JPH06141844A - 付着性動物細胞の培養基体及び培養モジュール - Google Patents

付着性動物細胞の培養基体及び培養モジュール

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JPH06141844A
JPH06141844A JP32858892A JP32858892A JPH06141844A JP H06141844 A JPH06141844 A JP H06141844A JP 32858892 A JP32858892 A JP 32858892A JP 32858892 A JP32858892 A JP 32858892A JP H06141844 A JPH06141844 A JP H06141844A
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culture
fiber
cells
cell
medium
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JP32858892A
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Shigeru Matsuo
松尾  繁
Masato Nishimura
正人 西村
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 代謝生成物の生産を効率的に行うことの可能
な付着性動物細胞の培養基体及び培養モジュールを提供
する。 【構成】 高融点ポリエステル繊維と低融点ポリエステ
ル繊維とからなる不織布を蒸留水で洗浄し次いで加熱滅
菌処理を行なった。これをアテロコラーゲン水溶液に浸
漬した後乾燥し、次いでヘキサメチレンジイソシアネー
トによる不溶化処理を施し風乾した。この培養基体を平
板型バイオリアクターにセットし、燐酸緩衝液中で加熱
滅菌処理を施した後、培地として子牛血清とグルコース
とを含む水溶液をバイオリアクターのセル内に供給し予
備処理を行なった。次いで、この培地を除去した後、ヒ
トレニンを産生するγCHOAr2細胞を含む細胞接種
溶液をバイオリアクターのセル内に導入して細胞を培養
床に付着させた。そして培地として子牛血清とグルコー
スとを含む水溶液を循環させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基本的には付着性動物
細胞の培養基体に関するものであり、特に付着性動物細
胞の高密度培養を実施し得る培養基体及びそれを用いた
培養モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種動物細胞を培養し、その増殖
過程において動物細胞が産生する代謝生成物を取得し、
これを医薬品として実用化することが行なわれており、
このような生体外における動物細胞の培養による代謝生
成物の生産は、最近特に注目を浴びている。かかる生産
においては、代謝生成物を選択的かつ連続的、効率的に
生産することが重要であり、現在までに多くの各種培養
技術が開発され、発表されている。
【0003】上記動物細胞培養技術を大別すると、動物
細胞自体を培地の水溶液中に浮遊させた状態で増殖させ
る”浮遊増殖法”、動物細胞をアクリル酸エステル類等
の重合体やデキストラン、セルローズ、キチン等からな
る皮膜形成物質による多孔性皮膜で被覆、包埋してマイ
クロカプセルとし、これを培地の水溶液中に浮遊させた
状態で増殖させる”マイクロカプセル増殖法”、動物細
胞をガラスやセラミック等からなる径200μm程度の
マイクロビーズに吸着固定化し、これを懸濁状態で増殖
させる”マイクロビーズ増殖法”、細胞を固定した多孔
性担体上に付着させ、担持し、この状態で培地の水溶液
を供給して動物細胞を増殖させる”付着担持増殖法”に
分類することができる。
【0004】しかし”浮遊増殖法”、”マイクロカプセ
ル増殖法”或いは”マイクロビーズ増殖法”では、均一
な状態で浮遊懸濁できる動物細胞の濃度はせいぜい10
g/l程度に過ぎず、かつ培地水溶液や酸素の供給に伴
う液の流動により動物細胞やマイクロカプセルにかかる
機械的な歪や動物細胞、マイクロカプセル同士の接触や
衝突によってそれらが摩擦し、細胞やマイクロカプセル
自体が摩耗したり、それらが担体から剥離したり、時に
は失活が生ずるという問題があった。また培養系に絶え
ず新鮮な培地を供給し、細胞培養阻害物質を系外へ排出
し、有用代謝生成物を連続的に取得することも困難であ
り、これらの方法は、動物細胞の高密度培養には適して
いなかった。
【0005】また、付着性動物細胞の培養基体として例
えばシャレー、ガラス瓶、ローラボトル、スピンナフラ
スコ等の培養用容器、セルローズ多孔体、コラーゲンや
ポリアクリルアミド等のゲル、ポリウレタンフォームな
どの多泡体や中空糸を培養基体とする”付着担持増殖法
の”場合は、細胞の培養や増殖がその器壁や管外壁の表
面に限定されてしまうので、その培養に役立つ面積は小
さく、かつ細胞の増殖に必要な培地や酸素も細胞塊(増
殖体)表面からのみ供給されるので、細胞が増殖するに
つれて、細胞塊の内部まで充分に栄養分や酸素を供給す
ることが困難となり、培養基体付近の細胞は死滅して、
培養基体から剥離してしまうという問題があった。また
このような培養基体を使用する培養系では、培地の新鮮
なものへの交換、細胞培養に伴い生成する細胞培養阻害
物質の系外への排出、及び産生する有用代謝生成物の連
続的取得が比較的困難であった。
【0006】上述の種々の問題点を解消する目的で、本
発明者は先に特開平4−63584号公報においてバイ
オリアクター装置の技術を開示した。このバイオリアク
ター装置は付着担持増殖法に属するものであり、代謝生
成物を選択的にかつ連続的、効率的に生産することが可
能である。この発明においては、この目的を達成するた
め、装置の構成に特徴を凝らすと共に、この装置内に配
置し、動物細胞を付着させる培養基体(担体)に工夫が
なされている。即ち、当該発明においては、例えば不織
布の網状をなす繊維にアテロコラーゲン、光架橋反応基
を有するポリビニルアルコール、ポリペプチド等のごと
き動物細胞に対して高い親和性と付着性を示す培養床の
層を設け、これを動物細胞の培養基体としている。
【0007】上記技術の他、動物細胞培養基体として不
織布を用いた例としては、WO88/02398号公
報、特開昭64−34276号公報及び特開平2−15
4685号公報がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開平4−63
584号公報の技術は、代謝生成物を選択的かつ連続的
に効率よく生産できる優れた装置であるが、培養基体を
構成する固定床に使用する多孔性担体については多くを
開示していない。また、WO88/02398号公報、
特開昭64−34276号公報及び特開平2−1546
85号公報の技術では、不織布に用いる繊維の太さは1
デニール(繊維の比重を仮に1としたとき、約0.6μ
m)以下と非常に細かく、従って、繊維径や空隙率及び
厚さ等が細胞の付着・培養に不適当であったり、また不
織布素材及び繊維表面の極性や親水性或いは平滑性が不
適切であるために繊維表面に細胞を付着・培養するため
の培養床の塗布が不均一になったりして、細胞の高密度
培養のための目的を十分に達成することは不可能であっ
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決すべく本
発明は、繊維集積体である固定床、及び該固定床の繊維
表面に設けられた付着性動物細胞の培養床からなる培養
基体の固定床を、互いに熱融着性のある高融点繊維80
乃至95重量%と低融点繊維5乃至20重量%とが互い
に絡み合い接触する繊維同士が熱融着されて形成され
た、繊維表面積10乃至30m2/m3、空隙率90%以
上の繊維集積体とし、該高融点繊維及び低融点繊維は、
いずれも繊維径が20乃至60μmかつ耐熱性120℃
以上であるようにした。
【0010】該培養床は、コラーゲン、ゼラチン、フィ
ブロネクチン、ラミニン、レクチン、フィブリン及びフ
ィブリノーゲンからなる群から選択された少なくとも1
つを塗布した後、不溶化処理を施すことにより形成する
ことが好ましい。
【0011】また本発明の培養モジュールは、シート状
に形成された前記本発明の培養基体と、同じくシート状
に形成された隔離材とが重ね合わされ、この重ね合わせ
体が平板状又は渦巻き状に多数積層された積層体を形成
している。
【0012】本発明者らは、前記従来技術の有する問題
点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上述のごとき動
物細胞を高密度に培養することが可能な基体を作成する
ことに成功し、従来の静置培養や多孔性担体による培養
に比べて、数倍乃至数十倍の高効率な生物化学的反応を
行わせることを実現し、本発明をなすに至ったものであ
る。
【0013】本発明に係る繊維集積体である固定床は、
互いに熱融着性のある高融点繊維80〜95重量%、好
ましくは90〜95重量%と、低融点繊維5〜20重量
%、好ましくは5〜10重量%とが互いに絡み合って形
成された、繊維表面積10〜30m2/m3、好ましくは
20〜30m2/m3、空隙率90%以上、好ましくは9
0〜95%のものである。また厚みが10mm以下のシ
ート状とすることも好ましい。このような条件を満たす
繊維集積体は、新鮮な培地や酸素の基体内部までの均一
な供給と拡散に適していて、かつ高密度培養に適切な多
孔性構造を有している。
【0014】該高融点繊維及び低融点繊維の「高融点」
及び「低融点」とは、互いに相対的な融点であって、高
融点繊維と低融点繊維との融点の差が80〜100℃あ
ることを意味する。このような繊維を絡み合わせて低融
点繊維のみが軟化する温度で熱融着すれば、繊維同士は
接着し合うが集積体全体としては軟化することがないた
め、強度が高く、また上記の高い空隙率を有する繊維集
積体を形成することができる。
【0015】該繊維集積体に用いる繊維としては、繊維
径が20〜60μm、好ましくは30〜60μm、耐熱性
120℃以上のものであり、更に表面が平滑で単繊維で
あることが好ましく、またオートクレーブによる滅菌処
理が可能な耐熱性を有し、かつ表面に形成させる培養床
と親和性を有し、均一に塗布できるものであればよい。
このような条件を満たす繊維としては、ポリエステル、
ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リスチレン、レーヨン、メチルメタクリレート、ポリス
ルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンス
ルホキシド、ポリカーボネート、ポリフォスファゼン、
ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、親水性ポリオレフィ
ン類等、及びこれらをプラズマ処理するか又は陰イオン
性の親水特性を付与した合成繊維、或いは不溶化処理し
て耐熱性を持たせたコラーゲン、キトサン、キチン、セ
ルローズ、ポリアミノ酸等の天然繊維が挙げられる。
【0016】上述の繊維を用いて形成した繊維集積体を
固定床に使用した場合には、繊維表面の曲率が動物細胞
の付着、伸展、増殖に適していて、該細胞は先ず繊維の
左右両端に付着固定化された後、培養の進行と共に次第
に繊維表面に沿って中央部に伸展し、繊維周辺に巻き付
くような形になり、やがて繊維全体が増殖した細胞で覆
われるようになる。そして更に増殖が進行すると、細胞
が幾重にも積層した状態で増殖が認められるようにな
る。
【0017】該繊維集積体には、コラーゲン、ゼラチ
ン、フィブロネクチン、ラミニン、レクチン、フィブリ
ン及びフィブリノーゲンからなる群から選択された少な
くとも1種類のタンパク質を塗布し、これを不溶化処理
して培養床を形成する。該タンパク質は0.1重量%以
下の濃度の水溶液として塗布することが好ましく、固定
床を該塗布溶液に浸漬した後、真空脱気して繊維集積体
内部に存在する気泡を完全に除去し、この溶液を繊維の
全表面と接触させて均一に塗布する。その後、余分の塗
布溶液は除去し、クリーンベンチ(無菌及び無塵下で処
理可能な装置)内で空気乾燥する。次いでジアルデヒ
ド、ジイソシアネート等の架橋剤と反応させたり、紫外
線や電離性放射線を照射して架橋し不溶化処理する。こ
のような不溶化処理により、培養床と固定床との密着性
が増大すると共に、培養床の耐熱性も向上してオートク
レーブによる熱処理にも耐えることができるようにな
る。このような培養床の厚さは、約1〜10μmが好ま
しい。
【0018】このような繊維集積体を用いる固定培養床
では、細胞は培養床に強く付着固定されているので、液
の流動による細胞への影響や、細胞相互の接触による細
胞の失活も少なくかつ潅流培養法により絶えず新鮮な培
地や酸素が細胞に供給されると共に、生成する細胞増殖
阻害物質を連続的に系外に取り除きつつ目的の代謝生成
物を取得できるという特徴を有する。
【0019】このようにして形成した培養基体は、前記
のように厚さ10mm以下のシート状に形成し、同じく
シート状に形成した隔離材と重ね合わせ、この重ね合わ
せ体を更に平板状又は渦巻き状に多数重ねた、積層体型
培養モジュールとすることが好ましい。なお、上記隔離
材は、積層する培養基体を微小な間隔をおいて配置し、
供給される動物細胞や培養液の供給流路を形成させる機
能を有している。該隔離材としては、0.2〜2mm程
度の厚さの粗大な間隙や孔を有するものがよく、例えば
粗大孔径の多孔性フィルムやネット等の形態のものが好
ましい。該積層型培養モジュールは、例えば、特開平4
−63584号公報に詳述されるバイオリアクター装置
に組み込んで好適に使用することができる。
【0020】本発明の前記培養床を用いて培養される動
物細胞は、目的とする代謝生成物によって自由に選択す
ることができ、その例としてはT細胞、B細胞、キラー
細胞、ヒト腫瘍細胞、繊維芽細胞、リンパ球、リンパ芽
細胞、EBウイルス変異細胞、肝細胞、腎細胞、表皮細
胞、骨髄細胞、マクロファージ、血管内皮細胞、平滑筋
細胞、肝実質細胞、膵β細胞、上皮細胞、小腸細胞、乳
線上皮細胞、唾液線細胞、、甲状線細胞、生体由来骨格
筋細胞、ヒト皮膚細胞等が挙げられる。これらの細胞は
水等の溶媒に対して1〜1、000mg/l程度の濃度
に混合、分散して前記培養床の塗布された繊維集積体に
付着させる。この動物細胞を含む液体にはその他培地と
して例えば各種アミノ酸、ビタミン類、各種糖類が添加
されてもよい。
【0021】また、該動物細胞に供給する培養液の例と
しては各種の必須アミノ酸、各種ビタミン類、グルコー
ス等の糖類、牛胎児血清培地、無血清培地、ヒト血清培
地等の血清の成分が挙げられ、これらは1〜100g/
l程度の濃度の水溶液の形態で供給することが好まし
い。更に、該動物細胞に供給する基質は、目的とする代
謝生成物によって自由に選択することができるが、例え
ば各種必須アミノ酸、各種ビタミン類、グルコース等の
糖類、血清の成分が挙げられ、1〜100g/l程度の
濃度の水溶液の形態で供給することが好ましい。該培養
成分と基質とは、同一物質を使用することもあるが、培
養成分は動物細胞を増殖させるためのものであり、一方
基質は動物細胞から目的に応じた代謝生成物を得るため
のものである点が異なる。
【0022】このようにして培養床から生成することの
できる代謝生成物の例としては、治療用ワクチン、イン
タフェロン、モノクローナル抗体、癌抗原、ホルモン、
細胞増殖因子、リンホカイン、各種の酵素が挙げられ、
これらは排出液から抽出されて精製される。
【0023】
【作用】本発明の付着性動物細胞の培養基体は、特定の
太さ及び耐熱性を有する、高融点及び低融点の2種類の
繊維を用いて特定の表面積及び空隙率の繊維集積体から
なる固定床を備えているため、繊維表面の曲率が動物細
胞の付着、伸展、増殖に適していて、該細胞は先ず繊維
の左右両端に付着固定化された後、培養の進行と共に次
第に繊維表面に沿って中央部に伸展し、繊維周辺に巻き
付くような形になり、やがて繊維全体が増殖した細胞で
覆われるようになる。そして更に増殖が進行すると、細
胞が幾重にも積層した状態で増殖が認められるようにな
る。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて詳細にかつ具
体的に説明する。実施例1 繊維径55μmの高融点ポリエステル繊維(融点220
℃)を90重量%、及び繊維径39μmの低融点(融点
120℃)ポリエステル繊維を10重量%含有する繊維
集積体からなり、空隙率90%以上、繊維表面積30m
2/m3、厚さ6mmに形成したポリエステル不織布を蒸
留水(液温60℃)により洗浄し、不織布から溶出物質
が認められなくなるまで行なった後、これをエタノール
に浸漬し、次いで、オートクレーブ(温度121℃、圧
力2Kg/cm2)により滅菌処理を行なった。
【0025】このようにして十分洗浄、滅菌した不織布
を、無菌状態で精製されたパイロジェンフリー(即ち、
エンドトキシン等の発熱物質なしとの意)のアテロコラ
ーゲンの水溶液(0.03重量%)中に浸漬し、かつ減
圧下で1時間処理して不織布内部の気泡を完全に除去す
ると共に、繊維の全表面にアテロコラーゲンを均一に塗
布した。しかる後、不織布を取り出し、水溶液を搾り取
った後、クリーンベンチ内空気乾燥した。次いで、ヘキ
サメチレンジイソシアネートのメタノール溶液(濃度1
重量%以下)中に浸漬し、温度30℃で5〜6時間架橋
反応させて不溶化処理を施した。その後、メタノールに
より数回洗浄して未反応のヘキサメチレンジイソシアネ
ートを完全に除去した後、風乾した。
【0026】このようにして作成した細胞培養基体1枚
〔形状:縦5×横5×厚さ0.6(cm)〕を平板型バイ
オリアクター〔内部形状:縦5×横0.7×高さ5(c
m)〕にセットし、蒸留水と燐酸緩衝液で3回づつ洗浄
した後、燐酸緩衝液中でオートクレーブ(温度121
℃、圧力2Kg/cm2)により15分間滅菌処理を施
した。次いで燐酸緩衝液をできる限り除去した後、培地
として1g/lのグルコースを含む子牛血清10重量%
水溶液60mlをバイオリアクターのセル内に供給し、
1夜予備処理を行なった。次いで、この培地を除去した
後、ヒトレニンを産生するγCHOAr2細胞を3×1
5セル/ml含む細胞接種溶液をバイオリアクターの
下部よりセル内に導入して培養床を細胞接種溶液に完全
に浸漬し、12時間静置して細胞を培養床に付着させ
た。
【0027】該細胞を付着させた後。予め用意した培地
タンクから培地として1g/lのグルコースを含む子牛
血清5重量%水溶液を、最初の50時間は6.6ml/
時間低速流で循環させた。その後は1.7g/lのグル
コースを含む子牛血清5重量%水溶液を33ml/時間
という潅流速度で供給し、細胞培養・増殖によるグルコ
ース濃度の低下に伴って凡そ20〜30時間毎に新鮮な
培地40mlを添加して交換しながら細胞培養を170
時間行なった。最終のグルコース消費速度は0.96g
/l/日で、細胞濃度は2.53×107セル/g担体
に達した。
【0028】上記の結果から、本発明に基づく細胞培養
基体である該不織布は、細胞に広い付着面積を提供する
だけでなく、細胞同士の接触による増殖阻害を防止し、
かつ剪断力から細胞を保護する役割もあって、細胞の高
密度の培養ができることが確認された。
【0029】実施例2 実施例1で用いたものと同じ構成成分からなる不織布
で、繊維の充填密度の異なる表面積10m2/m3、20m
2/m3の2種類の不織布からなる固定床に実施例1と同じ
方法で培養床を形成させた後、細胞培養を170時間行
なった。最終の糖消費速度は0.90〜0.96g/l
/日で、細胞濃度は、それぞれ5.60×105セル/
ml、2.60×106セル/mlであり、不織布固定
床の表面積が大きいほど、細胞濃度は高く、細胞の高密
度・高倍率培養が実現した。
【0030】実施例3 実施例1で用いたものと同じ不織布固定床上にアテロコ
ラーゲン水溶液(0.1%)を塗布し、不溶化処理を施
して形成させた培養床をリアクター内にセットし、細胞
接種を行なった。最初の80時間は1g/lのグルコー
スを含む子牛血清5重量%水溶液の培地を36ml/時
間の流速で潅流し、その後段階的に潅流速度を72ml
/時間、144ml/時間、264ml/時間に増加さ
せた。また供給する培地のグルコース濃度も1.7g/
lに増加させて500時間培養を行ない、担体上の最終
細胞濃度は、3.14×107セル/g担体に達した。
またアテロコラーゲン(0.03%)を塗布した培養床
について、同様の方法で、更に潅流速度342ml/時
間まで増加させて600時間培養したところ、最終のグ
ルコース消費速度は、1.17g/l/日で、担体上の
最終細胞濃度は4.83×107セル/g担体になっ
た。潅流培養による培養時間および培地循環速度の変化
に伴うグルコース消費速度の変化は図1に示した通りで
あった。
【0031】実施例4 実施例1と同じ方法によって作成した培養床〔形状:幅
5×長さ30×厚さ0.6(cm)〕に数メッシュのナイ
ロン製スクリーンを積層して渦巻き状に巻き、円筒状の
培養基体モジュールを作成した。これを円筒状のリアク
ター〔形状:直径5×高さ5(cm)〕にセットし、培養
床にリアクターの下部から実施例1と同濃度の細胞接種
溶液を導入して、動物細胞を培養床に付着させた後、培
地をリアクター底部側面から放射状に(求心的に)中央
に向かって培養床を貫通するように供給して動物細胞の
培養を行なった。
【0032】培地の子牛血清濃度は10重量%から順次
減らして2重量%位まで順次変化させ、かつグルコース
濃度も1g/lから細胞の増殖と共に1.7g/lまで
順次増加させた。培地の潅流量は350ml、潅流流量
は44.3ml/時間で、384時間潅流し培養を行な
った。培地入口のpHは7.0、酸素濃度の下限値は6
ppmに設定し、温度37℃、培養液中の炭酸ガス濃度
は5%になるように調整した。担体上の最終細胞濃度は
5×107セル/g−担体(3.76×106セル/m
l)となり、最終生成物であるレニン活性(即ち、レニ
ンのアンギオテンシンIへの変換量)は54.7(10
3unit/時間)の値を示した。この量は、静置培養
によって全量5ml、72時間培養した場合のレニン活
性の約43倍の生産性であり、本発明に基づく培養床が
高性能であることが確認された。
【0033】
【発明の効果】本発明の付着性動物細胞の培養基体及び
これを用いた本発明の積層型培養モジュールは、細胞の
付着、伸展、培養に適した繊維径と多孔性構造を有する
繊維集積体を使用し、該繊維集積体を構成する繊維表面
上に、動物細胞に親和性を持つタンパク質を塗布し不溶
化処理した培養床としたため、細胞の付着、伸展、培養
を従来にない高い効率で行なうことができ、従って細胞
の高密度、高倍率増殖により所望の代謝生成物を効率良
く生産することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に基づく、潅流培養による培養時間およ
び培地循環速度の変化に伴うグルコース消費速度の変化

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維集積体である固定床、及び該固定床
    の繊維表面に設けられた付着性動物細胞の培養床からな
    る培養基体において、該固定床は、互いに熱融着性のあ
    る高融点繊維80乃至95重量%と低融点繊維5乃至2
    0重量%とが互いに絡み合い接触する繊維同士が熱融着
    されて形成された、繊維表面積10乃至30m2/m3
    空隙率90%以上の繊維集積体であり、該高融点繊維及
    び低融点繊維は、いずれも繊維径が20乃至60μmか
    つ耐熱性120℃以上であることを特徴とする付着性動
    物細胞の培養基体。
  2. 【請求項2】 該培養床は、コラーゲン、ゼラチン、フ
    ィブロネクチン、ラミニン、レクチン、フィブリン及び
    フィブリノーゲンからなる群から選択された少なくとも
    1つを塗布した後、不溶化処理を施すことにより形成さ
    れたものであることを特徴とする請求項1に記載の付着
    性動物細胞の培養基体。
  3. 【請求項3】 シート状に形成された請求項1に記載の
    培養基体と、同じくシート状に形成された隔離材とが重
    ね合わされ、この重ね合わせ体が平板状又は渦巻き状に
    多数積層された積層体を形成していることを特徴とす
    る、付着性動物細胞培養のための培養モジュール。
JP32858892A 1992-11-13 1992-11-13 付着性動物細胞の培養基体及び培養モジュール Withdrawn JPH06141844A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004018615A1 (ja) * 2002-08-23 2004-03-04 Asahi Medical Co., Ltd. フィブリン含有組成物
WO2022163181A1 (ja) * 2021-02-01 2022-08-04 Phcホールディングス株式会社 細胞培養制御装置およびこれを備えた細胞培養装置、細胞培養制御方法、細胞培養制御プログラム

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