JPH0615001Y2 - 射出成形装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、ゲートを開閉するトピードを備えた射出成
形装置の改良に関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種の射出成形装置としては、金型内にトピー
ドがその長手方向へ移動可能に設けられ、このトピード
の移動によってトピードの先端がゲートを開閉するよう
になされ、かつ、金型に対して接近離間する方向へ移動
可能になされ、金型側へ移動させた状態でゲートへ加圧
樹脂を供給するノズルを備えたものが知られている。そ
して、トピードは、油圧または空圧によって駆動され、
ノズルから加圧した樹脂をゲートへ供給する際にゲート
を開き、樹脂の加圧が終了したときにゲートを閉じるよ
うになっている。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上記射出成形装置にあっては、トピードの駆
動を制御する電磁弁の故障などにより、ゲートを閉じた
状態のときに樹脂を加圧してしまうことがあり、このよ
うな場合にマニホールドなどにおいて樹脂漏れが発生す
る。また、樹脂の加圧終了後、すなわち型開きの際にゲ
ートを閉めるのが遅れることがあり、このような場合に
ゲートにおいて樹脂漏れが生じ、次に金型を閉じたとき
にゲートを破損してしまうという問題があった。さら
に、このような問題を解決することができたとしても、
射出成形速度を可能な限り短縮することが要求されてい
る現状においては、電磁弁の作動時の時間的ずれによっ
て上記のような事故が発生し易いという問題があった。

この考案は、このような問題点を解決するためになされ
たもので、トピードによってゲートを開閉するタイミン
グを確実に取ることができ、したがって、樹脂漏れの発
生を未然に防止することができる射出成形装置を提供す
ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この考案の射出成形装置は、ノズルと移動板との間に、
ノズルが金型側へ移動したときにゲートが開放され、か
つ、ノズルが金型から離間する方向へ移動したときにゲ
ートが閉じられるように移動板を移動させる連動機構を
設けたものである。

［作用］ 上記構成の射出成形装置にあっては、ノズルとトピード
とを連動させているから、ノズルが金型側へ移動して加
圧状態の位置にあるときにはトピードはゲートから離間
してこれを常に開放状態とし、ノズルが金型側と反対方
向へ移動して無負荷状態の位置にあるときはトピードが
逆にゲート側へ移動してこれを常に閉じる。したがっ
て、ゲートを閉じたままで樹脂を加圧したり、ゲートを
開いたままで型開きするようなことが一切生じない。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を第１図を参照しながら説明
する。第１図は実施例の射出成形装置を示す側断面図で
ある。

図において符号１は固定型板であり、この固定型板１
は、第１、第２固定受板２，３およびスペーサーブロッ
ク４を介して固定取付板５に取り付けられている。ま
た、上記固定型板５に対向して可動型板６が移動可能に
設けられている。そして、これらの型板１，６の各対向
面には、それぞれ成形品を形成するための彫刻面が形成
され、互いに閉じたときにキャビティ７を形成するよう
になされている。

上記固定取付板５には、これを貫通してスプルーブッシ
ュ８が装着されている。また、このスプルーブッシュ８
にはマニホールド９が連結されており、このマニホール
ド９の下部から第２、第１固定受板３，２および固定型
板１の上部にかけてブッシュ１０が配設されている。そ
して、上記スプルーブッシュ８、マニホールド９、ブッ
シュ１０および固定型板１の各内部を通って溶融樹脂通
路１１が形成されている。さらに、上記マニホールド９
とブッシュ１０及び固定型板１の各内部を貫通して、ト
ピード１２がその先端部を固定型板１のゲート１ａに臨
ませた状態で装着されている。

一方、上記固定取付板５とマニホールド９との間には、
内部を上記スプルーブッシュ８によって貫通された移動
板１３が移動自在に設けられており、この移動板１３に
は、これを貫通して上記トピード１２の基端部が取り付
けられている。この移動板１３は、固定取付板５に取り
付けたガイドピン１４によって第１図中上下方向へ摺動
自在に支持されている。また、移動板１３には、長手方
向を図中上下方向へ向けたラック１５が固定取付板５を
貫通して取り付けられている。

このように構成された金型Ａには、ノズル１６が金型Ａ
に対して接近離間する方向へ移動可能に設けられてい
る。ノズル１６は、図示しない成形機から所定の圧力で
送給される溶融樹脂１７を上記溶融樹脂通路１１を通し
てキャビティ７内に供給するものであって、その先端部
は上記スプルーブッシュ８に嵌合させられている。そし
て、ノズル１６が図中二点鎖線Ｌ_１で示す位置にあると
きに溶融樹脂の加圧が行われるようになっている。

また、ノズル１６には、長手方向を図中上下方向へ向け
たラック１８が取り付けられている。このラック１８に
は、固定取付板５に取り付けたピニオンギヤ１９がかみ
合わされ、ピニオンギヤ１９は上記ラック１５とかみ合
わされている。

次に、上記構成の射出成形装置により射出成形を行うに
際しては、従来と同様に、型板１，６を互いに突き合わ
せた状態でノズル１６をＬ_１で示す位置まで移動させ
る。すると、ラック１５，１８が図中矢印で示すように
互いに逆方向へ移動し、移動板１３が二点鎖線Ｌ_２で示
す位置まで移動する。これによって、いままでトピード
１２によって閉塞されていたゲート１ａが開放される。
そして、この状態で溶融樹脂１７に圧力を加えてこれを
キャビティ７に射出する。

溶融樹脂１７の射出が終了すると溶融樹脂圧を所定時間
一定に保つ保圧工程を行ない、溶融樹脂１７の加圧を停
止する。次に、ノズル１６を図中実線で示す位置まで移
動させる。すると、ラック１５，１８が図中矢印で示す
方向と反対方向へ移動し、これに伴ってトピード１２も
移動してゲート１ａを閉塞する。次いで、型板１，６を
開いて成形製品を取り出す。

このように、上記射出成形装置においては、ノズル１６
とトピード１２とを連動させているから、ノズル１６が
金型側Ａへ移動して加圧状態の位置にあるときには、ト
ピード１２はゲート１ａから離間してこれを常に開放状
態とし、ノズル１６が金型Ａ側と反対方向へ移動して無
負荷状態の位置にあるときには、トピード１２が逆にゲ
ート１ａ側へ移動してこれを常に閉じる。したがって、
ゲート１ａを閉じたままで溶融樹脂１７を加圧したり、
ゲート１ａを開いたままで型開きするようなことが一切
生じず、マニホールド９やゲート１ａなどにおける樹脂
漏れの発生を未然に防止することができる。

なお、上記実施例ではノズルと移動板１３との連動機構
を、ラック１５，１８およびピニオンギヤ１９によって
構成しているが、このような構成に限るものではなく、
例えば、ラック１５，１８の代わりにアーム、ピニオン
ギヤ１９の代わりにてこを用い、てこの両端にアームを
連結してシーソーのように構成しても良い。

［考案の効果］ 以上説明したようにこの考案の射出成形装置において
は、ノズルと移動板との間に、ノズルが金型側へ移動し
て加圧状態にあるときにゲートが開放され、かつ、ノズ
ルが金型がら離間する方向へ移動して無負荷状態の位置
にあるときにゲートが閉じられるように移動板を移動さ
せる連動機構を設けて構成しているから、ゲートを閉じ
たままで樹脂を加圧したり、ゲートを開いたままで型開
きするようなことが一切生じす、したがって、マニホー
ルドやゲートなどにおける樹脂漏れを未然に防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示し、射出成形装置の側断
面図である。 １ａ……ゲート、１１……溶融樹脂、 １２……トピード、１３……移動板、 １６……ノズル、Ａ……金型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】金型に移動板が移動可能に設けられ、この
   移動板に、金型に設けられたゲートに臨んでこのゲート
   を開閉するトピードが設けられ、上記金型に、この金型
   へ接近離間する方向へ移動可能になされ、金型側へ移動
   した状態で上記ゲートへ溶融樹脂を供給するノズルが設
   けられてなる射出成形装置において、上記ノズルと移動
   板との間に、ノズルが金型側へ移動したときにゲートが
   開放され、かつ、ノズルが金型から離間する方向へ移動
   したときにゲートが閉じられるように移動板を移動させ
   る連動機構を設けたことを特徴とする射出成形装置。