JPH0614493U - 立形ポンプの軸封装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】組付時の機械的な調整が不要で摩耗による寿命
の低下がなく、腐蝕性流体に対してもシール性が損われ
ない立形ポンプの軸封装置を提供する。 【構成】インペラ軸を処理液面より上側のケーシングの
上部軸受部および下部軸受部で軸支した立形ポンプにお
いて、前記下部軸受部の直下で前記ケーシング内にイン
ペラ軸を囲繞するシール水溜部を形成し、前記シール水
溜部内のシール水に周部が浸る逆カップ形環状体を前記
インペラ軸に固着した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は立形ポンプのインペラ軸を軸受部に対して軸封する装置に関し、特に 、腐蝕性流体を扱う立形ポンプにおいて、気化した腐蝕流体がケーシング内のイ ンペラ回転軸の軸受部に侵入するのを防止する軸封装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種の立形ポンプは、一般に回転軸（インペラ軸）の下端から長さ方向略中 途部までを下部ケーシングで囲包して処理流体に浸漬し、この下部ケーシングの 上部に軸受台と称する上部ケーシングを設置して該軸受台の上下２箇所で前記イ ンペラ軸を軸支し、さらに前記軸受台の上部に駆動モータを搭載して前記インペ ラ軸と連結するとともに該軸受台を処理流体槽の上部に載置できるように軸受台 外側にフランジ部を形成した構造を有している。扱い流体あるいはその蒸気が下 部ケーシングから前記軸受台内に浸入して下部軸受を劣化，損傷させないように 、通常、前記下部ケーシングと前記軸受台との間でインペラ軸外周に機械的な軸 封装置が設けられている。

【０００３】 図２は従来の立形ポンプの縦断面図である。上部ケーシング（軸受台）３から 下部ケーシング１１へインペラ軸９が貫通し、該軸９の下端にインペラ１２が固 着され、また前記軸受台３の上部に、インペラ軸９の上端と連結する電動機１３ が取り付けられる。インペラ軸９は軸受台３に上部軸受１４および下部軸受１に よって軸支され、また下部軸受１の下方で軸受台３とインペラ軸９との間に、オ イルシールやパッキン等の機械的な軸封装置１５が設けられている。インペラ１ ２の回転で吸い込まれた流体２２は排出管１７を通して汲み上げられる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述のように従来の立形ポンプにおいては、軸受台内の軸受を保護する軸封装 置としてオイルシールやパッキンのような機械的接触による手段で構成している ので、組立精度や使用による摩耗のためシールの信頼性に問題がある。特に扱い 流体（処理流体）が例えば帯鋼の酸洗設備に使用する塩酸とか各種硫酸、アルカ リ類等のように腐蝕流体の場合には、オイルシールやパッキンが流体に侵されて シール性を失い、軸受の損傷をきたすという不具合があった。

【０００５】 本考案は扱い流体が気化し易い腐蝕流体であってもシール性が損われることが なく、組付時の細かい調整が不要であり、また摩耗による寿命低下がない立形ポ ンプの軸封装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案によれば、インペラ軸を処理液面より上側のケーシングの上部軸受部お よび下部軸受部で軸支した立形ポンプにおいて、前記下部軸受部の直下で前記ケ ーシング内に、前記インペラ軸を囲繞するシール水溜部を形成し、前記シール水 溜部内のシール水に周部が浸る逆カップ形環状体を前記インペラ軸に固着した立 形ポンプの軸封装置が提供される。

【０００７】

【実施例】

次に本考案を実施例について図面を参照して説明する。図１は本考案の実施例 に係る立形ポンプの部分的な縦断面図である。上部ケーシングとなる軸受台３の 下端に下部ケーシング１１が固着され、これらのケーシングを貫通してインペラ 軸９が挿入され、軸受台３にて上下２箇所でインペラ軸９が支持されることは図 ２の従来例と同様である。なお図１ではインペラ軸９の下方部分および軸受台３ の下部軸受１の上方部分（上部軸受，電動機等）は図示省略してある。 軸受台３の底面は、下部ケーシング１１の上端にボルト等で連結するための内 外周へのびるフランジ部１８，１９が形成されている。内フランジ部１８の内径 部上縁は環状の堰４が形成され、軸受台内側面と内フランジ底面と堰４とによっ てインペラ軸９を囲繞するシール水溜部２０が形成され、このシール水溜部２０ にシール用液体例えば水８が溜められている。軸受台３の内フランジ１８の中心 孔を貫通するインペラ軸９の外周には、下部軸受１より下方でかつ前記シール水 溜部２０よりやや上方の位置で逆カップ形の環状体６が固着され、該環状体６の 外周部は図示のようにシール水溜部２０内のシール水８に浸漬されている。なお インペラ軸９と環状体６の嵌合部はこの間に流体や気体を通さないように完全に 封止状態の嵌合となっている。２１は下部ケーシング１１に形成された通気用の 開口である。軸受台３の外側部にはシール水溜部２０に外部供給源からシール水 ８を補給するためのシール水供給管７が取り付けられている。５は下部軸受１１ を封止するパッキン等のシール部材である。

【０００８】 ポンプ動作時には下部ケーシング１１を処理流体２２内に浸漬し、インペラ軸 ９を回転させる。このインペラ軸９の回転とともに逆カップ形の環状体６もその 外周部がシール水８に浸ったまま該インペラ軸と一体で回転し、この環状体６と シール水８によってウォータシールが形成される。したがって処理流体２２の液 面２２ａから気化した腐蝕性気体が上昇して軸受台３下部に達しても該気体は環 状体６とシール水８で阻止されて下部軸受１に直接触れることはない。ここで処 理流体２２の腐蝕性気体は環状体６とシール水溜部２０の堰４との隙間からシー ル水８に溶け込むことがあるが、シール水溜部２０には供給管７から新たなシー ル水が常時微量補給されており、シール水濃度は低濃度に保たれているので、こ こから気化した腐蝕性気体は極微量で下部軸受１の劣化，損傷は生じない。なお シール水８に溶け込んだ処理流体の気体がさらに気化して軸受台内に充満しない ように下部軸受１の下方位置の軸受台３に排気管２を設置してもよい。シール水 ８はシール水溜部２０の堰４から内周をつたって処理流体２２に入ることがある が、処理流体によってはシール水が該流体に混ざると困る場合は堰４の高さより やや低めの位置で軸受台３の外側部にシール水溜部２０に連通するシール水排出 管１０を設けるのがよい。

【０００９】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、インペラ軸を支承する軸受台内の下部軸 受の下方にウォータシールを設けたので、従来のような機械的な接触で軸封する 場合に起りがちな腐蝕性処理流体の気化物によるシール部の腐蝕，劣化や使用中 の摩耗によるシール部の損傷，下部軸受の損傷がなく、信頼性の高い、しかも安 価な軸封装置が実現できる。シール水溜部にシール水の排出管を設けてあるので 、シール水と処理流体が混じる心配がなく、処理流体に対して影響を与えること はない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による軸封装置を取り付けた立
形ポンプの部分的な縦断面図である。

【図２】従来の立形ポンプの縦断面図である。

【符号の説明】 １ 下部軸受 ２ 排気管 ３ 軸受台 ４ 堰 ６ 逆カップ状の環状体 ７ シール水供給管 ８ シール水 ９ インペラ軸 １０ シール水排出管 １１ 下部ケーシング １２ インペラ ２０ シール水溜部 ２２ 処理流体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インペラ軸を処理液面より上側のケーシン
   グの上部軸受部および下部軸受部で軸支した立形ポンプ
   において、前記下部軸受部の直下で前記ケーシング内
   に、前記インペラ軸を囲繞するシール水溜部を形成し、
   前記シール水溜部内のシール水に周部が浸る逆カップ形
   環状体を前記インペラ軸に固着したことを特徴とする立
   形ポンプの軸封装置。