JP3553708B2 - 水素吸蔵合金電極及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属−水素アルカリ二次電池の負極として用いられる水素吸蔵合金電極に係わり、詳しくは、サイクル特性と高率放電特性との向上を図ることを目的とした、電極材料たる水素吸蔵合金の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素を可逆的に吸蔵,放出することができる水素吸蔵合金の開発が盛んに行われており、斯かる水素吸蔵合金を負極材料として用いる金属−水素アルカリ二次電池が、従来汎用されている鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池などに比べて、軽量で、且つ、高容量化が可能であるなどの理由から、次世代のアルカリ二次電池の主流を占めるものとして有望視されている。
【0003】
ところで、電池用水素吸蔵合金は、室温近傍で可逆的に水素を吸蔵放出し得るものでなければならない。斯かる水素吸蔵合金を用いた電極の作製方法としては、以下のような方法が提案されている。
【0004】
先ず、金属元素を秤量し、金属元素を溶解炉内で溶融した後、この溶湯をロール法等の急冷凝固法等で冷却して水素吸蔵合金塊を作製する。次に、この水素吸蔵合金塊を機械的粉砕法或いは水素化粉砕法等により粉砕して水素吸蔵合金粉末を作製した後、この水素吸蔵合金粉末と結着剤とを混練して活物質ペーストを作製する。しかる後、この活物質ペーストを集電体の両面に圧着し、プレスすることにより作製していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の水素吸蔵合金電極を用いた金属−水素アルカリ二次電池では、充放電時の水素原子を吸蔵,放出する際に、合金の結晶格子に膨張,収縮の応力が加わる。このため、充放電を繰り返し行うと水素吸蔵合金が次第に微粉化し、新生面ができ、この新生面に露出した合金の元素が酸化されて、合金表面に不活性な皮膜が生じたり、合金の元素が電解液中に溶解して合金組成が変化する。
【0006】
特に、急冷凝固法(格別、ロール法)によって作製した水素吸蔵合金は、通常の鋳込み法(水冷された鋳型に水素吸蔵合金溶湯を流し込んで冷却凝固させる方法)と比べて冷却速度が大きいため、例えばロール法による場合にあっては、ロール面側(ロールと接触している側であって、水素吸蔵合金の溶湯が急冷される部分)の合金と、ロール面と反対側(気体と接触している側であって、水素吸蔵合金の溶湯の冷却が若干遅い部分)の合金とでは、合金組織と水素吸蔵合金を粉砕した後の水素吸蔵合金粉末の粒径が異なる。具体的には、急冷部の合金は組織が均一なチル晶となり、且つ、硬度が高く粉砕した後の水素吸蔵合金粉末の粒径が大きくなる一方、徐冷部の合金は組織が若干不均一となり、且つ、硬度が低く粉砕した後の水素吸蔵合金粉末の粒径が小さくなる。
【0007】
そして、大小全ての粒径の水素吸蔵合金粉末を用いて電極及び電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した場合には、小径の水素吸蔵合金粉末が選択的に充放電されて微粉化が促進され、しかも新生面に露出した合金の元素が酸化される一方、大径の水素吸蔵合金粉末は充放電されず不活性な状態となる。これらのことから、サイクル特性や高率放電特性が低下するという課題を有していた。
【0008】
本発明の目的とするところは、サイクル特性及び高率放電特性に優れた金属−水素アルカリ二次電池を得ることを可能にする、充放電サイクルの進行に伴う水素吸蔵合金の微粉化と不活性化とが起こりにくい水素吸蔵合金電極及びその製造方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る水素吸蔵合金電極は、急冷凝固法であるロール法にて作製せる水素吸蔵合金を粉砕して作製した水素吸蔵合金粉末の一部が含有する水素吸蔵合金電極であって、上記水素吸蔵合金の粉砕時における種々の粒径を有する水素吸蔵合金粉末のうち、下記数3で示される値が60%以下となるよう大粒径の水素吸蔵合金粉末のみが含有されていることを特徴とする。
【0010】
【数3】
【0011】
また、本発明による水素吸蔵合金電極の製造方法は、急冷凝固法であるロール法にて水素吸蔵合金を作製する第1ステップと、上記水素吸蔵合金を粉砕して水素吸蔵合金粉末を作製する第2ステップと、上記粉砕時における種々の粒径を有する水素吸蔵合金粉末のうち、上記数3で示される値が60%以下となるよう大粒径の水素吸蔵合金粉末のみを選別して活物質とする第3ステップとを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の水素吸蔵合金電極は、急冷凝固法にて作製せる水素吸蔵合金を粉砕して作製した水素吸蔵合金粉末のうち、下記数4で示される値が60%以下となるよう大粒径の水素吸蔵合金粉末が含有されているものである。
【0013】
【数4】
【0014】
詳しくは、図2を用いて説明する。図2において縦軸は重量%、横軸は粒径を示し、又粉砕時の水素吸蔵合金粉末の総量はA+Bで示され、大粒径側からの水素吸蔵合金粉末の総量はAで示され、不使用の水素吸蔵合金粉末はBで示される。そして、上記数4で示される値が60%以下となるように大粒径側の水素吸蔵合金粉末のみを分離し、この分離した大粒径側の水素吸蔵合金粉末のみを水素吸蔵合金電極に用いるものである。
【0015】
このような構成とすれば、電池の充放電時に小径の水素吸蔵合金のみが選択的に充放電されることなく、全ての水素吸蔵合金が均一に充放電される。したがって、水素吸蔵合金が不活性な状態となったり微粉化したりするのを抑制することができる。
【0016】
上記急冷凝固法としては、ロール法、アトマイズ法、遠心噴霧法、又は水中鋳込み法(通常の鋳込み法と異なり、水中で水素吸蔵合金溶湯が冷却されるため急冷される)が例示されるが、これらの方法に限定されるものではない。尚、上記ロール法を用いた場合には、ロール法は急冷凝固法の中でも特に冷却速度が大きいため、上記の微粉化防止等の作用が一層発揮される。
【0017】
上記水素吸蔵合金鋳塊の粉砕方法としては水素化粉砕法又は機械的粉砕法を用いることができる。特に、水素化粉砕法を用いた場合には、水素化粉砕法は電池の充放電と同様に水素の出し入れにより水素吸蔵合金を粉砕するものであるため、電池の充放電時の微粉化と強い相関性を有する。したがって、水素化粉砕法を用いると本発明の目的を一層達成することができる。
【0018】
また、水素吸蔵合金としてはMm1.0 Ni3.4 Co0.8 Al0.2 Mn0.6 、LaNi5 、MmNi5 等が例示されるが、これらの水素吸蔵合金に限定されないことは勿論である。
【0019】
尚、上記数4の値を余り小さく設定すると、不使用の水素吸蔵合金粉末が多くなって製造コストが上昇する。したがって、上記数4の値は40〜60%の間であることが望ましい。
【0020】
【実施例】
(第1実施例)
(実施例I)
〔水素吸蔵合金の作製〕
市販のMm(ミッシュメタル)、Ni、Co、Al及びMnを、モル比1.0:3.4:0.8:0.2:0.6の割合で混合し、高周波溶解炉で溶融させて溶湯を作製した後、この溶湯を高速回転するロールの周面に噴出させる所謂ロール法によって凝固させた。この際、溶湯の冷却速度が10×103 ℃/秒以上となるようにロール周速度を調整した。以上の工程を経て、組成式Mm1.0 Ni3.4 Co0.8 Al0.2 Mn0.6 で表される水素吸蔵合金塊を得た。
【0021】
〔水素吸蔵合金電極の作製〕
上記水素吸蔵合金塊を不活性ガス中でボールミルによりに機械的に粉砕して水素吸蔵合金粉末を作製した。この際、粉砕時間は13分30秒とした。次に、上記水素吸蔵合金粉末を粒径毎に分級した後、上記水素吸蔵合金粉末のうち、前記数4で示される値が40%となるようメッシュ分けにより分離した。尚、このようにして分離された水素吸蔵合金粉末の平均粒径は50μmである。
【0022】
次に、活物質としての上記大粒径側の水素吸蔵合金粉末に、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン粉末を活物質重量に対して5重量%加えて活物質ペーストを作製した後、この活物質ペーストをパンチングメタルから成る集電体の両面に圧着し、更にプレスすることにより負極を作製した。
このようにして作製した電極を、以下本発明電極A1と称する。
【0023】
〔正極〕
正極として、公知の焼結式ニッケル正極を作製した。
【0024】
〔電解液〕
30重量%のKOH水溶液を調製した。
【0025】
〔電池の作製〕
以上の正負両極及びアルカリ電解液を用いて円筒型の本発明電池を作製した。なお、セパレータとしては不織布を使用し、これに先の電解液を含浸させた。
【0026】
図1は本発明電極A1を用いた電池を模式的に示す断面図であり、図1の本発明電池は、正極1、負極2、これら両電極を離間するセパレータ3、正極リード4、負極リード5、正極外部端子6、負極缶7などからなる。正極1及び負極2は、電解液を注入されたセパレータ3を介して渦巻き状に巻き取られた状態で、負極缶7内に収容されており、正極1は正極リード4を介して正極外部端子6に、また負極2は負極リード5を介して負極缶7に接続され、電池内部で生じた化学エネルギーを電気エネルギーとして外部へ取り出し得るようになっている。
尚、このようにして作製した電池の理論容量は1000mAhである。
【0027】
(実施例II)
前記数4で示される値が60%となるように調整して負極を作製する他は、上記実施例Iと同様にして電極及び電池を作製した。但し、上記実施例Iと同様に水素吸蔵合金粉末の平均粒径を50μmとすべく、本実施例IIにおける水素吸蔵合金の粉砕時間は13分とした。
このようにして作製した電極を、以下本発明電極A2と称する。
【0028】
(実施例III )
平均粒径が40μmの水素吸蔵合金粉末を用いて負極を作製する他は、上記実施例Iと同様にして電極及び電池を作製した。尚、上記実施例Iと同様に前記数4で示される値が60%とすべく、本実施例III における水素吸蔵合金の粉砕時間は14分とした。
このようにして作製した電極を、以下本発明電極A3と称する。
【0029】
(比較例I、II)
前記数4で示される値が、各80%、100%となるように調整して負極を作製する他は、上記実施例Iと同様にして電極及び電池を作製した。但し、上記実施例Iと同様に水素吸蔵合金粉末の平均粒径を50μmとすべく、水素吸蔵合金の粉砕時間を各12分、10分とした。
このようにして作製した電極を、以下それぞれ比較電極X1、比較電極X2と称する。
【0030】
(比較例III )
平均粒径が40μmの水素吸蔵合金粉末を用いて負極を作製する他は、上記比較例IIと同様にして電極及び電池を作製した。尚、上記比較例IIと同様に前記数4で示される値が100%とすべく、本比較例III における水素吸蔵合金の粉砕時間は11分とした。
このようにして作製した電極を、以下比較電極X3と称する。
【0031】
〔充放電サイクル試験I〕
先ず、本発明電極A1〜A3及び比較電極X1〜X3を用いた電池について、常温(25℃)下で、100mAで16時間充電して1時間休止した後、200mAで放電終止電圧1.0Vまで放電して1時間休止する工程を1サイクルとするサイクルを3サイクル行い電池の活性化を行った。
【0032】
次に、各電池について、常温(25℃)下で、1500mAで48分充電して1時間休止した後、1500mAで放電終止電圧1.0Vまで放電して1時間休止する工程を1サイクルとする充放電サイクル試験を行い、電池容量が500mA(初期容量の半分)となった時点を寿命とした。
この結果を、下記表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
上記表1に示すように、前記数4で示される値が60%以下の本発明電極A1〜A3を用いた電池では、前記数4で示される値が60%を超える比較電極X1〜X3を用いた電池に比べて、サイクル寿命が長くなっていることが認められる。これは、本発明電極A1〜A3を用いた電池では、小径の水素吸蔵合金のみが選択的に充放電されることなく全ての水素吸蔵合金が均一に充放電されるため、水素吸蔵合金が微粉化するのを抑制することができるのに対して、比較電極X1〜X3を用いた電池では、小径の水素吸蔵合金のみが選択的に充放電されるため、水素吸蔵合金が微粉化するのが促進されるという理由によるものと考えられる。
【0035】
(実施例IV、V )
水素吸蔵合金の鋳造方法としてアトマイズ法を用いて負極を作製する他は、上記実施例I及び実施例IIと同様にして電極及び電池を作製した。
尚、上記アトマイズ法は、上記実施例Iと同様にして作製した水素吸蔵合金溶湯をアルゴンガス圧により細孔より噴霧し、急冷させるという方法である。この噴霧終了後の水素吸蔵合金粉末の平均粒径は100μmであり、その後これを機械的に粉砕した。
このようにして作製した電極を、以下それぞれ本発明電極A4、A5と称する。
【0036】
(比較例IV、V )
水素吸蔵合金の鋳造方法として上記実施例IV及びV に示すアトマイズ法を用いて負極を作製する他は、上記比較例I及び比較例IIと同様にして電極及び電池を作製した。
このようにして作製した電極を、以下それぞれ比較電極X4、X5と称する。
【0037】
〔充放電サイクル試験II〕
本発明電極A4、A5及び比較電極X4、X5を用いた電池について、上記充放電サイクル試験Iと同様の条件及び方法で電池の活性化と、充放電サイクル試験を行った。
この結果を、前記表1に併せて示す。
【0038】
前記表1に示すように、前記数4で示される値が60%以下の本発明電極A4、A5を用いた電池では、前記数4で示される値が60%を超える比較電極X4、X5を用いた電池に比べて、サイクル寿命が長くなっていることが認められる。これは、上記充放電サイクル試験Iで示す理由と同様の理由によるものと考えられる。
【0039】
(比較例VI〜IX)
水素吸蔵合金の鋳造方法として通常の鋳込み法を用いて負極を作製する他は、上記実施例I、実施例II、比較例I及び比較例IIと同様にして電極及び電池を作製した。
尚、上記鋳込み法は、上記実施例Iと同様にして作製した水素吸蔵合金溶湯を水冷された銅製の鋳型に流し込んで、冷却させるという方法である。
このようにして作製した電極を、以下それぞれ比較電極X6〜X9と称する。
【0040】
〔充放電サイクル試験III 〕
比較電極X6〜X9を用いた電池について、上記充放電サイクル試験Iと同様の条件及び方法で電池の活性化と、充放電サイクル試験を行った。
この結果を、前記表1に併せて示す。
【0041】
前記表1に示すように、前記数4で示される値が60%以下の比較電極X6、X7を用いた電池と、前記数4で示される値が60%を超える比較電極X8、X9を用いた電池とでは、サイクル寿命に差異が認められない。これは、水素吸蔵合金溶湯を急冷しない鋳込み法では、粉砕が均一に行われるため粒度による組織の差異が少ないということに起因するものと考えられる。したがって、本発明は水素吸蔵合金溶湯を急冷する急冷凝固法を用いた場合に有用である。
【0042】
〔試験セルの組立〕
上記本発明電極A1〜A5及び比較電極X1〜X9に用いられる水素吸蔵合金粉末と同じ水素吸蔵合金粉末を各1gに、導電剤としてのカルボニルニッケル粉末1.2g及び結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末0.2gを混合し、圧延して14種の合金ペーストを得た。しかる後、各合金ペーストの所定量をニッケルメッシュで包み、プレス加工して本発明電極a1〜a5及び比較電極x1〜x9を作製した。次いで、この電極よりも充分に大きな容量を持つ焼結式ニッケル正極を密閉容器内に配置し、更に電解液としてのKOHを過剰量入れて、試験セルを作製した。
【0043】
〔高率放電特性試験〕
先ず、本発明電極a1〜a5及び比較電極x1〜x9を用いた試験セルについて、合金1gあたり50mAで8時間充電して1時間休止した後、合金1gあたり200mAで放電終止電圧1.0Vまで放電した。このときの放電容量をCH とする。次に、1時間休止した後(これにより電圧を復帰させる)、合金1gあたり50mAで放電終止電圧1.0Vまで放電した。このときの放電容量をCL とする。そして、下記数5により高率放電特性(%)を算出した。
【0044】
【数5】
【0045】
この結果を、前記表1に併せて示す。
前記表1に示すように、前記数4で示される値が60%以下の本発明電極a1〜a5を用いた試験セルでは、前記数4で示される値が60%を超える比較電極x1〜x5を用いた試験セルに比べて、高率放電特性に優れることが認められる。これは、本発明電極a1〜a5を用いた試験セルでは、全ての水素吸蔵合金が均一に充放電されるため電極全体の活性化が図られるのに対して、比較電極x1〜x5を用いた試験セルでは、大径の水素吸蔵合金が充放電されないため、電極全体の活性化が図られないという理由によるものと考えられる。
【0046】
尚、前記数4で示される値が60%以下の比較電極x6、x7を用いた試験セルと、前記数4で示される値が60%を超える比較電極x8、x9を用いた試験セルとでは、高率放電特性に差異が認められない。これは、水素吸蔵合金溶湯を急冷しない鋳込み法では、粉砕が均一に行われるため粒度による組織の差異が少ないということに起因するものと考えられる。したがって、本発明は水素吸蔵合金溶湯を急冷する急冷凝固法を用いた場合に有用である。
【0047】
(第2実施例)
(実施例I〜V )
水素吸蔵合金の粉砕方法として、水素吸蔵合金に水素を吸蔵放出させて粉砕する水素化粉砕法を用いる他は、前記第1の形態の実施例I〜実施例V と同様にして、電極及び電池を作製した。
このようにして作製した電極を、以下それぞれ本発明電極B1〜B5と称する。
【0048】
(比較例I〜IX)
水素吸蔵合金の粉砕方法として、水素吸蔵合金に水素を吸蔵放出させて粉砕する水素化粉砕法を用いる他は、前記第1の形態の比較例I〜比較例IXと同様にして、電極及び電池を作製した。
このようにして作製した電極を、以下それぞれ比較電極Y1〜Y9と称する。
【0049】
〔充放電サイクル試験〕
本発明電極B1〜B5及び比較電極Y1〜Y9を用いた電池について、前記第1の形態の充放電サイクル試験Iと同様の条件及び方法で電池の活性化と、充放電サイクル試験を行った。
この結果を、下記表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
上記表2に示すように、前記数4で示される値が60%以下の本発明電極B1〜B5を用いた電池では、前記数4で示される値が60%を超える比較電極Y1〜Y5を用いた電池に比べて、サイクル寿命が長くなっていることが認められる。これは、前記第1の形態の充放電サイクル試験Iで示す理由と同様の理由によるものと考えられる。
【0052】
但し、前記数4で示される値が60%以下の比較電極Y6、Y7を用いた電池と、前記数4で示される値が60%を超える比較電極Y8、Y9を用いた電池とでは、サイクル寿命に差異が認められない。これは、前記第1の形態の充放電サイクル試験III で示す理由と同様の理由によるものと考えられる。
【0053】
〔試験セルの組立〕
上記本発明電極B1〜B5及び比較電極Y1〜Y9に用いられる水素吸蔵合金粉末と同じ水素吸蔵合金粉末を用い、前記第1の形態の試験セルの組立方法と同様の方法で試験セルを作製した。
これら試験セルに用いられる電極を、以下それぞれ本発明電極b1〜b5及び比較電極y1〜y9と称する。
【0054】
〔高率放電特性試験〕
先ず、本発明電極b1〜b5及び比較電極y1〜y9を用いた試験セルについて、前記第1の形態の高率放電特性試験と同様の条件で試験を行い、前記数5により高率放電特性(%)を算出した。
この結果を、前記表2に併せて示す。
【0055】
前記表2に示すように、前記数4で示される値が60%以下の本発明電極b1〜b5を用いた試験セルでは、前記数4で示される値が60%を超える比較電極y1〜y5を用いた試験セルに比べて、高率放電特性に優れることが認められる。これは、前記第1の形態の高率放電特性試験で示す理由と同様の理由によるものと考えられる。
【0056】
尚、前記数4で示される値が60%以下の比較電極y6、y7を用いた試験セルと、前記数4で示される値が60%を超える比較電極y8、y9を用いた試験セルとでは、高率放電特性に差異が認められない。これは、前記第1の形態の高率放電特性試験で示す理由と同様の理由によるものと考えられる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、水素吸蔵合金が不活性な状態となったり微粉化したりするのを抑制することができるので、サイクル特性や高率放電特性等の電池特性を向上させることができるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明電極を用いた電池を模式的に示す断面図である。
【図2】水素吸蔵合金を粉砕した後の粒径と重量%との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:正極
2:負極
3:セパレータ
Claims (4)
- 上記水素吸蔵合金鋳塊の粉砕方法が、機械的粉砕法及び/又は水素化粉砕法であることを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵合金電極。
- 上記水素吸蔵合金鋳塊の粉砕方法が、機械的粉砕法及び/又は水素化粉砕法であることを特徴とする請求項3記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
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