JPH06154511A - 水中溶存酸素の除去方法 - Google Patents

水中溶存酸素の除去方法

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JPH06154511A
JPH06154511A JP31811792A JP31811792A JPH06154511A JP H06154511 A JPH06154511 A JP H06154511A JP 31811792 A JP31811792 A JP 31811792A JP 31811792 A JP31811792 A JP 31811792A JP H06154511 A JPH06154511 A JP H06154511A
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Noriyuki Saitou
詔幸 斉藤
Satoshi Unohara
敏 卯之原
Mitsunobu Masuda
光信 益田
Goro Fujiwara
護朗 藤原
Hiroshi Horie
広 堀江
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Takuma Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水中の溶存酸素を0.1ppm以下に効率よ
く除去する。 【構成】 被処理水に、加圧下で水素を溶解せしめ、お
よび/またはヒドラジンを添加した後、この被処理水を
パラジウムを担持するイオン交換繊維層10を通過させ
て被処理水中の溶存酸素を除去する。イオン交換繊維
は、繊維径30μmをこえないアニオン交換繊維である
ことが好ましく、イオン交換繊維が担持するパラジウム
の量は、イオン交換繊維に対して0.1〜20重量%で
あることが好ましい。イオン交換繊維の積層厚さを10
〜100mmとればよく、被処理水のSV[1/hr]
値を1,000〜2,500にすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、用水中の溶存酸素の除
去、とくに水中の酸素を厳しく排除する必要のある分野
に利用すれば好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、水中の溶存酸素を除去するのに、
常温の水を真空近くまで減圧して酸素を分離する真空脱
気法、水温を沸点近くまで加熱する加熱脱気法などの物
理的手段、ヒドラジンや亜硫酸ソーダなどと酸素との反
応を利用する化学的手段などが用いられていた。また、
最近は、ガス透過膜を用いた膜脱気法や、パラジウムを
担持した粒状のイオン交換樹脂を用いる化学的脱酸素手
段(化学工業誌1985年7月号p66および特開平2
−265604号公報に記載)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
を用いて水中の溶存酸素濃度を超高流速で徹底的に、た
とえば数ppbのオーダにまで下げることは容易ではな
い。真空脱気法を用いて水中の残留溶存酸素濃度を0.
1ppm以下にまで安定して除去するには、窒素ガスを
吹込むなどして酸素分圧をさらに下げる手段が必要であ
る上、この方法は、動力費がかかり操業の維持管理もは
ん雑である。加熱脱気法を用いれば、溶存酸素を0.0
2ppm程度にすることが可能ではあるが、100℃以
上に加熱されてしまい、必要なエネルギー量が大きく高
圧ボイラの給水以外に適用例は少ない。化学的手段を採
用するにしても、ヒドラジンや亜硫酸ソーダと酸素との
反応は、早いものではなく、かつ溶存酸素に対して過剰
量の薬品添加が必要になり、亜硫酸ソーダを使用すれ
ば、水中の溶解塩類が増加する欠点がある。また、膜脱
気法は、設備費が高く経済的に成立するのは溶存酸素が
0.4ppm程度以上である。被処理水をパラジウムを
担持した粒状のイオン交換樹脂層で処理する方法は、こ
のイオン交換樹脂の処理能力が小さいためにその使用量
は大きく、さらに水の滞留時間が長くなると、イオン交
換樹脂から有機物の溶出を招来する危険性がある。本発
明の溶存酸素の除去方法は、これらの問題点を解決し
て、水中の溶存酸素を極めて低い濃度にまで、効率よく
除去することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、被処理水に、水素を溶解せしめた後、
この被処理水をパラジウムを担持するイオン交換繊維の
層を通過させて被処理水中の溶存酸素を除去すること、
を特徴とする水中溶存酸素の除去方法を提供する。ここ
に、前記のイオン交換繊維は、繊維径30μmをこえな
いアニオン交換繊維であることが好ましく、前記のイオ
ン交換繊維が担持するパラジウムの量は、イオン交換繊
維に対して0.1〜20重量%であることが好ましい。
【0005】
【実施態様例と作用】本発明の水中溶存酸素の除去方法
を実施態様例を示しつつ、具体的に説明する。まず、本
発明に使用するパラジウムを担持したイオン交換繊維に
ついて説明する。本発明に使用するパラジウムを担持し
たイオン交換繊維は、たとえばアニオン交換繊維にパラ
ジウムのクロロ錯体を吸着させ、これを繊維上で還元す
ることによって製造できる。好ましく用いられるイオン
交換繊維は、アニオン交換繊維であって、第1ないし第
3級アミンまたは第4級アンモニウム基を導入したもの
である。パラジウムを担持した際の酸素除去処理能力が
大きいからである。イオン交換繊維は、たとえば、官能
基を有する化合物を繊維原料に練り込んで紡糸したり、
橋かけポリスチレンにイオン交換基を導入した母体の中
にポリプロピレンの芯を入れて繊維化したり、あるいは
ポリビニルアルコールを乾式紡糸し、その際、脱水処理
を行って生成させた二重結合を利用しイオン交換基を導
入したりして製造する。このようにして製造したイオン
交換繊維を、金属パラジウムあるいはパラジウム化合物
を溶解した王水または塩酸の希釈水溶液に浸漬し、パラ
ジウムのクロロ錯体としてイオン交換繊維に吸着させ
る。吸着したパラジウムのクロロ錯体をヒドラジン、水
素などで還元すれば、パラジウムを担持したイオン交換
繊維を製造することができる。本発明に使用するために
パラジウムを強固、かつ均一に担持するには、イオン交
換繊維に対してパラジウムの量を0.1〜20重量%の
範囲にすればよく、1〜10重量%の範囲がとくに好適
である。
【0006】本発明に使用する繊維の形態としては、長
繊維、短繊維のいずれでもよく、繊維径は30μm以
下、比表面積が300m2 /g以上のものが好ましい。
繊維は、処理容器に直接充填しても、あるいは織物、編
物、不織布、成形体などに加工して使用しもよい。たと
えば、イオン交換繊維を円筒状に成形加工し、円筒の内
側から外側に、または外側から内側に水を流して処理す
ることもできる。必要があれば、イオン交換繊維に適当
な支持材などを併用することもできる。通常、本発明に
使用する場合のイオン交換繊維の充填密度は0.05〜
0.3とし、処理水の通過方向に対するイオン交換繊維
の層厚さは、少なくとも10mmとし、100mmもあ
れば足りる。
【0007】本発明においては、まず、被処理水に水素
を溶解せしめ、余剰の水素ガスをガス分離器で除去した
後、パラジウムを担持するイオン交換繊維の層を通過さ
せてパラジウムに接触させる。被処理水に水素を溶解す
るには、通常、溶存酸素量に応じて所要量の水素を溶解
するのに必要な圧力下で、被処理水に水素ガスを吹込
み、混合する。場合によっては、水素発生化合物などを
用いる化学的手段により、必要な圧力下に被処理水中で
水素を発生してもよい。通常、パラジウム担持イオン交
換繊維1m3 に対し、被処理水を1,000〜2,50
0m3 /hrの割合で処理することができる。すなわ
ち、本発明のSV値は1,000〜2,500[1/h
r]である。処理温度は、通常、常温でよい。被処理水
中の溶存酸素量が飽和に近い値で溶存する場合には、溶
解させる水素濃度が大になるので、予め真空脱気法や膜
脱気法などを用いて溶存酸素量を下げておくか、本発明
の水中溶存酸素の除去方法を直列二段に用いて処理すれ
ば、効果的に溶存酸素を低レベルにまで除去することが
できる。
【0008】本発明の水中溶存酸素の除去方法を実施す
るには、たとえば、図1にフローシートで示したような
装置を用いるとよい。配管1から送られてくる被処理水
は、圧送ポンプ2で昇圧され、配管3から減圧弁4と水
素注入弁5とを経て送入される水素と、エゼクタ6およ
び混合溶解器7とで混合され、水素は被処理水中に溶解
される。混合溶解器7には、加圧状態で使用する公知の
気液混合機を使用すればよい。余剰の水素は、水素分離
器8で被処理水と分離され調整弁12および水素還流配
管13を通って圧送ポンプ2の吸引側に戻される。水素
を溶解した被処理水は、反応器9内にセットされた円筒
状のパラジウム担持イオン交換繊維成形体10の外壁側
に送られる。被処理水は、圧力差でイオン交換繊維成形
体10を外壁側から内壁側に透過するが、この間パラジ
ウムの触媒作用によって溶存酸素と溶解水素とが反応し
て水になり、被処理水中の溶存酸素を消費し、溶存酸素
除去水になって配管11から取り出される。
【0009】
【実施例】次に、本発明を実施例と比較例とをあげて説
明する。なお、これらの例で溶存酸素量は、実施例1〜
6および比較例1〜6は、クロロホルム抽出による吸光
度度測定法により測定し、実施例7および比較例7は、
ポーラログラフィック式超高感度溶存酸素計(オービス
フェアラボラトリーズジャパン社製)を用いて測定し
た。 実施例1 本実施例は、ガス透過膜を用いた膜脱気法によって得ら
れた脱酸素処理水を、図1に示したのとほぼ同様の装置
を用い、本発明の水中溶存酸素の除去方法を用い、さら
に高度の溶存酸素除去実験を行ったものである。使用し
た装置は、図1に示したのとほぼ同様である。まず、平
均径が15μm以下のII型強塩基性陰イオン交換繊維
に、イオン交換繊維に対しパラジウムを2.5重量%を
担持させ、かさ密度が約0.1のフェルトシートに加工
した。このフェルトシートを、径が50mm、高さが1
50mmの反応器に高さが約50mmになるように積
層、充填した。実験は処理水の通水量を変えSV[1/
hr]500〜2500の範囲で行った。なお、この処
理水の温度は23〜26℃、溶存酸素量は0.5pp
m、水素吹込みの雰囲気圧力は約5kg/cm2 であっ
た。実験の結果を表1に示す。
【0010】比較例1 市販のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体のII型強塩
基性陰イオン交換樹脂に、イオン交換樹脂に対しパラジ
ウム2.5%を担持させた。このイオン交換樹脂0.5
リットルを塔径が50mm、高さ300mmの反応塔に
充填し、比較例の溶存酸素除去装置にした。この溶存酸
素除去装置に、実施例1で通水したのと同じ処理水を、
SV[1/hr]500で通水した。実験の結果を表1
に示す。
【0011】
【表1】 実施例2およびおよび比較例2 パラジウムを5.0%を担持させた以外は、実施例1ま
たは比較例1と全く同様の条件で実験した。実験の結果
を表2に示す。
【0012】
【表2】 実施例3および比較例3 使用したイオン交換繊維のかさ密度を0.2にした以外
は、実施例1または比較例1と全く同様の条件で実験し
た。実験の結果を表3に示す。
【0013】
【表3】 実施例4および比較例4 使用したイオン交換繊維のかさ密度を0.2にした以外
は、実施例2または比較例2と全く同様の条件で実験し
た。実験の結果を表4に示す。
【0014】
【表4】 実施例5および比較例5 溶存酸素量が6.0ppmの処理水を通水した以外は、
実施例1または比較例1と全く同様の条件で実験した。
実験の結果を表5に示す。
【0015】
【表5】 実施例6および比較例6 溶存酸素量が6.0ppmの処理水を通水した以外は、
実施例2または比較例2と全く同様の条件で実験した。
実験の結果を表6に示す。
【0016】
【表6】 実施例7および比較例7 本実施例は、真空脱気法によって得られた処理水をを通
水した以外は、実施例1または比較例1と全く同様の装
置で実験した。実験の結果を表7に示す。
【0017】
【表7】
【0018】
【発明の効果】本発明の水中溶存酸素の除去方法におい
ては、パラジウムを触媒とする化学的手段によって溶存
酸素を低レベルにまで除去できるだけではなく、本発明
で使用するパラジウム担持イオン交換繊維は有効比表面
積が大きく、いろんな形状に加工ならびに成形できるの
で、コンパクトな装置に組立てて大量の被処理水を通水
することができる。すなわち、前記の実施例や比較例に
みられるように、同じパラジウムを触媒とする化学的手
段を用いるにしても、従来のイオン交換樹脂に担持させ
るのに較べると、本発明では格段に大きな処理量、すな
わちSV[1/hr]値をとることができる。この理由
は、従来のイオン交換樹脂では、比表面積が、たとえば
390m2 /gあるとしても、その大部分が表面ではな
く樹脂内部に存在し、高速で通過する被処理水が有効に
内部拡散されないことによると考えられる。これに対
し、本発明で使用するパラジウム担持イオン交換繊維の
比表面積が、たとえば約500m2 /gであっても、そ
の約90%は有効に利用されているものと考えられる。
【0019】従って、本発明においては、被処理水の溶
存酸素を0.1ppm以下の低レベルにするのに、通
常、パラジウム担持イオン交換繊維の積層厚さを10〜
100mmの範囲にすればばよく、被処理水のSV[1
/hr]値を1,000〜2,500にすることができ
る。また、前記の実験結果などから、イオン交換繊維の
充墳密度が0.05〜0.25の範囲では除去効果に差
は認められず、かつ層厚さも小さいので、被処理水を高
速で流しても圧力損失が小さく、容易に高SV[1/h
r]値をとることができる。その効果、イオン交換繊維
から有機物の溶出のおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する装置の一例を示すフローシ
ート。
【符号の説明】
1:被処理水配管 2:圧送ポンプ 3:水素配管 4:減圧弁 5:水素注入弁 6:エゼクタ
7:混合溶解器 8:水素分離器 9:反応器
10:パラジウム担持イオン交換繊維成形体 11:溶存酸素除去水配管 12:調整弁 13:
水素還流配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 卯之原 敏 東京都港区西新橋3丁目7番1号 東芝プ ラント建設株式会社内 (72)発明者 益田 光信 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目3番23号 株式会社タクマ内 (72)発明者 藤原 護朗 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目3番23号 株式会社タクマ内 (72)発明者 堀江 広 千葉県舟橋市高根台7丁目21番5号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理水に水素を溶解せしめた後、この被
    処理水をパラジウムを担持するイオン交換繊維の層を通
    過させて被処理水中の溶存酸素を除去すること、を特徴
    とする水中溶存酸素の除去方法。
  2. 【請求項2】前記のイオン交換繊維が、繊維径30μm
    をこえないアニオン交換繊維であること、を特徴とする
    請求項1に記載の水中溶存酸素の除去方法。
  3. 【請求項3】前記のイオン交換繊維が担持するパラジウ
    ムの量が、イオン交換繊維に対して0.1〜20重量%
    であること、を特徴とする請求項1または2に記載の水
    中溶存酸素の除去方法。
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