JPH06136584A - 高純度ニッケルの製造方法 - Google Patents

高純度ニッケルの製造方法

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JPH06136584A
JPH06136584A JP4311078A JP31107892A JPH06136584A JP H06136584 A JPH06136584 A JP H06136584A JP 4311078 A JP4311078 A JP 4311078A JP 31107892 A JP31107892 A JP 31107892A JP H06136584 A JPH06136584 A JP H06136584A
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茂喜 松木
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仁美樹 矢野
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直行 土田
Susumu Makino
進 牧野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塩素浸出、電解採取による高純度ニッケルの
製造工程を大きく変更することなく、又新たな設備を殆
ど付加することなく、高純度ニッケルと共に超高純度ニ
ッケルをも製造し得る方法を提供する。 【構成】 高純度ニッケルを得る第1段電解槽にはNi
濃度65g/l以上、Co濃度1.5mg/l以下の塩
化ニッケル水溶液を70〜100ml/A・時宛給液
し、超高純度ニッケルを得る第2段電解槽にはCo濃度
0.25mg/l以下の第1段電解廃液を溶存塩素量
0.01g/l以下に脱気し、かつpH1.1〜1.8
に調整して100〜150ml/A・時宛給液して電解
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は純塩化ニッケル水溶液か
ら電解採取により高純度ニッケルを得る共に超高純度ニ
ッケルも同時に得ることが出来る新規な高純度ニッケル
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】硫化ニッケルを主成分とし、コバルト、
銅等を不純物として含有するニッケルマットから金属ニ
ッケルを回収する方法の一つに、該マットを溶融し、ア
ノードに整形して直接電解に供する電解精製法がある。
しかしながらこの方法は、マット溶融炉とアノード鋳造
設備、電解設備及び電解液中の不純物を除去し且つ液組
成を調整する浄液設備が必要で、現在では経済的に必ず
しも有利な方法でなく、又コバルト含有量が50ppm
以下の高純度ニッケルを得ることも困難であった。
【0003】ニッケルマットを酸化浸出し、該浸出液を
溶媒抽出に供して不純物金属を分離し、得られた純ニッ
ケル塩水溶液を不溶性アノードを用いて電解採取に供す
れば、高純度ニッケルのみならず、コバルト含有量が1
0ppm以下の超高純度ニッケルを得ることも可能であ
るが、溶媒抽出設備の投資額が大きく、特にコバルト回
収量が多くない場合は経済的な方法ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記事情により近年、
ニッケルマットを塩素浸出し、該浸出液を電解採取する
方法が注目され、浸出液を残渣硫黄と分離した後脱銅電
解に供して銅を電着除去し、該脱銅電解廃液を新たなニ
ッケルマットと接触せしめて液中の残存銅イオンを置換
沈殿せしめ、得られたろ液、即ち粗塩化ニッケル水溶
液、に炭酸ニッケルを添加してコバルトを沈殿除去し、
得られた純塩化ニッケル水溶液を不溶性アノードを用い
て電解採取する方法をほぼ確立出来た。
【0005】この方法によれば高純度ニッケルを比較的
低コストで得られるが、金属ニッケルの用途によっては
超高純度ニッケルを要する場合があり、この超高純度ニ
ッケルをいかに低コストで得るかが課題として残されて
いた。
【0006】その方策として例えば、前記電解採取廃液
に更に炭酸ニッケルを添加してコバルトを沈殿除去する
ことが考えられるが、コバルトと共にニッケルも沈殿さ
せることになり、その処理が新たに課題となるし、溶媒
抽出法の適用は前記した通りコスト高となるのが避けら
れない。
【0007】本発明の目的は、上記塩素浸出、電解採取
による高純度ニッケルの製造工程を大きく変更すること
なく、又新たな設備を殆ど付加することなく、高純度ニ
ッケルと共に超高純度ニッケルをも製造し得る方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明者等は、高純度ニッケル製造の電解条件をコバル
ト電着量を増すように選択すれば、その電解廃液の電解
により低コバルト含有量のニッケルが製造できるのでは
ないかと考え、種々実験の結果本発明に到達した。即ち
本発明の方法は、電解槽に純塩化ニッケル水溶液を給液
し、該電解液中に不溶性アノードとニッケルカソードを
吊り下げて通電し、該電解液から金属ニッケルをカソー
ド上に電着せしめる高純度ニッケルの製造方法におい
て、電解槽を第1段電解槽と第2段電解槽とに分け、第
1段電解槽にはニッケル濃度が65g/l以上、コバル
ト濃度が1.5mg/l以下の塩化ニッケル水溶液を7
0〜100ml/A・時の割合で給液し、第2段電解槽
にはコバルト濃度が0.25mg/l以下となった第1
段電解槽の廃液を真空脱気して溶存塩素量を0.01g
/l以下とし、pHを1.1〜1.8に調整して100
〜150ml/A・時の割合で給液して夫々電解し、第
1段電解槽では高純度の金属ニッケルを、第2段電解槽
では超高純度の金属ニッケルを得る点に特徴がある。
【0009】
【作用】本発明の基本は塩化ニッケル水溶液の電解採取
であり、カソードではニッケルが電着し、アノードにお
いては塩素ガスを発生する。このため不溶性アノードは
ろ布を張ったボックスに入れて塩素ガスを完全に回収で
きるようにする。回収した塩素ガスはニッケルマットの
塩素浸出に繰り返し使用出来る。不溶性アノードは何れ
であっても良いが、金属チタン等の基体上に白金族金属
酸化物等を含有する活性被膜を設けた不溶性電極が適当
である。
【0010】カソードは電着物と共に製品となるので所
定の品質が要求され、高純度ニッケルを得る場合は高純
度品を、超高純度ニッケルを得る場合は超高純度品を用
いる必要がある。電解スタート時のカソードとなる種板
は、チタン等の耐食性金属の母板をカソードとして、以
下に述べる本発明法に準じて種板電解を行い、所定の厚
さに電着すればこれを母板から剥離して得ると良い。
【0011】この種板に吊り手を付してニッケルカソー
ドとし、該カソードと前記ボックスに収容した不溶性ア
ノードとを電解槽内に交互に吊り下げ、純塩化ニッケル
水溶液から成る電解液を供給して通電する。
【0012】工業的には電解槽は複数設置するのが通常
であり、本発明においてはこれら電解槽を第1段電解槽
と第2段電解槽とに分け、第1段電解槽にはニッケル濃
度が65g/l以上、コバルト濃度が1.5mg/l以
下の塩化ニッケル水溶液を70〜100ml/A・時の
割合で給液する。
【0013】本発明はコバルトの電着率が給液速度に依
存することを見出だしたことに基づいている。即ち給液
速度が100ml/A・時以下でコバルトの電着率は8
0%以上となり、100ml/A・時以上では50%以
下となる。この結果第1段電解におけるコバルト濃度が
1.5mg/l以下であれば、第2段電解給液コバルト
濃度は概ね0.25mg/l以下となり、超高純度ニッ
ケルの製造が可能となる。第2段電解給液コバルト濃度
が0.25mg/l以上となる場合は第1段電解給液速
度を少なめに設定すれば良い。
【0014】第1段電解におけるコバルト濃度が1.5
mg/lを超えると第2段電解におけるコバルト濃度が
0.25mg/lを超え、超高純度ニッケルが得られな
くなる。又、第1段電解におけるコバルト濃度を0.5
mg/l以下とするには炭酸ニッケル使用量が増し、ニ
ッケル沈殿量も増すので好ましくなく、0.5〜1.5
mg/lが適当である。
【0015】一方電解操作においてカソード電流効率も
重要で、このカソード電流効率は電解液中のニッケル濃
度に比例する。この電解液中のニッケル濃度は、給液速
度が小さい程速かに低下するので給液速度をあまり小さ
くするのは好ましくない。このためニッケル濃度低下量
が15g/lを超えないように給液速度を70ml/A
・時以上とするのが望ましく、従って第1段電解におけ
る給液速度は70〜100ml/A・時とするのが良
い。
【0016】第1段電解における給液速度を70〜10
0ml/A・時とすると、電解液中のニッケル濃度が6
0g/l以下ではカソード電流効率は90%以下に急激
に低下し、60g/l以上ではカソード電流効率は90
〜92%の範囲で漸増する。従って高純度ニッケルのみ
を製造する場合はニッケル濃度を60g/l以上に維持
すれば十分である。しかしながら、その廃液を用いる第
2段の電解ではニッケル濃度が45〜50g/lとな
り、給液速度を100ml/A・時以上としてもカソー
ド電流効率は80%程度に低下することになる。この第
2段の電解におけるカソード電流効率を85%以上に維
持するにはニッケル濃度は最低55g/lは必要で、こ
のため第1段電解槽給液ニッケル濃度は65g/l以上
とする必要がある。ニッケル濃度は高い方がカソード電
流効率の点から好ましいが、無闇に高くする必要はな
く、80g/l程度を上限とするのが良い。
【0017】第2段電解槽には第1段電解槽の廃液を真
空脱気して溶存塩素量を0.01g/l以下とし、pH
を1.1〜1.8に調整して100〜150ml/A・
時の割合で給液する。第2段電解槽への給液溶存塩素量
を0.01g/l以下とするのは、カソードにおける塩
素の還元反応による電流効率の低下を防止するためであ
る。
【0018】又、カソード電流効率は電解液のpHに正
比例の関係にあり、カソード電流効率を90%以上に維
持するにはpHを1.1以上にする必要がある。但しp
Hが1.8を超えるとアノードにおける塩素発生効率が
著しく悪化する恐れがあり、pHの適当な範囲は1.1
〜1.8である。
【0019】第2段電解槽への給液速度は、前記のよう
にコバルト電着率を抑制するため、100ml/A・時
以上とされる。給液速度は大きい程好ましいが、必要以
上に大きくするのは経済的でなく、150ml/A・時
程度を上限とするのが良い。第1段電解槽と第2段電解
槽の給液速度のアンバランスは、第1段電解槽の数を第
2段電解槽の数より多くすることにより容易に解消す
る。
【0020】第1段電解槽及び第2段電解槽の廃液はニ
ッケルマットの塩素浸出に繰り返し、又はコバルト除去
用の炭酸ニッケル製造原料に用いることもできる。
【0021】
【実施例】容積7立方メートルの電解槽を2槽用意して
第1段電解槽及び第2段電解槽とし、2槽夫々にチタン
製の網に白金族金属の導電性酸化物を被覆した、740
mm幅、940mm長さの不溶性アノード37枚を、通
気度0.5ml/秒・cm2 のテトロンろ布を張ったア
ノードボックスに収容してセットし、第1段の電解槽に
は高純度ニッケルのカソード36枚をセットし、第2段
の電解槽には超高純度ニッケルのカソード36枚をセッ
トして電解採取実験に供した。ニッケルカソードの寸法
は何れも787mm幅、987mm長さとした。
【0022】実験は表1に示すように第1段電解槽及び
第2段電解槽の給液速度、ニッケル濃度、コバルト濃度
等を種々変えて行った。尚第1段電解給液のpHは1.
15で一定とし、第1段電解の廃液は−600mmHg
で1分間滞留する脱塩素処理を行い、溶存塩素量を0.
01g/lとした。電解温度は50〜55℃、電解電流
は各槽共14,000A・時とした。
【0023】
【表1】
【0024】実験結果を表1にまとめて示す。表1にお
いて、実験No.1は第1段電解給液速度が100ml
/A・時ではコバルト濃度1.5mg/lに対して除去
率が80%を下回り、その結果第2段電解給液のコバル
ト濃度が0.25mg/lを超え、電着ニッケル中のコ
バルトが10ppmを超えたことを示している。
【0025】実験No.2はこの第1段電解給液速度を
70ml/A・時とすることでコバルト除去率が上昇
し、第2段電解給液のコバルト濃度が0.25mg/l
以下となり、電着ニッケル中のコバルトが10ppm以
下になることを示している。
【0026】実験No.3〜6では何れも第2段電解で
超高純度ニッケルが得られており、実験No.1〜6を
通じてカソード電流効率は90%以上であることが判
る。
【0027】
【発明の効果】本発明により設備に格別の投資をするこ
となく、又浄液コストを大幅に上昇させることなく、経
済的に高純度ニッケルと超高純度ニッケルを製造するこ
とが可能になった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解槽に純塩化ニッケル水溶液を給液
    し、該電解液中に不溶性アノードとニッケルカソードを
    吊り下げて通電し、該電解液から金属ニッケルをカソー
    ド上に電着せしめる高純度ニッケルの製造方法におい
    て、電解槽を第1段電解槽と第2段電解槽とに分け、第
    1段電解槽にはニッケル濃度が65g/l以上、コバル
    ト濃度が1.5mg/l以下の塩化ニッケル水溶液を7
    0〜100ml/A・時の割合で給液し、第2段電解槽
    にはコバルト濃度が0.25mg/l以下となった第1
    段電解槽の廃液を真空脱気して溶存塩素量を0.01g
    /l以下とし、pHを1.1〜1.8に調整して100
    〜150ml/A・時の割合で給液して夫々電解し、第
    1段電解槽では高純度の金属ニッケルを、第2段電解槽
    では超高純度の金属ニッケルを得る高純度ニッケルの製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006010305A1 (fr) * 2004-07-28 2006-02-02 Jinchuan Group Ltd. Procede d'obtention d'un nickel de grande purete
CN105441974A (zh) * 2015-11-20 2016-03-30 金川集团股份有限公司 一种生产电积镍的方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006010305A1 (fr) * 2004-07-28 2006-02-02 Jinchuan Group Ltd. Procede d'obtention d'un nickel de grande purete
CN105441974A (zh) * 2015-11-20 2016-03-30 金川集团股份有限公司 一种生产电积镍的方法

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