JPH06145495A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH06145495A
JPH06145495A JP29946392A JP29946392A JPH06145495A JP H06145495 A JPH06145495 A JP H06145495A JP 29946392 A JP29946392 A JP 29946392A JP 29946392 A JP29946392 A JP 29946392A JP H06145495 A JPH06145495 A JP H06145495A
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JP
Japan
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block copolymer
group
weight
resin composition
polyamide
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Withdrawn
Application number
JP29946392A
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English (en)
Inventor
Mitsuhiro Horio
光宏 堀尾
Shigeki Takayama
茂樹 高山
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)特定の固有粘度のポリフェニレンエー
テル、(B)特定のブロック共重合体樹脂及び/又はそ
の不飽和ジカルボン酸ブロック共重合体樹脂、(C)ポ
リアミド樹脂及び(D)ゴム状重合体とを特定の割合で
配合した樹脂組成物に、(E)分子内にカルボン酸基、
酸無水物基、エポキシ基、アミノ基又は水酸基を有する
化合物を配合して成る樹脂組成物において、(A)〜
(E)成分の溶融混練の条件及び分散相の粒子径を特定
した組成物である。 【効果】 本発明の樹脂組成物は、本来のポリフェニレ
ンエーテル、ポリアミドおよびゴム状重合体からなる組
成物の成形加工性、耐衝撃性をポリフェニレンエーテル
の分子量(固有粘度)を規定する事によりさらに向上さ
せたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的性質、耐熱性、
成形加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル樹脂は、寸法安
定性、電気的特性、高荷重下での耐熱変形性、耐水性な
どに優れた樹脂であり、工業的にはポリスチレン系樹脂
とブレンドされた形で幅広く利用されているが、耐油性
および成形加工性に劣るという大きな欠点を有してい
る。
【0003】これに対し、ポリアミド樹脂は、機械的強
度、耐油性、耐熱性などに優れ、最も代表的なエンジニ
アリングプラスチックの1つとして、多量に利用されて
いる。しかしながら、このポリアミド樹脂は寸法安定
性、吸湿性、高荷重下での耐熱変形性、乾燥時の耐衝撃
性などの性質が他のプラスチックに比べて低いという欠
点を有している。
【0004】このため、前記の両樹脂のそれぞれの長所
を生かし、両者の欠点を相補うことを目的として、両樹
脂をブレンドすることが試みられ、これまで種々の組成
物が提案されている。例えば両樹脂を単純にブレンドし
たもの、特に溶融混合したブレンド樹脂が開示されてい
る(特公昭45−997号公報、特公昭59−4166
3号公報)。しかしながら、ポリフェニレンエーテルと
ポリアミドとは本来相溶しにくく、このような単純にブ
レンドしたものでは、機械的強度に優れた成形品を得る
ことができない。
【0005】そのために、ポリフェニレンエーテル及び
ポリアミドと共に、相溶性改良剤としてスチレン系化合
物とα、β−不飽和ジカルボン酸無水物との共重合体を
配合し、さらに耐衝撃改良剤としてゴム状物質を添加し
た組成物(特公昭59−33614号公報)やポリフェ
ニレンエーテル及びポリアミドと共に、他の成分として
分子内に、炭素−炭素二重結合または三重結合及び、カ
ルボキシル基や酸無水物基などの官能基を有する化合物
を添加し、溶融混練して得られた組成物(特公昭60−
11966号公報)さらに、ゴム状物質を添加した組成
物(特公昭56−49753号公報)が提案されてい
る。しかしながら、これらの方法によって得られた組成
物においても、十分な衝撃強度が得られない。
【0006】一方、耐衝撃性を改良する方法として、分
子内に炭素−炭素二重結合および酸無水物、カルボン
酸、アミノ基、ヒドロキシ基を有する化合物により官能
化されたポリフェニレンエーテルとポリアミドを溶融混
合することからなる方法(特開昭63−500803号
公表)が提案されている。しかしながら、この方法によ
って得られた樹脂組成物は、耐衝撃性が向上する反面、
成形流動性が劣り、また成形機内に滞留することによ
り、耐衝撃性が低下するという欠点を有している。
【0007】これらの方法によって得られたポリフェニ
レンエーテル系樹脂とポリアミド系樹脂より成る樹脂組
成物は、優れた耐熱性、成形加工性、耐油性、耐有機溶
剤性、寸法安定性を有し、自動車部品、電気・電子部
品、機械部品等広い分野で使用されてきた。しかしなが
ら、このように、ポリフェニレンエーテルとポリアミド
を成分とする従来の組成物は、物性上なんらかの欠点を
有し、成形流動性と耐衝撃性のバランスのとれた物性を
もつ樹脂組成物は、これまで見い出されていなかった。
さらに、樹脂組成物は多くの場合、成形機内で加熱溶融
されたのち、成形され、実用に供せられるので、成形機
内に滞留することにより、物性低下、特に耐衝撃性の低
下が生じないような安定性を有する樹脂組成物を開発す
る事は、工業的に極めて重要である。一方、これらの目
的を改良するため、特開昭64ー79258号公報に、
ゴム状物質として特定の水添ブロック共重合体を含む組
成物および、さらに特定の変性ブロック共重合体を含む
組成物が提案されている。しかし、このような方法で得
られた組成物は、成形機内滞留時の物性低下の改良は十
分ではない。また、このような樹脂組成物は、その成形
品を使用した後、粉砕され押出機などにより再度ペレッ
ト状の樹脂組成物としてリサイクル使用される事が多
く、再生による物性低下のない材料を提供する事が望ま
れ、さらに流動性と耐衝撃性の改良が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
フェニレンエーテル、ポリアミドを基本成分とする樹脂
組成物において、成形加工性と耐衝撃性のバランスを大
幅に向上せしめ、かつ成形時の熱安定性および再生使用
時に物性低下の少ない優れた樹脂組成物を提供すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定ブロック
共重合体および/または変成ブロック共重合体、ポリフ
ェニレンエーテル、ポリアミド及びゴム状重合体に特定
化合物より成る樹脂組成物において、ポリフェニレンエ
ーテルの分子量(固有粘度)を特定する事により、成形
加工性と耐衝撃性のバランスを大幅に向上させ、さらに
相溶性の改良効果の有ることを見いだし、この知見に基
づき本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、(A)固有粘度0.2
5〜0.45(クロロホルム溶液中、30℃)のポリフ
ェニレンエーテル 25〜70重量%、(B)共役ジエ
ン化合物を主体とする重合体ブロックを少なくとも1
個、およびビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロ
ックを少なくとも、1個含有し、かつビニル芳香族化合
物と共役ジエン化合物の重量比が60/30を超え97
/3以下である組成のブロック共重合体樹脂、および/
または、不飽和ジカルボン酸およびその誘導体の中から
選ばれた少なくとも1種の官能基で変性され、その含有
量が該ブロック共重合体100重量部当たり、0.1〜
5重量部である変性ブロック共重合体樹脂 0〜10重
量%、(C)ポリアミド25〜70重量%、および
(D)ゴム状重合体 1〜35重量%とからなる樹脂組
成物 100重量部に、(E)分子内にカルボン酸基、
酸無水物基、エポキシ基、アミノ基または水酸基を有す
る化合物 0.05〜5重量部を含む樹脂組成物であっ
て、(A)ポリフェニレンエーテル、(B)特定のブロ
ック共重合体および/または変性ブロック共重合体、
(E)分子内にカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ
基、アミノ基または水酸基を有する化合物を同時に溶融
混練するか、又はこれらに(D)ゴム状重合体の全量若
しくは一部を溶融混練し、前段樹脂組成物を生成させ、
次いで該前段樹脂組成物を(C)ポリアミド及び(D)
ゴム状重合体(全量)又は(C)ポリアミド及び(D)
ゴム状重合体(の一部)あるいは(C)ポリアミドを配
合し溶融混練する製法を特徴とし、(C)成分が連続相
を形成し、この連続相中に(A)成分が平均粒子径0.
1〜2μmの分散相として存在し、かつ積算粒子量の8
0%が粒子径3μm以下である事を特徴とする樹脂組成
物を提供する事である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて(A)成分として用いられるポリフェニレンエー
テルは、下記一般式(1)
【0012】
【化1】
【0013】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、同一
または異なるアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素
などの残基を示し、nは重合度を表す。)で示される繰
り返し単位からなる重合体である。その具体例として
は、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレン)エ
ーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−フェニレン)
エーテル、ポリ(2、6−ジエチル−1、4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−nプロピル−
1、4−フェニレン)エーテル、ポリ(2ーメチルー6
ーnブチルー1、4ーフェニレン)エーテル、ポリ(2
ーエチルー6ーイソプロピルー1、4ーフェニン)エー
テル、ポリ(2ーメチルー6ークロルー1、4ーフェニ
レン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエ
チル−1、4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチ
ル−6−クロロエチル−1、4−フェニレン)エーテル
などの単独重合体及び、それらの繰り返し単位からなる
共重合体などがあげられる。
【0014】また、これらのポリフェニレンエーテル
は、固有粘度(クロロホルム溶液、30℃)0.25〜
0.45のものが用いられる。固有粘度が0.25未満
の場合は耐衝撃性が損なわれ、0.45を超える場合は
流動性の改良効果が不十分である。本発明において、
(B)成分として用いられるブロック共重合体樹脂とは
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを少なく
とも1個、およびビニル芳香族化合物を主体とする重合
体ブロックを少なくとも、1個含有し、かつビニル芳香
族化合物と共役ジエン化合物の重量比が60/30を超
え97/3以下である組成のブロック共重合体樹脂であ
る。該ブロック共重合体樹脂を構成する共役ジエン化合
物単位としては、例えばブタジエン単位、イソプレン単
位、1、3−ペンタジエン単位などが挙げられ、これら
の単位は1種類含まれてもよいが、特にブタジエン単位
が好適である。また、このベースブロック共重合体樹脂
を構成するビニル芳香族化合物単位としては、例えば、
スチレン単位、α−メチルスチレン単位、ビニルトルエ
ン単位などが挙げられ、これらの単位は1種ふくまれて
いてもよいし、2種ふくまれてもよいが、特にスチレン
単位が好ましい。このブロック共重合体樹脂の分子構造
については特に制限はなく、例えば直鎖状、分岐状、放
射状、あるいはこれらの任意の組合せのいずれであって
もよい。さらに、該ブロック共重合体樹脂に関してはビ
ニル芳香族化合物単位の含有率の平均値が前記範囲内で
あれば、ビニル芳香族化合物単位の含有率が異なる2種
以上のブロック共重合体樹脂を使用する事もできる。該
ブロック共重合体樹脂中のビニル芳香族化合物単位の含
有率が60重量%未満又は97重量%を超えた場合、粒
子径を小さくかつ安定化させる効果がほとんど発揮され
ない。
【0015】本発明で用いる(B)成分に用いられる変
性ブロック共重合体樹脂としては、前記のブロック共重
合体樹脂の共役ジエン化合物単位に不飽和ジカルボン酸
やその誘導体をグラフトさせて得たものが好適である。
該不飽和ジカルボン酸及びその誘導体としては、例えば
マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、イタコン
酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
及びこれらの酸無水物、エステル、半アルキルエステ
ル、アミド、イミドなどが挙げられるが、特にα,β−
不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、具体的には、マレ
イン酸及び無水マレイン酸が好適である。これらの不飽
和ジカルボン酸及びその誘導体はそれぞれ単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。該変
性ブロック共重合体樹脂中の該不飽和ジカルボン酸およ
びその誘導体の含有量は、0.1〜5重量部、好ましく
は,0.3〜3重量部の範囲がよい。0.1重量部より
少ない場合は、所望の粒子径に対し、併用する(E)成
分の配合量を多く必要とし、流動性の低下や着色など色
調が悪化し好ましくなく、また5重量部より多くても効
果の増大は少なく、好ましくない。(B)成分のブロッ
ク共重合体樹脂の該不飽和ジカルボン酸およびその誘導
体による変性方法は、押出機により該ブロック共重合体
樹脂と該不飽和ジカルボン酸およびその誘導体を溶融混
練して得る方法が、工業的な見地から好ましい。
【0016】(B)成分のブロック共重合体樹脂および
/または変成ブロック共重合体の役割は、連続相である
(C)成分のポリアミド中に分散している(A)成分の
ポリフェニレンエーテル粒子を小さくする事と、粒径分
布がそろった樹脂組成物が得られる事にある。さらに
(B)成分により、成形機内滞留時やさらに該樹脂組成
物を再生使用する際に分散相の粒子径の安定化効果を高
める事が電子顕微鏡による観察結果から確認されてい
る。すなわち、この(B)成分の分散剤としての作用に
よりポリフェニレンエーテルとポリアミドとからなる組
成物の優れた性能が発現するだけでなく、さらに分散粒
子径の安定化効果により諸性能の安定性が増大するもの
である。ところが今回、(A)成分のポリフェニレンエ
ーテルの分子量を特定の範囲にすることで、(B)成分
を添加が無くても、ある程度分散相の粒子径を安定に保
てることが明らかになった。これは、ポリフェニレンエ
ーテルの分子量を通常より低めに設定したことによりポ
リアミドとの溶融粘度が近ずく事で分散粒子径が小さく
なったためではないかと推測される。しかし、相溶化の
安定性のレベルは(B)成分が有る方が格段に優れてい
る。
【0017】本発明において(C)成分として用いられ
るポリアミドは、ポリマー主鎖にアミド結合{ −NH
−C(=O)− }を有するものであって、加熱溶融出
来る物であれば、いずれも使用可能である。その代表的
なものとしては、4−ナイロン、6−ナイロン、6,6
−ナイロン、12−ナイロン、6,10−ナイロン、テ
レフタル酸とヘキサメチレンジアミンからのポリアミ
ド、アジピン酸とメタキシルレンジアミンからのポリア
ミド、アジピン酸とアゼライン酸及び2,2’−ビス
(p−アミノシクロヘキシル)−プロパンからのポリア
ミド、テレフタル酸と4,4’−ジアミノジシクロヘキ
シルメタンかたのポリアミドおよびこれらの共重合ナイ
ロンがあげられる。これらの中で、6−ナイロン、6,
6−ナイロン、6−6,6共重合ナイロンの単独使用又
はこれらの併用が好ましい。
【0018】本発明において、(D)成分として用いら
れるゴム状重合体としては、スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共
重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素
化スチレン−イソプレンブロック共重合体、エチレン−
プロピレンエラストマー、エチレン系アイオノマー樹
脂、ゴム状のコアと非ゴム状ポリマーのシェルからなる
コア・シェルポリマーなどであり、特にスチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体、およびブタジエン部分の一部
またはすべてが水素化されたスチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体が好ましい。また、これらのゴム状重合体
を、エポキシ化合物や不飽和カルボン酸およびその誘導
体などで変性したものを用いることもできる。
【0019】本発明組成物における(A)ポリフェニレ
ンエーテル、(B)ブロック共重合体樹脂および/また
は変性ブロック共重合体樹脂、(C)ポリアミド、
(D)ゴム状重合体の配合割合については、前記
(A)、(B)、(C)および(D)成分の合計量に基
づき、(A)ポリフェニレンエーテルが25〜70重量
%、好ましくは30〜60重量%、(B)ブロック共重
合体樹脂および/または変性ブロック共重合体樹脂が0
〜10重量%、好ましくは0〜5重量%の範囲で、
(C)ポリアミドが25〜70重量%、好ましくは30
〜60重量%、(D)ゴム状重合体が1〜35重量%、
好ましくは5〜20重量%の範囲になるように選ぶ必要
がある。
【0020】また、本発明において、(A)、(B)、
(C)および(D)の四成分を、前記の配合割合にする
理由は、ブロック共重合体樹脂および/または変性ブロ
ック共重合体樹脂は10重量%より多い場合はそれによ
る効果は認められず、経済的に不利である。ポリフェニ
レンエーテルが70重量%を越えたり、またはポリアミ
ドが25重量%未満では、ポリアミドの特徴である耐油
性、成形加工性などを損なうためである。またゴム状重
合体は、耐衝撃性向上のために必要であり、要求に応じ
て配合量を増やせばよいが、35重量%を超えると、剛
性および耐熱性が低下し好ましくない。
【0021】本発明において(E)成分として用いられ
る、分子内にカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、
アミノ基または水酸基を同時に有する化合物とは、不飽
和ジカルボン酸及びその誘導体であり、マレイン酸、フ
マル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン
−1、2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物、エステ
ル、半アルキルエステル、アミド、イミドなどがあげら
れるが、特に、α、β−不飽和ジカルボン酸およびその
誘導体、具体的には、マレイン酸及び無水マレイン酸が
好適である。不飽和ジカルボン酸およびその誘導体は、
夫々単独で用いても良いし2種以上を組み合わせて用い
ても良い。(E)成分の添加量は、前記(A)、
(B)、(C)及び(D)成分の合計量100重量部に
対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜1重
量部の範囲で選ぶ事が望ましい。この添加量が、0.0
5重量部未満では、ポリフェニレンエーテルの平均分散
粒径を2μm以下にする事が困難であり、また5重量部
を超える添加量を用いてもそれによる効果の増大はみら
れず、経済的に不利である。
【0022】次に、本発明の樹脂組成物の一般的な製造
方法について説明する。本発明組成物は、(A)成分の
ポリフェニレンエーテル、(B)成分のブロック共重合
体樹脂および/または変成ブロック共重合樹脂、(C)
成分のポリアミド、(D)成分のゴム状重合体および
(E)成分の分子内にカルボン酸基、酸無水物基、エポ
キシ基、アミノ基または水酸基を有する化合物を溶融混
練する事により得られる。混練方法は、(A)成分のポ
リフェニレンエーテル、(B)成分のブロック共重合体
樹脂および/または変成ブロック共重合樹脂、(E)成
分の分子内にカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、
アミノ基また水酸基を有する化合物を同時に溶融混練し
た後、ついで(C)成分のポリアミドと溶融混練する事
により得られる。(D)成分であるゴム状重合体は、
(A)成分、(B)成分および(E)成分を溶融混練す
る際、全量を同時に配合するか、その一部を溶融混練し
て全段樹脂組成物をつくることがある。(D)成分の全
量を(C)成分とともに配合しても良い。
【0023】後の実施例からも明らかになるが、(A)
成分のポリフェニレンエーテル、(B)成分のブロック
共重合体樹脂および/または変成ブロック共重合樹脂、
(E)成分の分子内にカルボン酸基、酸無水物基、エポ
キシ基、アミノ基また水酸基を有する化合物を同時に溶
融混練する事が重要である。(A)成分、(B)成分、
(E)成分或いは(D)成分を溶融混練する温度および
時間は、通常、240℃〜370℃、好ましくは280
℃〜340℃の範囲の温度が、また0.1〜10分、好
ましくは0.3〜3分程度の混練時間が用いられる。
【0024】さらに、前記(A)成分、(B)成分、
(E)成分或いは(D)成分を溶融混練した前段樹脂組
成物と(C)ポリアミドおよび(D)ゴム状重合体とを
溶融混練する温度および時間は、通常、240℃〜37
0℃、好ましくは250℃〜320℃の範囲の温度が、
また0.1〜10分、好ましくは0.3〜3分程度の混
練時間が用いられる。さらに最初に成分(A)、成分
(B)および成分(E)を配合して押出し、最初の配合
操作から下流の押出機中の第2の地点で成分(C)およ
び(D)ゴム状重合体とを導入する事により、一つの押
出機で連続して行う事は、工程の簡略化の観点から好ま
しい。
【0025】本発明組成物には、所望に応じ他の添加
剤、ポリマー、可塑剤、滑剤、難燃剤、あるいはガラス
繊維、カーボン繊維などの無機フィラーなどを添加する
事ができる。本発明組成物における分散粒子径は、電子
顕微鏡写真法により確認する事ができ、また該分散粒子
径の平均径は、次のようにして算出する事ができる。成
形品より作成した超薄切片の透過型電子顕微鏡写真(1
0,000倍)を調整し、分散粒子径di および 粒子径
diを持つ粒子数niを求め、分散相の平均径を下記式
により算出する。
【0026】平均径 = Σdi4 ni/Σdi3 ni この場合、粒子形状が球形とみなせない場合には、その
短径と長径を測定し、両者の和の1/2を粒子径とし
た。また、平均粒子径の算出には最低2000個の粒子
の径を測定する。粒度分布測定において、粒子径の測定
範囲での粒子径の小さい値のものから大きな値の順に積
算し、積算粒子量を各粒子区分において求めた。
【0027】
【実施例】つぎに、実施例により本発明を具体的に説明
する。以下の実施例は、いずれも例示的なものであっ
て、本発明の内容を限定するものではない。実施例およ
び比較例において使用した成分は以下のものである。 (A)成分:ポリフェニレンエーテル A−1;固有粘度が0.50(30℃、クロロホルム
中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル A−2;固有粘度が0.43(30℃、クロロホルム
中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル A−3;固有粘度が0.40(30℃、クロロホルム
中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル A−4;固有粘度が0.27(30℃、クロロホルム
中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル A−5;固有粘度が0.22(30℃、クロロホルム
中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル (B)成分;ブロック共重合体樹脂、変性ブロック共重
合体樹脂 B−1;スチレン単位70重量%を含有するスチレン−
ブタジエンブロック共重合体 B−2;スチレン単位70重量%を含有するスチレン−
ブタジエンブロック共重合体の無水マレイン酸変性品。
該スチレン−ブタジエンブロック共重合体100重量部
に、無水マレイン酸2重量部および安定剤としてのフェ
ノチアジン0.5重量部を配合し、二軸押出機を用いて
290℃にて溶融押出しを行う事により製造した。この
変性ブロック共重合体樹脂をトルエンに溶解させ、中和
滴定を行ったところ、マレイン酸残基の含有量は、約
0.5重量%であった。 (C)成分:6−ナイロン(旭化成工業(株)製、ナイ
ロン−6 SBR) (D)成分:ゴム状重合体 D−1;スチレン−ブタジエン共重合体(旭化成工業
(株)製、タフプレン(登録商標)200) D−2;スチレン−ブタジエン共重合体の水素化品(旭
化成工業(株)製、タフテック(登録商標)H127
1) (E)成分;無水マレイン酸 また、得られた樹脂組成物については、次の方法に従っ
て評価した。
【0028】射出成形機:東芝機械(株)製IS80E
PN、シリンダー温度280℃、成形サイクル1分)で
試験片を作成し、次の物性測定ならびに試験を実施し
た。 (1) アイゾット衝撃強さ(ノッチ付き、1/8イン
チ厚さ) JIS K−7110準拠 (2) 加熱変形温度 JIS K−7207準拠(4.6kg/荷重) (3) MFR ASTM D1283に準拠(280℃、5Kg荷重) (4) 流れ特性 JIS K−7199に準拠し、東洋精機(株)キャピ
ログラフ1Cを用い280℃で測定。 (5) 成形機内滞留試験:東芝機械(株)製IS80
EPN射出成形機を用いシリンダー温度を310℃、成
形サイクルを10分とし、成形機内に滞留させたのち、
試験片を作成し、この試験片より作成した超薄切片の透
過型電子顕微鏡写真より分散粒子径の平均径を求めた。 (6) 再生試験:射出成形機で得られた試験片を粉砕
機にかけ、この粉砕物を押出機にて280℃で再度ペレ
ット化し、射出成形機で試験片を作成した。同様に、こ
の試験片より分散粒子径の平均径を求めた。
【0029】
【実施例1】固有粘度が0.43(30℃、クロロホル
ム中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レン)エーテル(A−2)、ゴム状重合体(D−2)、
ブロック共重合体樹脂(B−1)、および無水マレイン
酸を夫々表1に示す配合割合で、二軸押出機(Wern
er&Pfleiderer社製ZSK−25)に供給
し、300℃、300rpmで押出混練し、ペレット化
し1段目の組成物を得た。ついでこの組成物とともに、
6−ナイロン(C)、ゴム状重合体(D−1)を配合
し、同様に二軸押出機に供給し、同条件にて押出混練
し、ペレット化した。ついで前記した方法により各種試
験を行った。評価結果を表1に示す。
【0030】
【実施例2】実施例1における、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルをA−2からA−3
に変える以外は全く同様に実施した。評価結果を表1に
示す。
【0031】
【実施例3】実施例1における、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルをA−2からA−4
に変える以外は全く同様に実施した。評価結果を表1に
示す。
【0032】
【実施例4】実施例1における、ブロック共重合体樹脂
(B−1)を無添加にする以外は全く同様に実施した。
評価結果を表1に示す。
【0033】
【比較例1】実施例1における、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルをA−2からA−1
に変える以外は全く同条件で実施した。評価結果を表1
に示す。
【0034】
【比較例2】実施例1における、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルをA−2からA−5
に変える以外は全く同条件で実施した。評価結果を表1
に示す。
【0035】
【比較例3】比較例1における、ブロック共重合体樹脂
(B−1)を無添加にする以外は全く同様に実施した。
評価結果を表2に示す。
【0036】
【実施例5】実施例1における、ブロック共重合体樹脂
(B−1)を変性ブロック共重合体樹脂(B−2)に変
える以外は全く同様に実施した。評価結果を表2に示
す。
【0037】
【実施例6】実施例2における、ブロック共重合体樹脂
(B−1)を変性ブロック共重合体樹脂(B−2)に変
える以外は全く同様に実施した。評価結果を表2に示
す。
【0038】
【実施例7】実施例3における、ブロック共重合体樹脂
(B−1)を変性ブロック共重合体樹脂(B−2)に変
える以外は全く同様に実施した。評価結果を表2に示
す。
【0039】
【比較例4】比較例1における、ブロック共重合体樹脂
(B−1)を変性ブロック共重合体樹脂(B−2)に変
える以外は全く同様に実施した。評価結果を表2に示
す。
【0040】
【比較例5】比較例2における、ブロック共重合体樹脂
(B−1)を変性ブロック共重合体樹脂(B−2)に変
える以外は全く同様に実施した。評価結果を表2に示
す。
【0041】
【実施例8】表3の前段組成に示す配合割合で、第一原
料フィード口から(A)、(B)、(D)及び(E)成
分を、さらに第1フィード口の下流に設けた第2フィー
ド口から表1に最終組成に示す(C)、(D)成分を二
軸押出機(Werner&Pfleiderer社製Z
SK−25)に供給し、300℃、300rpmで押出
混練し、ペレット化した。ついで前記した方法により各
種試験を行った。評価結果を表3に示す。
【0042】
【実施例9】実施例8における、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルをA−2からA−3
に変える以外は全く同条件で実施した。評価結果を表3
に示す。
【0043】
【実施例10】実施例8における、ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレン)エーテルをA−2からA−
3に変える以外は全く同条件で実施した。評価結果を表
3に示す。
【0044】
【比較例6】実施例8における、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルをA−2からA−1
に変える以外は全く同条件で実施した。評価結果を表3
に示す。
【0045】
【実施例11】実施例9における、ブロック共重合体樹
脂(B−1)を変性ブロック共重合体樹脂(B−2)に
変える以外は全く同様に実施した。評価結果を表2に示
す。
【0046】
【比較例7】実施例11における、ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレン)エーテルをA−3からA−
1に変える以外は全く同条件で実施した。評価結果を表
3に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、本来のポリフェ
ニレンエーテル、ポリアミドおよびゴム状重合体からな
る組成物の優れた耐熱性、成形加工性、耐衝撃性、熱安
定性、及び機械的特性の中で、成形加工性と耐衝撃性に
ついて、ポリフェニレンエーテルの分子量(固有粘度)
を特定することにより向上させたものである。
【0051】したがって、本発明の樹脂組成物は、自動
車、電気・電子部品等の各種用途に有用であり、さらに
用途の拡大が期待出来る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08L 71/12 53:02)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)固有粘度0.25〜0.45(ク
    ロロホルム溶液中、30℃)のポリフェニレンエーテル
    25〜70重量%、(B)共役ジエン化合物を主体と
    する重合体ブロックを少なくとも1個およびビニル芳香
    族化合物を主体とする重合体ブロックを少なくとも1個
    含有し、かつビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物の
    重量比が60/30を超え97/3以下である組成のブ
    ロック共重合体樹脂および/または不飽和ジカルボン酸
    及びその誘導体の中から選ばれた少なくとも1種の官能
    基で変性され、その含有量が該ブロック共重合体100
    重量部当たり0.1〜5重量部である変性ブロック共重
    合体樹脂 0〜10重量%、(C)ポリアミド25〜7
    0重量%および(D)ゴム状重合体 1〜35重量%と
    からなる樹脂組成物 100重量部に、(E)分子内に
    カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基また
    は水酸基を有する化合物 0.05〜5重量部を含む樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)ポリフェニレンエーテル、(B)特
    定のブロック共重合体樹脂および/または変性ブロック
    共重合体樹脂、(E)分子内にカルボン酸基、酸無水物
    基、エポキシ基、アミノ基または水酸基を有する化合物
    を同時に溶融混練するか又はこれらに(D)ゴム状重合
    体の全量若しくは一部を溶融混練し、前段樹脂組成物を
    生成させ、次いで該前段樹脂組成物と(C)ポリアミド
    または(C)ポリアミド及び(D)ゴム状重合体を配合
    し溶融混練する事を特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】(C)成分が連続相を形成し、この連続相
    中に(B)成分が平均粒子径0.1〜2μmの分散相と
    して存在し、かつ積算粒子量の80%が粒子径3μm以
    下である事を特徴とする特許請求の範囲第1項および第
    2項記載の樹脂組成物。
JP29946392A 1992-11-10 1992-11-10 熱可塑性樹脂組成物 Withdrawn JPH06145495A (ja)

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