JPH06134438A - 廃アスベスト材の処理法および廃アスベスト材を用いた窯業製品の製造方法 - Google Patents

廃アスベスト材の処理法および廃アスベスト材を用いた窯業製品の製造方法

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JPH06134438A
JPH06134438A JP4291551A JP29155192A JPH06134438A JP H06134438 A JPH06134438 A JP H06134438A JP 4291551 A JP4291551 A JP 4291551A JP 29155192 A JP29155192 A JP 29155192A JP H06134438 A JPH06134438 A JP H06134438A
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asbestos
asbestos material
waste
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Iwao Yajima
巌 矢島
Akira Ito
彰 伊藤
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SHIBATA HARIO GLASS KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アスベストを含む廃材を無害化物に処理する
廃アスベスト材の処理法と、アスベストを含む廃材を窯
業製品の素材の一つとして再利用する廃アスベスト材を
用いた窯業製品の製造方法。 【構成】 廃アスベスト材に所定の組成となるように少
なくともアルミニウム精練時の副生精練灰を混合し、酸
化雰囲気中で、温度800℃以上で焼成する廃アスベス
ト材の処理法と、廃アスベスト材に所定の組成となるよ
うに少なくともアルミニウム精練時の副生精練灰を混合
し、酸化雰囲気中で、温度800℃以上で焼成した後、
粉砕し、得られた粉末にシャモットを加えて成形した
後、温度1230℃以上で焼成する廃アスベスト材を用
いた窯業製品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、廃アスベスト材の処理
法および廃アスベスト材を用いた窯業製品の製造方法に
関し、更に詳細には、発ガン性の大気汚染物質として大
気汚染防止法で特定粉塵に指定されたアスベストを含む
建築材等の廃アスベスト材を少なくともアルミニウム精
練時の副生精練灰と共に焼成することにより廃アスベス
ト材の無害化と、従来廃アスベスト材と同様に廃棄処理
が困難であったアルミニウム精練灰を再利用することが
出来る廃アスベスト材の処理法と、廃アスベスト材を窯
業製品の素材として再利用する廃アスベスト材を用いた
窯業製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アスベストを含有する建築材等の
廃アスベスト材の処理法としては、そのまま地中に埋め
立てるか、或いはコンクリート化した後地中に埋め立て
る方法が行なわれていた。しかし、前記埋め立てによる
廃棄処理法は、アスベストの性質を変えずに、地中に或
いはコンクリートで一時的に封じ込めるという回避方法
であるにもかかわらず、その廃棄処理には多額の経費が
必要であり、また、立地が困難となってきた広大な処理
場を確保しなければならなかった。しかも、そのまま埋
め立てた場合は、土地開発等により廃アスベスト材が地
表に露出すれば再び大気汚染物質として飛散することと
なり、また、コンクリート化して埋め立ててもアスベス
トは鉱物繊維のまま変質せず存在するため、地表に露出
すればコンクリートのみが風化、或いは雨水による浸蝕
によって次第に劣化し、経時と共にアスベストが飛散す
ることとなり、いずれも完全な処理法とは言えない。
【0003】最近、廃アスベスト材を無害化する処理法
として、例えば放射線物質のような廃棄処理困難な物質
の処理法(放射線廃棄物のガラス化処理法)と同様に廃
アスベスト材とガラス材とを混合し、この混合物に温度
1500℃以上の加熱、溶融処理を施してガラス化し、
環境中への飛散を防止する方法が行なわれている。この
加熱溶融処理法の場合は、アスベストの鉱物繊維の結晶
をガラス化して消滅させるので、処理法としては前記埋
立法と異なって完全であるが、融点以上の加熱溶融炉を
必要とするため、多額の設備費と、それに伴う付帯設備
にも多額の費用を要するので、実現性に乏しく、現実に
は普及していない。
【0004】そこで、本発明者らは先に、特願平3−2
96067号で廃アスベスト材に酸化アルミニウムを添
加して共融点に近似の特定組成とすることにより、融点
を低下させて、酸化アルミニウムと焼成することにより
廃アスベスト材を無害化する処理法と、更に廃アスベス
ト材を窯業製品の素材として利用する方法を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記提案の処理法によ
れば、廃アスベスト材を温度1200〜1300℃の低
温度で焼成することが出来るから、従来より使用されて
いる既設の窯業生産設備を利用して廃アスベスト材を極
めて簡単に無害化することが出来る。
【0006】また、酸化アルミニウムと共に焼成して無
害化するには、廃アスベスト材と酸化アルミニウムを出
来る限り微粉化し、均一に混合させる必要がある。その
ため、建築材のアスベストモルタルのように粉砕容易な
廃アスベスト材であれば処理が簡単に行なえるという利
点を備えている。
【0007】一方、アスベスト材としてはコンクリート
状、ブロック状の建築材の他にボイラー或いは加熱炉の
高熱部分のパッキング、カバー等に用いる織布状のアス
ベスト布、ボイラー或いは加熱炉の高熱部の隙間のパッ
キングや不定形物の断熱等に用いる組紐状のアスベスト
ロープ、アセチレンボンベ中に溶解アセチレンを吸収せ
しめるために充填されたアセチレン容器用の充填物等多
種多様であり、特に、織布状、組紐状、或いは充填物の
アスベスト材は柔軟でありながら引張強度が高いため、
機械的な截断加工で容易に粉砕することが出来ないた
め、少量の場合は長時間かけてなんとか粉砕することが
出来ても、多量の場合は粉砕が出来ず、これらアスベス
ト布や組紐、或いは充填物を微粉砕して他の原料と均一
に混合することは困難であった。
【0008】他方、廃アスベスト材に添加する酸化アル
ミニウムは廃アスベスト材の処理材、或いは窯業製品の
原料としては高価であり、より安価な処理材、或いは原
料が求められていた。また、アルミニウム精練工程で副
生するアルミニウム精練灰が、水分を含むと悪臭を放つ
等処理困難な産業廃棄物として存在し、処理法が充分確
立されておらず、その再利用法が求められていた。
【0009】本発明は、かかる課題を解消し、廃アスベ
スト材を予め微粉化させることなく、極めて簡単に無害
化することが出来、かつアルミニウム精練灰を再利用す
ることが出来る廃アスベスト材の処理法と、廃アスベス
ト材を用いた窯業製品の製造方法を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、アルミニウム精練工程
で副生するアルミニウム精練灰が、水分を含むと悪臭を
放つ等処理困難な産業廃棄物に類するが、主成分が下記
表1 表 1 アルミニウム精練灰の組成(単位重量%) 成 分 精練灰1 精練灰2 Al 34.5 32.0 Al23 52.5 41.5 SiO2 1.3 14.5 MgO 7.8 1.5 Fe23 0.4 0.8 その他 0.3 3.4 に示すような金属アルミニウム(Al)と酸化アルミニ
ウム(Al23)であることを着目し、これを利用して
アスベストの焼成温度を前記特願平3−296067号
で提案の処理法の焼成温度よりも低下させる試みを行な
った。尚、精練灰1は通称「アルミ63系ドロス」、ま
た精練灰2は通称「アルミ合金系ドロス」と称する。こ
れらのアルミニウム精練灰は、黒色微粉末で、水と反応
して悪臭を伴う微細な泡を発生するが、これを加熱する
と温度800℃程度で溶融状態を示す。
【0011】また、アルミニウム精練灰と廃アスベスト
材を混合して大気中で、温度800℃程度で加熱する
と、混合物の焼成された焼成物は指先でも容易に粉状に
砕ける砂岩状の脆い塊となった。ちなみに、この処理を
行った焼成物を走査電子顕微鏡で観察したところ、アス
ベストの繊維結晶は消滅し、精練灰との融合状態にある
ことが確認された。
【0012】これは、廃アスベスト材にアルミニウム精
練灰を添加して焼成すると、温度800℃程度でアスベ
ストの結晶が破壊され、脆弱な粉砕しやすい無害な物に
変質するものであり、その理由はアルミニウム精練灰中
に含有する金属アルミニウムの融点が660.4℃と低
いため、加熱により容易に液状化して溶解反応を促進す
るか、或いはその金属アルミニウムが急激に酸化する際
のテルミット反応で局部的に高温、高活性を生じるため
か、或いは含有する酸化鉄等の不純物が融剤として作用
するためと考えられる。
【0013】また、アスベストを含有する建材であるア
スベストモルタルは500℃程度に加熱すると、強度が
半減することが知られているので、加熱処理により容易
に粉砕することが出来ること、並びにアスベスト紡織品
の布、組紐等は、加工の過程で有機物のバインダーや芯
材を含むが、大気中で温度400℃以上に加熱すると有
機物バインダーや芯材は燃焼して消滅し、アスベストの
みが残ることから、従来、混合前に予め行っていた廃ア
スベスト材の機械的微粉砕に代えて、粗砕または粗断し
た廃アスベスト材とアルミニウム精練灰を混合して温度
800℃以上に加熱する方法の方が廃アスベスト材の無
害化に対して有利と考えた。更に、加熱処理時にアルミ
ニウム精練灰を加えると破砕困難な紡織品の布、組紐等
の脆化を促進することから、加熱処理後の焼成物は微粉
砕することが出来、粉砕された粉状物は窯業製品の原料
素材としてそのまま使用できることも好都合である。
【0014】即ち、廃アスベスト材を単に無害化したの
みでは、その廃棄処理場所等にやはり問題が多いことが
考えられるので、無害化したものの再利用法として幾つ
かのことが考えられたが、窯業製品として再利用するこ
とが最もよいと考えた。従って、処理する廃アスベスト
材の種類に対応した分量のアルミニウム精練灰およびそ
の他の原料を添加して目標とする組成、或いは窯業製品
の組成となるように配合して無害化のための加熱処理を
行った方が微粉砕が容易であり、また、その微粉砕によ
り窯業製品の配合成分の均一化がもたらされ、有効な手
段であることを知見した。
【0015】本発明の廃アスベスト材の処理法および廃
アスベスト材を用いた窯業製品の製造方法は、前記知見
に基づいてなされたものであり、廃アスベスト材の処理
法は、粗砕または粗断した廃アスベスト材に少なくとも
アルミニウム精練時の副生精練灰を添加して組成が MgO・2CaO・5SiO2・5/3Al23 に近似するように調整された混合物を酸化雰囲気中で温
度800℃以上で焼成することを特徴とする。
【0016】また、廃アスベスト材を用いた窯業製品の
製造方法は、粗砕または粗断した廃アスベスト材に少な
くともアルミニウム精練時の副生精練灰を添加して組成
が MgO・2CaO・5SiO2・5/3Al23 に近似するように調整された混合物を酸化雰囲気中で温
度800℃以上で焼成した後、粉砕して得られた粉末に
シャモットを添加して成形物に成形し、乾燥した後、温
度1230℃以上で焼成して窯業製品を製造することを
特徴とする。
【0017】
【作用】廃アスベスト材とアルミニウム精練灰との混合
物は焼成により無害な組成物となる。この場合、廃アス
ベスト材に酸化アルミニウム源としてアルミニウム精練
灰を添加し、組成がMgO・2CaO・5SiO2・5
/3Al23に近似するように調整された混合物は焼成
温度を800℃以上の焼成温度で無害化し、温度123
0℃以上の温度で焼成可能な原料素材として窯業製品へ
の再利用が可能と成る。
【0018】
【実施例】先ず、本発明の廃アスベスト材の処理法およ
び廃アスベスト材を用いた窯業製品の製造方法の概要に
ついて説明する。
【0019】本発明で用いる廃アスベスト材としては、
アスベストを含むアスベストモルタル、アスベスト紡織
布、アスベスト組紐、アセチレン容器用充填物等のいず
れであってもよい。これらの組成の主成分を下記表2に
示す。 表 2 廃アスベスト材の組成(単位重量%) アスベスト アスベスト布 アセチレン 成 分 モルタル粉砕物 および組紐 容器充填物 SiO2 50.5 40.0 47.9 Al23 3.5 3.0 2.5 CaO 20.7 −− 28.6 MgO 6.0 40.0 7.6 Fe23 4.5 −− 1.8 また、廃アスベスト材に添加するアルミニウム精練時の
副生精練灰としては、前記表1に示す精練灰が挙げられ
る。そしてこれら精練灰を単独で、或いは組み合わせ用
いてもよい。また、アルミニウム精練灰にα−アルミ
ナ、β−アルミナ等の酸化アルミニウムを添加してもよ
く、その際のアルミニウム精練灰量は酸化アルミニウム
源として添加する全体量の50%以上とすればよい。
【0020】また、前記アルミニウム精練灰の他に珪石
粉等のSiO2、或いは粘土、カリオン、蝋石クレー等
のAl23/nSiO2、或いは苦汁のMgO、或いは
ドロマイトのMgO・αCaO、或いは生石灰、消石
灰、石膏、コンクリート屑等のCaO、或いはガラス
(主成分SiO2,CaO,Na2O)を適宜選択して、
目標の組成に近似せしめるように調整する。
【0021】本発明での混合物への加熱処理時の酸化雰
囲気は特に酸素の供給下で行う必要はなく、空気の充分
な供給のもとで行えばよい。
【0022】焼成後の成分組成の目標としては、SiO
2−2MgO・SiO2−CaO・Al23・2SiO2
系平衡状態図[Olaf Andersen:Phase Diagrams for Cer
amists, Americann Ceramic Society, Am.J.Sci.,4th
Ser.3,9440 (1915)より引用]中の共融組成であるMg
O・2CaO・5SiO2・5/3Al23を採ること
にした。これは更に、多成分系となったことにより、全
体の融点が低下するとしても、共融組成のところが最も
低くなると考えられるからである。
【0023】即ち、廃アスベスト材の無害化焼成に必要
な酸化アルミニウム量を、アルミニウム精練灰の成分か
ら摂取するように組成を調整した混合物を、酸化雰囲気
中で攪拌しながら加熱することにより、脆くて粉体化し
やすい砂岩状の塊とし、原料を均一に混合するための課
題を一気に解決することが出来ることになる。
【0024】この処理法を採用すれば、処理に供する廃
アスベスト材は通常の粗破砕機で空豆程度に粗砕、また
は切断機で長さ10mm〜25mm程度、幅5mm〜10mm程
度に粗断しチップ化した形状でよく、微粉砕する必要は
なくなる。
【0025】また、加熱処理温度は800℃で充分であ
る。加熱処理装置としては、内部に邪魔羽を有する傾斜
円筒のロータリーキルンまたは機械的衝撃を与えながら
加熱する揺動床炉を用いると、攪拌と加熱処理を同時に
行えるので効果的であり、また、炉の出口側に破砕装置
を連結すれば、加熱処理後の塊状態から窯業製品の素材
原料としての粉状物を連続的に生産することが出来る。
【0026】また、窯業製品を製造する際、廃アスベス
ト材とアルミニウム精練灰の焼成物の粉末に添加するシ
ャモットは陶磁器用シャモット、廃製品回収シャモット
のいずれかを単独で、或いは混合して用いればよい。ま
た、窯業製品を製造する際、廃アスベスト材とアルミニ
ウム精練灰の焼成物の粉末とシャモットの混合物に無機
顔料を添加してもよい。また、廃アスベスト材とアルミ
ニウム精練灰の焼成物とシャモットの混合物の乾燥成形
品に釉薬を施してから焼成してもよいし、或いは焼成さ
れた窯業製品に釉薬を施してから焼付けるようにしても
よい。
【0027】次に、本発明の処理法の具体的実施例につ
いて説明する。
【0028】実施例1 廃アスベスト材としてアスベストモルタルを用い、下記
の成分に配合した。 アスベストモルタル粉砕物(組成表2) 86.0g アルミニウム精練灰1(組成表1) 13.2g アルミニウム精練灰2(組成表1) 8.8g 珪石粉 3.7g 上記配合物を充分に混合した後、アルミナ製ルツボに入
れ、これを酸化雰囲気中で温度800℃で、1時間焼成
して焼成物を得た。
【0029】得られた焼成物は塊状であったが、放冷後
乳鉢で粉砕したところ、簡単に粉砕出来て、粒度0.5
mm以下の灰色の粉末となった。
【0030】実施例2 前記実施例1の配合物を温度1000℃で、30分間焼
成して焼成物を得た。得られた焼成物は塊状であった
が、放冷後乳鉢で粉砕したところ、実施例1と同様に簡
単に粉砕出来て、粒度0.5mm以下の灰黄色の粉末とな
った。
【0031】実施例3 廃アスベスト材としてアスベスト組紐(径15mm)を長
さ15mm〜20mm程度の大きさに粗断したものを用い、
下記の成分に配合した。 アスベスト組紐(組成表2) 14.8g アルミニウム精練灰2(組成表1) 66.2g 炭酸石灰 32.4g 珪石粉 38.7g 上記配合物を充分に混合した後、アルミナ製ルツボに入
れ、これを酸化雰囲気中で攪拌することなく温度100
0℃で、30分間焼成して焼成物を得た。
【0032】得られた焼成物を放冷後、外観を観察した
ところ表層部は灰白色の粉状であったが、芯部は黒色の
塊状であった。
【0033】そこで焼成物をルツボ中で攪拌しながら空
気の通気性を高めて再度1000℃で、30分間の焼成
を行った。焼成後、焼成物を観察したところアスベスト
組紐の形跡は残っていたが、指先で容易に粉状化するこ
とが出来る灰黒色の塊であった。
【0034】実施例4 廃アスベスト材としてアスベスト布(厚さ2mm)を長さ
20mm〜25mm程度、幅5mm〜10mm程度の大きさに粗
断したものを用い、下記の成分に配合した。 アスベスト布(組成表2) 14.8g アルミニウム精練灰2(組成表1) 49.8g 高炉スラグ 43.4g 珪石粉 25.7g 上記配合物を充分に混合した後、アルミナ製ルツボに入
れ、これを酸化雰囲気中で攪拌することなく温度100
0℃で、30分間焼成した後、この焼成物をルツボ中で
攪拌しながら空気の通気性を高めて温度1000℃で、
30分間の焼成を2回繰り返し行った。
【0035】焼成後、焼成物を観察したところアスベス
ト布目の形跡は残っていたが、指先で容易に粉状化する
ことが出来る灰黒色の塊であった。
【0036】実施例5 前記実施例4で得られた焼成物を粉砕した廃アスベスト
・ドロス処理粉20gにソジウムカルボキシメチルセル
ローズ(CMC)0.3g加えて充分に混合した後、ポ
リビニルアルコールの3%水溶液を加え、これを手練り
法で混練し、アルミニウム製の皿中で成形、乾燥した
後、温度1230℃で、30分間焼成して、成形物を作
成した。
【0037】作成された成形物を観察したところ、黒色
斑点模様を有する茶褐色で固い透水性のレンガ状成形物
であった。従って、廃アスベスト布の焼成物は窯業用素
材(原料)として利用出来ることが確認された。
【0038】実施例6 廃アスベスト材としてアセチレン容器内の充填物を空豆
程度の大きさに粗砕したものを用い、下記の成分に配合
した。 アセチレン容器充填物(組成表2) 62.2g アルミニウム精練灰2(組成表1) 63.5g アスベスト組紐(組成表2) 3.5g 珪石粉 14.9g 上記配合物を充分に混合した後、アルミナ製ルツボに入
れ、これを酸化雰囲気中で攪拌を一度行い、温度100
0℃で、30分間焼成して焼成物を得た。
【0039】得られた焼成物を観察したところ、灰白色
で粉状と塊状の混合状態であった。塊状物は全面に微細
なヒビ割れを生じており、乳鉢で容易に0.5mm以下の
粉状物となった。
【0040】前記各実施例から明らかなように、廃アス
ベスト材の処理温度を800〜1000℃の低温度で行
うことが出来るから、従来から使用されている瓦、土
管、レンガ、陶磁器、タイル等の既設の窯業生産設備を
利用することが出来、多額の設備投資を必要とせず、ま
た、予め廃アスベスト材への機械的微粉化処理を行わな
くとも焼成処理で脆弱化し、かつ無害化するので、その
後の処理工程が簡単であり、また、アルミニウム精練灰
を用いるようにしているから処理コストも廉価で行え
る。
【0041】次に、本発明の窯業製品の製造方法につい
て具体的な実施例を説明する。
【0042】実施例7 廃アスベスト材としてアスベストモルタルを用い、下記
の成分に配合した。 アスベストモルタル粉砕物(組成表2) 86.0g アルミニウム精練灰1(組成表1) 13.2g アルミニウム精練灰2(組成表1) 8.8g 珪石粉 3.7g 上記配合物を充分に混合した後、アルミナ製ルツボに入
れ、これを酸化雰囲気中で攪拌を時々行いながら温度1
000℃で、30分間焼成して焼成物を得た後、乳鉢で
粉砕して粉末状の廃アスベスト・ドロス処理粉を得た。
【0043】得られた廃アスベスト・ドロス処理粉を窯
業製品の原料の1つに用い、下記の成分に配合した。 廃アスベスト・ドロス処理粉 10g 廃製品回収シャモット 10g ソジウムカルボキシメチルセルローズ(CMC) 0.1g 上記配合物を充分に混合した後、ポリビニルアルコール
3%水溶液を加え、これを手練り法で混練し、型枠で縦
7cm、横3cm、厚さ1cmの小判状に成形し、型枠内で2
4時間乾燥、固化させて成形物を作成した。
【0044】作成された成形物を温度1230℃で30
分間焼成して窯業製品を作成した。作成された窯業製品
を観察したところ、灰褐色地に黒色斑点模様を呈する固
い透水性のレンガ状成形物であった。
【0045】実施例8 廃アスベスト材としてアスベスト組紐(径15mm)を長
さ15mm〜20mm程度の大きさに粗断したものを用い、
下記の成分に配合した。 アスベスト組紐(組成表2) 14.8g アルミニウム精練灰2(組成表1) 66.2g 炭酸石灰 32.4g 珪石粉 38.7g 上記配合物を充分に混合した後、アルミナ製ルツボに入
れ、これを酸化雰囲気中で攪拌を時々行いながら温度1
000℃で、30分間焼成して焼成物を得た後、乳鉢で
粉砕して粉末状の廃アスベスト・ドロス処理粉を得た。
【0046】得られた廃アスベスト・ドロス処理粉を窯
業製品の原料の1つに用い、下記の成分に配合した。 廃アスベスト・ドロス処理粉 10g 陶磁器用シャモット 10g ソジウムカルボキシメチルセルローズ(CMC) 0.1g 上記配合物を充分に混合した後、ポリビニルアルコール
3%水溶液を加え、これを手練り法で混練し、型枠で縦
7cm、横3cm、厚さ1cmの小判状に成形し、型枠内で2
4時間乾燥、固化させて成形物を作成した。
【0047】作成された成形物を温度1230℃で30
分間焼成して窯業製品を作成した。作成された窯業製品
を観察したところ、黄褐色地に黒色斑点模様を呈する固
い透水性のレンガ状成形物であった。
【0048】実施例9 廃アスベスト材としてアセチレン容器内の充填物を空豆
程度の大きさに粗砕したものを用い、下記の成分に配合
した。
【0049】 アセチレン容器充填物(組成表2) 62.2g アルミニウム精練灰2(組成表1) 63.5g アスベスト組紐(組成表2) 3.5g 珪石粉 14.9g 上記配合物を充分に混合した後、アルミナ製ルツボに入
れ、これを酸化雰囲気中で攪拌しながら温度1000℃
で、30分間焼成して焼成物を得た後、乳鉢で粉砕して
粉末状の廃アスベスト・ドロス処理粉を得た。
【0050】得られた廃アスベスト・ドロス処理粉を窯
業製品の原料の1つに用い、下記の成分に配合した。 廃アスベスト・ドロス処理粉 10g 陶磁器用シャモット 10g ソジウムカルボキシメチルセルローズ(CMC) 0.1g 上記配合物を充分に混合した後、ポリビニルアルコール
3%水溶液を加え、これを手練り法で混練し、型枠で縦
7cm、横3cm、厚さ1cmの小判状に成形し、型枠内で2
4時間乾燥、固化させて成形物を作成した。
【0051】作成された成形物を温度1230℃で30
分間焼成して窯業製品を作成した。作成された窯業製品
を観察したところ、黄褐色地に褐色斑点模様を呈する固
い透水性のレンガ状成形物であった。
【0052】実施例10 前記実施例9で作成された窯業製品の表面に下記配合の
釉薬を塗布、乾燥した後、温度1230℃で、30分間
の焼付けを行った。
【0053】長石粉 58.2g 珪石粉 5.6g 石灰石粉 11.3g 酸化亜鉛 18.7g 炭酸バリウム 6.2g 尚、釉薬は前記配合物を3%ポリビニールアルコール水
溶液に溶解させた泥状とした。
【0054】得られた窯業製品を観察したところ、生地
が黄褐色で褐色斑点があり、表面が艶がある化粧タイル
状成形物であった。
【0055】前記各実施例では廃アスベスト材の再利用
として廃アスベスト材を用いた窯業製品について説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、砂の代
用品としてコンクリート、培養土等にも利用することが
出来る。また、前記実施例では窯業製品の混合原料を成
形する際、ポリビニールアルコール水溶液をバインダー
とした手練り法を用いたが、本発明はこれに限定される
ものではなく、型打法、泥漿鋳込法、プレス成形法等を
用いてもよい。また、窯業用原料の一部として用いる廃
アスベスト・ドロス処理粉を作成する際の焼成を100
0℃以下の低温度で、また、この廃アスベスト・ドロス
処理粉を窯業用原料の一部として用い、窯業製品を作成
する際の焼成を1300℃以下の低温度で行うことが出
来るから、従来から使用されている瓦、土管、レンガ、
陶磁器、タイル等の既設の窯業生産設備を利用すること
が出来て、多額な設備投資を必要とせず、生産コストも
廉価で行える。
【0056】
【発明の効果】本発明の廃アスベスト材の処理法による
ときは、微粉化が困難であったアスベスト布、アスベス
ト組紐、アセチレン容器用充填材のような廃アスベスト
材であっても予め機械的微粉化させることなく、産業廃
棄物として有害な廃アスベスト材を酸化雰囲気中でアル
ミニウム精練時の副生精練灰との焼成で無害な組成物と
することが出来、また、焼成処理後は極めて簡単に粉末
化することが出来、かつ処理法を既存の窯業生産設備を
そのまま利用出来、また、廃アスベスト材の処理時に添
加するものとして従来廃アスベスト材と同様に産業廃棄
物としての処理が困難とされていたアルミニウム精練時
の副生精練灰を用いるようにしたから、アルミニウム精
練時の副生する精練灰の再利用に役立つと共に、処理コ
ストの引き下げに役立つ等の効果を有する。
【0057】本発明の廃アスベスト材を用いた窯業製品
の製造方法によるときは、前記処理法で無害化された廃
棄物として処理されていた廃アスベスト材を有効に利用
し、これを窯業製品の原料の一部として簡単な手段によ
り無害で耐久性のある窯業製品を容易に製造することが
出来、また、廃アスベスト材の処理時に添加するものと
して従来廃アスベスト材と同様に廃棄処理に困難とされ
ていたアルミニウム生産時の副生精練灰を用いるように
したので、アルミニウム精練灰の再利用に役立つと共
に、窯業製品の生産コストの引き下げに役立つ等の効果
がある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗砕または粗断した廃アスベスト材に少
    なくともアルミニウム精練時の副生精練灰を添加して組
    成が MgO・2CaO・5SiO2・5/3Al23 に近似するように調整された混合物を酸化雰囲気中で温
    度800℃以上で焼成することを特徴とする廃アスベス
    ト材の処理法。
  2. 【請求項2】 粗砕または粗断した廃アスベスト材に少
    なくともアルミニウム精練時の副生精練灰を添加して組
    成が MgO・2CaO・5SiO2・5/3Al23 に近似するように調整された混合物を酸化雰囲気中で温
    度800℃以上で焼成した後、粉砕して得られた粉末に
    シャモットを添加して成形物に成形し、乾燥した後、温
    度1230℃以上で焼成して窯業製品を製造することを
    特徴とする廃アスベスト材を用いた窯業製品の製造方
    法。
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