JPH06140032A - 金属・水素化物二次電池用の水素吸蔵合金電極 - Google Patents

金属・水素化物二次電池用の水素吸蔵合金電極

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JPH06140032A
JPH06140032A JP4308240A JP30824092A JPH06140032A JP H06140032 A JPH06140032 A JP H06140032A JP 4308240 A JP4308240 A JP 4308240A JP 30824092 A JP30824092 A JP 30824092A JP H06140032 A JPH06140032 A JP H06140032A
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衛 木本
Mikiaki Tadokoro
幹朗 田所
Koji Nishio
晃治 西尾
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Abstract

(57)【要約】 【構成】水素吸蔵合金成分の混合物の溶融液に金属繊維
を含有させたのち凝固させて得た水素吸蔵合金塊を、粉
末化し、結着剤にて一体化してなる。 【効果】水素吸蔵合金粉末間の接触抵抗が小さく、導電
性が高いため、急速充電特性及び高率放電特性に優れた
金属・水素化物二次電池を得ることが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属・水素化物二次電
池用の水素吸蔵合金電極に係わり、特に、急速充電特性
及び高率放電特性を向上させることを目的とした、水素
吸蔵合金電極の新規、有用な改良に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
正極に水酸化ニッケルなどの金属化合物を使用し、負極
に新素材の水素吸蔵合金を使用した金属・水素化物二次
電池が、単位重量及び単位体積当たりのエネルギー密度
が他の系の電池に比し高く、高容量化が可能であること
から、ニッケル・カドミウム二次電池に代わる次世代の
アルカリ蓄電池として脚光を浴びつつある。
【0003】従来、この種のアルカリ蓄電池の負極とし
て使用される水素吸蔵合金電極は、水素吸蔵合金粉末を
結着剤にて結着して一体化することにより作製されてい
る。
【0004】しかしながら、水素吸蔵合金粉末、特に希
土類金属を合金成分として含む水素吸蔵合金粉末は、水
素吸蔵合金塊の粉砕工程、電極の作製工程、電池の組立
工程などの各工程において表面酸化され易いため、水素
吸蔵合金電極における水素吸蔵合金粉末間の接触抵抗は
かなり大きい。因みに、この表面酸化による接触抵抗
は、水素吸蔵合金粉末の粒径が小さくなるにつれて増大
する。
【0005】このような水素吸蔵合金粉末間の接触抵抗
が大きい、すなわち導電性の低い水素吸蔵合金電極を負
極に使用すると、急速充電特性や高率放電特性が低下す
る。
【0006】このため、従来、この接触抵抗を小さく抑
えるべく、水素吸蔵合金粉末に電子伝導性の高い金属粉
末を導電剤として粉体混合することが必要に応じて行わ
れている。
【0007】しかしながら、この方法により得られる水
素吸蔵合金電極においては、金属粉末は水素吸蔵合金粉
末と単に粉体接触しているに過ぎない。このため、上記
した表面酸化を有効に抑制することができず、水素吸蔵
合金粉末間の接触抵抗はさほど小さくならない。
【0008】以上の如く、従来の金属・水素化物二次電
池には、水素吸蔵合金粉末間の接触抵抗が大きい水素吸
蔵合金電極が負極に使用されていたため、負極の導電性
が悪く、急速充電特性や高率放電特性が良くないという
問題があった。
【0009】本発明は、従来の金属・水素化物二次電池
における上記した問題を解決するべくなされたものであ
って、その目的とするところは、急速充電特性及び高率
放電特性に優れた金属・水素化物二次電池を得ることを
可能にする、水素吸蔵合金粉末間の接触抵抗が小さい水
素吸蔵合金電極を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る水素吸蔵合金電極(以下、「本発明電
極」と称する。)は、水素吸蔵合金成分の混合物の溶融
液(水素吸蔵合金の溶湯)に金属繊維を含有させたのち
凝固させて得た水素吸蔵合金塊を、粉末化し、結着剤に
て一体化してなるものである。
【0011】上記金属繊維としては、Ru(ルテニウ
ム)、Co(コバルト)、Rh(ロジウム)、Ni(ニ
ッケル)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Cu
(銅)、Au(金)、Tl(タリウム)、Pb(鉛)又
はBi(ビスマス)からなる金属繊維が好適なものとし
て例示されるが、水素吸蔵合金粉末同士の界面の接触抵
抗を有効に低減し得る金属繊維であれば特に制限なく使
用することができる。なお、これらの金属繊維は一種単
独を使用してもよく、必要に応じて二種以上を併用して
もよい。
【0012】本発明における金属繊維を含有せる水素吸
蔵合金粉末は、たとえば次に示す工程(1)〜(3)か
らなる製法により得ることができるが、もとより当該製
法に限定されるものではない。 (1)金属繊維を、水素吸蔵合金成分の溶融液に添加混
合する。 (2)所定の冷却速度で凝固させて、金属繊維を含有せ
る箔状の水素吸蔵合金塊とする。 (3)水素吸蔵合金塊を適宜の大きさに粉砕して水素吸
蔵合金粉末とする。
【0013】凝固させる際の冷却速度は、1×104 °
C/秒以上が好ましい。かかる急冷速度で凝固させるこ
とにより、結晶粒(結晶子)の向きが溶融時の不規則状
態に近い、すなわち粒界が多数存在する合金結晶を得る
ことができ、これにより優れた急速充電特性及び高率放
電特性を発現し得る水素吸蔵合金電極が得られるからで
ある。なお、急冷凝固させる方法については特に制限さ
れず、たとえば従来公知のロール法(単ロール法、双ロ
ール法など)が好適に利用できる。
【0014】上記金属繊維は、急速充電特性及び高率放
電特性を向上させる上で、水素吸蔵合金100重量部に
対して、0.5重量部以上の割合で水素吸蔵合金粉末中
に含有させることが好ましい。
【0015】本発明における水素吸蔵合金としては、た
とえばLaNi5 、LaNi3 Co2 、これらのLaの
一部を他の金属で一部置換したMmNi5 、MmNi3
Co2 (Mm:ミッシュメタル、希土類金属の混合物)
等の希土類系水素吸蔵合金;Ti2 Ni、TiNi2
これらのNiの一部をCo、Mn、Alなどで置換した
もの等のTi−Ni系水素吸蔵合金;Ti−Mn系水素
吸蔵合金;Ti−Fe系水素吸蔵合金;Mg−Ni系水
素吸蔵合金;Ti−Zr系水素吸蔵合金;Zr−Mn系
水素吸蔵合金が挙げられるが、特に限定されない。
【0016】上述したように、本発明は、急速充電特性
及び高率放電特性に優れた金属・水素化物二次電池を得
ることが可能な水素吸蔵合金電極を提供すべく、金属繊
維を、凝固して合金化する前の段階である合金溶湯に添
加することにより、当該金属繊維を水素吸蔵合金粉末に
含有させ、もって水素吸蔵合金粉末間の接触抵抗を大幅
に低減させるようにした点に最大の特徴を有する。それ
ゆえ、これらの材料を結着一体化して電極を作製する際
に使用する結着剤の種類については、従来、水素吸蔵合
金電極用として実用され、或いは提案されている種々の
材料、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)などを
制限なく使用することが可能である。
【0017】
【作用】本発明電極に使用される水素吸蔵合金粉末は、
金属繊維を含有するので、水素吸蔵合金粉末の表面に露
出した金属繊維により、水素吸蔵合金粉末間の接触抵抗
が大幅に低減される。なお、金属繊維は、金属粉末に比
し、水素吸蔵合金粉末の表面に露出し易いので、上記接
触抵抗の低減作用が特に大きい。
【0018】また、金属・水素化物二次電池では、過充
電時に正極で発生する酸素ガスは負極の水素吸蔵合金粉
末内に吸蔵された水素と反応させて除去されるが、本発
明電極に使用される水素吸蔵合金粉末は、還元性の高い
金属繊維を含有するので、水素吸蔵合金粉末の酸素ガス
還元能が従来の水素吸蔵合金電極のそれに比し高くな
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明は下記実施例により何ら限定され
るものではなく、その要旨を変更しない範囲において適
宜変更して実施することが可能なものである。
【0020】(実施例1)Mm、Ni、Co、Al及び
Mn(いずれも市販の純度99.9%以上の金属単体)
をモル比1:3.1:0.9:0.2:0.5で混合
し、不活性ガス(アルゴン)雰囲気の高周波溶解炉で、
高周波誘導加熱して溶融させた後、この溶融液100重
量部にNi繊維10重量部を添加して混合し、次いでメ
ルト・ドラッグ法(単ロール法の一種であり、ロール冷
却面に対し水平方向からノズルを介して合金溶湯を接触
させ、ロールの回転により上方に引き出しつつ連続的に
帯状の水素吸蔵合金を得る方法である。)にて1×10
4 °C/秒の冷却速度で急冷した後、平均粒径70μm
程度に粉砕して、Ni繊維を含有する組成式MmNi
3.1 Co0.9 Al0.2 Mn0.5 で表される水素吸蔵合金
粉末を作製した。
【0021】次いで、このNi繊維含有水素吸蔵合金粉
末1重量部に、結着剤としてのポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)0.05重量部を混合し、圧延して合
金ペーストを得た。
【0022】この合金ペーストの所定量をニッケル製の
パンチングメタルからなる負極集電体の両面に塗布し、
乾燥して本発明電極E1を作製した。
【0023】(実施例2)水素吸蔵合金粉末の作製にお
いて、Ni繊維を10重量部に代えて5重量部使用した
こと以外は実施例1と同様にして、本発明電極E2を作
製した。
【0024】(実施例3)水素吸蔵合金粉末の作製にお
いて、Ni繊維を10重量部に代えて3重量部使用した
こと以外は実施例1と同様にして、本発明電極E3を作
製した。
【0025】(実施例4)水素吸蔵合金粉末の作製にお
いて、Ni繊維を10重量部に代えて1重量部使用した
こと以外は実施例1と同様にして、本発明電極E4を作
製した。
【0026】(実施例5)水素吸蔵合金粉末の作製にお
いて、Ni繊維を10重量部に代えて0.5重量部使用
したこと以外は実施例1と同様にして、本発明電極E5
を作製した。
【0027】(実施例6)水素吸蔵合金粉末の作製にお
いて、Ni繊維10重量部に代えてCu繊維を10重量
部使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明電
極E6を作製した。
【0028】(実施例7)水素吸蔵合金粉末の作製にお
いて、Ni繊維10重量部に代えてCu繊維を5重量部
使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明電極
E7を作製した。
【0029】(実施例8)水素吸蔵合金粉末の作製にお
いて、Ni繊維10重量部に代えてCu繊維を3重量部
使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明電極
E8を作製した。
【0030】(実施例9)水素吸蔵合金粉末の作製にお
いて、Ni繊維10重量部に代えてCu繊維を1重量部
使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明電極
E9を作製した。
【0031】(実施例10)水素吸蔵合金粉末の作製に
おいて、Ni繊維10重量部に代えてCu繊維を0.5
重量部使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発
明電極E10を作製した。
【0032】(比較例1)金属繊維を含有しない組成式
MmNi3.1 Co0.9 Al0.2 Mn0.5 で表される水素
吸蔵合金粉末を使用したこと以外は実施例1と同様にし
て、比較電極CE1を作製した。
【0033】(比較例2)Cu繊維を水素吸蔵合金の溶
湯に添加せず、Cu繊維を含有しない水素吸蔵合金粉末
100重量部とCu繊維10重量部とを混合したこと以
外は実施例1と同様にして、比較電極CE2を作製し
た。
【0034】(高率放電特性試験)実施例1〜10で作
製した本発明電極E1〜E10又は比較例1、2で作製
した比較電極CE1、CE2を負極に使用して単三型の
ニッケル・水素化物二次電池(順に「電池BA1〜BA
10及び比較電池BC1、BC2」と称する。)を組み
立てた。なお、正極として焼結式ニッケル極を、セパレ
ータとしてナイロン不織布を、アルカリ電解液として3
0%濃度の水酸化カリウム水溶液を、それぞれ使用し
た。
【0035】図1は作製した電池BA1(BA2〜BA
10、比較電池BC1、BC2も同形状の電池であ
る。)の断面図であり、図示の電池BA1は、正極1及
び負極(水素吸蔵合金電極)2、これら両電極を離間す
るセパレータ3、正極リード4、負極リード5、正極外
部端子6、アルカリ電解液が注液された負極缶7などか
らなる。
【0036】正極1及び負極2はセパレータ3を介して
渦巻き状に巻き取られた状態で負極缶7内に収容されて
おり、正極1は正極リード4を介して正極外部端子6
に、また負極2は負極リード5を介して負極缶7に接続
され、電池BA1内部で生じた化学エネルギーを電気エ
ネルギーとして外部へ取り出し得るようになっている。
【0037】なお、正極外部端子6と封口体8との間に
は、コイルスプリング9が設けられて、電池の内圧が異
常上昇したときに圧縮されて電池内のガスを大気中に放
出し得るようになっている。
【0038】以上の如き構成の電池BA1〜BA10及
び比較電池BC1、BC2について高率放電特性を調べ
た。結果を図2に示す。
【0039】図2は、電池BA1〜BA4、BA6〜B
A9及び比較電池BC1、BC2の高率放電特性を、縦
軸に電池電圧(V)を、また横軸に放電容量比率(%)
をとって示したグラフである。
【0040】放電容量比率は、常温(25°C)にて
0.2Cで1.3Vまで充電したのち0.2Cで1.0
Vまで放電したときの放電容量に対する、常温にて0.
2Cで1.3Vまで充電したのち4.0Cで1.0Vま
で放電したときの放電容量の割合をパーセントで表示し
た値である。
【0041】図2より、比較電池BC1、BC2の放電
容量比率はいずれも50%前後と小さいのに対して、電
池BA1〜BA4及びBA6〜BA9の放電容量比率は
70%以上と大きく、本発明電極E1〜E4及びE6〜
E9を使用した電池BA1〜BA4及びBA6〜BA9
は、比較電極CE1を使用した比較電池BC1に比し、
高率放電特性に格段優れていることが分かる。
【0042】また、図3は、縦軸に電池BA1〜BA1
0及び比較電池BC1の放電容量比率(%)を、また横
軸に水素吸蔵合金に対する金属繊維の配合比率(%)を
とって、放電容量比率と金属繊維の配合比率との関係を
示したグラフである。
【0043】図3より、金属繊維の水素吸蔵合金に対す
る配合比率が1重量部以上のときに放電容量比率が70
%程度以上となることから、高率放電特性に特に優れた
ニッケル・水素化物二次電池を得る上で、水素吸蔵合金
100重量部に対して1重量部以上の金属繊維を水素吸
蔵合金粉末に含有させることが好ましいことが分かる。
【0044】
【発明の効果】本発明電極は、水素吸蔵合金粉末間の接
触抵抗が小さく、導電性が高いため、急速充電特性及び
高率放電特性に優れた金属・水素化物二次電池を得るこ
とが可能になるなど、本発明は優れた特有の効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製したニッケル・水素化物二次電池
の断面図である。
【図2】高率放電特性を示すグラフである。
【図3】放電容量比率(高率放電特性)と、水素吸蔵合
金に対する金属繊維の配合比率との関係を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
BA1 電池(金属・水素化物二次電池) 1 正極(焼結式ニッケル極) 2 負極(水素吸蔵合金電極) 3 セパレータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水素吸蔵合金成分の混合物の溶融液に金属
    繊維を含有させたのち凝固させて得た水素吸蔵合金塊
    を、粉末化し、結着剤にて一体化してなる金属・水素化
    物二次電池用の水素吸蔵合金電極。
  2. 【請求項2】前記金属繊維が、Ru、Co、Rh、N
    i、Pd、Ag、Cu、Au、Tl、Pb及びBiより
    なる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなる請求
    項1記載の金属・水素化物二次電池用の水素吸蔵合金電
    極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2575480C1 (ru) * 2011-12-19 2016-02-20 Эксерджи Пауэр Системз, Инк. Слоистый элемент, собранная батарея, включающая слоистый элемент, и способ сборки слоистого элемента

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2575480C1 (ru) * 2011-12-19 2016-02-20 Эксерджи Пауэр Системз, Инк. Слоистый элемент, собранная батарея, включающая слоистый элемент, и способ сборки слоистого элемента

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