JPH06144929A - 炭素系複合材料 - Google Patents

炭素系複合材料

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JPH06144929A
JPH06144929A JP4208156A JP20815692A JPH06144929A JP H06144929 A JPH06144929 A JP H06144929A JP 4208156 A JP4208156 A JP 4208156A JP 20815692 A JP20815692 A JP 20815692A JP H06144929 A JPH06144929 A JP H06144929A
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carbon
resin
fibers
zeolite
composite material
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JP4208156A
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English (en)
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Takayoshi Torii
井 崇 敬 鳥
Teruyuki Nakatsuji
辻 照 幸 中
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YAMATO TAIKA RENGA SEIZOSHO KK
Shimizu Construction Co Ltd
Sumitomo Durez Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
YAMATO TAIKA RENGA SEIZOSHO KK
Shimizu Construction Co Ltd
Sumitomo Durez Co Ltd
Shimizu Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof
    • C04B38/08Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof by adding porous substances

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素系繊維を用いて強度、耐熱性ともにすぐ
れ鉄筋又は鉄骨代替材料等建築材料として又はその他一
般用として使用するに好適な炭素系複合材料を提供する
ことを目的とする。 【構成】 炭素系繊維と、フェノール樹脂又はフラン樹
脂と、微細孔を有し該微細孔に前記樹脂の一部を内蔵さ
せた耐火物微粉とからなる素材を、不活性雰囲気にて5
00〜2000℃の温度に30分以上加熱し、それによ
り前記耐火物微粉の微細孔に内蔵された及び内蔵されな
い樹脂を炭化させて前記炭素系繊維を強化させてなる炭
素系複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な炭素系複合材料、
更に詳しく云えば、強度、耐熱性(2000℃)、耐ア
ルカリ性にすぐれ、特にコンクリート補強用鉄筋代替、
鉄骨構造の鉄骨(アングル・H鋼・鋼板等)の代替、宇
宙材料として用いるに適当な炭素系複合材料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術と解決しようとする課題】近年炭素繊維を
はじめとする高性能、高強度の繊維の出現によって建設
の分野においてもこれらの繊維を用いて、軽量で作業
性、施工性がよく構造物の重量を低減し得、更に耐久性
の向上をはかりうる繊維強化複合材料の研究、開発が活
発化している。しかし従来提案されているものは、上記
各性能をかねそなえていても耐熱性に欠けるなど実用に
供する場合大きな問題を含んでいた。
【0003】本発明者の一人らは、上記のような事情に
かんがみ、特に耐熱性にすぐれ300℃以上の高温の火
焔にさらされても着火、燃焼することなく、又強度、耐
アルカリ性にもすぐれた複合材料を提供することを目的
として、さきに長繊維束状の無機質繊維又は耐熱性有機
質繊維に、マトリックス材としてフェノール樹脂又はフ
ラン樹脂と無機質フィラーとの混合物を加えてなる複合
材料を開発して、特許出願した(特開平4−26665
号公報)。
【0004】しかしながら耐熱性としては有機材料を含
むため耐火度には限界があり、500℃を越えると材料
劣化が生ずる欠点を有していた。
【0005】かくて本発明は従来の炭素繊維を用いた複
合材料の耐火、耐熱性能をさらに向上させて、鉄筋、鉄
骨の代替材料等建築材料として或いはその他一般用とし
て有効に用いることができる複合材料を提供することを
目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】よって本発明は、炭素系
繊維と、フェノール樹脂又はフラン樹脂と、微細孔を有
し該微細孔に前記樹脂の一部を内蔵させた耐火物微粉と
からなる素材を、不活性雰囲気にて500〜2000℃
の温度に30分以上加熱し、それにより前記耐火物微粉
の微細孔に内蔵された及び内蔵されない樹脂を炭化させ
て前記炭素系繊維を強化させてなる炭素系複合材料を提
供するものである。
【0007】以下本発明について詳細に説明する。本発
明の複合材料のいわば前駆体となる素材の製造法につい
てまず説明する。
【0008】本発明の素材は上述のように炭素繊維と、
フェノール樹脂又はフラン樹脂と耐火物微粉からなるも
のである。炭素繊維としてはPAN(ポリアクリルニト
リル)系、黒鉛系、シリコンカーバイト系の繊維等を用
いることができる。これらの繊維は例えば直径7〜10
μの範囲、代表的には7μの直径と数mの長さを有する
長繊維を3,000〜15000本、代表的には12,
000本束状にして用いる。このような長繊維束状のも
のの外に、この炭素繊維を網目状に縦横に形成し、これ
を一層で、又は二層以上重ねてなる編物状の炭素繊維、
或いは適宜寸法を有する短繊維状の炭素繊維を用いるこ
とができる。
【0009】これら多数の炭素系繊維をフェノール樹脂
又はフラン系樹脂そしてゼオライトやモンモリロナイト
などの耐火物微粉フィラーからなるマトリックスで固定
して多数束状の炭素系複合材料が得られる。
【0010】本発明に用いられる前駆体の素材に用いら
れるバインダーであり炭素系複合材料の炭素原料である
フェノール樹脂は、レゾールタイプとノボラックタイプ
(溶剤にとかす)のいづれでもよいが、炭素繊維とのな
じみのよいレゾールタイプの方が好ましい。
【0011】本発明で用いられるフェノール樹脂はフェ
ノール、クレゾール、ジメチルフェノールなどのフェノ
ール類のホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベ
ンズアルデヒドなどのアルデヒド類とを酸又は塩基触媒
を用いて反応させて得られるもので、更にこれを各種ア
ルキルフェノール類、動植物性油類等で変性させたもの
も用いられる。これらフェノール樹脂の中でも、特に水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、
水酸化バリウム等のアルカリ触媒又はアンモニア、トリ
エチルアミン等のアミン触媒更にはこれらのうち2種類
以上の触媒を併用して得られるいわゆるレゾールタイプ
のフェノール樹脂を使用した場合、複合材料の耐熱性、
強度等に優れる。更に、変性剤として、トルエン樹脂、
キシレン樹脂、メシチレン樹脂等の芳香族炭化水素樹脂
を用いると、フェノール性水酸基の樹脂中の構成比が減
少する。
【0012】これらのいわゆる芳香族炭化水素樹脂変性
フェノール樹脂について、芳香族炭化水素樹脂の変性率
(樹脂固形分に対する芳香族炭化水素樹脂の占める割
合)としては、5〜50重量%が好ましい。5重量%以
下では変性の効果が乏しく、逆に50重量%以上ではフ
ェノール樹脂としての効果が不十分となり、耐熱性、強
度等が低下する。
【0013】又フラン樹脂としてはフルフリルアルコー
ル樹脂の他にこれをフルフラール、ホルムアルデヒド、
フェノールと尿素の中1種又は数種の変性剤を用いて変
性したものが使用できる。
【0014】フラン樹脂を使用する場合は、通常、トル
エンスルホン酸、キシレンスルホン酸、スルファミン酸
等の有機酸、リン酸、塩酸、硫酸等の無機酸を硬化剤と
して併用する。また、フェノール樹脂を使用する場合で
も、硬化温度低下、硬化時間短縮の目的で、これら硬化
剤を併用しても良い。
【0015】これらフェノール樹脂(レゾール又はノボ
ラックタイプ)又はフラン樹脂を本発明で使用する場
合、通常液状の形で用いられる。固形状の場合は、アル
コール類、ケトン類等の溶剤でカットバックして使用す
る。また、液状樹脂を使用する場合でも、繊維となじみ
を良くするためこれらの溶剤で希釈することもできる。
【0016】次に、本発明の複合材料に用いる微細孔を
有する耐火物の1例としてゼオライトについて述べる。
【0017】本発明でフィラーとして用いるゼオライト
は周知のように、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、主
要な化学組成はSiO、Al、HO、Na
O、KO、CaOである。その結晶水は加熱によって
放出されて水蒸気となり、又その結晶水を包蔵している
細孔は結晶水を失っていろいろな気体分子を吸着する。
これは触媒、吸着剤、排水処理剤としてよく用いられて
いる。
【0018】ゼオライトは玄武岩等に天然に広く存在す
るほか、各種のものが合成されている。天然産のものも
構造、組成に応じて各種のものが存在し、たとえばフィ
リップサイト、シャバサイト、モルデナイトなどがある
が、本発明においては特にモルデナイトが好適に用いら
れる。
【0019】このような天然産のモルデナイトは、微細
孔を多数有し、約10〜30%もの吸水能力があり又結
晶水は7〜8重量%有するといわれる。フェノール樹脂
又はフラン樹脂をモルデナイトとともに用いて加熱する
と、フェノール樹脂又はフラン樹脂の縮合により生ずる
10〜20%もの水分はモルデナイトに吸収されて何ら
発泡するに至らないと考えられる。この発泡性を抑制す
る作用を有するゼオライトの効果の詳細はまだよくわか
らないが、縮合により生ずる縮合水は加熱の初期は吸収
能力の大きなゼオライトの微細孔中に一旦吸収され、1
00℃に達すると沸騰して水蒸気となり、これが樹脂に
含まれる溶剤とともに外部に排出して、従来のように溶
剤によるボイド(空隙)を残さない。縮合水の出たあと
のゼオライトの微細孔中にはフェノール樹脂又はフラン
樹脂の固形分が埋めこまれ、それによって何ら発泡又は
空隙を生ずることなくフェノール樹脂又はフラン樹脂を
乾燥硬化させることができると考えられる。
【0020】このようにして前駆体である素材のゼオラ
イト内部はフェノール樹脂又はフラン樹脂により空隙も
なく十分埋めこまれ内蔵しこれはゼオライト外部表面を
被覆するこれら樹脂の固形分と一体になって内外ともに
強固なマトリックスを形成する。
【0021】このゼオライトとしてはたとえば市販の天
然産モルデナイト3000番又は2400番を用いるこ
とが好ましい。夫々の比表面積は順に41000cm2
/g、24000cm2 /gである。天然産と合成のも
のを比較すると天然産の方が耐酸性、耐アルカリ性に優
れ、又コスト面でも安価で有利である。
【0022】フィラーとして用いられるゼオライト微粉
の大きさは通常1〜10μ、好ましくは1〜5μである
が10μ以下、特に1μ以下の細かいものを用いる。
【0023】フィラーとして用いる耐火物微粉としては
ゼオライトの外にモンモリロナイトを用いることができ
る。これは主として粘土状の鉱物であり、シリカ、アル
ミナ、それに少量のマグネシウムを主成分とするもので
ある。その粒度もほぼ上述のとおりである。
【0024】前駆体である素材のこのような耐熱性樹脂
とフィラーとは樹脂の固形分とフィラーが夫々両者の合
計量の10〜90%、10〜90%の範囲の量用いられ
る。特に樹脂(固形物)は合計量の30〜70%、フィ
ラーは30〜70%の範囲の量用いるのが好ましい。こ
の範囲内でフィラーを大量に存在させ樹脂の量を低下さ
せると、樹脂の可燃性ガス(水素、メタン、一酸化炭素
等)発生量も少なくなる。
【0025】このような炭素系繊維と、フェノール樹脂
又はフラン樹脂と、耐火物微粉とから素材をつくるので
あるが、この外、あとの加熱処理時の温度条件に従って
各種結合剤或いは収束剤を用いることができる。前記結
合剤としてはたとえば0.1〜4重量%のホウ酸H
、リン酸ホウ素BPO、酸化チタンTiO又は
酸化ジルコニウムZrO、0.2〜10重量%のリン
酸アルミニウムAlPO、水酸化アルミニウムAl
(OH)又はリン酸ケイ素Si(PO、1〜
10重量%のコロイダルシリカ、シリカゲル、等を用い
ることができる。夫々の量は樹脂とフィラー(耐火物微
粉)とからなるスラリーの固形分の重量に対するもので
ある。これらは一部ガラス化促進剤として働らく外炭素
系繊維の酸化防止、緻密化、強度、耐熱性等の向上に役
立つ。又収束剤は炭素系繊維とフェノール樹脂又はフラ
ン樹脂とのなじみ向上の役を果たすものであり、シラン
とエポキシ樹脂の混合物又はシランとカルボキシメチル
セルロース(CMC)との混合物が用いられる。収束剤
は通常束状の炭素系繊維の製造時に該繊維に対して1〜
2重量%の量添加されている。本発明の素材製造時に不
要のときは予め又はその場でメチルエチルケトン等の溶
剤を用いて除去する。
【0026】樹脂固型物とフィラー又は結合剤(収束
剤)等との配合物は上記の如き基材繊維に対し前記繊維
対上記配合物の比が約1:0.4から1:3の割合で用
いられる。即ち、繊維と上記配合物の合計量に対して上
記配合物は約30〜80%の量で用いられる。
【0027】このような材料から素材をつくるに当って
はまず溶剤にとけたフェノール樹脂又はフラン樹脂にゼ
オライトなどの耐火物微粉からなるフィラーを混合して
スラリーをつくる。前記樹脂と溶剤とは前者40〜50
%、後者50〜60%の割合になっている。溶剤として
は多くメタノールが用いられる。必要に応じて圧力が加
えられる。混合した時又は圧力を加えた時に前記ゼオラ
イト等の耐火物微粉の微細孔中にフェノール樹脂又はフ
ラン樹脂の一部が進入し、内蔵される。これに炭素系繊
維を浸漬する。
【0028】次いで60〜80℃に約1時間加熱して溶
剤をとばす。更に温度をあげて120〜180℃、代表
的には150℃に約1時間加熱して乾燥する。フェノー
ル樹脂又はフラン樹脂は固化し、縮合水が発生する。こ
れが一旦上記微細孔中に入り、蒸発して空隙が生じてこ
のあとに樹脂が入っていく。必要に応じて圧力を加えて
樹脂分の孔中への進入、内蔵を促進させたものを用い加
熱する。
【0029】このようにして得られた素材から本発明の
炭素系複合材料をつくるため、これを不活性雰囲気下、
例えば窒素又はアルゴン雰囲気又は真空下に500〜2
000℃の温度に少くとも30分間、好ましくは1〜6
時間、更に好ましくは2〜4時間加熱する。この加熱時
間は上記温度まで上昇せしめてこの温度に維持する時間
である。この加熱処理のとき必要に応じて圧力(500
kg/m2 以上)が加えられる。この加熱処理により耐
火物微粉の微細孔に内蔵されたフェノール樹脂又はフラ
ン樹脂、又内蔵されない前記樹脂が炭化して前記炭素系
繊維を強化させて強度、耐熱性等にすぐれた炭素系複合
材料を得ることができる。
【0030】この加熱処理時の温度条件によって種々性
能の異なる複合材料を得ることができる。例えば500
〜800℃の比較的低い温度で処理すると、建築材料と
しては十分使用に耐える強度の材料がえられる。この場
合はフェノール樹脂の炭素化のみでは強度が不足するの
でホウ酸、リン酸ホウ素、リン酸アルミニウム等の上記
結合剤を加えることが必要である。この温度の処理では
フェノール樹脂又はフラン樹脂の一部は樹脂のまま残
り、一部は非晶質のグラシックカーボンになっている。
【0031】800〜1500℃の範囲の温度での処理
ではフェノール樹脂又はフラン樹脂はすべて緻密で酸素
を通しにくい非晶質のグラシックカーボンになって炭素
系繊維は強化されその酸化も防止されて強度そして弾性
率等の向上した複合材料がえられる。又硬度もでてもろ
くなるがゼオライト等の粉末の存在によりこれがクッシ
ョン材の作用をして柔軟性乃至可撓性が向上する。因み
にグラシックカーボンは引張り強度が11kg/m
2 、引張り弾性率が2800kg/mm2 、これに比
してフェノール樹脂のそれらは順に5〜6kg/m
2 、300kg/mm2 であり、グラシックカーボン
に炭化することによって強度、弾性率は著しく向上す
る。尚フェノール樹脂又はフラン樹脂の加熱時炭化率乃
至残炭率は約60%であり他の合成樹脂に比して著しく
高く、少量の使用で多く炭化して有効に働らく。又この
樹脂は加熱時のガス発生量が少なく、炭化繊維とのなじ
みも比較的良好である。一方ゼオライトは1000℃で
溶融しはじめ1300℃以上でガラス質となり炭素と複
合して強化する。この温度での処理の際、上記結合剤は
必要ないが800〜1000℃の範囲の温度の場合は結
合剤は用いる方が良好である。この温度範囲での処理が
最も好ましい。
【0032】又1500〜2000℃の比較的高い温度
では上記樹脂はすべて柔らかくて安定した結晶質のグラ
ファイトカーボンになり、耐摩耗性、柔軟性等に富む複
合材料がえられる。しかし高価であり、特殊な用途に限
られる。この高温処理のときは炭素系繊維と樹脂分との
ぬれ性の改善のためシランを含む前記収束剤を少量用い
ることが必要である。
【0033】尚このようにフェノール樹脂又はフラン樹
脂は500℃以上の加熱により炭素化するときその重量
が60〜65%となる。即ち35〜40重量%減量する
ので、生成する複合材料は20〜25%の空隙を生ずる
こととなるので加熱時に加圧するか、予め処理温度にて
溶融し空隙をうめる必要がありこのとき冷却後収縮した
り膨脹したりしない範囲の量の耐火物微粉を予めスラリ
ー中に配合するものとする。
【0034】このようにしてえられた炭素系複合材料は
耐火物微粉へ内蔵された樹脂と内蔵されない樹脂が炭化
して強化され又炭素繊維の酸化も防止されて曲げ強度、
引張強度或は耐熱性も良好で特に各種建築材料に好適に
用いることができる。
【0035】一般に本発明にかかる炭素系複合材料は1
0〜30cmの厚さのコンクリート構造物中に埋置した
場合、この構造物が1000℃以上に加熱された時も燃
焼も有害ガスの発生もなく、1000℃まで強度を維持
できる。
【0036】カーボン繊維は大気中で300℃より酸化
が進行するが、本発明の緻密なマトリックスによって大
気中で酸化せず、通常品(1000℃熱処理品)は建築
用としては最高耐熱性は1400℃までで充分であり、
高温用の組成としては2000℃の耐熱性を有する。
【0037】しかも本発明の炭素系複合材料は耐蝕性に
富み、又比重1.4〜2.5と軽量にしてしかも従来の
材料よりも強度大であり、工場での量産も可能である。
強度は引張、曲げ、圧縮共に大で、比強度は鉄鋼の4〜
6倍に達する。
【0038】このように本発明の炭素系複合材料は耐熱
性、耐蝕性、強度のいずれにもすぐれ、コンクリート構
造物補強用鉄筋、板状構造物、鉄骨の代替材料として更
には非構造用たる内装材、外装材としても有効に用いる
ことができるのである。上記コンクリート構造物として
は各種用途のものがあげられ、たとえば建物基礎、柱、
床などの一般建築用、地中くい、建物基礎、外壁、柱
床、地下室などの高層ビルジング用によく用いることが
できる。勿論これら建築構造物用としてのみではなく、
たとえば、道路、トンネル、石油基地基礎、空港滑走
路、駅プラットフォーム、港湾コンクリート護岸等の土
木構造物、船舶、宇宙材料その他にも本発明の複合材料
を採用することができる。
【0039】本発明で用いられる繊維、樹脂及び無機質
フィラー(ゼオライト)の代表的な明細を示せば次のと
おりである。その多くは以下の実施例で用いられる。
【0040】
【表1】 表 2 ・カーボン繊維 繊維径 7μ 比 重 1.77 引張強度 490kg/mm2 ロービング本数 12,000本(単繊維) ・ゼオライト(天然産モルデナイト含有水分7.2%) 成 分 SiO 71 Al 10 CaO 2 NaO 0.8 KO 2.3 Fe 2.5 P 0.4 MgO − 融 点 約800℃ 比表面積 24,000〜41,000cm2
g pH 7.6 耐酸・耐アルカリ性 有 粒子形状 微細孔を有する 収容する空隙内の量 10〜30%収容 ゼオライト粒度分布 粒 度 試 料 No. (μ) −10 100 92.5 −8 99.5 88.5 −6 99.0 81.5 −5 98.5 78.0 −4 95.0 72.5 −2 91.0 57.5
【0041】
【実施例】実施例1 まず下記(2)のようにフェノール樹脂(前記表1のフ
ェノール樹脂D)と上記表2のゼオライトとのスラリー
をつくり、そのスラリーを混合して前記フェノール樹脂
を前記ゼオライト試料の微細孔中に内蔵せしめる。次
に下記(1)の長炭素繊維を上記スラリーに浸漬した後
約70℃の温度にて1時間加熱して溶剤をとばし、次い
で150℃にて1時間加熱乾燥して前駆体たる素材をつ
くる。この素材を下記(3)のように不活性雰囲気(窒
素雰囲気)の容器に入れ電気炉にて1000℃に3時間
加熱して炭素系複合材料を得た。 (1)炭素繊維 東レ株式会社製T700S(PAN系)を用いその炭素
繊維に用いられていた収束剤はメチルエチルケトンにて
除去し使用した。
【0042】・密 度 1.82g/cm3 ・引張強度 490kg/mm2 ・1束ロービング 12,000本 ・繊維径 7μφ ・1束ロービングの断面積より引張理論強度 210k
g/束 (2)前駆体素材組成(wt%) フェノール樹脂固型分66wt%とゼオライト微細孔に
フェノール樹脂を内蔵するゼオライト固型分33wt%
の割合のスラリーに上記炭素繊維を浸漬後乾燥し、下記
組成の前駆体素材を得た。
【0043】 ゼオライト微細孔 フェノール テストNo. にフェノール内蔵 D 長炭素繊維 のゼオライト粉末 樹脂固型分 1 20 40 40 (3)炭素系複合材料 上記前駆体素材を鉄製容器中に入れ、まず真空ポンプに
て真空圧600mmHgとした後、Nガスに置換し、電気
炉中で1000℃にて3時間熱処理をした。その結果フ
ェノール樹脂とゼオライト微細孔中内蔵されたフェノー
ル樹脂は炭素化し、大部分はグラシックカーボンとな
り、マトリックス中のゼオライト粉(内蔵炭素)は、グ
ラシックカーボンと複合材料を構成し長繊維を強化し
た。 ○組成(wt%) C内蔵ゼオライト 炭 素 炭素繊維 23 24 53 ・強度試験結果 引張試験 140kg/mm2 曲げ試験 100kg/mm2 圧縮試験 70kg/mm2 ○耐熱試験 試験片(7μφ単繊維12,000本の束状繊維を用い
た炭素系複合材料)を長さ700mm、加熱部分が300
mmの円形の電気炉にて400℃に30分間加熱しながら
インストロン試験機にて引張試験した結果、139kg/
mm2 の強度を有していた(試験強度保持率は常温強度の
98.5%)。
【0044】実施例2 実施例1の長炭素繊維(収束剤は含まず)を用い、まず
実施例1に示す仕様で前駆体素材を作成し、鉄製箱に試
験体の素材を入れNガスにて不活性雰囲気とし、その
容量を電気炉に入れ800℃にて5時間熱処理をなし本
発明の炭素系複合材料を得た。 ・前駆体素材組成(wt%) ゼオライト中の微細孔 フラン樹脂 No. にフラン樹脂内蔵の 2A 長炭素繊維 HBO ゼオライト 固 型 分 2 16.4 38.1 44.4 1.1 浸漬製造時、フラン樹脂中の固型分60wt%対12.
5wt%のメタノールにてフラン樹脂をうすめたスラリ
ーとした。 ・炭素系複合材料組成(wt%) 炭素内蔵ゼオライト 炭 素 炭素繊維 B 19.7 27.0 52.2 1.1 ・強度試験結果 引張試験 90kg/mm2 曲げ試験 70kg/mm2 圧縮試験 60kg/mm2 実施例3 実施例1の長炭素繊維を用い、スラリー組成、フェノー
ル樹脂固型分44.6wt%、ゼオライト微細孔にフェ
ノール樹脂内蔵のゼオライト(別途制作のもの)41.
6wt%、リン酸アルミニウム13.8wt%のスラリ
ーに炭素繊維を浸漬し、60〜80℃、1hr、150℃
にて1hr乾燥し、前駆体素材を得た。 ・前駆体素材組成(wt%) 別途製作のゼオライ ト微細孔にフェノ フェノール リン酸アル No. ール樹脂内蔵のゼオ E 長炭素繊維 ライト 樹脂固型分 ミニウム 3 17 39.5 37.9 5.6 この前駆体素材を鉄製箱に入れ、真空圧500mmHgと
し、Nにて置換後電気炉中に1000℃に加熱1時間
後取出し本発明品を得た。 ・炭素系複合材料組成(wt%) C内蔵ゼオライト 炭 素 炭素繊維 リン酸アルミニウム 19.6 28.5 45.5 6.4 ・強度試験結果 引張試験 120kg/mm2 曲げ試験 90kg/mm2 圧縮試験 70kg/mm2 実施例4 実施例1に示す前駆体素材(炭素繊維は収束剤(シラン
+エポキシ樹脂)を含んだもの)をアルミナ製函に入
れ、真空吸引減圧しNガス置換後、電気炉中にて20
00℃で3時間加熱処理後、冷却した。加熱によるフェ
ノール樹脂の炭化による収縮孔を充填するためにスラリ
ー(組成はフェノール樹脂80wt%、ゼオライト20
wt%)に浸漬し炭素系複合材料にできた収縮孔に充填
した後再び60〜80℃、1hr 150℃にて1hr乾燥
後、上記仕様にて再び2000℃にて3時間加熱処理を
なし本発明品炭素系(グラファイト系)複合材料を得
た。
【0045】前駆体素材中のゼオライト微細孔に炭素を
内蔵したゼオライトは完全にガラス化しガラス球とな
り、内蔵した炭素はゼオライトのガラス化とは反応せ
ず、外部の炭素と合体し、炭素とガラス球のマトリック
スにて炭素系の複合材料を構成し、長炭素繊維の高温酸
化を防止し、炭素繊維を強化した。 ・強度試験結果 引張試験 100kg/mm2 曲げ試験 90kg/mm2 圧縮試験 80kg/mm2 実施例5 実施例1に示す炭素繊維を用い、下記前駆体素材をまず
作成した。
【0046】即ちフェノール樹脂液(固形分46wt%)
330gとゼオライト50gを混じスラリーとし圧力容
器に入れ5気圧の加圧を加えゼオライトの微細孔にフェ
ノール樹脂を圧入した後、減圧し、更に上記フェノール
樹脂液320gを加えたスラリーに炭素繊維を浸漬した
後、60〜80℃にて1時間加熱し、更に150℃にて
1時間加熱乾燥し前駆体素材を得た。
【0047】尚ゼオライト50gは、シランカップリン
グ10gと60gのメタノールでコーティングし微細孔
にフェノール樹脂が入り易いように前処理した。 ・炭素系複合材料 素材を鉄製容器に入れ、その容器中を真空減圧にした
後、Nガスに置換し不活性雰囲気とした。電気炉にそ
の容器を入れ1000℃にて1時間加熱し炭素系複合材
料を得た。 ・組成(wt%) ゼオライト微細孔に 炭 素 C内蔵のゼオライト (グラシックカーボン) 炭素繊維 6 21 73 ・強度試験結果 引張試験 80kg/mm2 曲げ試験 70kg/mm2 圧縮試験 50kg/mm2 実施例6 実施例1に示す炭素繊維を用い、前駆体素材を作成し
た。 ・前駆体素材組成(wt%) フェノール樹脂をモンモ フェノール リン酸アルミ 炭素繊維 リロナイトの微細孔に内蔵 したモンモリロナイト 樹脂固型分 ニウム粉末 20 60 10 10 ・炭素系複合材料組成(wt%) 素材を鉄製容器に入れ、その容器中をNガスの不活性
雰囲気とした。電気炉中に入れ500℃にて4時間加熱
処理し炭素系複合材料を得た。
【0048】 C内蔵モン フェノール炭素化 リン酸アル 炭素繊維 モリロナイト の炭素 ミニウム 21 61.5 9.5 8.0 ・炭素系複合材料性能 試験体を作り、測定した結果下記の通り、引張試験 1
00kg/mm2 、曲げ試験 55kg/mm2 、圧縮
試験 50kg/mm2
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中 辻 照 幸 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素系繊維と、フェノール樹脂又はフラン
    樹脂と、微細孔を有し該微細孔に前記樹脂の一部を内蔵
    させた耐火物微粉とからなる素材を、不活性雰囲気にて
    500〜2000℃の温度に30分以上加熱し、それに
    より前記耐火物微粉の微細孔に内蔵された及び内蔵され
    ない樹脂を炭化させて前記炭素系繊維を強化させてなる
    炭素系複合材料。
  2. 【請求項2】前記炭素系繊維は炭素系の長繊維束状繊
    維、編物状繊維又は短繊維である請求項1記載の材料。
  3. 【請求項3】耐火物微粉はゼオライト又はモンモリロナ
    イトの微粉である請求項1記載の材料。
  4. 【請求項4】不活性雰囲気は窒素雰囲気、アルゴン雰囲
    気又は真空減圧下である請求項1記載の材料。
  5. 【請求項5】不活性雰囲気での加熱が500〜800℃
    の範囲の温度で結合剤の存在下で行なわれる請求項1記
    載の材料。
  6. 【請求項6】不活性雰囲気での加熱が800〜1500
    ℃の範囲の温度で行なわれる請求項1記載の材料。
  7. 【請求項7】不活性雰囲気での加熱が1500〜200
    0℃の範囲の温度で収束剤の存在下で行なわれる請求項
    1記載の材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100918686B1 (ko) * 2008-03-21 2009-09-22 국방과학연구소 단섬유형 내염섬유로부터의 탄소섬유 방적사 직물의제조방법

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KR100918686B1 (ko) * 2008-03-21 2009-09-22 국방과학연구소 단섬유형 내염섬유로부터의 탄소섬유 방적사 직물의제조방법

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