JPH0613411Y2 - 自動変速制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車の自動変速制御に利用する。本考案は
アクセルペダルの踏み込み量の零点を更新することがで
きる自動変速制御装置に関する。

〔概要〕

本考案は、マイクロプロセッサによる自動変速制御装置
において、 制御回路の初期設定時におけるアクセルペダルの位置を
その変位の零点として記憶設定することにより、 アクセルペダルの戻り不良が発生しても適切な対応がで
きるようにしたものである。

〔従来の技術〕

従来、機械式自動変速機は発進時にはシフトレバーをド
ライブレンジあるいはリバースレンジに入れ、アクセル
ペダルを踏み込んだときに初めてクラッチが接続状態に
なり、エンジンからの駆動トルクを駆動輪に伝達する。
このとき、駆動トルクの伝達を滑らかにし車両速度が緩
やかに変化するように、半クラッチ状態を経てクラッチ
の接続が行われる。走行時の変速操作も同様に、エンジ
ン回転速度、車両速度およびアクセルペダル変位に応じ
て、最適の変速ギヤに切り換えるためにクラッチの切断
制御が行われる。

この機械式自動変速機では、エンジンがスタートした後
に、シフトレバーがドライブレンジあるいはリバースレ
ンジに操作されても、アクセルペダルの踏み込み量が零
でなければ、トランスミッションの変速ギヤがローギヤ
あるいはリバースギヤに入らない構造になっている。す
なわち、運転者はアクセルペダルを踏んだままシフトレ
バーを操作しても車両を発進させることができないよう
になっているが、正常な運転操作では、シフトレバーを
操作するときには、アクセルペダルの踏み込みを零に戻
しているので支障はない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、機械的な故障など何らかの原因によりアクセ
ルペダルの戻り不良が起こると、実質的にアクセルペダ
ルが踏まれたままの状態となり、上記従来例機械式自動
変速機では、変速ギヤがローギヤあるいはリバースギヤ
に入らず発進することができない。この場合には運転継
続が不能になってしまう。

本考案は、このような従来の問題点を解決するもので、
上述のような従来の機械式自動変速機においてアクセル
ペダルの戻り不良が起こっても、運転継続を可能にする
自動変速制御装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、エンジンの回転速度、車両速度およびアクセ
ルペダル変位を入力として取り込み、クラッチの接断お
よびトランスミッションの選択制御を行うマイクロプロ
セッサを含む制御回路を備え、上記制御回路は、その初
期設定時における上記アクセルペダルの位置をその零点
として記憶設定する手段を含む自動変速制御装置におい
て、上記制御回路は、アクセルペダルの変位が記憶設定
された零点より踏み込み方向に対して負方向の位置が検
出されたときには、その負方向に最大変位となる位置を
新たな零点として記憶設定する手段を含むことを特徴と
する。

〔作用〕

本考案は、アクセルペダル位置の零点を制御回路の初期
設定時ごとに記憶設定し、その後のアクセルペダルの変
位をその零点からの相対値で判断することにより、仮に
アクセルペダルの戻り不良が起こっても、アクセルペダ
ルから足をはなして、マイクロプロセッサの電源スイッ
チを一旦オフにして再びオンにすると、新たに現在のア
クセルペダルのストローク位置が、アクセルペダル変位
の零点として設定される。したがってその後は運転操作
が可能になる。

また、アクセルペダルの機構不良が回復して踏み込み量
が初期設定時に記憶された零点を下回ることがあると、
改めてその負方向の最大変位に対応する位置を新しい零
点として記憶設定することにより、動作を連続したまま
通常の走行状態に復帰させることができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例方式を図面に基づいて説明する。

第１図は、本考案の一実施例を示すブロック構成図であ
る。

第１図において、マイクロプロセッサ１には入出力制御
装置２を介して、アクセルペダル３の変位を検出するス
トロークセンサ４、トランスミッション５の出力軸に連
結されるプロペラシャフト６の回転速度から車両速度を
検出する車速センサ７、クラッチ８の接および断を行う
アクチュエータ９を駆動制御する電磁弁10、トランスミ
ッション５のギヤ位置を検出するトランスミッション位
置センサ11、エンジン12の回転速度を検知する回転速度
センサ13およびインジェクションポンプ14が接続され
る。さらに、入出力制御装置２には、電源スイッチ15が
接続される。

トランスミッション５の変速ギヤの切り換えを行う機
構、およびエンジン12のスタータ系統などはこの図面で
は直接本考案と関係がないので省略されている。

マイクロプロセッサ１は、ストロークセンサ４が検出し
たアクセルペダル３の変位および車速センサ７からの車
両速度情報を入力し、プロペラシャフト６の回転速度が
緩やかに変化するようにクラッチ８の接続状態を制御す
るプログラム制御手段を持っている。

ここで、本考案の特徴とするところは、マイクロプロセ
ッサ１に記憶設定するストロークセンサ４の零点にあ
る。すなわち、スイッチ15が閉状態になり、入出力制御
装置２およびマイクロプロセッサ１が起動する時が初期
設定時であり、この時にストロークセンサ４から入出力
制御装置２に取込まれる電位をアクセルペダル位置の零
点として設定する。かりにアクセルペダル３がその機械
的な解放位置になく、実質的に踏み込まれた状態にあっ
たとしても、その踏み込まれた状態のストロークセンサ
４の位置を零点として記憶設定する。

さらに、この実施例装置では、マイクロプロセッサ１お
よび入出力制御装置２が動作状態にあるときに、ストロ
ークセンサ４から与えられる電位が上記零点を下回っ
て、すなわちその零点を越えて負方向に変位することが
あると、その負方向変位における最大変位に対応する位
置を新たな零点として設定する。

第２図にマイクロプロセッサ１のストロークセンサ４に
ついての零点設定制御フロー図を示す。

これにより、仮にアクセルペダル３の戻り不良が起こっ
ても、初期設定時のアクセルペダル３の変位が零点とな
って、その零点からの相対値で変位量が検出され運転が
行われる。

つぎに、アクセルペダル３の戻り不良が回復すると、そ
の時にははじめに設定された零点を下回れる変位、すな
わち負方向の変位が検出されることになる。このときに
は、その負方向の最大変位を新たな零点として設定しな
おし、その新たな零点に基づくアクセルペダルの変位に
より運転が継続される。

かりに運転走行中にアクセルペダル３の戻り不良が発生
すると、これは従来装置と同様であり、運転者はアクセ
ルペダル３の異常に気付いて停車させる等の措置をとる
ことになろう。このとき、運転者が一旦電源スイッチ15
を切り（開き）、再び電源スイッチ15を入れる（閉じ
る）と、このときに上述の初期設定の動作が行われるこ
とになる。

この場合にも、アクセルペダル３の戻り不良が解消すれ
ば、正規のアクセルペダル開放位置が基点となるので、
連続的に通常の走行状態に復帰させることができる。

本実施例はディーゼルエンジン車の例であるが、ガソリ
ンエンジン車についても同様に本考案を実施することが
できる。

〔考案の効果〕 本考案は、以上説明したように、アクセルペダル変位の
零点を適応的に設定するから仮にアクセルペダルの戻り
不良が発生しても、車両の発進および走行を可能にする
ことができる。

また、アクセルペダルの変位がすでに設定した零点を下
回ったときにその零点を設定しなおす場合には、戻り不
良が解消すれば自動的に通常動作状態に復帰させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すブロック構成図。 第２図はマイクロプロセッサのアクセル変位量について
の制御フロー図。 １…マイクロプロセッサ、２…入出力制御装置、３…ア
クセルペダル、４…ストロークセンサ、５…トランスミ
ッション、６…プロペラシャフト、７…車速センサ、８
…クラッチ、９…アクチュエータ、10…電磁弁、11…ト
ランスミッション位置センサ、12…エンジン、13…回転
速度センサ、14…インジェクションポンプ、15…イグニ
ッションスイッチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンの回転速度、車両速度およびアク
   セルペダル変位を入力として取り込み、クラッチの接断
   およびトランスミッションの選択制御を行うマイクロプ
   ロセッサを含む制御回路を備え、 上記制御回路は、その初期設定時における上記アクセル
   ペダルの位置をその零点として記憶設定する手段を含む 自動変速制御装置において、 上記制御回路は、アクセルペダルの変位が記憶設定され
   た零点より踏み込み方向に対して負方向の位置が検出さ
   れたときには、その負方向に最大変位となる位置を新た
   な零点として記憶設定する手段を含む ことを特徴とする自動変速制御装置。