
ら最小外径を差し引いた外径偏差(mm)を求めた。そ
の結果を最終スタンドでの外径縮小率との関係において
図5に示す。図5に示すとおり、最終スタンドでの外径
縮小率を0.5%以上とすることによって、外径寸法精
度が良好となる。
【0020】実施例4 サイドリリーフ=0、楕円率=0の3ロールを用い、外
径縮小率0〜2.0%における絞り圧延での噛み出し発
生の有無を調査した。その結果を表1に示す。なお、表
1中のコーナRはロールフランジ部コーナ円弧の半径
(mm)、×は噛み出し有りを示す。表1に示すとお
り、サイドリリーフ=0、楕円率=0の3ロールでの絞
り圧延においては、いずれも噛み出しが発生する。
【0021】
【表1】
【0022】また、サイドリリーフ=0.5%、楕円率
=0〜1.5%の3ロールスタンドを用い、外径縮小率
0.5〜3.0%で絞り圧延を実施し、噛み出しの有無
を調査した。その結果を表2に示す。なお、表2中の○
は噛み出し無しを示す。表2に示すとおり、サイドリリ
ーフが0.5%の場合においては、いずれも噛み出しは
皆無であった。また、サイドリリーフが1.0%の場合
についても、同様の試験を行ったが、サイドリリーフ
0.5%の場合と同様の結果であった。
【0023】
【表2】
【0024】上記の結果から、3ロール式レデューサで
真円カリバーにできるスタンドは、最終段スタンドのみ
であり、しかも、その時サイドリリーフを取る必要があ
るため、必ず最終前段の3ロールは楕円でなければなら
ない。したがって、最終前段スタンドの3ロールは、0
<楕円率の孔型を有し、最終段スタンドの3ロールは、
0<サイドリリーフとし、おのずと噛み出し防止のため
には、3ロールスタンドは最小2段必要である。
【0025】実施例5 肉厚の異なる外径20〜54mmの母管を各スタンド毎
に60°の位相差を以て配列した6スタンドからなる3
ロール式レデューサで外径縮小率20%で絞り圧延した
のち、2ロール式垂直ロールスタンドと2ロール式水平
ロールスタンドからなる定径機を用いて定径圧延した。
そして3ロール式レデューサの最終スタンド出側での外
径と、2ロール式定径機で定径後の外径を測定した。そ
の結果を図6に示す。図6に示すとおり、3ロール式レ
デューサの最終スタンド出側では、管の外径が肉厚の増
加につれて製品外径より大きくなっている。これは母管
の肉厚、強度が異なれば冷間材を圧延するときに生ずる
鋼管自体のスプリングバックと、3ロールスタンドの機
械的強度不足、剛性不足による影響と思われる。これに
対し、3ロール式レデューサの後で2ロール式定径機で
定径した場合は、母管の肉厚、強度が異なっても、ほぼ
製品外径に定径されている。
【0026】実施例6 3ロール式レデューサで絞り圧延後の管は、真円度が最
良となることは前記したとおりであるが、2ロール定径
機で外径調整した場合の真円度を調査するため、外径5
4mm、肉厚1.5〜7.5mmの母管を、各スタンド
毎に60°の位相差を以て配列した6スタンドからなる
3ロール式レデューサを用い、4段目スタンドまでは、
ロール楕円率3%以上で1スタンド当たり最大10%の
外径縮小率で絞り圧延した冷間鋼管を、5段目スタンド
の3ロールの楕円率3%、最大5%の外径縮小率で絞り
圧延し、最終6段目のロール楕円率1.0%、外径縮小
率を1.2%で絞り圧延したのち、2ロール式垂直ロー
ルスタンドと2ロール式水平ロールスタンドからなる定
径機を用いて外径調整した。そして3ロール式レデュー
サの最終スタンド出側での外径と、2ロール式定径機で
外径調整後の外径を測定した。そして最大外径から最小
外径を差し引いた外径偏差(mm)を求め、肉厚との関
係における外径偏差を図7に示す。図7に示すとおり、
2ロール式定径機で外径調整後の製品Bは、いずれの肉
厚においても3ロール式レデューサの最終スタンド出側
での真円度Aがそのまま維持されている。
【0027】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、鋼管の冷間外径絞り圧延において、高外径縮小率で
の絞り圧延が可能となり、外径に対する肉厚比t/Dの
高い小径厚肉鋼管を、高精度の製品外径寸法で製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法を実施する絞り圧延機の概略配置
図で、(a)図は絞り圧延機の概略配置図、(b)図は
2ロール式垂直ロールスタンドと2ロール式水平ロール
スタンドからなる定径機を備えた絞り圧延機の概略配置
図ある。
【図2】3ロール式レデューサの楕円率の説明図であ
る。
【図3】3ロール式レデューサのサイドリリーフの計算
方法の概略説明図である。
【図4】実施例2における3ロール式レデューサの最終
前段スタンドのロール楕円率を変えた場合の最終段スタ
ンドのロール楕円率と製品真円度との関係を示すグラフ
である。
【図5】実施例3における3ロール式レデューサの最終
段スタンドのロール楕円率0%、1%における外径縮小
率と外径偏差との関係を示すグラフである。
【図6】実施例5における絞り圧延後および外径調整後
の肉厚と仕上外径との関係を示すグラフである。
【図7】実施例6における3ロール式レデューサ出側お
よび定径機で外径調整後の母材肉厚と外径偏差との関係
を示すグラフである。
【図8】従来の2ロール式レデューサの説明図で、
(a)図は概略側面図、(b)図は1段目スタンドの正
面図、(c)図は1段目スタンドの正面図である。
【図9】3ロール式レデューサのロール配置の説明図
で、(a)図は前段スタンド、(b)図は次段スタンド
の正面図である。
【図10】3ロール式レデューサの噛み出し説明図であ
る。
【符号の説明】
1 冷間鋼管 2 3ロール式レデューサのスタンド群 3 定径機 4 2ロール式垂直ロールスタンド 5 2ロール式水平ロールスタンド 11 ロール 31 孔型ロール 32 スタンド 33 母管 41 孔型ロール 42 ギャップ 43 鋼管 44 噛み出し
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】追加
【補正内容】
【図8】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】追加
【補正内容】
【図9】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】追加
【補正内容】
【図10】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩永 博己 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼管を冷間絞り圧延して高精度の外径寸
    法を有する鋼管を製造する方法において、冷間絞り圧延
    が2スタンド以上の3ロールレデューサによる絞り工程
    と、1セット以上の2ロールによる定径工程を組合せ、
    3ロールレデューサによる絞り工程の最終前段スタンド
    のロールを、0<楕円率≦3%、最大外径縮小率5%で
    絞り圧延し、最終段スタンドのロール周長を製品周長と
    等しく設計し、0<サイドリリーフ、ロールを0≦楕円
    率≦1.5%、外径縮小率を0.5%以上で、最終前段
    スタンドのロール溝底半径≦最終段スタンドのロールフ
    ランジ半径としたときに決定する最大外径縮小率で絞り
    圧延することを特徴とする鋼管の冷間圧延方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021098215A (ja) * 2019-12-23 2021-07-01 Jfeスチール株式会社 継目無鋼管の製造方法

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