JPH06136349A - 建築用ガスケット - Google Patents

建築用ガスケット

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JPH06136349A
JPH06136349A JP4283284A JP28328492A JPH06136349A JP H06136349 A JPH06136349 A JP H06136349A JP 4283284 A JP4283284 A JP 4283284A JP 28328492 A JP28328492 A JP 28328492A JP H06136349 A JPH06136349 A JP H06136349A
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thermoplastic elastomer
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山 晃 内
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藤 雄 一 伊
Tokushige Murakami
上 徳 茂 村
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    • B60JWINDOWS, WINDSCREENS, NON-FIXED ROOFS, DOORS, OR SIMILAR DEVICES FOR VEHICLES; REMOVABLE EXTERNAL PROTECTIVE COVERINGS SPECIALLY ADAPTED FOR VEHICLES
    • B60J10/00Sealing arrangements
    • B60J10/15Sealing arrangements characterised by the material
    • B60J10/17Sealing arrangements characterised by the material provided with a low-friction material on the surface

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Sealing Material Composition (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Securing Of Glass Panes Or The Like (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の建築用ガスケットは、特定の熱可塑性
エラストマー(A)層と、特定の超高分子量ポリオレフ
ィン組成物(B)層とで構成されており、超高分子量ポ
リオレフィン組成物(B)が、特定の極限粘度を有する
超高分子量ポリオレフィンと、特定の極限粘度を有する
ポリオレフィンとからなる。 【効果】本発明の建築用ガスケットは、従来の軟質合成
樹脂製あるいは加硫ゴム製ガスケットに比べ、耐摩耗
性、耐久性、摺動特性に優れるとともに、容易に製造す
ることができ、経済性に優れている。また、本発明に係
る建築用ガスケットは、従来の軟質合成樹脂あるいは加
硫ゴム製ガスケットに比べ、軽量であり、可塑剤等の滲
出による表面のベタつきもなく、しかも、機械的強度、
耐熱性、耐熱老化性、耐候性、寸法安定性に優れてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、建築用ガスケットに関
し、さらに詳しくは、熱可塑性エラストマー製基体層と
滑性樹脂表面層とからなる積層体により構成される摺動
部を備えた建築用ガスケットに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】一般に建築物の扉、戸、サッシ等
では、人の出入りのため、あるいは通風換気のために、
開閉操作が必要である。扉等の開閉操作を容易にしなが
ら、しかも扉と扉が当たる部位との緊密的な密閉操作を
可能とするために、ガスケットと呼ばれる案内部材が扉
等に設けられている。
【0003】従来の建築用ガスケットは、軟質塩化ビニ
ル樹脂のような軟質合成樹脂や、エチレン・プロピレン
・ジエン共重合ゴム等の加硫ゴムが多く用いられてい
る。また、より高性能な摺動特性が要求される部位に
は、発泡シリコンゴム等の特殊な材料が用いられてい
る。
【0004】従来の合成軟質樹脂製ガスケットや加硫ゴ
ム製ガスケットは、特に摺動特性に優れているわけでは
ないので、長期の使用によりヘタリを生じたり、大きく
変形したりして、ガスケットとしての機能が低下しやす
いという傾向があった。
【0005】また、発泡シリコンゴム等の摺動特性に優
れた材料を使用することにより、上記問題点は解決でき
るが、一般的な軟質合成樹脂や加硫ゴムに比べてコスト
が高いという問題があった。
【0006】そこで、本発明者らは、建築用ガスケット
の上記のような問題を解決すべく鋭意研究し、建築用ガ
スケットの少なくとも摺動部を構成するエラストマーと
してポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを選択し、
そのポリオレフィン系熱可塑性エラストマー層上に特定
の超高分子量ポリオレフィン組成物を熱融着させて積層
すれば、製造作業が容易であり、しかも、耐久性、扉等
の閉鎖時における緊密接触性、および開放時における軽
快摺動性に優れた建築用ガスケットを安価に得ることが
できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、経済性に優れ
るとともに、耐久性、扉等の閉鎖時における緊密接触
性、および開放時における軽快摺動性に優れた建築用ガ
スケットを提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る建築用ガスケットは、熱可
塑性エラストマー(A)からなる層と、超高分子量ポリ
オレフィン組成物(B)からなる層とから構成されてお
り、該超高分子量ポリオレフィン組成物(B)が、13
5℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が10〜
40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフィン
と、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]
が0.1〜5dl/gの範囲内にあるポリオレフィンと
から実質的になり、超高分子量ポリオレフィンが、超高
分子量ポリオレフィンとポリオレフィンとの総重量10
0重量%に対して15〜40重量%の割合で存在し、か
つ、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)の135℃
デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が3.5〜
8.3dl/gの範囲内にあることを特徴としている。
【0009】前記熱可塑性エラストマー(A)として
は、結晶性ポリプロピレン(a)70〜10重量部と、
エチレン・プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン・プ
ロピレン・ジエン共重合体ゴムからなるゴム(b)30
〜90重量部[成分(a)および(b)の合計量は、1
00重量部とする]とからなる混合物を、有機ペルオキ
シドの存在下で動的に熱処理して得られる、上記ゴム
(b)が部分的に架橋された熱可塑性エラストマーが好
ましい。
【0010】また、前記超高分子量ポリオレフィン組成
物(B)は、該超高分子量ポリオレフィン組成物(B)
当り1〜20重量%の液体ないし固体の潤滑油を含有し
ていてもよい。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る建築用ガスケ
ットについて具体的に説明する。本発明に係る建築用ガ
スケットは、熱可塑性エラストマー(A)からなる層
と、特定の超高分子量ポリオレフィン組成物(B)から
なる層とから構成されている。
【0012】まず、これらの層を構成する上記成分につ
いて説明する。熱可塑性エラストマー(A) 本発明で用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、結
晶性ポリオレフィンとゴムとから構成されている。
【0013】本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン
としては、炭素原子数2〜20のα- オレフィンの単独
重合体または共重合体が挙げられる。上記結晶性ポリオ
レフィンの具体的な例としては、以下のような重合体が
挙げられる。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα- オレフィ
ンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニル
モノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと10モル%以下の他のα- オレフィン
とのランダム共重合体 (8)4-メチル-1- ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα
- オレフィンとのランダム共重合体 上記のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0014】本発明で用いられるゴムとしては、特に制
限はないが、オレフィン系共重合体ゴムが好ましい。上
記のオレフィン系共重合体ゴムは、炭素原子数2〜20
のα- オレフィンを主成分とする無定形ランダムな弾性
共重合体であって、2種以上のα- オレフィンからなる
非晶性α- オレフィン共重合体、2種以上のα- オレフ
ィンと非共役ジエンとからなるα- オレフィン・非共役
ジエン共重合体などがある。
【0015】このようなオレフィン系共重合体ゴムの具
体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。 (1)エチレン・α- オレフィン共重合体ゴム [エチレン/α- オレフィン(モル比)=約90/10
〜50/50] (2)エチレン・α- オレフィン・非共役ジエン共重合
体ゴム [エチレン/α- オレフィン(モル比)=約90/10
〜50/50] (3)プロピレン・α- オレフィン共重合体ゴム [プロピレン/α- オレフィン(モル比)=約90/1
0〜50/50] (4)ブテン・α- オレフィン共重合体ゴム [ブテン/α- オレフィン(モル比)=約90/10〜
50/50] 上記α- オレフィンとしては、具体的には、上記した結
晶性ポリオレフィンを構成するα- オレフィンの具体的
な例と同様のα- オレフィンが挙げられる。
【0016】上記非共役ジエンとしては、具体的には、
ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオク
タジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボル
ネンなどが挙げられる。
【0017】これらの共重合体ゴムのムーニー粘度ML
1+4 (100℃)は、10〜250、特に40〜150
が好ましい。また、上記非共役ジエンが共重合している
場合のヨウ素価は、25以下が好ましい。
【0018】上記のオレフィン系共重合体ゴムは、熱可
塑性エラストマー中において、非架橋、部分架橋、全体
架橋など、すべての架橋状態で存在することができる
が、本発明においては、部分架橋状態で存在しているこ
とが好ましい。
【0019】本発明において用いられるゴムとしては、
上記のオレフィン系共重合体ゴムのほかに、他のゴム、
たとえばスチレン- ブタジエンゴム(SBR)、ニトリ
ルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(I
IR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレン
などが挙げられる。
【0020】本発明で用いられる熱可塑性エラストマー
において、結晶性ポリオレフィンとゴムとの重量配合比
(結晶性ポリオレフィン/ゴム)は、90/10〜10
/90、好ましくは、70/30〜10/90の範囲で
ある。
【0021】また、ゴムとして、オレフィン系共重合体
ゴムとその他のゴムを組合わせて用いる場合には、その
他のゴムは、結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量1
00重量部に対して、40重量部以下、好ましくは5〜
20重量部の割合で配合する。
【0022】本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラ
ストマーは、結晶性ポリプロピレンと、エチレン・α-
オレフィン共重合体ゴムもしくはエチレン・α- オレフ
ィン・非共役ジエン共重合体ゴムとからなり、熱可塑性
エラストマー中においてこれらが部分架橋された状態で
存在し、かつ、結晶性ポリプロピレンとゴムとの重量配
合比(結晶性ポリプロピレン/ゴム)が70/30〜1
0/90の範囲内にある。
【0023】上記の熱可塑性エラストマーには、必要に
応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐
候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤などの添
加物を、本発明の目的を損なわない範囲で配合すること
ができる。
【0024】本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラ
ストマーのより具体的な例としては、結晶性ポリプロピ
レン(a)60〜10重量部と、エチレン・プロピレン
共重合体ゴムまたはエチレン・プロピレン・ジエン共重
合体ゴムからなるゴム(b)40〜90重量部[成分
(a)および(b)の合計量は、100重量部とする]
と、このゴム(b)以外のゴム(c)および/または鉱
物油系軟化剤(d)5〜100重量部とからなる混合物
を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得ら
れる、上記ゴム(b)が部分的に架橋された熱可塑性エ
ラストマーが挙げられる。
【0025】上記有機ペルオキシドとしては、具体的に
は、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシ
ド、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)
ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオ
キシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシ
イソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペル
オキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル
-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベ
ンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチ
ルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルベンゾエ
ート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシ
ド、tert-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられ
る。
【0026】これらの内では、臭気性、スコーチ安定性
の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチル
ペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブ
チル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート
が好ましく、なかでも、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0027】本発明においては、有機ペルオキシドは、
結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量100重量%に
対して、0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重
量%の割合で用いられる。
【0028】本発明においては、上記有機ペルオキシド
による部分架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシ
ム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N
-4- ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニ
ルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニ
レンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、ある
いはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレ
ートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレート
のような多官能性ビニルモノマーを配合することができ
る。
【0029】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明に
おいては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニル
ベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分
である結晶性ポリオレフィンおよびゴムとの相溶性が良
好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を
有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処
理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランス
のとれた熱可塑性エラストマーが得られる。
【0030】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体に対して、0.1〜2重量%、特に0.3〜1重
量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多
官能性ビニルモノマーの配合割合が2重量%を超える
と、有機ペルオキシドの配合量が多い場合には、架橋反
応が速く進行し過ぎるため、得られる熱可塑性エラスト
マーは、流動性に劣り、一方、有機ペルオキシドの配合
量が少ない場合には、架橋助剤および多官能性ビニルモ
ノマーが、熱可塑性エラストマー中に未反応のモノマー
として残存し、熱可塑性エラストマーは、加工成形の際
に熱履歴による物性の変化が生じたりする。したがっ
て、架橋助剤および多官能性ビニルモノマーは、過剰に
配合すべきではない。
【0031】上記の「動的に熱処理する」とは、上記の
ような各成分を融解状態で混練することをいう。混練装
置としては、従来公知の混練装置、たとえば開放型のミ
キシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出
機、ニーダー、連続ミキサーなどが用いられる。これら
の内では、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒
素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行なう
ことが好ましい。
【0032】また、混練は、使用する有機ペルオキシド
の半減期が1分未満となる温度で行なうのが望ましい。
混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは、17
0〜240℃であり、混練時間は、1〜20分間、好ま
しくは3〜10分間である。また、加えられる剪断力
は、剪断力で通常、10〜105 sec-1、好ましくは
102 〜104 sec-1の範囲内で決定される。
【0033】本発明で用いられる好ましい熱可塑性エラ
ストマーは、部分的に架橋されているが、この「部分的
に架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル含量が
20〜98%の範囲内にある場合をいい、本発明におい
ては、ゲル含量が45〜98%の範囲内にあることが好
ましい。
【0034】[ゲル含量の測定法]試料として熱可塑性
エラストマーのペレットを約100mg秤量し、密閉容
器中にてこのペレットに対して充分な量である30ml
のシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬する。
【0035】次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温
にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。ゲル含量
は、次式で表わされる。 ゲル含量[%]=(シクロヘキサン浸漬後の乾燥重量)
÷(シクロヘキサン浸漬前の重量)×100 本発明に係る建築用ガスケットの一層を構成する熱可塑
性エラストマー(A)は、結晶性ポリオレフィンと、ゴ
ムとからなるため、流動性に優れている。
【0036】超高分子量ポリオレフィン組成物(B) 本発明で用いられる超高分子量ポリオレフィン組成物
(B)は、滑性樹脂であり、具体的な例としては、以下
のような超高分子量ポリオレフィン組成物が挙げられ
る。 (1)135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度
[η]が10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量
ポリオレフィンと、135℃デカリン溶媒中で測定した
極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの範囲内にあるポ
リオレフィンとから実質的になり、超高分子量ポリオレ
フィンが、超高分子量ポリオレフィンとポリオレフィン
との総重量100重量%に対して15〜40重量%の割
合で存在し、かつ、超高分子量ポリオレフィン組成物の
135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が
3.5〜8.3dl/gの範囲内にある超高分子量ポリ
オレフィン組成物。 (2)上記(1)の超高分子量ポリオレフィン組成物
と、この超高分子量ポリオレフィン組成物当り1〜20
重量%の液体ないし固体の潤滑油とからなる組成物。
【0037】上記のような超高分子量ポリオレフィンお
よびポリオレフィンは、たとえばエチレン、プロピレ
ン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、
1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1- ペンテン、3-メチ
ル-1- ペンテンなどのα- オレフィンの単独重合体また
は共重合体からなる。本発明においては、エチレン単独
重合体、およびエチレンと他のα- オレフィンとからな
る、エチレンを主成分とする共重合体が望ましい。
【0038】上記(2)の組成物で用いられる液体潤滑
油としては、石油系潤滑油、合成潤滑油などが使用され
る。石油系潤滑油としては、具体的には、流動パラフィ
ン、スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、タービン
油、マシン油、シリンダー油などが使用される。
【0039】合成潤滑油としては、具体的には、合成炭
化水素油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル
油、エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン油、フルオロエステル油、塩素化ビフェ
ニル油、シリコーン油などが使用される。
【0040】また、上記(2)の組成物で用いられる固
体潤滑油としては、具体的には、黒鉛、二硫化モリブデ
ンが主に使用されるが、他に窒化ホウ素、二硫化タング
ステン、酸化鉛、ガラス粉、金属石けんなども、使用す
ることができる。固体潤滑油は、単独でも使用すること
ができ、また、液体潤滑油と組み合わせて使用すること
ができ、たとえば粉末、ゾル、ゲル、サスペンソイドな
どの形態で超高分子量ポリオレフィンに配合することが
できる。
【0041】上記の超高分子量ポリオレフィン組成物
(B)には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定
剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着
色剤、滑剤などの添加物を、本発明の目的を損なわない
範囲で配合することができる。
【0042】上記(1)および(2)の超高分子量ポリ
オレフィン組成物は、ポリオレフィン系熱可塑性エラス
トマーとの共押出積層加工が行なえるため、本発明の建
築用ガスケットの製造に際し、フィルム(シート)成形
工程を経ることなく、直接、ポリオレフィン系熱可塑性
エラストマー層(基体層)と超高分子量ポリオレフィン
層とを積層することができ、経済的である。
【0043】一方、超高分子量ポリオレフィン、たとえ
ば上記(1)における135℃デカリン溶媒中で測定し
た極限粘度[η]が10〜40dl/gの範囲内にある
超高分子量ポリオレフィン単独では、ポリオレフィン系
熱可塑性エラストマーとの共押出積層加工を行なうこと
はできず、したがって、ポリオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー層と超高分子量ポリオレフィン層との積層に際
しては、少なくとも一方を予めフィルム(シート)にし
ておく必要があり、上記超高分子量ポリオレフィン組成
物の場合と比較すると経済性に劣る。
【0044】建築用ガスケット 上述したように、本発明に係る建築用ガスケットは、上
記のような熱可塑性エラストマー(A)からなる層(基
体層)と、上記のような超高分子量ポリオレフィン組成
物(B)からなる層(滑性樹脂層)とで構成されてい
る。
【0045】本発明に係る建築用ガスケットは、上記の
両層を積層させることによって得ることができる。熱可
塑性エラストマー(A)層[以下、(A)層と略す]と
超高分子量ポリオレフィン組成物(B)層[以下、
(B)層と略す]との積層方法は、ガスケットの形状、
大きさ、要求性能により異なり、特に限定されないが、
たとえば以下のような積層方法が挙げられる。 (1)予め成形された(A)層、(B)層を、少なくと
も一方の層が溶融する温度以上の温度で圧縮成形機など
を用いて熱融着する方法。 (2)多層押出成形機で(A)層と(B)層とを同時に
押出成形して熱融着する方法(共押出成形)。
【0046】本発明においては、(A)層の厚さは0.
1〜50mm、また、(B)層の厚さは5μm〜10m
mであることが、一般的に好ましい。本発明に係る建築
用ガスケットにおいて、上記熱可塑性エラストマー
(A)からなる層は、結晶性ポリオレフィンと、ゴムと
からなるため、耐熱性、耐熱老化性およびゴム弾性に優
れている。
【0047】また、本発明に係る建築用ガスケットにお
いて、上記の超高分子量ポリオレフィン組成物(B)か
らなる層は、耐摩耗性、耐傷付性、摺動性および耐薬品
性に優れている。
【0048】本発明に係る建築用ガスケットの使用例を
図1に示す。壁1と壁2の間に扉3と扉4の2枚の扉が
ある。扉3は蝶番5を支点にP−Q方向に回転し、扉4
との接触部にガスケット6が付いている。
【0049】一方、扉4はR−S方向に移動し、扉3と
はガスケット6を介して、また、壁2とは2個のガスケ
ット7を介して緊密に接触することができる。図2にガ
スケット6の横断面を示す。
【0050】このガスケット6は、上記熱可塑性エラス
トマー(A)からなる基体層8、9と、上記超高分子量
ポリオレフィン組成物(B)からなる滑性樹脂層10と
で構成され、2つの層は十分な強度で熱融着されてい
る。上記基体層8、9のうち、基体層9は扉3への埋め
込み部である。
【0051】ガスケット6は、扉3を閉めて扉4と接触
させ、U字部が圧縮変形した状態で鍵(図示せず)をか
けることにより扉3と扉4との緊密性を保持することが
できる。
【0052】さらに、扉4の開閉時にはガスケット6の
U字部分が変形して、扉3と扉4との緊密性を保つが、
摺動特性に優れる超高分子量ポリオレフィン(B)から
なる層10が開閉時に要する力を大幅に低減するため、
扉4は軽快に開閉することができる。
【0053】図3にガスケット7の横断面を示す。この
ガスケット7は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー(A)からなる基体層11、12と、超高分子量ポリ
オレフィン組成物(B)からなる滑性樹脂層13とで構
成され、2つの層は十分な強度で熱融着されている。上
記基体層11、12のうち、層12は壁2への埋め込み
部である。
【0054】ガスケット7は、扉4との接触時には先端
のヒレ部分が変形し、壁2と扉4との緊密性を保つ。ガ
スケット7のヒレ部には、柔軟性とともに摺動性、耐久
性が要求されるが、この部分の表層に摺動性、耐久性に
優れる超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる
滑性樹脂層13を用いることにより扉4は軽快に開閉す
ることができる。
【0055】本発明によれば、建築用ガスケットとして
オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)からなる基体
層の上に、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)から
なる滑性樹脂層を設けることにより摺動性、耐久性に優
れたガスケットを得ることができ、扉の円滑軽快な開閉
操作が可能となる。
【0056】本発明で用いられる熱可塑性エラストマー
(A)は、任意の形状および寸法に熱成形することが可
能であるとともに、建築用ガスケットの摺動部に要求さ
れる弾性、柔軟性、可圧縮性等の特性に優れており、し
かも耐久性、耐候性、耐水性等の性質にも優れている。
【0057】
【発明の効果】本発明に係る建築用ガスケットは、従来
の軟質合成樹脂製あるいは加硫ゴム製ガスケットに比
べ、耐摩耗性、耐久性、摺動特性に優れるとともに、容
易に製造することができ、経済性に優れている。
【0058】また、本発明に係る建築用ガスケットは、
従来の軟質合成樹脂あるいは加硫ゴム製ガスケットに比
べ、軽量であり、可塑剤等の滲出による表面のベタつき
もなく、しかも、機械的強度、耐熱性、耐熱老化性、耐
候性、寸法安定性に優れている。
【0059】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0060】
【実施例1】エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-
ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含有量:70モル
%、ヨウ素価:12、ムーニー粘度ML1+4 (100
℃):120]75重量部と、ポリプロピレン[MF
R:13g/10分(ASTMD 1238−65T、
230℃)、密度:0.91g/cm3 ]25重量部と
を、バンバリーミキサーを用いて窒素雰囲気下で、18
0℃で5分間混練した後、この混練物をロールに通して
シート状とし、シートカッターで裁断して角ペレットを
製造した。
【0061】この角ペレットに、ジビニルベンゼン0.
5重量部と、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン0.3重量部を添加してヘンシェルミキサ
ーで攪拌混合した。
【0062】次いで、この混合物を、L/D=30、ス
クリュー径50mmの一軸押出機を用いて窒素雰囲気下
に220℃の温度で押出して、ポリオレフィン系熱可塑
性エラストマーを得た。
【0063】得られたポリオレフィン系熱可塑性エラス
トマーのゲル含量は、上記した方法により求めたとこ
ろ、97重量%であった。このポリオレフィン系熱可塑
性エラストマーと、135℃のデカリン溶媒中で測定し
た極限粘度[η]が7.0dl/g、密度が0.965
g/cm3 である超高分子量ポリエチレン組成物とを2
30℃の温度で共押出成形して本発明のガスケットを得
た。
【0064】なお、この超高分子量ポリエチレン組成物
は、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度
[η]が28dl/gの超高分子量ポリエチレン23重
量%と135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度
[η]が0.73dl/gの低分子量ポリエチレン77
重量%とからなる。
【0065】得られたガスケットの形状は図2に示す通
りであり、このガスケットの寸法は、w1 が9.0m
m、w2 およびw3 がそれぞれ1.5mm、tが1.0
mm、hが8.0mm、U字部の厚みが0.8mm、超
高分子量ポリエチレン層の厚みが平均30μmであっ
た。
【0066】得られたガスケットを図1に示す扉3のガ
スケット6として装着し、厚さ8mmのガラス製の扉4
を繰り返し開閉して耐久試験を行なった。その結果、こ
のガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐
え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0067】しかしながら、従来品の軟質塩化ビニル樹
脂製ガスケットは、22,000回で扉との接触面にお
いて破壊を生じ、その結果、扉との摩擦抵抗が著しく増
大して使用に耐えなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る建築用ガスケットの一例
の使用状態を説明するための概略横断平面図である。
【図2】図2は、図1におけるガスケット6の横断面図
である。
【図3】図3は、図1におけるガスケット7の横断面図
である。
【符号の説明】
1,2 ・・・・ 壁 3,4 ・・・・ 扉 5 ・・・・ 蝶番 6,7 ・・・・ ガスケット 8,9 ・・・・ 熱可塑性エラストマーからなる層 10 ・・・・ 超高分子量ポリオレフィン組成物からなる層 11,12 ・・・・ 熱可塑性エラストマーからなる層 13 ・・・・ 超高分子量ポリオレフィン組成物からなる層
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 建築用ガスケット
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、建築用ガスケットに関
し、さらに詳しくは、熱可塑性エラストマー製基体層と
滑性樹脂表面層とからなる積層体により構成される摺動
部を備えた建築用ガスケットに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】一般に建築物の扉、戸、サッシ等
では、人の出入りのため、あるいは通風換気のために、
開閉操作が必要である。扉等の開閉操作を容易にしなが
ら、しかも扉と扉が当たる部位との緊密的な密閉操作を
可能とするために、ガスケットと呼ばれる案内部材が扉
等に設けられている。
【0003】従来の建築用ガスケットは、軟質塩化ビニ
ル樹脂のような軟質合成樹脂や、エチレン・プロピレン
・ジエン共重合ゴム等の加硫ゴムが多く用いられてい
る。また、より高性能な摺動特性が要求される部位に
は、発泡シリコンゴム等の特殊な材料が用いられてい
る。
【0004】従来の合成軟質樹脂製ガスケットや加硫ゴ
ム製ガスケットは、特に摺動特性に優れているわけでは
ないので、長期の使用によりヘタリを生じたり、大きく
変形したりして、ガスケットとしての機能が低下しやす
いという傾向があった。
【0005】また、発泡シリコンゴム等の摺動特性に優
れた材料を使用することにより、上記問題点は解決でき
るが、一般的な軟質合成樹脂や加硫ゴムに比べてコスト
が高いという問題があった。
【0006】そこで、本発明者らは、建築用ガスケット
の上記のような問題を解決すべく鋭意研究し、建築用ガ
スケットの少なくとも摺動部を構成するエラストマーと
してポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを選択し、
そのポリオレフィン系熱可塑性エラストマー層上に特定
の超高分子量ポリオレフィン組成物を熱融着させて積層
すれば、製造作業が容易であり、しかも、耐久性、扉等
の閉鎖時における緊密接触性、および開放時における軽
快摺動性に優れた建築用ガスケットを安価に得ることが
できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、経済性に優れ
るとともに、耐久性、扉等の閉鎖時における緊密接触
性、および開放時における軽快摺動性に優れた建築用ガ
スケットを提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る建築用ガスケットは、熱可
塑性エラストマー(A)からなる層と、超高分子量ポリ
オレフィン組成物(B)からなる層とから構成されてお
り、該超高分子量ポリオレフィン組成物(B)が、13
5℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が10〜
40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフィン
と、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]
が0.1〜5dl/gの範囲内にあるポリオレフィンと
から実質的になり、超高分子量ポリオレフィンが、超高
分子量ポリオレフィンとポリオレフィンとの総重量10
0重量%に対して15〜40重量%の割合で存在し、か
つ、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)の135℃
デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が3.5〜
8.3dl/gの範囲内にあることを特徴としている。
【0009】前記熱可塑性エラストマー(A)として
は、結晶性ポリプロピレン(a)70〜10重量部と、
エチレン・プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン・プ
ロピレン・ジエン共重合体ゴムからなるゴム(b)30
〜90重量部[成分(a)および(b)の合計量は、1
00重量部とする]とからなる混合物を、有機ペルオキ
シドの存在下で動的に熱処理して得られる、上記ゴム
(b)が部分的に架橋された熱可塑性エラストマーが好
ましい。
【0010】また、前記超高分子量ポリオレフィン組成
物(B)は、該超高分子量ポリオレフィン組成物(B)
当り1〜20重量%の液体ないし固体の潤滑油を含有し
ていてもよい。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る建築用ガスケ
ットについて具体的に説明する。本発明に係る建築用ガ
スケットは、熱可塑性エラストマー(A)からなる層
と、特定の超高分子量ポリオレフィン組成物(B)から
なる層とから構成されている。
【0012】まず、これらの層を構成する上記成分につ
いて説明する。熱可塑性エラストマー(A) 本発明で用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、結
晶性ポリオレフィンとゴムとから構成されている。
【0013】本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン
としては、炭素原子数2〜20のα- オレフィンの単独
重合体または共重合体が挙げられる。上記結晶性ポリオ
レフィンの具体的な例としては、以下のような重合体が
挙げられる。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα- オレフィ
ンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニル
モノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと10モル%以下の他のα- オレフィン
とのランダム共重合体 (8)4-メチル-1- ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα
- オレフィンとのランダム共重合体 上記のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0014】本発明で用いられるゴムとしては、特に制
限はないが、オレフィン系共重合体ゴムが好ましい。上
記のオレフィン系共重合体ゴムは、炭素原子数2〜20
のα- オレフィンを主成分とする無定形ランダムな弾性
共重合体であって、2種以上のα- オレフィンからなる
非晶性α- オレフィン共重合体、2種以上のα- オレフ
ィンと非共役ジエンとからなるα- オレフィン・非共役
ジエン共重合体などがある。
【0015】このようなオレフィン系共重合体ゴムの具
体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。 (1)エチレン・α- オレフィン共重合体ゴム [エチレン/α- オレフィン(モル比)=約90/10
〜50/50] (2)エチレン・α- オレフィン・非共役ジエン共重合
体ゴム [エチレン/α- オレフィン(モル比)=約90/10
〜50/50] (3)プロピレン・α- オレフィン共重合体ゴム [プロピレン/α- オレフィン(モル比)=約90/1
0〜50/50] (4)ブテン・α- オレフィン共重合体ゴム [ブテン/α- オレフィン(モル比)=約90/10〜
50/50] 上記α- オレフィンとしては、具体的には、上記した結
晶性ポリオレフィンを構成するα- オレフィンの具体的
な例と同様のα- オレフィンが挙げられる。
【0016】上記非共役ジエンとしては、具体的には、
ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオク
タジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボル
ネンなどが挙げられる。
【0017】これらの共重合体ゴムのムーニー粘度ML
1+4 (100℃)は、10〜250、特に40〜150
が好ましい。また、上記非共役ジエンが共重合している
場合のヨウ素価は、25以下が好ましい。
【0018】上記のオレフィン系共重合体ゴムは、熱可
塑性エラストマー中において、非架橋、部分架橋、全体
架橋など、すべての架橋状態で存在することができる
が、本発明においては、部分架橋状態で存在しているこ
とが好ましい。
【0019】本発明において用いられるゴムとしては、
上記のオレフィン系共重合体ゴムのほかに、他のゴム、
たとえばスチレン- ブタジエンゴム(SBR)、ニトリ
ルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(I
IR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレン
などが挙げられる。
【0020】本発明で用いられる熱可塑性エラストマー
において、結晶性ポリオレフィンとゴムとの重量配合比
(結晶性ポリオレフィン/ゴム)は、90/10〜10
/90、好ましくは、70/30〜10/90の範囲で
ある。
【0021】また、ゴムとして、オレフィン系共重合体
ゴムとその他のゴムを組合わせて用いる場合には、その
他のゴムは、結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量1
00重量部に対して、40重量部以下、好ましくは5〜
20重量部の割合で配合する。
【0022】本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラ
ストマーは、結晶性ポリプロピレンと、エチレン・α-
オレフィン共重合体ゴムもしくはエチレン・α- オレフ
ィン・非共役ジエン共重合体ゴムとからなり、熱可塑性
エラストマー中においてこれらが部分架橋された状態で
存在し、かつ、結晶性ポリプロピレンとゴムとの重量配
合比(結晶性ポリプロピレン/ゴム)が70/30〜1
0/90の範囲内にある。
【0023】上記の熱可塑性エラストマーには、必要に
応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐
候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤などの添
加物を、本発明の目的を損なわない範囲で配合すること
ができる。
【0024】本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラ
ストマーのより具体的な例としては、結晶性ポリプロピ
レン(a)60〜10重量部と、エチレン・プロピレン
共重合体ゴムまたはエチレン・プロピレン・ジエン共重
合体ゴムからなるゴム(b)40〜90重量部[成分
(a)および(b)の合計量は、100重量部とする]
と、このゴム(b)以外のゴム(c)および/または鉱
物油系軟化剤(d)5〜100重量部とからなる混合物
を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得ら
れる、上記ゴム(b)が部分的に架橋された熱可塑性エ
ラストマーが挙げられる。
【0025】上記有機ペルオキシドとしては、具体的に
は、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシ
ド、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)
ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオ
キシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシ
イソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペル
オキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル
-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベ
ンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチ
ルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルベンゾエ
ート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシ
ド、tert-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられ
る。
【0026】これらの内では、臭気性、スコーチ安定性
の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチル
ペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブ
チル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート
が好ましく、なかでも、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0027】本発明においては、有機ペルオキシドは、
結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量100重量%に
対して、0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重
量%の割合で用いられる。
【0028】本発明においては、上記有機ペルオキシド
による部分架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシ
ム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N
-4- ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニ
ルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニ
レンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、ある
いはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレ
ートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレート
のような多官能性ビニルモノマーを配合することができ
る。
【0029】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明に
おいては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニル
ベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分
である結晶性ポリオレフィンおよびゴムとの相溶性が良
好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を
有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処
理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランス
のとれた熱可塑性エラストマーが得られる。
【0030】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体に対して、0.1〜2重量%、特に0.3〜1重
量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多
官能性ビニルモノマーの配合割合が2重量%を超える
と、有機ペルオキシドの配合量が多い場合には、架橋反
応が速く進行し過ぎるため、得られる熱可塑性エラスト
マーは、流動性に劣り、一方、有機ペルオキシドの配合
量が少ない場合には、架橋助剤および多官能性ビニルモ
ノマーが、熱可塑性エラストマー中に未反応のモノマー
として残存し、熱可塑性エラストマーは、加工成形の際
に熱履歴による物性の変化が生じたりする。したがっ
て、架橋助剤および多官能性ビニルモノマーは、過剰に
配合すべきではない。
【0031】上記の「動的に熱処理する」とは、上記の
ような各成分を融解状態で混練することをいう。混練装
置としては、従来公知の混練装置、たとえば開放型のミ
キシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出
機、ニーダー、連続ミキサーなどが用いられる。これら
の内では、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒
素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行なう
ことが好ましい。
【0032】また、混練は、使用する有機ペルオキシド
の半減期が1分未満となる温度で行なうのが望ましい。
混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは、17
0〜240℃であり、混練時間は、1〜20分間、好ま
しくは3〜10分間である。また、加えられる剪断力
は、剪断力で通常、10〜105 sec-1、好ましくは
102 〜104 sec-1の範囲内で決定される。
【0033】本発明で用いられる好ましい熱可塑性エラ
ストマーは、部分的に架橋されているが、この「部分的
に架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル含量が
20〜98%の範囲内にある場合をいい、本発明におい
ては、ゲル含量が45〜98%の範囲内にあることが好
ましい。
【0034】[ゲル含量の測定法]試料として熱可塑性
エラストマーのペレットを約100mg秤量し、密閉容
器中にてこのペレットに対して充分な量である30ml
のシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬する。
【0035】次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温
にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。ゲル含量
は、次式で表わされる。 ゲル含量[%]=(シクロヘキサン浸漬後の乾燥重量)
÷(シクロヘキサン浸漬前の重量)×100 本発明に係る建築用ガスケットの一層を構成する熱可塑
性エラストマー(A)は、結晶性ポリオレフィンと、ゴ
ムとからなるため、流動性に優れている。
【0036】超高分子量ポリオレフィン組成物(B) 本発明で用いられる超高分子量ポリオレフィン組成物
(B)は、滑性樹脂であり、具体的な例としては、以下
のような超高分子量ポリオレフィン組成物が挙げられ
る。 (1)135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度
[η]が10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量
ポリオレフィンと、135℃デカリン溶媒中で測定した
極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの範囲内にあるポ
リオレフィンとから実質的になり、超高分子量ポリオレ
フィンが、超高分子量ポリオレフィンとポリオレフィン
との総重量100重量%に対して15〜40重量%の割
合で存在し、かつ、超高分子量ポリオレフィン組成物の
135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が
3.5〜8.3dl/gの範囲内にある超高分子量ポリ
オレフィン組成物。 (2)上記(1)の超高分子量ポリオレフィン組成物
と、この超高分子量ポリオレフィン組成物当り1〜20
重量%の液体ないし固体の潤滑油とからなる組成物。
【0037】上記のような超高分子量ポリオレフィンお
よびポリオレフィンは、たとえばエチレン、プロピレ
ン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、
1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1- ペンテン、3-メチ
ル-1- ペンテンなどのα- オレフィンの単独重合体また
は共重合体からなる。本発明においては、エチレン単独
重合体、およびエチレンと他のα- オレフィンとからな
る、エチレンを主成分とする共重合体が望ましい。
【0038】上記(2)の組成物で用いられる液体潤滑
油としては、石油系潤滑油、合成潤滑油などが使用され
る。石油系潤滑油としては、具体的には、流動パラフィ
ン、スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、タービン
油、マシン油、シリンダー油などが使用される。
【0039】合成潤滑油としては、具体的には、合成炭
化水素油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル
油、エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン油、フルオロエステル油、塩素化ビフェ
ニル油、シリコーン油などが使用される。
【0040】また、上記(2)の組成物で用いられる固
体潤滑油としては、具体的には、黒鉛、二硫化モリブデ
ンが主に使用されるが、他に窒化ホウ素、二硫化タング
ステン、酸化鉛、ガラス粉、金属石けんなども、使用す
ることができる。固体潤滑油は、単独でも使用すること
ができ、また、液体潤滑油と組み合わせて使用すること
ができ、たとえば粉末、ゾル、ゲル、サスペンソイドな
どの形態で超高分子量ポリオレフィンに配合することが
できる。
【0041】上記の超高分子量ポリオレフィン組成物
(B)には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定
剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着
色剤、滑剤などの添加物を、本発明の目的を損なわない
範囲で配合することができる。
【0042】上記(1)および(2)の超高分子量ポリ
オレフィン組成物は、ポリオレフィン系熱可塑性エラス
トマーとの共押出積層加工が行なえるため、本発明の建
築用ガスケットの製造に際し、フィルム(シート)成形
工程を経ることなく、直接、ポリオレフィン系熱可塑性
エラストマー層(基体層)と超高分子量ポリオレフィン
層とを積層することができ、経済的である。
【0043】一方、超高分子量ポリオレフィン、たとえ
ば上記(1)における135℃デカリン溶媒中で測定し
た極限粘度[η]が10〜40dl/gの範囲内にある
超高分子量ポリオレフィン単独では、ポリオレフィン系
熱可塑性エラストマーとの共押出積層加工を行なうこと
はできず、したがって、ポリオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー層と超高分子量ポリオレフィン層との積層に際
しては、少なくとも一方を予めフィルム(シート)にし
ておく必要があり、上記超高分子量ポリオレフィン組成
物の場合と比較すると経済性に劣る。
【0044】建築用ガスケット 上述したように、本発明に係る建築用ガスケットは、上
記のような熱可塑性エラストマー(A)からなる層(基
体層)と、上記のような超高分子量ポリオレフィン組成
物(B)からなる層(滑性樹脂層)とで構成されてい
る。
【0045】本発明に係る建築用ガスケットは、上記の
両層を積層させることによって得ることができる。熱可
塑性エラストマー(A)層[以下、(A)層と略す]と
超高分子量ポリオレフィン組成物(B)層[以下、
(B)層と略す]との積層方法は、ガスケットの形状、
大きさ、要求性能により異なり、特に限定されないが、
たとえば以下のような積層方法が挙げられる。 (1)予め成形された(A)層、(B)層を、少なくと
も一方の層が溶融する温度以上の温度で圧縮成形機など
を用いて熱融着する方法。 (2)多層押出成形機で(A)層と(B)層とを同時に
押出成形して熱融着する方法(共押出成形)。
【0046】本発明においては、(A)層の厚さは0.
1〜50mm、また、(B)層の厚さは5μm〜10m
mであることが、一般的に好ましい。本発明に係る建築
用ガスケットにおいて、上記熱可塑性エラストマー
(A)からなる層は、結晶性ポリオレフィンと、ゴムと
からなるため、耐熱性、耐熱老化性およびゴム弾性に優
れている。
【0047】また、本発明に係る建築用ガスケットにお
いて、上記の超高分子量ポリオレフィン組成物(B)か
らなる層は、耐摩耗性、耐傷付性、摺動性および耐薬品
性に優れている。
【0048】本発明に係る建築用ガスケットの使用例を
図1に示す。壁1と壁2の間に扉3と扉4の2枚の扉が
ある。扉3は蝶番5を支点にP−Q方向に回転し、扉4
との接触部にガスケット6が付いている。
【0049】一方、扉4はR−S方向に移動し、扉3と
はガスケット6を介して、また、壁2とは2個のガスケ
ット7を介して緊密に接触することができる。図2にガ
スケット6の横断面を示す。
【0050】このガスケット6は、上記熱可塑性エラス
トマー(A)からなる基体層8、9と、上記超高分子量
ポリオレフィン組成物(B)からなる滑性樹脂層10と
で構成され、2つの層は十分な強度で熱融着されてい
る。上記基体層8、9のうち、基体層9は扉3への埋め
込み部である。
【0051】ガスケット6は、扉3を閉めて扉4と接触
させ、U字部が圧縮変形した状態で鍵(図示せず)をか
けることにより扉3と扉4との緊密性を保持することが
できる。
【0052】さらに、扉4の開閉時にはガスケット6の
U字部分が変形して、扉3と扉4との緊密性を保つが、
摺動特性に優れる超高分子量ポリオレフィン(B)から
なる層10が開閉時に要する力を大幅に低減するため、
扉4は軽快に開閉することができる。
【0053】図3にガスケット7の横断面を示す。この
ガスケット7は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー(A)からなる基体層11、12と、超高分子量ポリ
オレフィン組成物(B)からなる滑性樹脂層13とで構
成され、2つの層は十分な強度で熱融着されている。上
記基体層11、12のうち、層12は壁2への埋め込み
部である。
【0054】ガスケット7は、扉4との接触時には先端
のヒレ部分が変形し、壁2と扉4との緊密性を保つ。ガ
スケット7のヒレ部には、柔軟性とともに摺動性、耐久
性が要求されるが、この部分の表層に摺動性、耐久性に
優れる超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる
滑性樹脂層13を用いることにより扉4は軽快に開閉す
ることができる。
【0055】次に、本発明に係る建築用ガスケットの他
の使用例を図4に示す。アルミサッシ枠14の下部には
ガスケット15が装着されている。アルミサッシ枠14
は、レール16上を移動できるようになっており、アル
ミサッシ枠14とレール16とはガスケット15を介し
て緊密に接触することができる。
【0056】図5にこのガスケット15の断面図を示
す。このガスケット15は、上記熱可塑性エラストマー
(A)からなる基体層17、18と、上記超高分子量ポ
リオレフィン組成物(B)からなる滑性樹脂層19とで
構成され、2つの層は十分な強度で熱融着されている。
この滑性樹脂層19はレール16側面に圧着されてお
り、アルミサッシ枠14をレール16上で移動させても
滑性樹脂層19とレール16側面との摺接部分でアルミ
サッシ枠14とレール16との緊密性を保持することが
できる。
【0057】また、摺動特性に優れる超高分子量ポリオ
レフィン組成物(B)からなる滑性樹脂層19が、アル
ミサッシ枠14の移動時に要する力を大幅に低減するた
め、アルミサッシ枠14は軽快に移動することができ
る。
【0058】本発明によれば、建築用ガスケットとして
オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)からなる基体
層の上に、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)から
なる滑性樹脂層を設けることにより摺動性、耐久性に優
れたガスケットを得ることができ、扉の円滑軽快な開閉
操作あるいはアルミサッシ枠の円滑軽快な移動操作が
能となる。
【0059】本発明で用いられる熱可塑性エラストマー
(A)は、任意の形状および寸法に熱成形することが可
能であるとともに、建築用ガスケットの摺動部に要求さ
れる弾性、柔軟性、可圧縮性等の特性に優れており、し
かも耐久性、耐候性、耐水性等の性質にも優れている。
【0060】
【発明の効果】本発明に係る建築用ガスケットは、従来
の軟質合成樹脂製あるいは加硫ゴム製ガスケットに比
べ、耐摩耗性、耐久性、摺動特性に優れるとともに、容
易に製造することができ、経済性に優れている。
【0061】また、本発明に係る建築用ガスケットは、
従来の軟質合成樹脂あるいは加硫ゴム製ガスケットに比
べ、軽量であり、可塑剤等の滲出による表面のベタつき
もなく、しかも、機械的強度、耐熱性、耐熱老化性、耐
候性、寸法安定性に優れている。
【0062】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0063】
【実施例1】エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-
ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含有量:70モル
%、ヨウ素価:12、ムーニー粘度ML1+4 (100
℃):120]75重量部と、ポリプロピレン[MF
R:13g/10分(ASTMD 1238−65T、
230℃)、密度:0.91g/cm3 ]25重量部と
を、バンバリーミキサーを用いて窒素雰囲気下で、18
0℃で5分間混練した後、この混練物をロールに通して
シート状とし、シートカッターで裁断して角ペレットを
製造した。
【0064】この角ペレットに、ジビニルベンゼン0.
5重量部と、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン0.3重量部を添加してヘンシェルミキサ
ーで攪拌混合した。
【0065】次いで、この混合物を、L/D=30、ス
クリュー径50mmの一軸押出機を用いて窒素雰囲気下
に220℃の温度で押出して、ポリオレフィン系熱可塑
性エラストマーを得た。
【0066】得られたポリオレフィン系熱可塑性エラス
トマーのゲル含量は、上記した方法により求めたとこ
ろ、97重量%であった。このポリオレフィン系熱可塑
性エラストマーと、135℃のデカリン溶媒中で測定し
た極限粘度[η]が7.0dl/g、密度が0.965
g/cm3 である超高分子量ポリエチレン組成物とを2
30℃の温度で共押出成形して本発明のガスケットを得
た。
【0067】なお、この超高分子量ポリエチレン組成物
は、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度
[η]が28dl/gの超高分子量ポリエチレン23重
量%と135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度
[η]が0.73dl/gの低分子量ポリエチレン77
重量%とからなる。
【0068】得られたガスケットの形状は図2に示す通
りであり、このガスケットの寸法は、w1 が9.0m
m、w2 およびw3 がそれぞれ1.5mm、tが1.0
mm、hが8.0mm、U字部の厚みが0.8mm、超
高分子量ポリエチレン層の厚みが平均30μmであっ
た。
【0069】得られたガスケットを図1に示す扉3のガ
スケット6として装着し、厚さ8mmのガラス製の扉4
を繰り返し開閉して耐久試験を行なった。その結果、こ
のガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐
え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0070】しかしながら、従来品の軟質塩化ビニル樹
脂製ガスケットは、22,000回で扉との接触面にお
いて破壊を生じ、その結果、扉との摩擦抵抗が著しく増
大して使用に耐えなくなった。
【0071】
【実施例2】実施例1のポリオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーと、実施例1の超高分子量ポリエチレン組成物
とを230℃の温度で共押出成形して図5に示す断面形
状を有するガスケットを得た。なお、超高分子量ポリエ
チレン組成物からなる滑性樹脂層の平均厚さは、0.1
mmであった。
【0072】得られたガスケットを図4に示すアルミサ
ッシ枠に装着し、このアルミサッシ枠をレール上で繰返
し往復させて耐久試験を行なった。その結果、このガス
ケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガス
ケットとしての機能を維持していた。
【0073】しかしながら、従来品の硬質塩化ビニル樹
脂製ガスケットは、16,500回でレールとの接触面
において破壊を生じ、その結果、レールとの摩擦抵抗が
著しく増大して使用に耐えなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る建築用ガスケットの一例
の使用状態を説明するための概略横断平面図である。
【図2】図2は、図1におけるガスケット6の横断面図
である。
【図3】図3は、図1におけるガスケット7の横断面図
である。
【図4】図4は、本発明に係る建築用ガスケットの一例
の使用状態を説明するための概略縦断面図である。
【図5】図5は、図4におけるガスケット15の縦断面
図である。
【符号の説明】 1,2 ・・・・ 壁 3,4 ・・・・ 扉 5 ・・・・ 蝶番 6,7 ・・・・ ガスケット 8,9 ・・・・ 熱可塑性エラストマーからなる層 10 ・・・・ 超高分子量ポリオレフィン組成物からなる層 11,12 ・・・・ 熱可塑性エラストマーからなる層 13 ・・・・ 超高分子量ポリオレフィン組成物からなる層14 ・・・・ アルミサッシ枠 15 ・・・・ ガスケット 16 ・・・・ レール 17,18 ・・・・ 熱可塑性エラストマーからなる層 19 ・・・・ 超高分子量ポリオレフィン組成物からなる層
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】追加
【補正内容】
【図4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】追加
【補正内容】
【図5】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性エラストマー(A)からなる層
    と、 超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる層とか
    ら構成されており、 該超高分子量ポリオレフィン組成物(B)が、 135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1
    0〜40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフ
    ィンと、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度
    [η]が0.1〜5dl/gの範囲内にあるポリオレフ
    ィンとから実質的になり、 超高分子量ポリオレフィンが、超高分子量ポリオレフィ
    ンとポリオレフィンとの総重量100重量%に対して1
    5〜40重量%の割合で存在し、かつ、 超高分子量ポリオレフィン組成物(B)の135℃デカ
    リン溶媒中で測定した極限粘度[η]が3.5〜8.3
    dl/gの範囲内にあることを特徴とする建築用ガスケ
    ット。
  2. 【請求項2】前記熱可塑性エラストマー(A)が、 結晶性ポリプロピレン(a)70〜10重量部と、 エチレン・プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン・プ
    ロピレン・ジエン共重合体ゴムからなるゴム(b)30
    〜90重量部[成分(a)および(b)の合計量は、1
    00重量部とする]とからなる混合物を、有機ペルオキ
    シドの存在下で動的に熱処理して得られる、上記ゴム
    (b)が部分的に架橋された熱可塑性エラストマーであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の建築用ガスケッ
    ト。
  3. 【請求項3】前記超高分子量ポリオレフィン組成物
    (B)が、該超高分子量ポリオレフィン組成物(B)当
    り1〜20重量%の液体ないし固体の潤滑油を含有して
    いることを特徴とする請求項1または2に記載の建築用
    ガスケット。
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